(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022102394
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 75/04 20060101AFI20220630BHJP
B65D 65/40 20060101ALN20220630BHJP
【FI】
B65D75/04
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020217093
(22)【出願日】2020-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】000219680
【氏名又は名称】株式会社トライフ
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】羽明 駿
(72)【発明者】
【氏名】大坂 篤史
(72)【発明者】
【氏名】杉山 彰浩
(72)【発明者】
【氏名】石田 祐二
【テーマコード(参考)】
3E067
3E086
【Fターム(参考)】
3E067AA12
3E067AB75
3E067AB77
3E067AC03
3E067AC14
3E067BA12A
3E067BB01A
3E067BB14A
3E067CA24
3E067CA30
3E067EA06
3E067EA35
3E067EB03
3E067FB07
3E067GB02
3E067GD07
3E067GD10
3E086AA01
3E086AB01
3E086AC12
3E086AD01
3E086AD08
3E086BA02
3E086BA04
3E086BA14
3E086BA15
3E086BB85
3E086BB90
3E086CA35
(57)【要約】 (修正有)
【課題】紙製の包装袋を使用するにもかかわらず、包装袋の破れが抑制され、且つ、包装紙への衛生紙の引っかかりが抑制された、衛生紙の包装体を提供する。
【解決手段】衛生紙、並びに、衛生紙を収容する包装袋を備えた包装体であって、包装袋がクレープ紙からなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛生紙、並びに、
前記衛生紙を収容する包装袋
を備えた包装体であって、
前記包装袋がクレープ紙からなる、包装体。
【請求項2】
前記クレープ紙の厚みが50μm~300μmである、請求項1記載の包装体。
【請求項3】
前記クレープ紙の表面に熱可塑性樹脂層が存在する、請求項1又は2記載の包装体。
【請求項4】
前記熱可塑性樹脂層の厚みが10μm~30μmである、請求項3記載の包装体。
【請求項5】
前記熱可塑性樹脂層がポリオレフィンを含む、請求項3又は4記載の包装体。
【請求項6】
前記ポリオレフィンがエチレンのホモポリマー又はコポリマーである、請求項5記載の包装体。
【請求項7】
前記エチレンのコポリマーがエチレンとプロピレン及び/又はαオレフィンとのコポリマーである、請求項6記載の包装体。
【請求項8】
前記熱可塑性樹脂層がJIS K7121により測定される融解温度が80℃以上である熱可塑性樹脂を含む、請求項3乃至7のいずれかに記載の包装体。
【請求項9】
前記包装袋が前記クレープ紙及び前記熱可塑性樹脂層のみからなる、請求項3乃至8のいずれかに記載の包装体。
【請求項10】
前記熱可塑性樹脂層が押出コーティング層である、請求項3乃至9のいずれかに記載の包装体。
【請求項11】
前記クレープ紙が前記包装袋の外表面を形成する、請求項1乃至10のいずれかに記載の包装体。
【請求項12】
前記包装袋がヒートシールされている、請求項3乃至11のいずれかに記載の包装体。
【請求項13】
前記包装袋が少なくとも1つの空気孔を備える、請求項1乃至12のいずれかに記載の包装体。
【請求項14】
前記衛生紙がポップアップ式に前記包装袋に収容されている、請求項1乃至13のいずれかに記載の包装体。
【請求項15】
