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特開2022-102527素材濃淡表現パネル、その製造方法、及び建設物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022102527
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】素材濃淡表現パネル、その製造方法、及び建設物
(51)【国際特許分類】
   B28B 7/00 20060101AFI20220630BHJP
   E04C 2/04 20060101ALI20220630BHJP
   B28B 13/02 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
B28B7/00 Z
E04C2/04 C
B28B13/02
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020217317
(22)【出願日】2020-12-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】520513738
【氏名又は名称】オリエント技術株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100147762
【弁理士】
【氏名又は名称】藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】綾部 浩
【テーマコード(参考)】
2E162
4G053
4G055
【Fターム(参考)】
2E162AA01
2E162DA01
4G053AA17
4G053DA03
4G053EA34
4G053EB08
4G055CA05
(57)【要約】
【課題】製作者が望む模様を自由に表現可能な素材濃淡表現パネル及びその製造方法を得る。
【解決手段】第1回目の打設(第1の打設ステップ)では、充填孔251aに打設管310を挿入し、基礎900の頂面から櫛型枠240a及びラス型枠250aまでコンクリートを打設する。櫛型枠240a及びラス型枠250aが設けられていない、櫛型枠240a及びラス型枠250aの左端部から右側面型枠270までは、水平にコンクリートが打設される。櫛型枠240a及びラス型枠250aにより、模様に沿ってコンクリートを打設することができる。第1回目の打設を完了後、所定の時間間隔(所定期間)が経過した後に、第2、3回目の打設を行う。第3回目の打設完了後、所定期間コンクリートを養生したのち、型枠を取り外し、コンクリート表面を研磨及び/又は樹脂塗布等で保護処理した後、素材濃淡表現パネル100が完成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目荒しされた第1の領域を第1の型枠の表面に形成する粗部分形成ステップと、
第1の型枠を設置する第1の型枠設置ステップと、
第2の型枠を設置して、前記第1の領域と前記第2の型枠との間に打設空間を形成する第2の型枠設置ステップと、
前記打設空間に素材を打設する第1の打設ステップと、
前記第1の打設ステップを完了したときから所定期間経過後に、前記打設空間に素材を打設する第2の打設ステップと
を備える素材濃淡表現パネルの製造方法。
【請求項2】
前記打設空間に鉄筋を配置するステップと、
前記第1の領域を第1方向から覆うように、第3の型枠を前記鉄筋に固定する第3の型枠設置ステップをさらに備える請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記第3の型枠は、その厚さ方向に貫通する第3の貫通孔を有し、前記第1の打設ステップにおいて、前記素材は、前記第3の貫通孔を貫通する円筒管により打設位置まで移送される請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記第1の領域を第1の方向から覆うように、第4の型枠を前記第1の型枠に固定する第4の型枠設置ステップをさらに備える請求項1から3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
前記第2の型枠は、その厚さ方向に貫通する第1の貫通孔を有し、前記第1の打設ステップを完了後、前記第1の貫通孔を介して、前記第4の型枠を撤去する型枠撤去ステップをさらに備える請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記第1の領域を第1の方向から覆うように、第5の型枠を前記第2の型枠に固定する第5の型枠設置ステップをさらに備える請求項1から5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
