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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022102434
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 29/52 20060101AFI20220630BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20220630BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
B65H29/52
G03G15/00 463
G03G21/16 147
G03G21/16 152
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020217161
(22)【出願日】2020-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇部 哲玄
【テーマコード(参考)】
2H072
2H171
3F101
【Fターム(参考)】
2H072CA01
2H072CB01
2H072CB03
2H072CB06
2H072JA04
2H171FA03
2H171FA05
2H171FA22
2H171GA40
2H171JA17
2H171JA21
2H171JA42
2H171JA45
2H171JA46
2H171JA48
2H171KA23
2H171KA28
2H171MA03
2H171MA20
2H171QA04
2H171QA08
2H171QB16
2H171QB32
2H171QC05
2H171QC24
2H171SA10
2H171SA12
2H171SA15
2H171SA18
2H171SA22
2H171SA26
2H171SA31
2H171SA32
3F101FA01
3F101FA02
3F101FB00
3F101FC05
3F101FC07
3F101LA07
3F101LB03
(57)【要約】
【課題】シートトレイの上方に再搬送部を備える画像形成装置において、再搬送部におけるシートの搬送性を確保することができる構成を実現する。
【解決手段】画像形成装置1は、シートSを収容するシートトレイ3と、シートトレイ3から供給されるシートに画像を形成する画像形成部5と、シートトレイ3の上方に配置され、画像形成部5によって一面に画像が形成されたシートSを画像形成部5に再搬送する再搬送部6と、再搬送部6の上方に配置される板金部材73とを備える。再搬送部6は、シートSの上面を案内する上シュート62を備える。上シュート62は、シート搬送方向上流端に位置し、板金部材73に固定される第1固定部と、シート搬送方向に延び、シートSの上面を案内する複数のガイドリブとを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを収容するシートトレイと、
前記シートトレイから供給されるシートに画像を形成する画像形成部と、
前記シートトレイの上方に配置され、前記画像形成部によって一面に画像が形成されたシートを前記画像形成部に再搬送する再搬送部と、
前記再搬送部の上方に配置される板金部材と、を備え、
前記再搬送部は、シートの上面を案内する上シュートを備え、
前記上シュートは、
シート搬送方向上流端に位置し、前記板金部材に固定される第1固定部と、
シート搬送方向に延び、前記シートの上面を案内する複数のガイドリブと、を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記板金部材は、前記シート搬送方向の上流側から下流側に向かって突出し、シート搬送方向下流端を有する突出部を備え、
前記上シュートは、前記シート搬送方向の下流側から上流側に向かって突出し、前記板金部材の前記突出部の下に重なる下側突出部を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記板金部材は、前記シート搬送方向の上流側から下流側に向かって延びる下端面を備え、
前記板金部材において、前記シート搬送方向下流端は、前記下端面よりも上方に位置し、
