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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022102545
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   B08B 9/043 20060101AFI20220630BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20220630BHJP
   F28G 1/16 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
B08B9/043 433
B08B3/02 E
F28G1/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020217347
(22)【出願日】2020-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】000132161
【氏名又は名称】株式会社スギノマシン
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】徳道 世一
【テーマコード(参考)】
3B116
3B201
【Fターム(参考)】
3B116AA13
3B116AB51
3B116BB21
3B116BB44
3B116BB53
3B116BB62
3B201AA13
3B201AB51
3B201BB21
3B201BB44
3B201BB53
3B201BB62
3B201BB92
(57)【要約】
【課題】作業時間を短縮でき、作業者の負担が少ない洗浄装置を提供する。
【解決手段】本発明の洗浄装置1は、高圧液供給源Pから供給される液体が流れるホース6に連結され前記液体をワークWに噴射するためのノズル5と、ノズル5が内部を往来する導管3と、ホース6を進退方向に移動させる駆動装置11と、導管3の先端に設けられワークWとの接触を検知する接触部7と、接触部7の接触検知に伴って駆動装置11をホース6の前進方向に駆動させる駆動指令部8と、駆動装置11の駆動に伴いノズル5およびホース6を前進方向に移動するように回転する送りローラ10とを備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧液供給源から供給される液体が流れるホースに連結され前記液体をワークに噴射するためのノズルと、
前記ノズルが内部を往来する導管と、
前記ホースを進退方向に移動させる駆動装置と、
前記導管の先端に設けられワークとの接触を検知する接触部と、
前記接触部の接触検知に伴って前記駆動装置を前記ホースの前進方向に駆動させる駆動指令部と、
前記駆動装置の駆動に伴い前記ノズルおよび前記ホースを前記前進方向に移動するように回転する送りローラとを
備えることを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
前記ホースに設けられる前進端検知部と、
前記前進端検知部の検知に伴って前記駆動装置を後進方向に駆動させる前進端切換部とを
備えることを特徴とする請求項1記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記ホースの後進の限界位置を検知する後進端検知部を備える
ことを特徴とする請求項2記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記ホースが停止するように支持するブレーキを有する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか一項に記載の洗浄装置。
【請求項5】
前記送りローラに対向してホースを支持する押さえローラを有する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか一項に記載の洗浄装置。
【請求項6】
前記導管に配置され排液を行う排液誘導部を有する
ことを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか一項に記載の洗浄装置。