前記第2の型枠は、その厚さ方向に貫通する第1の貫通孔を有し、前記第1の打設ステップを完了後、前記第1の貫通孔を介して、前記第5の型枠を撤去する型枠撤去ステップをさらに備える請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記所定期間は、前回打設の素材と型枠との間に水分が残っている程度の時間間隔である請求項1から7のいずれかに記載の製造方法。
【請求項9】
前記素材は、コンクリート、モルタル、及び/又はセメントミルクから成る請求項1から8のいずれかに記載の製造方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の製造方法により製造された素材濃淡表現パネル。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載の製造方法により製造された素材濃淡表現パネルを備える建設物。
【請求項12】
コンクリート表面に形成された、コンクリート自体の色合いによって表現された模様を有する素材濃淡表現パネル。
【請求項13】
前記模様は、型枠に形成された粗面を用いて成るコンクリート自体の色合いによって表現される請求項12に記載の素材濃淡表現パネル。
【請求項14】
前記素材濃淡表現パネルは、コンクリートを複数回に分けて打ち重ねて成り、前記模様は、打ち重ね間隔を所定の時間間隔とすることにより成るコンクリート自体の色合いによって表現される請求項12又は13に記載の素材濃淡表現パネル。
【請求項15】
請求項12から14のいずれかに記載の素材濃淡表現パネルを備える建設物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、素材が持つ色の濃淡で模様を表現するパネル、その製造方法、及び建設物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、木材の表面模様を写し取った型枠に無機質バインダーの泥漿体を流し込み、この泥漿体を型枠内で均一に拡散させ、泥漿体内の気泡を脱泡したのち、コンクリート製のパネル母材を泥漿体上に設置して加圧し、加圧状態のまま泥漿体を養生硬化させることにより、コンクリート製パネル材の表面に無機質バインダーの被覆層を形成し、被覆層の硬化後に脱型して、被覆層の表面に化粧を施すことにより、木目調の表面を持つ建築用のパネル材を得る、木目調表面を有するコンクリート製パネル材及びその製造方法が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3-2450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、木材の表面模様を型枠に写し取る手法では、製作者が望む模様を自由に表現することはできない。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、製作者が望む模様を自由に表現可能な素材濃淡表現パネル及びその製造方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願第1の発明による素材濃淡表現パネルの製造方法は、目荒しされた第1の領域を第1の型枠の表面に形成する粗部分形成ステップと、第1の型枠を設置する第1の型枠設置ステップと、第2の型枠を設置して、第1の領域と第2の型枠との間に打設空間を形成する第2の型枠設置ステップと、打設空間に素材を打設する第1の打設ステップと、第1の打設ステップを完了したときから所定期間経過後に、打設空間に素材を打設する第2の打設ステップとを備えることを特徴とする。
【0007】
第1の領域を第1の方向から覆うように、第3の型枠(ラス)を鉄筋に固定する第3の型枠設置ステップをさらに備えることが好ましい。
【0008】
第3の型枠は、その厚さ方向に貫通する第3の貫通孔を有し、第1の打設ステップにおいて、素材は、第3の貫通孔を貫通する円筒管により打設位置まで移送されることが好ましい。
【0009】
第1の領域を第1の方向から覆うように、第4の型枠を第1の型枠に固定する第4の型枠設置ステップをさらに備えることが好ましく、第2の型枠は、その厚さ方向に貫通する第1の貫通孔を有し、第1の打設ステップを完了後、第1の貫通孔を介して、第4の型枠を撤去する型枠撤去ステップをさらに備えることが好ましい。
【0010】
第1の領域を第1の方向から覆うように、第5の型枠を第2の型枠に固定する第5の型枠設置ステップをさらに備えることが好ましく、第2の型枠は、その厚さ方向に貫通する第1の貫通孔を有し、第1の打設ステップを完了後、第1の貫通孔を介して、第5の型枠を撤去する型枠撤去ステップをさらに備えることが好ましい。
【0011】
第2の型枠は、その厚さ方向に貫通する第1の貫通孔を有し、第1の打設ステップを完了後、第1の貫通孔を介して、第4の型枠及び/又は第5の型枠を除去する型枠除去ステップをさらに備えてもよい。
【0012】
所定期間は、前回打設の素材と型枠との間に水分が残っている程度の時間間隔であることが好ましい。
【0013】
素材は、コンクリート、モルタル、及び/又はセメントミルクが好適である。
【0014】
本願第2の発明による素材濃淡表現パネルは、前記製造方法により製造されることを特徴とする。