前記下側突出部の先端は、前記下端面よりも上方に位置することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記上シュートは、前記シート搬送方向の下流側から上流側に向かって突出し、前記板金部材の前記突出部の上面に当接する上側突出部を有することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記下側突出部と前記上側突出部とは、上下方向に所定間隔を有して配置されることで前記板金部材の前記シート搬送方向下流端を把持可能な把持部を構成することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記突出部は突出片であることを特徴とする請求項2から請求項5の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記板金部材は、
下側板金と、
前記下側板金の上方に配置される上側板金と、を備え、
前記下側板金は、前記突出片を構成する下側突出片を有し、
前記上側板金は、下面が前記下側突出片の上面に当接し、前記突出片を構成する上側突出片を有し、
前記下側突出片及び前記上側突出片に前記第1固定部が固定されることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第1固定部は、前記上シュートにおける前記シート搬送方向に直交する幅方向の両端部に配置され、
前記第1固定部と前記板金部材とがネジで固定されることを特徴とする請求項1から請求項6の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記上シュートの上方に配置される電気配線を備え、
前記上シュートは、
前記電気配線を支持する支持部と、
前記電気配線を覆うカバーと、を有することを特徴とする請求項1から請求項8の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記画像形成部は、前記上シュートの上方に配置されるベルトクリーナを備え、
前記上シュートは、前記ベルトクリーナから落ちてくる現像剤を受ける受け部を有することを特徴とする請求項1から請求項9の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記上シュートは、上面に複数の補強リブを有することを特徴とする請求項1から請求項10の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記シートトレイの上方に配置され、前記シートトレイから前記画像形成部へシートを供給する供給部を備え、
前記上シュートは、シート搬送方向下流端に位置し、前記供給部に固定される第2固定部を有することを特徴とする請求項1から請求項11の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記上シュートのシート搬送方向下流端部の下面は、前記供給部のシート搬送方向上流端部の下面よりも下方に位置することを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記再搬送部は、シートの下面を案内する下シュートを備えることを特徴とする請求項1から請求項13の何れか一項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から両面印刷可能な画像形成装置が知られている。このような画像形成装置には、画像形成部によって一面に画像が形成されたシートを画像形成部に再搬送する再搬送部が設けられている。例えば、特許文献1には、画像形成装置の最下部に再搬送部を配置した構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-26150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成では、シートトレイの下方に再搬送部が配置されている。ここで、再搬送経路を短くする等の目的のために、シートトレイの上方に再搬送部を配置することが考えられる。特許文献1の構成によれば、シートトレイの上方には低電圧回路基板と電気配線とベルトクリーナとが配置され、低電圧回路基板と電気配線は金属製のカバーで支持されている。
【0005】
そこで、シートトレイの上方に再搬送部を配置した場合、カバーをベルトクリーナの下側まで延ばし、カバーの下面を再搬送部の上側の搬送ガイドとして利用することが考えられる。しかしながら、カバーが板金であるため、シートの搬送ガイド用のリブを形成することが困難であり、シートの搬送性に課題が生じる。
【0006】