【請求項7】
前記駆動装置は、エアーモータである
ことを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか一項に記載の洗浄装置。
【請求項8】
空圧により動作制御が行われる
ことを特徴とする請求項1から請求項7のうちのいずれか一項に記載の洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱交換器等の管内を洗浄する場合、ノズルを有する高圧ホースを洗浄対象の管内に挿入または引き抜きを手作業で行ったり、高圧ホースの巻き取りを自動化した構成で行われている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の洗浄装置は、装置本体(1)に正逆回転駆動可能に配設した回転ドラム(2)にホース(3)が巻回されている。ホース(3)の基端部に高圧水供給ポンプ(4)が接続されると共に、ホース(3)の先端部に高圧水噴射ノズル(5)が連結され、高圧水噴射ノズル(5)はノズル発射ガン(6)内に挿入される構成である。管内の洗浄に際しては、回転ドラム(2)を正転駆動してホース(3)を繰り出すことによりノズル発射ガン(6)から高圧水噴射ノズル(5)によって多管式熱交換器(目的物)の熱交換用管内に洗浄水が発射される。洗浄後、回転ドラム(2)を逆転駆動してホース(3)を巻き取ることにより高圧水噴射ノズル(5)がノズル発射ガン(6)内に引き戻される。
【0004】
また、特許文献2に記載の洗浄装置(高圧ホース支持装置)は、先端に高圧流体噴射ノズル(ノズル4)を備えた可撓性導管(高圧ホース2)を処理対象管(処理管5)の内部に管端から挿入又は抜去するために処理対象管(処理管5)の管端の前面で可撓性導管(高圧ホース2)を支持する。そして、可撓性導管(高圧ホース2)を挿通可能な本体(装置本体1)に、可撓性導管(高圧ホース2)を正逆軸方向に送る駆動装置(駆動部6、36)が装備されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7―204598号公報
【特許文献2】特開平11―148798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の洗浄装置では、高圧水噴射ノズル(5)および高圧ホース(3)の回転ドラム(2)への巻取りは、エアモータ(21)の正逆回転の切換をスイッチで行うことで実現していた。
しかし、エアモータ(21)の正逆回転は作業者の手元のスイッチによって切り換える必要があるため、完全な自働化には至っていなかった。さらに、ノズル(5)と回転ドラム(2)に距離がある場合、エアモータ(21)の正逆回転の切換と高圧ホース(3)の巻取りのタイミングに誤差が生じ、洗浄終了のタイミングも分かり難いという課題があった。
【0007】
特許文献2に記載の洗浄装置(高圧ホース支持装置)も同様にハンドル(ハンドル部8)付近のスイッチのON/OFFの切換によって、エアモータ(7)の正逆回転の切換をしていたものの、熱交換器(多管式熱交換器25)の管(処理管5)は非常に多数存在している。そのため、スイッチによるエアモータ(7)の起動、正逆回転の切換、ノズル(4)による管(処理管5)内面の洗浄といった一連の作業に要する時間がかかってしまうという課題があった。
【0008】
特許文献1、2に記載の構成を含めて、熱交換器等の管内面の洗浄作業は、管の本数が数千本以上あることが多く、作業者の手動によるスイッチのON/OFFの労力やそれにかかる時間は大変なものがあった。
加えて、スイッチをONにし続けるために起動ボタンを押し続けなければ作業ができないケースもあり、そうした場合には、より一層、作業者に負担がかかる場合がある。
【0009】