前記衛生紙がペーパータオルである、請求項1乃至14のいずれかに記載の包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペーパータオル等の衛生紙の包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
衛生目的で使用される衛生紙としては、例えば、ティッシュペーパー、ペーパータオル等の使い捨て紙が広く使用されている。
【0003】
そして、ペーパータオルのうち、主にキッチンにおいて、肉、魚、野菜等の水切り、油切り;まな板の上敷;食器の拭き取り;フライパンの油拭き;ガスレンジ、換気扇等の手入れ;食卓の汚れ拭き、等の用途に使用されるものは、キッチンペーパー(クッキングペーパーも含む)とも称され、家庭用紙の一種として周知である。
【0004】
このような衛生紙は、通常、プラスチックフィルム製の包装袋によって包装されて市販されているが、紙を使用して包装袋とすることが提案されている(特許文献1[0017])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、通常の紙製の包装袋は、伸縮性に乏しいために、包装袋に外力が加わった際に包装袋に破れが発生しやすい。
【0007】
本発明は、紙製の包装袋を使用するにもかかわらず、包装袋の破れが抑制された、衛生紙の包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
鋭意検討の結果、本発明者らは、クレープ紙からなる包装袋を用いることによって、包装袋の破れが抑制されることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
本発明は、
衛生紙、並びに、
前記衛生紙を収容する包装袋
を備えた包装体であって、
前記包装袋がクレープ紙からなる、包装体に関する。
【0010】
前記クレープ紙の厚みは50μm~300μmが好ましい。
【0011】
前記クレープ紙の表面に熱可塑性樹脂層が存在することが好ましい。
【0012】
前記熱可塑性樹脂層の厚みは10μm~30μmが好ましい。
【0013】
前記熱可塑性樹脂層はポリオレフィンを含むことが好ましい。
【0014】
前記ポリオレフィンがエチレンのホモポリマー又はコポリマーであることが好ましい。
【0015】
前記エチレンのコポリマーはエチレンとプロピレン及び/又はαオレフィンとのコポリマーであることが好ましい。
【0016】
前記熱可塑性樹脂層がJIS K7121により測定される融解温度が80℃以上である熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。
【0017】
前記包装袋が前記クレープ紙及び前記熱可塑性樹脂層のみからなることが好ましい。
【0018】
前記熱可塑性樹脂層が押出コーティング層であることが好ましい。
【0019】
前記クレープ紙が前記包装袋の外表面を形成することが好ましい。
【0020】
前記包装袋がヒートシールされていることが好ましい。
【0021】
前記包装袋が少なくとも1つの空気孔を備えることが好ましい。
【0022】
前記衛生紙がポップアップ式に前記包装袋に収容されていることが好ましい。
【0023】
前記衛生紙がペーパータオルであることが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明の包装体は、紙製の包装袋を使用するにもかかわらず、当該紙としてクレープ紙を使用するので、包装袋の伸縮性が高まり、外力に対する変形追従性が向上するので、包装袋の破れを抑制することができる。
【0025】
クレープ紙の表面に熱可塑性樹脂層が存在する場合は当該熱可塑性樹脂層を用いてヒートシールが可能となるために包装袋の製造が容易である。
【0026】
本発明の包装体は、紙製の包装袋を使用するので、プラスチックフィルム製の包装袋を使用する場合に比べて、廃棄時のプラスチックの環境中への残存による環境汚染等の環境問題により対応することができる。
【0027】
特に、包装袋を構成するクレープ紙は、もともと、植物に由来する有機物であり、カーボンニュートラルな再生可能な資源であるので、環境への負荷を低減することができる。したがって、本発明の包装体は環境に優しいものである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図2】