本発明は、シートトレイの上方に再搬送部を備える画像形成装置において、再搬送部におけるシートの搬送性を確保することができる構成を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像形成装置は、シートを収容するシートトレイと、前記シートトレイから供給されるシートに画像を形成する画像形成部と、前記シートトレイの上方に配置され、前記画像形成部によって一面に画像が形成されたシートを前記画像形成部に再搬送する再搬送部と、前記再搬送部の上方に配置される板金部材と、を備える。前記再搬送部は、シートの上面を案内する上シュートを備える。前記上シュートは、シート搬送方向上流端に位置し、前記板金部材に固定される第1固定部と、シート搬送方向に延び、前記シートの上面を案内する複数のガイドリブと、を有する。
【0008】
上記の構成によれば、シートトレイの上方に再搬送部を備える画像形成装置において、再搬送部の上シュートがガイドリブを有することにより、再搬送部におけるシートの搬送性を確保することができる。
【0009】
上記の画像形成装置において、前記板金部材は、前記シート搬送方向の上流側から下流側に向かって突出し、シート搬送方向下流端を有する突出部を備え、前記上シュートは、前記シート搬送方向の下流側から上流側に向かって突出し、前記板金部材の前記突出部の下に重なる下側突出部を有していてもよい。
【0010】
上記の構成によれば、シート搬送方向において板金部材と上シュートとの隙間がなくなるため、シートの搬送性が向上する。
【0011】
上記の画像形成装置において、前記板金部材は、前記シート搬送方向の上流側から下流側に向かって延びる下端面を備え、前記板金部材において、前記シート搬送方向下流端は、前記下端面よりも上方に位置し、前記下側突出部の先端は、前記下端面よりも上方に位置していてもよい。
【0012】
上記の構成によれば、シートのシート搬送方向下流端が板金部材から上シュートへ引っ掛かることなく滑らかに案内されるため、シートの搬送性が向上する。
【0013】
上記の画像形成装置において、前記上シュートは、前記シート搬送方向の下流側から上流側に向かって突出し、前記板金部材の前記突出部の上面に当接する上側突出部を有していてもよい。
【0014】
上記の構成によれば、上シュートを板金部材に組み付けるときに、上側突出部を板金部材に置いて位置決めすることができるため、作業性が向上する。
【0015】
上記の画像形成装置において、前記下側突出部と前記上側突出部とは、上下方向に所定間隔を有して配置されることで前記板金部材の前記シート搬送方向下流端を把持可能な把持部を構成していてもよい。
【0016】
上記の構成によれば、上シュートに外部応力が作用した際に、把持部が板金部材を把持することにより、上シュートが撓むことを抑制することができる。
【0017】
上記の画像形成装置において、前記突出部は突出片であってもよい。
【0018】
上記の画像形成装置において、前記板金部材は、下側板金と、前記下側板金の上方に配置される上側板金と、を備え、前記下側板金は、前記突出片を構成する下側突出片を有し、前記上側板金は、下面が前記下側突出片の上面に当接し、前記突出片を構成する上側突出片を有し、前記下側突出片及び前記上側突出片に前記第1固定部が固定されていてもよい。
【0019】
上記の構成によれば、上シュートで下側板金と上側板金とを密着させた状態で固定することができる。
【0020】
上記の画像形成装置において、前記第1固定部は、前記上シュートにおける前記シート搬送方向に直交する幅方向の両端部に配置され、前記第1固定部と前記板金部材とがネジで固定されていてもよい。
【0021】
上記の構成によれば、上シュートの幅方向の両端に第1固定部を配置することにより、上シュートの撓みを抑制することができる。
【0022】
上記の画像形成装置において、前記上シュートの上方に配置される電気配線を備え、前記上シュートは、前記電気配線を支持する支持部と、前記電気配線を覆うカバーと、を有していてもよい。
【0023】
上記の構成によれば、電気配線の支持部材を別に設ける必要がないため、部品点数を削減することができる。
【0024】
上記の画像形成装置において、前記画像形成部は、前記上シュートの上方に配置されるベルトクリーナを備え、前記上シュートは、前記ベルトクリーナから落ちてくる現像剤を受ける受け部を有していてもよい。
【0025】
上記の構成によれば、現像剤の受け部材を別に設ける必要がないため、部品点数を削減することができる。
【0026】
上記の画像形成装置において、前記上シュートは、上面に複数の補強リブを有していてもよい。
【0027】
上記の構成によれば、補強リブにより、上シュートの撓みを抑制することができる。
【0028】