本発明は上記実状に鑑み創案されたものであり、作業時間を短縮でき、作業者の負担が少ない洗浄装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明の洗浄装置は、高圧液供給源から供給される液体が流れるホースに連結され前記液体をワークに噴射するためのノズルと、前記ノズルが内部を往来する導管と、前記ホースを進退方向に移動させる駆動装置と、前記導管の先端に設けられワークとの接触を検知する接触部と、前記接触部の接触検知に伴って前記駆動装置を前記ホースの前進方向に駆動させる駆動指令部と、前記駆動装置の駆動に伴い前記ノズルおよび前記ホースを前記前進方向に移動するように回転する送りローラとを備えている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、作業時間を短縮でき、作業者の負担が少ない洗浄装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る実施形態のホース自動送り洗浄装置を側方から見た概念的正面断面図。
図2】本発明に係る実施形態のホース自動送り洗浄装置の一部上面断面図。
図3】実施形態のホース自動送り洗浄装置を側方から見た一部正面断面図。
図4】ホース自動送り洗浄装置の制御機構の概念図。
図5】実施形態のホース自動送り洗浄装置の先端部の詳細を表す上面断面図。
図6】実施形態のホース自動送り洗浄装置の先端部の詳細を側方から見た正面断面図。
図7】実施形態の本体の詳細を表す側面断面図の図2のI-I断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、パイプや熱交換器等の管の内面を洗浄するホース自動送り洗浄装置に係る。
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に、本発明に係る実施形態のホース自動送り洗浄装置1を側方から見た概念的正面断面図を示す。
実施形態のホース自動送り洗浄装置(洗浄装置)1は、パイプや熱交換器等の管(ワークW)の内面を高圧液体で洗浄するものである。なお、以下では、高圧液体として高圧水を例に挙げて説明する。
【0014】
(ホース自動送り洗浄装置1の構成)
ホース自動送り洗浄装置1は、ポンプPから供給される高圧液体をワークWの管の内面等に噴射する、作業者が手持ちするガンである。
ホース自動送り洗浄装置1は、先端部2、高圧ホース6が挿通する導管3、および本体4で構成されている。なお、本実施形態では、高圧液体の一例として高圧水を例に挙げて説明する。
【0015】
ホース自動送り洗浄装置1は、ノズル5が連結される高圧ホース6が自動的に進退移動(前進(図1の矢印α11)または後進(図1の矢印α12))しつつ、ノズル5から高圧水をワークWの管内面等に噴射して洗浄する装置である。
高圧ホース6の一方端(図1の左端部)には高圧水を噴射するためのノズル5が取り付けられている。高圧ホース6の他方端(図1の右端部)は高圧水供給源のポンプPに接続されている。
【0016】
先端部2、導管3、および本体4の各構成の内部は筒状の空間が形成されている。該筒状の空間には、高圧ホース6に連結されるノズル5が前進(図1の矢印α11)または後進(図1の矢印α12)する往来可能になっている。
【0017】
本体4には、筒状の導管3の内部で、ノズル5および高圧ホース6を前進または後進移動させる駆動装置11が収納されている。例えば、ホース自動送り洗浄装置1は、高圧水を利用した洗浄現場で用いるため、できるだけ電気配線がないことが好ましい。そこで、駆動装置11として、例えば、電気配線がなく稼働できる市販のエアーモータを利用することができる。駆動装置11のエアーモータは、エア供給源A(図1参照)から供給されるエアを用いて駆動する。
【0018】
ノズル5および高圧ホース6の進退(前進(図1の矢印α11)、後進(図1の矢印α12))方向は、駆動装置11の正逆の回転の切換によって、切り替えられる。
先端部2は、導管3の一部を成す筒状の固定部3aと、固定部3aに対して移動する移動部2iとを有している。移動部2iは、筒形状を有している。移動部2iは、スプリング2bを介して、筒状の固定部3aの一方側の外周に設けられている。固定部3aの他方側は導管3が一体に形成されている。
【0019】
スプリング2bは、圧縮バネであり、移動部2iを固定部3aに対して先端外方(図1の左側)に押圧している。つまり、移動部2iは、スプリング2bにより、前進(図1の矢印α11)方向の押圧力を受けている。これにより、移動部2iは、筒状の固定部3aに対して、スプリング2bによる弾性力(図1の矢印α11方向)を受けつつ移動する。
