(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022102459
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 23/00 20060101AFI20220630BHJP
F25D 19/00 20060101ALI20220630BHJP
F25D 25/02 20060101ALI20220630BHJP
F25D 17/08 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
F25D23/00 C
F25D19/00 520C
F25D19/00 522C
F25D19/00 530D
F25D19/00 540Z
F25D19/00 550D
F25D25/02 C
F25D17/08 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020217195
(22)【出願日】2020-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】望月 修
(72)【発明者】
【氏名】森 治
【テーマコード(参考)】
3L345
【Fターム(参考)】
3L345AA02
3L345AA14
3L345AA30
3L345CC01
3L345DD12
3L345DD17
3L345DD20
3L345DD33
3L345DD53
3L345DD54
3L345KK04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】蒸発器を効率的に配置して、内箱内の収納容量を効率的に確保することができる冷蔵庫を提供する。
【解決手段】横並びの第1の内箱10A及び第2の内箱10Bの間の空間に設けられた流路20と、流路20内に配置された蒸発器22と、流路20内に配置された循環ファン24と、流路20の上側に設けられた、第1の内箱10Aと連通する第1の上側開口26A及び第2の内箱10Bと連通する第2の上側開口26Bと、流路20の下側に設けられた、第1の内箱10Aと連通する第1の下側開口28A及び第2の内箱10Bと連通する第2の下側開口28Bと、を備え、循環ファン24により気体が流路20内を下から上へ流れ、蒸発器22を通過した後、第1の上側開口26Aを介して第1の内箱10Aに流入し、第2の上側開口26Bを介して第2の内箱10Bに流入し、第1の下側開口28A及び第2の下側開口28Bを介して流路20に戻る冷蔵庫。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外箱と、
前記外箱の中に配置され、内部に収納物が収納される第1の内箱と、
前記外箱の中に前記第1の内箱の横側に並んで配置され、内部に収納物が収納される第2の内箱と、
横並びの前記第1の内箱及び前記第2の内箱の間の空間に設けられた流路と、
前記流路内に配置された蒸発器と、
前記流路内に配置された循環ファンと、
前記流路の上側に設けられた、前記第1の内箱と連通する第1の上側開口及び前記第2の内箱と連通する第2の上側開口と、
前記流路の下側に設けられた、前記第1の内箱と連通する第1の下側開口及び前記第2の内箱と連通する第2の下側開口と、
を備え、
前記循環ファンにより、気体が前記流路内を下から上へ流れ、前記蒸発器を通過した後、左右に分かれて、前記第1の上側開口を介して前記第1の内箱に流入し、前記第2の上側開口を介して前記第2の内箱に流入し、各々の内箱内を流れた後、前記第1の下側開口及び前記第2の下側開口を介して前記流路に戻る冷気サイクルが形成されることを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記循環ファンが前記蒸発器より上方に配置され、前記流路に沿って上側に気体を吐出し、吐出された気体が前記流路の上面のガイド面に沿って左右に分かれて、前記第1の上側開口及び前記第2の上側開口へ流れることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記第1の内箱及び前記第2の内箱の少なくとも一方の内部に、内部空間を上下に区分する棚板が複数設けられ、
前記棚板は内部が中空であり、
