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特開2022-102521ワイヤー押さえ付け装置及び仮設ゲート
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  • 特開-ワイヤー押さえ付け装置及び仮設ゲート 図1
  • 特開-ワイヤー押さえ付け装置及び仮設ゲート 図2
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  • 特開-ワイヤー押さえ付け装置及び仮設ゲート 図4
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  • 特開-ワイヤー押さえ付け装置及び仮設ゲート 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022102521
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】ワイヤー押さえ付け装置及び仮設ゲート
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/48 20060101AFI20220630BHJP
   E05F 7/04 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
E06B3/48
E05F7/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020217308
(22)【出願日】2020-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】520513716
【氏名又は名称】日本アルファ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100221327
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 亮
(72)【発明者】
【氏名】榎本 貴仁
【テーマコード(参考)】
2E015
2E050
【Fターム(参考)】
2E015AA05
2E015BA00
2E015EA04
2E050NA05
2E050PA02
2E050PB02
2E050PC03
2E050PD03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】仮設ゲートの振れ止めのワイヤーを人の通行の妨げになりにくい状態に容易に処理できる装置を提供する。
【解決手段】一対の支柱と、一対の支柱の間に配置された折り畳み式の扉と、一対の支柱の間に張り渡され、扉の横方向への振れを抑制するワイヤーと、を有する仮設ゲートに用いられるワイヤー押さえ付け装置であって、折り畳み式の扉の端部に取り付けられる本体部200aと、本体部200aに対して、上下に移動可能なローラ支持部210と、ローラ支持部210に、水平軸の回りに回転可能に支持されたローラ200bと、ローラ200bでワイヤーを地面に押さえつけるように、ローラ支持部210を本体部に対して下方向に付勢する付勢部材とを備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の支柱と、該一対の支柱の間に配置された折り畳み式の扉と、前記一対の支柱の間に張り渡され、前記扉の横方向への振れを抑制するワイヤーと、を有する仮設ゲートに用いられるワイヤー押さえ付け装置であって、
前記折り畳み式の扉の端部に取り付けられる本体部と、
前記本体部に対して、上下に移動可能なローラ支持部と、
前記ローラ支持部に、水平軸の回りに回転可能に支持されたローラと、
前記ローラで前記ワイヤーを地面に押さえつけるように、前記ローラ支持部を前記本体部に対して下方向に付勢する付勢手段と、
を備えることを特徴とするワイヤー押さえ付け装置。
【請求項2】
前記付勢手段は、前記ローラ支持部を前記本体部に対して下方向に付勢する圧縮バネであることを特徴とする請求項1に記載のワイヤー押さえ付け装置。
【請求項3】
前記ローラ支持部の進行方向の下端部は、先端に向けて薄くなるように形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のワイヤー押さえ付け装置。
【請求項4】
前記ローラ支持部に設けられ、前記ワイヤーが前記ローラの幅から外れないようにガイドするガイド部材をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のワイヤー押さえ付け装置。
【請求項5】
一対の支柱と、
該一対の支柱の間に配置された折り畳み式の扉と、