【0020】
図2に、本発明に係る実施形態のホース自動送り洗浄装置1の一部上面断面図を示す。
図3に、実施形態のホース自動送り洗浄装置1を側方から見た一部正面断面図を示す。
【0021】
図1図2に示すように、移動部2iには、洗浄対象のワークWの端面との接触を検知する接触部7が取り付けられている。そして、接触部7がワークWの端面と接触すると、移動部2iはスプリング2bによりワークW側(図1の矢印α11方向)への押圧力を受けつつ、固定部3a側に移動する。
固定部3aには、高圧ホース6の前進(図1の矢印α11)移動の開始を指令する駆動指令部8(図5参照)が設けられている。
【0022】
図2に示すように、移動部2iには、駆動指令起動部9が駆動指令部8に対向して設けられている。駆動指令部8は、接触部7のワークWの端面との接触に伴って駆動指令起動部9に当接する。
【0023】
これにより、駆動指令部8の駆動リミットバルブ8v(図4参照)が開弁して先端部2が、図1に示すワークWに接触していることを検知する。図4に、ホース自動送り洗浄装置1の制御機構の概念図を示す。なお、図4では、内部機構を示し、導管3、本体4等の外装は省略して示す。
【0024】
そして、駆動装置11が駆動開始(図4の矢印α21)して、高圧ホース6が前進方向(図1の矢印α11)に移動する。
ホース自動送り洗浄装置1は、空気が流れる空圧回路であるエア制御盤Aaにより制御されている。
【0025】
(ノズル5、高圧ホース6)
図1に示すように、高圧ホース6の一方端部にはノズル5が固定されている。ノズル5には、高圧ホース6を通して高圧水供給源のポンプPから高圧水が供給される。そして、ノズル5はポンプPから高圧ホース6を通して供給される高圧水をワークWの管の内面等に向けて噴射する。
【0026】
図5に実施形態の先端部2の詳細を表す上面断面図を示す。
図6に実施形態の先端部2の詳細を側方から見た正面断面図を示す。
ノズル5は、例えば、洗浄対象となる熱交換器の管の内面(ワークW)を洗浄する場合、ワークWの管の内面に対して高圧水を噴射するために、周方向への噴射孔5a(図6図1参照)を有するノズルであることが好ましい。
【0027】
なお、噴射孔5aの数はワークWの管内の360度の全面に高圧水が行き届かせるために、固定式のノズルの場合、4つ以上の噴射孔5aを有することが好ましい。また、駆動装置11による送りローラ10の回転動作によって、ノズル5および高圧ホース6が前進または後進するが、より高圧水の推進力を向上するために、ノズル5の後端に推進および洗浄後の排水を排出するためのバック噴射孔5b(図6図1参照)を形成することもできる。
その他、固定式のノズル5ではなく、ノズル5が回転する方式とすることもできる。
【0028】
高圧ホース6は、内部に高圧水が供給される可橈性のホースである。高圧ホース6は、耐圧性を備えるものであればよく、市販の高圧ホース等を用いることができる。
【0029】
(先端部2)
図6に、実施形態のホース自動送り洗浄装置1の先端部2の詳細を側方から見た正面断面図を示す。
図5図6に示すように、先端部2は、先端キャップ2a、スプリング2b、駆動指令部8、駆動指令起動部9、および固定部3aを有している。
固定部3aは、筒形状を有する導管3の先端部に形成されている。駆動指令部8は固定部3aに固定されている。
【0030】
先端キャップ2aは、筒形状を有して固定部3aの外周に進退自在(移動自在)に設けられている。
スプリング2bは、圧縮スプリングであり、固定部3aの外周外方に設けられている。先端キャップ2aは、スプリング2bにより先端部2の先端外方に押圧されている。
接触部7は、先端キャップ2aに固定されて先端部2の先端に設けられている。接触部7は、先端キャップ2aをワークW(図1参照)に固定することを補助する。接触部7としては、例えば、市販の接触子を利用することができる。
【0031】
接触部7および先端キャップ2aは、通常時は固定部3aに対してスプリング2bで先端側に押圧されて先端部2に支持されている。
【0032】
(駆動装置11)
導管3内部での高圧ホース6の進退移動のために送りローラ10が高圧ホース6に当接して設けられている。