上側の前記棚板では、左右方向の一方の端部に上下を連通する通気口が設けられ、下側の前記棚板では、左右方向の他方の端部に前記開口が設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記第1の内箱及び前記第2の内箱のうちの一方の内箱の下側に圧縮機が配置された機械室があり、前記一方の内箱の下面の高さが他方の内箱の下面の高さより高くなっており、前記他方の内箱の下側に蒸発皿及び蒸発用コンデンサが配置されていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記機械室に冷却ファンが配置され、前記冷却ファンにより、外気が、前側から前記他方の内箱の下側に流入し、前記他方の内箱の下側から前記一方の内箱の下側の前記機械室へ流れ、前記機械室から前側へ排出されることを特徴とする請求項4に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は冷蔵庫に関し、特にシステムキッチン等に設置可能な冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
システムキッチンの普及に伴い、システムキッチン内に設置する冷蔵庫も実用化されている。このような冷蔵庫では、スペースが限られるので、循環ファンを有さず、食品等の収納物を蒸発器で直接冷やす直冷式のものが多く用いられている。しかし、直冷式の冷蔵庫では、自動霜取りが難しく、除霜時には収納物を内箱から取り出す必要がある。
【0003】
このため、直冷式ではなく、通常の冷蔵庫と同様に、背面側に蒸発器及び循環ファンを備えたシステムキッチン用の冷蔵庫も提案されている。しかし、システムキッチン内に設置するには、冷蔵庫の奥行き寸法を小さくする必要があるので、内箱の奥行き寸法も制約を受ける。この冷蔵庫では、蒸発器や循環ファンの設置スペースを確保するため、制約のある内箱の奥行き寸法を更に狭める必要があるので、内箱内の収納容量に問題が生じる。
【0004】
そこで、内箱の奥行き方向の寸法を確保するため、蒸発器及び循環ファンを上側の内箱と下側の内箱との間の空間に配置した冷蔵庫が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の冷蔵庫では、横向きに配置された蒸発器の下側全域に、除霜時に生じる液滴を受けるための大きな受け皿を配置する必要がある。システムキッチン内に設置するには、冷蔵庫の高さ方向の寸法も小さくする必要があるので、内箱の高さ方向の寸法も制約を受ける。この冷蔵庫では、蒸発器に加えて受け皿の設置スペースを確保するため、制約のある内箱の高さ寸法を更に狭める必要があるので、やはり内箱内の収納容量に問題が生じる。
以上のように、引用文献1に記載の冷蔵庫を含む従来の冷蔵庫では、蒸発器に影響されて、内箱内の収納容量を効率的に確保することができなかった。
【0007】
従って、本発明の目的は、上記の課題を解決するものであり、蒸発器を効率的に配置して、内箱内の収納容量を効率的に確保することができる冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の冷蔵庫は、
外箱と、
前記外箱の中に配置され、内部に収納物が収納される第1の内箱と、
前記外箱の中に前記第1の内箱の横側に並んで配置され、内部に収納物が収納される第2の内箱と、
横並びの前記第1の内箱及び前記第2の内箱の間の空間に設けられた流路と、
前記流路内に配置された蒸発器と、
前記流路内に配置された循環ファンと、
前記流路の上側に設けられた、前記第1の内箱と連通する第1の上側開口及び前記第2の内箱と連通する第2の上側開口と、
前記流路の下側に設けられた、前記第1の内箱と連通する第1の下側開口及び前記第2の内箱と連通する第2の下側開口と、
を備え、
前記循環ファンにより、気体が前記流路内を下から上へ流れ、前記蒸発器を通過した後、左右に分かれて、前記第1の上側開口を介して前記第1の内箱に流入し、前記第2の上側開口を介して前記第2の内箱に流入し、各々の内箱内を流れた後、前記第1の下側開口及び前記第2の下側開口を介して前記流路に戻る冷気サイクルが形成されることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、蒸発器が左右に並んだ内箱の間に配置されるので、内箱の前後方向及び上下方向における寸法の制約を受けることがない。蒸発器も縦に配置できるので、霜取り時に生じる液滴を受ける受け皿も小さくすることができる。このように、蒸発器を効率的に配置して、内箱内の収納容量を効率的に確保することができる。
また、蒸発器が配置された流路が内箱で囲まれているので、熱リークが抑制されて、高い熱効率が得られる。更に、内箱の間の空間を流路にすることにより、非常に簡単な構造で流路を形成することができる。
【0010】
また、本発明の冷蔵庫では、
前記循環ファンが前記蒸発器より上方に配置され、前記流路に沿って上側に気体を吐出し、吐出された気体が前記流路の上面のガイド面に沿って左右に分かれて、前記第1の上側開口及び前記第2の上側開口へ流れることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、循環ファンにより上側に気体を吐出し、流路の上面のガイド面に沿って左右に分かれて、第1及び第2の上側開口を介して第1及び第2の内箱に流入させることができる。これにより、1つの循環ファンで効率的に、2つの内箱内に冷気を供給することができる。