【0015】
本願第3の発明による建設物は、前記製造方法により製造された素材濃淡表現パネルを備えることを特徴とする。
【0016】
前記素材濃淡表現パネルは、コンクリート表面に形成された、コンクリート自体の色合いによって表現された模様を有することが好ましい。
【0017】
模様は、型枠に形成された粗面を用いて成るコンクリート自体の色合いによって表現されることが好ましい。
【0018】
素材濃淡表現パネルは、コンクリートを複数回に分けて打ち重ねて成り、模様は、打ち重ね間隔を所定の時間間隔とすることにより成るコンクリート自体の色合いによって表現されることが好ましい。
【0019】
前記建設物は、前記素材濃淡表現パネルを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、製作者が望む模様を自由に表現可能な素材濃淡表現パネル及びその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】素材濃淡表現パネルを正面から見た図である。
図2】素材濃淡表現パネルの配筋図である。
図3】素材濃淡表現パネルの鉄筋及び基礎の正面図である。
図4】マスキングテープが貼り付けられた第1の型枠を塗装面から見た図である。
図5】白色領域が形成された第1の型枠を塗装面から見た図である。
図6】櫛型枠が取り付けられた第1の型枠を塗装面から見た図である。
図7】鉄筋に取り付けられたラス型枠、充填孔、及び縦ラスを示す図である。
図8】鉄筋に取り付けられた背面型枠を示す図である。
図9】背面型枠に取り付けられたクレモナロープを示す図である。
図10】鉄筋に取り付けられた型枠を示す図である。
図11】正面から見たときの白色部分、櫛型枠、ラス型枠、充填孔、及び点検孔を示す図である。
図12】鉄筋に正面型枠及び背面型枠を取り付けたときの一部左側面図である。
図13】鉄筋に正面型枠及び背面型枠を取り付けたときの一部平面図である。
図14】打設管を示した図である。
図15】ホッパーを用いてコンクリートを打設する状況を示す図である。
図16】素材濃淡表現パネルを正面から見た図である。
図17】型紙及びマスキングテープが貼り付けられた第1の型枠を塗装面から見た図である。
図18】マスキングテープが貼り付けられ、白色部分が形成された第1の型枠を塗装面から見た図である。
図19】正面から見たときの白色部分、櫛型枠、ラス型枠、充填孔、及び点検孔を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明による一実施形態による素材濃淡表現パネル100及びその製造方法について図1から図15を用いて説明する。
【0023】
素材濃淡表現パネル100は、土木構築物等、建築物の躯体及び外壁等、並びに塀等(以下、建設物という)の少なくとも一部として用いられる鉄筋コンクリート製の板状部材である。以下、素材濃淡表現パネル100が建設物に取り付けられた状態において鉛直方向に沿う長さを高さ、建設物の外壁面と平行かつ水平方向に沿う長さを幅、建設物の外壁面と直角かつ水平方向に沿う長さを厚さという。
【0024】
図1及び2を参照すると、素材濃淡表現パネル100は、内部に配置された複数の縦筋101及び横筋102と、縦筋101及び横筋102の周囲に打設された素材であるコンクリート103とから主に構成される。縦筋101及び横筋102は、例えばD13が用いられる。図1に示されるように、素材濃淡表現パネル100の正面には、製作者が望む模様が表現される。図1に示される模様は、河口湖畔から見た富士山である。この模様は、コンクリートのみによって、その表面に形成されている。コンクリート自体の色合い、コンクリート表面におけるセメントの水和生成物の分布状態の違い等が、模様を形成する1つの要因である。
【0025】
次に、素材濃淡表現パネル100の製造方法について図1から図6を用いて説明する。まず、縦筋101の一端を埋め込んだ基礎900を予め作成し、これに横筋102を取り付ける(図3参照)。
【0026】
次に、型紙210及び正面型枠(第1の型枠)220を作成する。型紙210は、製作者が望む模様を表す線に応じて切断されるものである。本実施形態では、予め河口湖畔にて撮影された写真に拡大及び/又は左右反転等の画像処理を施して、富士山、河口湖の湖畔、富士山手前の森などの輪郭線にそって紙を切り出すことにより、型紙210が作成される。正面型枠220は、素材濃淡表現パネル100の正面側に設けられる型枠であって、例えば厚さ約12mmの塗装合板などの、水分を吸い込みにくくする表面加工が施された板である。この正面型枠220の塗装面に模様を形成する。正面型枠220の塗装面に模様を形成する手法を粗部分形成ステップという。詳細には、正面型枠220の塗装面に型紙210を貼り付け、型紙210の外縁あるいは輪郭線に沿ってマスキングテープ230を貼り付ける(図4参照)次に、模様において白色にしたい部分(第1の領域)221を、例えば600番のやすりを用いてやすりがけして目荒しする。詳細には、表面の光沢が失われる程度であって、コンクリートが容易に剥離可能な程度までやすりがけする(図5参照)。マスキングテープ230を用いることにより、目荒らしされる部分とされない部分との境界を明確にできる。これにより、正面型枠220の塗装面に模様が形成される。