上記の画像形成装置において、前記シートトレイの上方に配置され、前記シートトレイから前記画像形成部へシートを供給する供給部を備え、前記上シュートは、シート搬送方向下流端に位置し、前記供給部に固定される第2固定部を有していてもよい。
【0029】
上記の画像形成装置において、前記上シュートのシート搬送方向下流端部の下面は、前記供給部のシート搬送方向上流端部の下面よりも下方に位置していてもよい。
【0030】
上記の構成によれば、シートのシート搬送方向下流端が上シュートから供給部へ引っ掛かることなく滑らかに案内されるため、シートの搬送性が向上する。
【0031】
上記の画像形成装置において、前記再搬送部は、シートの下面を案内する下シュートを備えていてもよい。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、シートトレイの上方に再搬送部を備える画像形成装置において、再搬送部の上シュートがガイドリブを有することにより、再搬送部におけるシートの搬送性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】一実施形態の画像形成装置1の中央断面図である。
図2図1の上シュート周辺の拡大図である。
図3図1の画像形成装置の要部の斜視図である。
図4図3において本体フレーム及びベルトクリーナを外した状態の図である。
図5図4においてメイン回路基板、高電圧回路基板、電気配線及びカバーを外した状態の図である。
図6図5において板金部材、低電圧回路基板及び供給部を外した状態の図である。
図7】上シュートの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下の説明では、図1における右側及び左側を、それぞれ画像形成装置1の前側及び後側と規定し、図1における紙面手前側及び紙面奥側を、それぞれ画像形成装置1の左側及び右側と規定する。また、図1における上側及び下側を、それぞれ画像形成装置1の上側及び下側と規定する。本実施形態において、前方向は上シュート62におけるシート搬送方向であり、左右方向は上シュート62におけるシート搬送方向に直交する幅方向である。
【0035】
[画像形成装置の全体構成]
図1は一実施形態の画像形成装置1の中央断面図である。画像形成装置1の外観は略直方体の筐体である装置本体2で形成されている。装置本体2は、各部材を支持する本体フレーム20(図3参照)と、本体フレーム20を覆い外観を構成する本体カバー21とを有している。本体フレーム20は、左側に配置される左フレーム201(図3参照)と、右側に配置される右フレーム202(図3参照)とを有している。本体カバー21は、上面に排出トレイ211を有している。
【0036】
画像形成装置1は、電子写真方式により、用紙やOHPシート等のシートSに複数色の画像を形成するカラーレーザプリンタである。装置本体2には、シートトレイ3と、搬送部4と、画像形成部5と、再搬送部6と、制御部7とが収容される。装置本体2内において、大まかには上部及び中央部に画像形成部5、画像形成部5の下方及び後方に搬送部4、装置本体2の前部及び後部と搬送部4の下方とに亘って再搬送部6、画像形成部5と再搬送部6との間及び本体フレーム20の左右に制御部7がそれぞれ配置される。
【0037】
また、装置本体2の前面下部にはシートトレイ3の挿入口となる開口部22が形成されている。シートトレイ3は、上方が開放されたシート収納部31を有する箱状体であり、複数枚重ねられたシートSを支持する。シートトレイ3は開口部22を通じて前後方向に移動させることで、装置本体2に対して挿抜可能となっている。
【0038】
搬送部4は、搬送経路P1に沿って配置される各部材によって構成され、搬送経路P1に沿ってシートSを搬送する。搬送経路P1はシートトレイ3から画像形成部5を経由して排出トレイ211へ繋がる経路である。搬送部4は搬送経路P1の搬送方向上流側から順に、供給部41と、ベルト搬送部42と、排出部43とで構成される。
【0039】
供給部41は、供給ローラ411と、分離ローラ412と、分離パッド413と、搬送ローラ対414と、レジストローラ対415と、供給部41の一部のローラを支持する支持部材416とを備える。シートトレイ3に収容されるシートSは、供給ローラ411、分離ローラ412及び分離パッド413により1枚ずつ搬送経路P1に送り出される。搬送経路P1に送り出されたシートSは、搬送ローラ対414及びレジストローラ対415により画像形成部5に向けて搬送される。
【0040】
