(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022102567
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】飲料供給機
(51)【国際特許分類】
B67D 1/04 20060101AFI20220630BHJP
【FI】
B67D1/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020217377
(22)【出願日】2020-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】淺野 勝宏
(72)【発明者】
【氏名】原 輝道
(72)【発明者】
【氏名】稲田 雅司
(72)【発明者】
【氏名】上野 俊一
(72)【発明者】
【氏名】土江 秀樹
【テーマコード(参考)】
3E082
【Fターム(参考)】
3E082AA04
3E082BB05
3E082CC03
3E082DD20
(57)【要約】
【課題】第1には、管理を容易にしつつ飲料の酸化を抑制し、第2には、飲料を飲み頃にする上での利便性を向上させる。
【解決手段】ワインディスペンサ(飲料供給機)10は、ボトル(飲料供給源)Bのワイン(飲料)Wを供給するワイン供給管(飲料供給部)12と、空気に含まれる酸素と窒素とを分離させる分離膜を有していて分離前の空気よりも窒素の含有率が高い窒素富化空気を少なくとも生成する分離部21と、分離部21に接続されていて窒素富化空気をボトルBに供給する窒素富化空気供給管(窒素富化空気供給部)23と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料供給源の飲料を供給する飲料供給部と、
空気に含まれる酸素と窒素とを分離させる分離膜を有していて分離前の空気よりも前記窒素の含有率が高い窒素富化空気を少なくとも生成する分離部と、
前記分離部に接続されていて前記窒素富化空気を前記飲料供給源に供給する窒素富化空気供給部と、を備える飲料供給機。
【請求項2】
前記飲料供給部は、前記飲料を容器に供給しており、
前記分離部は、分離前の空気よりも前記酸素の含有率が高い酸素富化空気を生成しており、
前記分離部に接続されていて前記酸素富化空気を前記容器に供給する酸素富化空気供給部を備える請求項1記載の飲料供給機。
【請求項3】
前記飲料供給部に介装される飲料供給調整部と、
前記酸素富化空気供給部に介装される酸素富化空気供給弁と、
少なくとも前記飲料供給調整部及び前記酸素富化空気供給弁に接続されていてこれらを制御する制御部と、を備えており、
前記制御部は、前記酸素富化空気供給部による前記酸素富化空気の供給が、前記飲料供給部による前記飲料の供給に先行して開始されるよう、前記飲料供給調整部及び前記酸素富化空気供給弁を制御する請求項2記載の飲料供給機。
【請求項4】
前記酸素富化空気供給部は、前記容器に供給される前記飲料に対して前記酸素富化空気が吹き付けられるよう、前記飲料供給部に対して傾いて配される請求項2または請求項3記載の飲料供給機。
【請求項5】
前記容器を収容する容器収容部を備えており、
前記酸素富化空気供給部は、前記容器収容部に前記酸素富化空気を供給する請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の飲料供給機。
【請求項6】
前記飲料供給部は、前記飲料としてワインまたは日本酒を前記容器に供給する請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の飲料供給機。
【請求項7】
前記飲料供給部は、前記飲料を容器に供給しており、
前記分離部に接続されていて前記窒素富化空気を前記容器に供給する第2の窒素富化空気供給部を備える請求項1記載の飲料供給機。
【請求項8】
前記飲料の原材料と前記原材料を溶かす液体とを混合して前記飲料を生成する混合部を備えており、
前記混合部は、前記飲料供給源を構成する請求項7記載の飲料供給機。
【請求項9】
前記窒素富化空気供給部及び前記第2の窒素富化空気供給部の少なくとも一方における前記窒素富化空気の供給を調整する窒素富化空気供給弁と、
少なくとも前記窒素富化空気供給弁及び前記混合部に接続されていてこれらを制御する制御部と、を備えており、
前記制御部は、前記窒素富化空気供給部による前記窒素富化空気の供給が、前記混合部での前記飲料の生成に先行して開始されるよう、前記窒素富化空気供給弁及び前記混合部を制御する請求項8記載の飲料供給機。
【請求項10】
一端側が前記分離部に接続されて他端側が前記窒素富化空気供給部及び前記第2の窒素富化空気供給部の双方に接続される共通窒素富化空気供給部を備える請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の飲料供給機。
【請求項11】
前記容器を収容する容器収容部を備えており、
前記第2の窒素富化空気供給部は、前記容器収容部に前記窒素富化空気を供給する請求項7から請求項10のいずれか1項に記載の飲料供給機。
【請求項12】
前記分離部は、分離前の空気よりも前記酸素の含有率が高い酸素富化空気を生成しており、
前記分離部に接続されていて前記酸素富化空気を外部に排出する酸素富化空気排出部を備える請求項7から請求項11のいずれか1項に記載の飲料供給機。
【請求項13】
飲料を容器に供給する飲料供給部と、
空気に含まれる酸素と窒素とを分離させる分離膜を有していて分離前の空気よりも前記酸素の含有率が高い酸素富化空気を少なくとも生成する分離部と、