【0012】
また、本発明の冷蔵庫では、
前記第1の内箱及び前記第2の内箱の少なくとも一方の内部に、内部空間を上下に区分する棚板が複数設けられ、
前記棚板は内部が中空であり、
上側の前記棚板では、左右方向の一方の端部に上下を連通する通気口が設けられ、下側の前記棚板では、左右方向の他方の端部に前記開口が設けられることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、複数の棚板により内部空間が区分される場合において、棚板は内部が中空であり、上下の棚板で上下を連通する通気口が互いに左右反対側の端部に設けられている。これにより、上側開口から中箱に流入した気体は、内箱内を棚板に沿って左右にジグザグに流れながら、下側へ向けて流れるので、棚板上に載置された収納物を十分に冷却することができる。
【0014】
また、本発明の冷蔵庫は、
前記第1の内箱及び前記第2の内箱のうちの一方の内箱の下側に圧縮機が配置された機械室があり、前記一方の内箱の下面の高さが他方の内箱の下面の高さより高くなっており、前記他方の内箱の下側に蒸発皿及び蒸発用コンデンサが配置されていることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、圧縮機をはじめとする高さを要する部材が配置された機械室が、一方の内箱の下にだけ配置されるので、他方の内箱に十分な収納容量を確保できる。更に、他方の内箱の下側の空間に高さを要さない蒸発皿及び蒸発用コンデンサを配置することにより、デッドスペースを利用した効率的な配置を実現できる。
【0016】
また、本発明の冷蔵庫は、
前記機械室に冷却ファンが配置され、前記冷却ファンにより、外気が、前側から前記他方の内箱の下側に流入し、前記他方の内箱の下側から前記一方の内箱の下側の前記機械室へ流れ、前記機械室から前側へ排出されることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、冷蔵庫の下部の前側から外気を取り込んで、発熱する部材を冷却し、温度が上昇した気体を冷蔵庫の下部の前側から排出するので、仮に、冷蔵庫をシステムキッチンの中に設置した場合であっても、周囲の部材に熱的な影響を与えることなく、効率的な冷却が実現できる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明においては、蒸発器を効率的に配置して、内箱内の収納容量を効率的に確保することができる冷蔵庫を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明1つの実施形態に係る冷蔵庫の外形を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す冷蔵庫の内部構造を示す側面図である。
【
図3】
図2に示す内部構造の特に棚板、底板に設けられた通気口、底板流路入口を示す斜視図である。
【
図4】第1及び第2の内箱の下側の構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための実施形態を説明する。なお、以下に説明する筆記具は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本発明を以下のものに限定しない。
各図面中、同一の機能を有する部材には、同一符号を付している場合がある。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張して示している場合もある。本明細書において、冷蔵庫を水平な床面に載置した場合を示し、扉側を前側とし、その反対側を後ろ側とする。上下前後左右の方向を、図面に矢印で示す。
【0021】
(本発明の1つの実施形態に係る冷蔵庫)
図1は、本発明1つの実施形態に係る冷蔵庫2の外形を示す斜視図である。
図2は、
図1に示す冷蔵庫2の内部構造を示す側面図である。
図3は、
図2に示す内部構造の特に棚板12,12’、底板14A,14Bに設けられた通気口16、底板流路入口18を示す斜視図である。
【0022】
本発明の1つの実施形態に係る冷蔵庫2は、外箱(筐体)4の内部に、横並びで第1の内箱10A及び第2の内箱10Bが配置されている。第1の内箱10A及び第2の内箱10Bの内部には、食品、飲み物等の収納物が収納される。外箱4の前側開口には、第1の内箱10Aを開閉する扉6A及び第2の内箱10Bを開閉する扉6Bが設置されている。扉6A,6Bは、横に並んだ第1の内箱10A及び第2の内箱10Bの外側に上下に延びた回転軸を有し、所謂観音開きの扉(フレンチ扉とも称する)になっている。よって、第1の内箱10A及び第2の内箱10Bの間の中仕切り部分は、通常デッドスペースになっている。