図1の包装袋を形成するクレープ紙の一例の拡大断面図。
【
図3】
図1の包装袋を形成するクレープ紙の他の例の拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、
衛生紙、並びに、
前記衛生紙を収容する包装袋
を備えた包装体であって、
前記包装袋がクレープ紙からなる、包装体に関する。
【0030】
[衛生紙]
本発明の包装体は衛生紙を含む。衛生紙とは衛生状態の向上を目的として使用される紙であり、例えば、ティッシュペーパー(顔ふき紙、化粧紙等と呼ばれるもの)、ちり紙、ペーパータオル(キッチンペーパー等)、トイレットペーパー、ワッティング(紙綿)等の使い捨て紙(例えば、紙パルプ技術便覧第5版、第459頁参照、1992年1月30日発行、紙パルプ技術協会編集・発行)等を挙げることができる。衛生紙は衛生用紙とも呼称される(JIS P0001:1998)。
【0031】
本発明における衛生紙としては、キッチンペーパー等のペーパータオルが好ましい。キッチンペーパー(クッキングペーパーも含む)は、主にキッチンにおいて、肉、魚、野菜等の水切り、油切り;まな板の上敷;食器の拭き取り;フライパンの油拭き;ガスレンジ、換気扇等の手入れ;食卓の汚れ拭き、等の用途に使用される。
【0032】
衛生紙は、多孔性であり、液体の吸収能を有する。液体としては、水、油等が挙げられる。したがって、本発明で使用される衛生紙は吸水性、吸油性を備えており、例えば、キッチンでの使用に適している。
【0033】
衛生紙を構成する繊維材料は特には限定されるものではなく、綿、木材パルプ、羊毛等の天然繊維、レーヨン等の再生繊維、ビニロン、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル等の合成高分子から製造した合成繊維を挙げることができる。これら繊維は単独で用いてもよく、混合複合化してもよい。衛生紙を構成する繊維材料としては、木材パルプが好ましく、バージン木材パルプ若しくは古紙パルプ又はこれらの混合物を使用することができる。木材パルプとしては、例えば、NBKP(針葉樹晒クラフトパルプ)、NUKP(針葉樹未晒しパルプ)等の針葉樹パルプと、LBKP(広葉樹晒クラフトパルプ)、LUKP(広葉樹未晒しパルプ)等の広葉樹パルプと、をそれぞれ単独で、或いは、適宜の比率で混合したものを使用することが可能であり、例えば、針葉樹パルプ:広葉樹パルプの比を1(25%):3(75%)~1(50%):1(50%)とすることができる。
【0034】
衛生紙の坪量は特には限定されるものではないが、坪量(測定方法:JIS P 8124 [2011])10g/m2~100g/m2が好ましく、30g/m2~50g/m2がより好ましい。また、衛生紙の紙厚も特には限定されるものではないが、紙厚(測定方法:JIS P 8118 [2014])は50μm~300μmが好ましく、80μm~200μmがより好ましい。
【0035】
本発明で使用される衛生紙はその一方の表面又は両面に凹凸を有することが好ましい。凹凸は衛生紙の表面の一部に存在してもよく、或いは、表面の全面に存在してもよい。
【0036】
凹凸はエンボス加工により付与されることが好ましい。凹凸の高さ(凹部の最底面から凸部の頂点のレベルまでの垂直高さ)は特には限定されるものではないが、例えば、0.1mm~5mmでもよく、1mm~3mmでもよい。
【0037】
衛生紙の形態は特には限定されるものではなく、長尺の衛生紙を巻き取ったロールの形態であってもよいが、衛生紙は非ロール形態であることが好ましく、平面状の衛生紙を折り畳んで包装袋内に収容されることがより好ましい。衛生紙は、1枚(所謂、1プライ)を2つ折りにして利用する形態でも、また、2枚(所謂、2プライ)又は3枚(所謂、3プライ)以上の積層構造の一組を2つ折りにして1枚と同様に利用する形態のいずれでもよい。
【0038】
衛生紙がポップアップ式に包装袋に収容されることが好ましい。ポップアップ式であると、衛生紙を包装袋から取り出した後に次の衛生紙の一部が包装袋の外に出てきているので、次の衛生紙の取り出しが容易である。