ベルト搬送部42は、画像形成部5と連動して回転する駆動ローラ421と、駆動ローラ421と離間した位置に回転可能に配設された従動ローラ422と、駆動ローラ421及び従動ローラ422間に巻き付けられた搬送ベルト423とを備える。そして、搬送ベルト423がシートSを載せた状態で回転することにより、シートSを搬送経路P1に沿って搬送し、画像形成部5のドラムユニット51の下方に送り、続いて定着部53へ送る。
【0041】
排出部43は、搬送経路P1の分岐部P11と排出トレイ211との間に配置される中間排出ローラ対431と、排出ローラ対432とを備える。中間排出ローラ対431及び排出ローラ対432は、正方向及び逆方向に回転の切り替えができるように構成されるスイッチバックローラである。中間排出ローラ対431及び排出ローラ対432は、定着部53から搬送されたシートSを排出トレイ211上に排出する場合には正回転し、シートSを反転させて再搬送経路P2に搬送する場合には逆回転する。
【0042】
画像形成部5は、本実施形態では電子写真式を採用している。なお、他にサーマル方式、インクジェット方式などの画像形成方式を用いてもよい。画像形成部5は、カラー印刷が可能な、いわゆるダイレクトタンデム方式のものであり、前後方向に並設される4つのドラムユニット51と、露光用LEDヘッド52と、定着部53と、ベルトクリーナ54とを備える。
【0043】
各ドラムユニット51はブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4色のトナー(現像剤)に対応して設けられる。各ドラムユニット51は感光ドラム511と、現像ローラ512と、搬送ベルト423を挟んで感光ドラム511に対向する各位置に配置された転写ローラ513とを備える。
【0044】
このような画像形成部5においては、帯電器によって一様に帯電された各感光ドラム511が、それぞれ露光用LEDヘッド52によって選択的に露光される。この露光により、各感光ドラム511の表面から電荷が選択的に除去され、各感光ドラム511の表面に静電潜像が形成される。
【0045】
各現像ローラ512には現像バイアスが印加されており、各感光ドラム511に形成された静電潜像が各現像ローラ512に対向すると、静電潜像と各現像ローラ512との間の電位差により、各現像ローラ512から静電潜像にトナーが供給される。これによって、各感光ドラム511の表面にトナー像が形成される。
【0046】
画像形成部5へ向けて搬送されたシートSは搬送ベルト423により搬送されて、搬送ベルト423と各感光ドラム511との間を順次通過する。そして、感光ドラム511の表面上のトナー像は、シートSと対向したときに、転写ローラ513に印加された転写バイアスによってシートSに転写される。
【0047】
定着部53は、搬送経路P1において4つの感光ドラム511の搬送方向下流に配設される。定着部53は、加熱ローラ531と、加熱ローラ531に圧接する加圧ローラ532とを備える。加熱ローラ531はシートSの画像形成面側に配設されており、搬送ベルト423と同期して回転駆動され、トナーを加熱しながらシートSに搬送力を付与する。
【0048】
一方、加圧ローラ532はシートSを挟んで加熱ローラ531と反対側に配設され、シートSを加熱ローラ531側に押圧する。これにより、加圧ローラ532は加熱ローラ531と接触するシートSを介して加熱ローラ531から回転力を受けて従動回転する。
【0049】
また、定着部53は、加熱ローラ531及び加圧ローラ532よりもシートSの搬送方向下流に配置される定着排出ローラ対533を備える。
【0050】
画像形成部5において、トナー像が転写されたシートSは、加熱ローラ531と加圧ローラ532との間を通過する間にシートSにトナー像が熱定着される。トナー像が熱定着されたシートSは、定着排出ローラ対533により挟持されながら中間排出ローラ対431へ搬送される。
【0051】
ベルトクリーナ54は、ベルト搬送部42と再搬送部6との間に配置され、搬送ベルト423から廃トナーを回収するための部材である。
【0052】
ベルトクリーナ54は、バックアップローラ541と、クリーニングローラ542と、回収ローラ543と、掻き取りブレード544と、回収室545と、廃トナーボックス546とを有している。
【0053】
バックアップローラ541は、搬送ベルト423の内側に配置され、搬送ベルト423に上方から接触している。クリーニングローラ542は、搬送ベルト423を挟んでバックアップローラ541と対向する位置に配置されており、搬送ベルト423に下方から接触している。
【0054】
ベルトクリーナ54においては、搬送ベルト423に付着する廃トナーを、クリーニングローラ542、回収ローラ543、掻き取りブレード544及び回収室545によって回収し、回収した廃トナーを廃トナーボックス546に収容するように構成されている。