前記一対の支柱の間に張り渡され、前記扉の横方向への振れを抑制するワイヤーと、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のワイヤー押さえ付け装置と、
を備えることを特徴とする仮設ゲート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設現場等において用いられる仮設ゲートの振れ止めワイヤーを処理する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建築物等の工事現場においては、通常、作業領域内に関係者以外の人が立ち入ることを防止するために、また騒音などを防止するために、周囲に囲い壁が設けられ、その囲い壁の一部に、車両の通行などを行うための仮設ゲートが設置される。仮設ゲートは通常閉鎖されているが、工事のための搬送車両などが通行する場合に、開放される。また、仮設ゲートの脇には、人が通行するための人用のゲートが別に設置されることが多い。
【0003】
図5は、このような工事現場で用いられる仮設ゲートについて、特許文献1などにも開示されているような従来の一般的な形態を示す図である。
【0004】
図5において、仮設ゲート500には、その両端に、一対の支柱510a,510bが配置されており、その一対の支柱510a,510bの間にアコーデオン式などの折り畳み可能な扉520が配置されている。扉520は、一対の支柱510a,510bの間の中央Cにおいて右扉520aと左扉520bに分離されており、右扉520aは、中央Cから矢印A方向に、左扉520bは、中央Cから矢印B方向に開くように両開きの扉として構成されている。扉520の開閉を容易にするために、右扉520aの下部にはキャスター530aが配置され、左扉520bの下部には、キャスター530bが配置されている。
【0005】
ここで、仮設ゲートは折り畳み式で、柔軟に構成されているため、横風などを受けた場合に、あおられて工事現場の囲いの外側に向かって膨らんでしまうことがあり、工事現場の周囲の通行の妨げになる場合がある。それを防止するために、一対の支柱510a,510bの間には、扉520の下方の位置に、扉520を貫通する振れ止めワイヤー540が張られている。扉520は振れ止めワイヤー540により横方向への動きが妨げられるため、扉520が囲いの外側に膨らんでしまうことを防止することができる。
【0006】
この振れ止めワイヤー540は、ゲート500を通過する車両などの通行の妨げにならないように、通常、地面600から50mm~70mmの高さに張られている。振れ止めワイヤー540は、扉520の開いた状態を示す図6のように、右扉520aと左扉520bが開いた状態でも、支柱510a,510bの間に張られたままの状態である。
【0007】
仮設ゲート500は、一般に、工事車両などが通行するためのゲートであり、上述したように、人用のゲートは別に設けられていることが多い。しかし、仮設ゲート500が開いていると、工事関係者は必ずしも人用のゲートを通るとは限らず、仮設ゲート500を通行する場合もある。その時、振れ止めワイヤー540が地面から50mm~70mmの高さで張られていると、車両などは容易にそれを乗り越えられるが、人がゲートを通過する場合に、振れ止めワイヤー540に躓いてしまうことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012-219484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のような問題を解決するため、現状では、人が仮設ゲートを通行するときに振れ止めワイヤーに気が付くように、ワイヤーを黄色く着色して目立ちやすくする方法などがとられている。
【0010】
あるいは、振れ止めワイヤーをカラビナなどを用いて中央で分離できるようにし、扉を開いたときに、両側の支柱に設けられた巻取り装置により、両脇に巻き取って収納する方法なども行われている。
【0011】
しかしながら、ワイヤーを着色する方法では、ワイヤーを目立つようにして注意を喚起する効果は期待できるが、人が躓いてしまうことを完全に防止することは困難である。
【0012】
また、ワイヤーを中央で分離して両脇に巻き取る方法では、仮設ゲートの開閉のたびにワイヤーを巻き取る必要があり、手間がかかるという問題がある。
【0013】