【0027】
次に、正面型枠220に釘等及び/又はビス等を用いて櫛型枠(第4の型枠)240を取り付ける。櫛型枠240を正面型枠220に取り付ける手法を第4の型枠設置ステップという。櫛型枠240は、厚みを有する幅約50mmの長方形の板状部材であって、その厚さ方向に複数の切れ込みが設けられ、板状部材の長手方向に沿って湾曲自在である。櫛型枠240は、正面型枠220に形成された輪郭線に沿って、つまりマスキングテープ230に沿って、正面型枠220に取り付けられる。これにより、富士山、河口湖の湖畔、富士山手前の森などの輪郭線に沿って、櫛型枠240が正面型枠220に取り付けられる。そして、マスキングテープ230を剥がす。これにより、正面型枠220が完成する(図6参照)。縦筋101及び横筋102に正面型枠220が取り付けられた状態において、櫛型枠240は、その下方の領域(第1の領域)を鉛直上方(第1の方向)から覆うように正面型枠220に固定される。
【0028】
次に、縦筋101及び横筋102にラス型枠(第3の型枠)250を取り付ける。縦筋101及び横筋102にラス型枠(第3の型枠)250を取り付ける手法を第3の型枠設置ステップという。ラス型枠250は、湾曲自在な金属製ネットから成る。まず、縦筋101及び横筋102に、完成済みの正面型枠220を仮に取り付ける。そして、正面型枠220に取り付けられている櫛型枠240に沿って、正面側の縦筋101及び横筋102と、背面側の縦筋101及び横筋102との間に、後述されるラス下地鉄筋104及び番線を用いて、ラス型枠250を取り付ける。ラス型枠250は、その下方の領域(第1の領域)を鉛直上方(第1の方向)から覆うように、鉄筋に固定される。そして、ラス型枠250において所定の位置に天地方向に貫通する充填孔(第3の貫通孔)251を設ける(図7参照)。充填孔251は、後述されるように、コンクリート打設時に用いられる。そして、縦筋101及び横筋102から正面型枠220を取り外す。
【0029】
次に、背面型枠(第2の型枠)260を作成する。背面型枠(第2の型枠)260を作成する手法を第5の型枠設置ステップという。背面型枠260は正面型枠220と同様の塗装合板から成る。まず、ラス型枠250が取り付けられている縦筋101及び横筋102に、背面型枠260を仮に取り付ける。ラス型枠250に沿って、釘及び/又はビス等を用いてクレモナロープ(第5の型枠)261を取り付ける。縦筋101及び横筋102に背面型枠260が取り付けられた状態において、クレモナロープ261は、その下方の領域(第1の領域)を鉛直上方(第1の方向)から覆うように背面型枠260に固定される。クレモナロープ261は、例えば直径約36mmのものが用いられる。これにより、正面型枠220に形成された輪郭線に沿って、クレモナロープ261が背面型枠260に取り付けられ、いいかえると、富士山、河口湖の湖畔、富士山手前の森などの輪郭線に沿って、クレモナロープ261が背面型枠260に取り付けられる。そして、所定位置に点検孔(第1の貫通孔)262を設ける(図8参照)。点検孔262は、後述されるように、コンクリート打設時に用いられる。これにより、背面型枠260が完成する(図9参照)。そして、縦筋101及び横筋102から背面型枠260を取り外す。
【0030】
次に、正面型枠220を縦筋101及び横筋102に取り付ける。正面型枠220を縦筋101及び横筋102に取り付ける手法を第1の型枠設置ステップという。このとき、正面型枠220と縦筋101及び横筋102との間隔が所定のかぶり厚であることを確認する。かぶり厚は建設物等の仕様により決定される。同様にして、背面型枠260、右側面型枠(第2の型枠)270、及び左側面型枠(第2の型枠)280を縦筋101及び横筋102に取り付ける(図10参照)。背面型枠260、右側面型枠270、及び左側面型枠280を縦筋101及び横筋102に取り付ける手法を第2の型枠設置ステップという。これにより、正面型枠220、背面型枠260、右側面型枠270、左側面型枠280、及び基礎900との間に空間(打設空間)が形成される。
【0031】