【0039】
衛生紙は、おむつ、成人用失禁パンツ、幼児用トレーニングパンツ等の衣類ではない方が好ましい。
【0040】
[包装袋]
本発明の包装袋はクレープ紙からなる。包装袋の形状は特には限定されるものではなく、例えば、非箱形又は箱形とすることが可能である。
【0041】
本発明の包装袋は少なくとも1つの空気孔を備えることが好ましい。空気孔は包装袋内の空気を外部に排出する機能を有しており、包装袋内の空気を外部に排出することによって包装袋の体積を低減し、例えば、包装袋の梱包を容易とすることができる。
【0042】
空気孔は、例えば、クレープ紙又はクレープ紙により形成された包装袋を少なくとも1つの針等で貫通することにより形成可能である。
【0043】
空気孔の個数は特には限定されるものではないが、複数が好ましく、1包装袋当たり2~100個が好ましく、10~50個がより好ましい。
【0044】
空気孔の(断面)形状は限定されない。例えば、空気孔の形状は円形又は非円形であり、非円形の空気孔の形状の例としては短いスリットが挙げられる。
【0045】
空気孔の間隔は特には限定されない。例えば、空気孔の間隔は10mm~50mmの範囲とすることができ、15mm~40mmの範囲が好ましく、20mm~30mmの範囲がより好ましい。
【0046】
空気孔の設置密度も特には限定されない。例えば、空気孔の設置密度を、空気孔が存在する面について、1~10個/25cm2の範囲とすることができ、2~8個/25cm2の範囲が好ましく、3~6個/25cm2の範囲がより好ましい。
【0047】
空気孔の分布は均一又は不均一とすることができるが、例えば、包装袋が箱状の場合は包装袋の側面に形成することが好ましい。
【0048】
複数の空気孔を直線上に並べて列として、1列又は2列以上の空気孔列を形成してもよい。空気孔列の間隔は限定されるものではないが、例えば、5mm~50mm、10mm~40mm、又は、15mm~30mmの間隔とすることができる。
【0049】
[クレープ紙]
本発明の包装袋はクレープ紙からなる。本発明の包装袋を構成するクレープ紙の枚数は特に限定されるものではないが、本発明の包装紙は1枚のクレープ紙からなることが好ましい。クレープ紙は、多数の皺を有しており、そのために、優れた伸縮性を備える。したがって、本発明の包装袋は高い変形性を有している。特に、本発明の包装袋は伸縮性に優れており、外力に対する変形追従性が向上するので、包装袋の破れを抑制することができる。
【0050】
本発明の包装袋を構成するクレープ紙は20g/m2~100g/m2の坪量(測定方法:JIS P 8124 [2011])を有する。クレープ紙の坪量は30g/m2~75g/m2が好ましく、35g/m2~50g/m2がより好ましい。
【0051】
本発明で使用されるクレープ紙の紙厚(測定方法:JIS P 8118 [2014])は50μm~300μmが好ましく、80μm~200μmがより好ましい。
【0052】
クレープ紙を構成する繊維材料は特には限定されるものではなく、綿、木材パルプ、羊毛等の天然繊維、レーヨン等の再生繊維、ビニロン、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル等の合成高分子から製造した合成繊維を挙げることができる。これら繊維は単独で用いてもよく、混合複合化してもよい。
【0053】
クレープ紙を構成する繊維材料としては、木材パルプが好ましく、バージン木材パルプ若しくは古紙パルプ又はこれらの混合物を使用することができる。木材パルプとしては、例えば、NBKP(針葉樹晒クラフトパルプ)、NUKP(針葉樹未晒しパルプ)等の針葉樹パルプ、LBKP(広葉樹晒クラフトパルプ)、LUKP(広葉樹未晒しパルプ)等の広葉樹パルプ、並びに、針葉樹パルプ及び広葉樹パルプの混合物を使用することができる。
【0054】
クレープ紙は、従来公知の方法で製造することができる。例えば、加熱された円筒状ヤンキードライヤーの表面に湿紙を押し付けて付着させ、一定の乾燥を経たのち、ドクターブレードを介して、紙体をヤンキードライヤーから引き剥がしてクレープ処理することにより製造することができる。