【0055】
クリーニング動作は、画像形成部5による画像形成の終了後に開始される。クリーニング動作においては、搬送ベルト423の表面に付着する廃トナーが、クリーニングローラ542に印加されたバイアスによって、クリーニングローラ542の表面に静電気的に保持され、続いて回収ローラ543に静電気的に転移される。回収ローラ543に転移された廃トナーは、掻き取りブレード544により掻き取られて、回収室545内に落下する。回収室545内に落下した廃トナーは、図示しない搬送手段によって後方へ搬送されて、廃トナーボックス546に収容される。
【0056】
再搬送部6は、再搬送経路P2に沿って配置される各部材によって構成され、再搬送経路P2に沿ってシートSを搬送する。再搬送経路P2は搬送経路P1における定着部53と中間排出ローラ対431との間の分岐部P11から分岐してシートトレイ3の上方を通り、シートトレイ3と画像形成部5との間の合流部P12に合流する経路である。この構成により、再搬送経路P2がシートトレイ3の下方に配置される構成よりも再搬送経路P2を短くすることができる。
【0057】
再搬送部6は、シートトレイ3の上方であって画像形成部5の下方に、シートSの下面を案内する下シュート61と、シートSの上面を案内する上シュート62とを備える。下シュート61は、再搬送経路P2に沿ってシートSを案内するための斜送ローラ対611と再搬送ローラ612とを備える。再搬送ローラ612とニップを形成する従動ローラ613は、再搬送ローラ612の上方に位置する供給部41の支持部材416に支持されている。
【0058】
装置本体2の後面には下シュート61の挿入口となる開口部24が形成されている。下シュート61は開口部24を通じて前後方向に移動させることで、装置本体2に対して挿抜可能となっている。
【0059】
再搬送部6は、中間排出ローラ対431から搬送されてくる一面に画像が形成されたシートSを合流部P12へ搬送する。合流部P12から画像形成部5へ再搬送されたシートSは、画像形成部5により他面に画像が形成された後、排出部43により排出トレイ211に排出される。再搬送部6においてジャムが生じた場合、下シュート61を引き出すことにより、ジャム処理することができる。
【0060】
このように、画像形成装置1においては、画像形成部5にて一面に画像が形成されたシートSを、再搬送経路P2を通じて画像形成部5へ再搬送して、当該シートSの他面に画像を形成する、いわゆる両面印刷を行うことが可能となっている。
【0061】
制御部7は、メイン回路基板71(図4参照)と、低電圧回路基板72と、板金部材73と、低電圧回路基板72よりも高い電圧を印加する高電圧回路基板74(図4参照)と、低電圧回路基板72とメイン回路基板71とを接続する電気配線(不図示)と、メイン回路基板71と高電圧回路基板74とを接続する電気配線75(図4参照)とを備える。
【0062】
メイン回路基板71は、左フレーム201の左面に配置され、低電圧回路基板72及び高電圧回路基板74を含む画像形成装置1全体を制御する制御部を有する基板である。低電圧回路基板72は、ベルトクリーナ54の後方であって再搬送部6と画像形成部5との間に配置され、電源回路などに低電圧を印加する基板である。
【0063】
板金部材73は、低電圧回路基板72の上下前後を覆うエンクロージャである。高電圧回路基板74は、右フレーム202の右面に配置され、画像形成部5などに高電圧を印加する基板である。電気配線75は、板金部材73の前方に左右方向に延びて配置され、例えば、FFC(フレキシブルフラットケーブル)で構成される。
【0064】
以下に、再搬送部6におけるシートSの搬送性を確保することができる構成として、主に上シュート62及び板金部材73について説明する。
【0065】
[再搬送部の搬送性を確保するための構成]
図2図1の上シュート62周辺の拡大図である。図3図1の画像形成装置1の要部の斜視図である。図4図3において本体フレーム20及びベルトクリーナ54を外した状態の図である。図5図4においてメイン回路基板71、高電圧回路基板74、電気配線75及びカバー629を外した状態の図である。図6図5において板金部材73、低電圧回路基板72及び供給部41を外した状態の図である。図7は上シュート62の斜視図である。
【0066】
〈板金部材〉