図11に、正面から見たときの、白色部分221、櫛形枠240、ラス型枠250、充填孔251、及び点検孔262を示す。白色部分221aは、河口湖畔を表し、白色部分221bと白色部分221cとの間は河口湖大橋を表す。白色部分221dは、富士山手前の森の端を表し、白色部分221eは富士山山頂付近に積もった雪を表す。櫛型枠240a及びラス型枠250aは、白色部分221dの下端から富士山手前の森の端に沿って曲線を描き、森の端の下端から右方へ向けて点検孔262aの下方まで略直線的に延び、後述するように、1回目に打設されたコンクリートと2回目に打設されたコンクリートの打ち重ね面を形成する。櫛型枠240b及びラス型枠250bは、富士山手前の森の頂上付近の端に沿って曲線を描き、森の頂上付近から富士山の端に沿って延び、後述するように、2回目に打設されたコンクリートと3回目に打設されたコンクリートの打ち重ね面を形成する。櫛型枠240b及びラス型枠250bには、複数の充填孔251a~251eが設けられ、後述するように、2回目のコンクリート打設時に用いられる。充填孔251aは、富士山手前の森の頂上付近に設けられ、充填孔251bは、富士山頂上付近の左斜面に設けられ、充填孔251cは、富士山の頂上に設けられ、充填孔251dは、富士山頂上付近の右斜面に設けられ、充填孔251eは、富士山の右斜面下方に設けられる。また、櫛型枠240a及びラス型枠250aの中央付近であって、点検孔262aの下方には縦ラス252a、充填孔251bの右方には縦ラス252b、充填孔251dの左方には縦ラス252d、充填孔251eの左方には縦ラス252eが、ラス型枠250a、250bから各々重力下方に延びるようにして設けられる。後述するように、これらによって、コンクリートを片寄り無く打設できる。
【0032】
背面型枠260において、櫛型枠240a及びラス型枠250aの中央付近上方に、点検孔262aが貫通開口し、櫛型枠240a及びラス型枠250aの右方上方に、点検孔262bが貫通開口し、櫛型枠240a及びラス型枠250aの左方上方に、点検孔262cが貫通開口し、櫛型枠240b及びラス型枠250bの左方上方であって富士山の左斜面下方に、点検孔262dが貫通開口し、櫛型枠240b及びラス型枠250bの左方上方であって富士山の左斜面上方に、点検孔262eが貫通開口し、櫛型枠240b及びラス型枠250bの中央上方であって富士山の頂上右上に、点検孔262fが貫通開口し、櫛型枠240b及びラス型枠250bの右方上方であって富士山の右斜面上方に、点検孔262gが貫通開口する。後述するように、これらを介して、櫛型枠240及びクレモナロープ261を撤去する。
【0033】
図12は、縦筋101及び横筋102に正面型枠220及び背面型枠260を取り付けたときの一部左側面図を示し、図13は、縦筋101及び横筋102に正面型枠220及び背面型枠260を取り付けたときの一部平面図を示す。正面型枠220には、幅約50mmの櫛型枠240がタッピングビス241を用いてビス止めされている。そして、2本の縦筋101に跨がるように、すなわち正面から背面に延びるように、ラス下地鉄筋104が緊結金物105を用いて2本の縦筋101に固定されている。ラス下地鉄筋104は、例えばD10が用いられ、正面型枠220から約50mm空けた位置から、背面型枠260から約35mm空けた位置まで延びる。これにより、素材濃淡表現パネル100の正面において約50mmのかぶり厚を確保し、背面において約35mmのかぶり厚を確保できる。かぶり厚を確保することにより、建設物において荷重を担う構造部材として素材濃淡表現パネル100を用いることができる。ラス型枠250は、正面型枠220に約10mm重なる位置から、ラス下地鉄筋104の背面側端部まで延びるように、ラス下地鉄筋104の下方に番線等を用いて固定される。背面型枠260には、タッピングビス263を用いてクレモナロープ261が固定されている。クレモナロープ261の正面側端部は、ラス下地鉄筋104の背面側端部に略接する位置である。
【0034】
次に、ホッパー300を用いてコンクリートを打設する。図14を参照すると、ホッパー300の先端に取り付けられる鋼製の打設管310が示される。打設管310は、ホッパー300からコンクリートを受ける漏斗部311と、漏斗部311から下方に延びる円筒管312とを主に備える。円筒管312の外径は、充填孔251に挿入可能な程度の長さである。
【0035】
図15を参照すると、その先端に打設管310が取り付けられたホッパー300を正面型枠220、背面型枠260、右側面型枠270、左側面型枠280、及び基礎900との間に形成された空間(打設空間)に挿入し、円筒管312の先端を打設位置に置き、円筒管312を用いてコンクリートを打設位置に移送し、コンクリートを打設する。
【0036】
図11を用いて、コンクリートを打設する手法について説明する。打設は3回に分けて行われる。
【0037】
第1回目の打設(第1の打設ステップ)では、充填孔251aに打設管310を挿入し、基礎900の頂面から櫛型枠240a及びラス型枠250aまでコンクリートを打設する。櫛型枠240a及びラス型枠250aが設けられていない、櫛型枠240a及びラス型枠250aの左端部から右側面型枠270までは、水平にコンクリートが打設される。櫛型枠240a及びラス型枠250aにより、模様に沿ってコンクリートを打設することができる。打設と同時及び/又は打設後に、図示されないバイブレータを上方から、あるいは点検孔262から打設されたコンクリート内に挿入して振動を与え、締め固める。そして、打設されたコンクリートが形状保持可能な状態となった時点で、櫛型枠240a及びこれらに対応する位置に取り付けられたクレモナロープ261を、点検孔262から撤去する。この撤去する手法を型枠除去ステップという。その後、点検孔262a、262b、262cを塞ぐ。そして、第1回目の打設を完了する。この後、所定の時間間隔(所定期間)が経過した後に、第2回目の打設を行う。