【0055】
本発明では、包装袋を構成する包装紙としてクレープ紙を使用することにより、包装袋と衛生紙との接触点が低減されるので、包装袋への衛生紙の引っかかりも抑制することができる。したがって、本発明の包装体は、被包装物の包装が容易である。
【0056】
(熱可塑性樹脂層)
本発明で使用されるクレープ紙の表面には熱可塑性樹脂層が存在することが好ましい。熱可塑製樹脂層の数は特には限定されるものではないが、熱可塑性樹脂層は1つ又は2つであることが好ましく、クレープ紙の一方の面上に存在することが好ましい。クレープ紙が備える熱可塑性樹脂層を1つ又は2つに限定することにより、当該クレープ紙と熱可塑性樹脂層を合わせた厚みを抑制することができる。
【0057】
本発明で使用されるクレープ紙の表面に熱可塑性樹脂層が存在する場合は、当該熱可塑性樹脂層を溶融させてヒートシールすることにより包装袋を容易に製造することができる。熱可塑性樹脂層はクレープ紙の表面の全面に存在する必要はなく、クレープ紙の表面の少なくとも一部(例えば端部)に存在すればよいが、クレープ紙の表面の全面に存在してもよい。熱可塑性樹脂層がクレープ紙の表面の全面に存在する場合でも、熱可塑性樹脂の種類を適宜選択する、熱可塑性樹脂層の厚みを適宜調整する等によって、クレープ紙の伸縮性を維持することができる。
【0058】
熱可塑性樹脂層は少なくとも1種の熱可塑性樹脂を含む。単一種類の熱可塑性樹脂を使用してもよく、複数種類の樹脂を併用してもよい。
【0059】
熱可塑性樹脂の種類は特には限定されるものではなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン等のポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ(メタ)アクリレート等を使用することができる。前記熱可塑性樹脂がポリオレフィンを含むことが好ましい。
【0060】
ポリオレフィンは、炭素数2~10のオレフィンの少なくとも1種からなる。2種以上のオレフィンを併用してもよい。オレフィンの具体例としては、エチレン、プロピレン、α-オレフィン等が挙げられる。
【0061】
ポリオレフィンとしては、例えば、エチレンのホモポリマー又はコポリマー、プロピレンのホモポリマー又はコポリマー、ブテンのホモポリマー又はコポリマー等が挙げられる。エチレン及びプロピレンのランダム共重合体又はブロック共重合体であってもよい。
【0062】
ポリオレフィンはエチレンのホモポリマー又はコポリマーであることが好ましい。前記エチレンのコポリマーとしてはエチレンとプロピレン及び/又はαオレフィンとのコポリマーが好ましく、エチレンとαオレフィンとのコポリマーがより好ましい。αオレフィンとしては炭素数3~20、好ましくは3~8のものが包含され、具体的には、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、ビニルシクロヘキサン等が例示されるが1-ヘキセンが好ましい。ポリオレフィンとしてはエチレンと1-ヘキセンの共重合体又はエチレンとプロピレンと1-ヘキセンの共重合体が特に好ましい。
【0063】
ポリオレフィンとしては、メタロセン系触媒を用いて合成されたものが好ましく、気相法で合成されたものがより好ましい。メタロセン系触媒を用いて合成されたものとしては、例えば、日本ポリエチレン社製のカーネルKF260T、KF270、KF271、KF282、KF283、KF360T、KF370、KF380、KC452T、KC570S、KC580S、KC573、KC577T、KS240T、KS340T、KS260、KS560T、KS571、KJ640T等が挙げられる。また、メタロセン系触媒を用いて気相法で合成されたものとしては、例えば、日本ポリエチレン社製のハーモレックスNF324A、NF375B、NF366A、NF384A、NF444A、NF464A、NC564A、NF325N、NF464N、NF444N、NH645A、NH745N、NH845N、NJ744N、プライムポリマー社のエボリューSP0510、SP1020、SP1520、SP1510、SP2020、SP2320等が挙げられる。