【0023】
本実施形態に係る冷蔵庫2では、通常デッドスペースになっている第1の内箱10A及び第2の内箱10Bの間の空間に、気体の流路20が設けられている。この流路20内に、蒸発器22及び循環ファン24が配置されている。流路20の上側には、第1の内箱10Aと連通する第1の上側開口と、第2の内箱10Bと連通する第2の上側開口26Bとが配置されている。本実施形態では、流路20の上側で左右に延びたタクト部20Bを有し、ダクト部20Bの左右の端部に第1、第2の上側開口26A,26Bが設けられている。
【0024】
このような構造により、第1の内箱10A及び第2の内箱10Bの奥行きの寸法及び高さ方向の寸法が、蒸発器22及び循環ファン24の配置スペースのために制約されることがない。よって、仮に、本実施形態に係る冷蔵庫2をシステムキッチンの内部のような奥行き寸法や高さ寸法が限られた場所に設置する場合でも、収納スペースを効率的に確保できる。
システムキッチンでは、奥行き、高さ寸法に比べれば、横方向の寸法は比較的大きく取ることができるので、横並びにした第1の内箱10A及び第2の内箱10Bにより、十分な収納容量を得ることが期待できる。幅広で、高さ、奥行きの寸法が限られたスペースであれば、システムキッチンだけでなく、隙間家具の設置スペースに本実施形態に係る冷蔵庫2を設置することができる。
【0025】
更に、第1の内箱10A及び第2の内箱10Bの間の従来デッドスペースとなっていた空間を有効利用して、流路20を設け、中に蒸発器22及び循環ファン24を配置するので、効率的な配置が実現できる。このような配置は、中仕切りのあるサイドバイサイドタイプの任意の冷蔵庫に適用できる。
【0026】
本実施形態に係る冷蔵庫2では、圧縮機32、凝縮器及び蒸発器22が流体接続されており、内部を冷媒が循環して、冷却サイクルを形成する。蒸発器22は、冷媒との熱交換により流路20内を流れる気体を冷却する。圧縮機32は、蒸発器22で気化された冷媒を圧縮し、凝縮器に流して液化させて蒸発器22へ戻す。
【0027】
本実施形態に係る冷蔵庫2の流路20内の気体の流れを説明する。循環ファン24は、流路20内の蒸発器22よりも上側に配置され、下側から気体を吸引して上側に吐出する。よって、循環ファン24により、気体が流路20内を下から上へ流れ、蒸発器22を通過するときに冷却される。蒸発器22を通過した冷気は、循環ファン24で、流路20の上面に当たるように吐出され、上面で左右に分かれて流れて、それぞれ第1の上側開口26A及び第2の上側開口26Bに流れる。この場合、流路20の上面に中央が凸となった滑らかな曲面で構成されたガイド面20Aが形成されている。冷気は、ガイド面20Aに沿って、スムーズに左右にほぼ当分に分かれて流れる。ただし、これに限られるものではなく、ガイド面20Aの形状により、左右に分かれて流れる気体の流量を異なる割合にすることもできる。
【0028】
このように、本実施形態によれば、循環ファン24により上側に気体を吐出し、吐出された気体は、流路20の上面のガイド面20Aに沿って左右に分かれて流れ、第1及び第2の上側開口26A,26B介して、第1及び第2の内箱10A,10Bに流入する。これにより、1つの循環ファン22で効率的に、2つの内箱10A,10B内に冷気を供給することができる。
【0029】
第1の上側開口26Aを介して第1の内箱10Aに流入した気体は、第1の内箱10Aの中を流れて、中の収納物を冷却して、下方の第1の下側開口28Aを介して流路20に戻る。第2の上側開口26Bを介して第2の内箱10Bに流入した気体は、第2の内箱10Bの中を流れて、中の収納物を冷却して、下方の第2の下側開口28Bを介して流路10に戻る。戻った気体は、再び循環ファン24に吸引され、一連の冷却サイクルが形成されている。これにより、第1の内箱10A及び第2の内箱10Bの内部を、冷蔵室や冷凍室として機能させることができる。第1の内箱10A及び第2の内箱10Bの中の気体の流れについては、追って詳細に述べる。
【0030】
本実施形態では、第1の内箱10Aの下側に圧縮機32が配置された機械室30が位置している。冷却サイクルを構成する比較的大きな部材が配置された機械室30は、第1の内箱10Aの下側にのみに配置されている。よって、第1の内箱10Aの下面の高さは、第2の内箱10Bの下面の高さより高くなっている。これにより、第2の内箱10Bの収納領域の高さ寸法を大きく取ることができ、十分な収納容量を得ることができる。ただし、この配置に限られるものではなく、逆に、機械室30が第2の内箱10Bの下側にのみに配置されて、第2の内箱10Bの下面の高さが、第1の内箱10Aの下面の高さより高い場合もあり得る。