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、仮設ゲートの振れ止めのワイヤーを人の通行の妨げになりにくい状態に容易に処理できる装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係わるワイヤー押さえ付け装置は、一対の支柱と、該一対の支柱の間に配置された折り畳み式の扉と、前記一対の支柱の間に張り渡され、前記扉の横方向への振れを抑制するワイヤーと、を有する仮設ゲートに用いられるワイヤー押さえ付け装置であって、前記折り畳み式の扉の端部に取り付けられる本体部と、前記本体部に対して、上下に移動可能なローラ支持部と、前記ローラ支持部に、水平軸の回りに回転可能に支持されたローラと、前記ローラで前記ワイヤーを地面に押さえつけるように、前記ローラ支持部を前記本体部に対して下方向に付勢する付勢手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、仮設ゲートの振れ止めのワイヤーを人の通行の妨げになりにくい状態に容易に処理できる装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係わるワイヤー押さえ付け装置を配置した仮設ゲートの一例を示す図である。
図2】仮設ゲートを開いた状態を示す図である。
図3】一実施形態のワイヤー押さえ付け装置の拡大斜視図である。
図4】一実施形態のワイヤー押さえ付け装置の分解斜視図である。
図5】従来の仮設ゲートを示す図である。
図6】従来の仮設ゲートが開いた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係わるワイヤー押さえ付け装置を配置した仮設ゲートの一例を示す図である。
【0019】
図1において、仮設ゲート100は、建築物等の工事現場において、作業領域内に関係者以外の人が立ち入ることを防止するために設けられた囲い壁の一部に配置される。仮設ゲート100は、開くことにより、工事現場への車両の通行などを可能とする。仮設ゲートは通常閉鎖されているが、工事のための搬送車両などが通行する場合に、開放される。また、仮設ゲート100の脇には、人が通行するための人用のゲートが別に設置される。
【0020】
図1において、仮設ゲート100には、その両端に、一対の支柱110a,110bが配置されており、その一対の支柱110a,110bの間にアコーデオン式などの折り畳み可能な扉120が配置されている。扉120は、一対の支柱110a,110bの間の中央Cにおいて右扉120aと左扉120bに分離されており、右扉120aと左扉120bは、共に折り畳み可能に構成されている。右扉120aは、一対の支柱110a,110bの中央Cから矢印A方向に、左扉120bは、中央Cから矢印B方向に開くように両開きの扉として構成されている。扉120の開閉を容易にするために、右扉120aの下部にはキャスター130aが配置され、左扉120bの下部には、キャスター130bが配置されている。
【0021】
なお、ここでは、扉120を両開きの扉として説明しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、片開きの扉に対しても同様に適用可能である。
【0022】
ここで、仮設ゲート100は折り畳み式で、柔軟に構成されているため、横風などを受けた場合に、あおられて工事現場の囲いの外側に向かって膨らんでしまうことがあり、工事現場の周囲の通行の妨げになる場合がある。それを防止するために、一対の支柱110a,110bの間には、扉120の下方の位置に、扉120に設けられた複数のガイドリング150を貫通する振れ止めワイヤー140が張られている。扉120は振れ止めワイヤー140により横方向への動きが妨げられる(動きを抑制される)ため、扉120が囲いの外側に膨らんでしまうことを防止することができる。
【0023】
この振れ止めワイヤー140は、ゲート100を通過する車両などの通行の妨げにならないように、地面400から50mm~70mmの高さに設置されている。振れ止めワイヤー140は、図中左端部を支柱110bに設けられたターンバックル170により高さ調節可能に支持され、右端部を支柱110aに設けられたクリップ180により支持されている。振れ止めワイヤー140は、仮設ゲート100が開いたときに目立つように、黄色などの目立つ色に着色されている。
【0024】
右扉120aの図中左側の端部支柱190aと左扉120bの右側の端部支柱190bには、本実施形態のワイヤー押さえ付け装置200が取り付けられている。ワイヤー押さえ付け装置200は、詳細は後述するが、端部支柱190aまたは端部支柱190bに取り付けられる本体部200aと本体部200aから下方に向かって付勢されるローラ200bとを備える。なお、右扉120aと左扉120bに取り付けられるワイヤー押さえ付け装置200は同一の構成であるため、以下では右扉側についてのみ説明する。
【0025】
ローラ200bは、右扉120aの端部支柱190aに設けられたガイドリング160を通過した振れ止めワイヤー140を地面400に押さえつけることにより、振れ止めワイヤー140の高さを地面400と同じ高さまで押し下げるように作用する。
【0026】
図2は、図1に示す仮設ゲート100が開いた状態を示す図である。
【0027】