【0064】
熱可塑性樹脂層はJIS K7121により測定される融解温度(DSC法による)が80℃以上である熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。前記熱可塑性樹脂層に含まれる熱可塑性樹脂がJIS K7121により測定される融解温度(DSC法による)が80℃以上である熱可塑性樹脂のみからなることがより好ましい。JIS K7121により測定される融解温度が80℃以上である熱可塑性樹脂が前記ポリオレフィンであることが更により好ましい。前記熱可塑性樹脂のJIS K7121により測定される融解温度は85℃以上がより好ましく、90℃以上が更により好ましく、95℃以上が更により好ましく、100℃以上が更により好ましい。前記熱可塑性樹脂の融解温度が比較的高いことにより、包装袋の引裂強度を向上させることができる。
【0065】
JIS K7121により測定される融解温度が80℃以上の熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂層を備えるクレープ紙製の包装袋を使用することにより、包装袋の破れを更に抑制することができる。したがって、本発明の包装体は被包装物の包装を良好に維持することができる。
【0066】
前記熱可塑性樹脂層の厚みは10μm~30μmが好ましく、15~25μmがより好ましく、20~25μmが更により好ましい。
【0067】
前記熱可塑性樹脂層は、任意の添加剤を含むことができる。添加剤としては、例えば、各種の有機フィラー又は無機フィラー、粘着付与剤、酸化防止剤、防曇剤、各種の有機顔料又は無機顔料、難燃剤、架橋剤、紫外線防止剤、滑剤等を挙げることができる。
【0068】
本発明で使用されるクレープ紙は熱可塑性樹脂以外の層を備えることが可能であり、例えば、クレープ紙と熱可塑性樹脂層の間に接着層等の任意の中間層を備えることができる。また、クレープ紙の熱可塑性樹脂が存在する表面の反対側の表面に保護層等の任意の層を備えることができる。しかし、全体の厚みを抑制し、クレープ紙の変形性を損なわないためには、クレープ紙は熱可塑性樹脂層のみを備えることが好ましい。
【0069】
本発明の包装体ではクレープ紙が包装袋の外表面を形成することが好ましい。これにより、本発明の包装袋が紙製であることを容易に認識することができる。
【0070】
熱可塑性樹脂層を有するクレープ紙の製造方法は特には限定されるものではなく、例えば、熱可塑性樹脂の押出ラミネートによるクレープ紙と熱可塑性樹脂層の一体化、熱可塑性樹脂製のフィルムとクレープ紙との接着剤による一体化等の方法により製造することができる。押出ラミネートによりクレープ紙と熱可塑性樹脂層とを一体化する方法が好ましい。すなわち、前記熱可塑性樹脂が押出コーティング層であることが好ましい。
【0071】
前記クレープ紙と熱可塑性樹脂層を併せた厚みは50μm~300μmが好ましく、60μm~200μmがより好ましく、70μm~100μmが更により好ましい。
【0072】
[包装体の製造方法]
本発明の包装体の製造方法は特には限定されるものではなく、例えば、平面状のクレープ紙を変形して収容部を備える袋状とし、当該収容部に衛生紙を収容後に、収容部の開口部を接着剤等で封止して包装体を製造することができる。クレープ紙が熱可塑性樹脂層を備える場合は、収容部の開口部(熱可塑性樹脂層を備える)をヒートシールすることによって袋を密封して包装体を製造することができる。
【0073】
ヒートシールの温度は熱可塑性樹脂層に含まれる熱可塑性樹脂の種類によるが、80℃~350℃が好ましく、100℃~300℃がより好ましく、150℃~250℃が更により好ましい。
【0074】
ヒートシールの時間も熱可塑性樹脂層に含まれる熱可塑性樹脂の種類によるが、5秒以下が好ましく、3秒以下がより好ましく、1秒以下が更により好ましい。
【0075】
[包装体例]
図1は本発明の包装体の一実施態様を示す図であり、
図1(A)及び
図1(B)は、それぞれ、本発明の包装体の一実施態様の表側及び裏側を示している。
図1(C)は