【0031】
以上のように、本実施形態に係る冷蔵庫2によれば、蒸発器22が左右に並んだ第1及び第2の内箱10A,10Bの間に配置されるので、内箱10A,10Bの前後方向及び上下方向における寸法の制約を受けることがない。蒸発器22も縦に配置できるので、除霜時に生じる液滴を受ける受け皿を小さくすることができる。よって、蒸発器22を効率的に配置して、内箱10A,10B内の貯蔵容量を効率的に確保することができる。
また、蒸発器22が配置された流路20が内箱10A,10Bで囲まれているので、熱リークが抑制されて、高い熱効率が得られる。更に、内箱10A,10Bの間の空間を流路20にすることにより、非常に簡単な構造で流路を形成することができる。
【0032】
(内箱の中の気体の流れ)
次に、
図2及び
図3を参照しながら、第1の内箱10A及び第2の内箱10Bでの気体の流れの説明を行う。
図2では、気体の流れを白抜きの矢印で模式的に表し、
図3では、気体の流れを点線の矢印で模式的に示す。
<第1の内箱>
第1の内箱10Aには、内部空間を上下に区分する棚板は設けられておらず、底部に、平板形状の底板14Aが配置されている。これにより、第1の内箱10Aの内部の高さいっぱいの収納物を収納することができるので、例えば、酒や飲料水のボトル等を収納するのにも適する。
【0033】
底板14Aは、内部が中空になっており、左端には、第1の内箱10Aの中を流れた気体が底板14Aの内部に流入する底板流路入口18が設けられている。底板14Aの右端には、底板14Aの内部を流れた気体が、流路20内に流出する第1の下側開口28Aが設けられている。
これにより、第1の上側開口26Aから第1の内箱10Aに流入した気体は、第1の内箱10Aの内壁にガイドされて、上側から下側へ流れ、その間に中の収納物を冷却する。そして、底板流路入口18から底板14Aに流入し、底板14A内を左から右に流れ、第1の下側開口28Aから流路20内に流れる。流路20内に流れた気体は、循環ファン22の吸引力により下から上へ流れて、再び蒸発器22を通過する。
【0034】
底板14Aの内部を中空にして、気体の流路とすることにより、第1の内箱10Aの底部に底板14Aを配置するだけで、シンプルな構造で容易に第1の内箱10A内の気体を流路20内に導くことができる。
【0035】
<第2の内箱>
一方、第2の内箱10Bには、内部空間を上下に区分する2つの棚板12,12’が設けられている。棚板12,12’は、前後方向で第2の内箱10Bの内形ぎりぎりまで延びており、より大きな収納スペースを得るようになっている。これらの棚板12,12’も、内部が中空になっている。底部には、底板14Bが配置されている。底板14Bは、L字形の側面形状を有し、内部が中空になっている。底板14Bが、平板状でなく、L字形の側面形状を有しているのは、機械室30の上側に位置する流路20の底部よりも、底板14Bが配置された第2の内箱10Bの底部の位置が低いので、その高さの差を上下に繋ぐ流路を設けるためである。
【0036】
上側の棚板12では、右側の端部に上下を連通する通気口16が設けられ、下側の棚板12’では、それとは反対の左側の端部に上下を連通する通気口16が設けられている。底板14Bの右端には、第2の内箱10Bの中を流れた気体が底板14Bの内部に流入する底板流路入口18が設けられている。底板14Bの左端には、底板14Bの内部を流れた気体が、流路20内に流出する第2の下側開口28Bが設けられている。
【0037】
これにより、第2の上側開口26Bから第2の内箱10Bに流入した気体は、上側の棚板12の上面に沿って左から右へ流れる。そして、通気口16を通って、棚板12で仕切られた下側の空間へ流入する。流入した気体は、上側の棚板12の下面に沿って右から左へ流れるとともに、下側へ流れる。そして、下側の棚板12’に設けられた通気口16を通って、下側の棚板12’で仕切られた下側の空間へ流入する。流入した気体は、下側の棚板12’の下面に沿って左から右へ流れるとともに、下側へ流れる。そして、底板流路入口18から底板14Aに流入し、底板14A内を右から左へ、更に下から上へ流れ、第2の下側開口28Bから流路20内に流れる。流路20内に流れた気体は、循環ファン22の吸引力により下から上へ流れて、再び、蒸発器22を通過する。
このような気体の流れにより、棚板12,12’及び底板14Bの上に載置された収納物を効率的に冷却することができる。
【0038】