仮設ゲート100が開いた状態では、右扉120aに配置されたワイヤー押さえ付け装置200と、左扉120bに配置されたワイヤー押さえ付け装置200が車や人の通行領域Dの部分について、振れ止めワイヤー140を地面400に押さえ付ける。そのため、通行領域Dを人が通過する場合でも、躓くことなく安全に通過することが可能となる。また、前述したように、振れ止めワイヤーが黄色などの目立つ色に着色されているため、通行人に注意を喚起し、さらに安全性を高めることができる。
【0028】
図3は、右扉120aに配置されたワイヤー押さえ付け装置200を拡大して示した斜視図である。
【0029】
ワイヤー押さえ付け装置200は、本体部200aと、本体部200aに対して上下方向に移動可能に装着されたローラ支持部210と、ローラ支持部210に対して水平軸の回りに回転可能に支持され、樹脂材料等により形成されるローラ200bとを備える。ワイヤー押さえ付け装置200の本体部200aは、右扉120aの端部支柱190aに対して、ブラケット191とボルト192などにより固定されている。ボルト192は、本体部200aに形成されたネジ穴203(図4参照)にねじ込まれる。右扉120aの端部支柱190aに設けられたガイドリング160を通過した振れ止めワイヤー140は、ローラ200bにより押し下げられ、地面400に押し付けられる。
【0030】
なお、図3では、右扉120aに設けられたキャスター130aが扉の進行方向に対して固定されているように示されているが、実際は、地面400に垂直な軸の回りに回転可能(首振り可能)であり、扉の進行方向に連れて回転可能に配置されている。
【0031】
図4は、ワイヤー押さえ付け装置200の構造を示す分解斜視図である。
【0032】
図4(a)において、ワイヤー押さえ付け装置200は、長方形状の開口を有する直方体状の本体部200aと、本体部200に対してボルト300などにより固定されるガイド部220と、ガイド部220に対して上下方向にスライド可能に装着されるスライド軸230と、スライド軸230に対して固定されたローラ支持部210と、ローラ支持部210に対して水平軸の回りに回転自在に支持されたローラ200bと、ローラ支持部210を下方に付勢するバネ240と、振れ止めワイヤー140をガイドするワイヤー通し(ガイド部材)250とを備えて構成されている。
【0033】
ガイド部220には、水平方向に貫通穴221が形成されており、ボルト300が本体部200aのボルト穴201と貫通穴221に挿入されて、ネジ穴202にねじ込まれることにより、本体部200aに対して固定される。ガイド部220には、鉛直方向に延びるスライド穴222が形成されており、このスライド穴222には、スライド軸230がスライド可能に挿入される。スライド軸230には、ローラ支持部210が固定されているため、スライド軸230とローラ支持部210が一体となって、ガイド部220に対して上下方向にスライドする。ガイド部220の下端面223とローラ支持部210の肩部211の間には圧縮バネ240が配置されており、ローラ支持部210をガイド部220に対して下方に押し下げるように付勢している。この付勢力がローラ200bを地面400に押し付ける力となり、地面400に凹凸があった場合でも、ローラ200bは、振れ止めワイヤー140を確実に地面400に押さえ付けることができる。なお、ボルト310が、本体部200aのボルト穴204と、ローラ支持部210の長穴212に挿入されることにより、ローラ支持部211の上下方向のスライドストロークが、長穴212の長さEの範囲に制限される。
【0034】
ローラ支持部210には、さらにワイヤー通し250が支点251を中心に回動可能に取り付けられている。このワイヤー通し250は、振れ止めワイヤー140がローラ200bの幅から外れないように、振れ止めワイヤー140をガイドする。
【0035】
また、図4(b)は、図4(a)におけるAで示す部分、つまりローラ支持部211の進行方向の下端部213の形状を示す図である。ローラ支持部211の進行方向の下端部213は、ナイフ状に先端部に向かって薄くなるように形成されており、砂利などの障害物があった場合でも、ローラ支持部211がスムーズに進むように配慮されている。
【0036】
以上説明したように、本実施形態のワイヤー押さえ付け装置は、仮設ゲートを開いたときに、仮設ゲートの振れ止めワイヤーを扉の端部において下方に押さえつけて、人が通る領域での振れ止めワイヤーの高さをほぼ地面と同じ高さまで下げることが可能となる。これにより、仮設ゲートにおいて振れ止めワイヤーが人の通行の妨げとなることを防止することができる。
【符号の説明】
【0037】
100:仮設ゲート、110a,110b:支柱、120:扉、130a,130b:キャスター、140:振れ止めワイヤー、200:ワイヤー押さえ付け装置、200b:ローラ、210:ローラ支持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6