【0033】
図4に示す駆動装置11は、送りローラ10を回転させる(図4のα21、α22)ことで、ノズル5および高圧ホース6を前進(図1の矢印α11)または後進(図1の矢印α12)させる。すなわち、送りローラ10を一方回転(図4のα21)させることで、ノズル5および高圧ホース6を前進(図1の矢印α11)させる。一方、送りローラ10を逆転(図4のα22)させることで、ノズル5および高圧ホース6を後進(図1の矢印α12)させる。
【0034】
駆動装置11として、例えば、電気配線がなく稼働できる市販のエアモータを利用することができる。
図1図2に示す送りローラ10は、駆動装置11と連結されている。送りローラ10は、高圧ホース6に当接されており、駆動装置11の駆動(回転運動)が高圧ホース6に伝達される。
【0035】
図4に示すように、送りローラ10は、駆動装置11のエアーモータの正逆の回転の切換によって、ノズル5および高圧ホース6を前進(図4の矢印α11)または後進(図4の矢印α12)するように、正逆回転(図4の矢印α21、α22)が切り替えられる。
送りローラ10は、駆動装置11の起動に伴いノズル5および高圧ホース6を前進方向(図4の矢印α11)に移動するように回転する(図4の矢印α21)。そして、送りローラ10は、ノズル5および高圧ホース6の所定距離の前進後に後退方向(図4の矢印α12)に回転する(図4の矢印α22)。
【0036】
図7に、実施形態の本体4の詳細を表す側面断面図の図2のI-I断面を示す。
送りローラ10は、例えば、高圧ホース6の半分以上を囲い込む(覆う)形状になっているローラ等を利用することができる。
【0037】
(高圧ホース6の拘束(押さえローラ19、ブレーキ17))
駆動装置11の回転駆動と高圧ホース6の前進および後進の精度を向上するために押さえローラ19(図7)およびブレーキ17(図4参照)を配置している。
ブレーキ17は、ノズル5および高圧ホース6の移動を停止させる。
高圧ホース6を送りローラ10を用いて確実に送るために、送りローラ10に対向して、高圧ホース6を間に挟んで、高圧ホース6を押さえる押さえローラ19が設けられている。押さえローラ19は、高圧ホース6を送りローラ10の方向に押さえる。
【0038】
こうして、筒状の導管3の内部に配置される高圧ホース6は、送りローラ10と押さえローラ19とで挟持され、送りローラ10の正逆回転(図4の矢印α21、α22)により、導管3(図2参照)に対して進退移動(図4の矢印α11、α12)させられる。
図4図7に示すように、本体4には、押さえローラ19による高圧ホース6の押さえ支持(図7の矢印α31)とその解除(図7の矢印α32)を駆動する押さえローラ用のエアシリンダ20が搭載されている。エアシリンダ20は、エア供給源A(図1参照)から供給されるエアを用いて駆動する。
【0039】
押さえローラ19は、押さえローラ用のエアシリンダ20に連結されている。接触部7のワークWへの当接による駆動指令部8の開放に伴い、エアシリンダ20が起動し、押さえローラ19が高圧ホース6側に押し出される(図7の矢印α31)。これにより、押さえローラ19が送りローラ10の反対側から高圧ホース6を押さえて支持する。
【0040】
ブレーキ17は、本体4に搭載されているブレーキ用のエアシリンダ18(図4参照)に連結する部材である。エアシリンダ18は、エア供給源A(図1参照)から供給されるエアを用いて駆動する。
【0041】
図4に示すように、ブレーキ17は、起動前は高圧ホース6を押さえて移動しないように支持している。接触部7のワークWとの接触を契機とする駆動指令起動部9による駆動指令部8の起動リミットバルブ8v(図5参照)の開放に伴い、エアシリンダ18が起動し、ブレーキ17による高圧ホース6の支持が解除される。
【0042】
(ホース自動送り洗浄装置1によるワークWの洗浄の開始)
図1に示すように、ホース自動送り洗浄装置1を管の内面等のワークWの管の内面等を洗浄するためにワークWに近付け、接触部7がワークWの端面に接触すると、移動部2iがスプリング2bの弾性力に抗して固定部3aに近づくように移動する。
【0043】