【0038】
一般に、コンクリートを複数回に分けて打設する場合、前回に打設したコンクリートと次回に打設するコンクリートとの打ち重ね面が一体化し、コールドジョイントが形成されないように、例えばJASS5で決められた最長時間間隔内で次回のコンクリートを打設する。本実施形態では、この最長時間間隔内でありながら、所望の模様濃度に適した時間間隔で次回のコンクリートを打設する。例えば、この時間間隔を長くすると、黒みが濃くなる傾向があり、短くすると黒みが薄まる傾向がある。コンクリートは水分を含んでおり、この水分がセメント成分と水和反応してコンクリートが硬化していくため、コンクリートが硬化するにつれてコンクリート中の水分が減少する。本実施形態における時間間隔は、前回打設のコンクリートと正面型枠220との間に水分が残っている程度の時間間隔である。
【0039】
第2回目の打設(第2の打設ステップ)では、充填孔251b、251c、251d、251eに打設管310を適切な順番で挿入し、第1回目に打設されたコンクリートの頂面から櫛型枠240b及びラス型枠250bまでコンクリートを打設する。櫛型枠240b及びラス型枠250bにより、模様に沿ってコンクリートを打設することができる。打設と同時及び/又は打設後に、充填孔251b、251c、251d、251eから、あるいは点検孔262から、図示されないバイブレータを打設されたコンクリート内に挿入して振動を与え、締め固める。コンクリートは、縦ラス252b、縦ラス252d、縦ラス252eに沿って落下し、片寄り無く打設される。そして、打設されたコンクリートが形状保持可能な状態となった時点で、櫛型枠240a及びこれらに対応する位置に取り付けられたクレモナロープ261を、点検孔262から撤去する。この撤去する手法を型枠撤去ステップという。その後、点検孔262d、262e、262f、262gを塞ぐ。そして、第2回目の打設を完了する。この後、前述した時間間隔が経過した後に、第3回目の打設を行う。
【0040】
第3回目の打設では、型枠上方からホッパー300を設置し、第2回目に打設されたコンクリートの頂面から型枠頂端までコンクリートを打設する。打設と同時及び/又は打設後に、型枠上方から図示されないバイブレータを打設されたコンクリート内に挿入して振動を与え、締め固める。その後、所定期間コンクリートを養生したのち、型枠を取り外し、コンクリート表面を研磨及び/又は樹脂塗布等で保護処理した後、素材濃淡表現パネル100が完成する。
【0041】
このように、前回打設のコンクリートと正面型枠220との間に水分が残っている程度の時間間隔で次回のコンクリートを打設すると、前回打設のコンクリートと正面型枠220との間の水分を伝って、次回打設のコンクリートのうちセメント成分を含んだ液体が、前回打設のコンクリートと正面型枠220との間に浸入する。ここで、次回打設のコンクリートのうちセメント成分を含んだ液体は、前回打設のコンクリート層に位置する白色部分221に浸入しにくい傾向がある。これは、塗装合板は塗装により水分を吸収せず、コンクリートとの間に水分を保持する傾向があるところ、白色部分221はやすりがけによって粗くされているため、若干の水分を吸収して、コンクリートとの間に水分を保持しにくい傾向がある。そのため、セメント成分を含んだ液体が、前回打設のコンクリートと正面型枠220との間の水分を伝うことができず、液体は白色部分221に浸入しにくく、あるいは保持されにくくなる。一般にセメント成分を多く含む部位は黒く見える傾向がある。そのため、白色部分221以外の部分に液体が流れた状態でコンクリートが固化すると、白色部分221以外の部分において、セメント水和物の密度が白色部分221よりも高くなり、これにより黒色となり、白色部分221が相対的に白色となる。このように、前回打設のコンクリートと正面型枠220との間に水分が残っている程度の時間間隔で次回のコンクリートを打設することを、打ち重ねといい、この時間間隔を打ち重ね間隔という。
【0042】
これにより、白色部分221を白色に、それ以外の部分を黒色とすることができ、富士山の端、河口湖の湖畔、富士山手前の森、河口湖大橋などの輪郭線を黒色で描画することができる。すなわち、模様が、コンクリート表面に、コンクリート自体の色合いによって表現される。いいかえると、模様は、型枠に形成された粗面を用いて形成されるコンクリート自体の色合いによって表現される。
【0043】
次に、素材濃淡表現パネル400の製造方法について図16から図19を用いて説明する。素材濃淡表現パネル400は、素材濃淡表現パネル100と模様が異なり、他の構成は同様である。以下、素材濃淡表現パネル100と同様の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
【0044】