図2に示すように、板金部材73は、下側板金731と、上側板金732とで構成される。下側板金731は、低電圧回路基板72の下面側を覆う板金であり、下端面733と、下側突出片734とを有する。下端面733は、シート搬送方向の上流側から下流側に向かって延びる平坦面であり、板金部材73の最も下に位置する。下側突出片734は、下端面733よりも上方に位置し、シート搬送方向の上流側から下流側に向かって突出する突出片である。本実施形態において、下側突出片734は、下端面733の前端から上方へ屈曲した前面部735から前方へ延び、下側板金731の前端部を構成する。
【0067】
上側板金732は、下側板金731の上方に配置され、低電圧回路基板72の上面側を覆う板金である。上側板金732は、上側突出片736を有する。上側突出片736は、下面が下側突出片734の上面に当接する突出片である。本実施形態において、上側突出片736は、前面部737の下端から前方へ延び、上側板金732の前端部を構成する。
【0068】
下側板金731と上側板金732とは、下側突出片734と上側突出片736とが重なった状態で左フレーム201及び右フレーム202にそれぞれネジ止めされることで本体フレーム20に固定される。板金部材73において、下側突出片734及び上側突出片736は、シート搬送方向の上流側から下流側に向かって突出し、シート搬送方向下流端73Bを有する突出部(突出片)73Aである。本実施形態において、シート搬送方向下流端73Bは板金部材73の前端を構成する。突出部73Aの左右端部には、上シュート62をネジ止めするためのネジ穴(不図示)が形成されている。
【0069】
〈上シュート〉
図2図4から図7に示すように、上シュート62は、樹脂製であり、板状の本体部620と、第1固定部621と、第2固定部622と、下側突出部623と、上側突出部624と、ガイドリブ625と、補強リブ626と、受け部627と、支持部628と、カバー629とを備える。
【0070】
第1固定部621は、上シュート62の前側の固定部であり、シート搬送方向上流端に位置し、板金部材73に固定される。図5及び図7に示すように、本実施形態において、第1固定部621は、上シュート62の後端部における左右両端部に配置される。これにより、上シュート62が安定して支持され、上シュート62の撓みを抑制することができる。
【0071】
第1固定部621は、本体部620の後端部から後方へ突出する突出部621Aと、突出部621Aに形成された上下方向に貫通する貫通孔621Bとを有する。突出部621Aが板金部材73の突出部73A上に載置された状態で、貫通孔621Bが突出部73Aのネジ穴に重なるので、ネジで固定することができる。これにより、上シュート62で下側板金731と上側板金732とを密着させた状態で固定することができる。
【0072】
図5に示すように、第2固定部622は、上シュート62の後側の固定部であり、シート搬送方向下流端に位置し、供給部41に固定される。第2固定部622は、上シュート62の前端部における左右両端部に配置される。これにより、上シュート62が安定して支持され、上シュート62の撓みを抑制することができる。
【0073】
第2固定部622は、本体部620の前端部から前方へ突出する突出部622Aと、突出部622Aに形成された上下方向に貫通する貫通孔(不図示)とを有する。突出部622Aが供給部41上に載置された状態で、貫通孔が供給部41のネジ穴に重なるので、ネジで固定することができる。
【0074】
図2及び図7に示すように、下側突出部623は、上シュート62におけるシート搬送方向の下流側から上流側に向かって突出し、板金部材73の突出部73Aの下に重なる突出部である。本実施形態において、下側突出部623は、本体部620の後端部から後方へ突出する突出部であり、上シュート62の後端部における第1固定部621の間に左右方向に亘って複数配置されている。
【0075】
このように、上シュート62の後端部に位置する下側突出部623が板金部材73の突出部73Aの下に重なることにより、シート搬送方向において板金部材73と上シュート62との隙間がなくなるため、シートSの搬送性が向上する。
【0076】
下側突出部623の先端は、板金部材73の下端面733よりも上方に位置することが好ましい。本実施形態では、図2に示すように、下側突出部623の後端623Aが、板金部材73の下端面733よりも上方に位置している。これにより、シートSのシート搬送方向下流端が板金部材73から上シュート62へ引っ掛かることなく滑らかに案内されるため、シートSの搬送性が向上する。
【0077】