前記分離部に接続されていて前記酸素富化空気を前記容器に供給する酸素富化空気供給部と、を備える飲料供給機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、飲料供給機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の飲料供給機として下記特許文献1,2に記載されたものが知られている。特許文献1には、飲料供給機として液体供給装置が記載されており、当該液体供給装置は、液体(ワイン)を貯める容器(ワインボトル)と、該容器の開口を密封する着脱自在の栓体と、加圧ガス(窒素ガス)を供給するガス供給源(窒素ガスボンベ)と、前記栓体に挿通し一端が前記容器内上部に位置し他端を前記ガス供給源に接続するガス供給管体と、前記栓体に挿通し一端を液体供給体に接続し他端側の前記容器内の底部に至る部分を伸縮自在とした液体供給管体とを備える。
【0003】
一方、特許文献2には、飲料供給機として飲料ディスペンサが記載されており、当該飲料ディスペンサは、ミキシングケースと、ミキシングケースへ水を供給する給水パイプ及び冷水注出パイプと、ECUによって開閉を制御される給水パイプの第一ウォータバルブ及び冷水注出パイプの第三ウォータバルブと、給水パイプに取り付けられ水の水圧を検出するフローセンサとを備え、ECUは、水の供給が所定量に達するまで、冷水注出パイプからミキシングケースへの水の通水と、通水の停止とが交互に繰り返されるように、第一ウォータバルブを開閉させて冷水注出パイプが水を供給するタイミングを間欠的に制御し、通水の停止の時間は水圧に応じて変更される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような液体供給装置及び飲料ディスペンサには、次のような共通の課題が存在する。すなわち、ワインボトルのワインやミキシングケースの飲料において不用意な酸化が進行すると、飲料の味や香りが劣化する、というものである。特許文献1では、ガス供給管体によって窒素ガスボンベの窒素ガスをワインボトルに供給することで、ワインの酸化防止を図るようにしているものの、窒素ガスボンベの交換などの作業を定期的に行う必要があって管理が煩わしく、そのような作業を行う間は液体供給装置が使用不可になる、などの問題があった。
【0007】
一方、特許文献1に記載された液体供給装置においては、ワインボトルに貯留されたワインについては酸化が進行するのが好ましくないものの、ワイン供給管体によってワイングラスに注がれたワインについてはある程度まで酸化が進行するのが好ましい場合がある。その場合、ワイングラスのワインをデキャンタに移し替えた上で改めてデキャンタージュを行う必要があり、ワインが飲み頃になるまで時間と手間を要するなど利便性に問題があった。
【0008】
本願明細書に記載の技術は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、第1には、管理を容易にしつつ飲料の酸化を抑制することを目的とし、第2には、飲料を飲み頃にする上での利便性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本願明細書に記載の技術に関わる飲料供給機は、飲料供給源の飲料を供給する飲料供給部と、空気に含まれる酸素と窒素とを分離させる分離膜を有していて分離前の空気よりも前記窒素の含有率が高い窒素富化空気を少なくとも生成する分離部と、前記分離部に接続されていて前記窒素富化空気を前記飲料供給源に供給する窒素富化空気供給部と、を備える。
【0010】
このようにすれば、飲料供給源の飲料が飲料供給部によって供給される。分離部では、分離膜によって空気に含まれる窒素と酸素とを分離させることで、少なくとも窒素富化空気が生成される。分離部にて生成された窒素富化空気は、分離前の空気よりも窒素の含有率が高くて酸素の含有率が低くなっている。従って、窒素富化空気供給部によって窒素富化空気が飲料供給源に供給されることで、飲料供給源にある飲料が酸化し難くなる。飲料供給源にある飲料の酸化が抑制されれば、飲料供給部により供給される飲料の味や香りが良好なものとなる。ここで、窒素富化空気は、分離部の分離膜によって空気に含まれる窒素と酸素とを分離させることで生成されているので、従来のような窒素ボンベに貯留された窒素を用いて飲料の酸化を抑制する場合に窒素ボンベの交換などの作業が必要になるのに比べると、管理が容易になるとともに作業の実施に伴う使用不可期間が削減されて利便性に優れる。
【0011】
(2)また、上記飲料供給機は、上記(1)に加え、前記飲料供給部は、前記飲料を容器に供給しており、前記分離部は、分離前の空気よりも前記酸素の含有率が高い酸素富化空気を生成しており、前記分離部に接続されていて前記酸素富化空気を前記容器に供給する酸素富化空気供給部を備えてもよい。このようにすれば、分離部では、分離膜によって空気に含まれる窒素と酸素とを分離させることで、窒素富化空気に加えて酸素富化空気が生成される。分離部にて生成された酸素富化空気は、分離前の空気よりも酸素の含有率が高くて窒素の含有率が低くなっている。従って、飲料として酸化に伴って味や香りが豊かになるタイプのものを扱う場合には、酸素富化空気供給部によって酸素富化空気が容器に供給されることで、容器にある飲料の酸化が促進され、飲料の味や香りを豊かにすることができる。仮に容器の飲料を移し替えて酸化を促すデキャンタージュを別途行う場合に比べると、手間や時間をかけずに飲料を飲み頃にすることができて利便性に優れる。しかも、分離部により生成された窒素富化空気及び酸素富化空気を双方共に有効に利用することができる。
【0012】