型紙210及び正面型枠(第1の型枠)420について説明する。型紙210は、素材濃淡表現パネル400では、水面から跳ねている2頭のシャチを写した写真に拡大及び/又は左右反転等の画像処理を施して、シャチの外縁及び模様、並びに水面などの輪郭線にそって紙を切り出すことにより、型紙210が作成される。正面型枠420の塗装面に型紙210を貼り付け、型紙210の外縁あるいは輪郭線に沿ってマスキングテープ230を貼り付ける(図17参照)次に、模様において白色にしたい部分(第1の領域)421を、例えば600番のやすりを用いてやすりがけして目荒しする。マスキングテープ230を用いることにより、目荒らしされる部分とされない部分との境界を明確にできる。白色部分421は、シャチ頭部下面、目周囲部分、背面後部、及びシャチの輪郭外周などである。シャチの輪郭外周を目荒らしすることにより、前述のようにシャチの輪郭が黒色となって強調される。これにより、正面型枠420の塗装面に模様が形成される。
【0045】
正面型枠420に櫛型枠(第4の型枠)240を取り付ける手法については、素材濃淡表現パネル100と同様であるため、説明を省略する。櫛型枠240により、シャチの外縁及び模様、並びに水面などの輪郭線に沿って、櫛型枠240が正面型枠420に取り付けられる。これにより、正面型枠420が完成する。
【0046】
図19に、正面から見たときの、白色部分221、櫛形枠240、ラス型枠250、充填孔251、及び点検孔262を示す。白色部分221fと221gとの間は、海面を表し、白色部分221kはシャチの輪郭外周を表す。白色部分221hは、シャチ腹面の模様を表し、白色部分221iは、シャチ頭部下面の模様を表し、白色部分221lは、シャチ目周囲部分の模様を表し、白色部分221jは、シャチ背面後部の模様を表す。
【0047】
櫛型枠240c及びラス型枠250cは、左側のシャチの尾の左側先端部分から左方へ直線的に延び、他方、右側へはシャチの背面に沿って延びる。そして、左側のシャチの頭部先端から右側のシャチの背面後部につながり、右側のシャチの背面に沿って延びる。右側のシャチの頭部先端から右方へ直線的に延びる。櫛型枠240c及びラス型枠250cは、2回目に打設されたコンクリートと3回目に打設されたコンクリートの打ち重ね面を形成する。1回目に打設されたコンクリートと2回目に打設されたコンクリートの打ち重ね面は、白色部分221gと点検孔262h、262iとの間である。この打ち重ね面は水平であるため、櫛型枠240及びラス型枠250を必要としない。
【0048】
充填孔251jは、左側のシャチの背びれ後端付近に設けられ、充填孔251kは、左側のシャチの背面略中央付近に設けられ、充填孔251lは、右側のシャチの背びれ付近に設けられ、充填孔251mは、右側のシャチの頭部に設けられる。また、充填孔251jの右方には縦ラス252j、充填孔251mの左方には縦ラス252mが、ラス型枠250c、250dから各々重力下方に延びるようにして設けられる。後述するように、これらによって、コンクリートを片寄り無く打設できる。
【0049】
背面型枠において、左側のシャチの背びれ頂部付近に点検孔262jが貫通開口し、左側のシャチの背面略中央付近に点検孔262kが貫通開口し、右側のシャチの背びれ後部付近に点検孔262lが貫通開口し、右側のシャチの頭部上方に点検孔262mが貫通開口する。
【0050】
以上のようにして作成された正面型枠420及び背面型枠を用いて、素材濃淡表現パネル100と同様の手法をもってコンクリートを打設する。これにより、水面から跳ねている2頭のシャチを写した模様を有する素材濃淡表現パネル200が作成される。
【0051】
本実施形態によれば、製作者が望む模様を自由に表現可能な素材濃淡表現パネル及びその製造方法が提供される。
【0052】
また、コンクリート表面に、コンクリート自体の色合いによって表現された模様を形成することができる。
【0053】
なお、櫛型枠240、ラス型枠250、及びクレモナロープ261は、前述のものに限定されず、可撓性を有する他の材料を用いてもよく、右側面型枠270及び/又は左側面型枠280に設けられてもよい。
【0054】
なお、素材濃淡表現パネル100、200を予め作成した基礎900の上に構築するとして説明したが、本発明において基礎900は必須でなく、建設物の一部として設けられてもよい。
【0055】
なお、コンクリート表面は保護処理されなくてもよく、また保護処理は研磨及び/又は樹脂塗布等に限定されない。
【0056】
なお、コンクリートを用いる構成について説明したが、コンクリートの代わりに、あるいはコンクリートと共に、モルタル及び/又はセメントミルクを用いてもよい。
【0057】
なお、本明細書および図中に示した各部材の大きさや数は例示であって、これらの大きさや数に限定されない。また、各部材の素材は例示であって、これらの素材に限定されない。
【0058】
ここに付随する図面を参照して本発明の実施形態が説明されたが、記載された発明の範囲と精神から逸脱することなく、変形が各部の構造と関係に施されることは、当業者にとって自明である。
【符号の説明】
【0059】
100 素材濃淡表現パネル
101 縦筋