図1に示すように、接触部7がワークWの管内を洗浄のためにワークWに接触した(押し込む)際に、ワークWに押されて移動部2iの先端キャップ2aがスプリング2bに抗して固定部3a側に移動する。これにより、先端キャップ2aを有する移動部2iの駆動指令起動部9が固定部3aの駆動指令部8に当接すると、図4図5に示す駆動指令部8が開放され駆動指令部8の起動リミットバルブ8vが開弁する。
【0044】
すると、図4に示すエアシリンダ17によりブレーキ17が解除されるとともに、エアシリンダ20により図7の矢印α31に示すように押さえローラ19で高圧ホース6が送りローラ10に対向して押さえられる。そして、駆動装置11に空気が流れて回転(図4の矢印α21)起動して送りローラ10により、高圧ホース6とノズル5はワークWに向かっての前進方向の移動(図1の矢印α11)が開始される。
【0045】
(前進端検知および後進端検知の構成)
実施形態のホース自動送り洗浄装置1においては、ノズル5および高圧ホース6の前進(図1の矢印α11)の限界位置を検知する前進端検知と、ノズル5および高圧ホース6の後進(図1の矢印α12)の限界位置を検知する後進端検知とを行っている。ホース自動送り洗浄装置1は、前進端検知および後進端検知により、洗浄作業に人手を介さない自働化を図っている。
【0046】
図2に示すように、ノズル5および高圧ホース6がワークW(図1参照)側に前進する限界である前進端検知を実現する下記の構成を有している。
高圧ホース6の途中の本体4の後ろ側に、立体形状の前進端検知部12を配置している。そして、前進端検知部12を前進(図1の矢印α11)の限界位置の所定の前進端検知位置で検知するに伴い、駆動装置11を前進方向から後進方向に切換駆動させる前進端切換部15を有している。
【0047】
具体的には、前進(図1の矢印α11)を後進(図1の矢印α12)に切り換える前進端切換部15は、切換スイッチ15wに内接している。
高圧ホース6が前進中に、高圧ホース6の途中の前進端検知部12が緩衝板14に当接すると、緩衝板14に固定される連結部14oが切換スイッチ15wのレバー15w1を押す。これにより、前進端切換部15が前進(図1の矢印α11)から後進(図1の矢印α12)に切り換わる。こうして、駆動装置11の回転が前進(図4矢印α21)から後進(図4矢印α22)に逆転する。
【0048】
ここで、高圧ホース6は勢いよく前進するため、本体4内の各種機構が損傷しないように、図3に示すように、緩衝板14と本体4の間に、緩衝材を成す弾性材の緩衝部材13を配置している。
【0049】
後進端検知を実現する構成として下記の構成を有している。
図5に示すように、ホース自動送り洗浄装置1の先端部2付近には、ノズル5の平常時の位置を規定する後進端検知部16が配置されている。
つまり、導管3内におけるノズル5の規定位置に対向して、後進(図1の矢印α12)の限界位置を検知する後進端検知部16を配置している。後進端検知部16の後進の限界位置の検知に伴って駆動装置11は後進のための回転(図4のα22)を停止する。具体的には、ノズル5および高圧ホース6が後進中(図6の矢印α12)にノズル5が後進端検知部16内に配置するカム16a(図6参照)をOFFの状態に切り換えることで、駆動装置11の後進のための回転(図4のα22)が停止される。
【0050】
(洗浄中・後の排水)
洗浄中および洗浄後には、ワークWの管内および導管3内にノズル5から吐出された洗浄後の排水が押し出される。
ホース自動送り洗浄装置1では、洗浄中・後の排水を外部に排出するために、図3に示すように、排水のための配管21kが接続される排水誘導部21を配置することができる。排水誘導部21は、本体4内の駆動装置11やエアシリンダ18、20等に過度の排水がかかって故障しないように、駆動装置11やエアシリンダ18、20等から離隔した(遠い)先端部2付近に配置されることが望ましい。
【0051】
(ホース自動送り洗浄装置1による洗浄工程)
次に、図4を用いて、ホース自動送り洗浄装置1による洗浄工程について説明する。
【0052】
まず、図4に示すホース自動送り洗浄装置1の起動部101を起動して、エア供給源A(図1参照)から供給されるエアで駆動される駆動装置(エアモータ)11、エアシリンダ18、20等の駆動系機器や、高圧水を供給する高圧水供給源のポンプPを準備モードにする。