(3)また、上記飲料供給機は、上記(2)に加え、前記飲料供給部に介装される飲料供給調整部と、前記酸素富化空気供給部に介装される酸素富化空気供給弁と、少なくとも前記飲料供給調整部及び前記酸素富化空気供給弁に接続されていてこれらを制御する制御部と、を備えており、前記制御部は、前記酸素富化空気供給部による前記酸素富化空気の供給が、前記飲料供給部による前記飲料の供給に先行して開始されるよう、前記飲料供給調整部及び前記酸素富化空気供給弁を制御してもよい。このようにすれば、制御部により飲料供給調整部が制御されることで、飲料供給部から容器への飲料の供給量及び供給タイミングなどが調整される。制御部により酸素富化空気供給弁が制御されることで、酸素富化空気供給部から容器への酸素富化空気の供給量及び供給タイミングなどが調整される。そして、制御部により飲料供給調整部及び酸素富化空気供給弁が制御されることで、酸素富化空気供給部による酸素富化空気の供給が、飲料供給部による飲料の供給に先行して開始されるようになっているので、予め酸素富化空気によって満たされた状態の容器内に飲料が供給されることになる。これにより、容器において飲料の酸化が効率的に促進され、飲料をよりスピーディに飲み頃にすることができる。
【0013】
(4)また、上記飲料供給機は、上記(2)または上記(3)に加え、前記酸素富化空気供給部は、前記容器に供給される前記飲料に対して前記酸素富化空気が吹き付けられるよう、前記飲料供給部に対して傾いて配されてもよい。このようにすれば、飲料供給部から容器に供給される飲料に対し、飲料供給部に対して傾いて配される酸素富化空気供給部から供給される酸素富化空気が吹き付けられるようになっているから、飲料に酸素富化空気が混ざり易くなっている。これにより、飲料の酸化が効率的に促進され、飲料をよりスピーディに飲み頃にすることができる。
【0014】
(5)また、上記飲料供給機は、上記(2)から上記(4)のいずれかに加え、前記容器を収容する容器収容部を備えており、前記酸素富化空気供給部は、前記容器収容部に前記酸素富化空気を供給してもよい。このようにすれば、容器収容部に対して酸素富化空気供給部から酸素富化空気が供給されると、容器収容部に収容された容器にも酸素富化空気が供給される。容器を収容する容器収容部が酸素富化空気によって満たされることで、容器内の酸素富化空気が留まり易くなる。これにより、仮に外部に開放された環境で容器に酸素富化空気を供給する場合に比べると、酸素富化空気による飲料の酸化が促進され易くなる。
【0015】
(6)また、上記飲料供給機は、上記(2)から上記(5)のいずれかに加え、前記飲料供給部は、前記飲料としてワインまたは日本酒を前記容器に供給してもよい。このようにすれば、飲料供給部によって容器に供給された飲料であるワインまたは日本酒は、酸素富化空気供給部によって酸素富化空気が容器に供給されることで、酸化が促進され、味や香りが豊かなものとなる。なお、飲料供給源は、飲料であるワインまたは日本酒が貯留されたボトルなどとなる。
【0016】
(7)また、上記飲料供給機は、上記(1)に加え、前記飲料供給部は、前記飲料を容器に供給しており、前記分離部に接続されていて前記窒素富化空気を前記容器に供給する第2の窒素富化空気供給部を備えてもよい。このようにすれば、分離部にて生成された窒素富化空気は、窒素富化空気供給部により飲料供給源に供給されるとともに第2の窒素富化空気供給部により容器に供給される。従って、飲料として酸化に伴って味や香りが劣化し易いタイプのものを扱う場合には、窒素富化空気供給部によって窒素富化空気が飲料供給源に供給されることで飲料供給源にある飲料の酸化が抑制されるとともに、第2の窒素富化空気供給部によって窒素富化空気が容器に供給されることで容器にある飲料の酸化が抑制されるので、飲料の味や香りがより劣化し難くなる。
【0017】
(8)また、上記飲料供給機は、上記(7)に加え、前記飲料の原材料と前記原材料を溶かす液体とを混合して前記飲料を生成する混合部を備えており、前記混合部は、前記飲料供給源を構成してもよい。このようにすれば、飲料供給源を構成する混合部では、飲料の原材料と液体とを混合し、原材料を液体に溶かすことで飲料を生成することができる。ここで、原材料と液体とを混合する際には、周囲に存在する空気が飲料に取り込まれ易くなっており、その空気に含まれる酸素が飲料に溶け込んで酸化を促すことが懸念される。その点、飲料供給源を構成する混合部には、窒素富化空気供給部によって窒素富化空気が供給されるから、原材料と液体とを混合する際に酸素が飲料に溶け込み難くなっている。これにより、混合部にて生成される飲料に酸化が生じ難くなっている。飲料供給部によって混合部から容器に供給された飲料は、第2の窒素富化空気供給部によって容器に供給される窒素富化空気に曝される。このように、飲料は、混合部にて生成されてから容器に供給されるまでの間、窒素富化空気によって継続的に酸化が抑制されているから、味や香りの劣化が効果的に抑制される。
【0018】
(9)また、上記飲料供給機は、上記(8)に加え、前記窒素富化空気供給部及び前記第2の窒素富化空気供給部の少なくとも一方における前記窒素富化空気の供給を調整する窒素富化空気供給弁と、少なくとも前記窒素富化空気供給弁及び前記混合部に接続されていてこれらを制御する制御部と、を備えており、前記制御部は、前記窒素富化空気供給部による前記窒素富化空気の供給が、前記混合部での前記飲料の生成に先行して開始されるよう、前記窒素富化空気供給弁及び前記混合部を制御してもよい。このようにすれば、制御部により窒素富化空気供給弁が制御されることで、窒素富化空気供給部及び第2の窒素富化空気供給部の少なくとも一方から混合部及び容器の少なくとも一方への窒素富化空気の供給量及び供給タイミングなどが調整される。制御部により混合部が制御されることで、飲料が生成されるタイミングや原材料と液体とを混合する時間などが調整される。そして、制御部により窒素富化空気供給弁及び混合部が制御されることで、窒素富化空気供給部による窒素富化空気の供給が、混合部での飲料の生成に先行して開始されるようになっているので、容器及び混合部の少なくとも一方の内部が予め窒素富化空気によって満たされた状態で容器への飲料の供給、及び混合部での飲料の生成の少なくとも一方が開始されることになる。これにより、容器及び混合部の少なくとも一方において飲料の酸化が効率的に抑制され、飲料の味や香りがより劣化し難くなる。