102 横筋
103 コンクリート
104 ラス下地鉄筋
105 緊結金物
210 型紙
220 正面型枠(第1の型枠)
221 白色部分(第1の領域)
221a 白色部分
221b 白色部分
221c 白色部分
221d 白色部分
221e 白色部分
230 マスキングテープ
240 櫛型枠(第4の型枠)
240a 櫛型枠
240b 櫛型枠
241 タッピングビス
250 ラス型枠(第3の型枠)
250a ラス型枠
250b ラス型枠
251 充填孔(第3の貫通孔)
251a 充填孔
251b 充填孔
251c 充填孔
251d 充填孔
251e 充填孔
252b 縦ラス
252d 縦ラス
252e 縦ラス
260 背面型枠(第2の型枠)
261 クレモナロープ(第5の型枠)
262 点検孔(第1の貫通孔)
262a 点検孔
262b 点検孔
262c 点検孔
262d 点検孔
262e 点検孔
262f 点検孔
262g 点検孔
263 タッピングビス
270 右側面型枠(第2の型枠)
280 左側面型枠(第2の型枠)
300 ホッパー
310 打設管
311 漏斗部
312 円筒管
900 基礎
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2021-04-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目荒しされた第1の領域を第1の型枠の表面に形成する粗部分形成ステップと、
第1の型枠を設置する第1の型枠設置ステップと、
第2の型枠を設置して、前記第1の型枠と前記第2の型枠との間に打設空間を形成する第2の型枠設置ステップと、
前記打設空間に素材を打設する第1の打設ステップと、
前記第1の打設ステップを完了したときから所定期間経過後に、前記打設空間に素材を打設する第2の打設ステップと
を備え
前記所定期間は、前回打設の素材と型枠との間に水分が残っている程度の時間間隔である
素材濃淡表現パネルの製造方法。
【請求項2】
前記打設空間に鉄筋を配置するステップと、
前記第1の領域を第1方向から覆うように、第3の型枠を前記鉄筋に固定する第3の型枠設置ステップをさらに備える請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記第3の型枠は、その厚さ方向に貫通する第3の貫通孔を有し、前記第1の打設ステップにおいて、前記素材は、前記第3の貫通孔を貫通する円筒管により打設位置まで移送される請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記第1の領域を第1の方向から覆うように、第4の型枠を前記第1の型枠に固定する第4の型枠設置ステップをさらに備える請求項1から3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
前記第2の型枠は、その厚さ方向に貫通する第1の貫通孔を有し、前記第1の打設ステップを完了後、前記第1の貫通孔を介して、前記第4の型枠を撤去する型枠撤去ステップをさらに備える請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記第1の領域を第1の方向から覆うように、第5の型枠を前記第2の型枠に固定する第5の型枠設置ステップをさらに備える請求項1から5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
前記第2の型枠は、その厚さ方向に貫通する第1の貫通孔を有し、前記第1の打設ステップを完了後、前記第1の貫通孔を介して、前記第5の型枠を撤去する型枠撤去ステップをさらに備える請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記粗部分形成ステップにおいて、前記第1の領域は、表面の光沢が失われる程度であって、コンクリートが容易に剥離可能な程度までやすりがけすることにより目荒らしされる請求項1から7のいずれかに記載の製造方法。
【請求項9】
前記第2の打設ステップ後に、打設された前記素材を養生する養生ステップをさらに備える請求項1に記載の製造方法。
【請求項10】
前記養生ステップ後に、前記第1の型枠と前記第2の型枠とを取り外す取り外しステップをさらに備える請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
前記取り外しステップ後に、打設された素材の表面を研磨及び/又は前記表面に樹脂を塗布する保護ステップをさらに備える請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記第3の型枠はラス型枠である請求項2に記載の製造方法。
【請求項13】
前記第4の型枠は櫛型枠である請求項4に記載の製造方法。
【請求項14】
前記第5の型枠はクレモナロープである請求項6に記載の製造方法。
【請求項15】
前記素材は、コンクリート、モルタル、及び/又はセメントミルクから成る請求項1から14のいずれかに記載の製造方法。