【0053】
次に、熱交換器の管等のワークWの洗浄を行うために、図1に示すように、ワークWに先端部2を近づけて、ワークWの端面にホース自動送り洗浄装置1の接触部7を接触させる。移動部2iの駆動指令起動部9が固定側の駆動指令部8(図2参照)に当接すると、駆動指令部8の起動リミットバルブ8v(図5参照)が開弁して、駆動指令部8内にエアが供給される。そして、高圧ホース6の押さえ用のエアシリンダ20(図4参照)がONになることで、図4に示す押さえローラ19が高圧ホース6側に移動して高圧ホース6を送りローラ10側に押さえて支持する。また、図1図4に示すブレーキ用のエアシリンダ18がOFFになることで、高圧ホース6からブレーキ17が解除される(図7の二点鎖線)。そして、駆動装置11にエアが供給される。
【0054】
その結果、高圧ホース6が送りローラ10に送られてワークW側の前進方向(図1の矢印α11)に移動しつつ、高圧水供給源のポンプP、高圧ホース6から送られる高圧水を、ノズル5からワークWの管内の表面に噴射し、洗浄しながらワークWの管内を前進する。
【0055】
そして、高圧ホース6が前進限界の規定の位置まで前進すると、本体4の外部にあって高圧ホース6の途中に配置される前進端検知部12(図1図2参照)が緩衝板14に衝突する。すると、図2に示すように、前進端切換部15に内接する切換スイッチ15wのレバー15w1が、緩衝板14の連結部14oに押されて、前進端切換部15が前進から後進に切り換わる。前進端切換部15の切り換えにより、駆動装置11の回転が逆転し(図4の矢印α22)、高圧ホース6がワークWから離隔する方向の後進(図1の矢印α12)が開始される。
【0056】
次に、ノズル5および高圧ホース6の後進(図1の矢印α12)が開始された後、先端部2付近に配置される後進端検知部16(図6)にノズル5が到達すると、カム16aが回転し、OFFの状態に切り換える。これにより、駆動装置11へのエアが停止される。また、エアシリンダ18(図4参照)がONになることでブレーキ17が高圧ホース6を押圧して回転を制動して停止する。
また、エアシリンダ20(図4参照)がOFFになることで、押さえローラ19の高圧ホース6への押圧が停止されて高圧ホース6の支持が解除される。
【0057】
上述のノズル5および高圧ホース6の前進から後進の一連の作業が終わった段階で、作業者は、ワークWから接触部7(図1参照)を離隔させてホース自動送り洗浄装置1を外す。そして、作業者は、別の洗浄箇所のワークWにホース自動送り洗浄装置1を接近させて接触部7を配置する。こうして、再びホース自動送り洗浄装置1によるワークWの管内の同じ洗浄動作を繰り返すことができる。
【0058】
上記構成のホース自動送り洗浄装置1によれば、駆動装置11、エアシリンダ18、20等の動作制御のすべてを、エアを利用した構成とする。これにより、電気設備(各種機器、配線等)を用いることなく、洗浄現場(屋内、屋外)における安全性を確保できる。
加えて、ホース自動送り洗浄装置1の起動や高圧ホース6の前進後進が連動できるように、ワークWの管内の洗浄プロセスを自働化し、一連の作業時間を短縮することができる。そのため、作業者に負担のかからないホース自動送り洗浄装置1を提供できる。
【0059】
なお、前記実施形態では、高圧液体として高圧水を例に挙げて説明したが、高圧液体であれば、高圧水に限定されないのは勿論である。
以上、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0060】
1 ホース自動送り洗浄装置(洗浄装置)
2 先端部(導管の先端)
3 導管
5 ノズル
6 高圧ホース(ホース)
7 接触部
8 駆動指令部
9 駆動指令起動部
10 送りローラ
11 駆動装置(エアーモータ)
12 前進端検知部
15 前進端切換部
16 後進端検知部
16a カム(後進端検知部)
17 ブレーキ
19 押さえローラ
21 排水誘導部
P ポンプ(高圧液供給源)
A エア供給源
W ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7