【0019】
(10)また、上記飲料供給機は、上記(7)から上記(9)のいずれかに加え、一端側が前記分離部に接続されて他端側が前記窒素富化空気供給部及び前記第2の窒素富化空気供給部の双方に接続される共通窒素富化空気供給部を備えてもよい。このようにすれば、窒素富化空気供給部及び第2の窒素富化空気供給部は、共通窒素富化空気供給部を介して分離部に対して間接的に接続される。従って、分離部にて生成された窒素富化空気は、共通窒素富化空気供給部を介して窒素富化空気供給部及び第2の窒素富化空気供給部に分配されることになる。仮に分離部に対して窒素富化空気供給部及び第2の窒素富化空気供給部を個別に接続した場合に比べると、分離部の構成が単純になるので、例えば分離部として汎用品を用いることが可能となる。
【0020】
(11)また、上記飲料供給機は、上記(7)から上記(10)のいずれかに加え、前記容器を収容する容器収容部を備えており、前記第2の窒素富化空気供給部は、前記容器収容部に前記窒素富化空気を供給してもよい。このようにすれば、容器収容部に対して第2の窒素富化空気供給部から窒素富化空気が供給されると、容器収容部に収容された容器にも窒素富化空気が供給される。容器を収容する容器収容部が窒素富化空気によって満たされることで、容器内の窒素富化空気が留まり易くなる。これにより、仮に外部に開放された環境で容器に窒素富化空気を供給する場合に比べると、窒素富化空気によって容器の飲料がより酸化され難くなる。
【0021】
(12)また、上記飲料供給機は、上記(7)から上記(11)のいずれかに加え、前記分離部は、分離前の空気よりも前記酸素の含有率が高い酸素富化空気を生成しており、前記分離部に接続されていて前記酸素富化空気を外部に排出する酸素富化空気排出部を備えてもよい。このようにすれば、分離部にて生成された酸化富化空気を酸素富化空気排出部によって外部に排出することができる。
【0022】
(13)本願明細書に記載の技術に関わる飲料供給機は、飲料を容器に供給する飲料供給部と、空気に含まれる酸素と窒素とを分離させる分離膜を有していて分離前の空気よりも前記酸素の含有率が高い酸素富化空気を少なくとも生成する分離部と、前記分離部に接続されていて前記酸素富化空気を前記容器に供給する酸素富化空気供給部と、を備える。
【0023】
このようにすれば、飲料が飲料供給部によって容器に供給される。分離部では、分離膜によって空気に含まれる窒素と酸素とを分離させることで、少なくとも酸素富化空気が生成される。分離部にて生成された酸素富化空気は、分離前の空気よりも酸素の含有率が高くて窒素の含有率が低くなっている。従って、飲料として酸化に伴って味や香りが豊かになるタイプのものを扱う場合には、酸素富化空気供給部によって酸素富化空気が容器に供給されることで、容器にある飲料の酸化が促進され、飲料の味や香りを豊かにすることができる。仮に容器の飲料を移し替えて酸化を促すデキャンタージュを別途行う場合に比べると、手間や時間をかけずに飲料を飲み頃にすることができて利便性に優れる。ここで、酸素富化空気は、分離部の分離膜によって空気に含まれる窒素と酸素とを分離させることで生成されているので、仮に酸素ボンベに貯留された酸素を用いて飲料の酸化を促進する場合に酸素ボンベの交換などの作業が必要になるのに比べると、管理が容易になるとともに作業の実施に伴う使用不可期間が削減されて利便性に優れる。
【0024】
(14)また、上記飲料供給機は、上記(13)に加え、前記飲料供給部は、前記飲料を飲料供給源から供給しており、前記分離部は、分離前の空気よりも前記窒素の含有率が高い窒素富化空気を生成しており、前記分離部に接続されていて前記窒素富化空気を前記飲料供給源に供給する窒素富化空気供給部を備えてもよい。このようにすれば、分離部では、分離膜によって空気に含まれる窒素と酸素とを分離させることで、酸素富化空気に加えて窒素富化空気が生成される。分離部にて生成された窒素富化空気は、分離前の空気よりも窒素の含有率が高くて酸素の含有率が低くなっている。従って、窒素富化空気供給部によって窒素富化空気が飲料供給源に供給されることで、飲料供給源にある飲料が酸化し難くなる。飲料供給源にある飲料の酸化が抑制されれば、飲料供給部により供給される飲料の味や香りが良好なものとなる。しかも、分離部により生成された窒素富化空気及び酸素富化空気を双方共に有効に利用することができる。
【0025】
(15)また、上記飲料供給機は、上記(13)または上記(14)に加え、前記飲料供給部に介装される飲料供給調整部と、前記酸素富化空気供給部に介装される酸素富化空気供給弁と、少なくとも前記飲料供給調整部及び前記酸素富化空気供給弁に接続されていてこれらを制御する制御部と、を備えており、前記制御部は、前記酸素富化空気供給部による前記酸素富化空気の供給が、前記飲料供給部による前記飲料の供給に先行して開始されるよう、前記飲料供給調整部及び前記酸素富化空気供給弁を制御してもよい。このようにすれば、制御部により飲料供給調整部が制御されることで、飲料供給部から容器への飲料の供給量及び供給タイミングなどが調整される。制御部により酸素富化空気供給弁が制御されることで、酸素富化空気供給部から容器への酸素富化空気の供給量及び供給タイミングなどが調整される。そして、制御部により飲料供給調整部及び酸素富化空気供給弁が制御されることで、酸素富化空気供給部による酸素富化空気の供給が、飲料供給部による飲料の供給に先行して開始されるようになっているので、予め酸素富化空気によって満たされた状態の容器内に飲料が供給されることになる。これにより、容器において飲料の酸化が効率的に促進され、飲料をよりスピーディに飲み頃にすることができる。