図1(A)のA-A線での断面図である。
【0076】
図1において1は包装体を表し、2は包装体の包装袋であり、3は包装袋2内の収容部に収容されている衛生紙である。
【0077】
包装袋2には複数の空気孔4が形成されており、包装袋2内の空気を外界に排出可能とされている。包装袋2内の空気を空気孔4を介して外界に排出することにより、包装袋2の体積を低減して、例えば、包装袋2の梱包運搬を容易とすることができる。
【0078】
図1に示す態様では、包装袋2の表面の一部に衛生紙3を取り出すための取出口を形成可能なミシン目2-1が形成されており、衛生紙3を取り出す際にはミシン目2-1を破って取出口を形成し、当該取出口から衛生紙3を外部に取り出すことができる。
【0079】
図1に示す態様では衛生紙3は所謂ポップアップ式に重ねて包装袋2内に収容されているので、取出口から1枚の衛生紙3を取り出すと、次の衛生紙3の一部が取出口から突出することができ、衛生紙3の取り出しを容易に実施することができる。
【0080】
図2は、
図1の包装袋2を形成するクレープ紙の一例の拡大断面図である。
図2に示すように、クレープ紙5は、多数の皺を備えており、優れた伸縮性を有する。したがって、クレープ紙5からなる包装袋2は優れた伸縮性を備えており、外力に対する変形追従性が高く、包装袋2が破れにくい。
【0081】
衛生紙は比較的毛羽立ちやすいために、衛生紙に紙製の包装袋が接触すると当該包装袋に衛生紙が引っかかり易く、包装作業が困難となりやすい。しかし、
図2に示す例では、クレープ紙5と衛生紙3との接触点はクレープ紙5の皺の凸部分に限定されるので、包装袋2と衛生紙3との接触が減少する。したがって、衛生紙3の包装袋2への引っかかりが抑制され、包装袋2内への衛生紙3の包装作業が容易である。
【0082】
図2に示すクレープ紙5は図示を省略する端部に熱可塑性樹脂層を備えており、当該熱可塑性樹脂層をヒートシールすることによって包装袋を形成可能である。熱可塑性樹脂層を設けることにより、ヒートシールにより包装袋を容易に製造することができる。
【0083】
図3は、
図1の包装袋2を形成するクレープ紙の他の例の拡大断面図である。
図3に示す例では、クレープ紙5-1は、その一方の表面の全面に1つの熱可塑性樹脂層5-2を備えており、ラミネートクレープ紙とされている。したがって、
図3に示す例では、ラミネートクレープ紙の熱可塑性樹脂層5-2を任意の箇所でヒートシールすることによって包装紙2をより容易に製造することができる。なお、
図3に示す例では、熱可塑性樹脂層5-2の層厚は十分に薄いのでクレープ紙5-1の伸縮性を維持することができる。
【0084】
ラミネートクレープ紙の厚み(測定方法:JIS P 8118 [2014])は30μm~200μmが好ましく、70μm~150μmがより好ましい。
【0085】
ラミネートクレープ紙の坪量は30g/m2~120g/m2が好ましく、40g/m2~100g/m2がより好ましい。
【0086】
ラミネートクレープ紙の密度は0.40g/cm3~1.00g/cm3が好ましく、0.50g/cm3~0.70g/cm3がより好ましい。
【0087】
図3に示す例では、熱可塑性樹脂層5-2が
図1(C)に示す衛生紙3側を向いている。熱可塑性樹脂層5-2の表面は平滑であるので、衛生紙3の包装袋2への引っかかりが抑制される。したがって、
図3に示す例でも、衛生紙3の包装袋2への引っかかりが抑制され、包装袋2内への衛生紙3の包装作業が容易である。
【0088】
図1に示す包装袋2ではクレープ紙がその外表面を形成している。したがって、包装袋2が紙製であることを外部から容易に認識することができる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明の包装体は、伸縮性を備えるクレープ紙からなる包装袋を使用するので、包装袋の破れが抑制される。また、毛羽立ちやすい衛生紙の包装袋への引っかかりも抑制可能であるので、本発明の包装体は、衛生紙の包装に好適である。
【符号の説明】
【0090】
1 包装体
2 包装袋
3 衛生紙
4 空気孔
5 クレープ紙
5-1 クレープ紙
5-2 熱可塑性樹脂層