図2及び図7に示すように、上側突出部624は、上シュート62におけるシート搬送方向の下流側から上流側に向かって突出し、板金部材73の突出部73Aの上面に当接する突出部である。本実施形態において、上側突出部624は、本体部620の後端部から後方へ突出する突出部であり、下側突出部623の上方に位置し、上シュート62の後端部における第1固定部621の間に左右方向に亘って複数配置されている。
【0078】
このように、上側突出部624が板金部材73の突出部73Aの上面に当接する構成であることにより、上シュート62を板金部材73に組み付けるときに、上側突出部624を板金部材73の突出部73Aに置いて位置決めすることができるため、作業性が向上する。
【0079】
下側突出部623と上側突出部624とは、上下方向に所定間隔を有して配置されることで、板金部材73の突出部73Aを把持可能な把持部62Aを構成している。所定間隔は、板金部材73の突出部73Aより大きければよく、小さいほど好ましい。これにより、上シュート62に外部応力が作用した際に、把持部62Aが板金部材73の突出部73Aを把持することにより、上シュート62が撓むことを抑制することができる。
【0080】
図2及び図7に示すように、ガイドリブ625は、シートSの上面を案内するリブである。ガイドリブ625は、本体部620の下面における前端部から後端部までシート搬送方向に沿って複数形成されている。上シュート62がガイドリブ625を有することにより、再搬送部6におけるシートSの搬送性を確保することができる。
【0081】
上シュート62のシート搬送方向下流端部の下面は、供給部41のシート搬送方向上流端部の下面よりも下方に位置することが好ましい。本実施形態では、図2に示すように、ガイドリブ625の前端部の下端625Aが、供給部41の支持部材416の後端部の下端416Aよりも下方に位置している。これにより、シートSのシート搬送方向下流端が上シュート62から供給部41へ引っ掛かることなく滑らかに案内されるため、シートSの搬送性が向上する。
【0082】
図6に示すように、補強リブ626は、本体部620の上面における前端部から途中部までに複数形成されているリブである。補強リブ626は、前後方向及び左右方向に延びている。上シュート62が補強リブ626を有することにより、上シュート62の撓みを抑制することができる。
【0083】
図4に示すように、受け部627は、ベルトクリーナ54から落ちてくるトナーを受ける部分である。受け部627は、上シュート62の上面の全体で構成されている。ベルトクリーナ54の直下に上シュート62が配置されているため、上シュート62の上面を受け部627として利用することができる。これにより、ベルトクリーナ54から落ちてくるトナーを受ける受け部材を別に設ける必要がないため、部品点数を削減することができる。また、上述したように上シュート62は撓みが抑制される構成であるため、上シュート62に外力が加わった際に、受け部627に溜まったトナーがこぼれ落ちることを抑制することができる。
【0084】
図2及び図5に示すように、支持部628は、電気配線75を支持する部分である。支持部628は、本体部620の上面における後端側に左右方向に延びて形成される平坦部分である。上シュート62とベルトクリーナ54との間に電気配線75が配置されているため、上シュート62の上面を支持部628として利用することができる。これにより、電気配線75を支持する支持部材を別に設ける必要がないため、部品点数を削減することができる。
【0085】
カバー629は、電気配線75を覆う部材である。カバー629は、支持部628と同等の大きさに形成され、本体部620に係合されている。カバー629により、電気配線75が保護される。
【0086】
なお、上シュート62は、少なくとも本体部620と第1固定部621とガイドリブ625とを有していればよい。これにより、再搬送部6の上方に板金部材73を備える画像形成装置1において、再搬送部6におけるシートの搬送性を確保することができる。
【符号の説明】
【0087】
1 画像形成装置
3 シートトレイ
5 画像形成部
6 再搬送部
41 供給部
54 ベルトクリーナ
61 下シュート
62 上シュート
62A 把持部
73 板金部材
73A 突出部(突出片)
73B シート搬送方向下流端
75 電気配線
621 第1固定部
622 第2固定部
623 下側突出部
623A 下側突出部の先端
624 上側突出部
625 ガイドリブ
626 補強リブ
627 受け部
628 支持部
629 カバー
731 下側板金と、
732 上側板金
733 下端面
734 下側突出片
736 上側突出片
S シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7