【0026】
(16)また、上記飲料供給機は、上記(13)から上記(15)のいずれかに加え、前記酸素富化空気供給部は、前記容器に供給される前記飲料に対して前記酸素富化空気が吹き付けられるよう、前記飲料供給部に対して傾いて配されてもよい。このようにすれば、飲料供給部から容器に供給される飲料に対し、飲料供給部に対して傾いて配される酸素富化空気供給部から供給される酸素富化空気が吹き付けられるようになっているから、飲料に酸素富化空気が混ざり易くなっている。これにより、飲料の酸化が効率的に促進され、飲料をよりスピーディに飲み頃にすることができる。
【0027】
(17)また、上記飲料供給機は、上記(13)から上記(16)のいずれかに加え、前記容器を収容する容器収容部を備えており、前記酸素富化空気供給部は、前記容器収容部に前記酸素富化空気を供給してもよい。このようにすれば、容器収容部に対して酸素富化空気供給部から酸素富化空気が供給されると、容器収容部に収容された容器にも酸素富化空気が供給される。容器を収容する容器収容部が酸素富化空気によって満たされることで、容器内の酸素富化空気が留まり易くなる。これにより、仮に外部に開放された環境で容器に酸素富化空気を供給する場合に比べると、酸素富化空気による飲料の酸化が促進され易くなる。
【発明の効果】
【0028】
本願明細書に記載の技術によれば、第1には、管理を容易にしつつ飲料の酸化を抑制することができ、第2には、飲料を飲み頃にする上での利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】実施形態1に係るワインディスペンサを概略的に示した側面図
【
図2】実施形態2に係るワインディスペンサに備わるワイン供給管、酸素富化空気供給管及びグラスを示した側面図
【
図3】実施形態3に係る給茶機を概略的に示した側面図
【
図4】実施形態4に係るワインディスペンサを概略的に示した側面図
【発明を実施するための形態】
【0030】
<実施形態1>
実施形態1を
図1によって説明する。本実施形態では、飲料供給機の一例として、ワイン(飲料)Wを供給するワインディスペンサ10を示す。
【0031】
ワインディスペンサ10は、
図1に示すように、グラス(容器)Gを収容するグラスステージ(容器収容部)11と、ワインWを貯留したガラス製のボトル(飲料供給源)BからグラスGにワインWを供給するワイン供給管(飲料供給部)12と、を少なくとも備える。なお、ボトルBは、ボトル置き場に複数(
図1では2本を例示)が並べて置かれている。また、ワインディスペンサ10には、使用者がワインWの注出操作などを行うことが可能な操作スイッチを備えた操作部が備えられている。
【0032】
グラスステージ11は、略箱型とされており、その内部にはグラスGを収容するのに十分な収容空間が確保されている。グラスステージ11の底面には、グラスGが載置されるグリル11Aが敷設されている。グラスステージ11の前面には、グラスGを出し入れするための開口が設けられている。なお、グラスステージ11の開口に開閉式の扉を設置することも可能であるが、そのような扉を非設置とすることも可能である。
【0033】
ワイン供給管12は、一端側がボトルBに、他端側がグラスステージ11に、それぞれ接続されている。ワイン供給管12は、一端側が二股に分かれた分岐構造となっており、2つのワイン供給分岐管(飲料供給分岐部)12Aを有する。2つのワイン供給分岐管12Aは、2本のボトルBの口にそれぞれ差し込まれている。なお、ボトルBの口には、ボトルB内を気密に保つための栓B1が圧入されており、栓B1にはワイン供給分岐管12Aを差し込むための開口が設けられている。ワイン供給管12における2つのワイン供給分岐管12Aには、それぞれワイン供給バルブ(飲料供給調整部)13が介装されている。ワイン供給バルブ13は、その開閉タイミング及び開度に応じてワイン供給分岐管12AにおけるワインWの供給タイミング及び供給量などを調整することができる。ワイン供給管12の他端側は、グラスステージ11における天面に形成された管導入開口11Bを通してグラスステージ11内に導入されている。ワイン供給管12の他端側は、グリル11A上に載置されたグラスGの開口に臨むよう配されている。従って、ワイン供給管12の他端側に備わる注出口からワインWが注出されると、注出されたワインWがグラスG内に注がれるようになっている。なお、2つのワイン供給バルブ13は、いずれか一方を閉じた状態として他方のみを開くこともできるが、両方を共に開くことも可能である。例えば、2つのワイン供給バルブ13が共に開かれた場合には、2本のボトルBから2つのワイン供給分岐管12AにワインWが流され、ワイン供給管12の他端側の共通部分にて合流してから、グラスGへと供給されるようになっている。
【0034】
ここで、従来のワインディスペンサにおいては、ボトルのワインにおいて不用意な酸化が進行すると、ワインの味や香りが劣化してしまい、グラスに供給されたワインの品位が芳しくない、という問題があった。これに対し、窒素ガスボンベの窒素ガスをワインボトルに供給することで、ワインの酸化防止を図ることが考えられるものの、窒素ガスボンベの交換などの作業を定期的に行う必要があって管理が煩わしく、そのような作業を行う間はワインディスペンサが使用不可になる、などの問題があった。
【0035】
その一方で、ボトルに貯留されたワインについては酸化が進行するのが好ましくないものの、グラスに注がれたワインについてはある程度まで酸化が進行するのが好ましい場合がある。例えば、いずれも赤ワインであって、渋味が強いものや還元臭がするものやボトル詰めされてからの期間が短くて香りが閉じているものを取り扱う場合である。その場合、グラスのワインをデキャンタに移し替えた上で改めてデキャンタージュを行う必要があり、ワインが飲み頃になるまで時間と手間を要するなど利便性に問題があった。