ここで、棚板12,12’の数は2つに限られるものではく、2以上の任意の数の棚板を設けることができる。通気口16を設ける左右の位置についても、第2の内箱10B内の配置に応じて、任意に設定することができる。第2の上側開口26Bから流入した気体をガイドする上側の棚板12は、第2の上側開口26Bの位置と反対側の端部に通気口16を設けるのが好ましい。それより下に配置された下側の棚板12’は、上側の棚板12の通気口16が設けられた端部とは反対側の端部に通気口16を設けるのが好ましい。つまり、上側の棚板12では、左右方向の一方の端部に上下を連通する通気口16が設けられ、下側の棚板12’では、左右方向の他方の端部に開口16が設けられるのが好ましい。
【0039】
以上のように、本実施形態によれば、複数の棚板12,12’により内部空間が区分される場合において、棚板12,12’は内部が中空であり、上下の棚板12,12’で上下を連通する通気口16が互いに左右反対側の端部に設けられている。これにより、第2の上側開口26Bから流入した気体は、第2の内箱10B内を棚板12,12’に沿って左右にジグザグに流れながら、下側へ向けて流れるので、棚板12,12’上に載置された収納物を十分に冷却することができる。
【0040】
底板14Bについても、上に位置する棚板12’に設けられた通気口16と左右反対側の端部に、底板流路入口18が設けられている。これにより、第2の内箱10B内を気体が左右にジグザグに流れ、底板14B上に載置された収納物を十分に冷却することができる。
底板14Aと同様に、底板14Bの内部を中空にして、気体の流路とすることにより、第2の内箱10Bの底部に底板14Bを配置するだけで、シンプルな構造で容易に、第2の内箱10B内の気体を流路20内に導くことができる。
【0041】
(内箱の下側の気体の流れ)
図4は、第1及び第2の内箱10A,10Bの下側の構造を示す斜視図である。
図4でも、第1及び第2の内箱10A,10Bの下側における気体の流れを点線で示す。上記のように、第1の内箱10Aの下側に圧縮機32が配置された機械室30があり、第1の内箱10Aの下面の高さが第2の内箱10Bの下面の高さより高くなっている。
これにより、第2の内箱10Bに十分な収納容量を確保できるのとともに、通常デッドスペースとなっている第2の内箱10Bに下側の空間を有効利用できる。第2の内箱10Bに下側の空間の高さは限られているが、
図4に示すように、高さを要しない蒸発皿36及び蒸発用コンデンサ34が配置されている。ここでは、蒸発用コンデンサ34を示すため、蒸発皿36を仮想線で示す。
【0042】
蒸発皿36は、蒸発器22の下側に配置された受け皿とドレン管で繋がっており、蒸発器22の除霜処理で生じた水が流入する。蒸発器22の下側には、圧縮機32から吐出された高温の冷媒が流れる蒸発用コンデンサ34が配置されている。蒸発器22の中に溜まった水は、蒸発用コンデンサ34で温められて蒸発が促進される。
【0043】
以上のように、本実施形態によれば、圧縮機32をはじめとする高さを要する部材が配置された機械室30が、第1の内箱10Aの下にだけ配置されるので、第2の内箱10Bに十分な収納容量を確保できる。それとともに、第2の内箱10Bの下側の空間に高さを要さない蒸発皿36及び蒸発用コンデンサ34を配置することにより、デッドスペースを利用した効率的な配置を実現できる。
【0044】
(内箱の下側の構造)
図4に示すように、機械室30には冷却ファン40が配置されている。冷却ファン40により、外気が、前側から第2の内箱10Bの下側に流入し、第2の内箱10Bの下側から第1の内箱10Aの下側の機械室30へ流れ、機械室30から前側へ排出されるようになっている。この気体の流れにより、圧縮機32や凝縮器をはじめとする高温となる部材を効果的に冷却することができる。このとき、外気を冷蔵庫2の下部の前側から取り入れて、温度が上昇した気体を冷蔵庫2の下部の前側へ排出することができる。
この気体の流れにより、仮に、冷蔵庫2をシステムキッチンの中に設置した場合であっても、周囲の部材に熱的な影響を与えることなく、効率的な冷却が実現できる。
【0045】
本発明の実施の形態、実施の態様を説明したが、開示内容は構成の細部において変化してもよく、実施の形態、実施の態様における要素の組合せや順序の変化等は請求された本発明の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【符号の説明】
【0046】
2 冷蔵庫
4 外箱
6A、6B 扉
10A 第1の内箱
10B 第2の内箱
12、12’ 棚板
14A、14B 底板
16 通気口
18 底板流路入口
20 流路
20A ガイド面
20B ダクト部
22 蒸発器
24 循環ファン
26A 第1の上側開口
26B 第2の上側開口
28A 第1の下側開口
28B 第2の下側開口
30 機械室
32 圧縮機
34 蒸発用コンデンサ
36 蒸発皿
40 冷却ファン