【0036】
そこで、本実施形態に係るワインディスペンサ10は、空気から酸素と窒素とを分離することで窒素富化空気と酸素富化空気とを生成し、それら窒素富化空気及び酸素富化空気をボトルB及びグラスステージ11に分配する分配機構20を備える。分配機構20は、空気から酸素と窒素とを分離する分離膜を含む分離部21と、酸素富化空気をグラスステージ11及びグラスGに供給する酸素富化空気供給管(酸素富化空気供給部)22と、窒素富化空気をボトルBに供給する窒素富化空気供給管(窒素富化空気供給部)23と、を少なくとも備える。また、分配機構20は、外気を取り込む吸入口を有するエアポンプ24と、エアポンプ24により取り込まれた外気をフィルタリングして分離部21に供給するフィルタユニット25と、を少なくとも備える。
【0037】
分配機構20に備わる分離部21及び窒素富化空気供給管23によれば、次のような作用及び効果が得られる。すなわち、分離部21にて生成された窒素富化空気が窒素富化空気供給管23によってボトルBに供給されることで、ボトルB内が低酸素環境となるので、ボトルBに保存されたワインWが酸化し難くなる。ボトルBに保存されたワインWの酸化が抑制されていれば、ワイン供給管12によるワインWの供給が行われるまでに時間が空いたとしても、グラスGに供給されるワインWの味や香りが良好なものとなる。ここで、窒素富化空気は、分離部21の分離膜によって空気に含まれる窒素と酸素とを分離させることで生成されているので、従来のような窒素ボンベに貯留された窒素を用いてワインWの酸化を抑制する場合に窒素ボンベの交換などの作業が必要になるのに比べると、管理が容易になるとともに作業の実施に伴う使用不可期間が削減されて利便性に優れる。
【0038】
一方、分配機構20に備わる分離部21及び酸素富化空気供給管22によれば、次のような作用及び効果が得られる。すなわち、分離部21にて生成された酸素富化空気が酸素富化空気供給管22によってグラスGに供給されることで、グラスGに注がれたワインWの酸化が促進され、ワインWの味や香りを豊かにすることができる。例えば、渋みが強い赤ワインを取り扱う場合は、酸素富化空気によりワインWの酸化が促進されると、渋みの原因となるポリフェノールが減少し、渋みが緩和される。また、還元臭がする赤ワインを取り扱う場合は、酸素富化空気によりワインWの酸化が促進されると、還元臭が緩和される。また、ボトル詰めされてからの期間が短くて香りが閉じている赤ワインを取り扱う場合は、酸素富化空気によりワインWの酸化が促進されると、香りが開いて本来の風味が得られる。このようにすれば、仮にグラスGのワインWを移し替えて酸化を促すデキャンタージュを別途行う場合に比べると、手間や時間をかけずにワインWを飲み頃にすることができて利便性に優れる。ここで、酸素富化空気は、分離部21の分離膜によって空気に含まれる窒素と酸素とを分離させることで生成されているので、仮に酸素ボンベに貯留された酸素を用いてワインWの酸化を促進する場合に酸素ボンベの交換などの作業が必要になるのに比べると、管理が容易になるとともに作業の実施に伴う使用不可期間が削減されて利便性に優れる。そして、分離部21により生成された窒素富化空気及び酸素富化空気を双方共に有効に利用することができる。仮に窒素富化空気及び酸素富化空気のいずれか一方のみを利用した場合には他方を排気する必要が生じるが、本実施形態によればその必要を無くすことができる。
【0039】
続いて、分配機構20に備わる各構成について詳しく説明する。分離部21は、分離膜と、分離膜を収容する筐体と、を少なくとも有する。分離膜は、高分子材料からなる中空糸を多数本束ねてなる中空糸膜であり、酸素や水分を通し易いものの、窒素を通し難い、という性質を持つ。従って、分離膜に対して空気を通すと、空気に含まれる酸素や水分は、分離膜に浸透し易い傾向にあるのに対し、空気に含まれる窒素は、分離膜に浸透し難くい傾向にある。分離膜のこのような性質を利用して、分離部21は、空気から酸素と窒素とを分離し、窒素富化空気と酸素富化空気とを生成することができる。窒素富化空気は、分離前の空気に比べると、窒素の含有率(窒素濃度)が高くて酸素の含有率(酸素濃度)が低くなっている。酸素富化空気は、分離前の空気に比べると、酸素の含有率が高くて窒素の含有率が低くなっている。分離部21としては、例えばダイセル-エボニック社製の「SEPURUN(登録商標) N2」などを用いることができるが、それ以外の製品も適宜に用いることが可能である。このような分離部21を用い、生成される窒素富化空気と酸素富化空気との流量比を「1:1」とした場合、窒素富化空気における窒素の含有率が例えば約93%で酸素の含有率が約6%となるのに対し、酸素富化空気における酸素の含有率が例えば約36%で窒素の含有率が約63%となる。なお、一般的に大気に含まれる窒素の含有率は、約78%であり、大気に含まれる酸素の含有率は、約21%である。分離部21に供給される空気は、エアポンプ24により取り込まれた外気であり、事前にフィルタユニット25によってフィルタリングされることで、外気に含まれていた塵埃などが除去されている。これにより、分離部21に備わる分離膜に目詰まりなどの不具合が生じ難くなっている。
【0040】
分配機構20に備わる酸素富化空気供給管22及び窒素富化空気供給管23のうち、窒素富化空気供給管23に関して先に説明する。窒素富化空気供給管23は、一端側が分離部21に、他端側がボトルBに、それぞれ接続されている。窒素富化空気供給管23は、一端側が、分離部21のうちの窒素富化空気が生成される部分に接続されている。窒素富化空気供給管23は、他端側が二股に分かれた分岐構造となっており、2つの窒素富化空気供給分岐管(窒素富化空気供給分岐部)23Aを有する。2つの窒素富化空気供給分岐管23Aは、2本のボトルBの口にそれぞれ圧入された各栓B1に形成された開口にそれぞれ差し込まれている。なお、栓B1には、ワイン供給分岐管12A及び窒素富化空気供給管23が個別に挿入される2つの開口が形成されていてもよいが、ワイン供給分岐管12A及び窒素富化空気供給管23が共に挿入される1つの開口が形成されていてもよい。
【0041】
窒素富化空気供給管23には、窒素富化空気供給バルブ(窒素富化空気供給弁)26が介装されている。窒素富化空気供給バルブ26は、窒素富化空気供給管23のうちの窒素富化空気供給分岐管23Aよりも分離部21側の部分、つまり共通部分に接続されている。窒素富化空気供給バルブ26は、その開閉タイミング及び開度を調整することでボトルBへの窒素富化空気の供給タイミング及び供給量などを調整することができる。窒素富化空気供給バルブ26が開かれると、分離部21にて生成された窒素富化空気が、窒素富化空気供給管23の共通部分から2つの窒素富化空気供給バルブ26へと分流されてから、2つのボトルB内にそれぞれ供給されるようになっている。
【0042】
ここで、窒素富化空気供給管23により窒素富化空気が供給されるボトルB内は、口を密封する栓B1により密閉空間となっている。従って、ワイン供給バルブ13が開いた状態で窒素富化空気がボトルB内に供給されると、窒素富化空気の圧力によってボトルB内のワインWをワイン供給管12内に押し出すことができ、それによりワイン供給管12の注出口からグラスGにワインWを注出することができる。このように、窒素富化空気供給管23によりボトルB内に窒素富化空気を供給することで、ボトルB内のワインWの酸化を抑制しつつグラスGへのワインWの注出を行うことができる。これにより、ワインWを注出するための専用の機器(ポンプなど)を別途に用意せずに済む。
【0043】
次に、酸素富化空気供給管22に関して説明する。酸素富化空気供給管22は、一端側が分離部21に、他端側がグラスステージ11に、それぞれ接続されている。酸素富化空気供給管22の一端側は、分離部21のうちの酸素富化空気が生成される部分に接続されている。酸素富化空気供給管22の他端側は、グラスステージ11における天面に形成された管導入開口11Bを通してグラスステージ11内に導入されている。なお、管導入開口11Bは、ワイン供給管12及び酸素富化空気供給管22が共に挿入される1つの開口であってもよいが、ワイン供給管12及び酸素富化空気供給管22が個別に挿入される2つの開口であってもよい。酸素富化空気供給管22の他端側は、ワイン供給管12の他端側と共に、グリル11A上に載置されたグラスGの開口に臨むよう配されている。従って、酸素富化空気供給管22の他端側に備わる供給口から酸素富化空気が供給されると、供給された酸素富化空気によってグラスG内が満たされるとともにグラスGの周りを取り囲むグラスステージ11内の空間も満たされるようになっている。このように、グラスステージ11内の空間が酸素富化空気により満たされることで、グラスG内の酸素富化空気が留まり易くなる。これにより、仮に外部に開放された環境でグラスGに酸素富化空気を供給する場合に比べると、酸素富化空気によるワインWの酸化が促進され易くなる。
【0044】
酸素富化空気供給管22には、酸素富化空気供給バルブ(酸素富化空気供給弁)27が介装されている。酸素富化空気供給バルブ27は、その開閉タイミング及び開度を調整することで酸素富化空気供給管22における酸素富化空気の供給タイミング及び供給量など調整することができる。
【0045】
ワインディスペンサ10は、制御装置(制御部、コントロールボックス)30を備える。制御装置30は、各バルブ13,26,27、エアポンプ24、及び操作部などに接続されている。制御装置30は、マイクロコンピュータを有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続されたCPU及びメモリなどを備えている。制御装置30は、使用者によって操作部に入力された操作に基づいて各バルブ13,26,27及びエアポンプ24の動作を制御するものとされる。それ以外にも、制御装置30は、メモリに記憶されたプログラムに基づいて各バルブ13,26,27及びエアポンプ24の動作を制御することが可能とされる。このように、各バルブ13,26,27及びエアポンプ24の動作が制御装置30により適宜に制御されることで、分離部21での窒素富化空気及び酸素富化空気の生成タイミング及び生成量などが調整され、グラスGへのワインWの供給タイミング及び供給量などが調整され、ボトルBへの窒素富化空気の供給タイミング及び供給量などが調整され、グラスG及びグラスステージ11への酸素富化空気の供給タイミング及び供給量などが調整されるようになっている。
【0046】
特に、制御装置30は、酸素富化空気供給管22による酸素富化空気の供給が、ワイン供給管12によるワインWの供給に先行して開始されるよう、ワイン供給バルブ13及び酸素富化空気供給バルブ27を制御している。具体的には、制御装置30は、操作部にワインWの注出を開始するための操作が入力されると、エアポンプ24を駆動させて分離部21にて窒素富化空気及び酸素富化空気を生成させ、酸素富化空気供給バルブ27を開いて酸素富化空気をグラスステージ11に供給するとともに、窒素富化空気供給バルブ26を開いて窒素富化空気をボトルBに供給する。酸素富化空気の供給が所定時間行われ、グラスステージ11の内部空間(グラスGの内部空間を含む)が酸素富化空気にて十分に満たされた状態となったら、続いて制御装置30は、ワイン供給バルブ13を開いてグラスGにワインWを供給する。このように、制御装置30によりワイン供給バルブ13及び酸素富化空気供給バルブ27が制御されることで、グラスG及びグラスステージ11には、ワインWの供給に先行して酸素富化空気供給管22によって酸素富化空気の供給が開始されるようになっているので、グラスG及びグラスステージ11の内部が予め酸素富化空気が満たされた状態でワインWが供給される。これにより、グラスGにおいてワインWの酸化が効率的に促進されるので、ワインWをよりスピーディに飲み頃にすることができる。
【0047】
以上説明したように本実施形態のワインディスペンサ(飲料供給機)10は、ボトル(飲料供給源)Bのワイン(飲料)Wを供給するワイン供給管(飲料供給部)12と、空気に含まれる酸素と窒素とを分離させる分離膜を有していて分離前の空気よりも窒素の含有率が高い窒素富化空気を少なくとも生成する分離部21と、分離部21に接続されていて窒素富化空気をボトルBに供給する窒素富化空気供給管(窒素富化空気供給部)23と、を備える。
【0048】
このようにすれば、ボトルBのワインWがワイン供給管12によって供給される。分離部21では、分離膜によって空気に含まれる窒素と酸素とを分離させることで、少なくとも窒素富化空気が生成される。分離部21にて生成された窒素富化空気は、分離前の空気よりも窒素の含有率が高くて酸素の含有率が低くなっている。従って、窒素富化空気供給管23によって窒素富化空気がボトルBに供給されることで、ボトルBにあるワインWが酸化し難くなる。ボトルBにあるワインWの酸化が抑制されれば、ワイン供給管12により供給されるワインWの味や香りが良好なものとなる。ここで、窒素富化空気は、分離部21の分離膜によって空気に含まれる窒素と酸素とを分離させることで生成されているので、従来のような窒素ボンベに貯留された窒素を用いてワインWの酸化を抑制する場合に窒素ボンベの交換などの作業が必要になるのに比べると、管理が容易になるとともに作業の実施に伴う使用不可期間が削減されて利便性に優れる。以上により、管理を容易にしつつワインWの酸化を抑制することができる。
【0049】
また、ワイン供給管12は、ワインWをグラス(容器)Gに供給しており、分離部21は、分離前の空気よりも酸素の含有率が高い酸素富化空気を生成しており、分離部21に接続されていて酸素富化空気をグラスGに供給する酸素富化空気供給管(酸素富化空気供給部)22を備える。このようにすれば、分離部21では、分離膜によって空気に含まれる窒素と酸素とを分離させることで、窒素富化空気に加えて酸素富化空気が生成される。分離部21にて生成された酸素富化空気は、分離前の空気よりも酸素の含有率が高くて窒素の含有率が低くなっている。従って、飲料として酸化に伴って味や香りが豊かになるタイプのワインWを扱う場合には、酸素富化空気供給管22によって酸素富化空気がグラスGに供給されることで、グラスGにあるワインWの酸化が促進され、ワインWの味や香りを豊かにすることができる。仮にグラスGのワインWを移し替えて酸化を促すデキャンタージュを別途行う場合に比べると、手間や時間をかけずにワインWを飲み頃にすることができて利便性に優れる。しかも、分離部21により生成された窒素富化空気及び酸素富化空気を双方共に有効に利用することができる。
【0050】
また、ワイン供給管12に介装されるワイン供給バルブ(飲料供給調整部)13と、酸素富化空気供給管22に介装される酸素富化空気供給バルブ(酸素富化空気供給弁)27と、少なくともワイン供給バルブ13及び酸素富化空気供給バルブ27に接続されていてこれらを制御する制御装置(制御部)30と、を備えており、制御装置30は、酸素富化空気供給管22による酸素富化空気の供給が、ワイン供給管12によるワインWの供給に先行して開始されるよう、ワイン供給バルブ13及び酸素富化空気供給バルブ27を制御する。このようにすれば、制御装置30によりワイン供給バルブ13が制御されることで、ワイン供給管12からグラスGへのワインWの供給タイミング及び供給量などが調整される。制御装置30により酸素富化空気供給バルブ27が制御されることで、酸素富化空気供給管22からグラスGへの酸素富化空気の供給タイミング及び供給量などが調整される。そして、制御装置30によりワイン供給バルブ13及び酸素富化空気供給バルブ27が制御されることで、酸素富化空気供給管22による酸素富化空気の供給が、ワイン供給管12によるワインWの供給に先行して開始されるようになっているので、予め酸素富化空気によって満たされた状態のグラスG内にワインWが供給されることになる。これにより、グラスGにおいてワインWの酸化が効率的に促進され、ワインWをよりスピーディに飲み頃にすることができる。
【0051】
また、グラスGを収容するグラスステージ(容器収容部)11を備えており、酸素富化空気供給管22は、グラスステージ11に酸素富化空気を供給する。このようにすれば、グラスステージ11に対して酸素富化空気供給管22から酸素富化空気が供給されると、グラスステージ11に収容されたグラスGにも酸素富化空気が供給される。グラスGを収容するグラスステージ11が酸素富化空気によって満たされることで、グラスG内の酸素富化空気が留まり易くなる。これにより、仮に外部に開放された環境でグラスGに酸素富化空気を供給する場合に比べると、酸素富化空気によるワインWの酸化が促進され易くなる。
【0052】
また、ワイン供給管12は、飲料としてワインWをグラスGに供給する。このようにすれば、ワイン供給管12によってグラスGに供給された飲料であるワインWは、酸素富化空気供給管22によって酸素富化空気がグラスGに供給されることで、酸化が促進され、味や香りが豊かなものとなる。
【0053】
<実施形態2>
実施形態2を
図2によって説明する。この実施形態2では、上記した実施形態1から酸素富化空気供給管122の配置を変更したものを示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。また、本実施形態の説明で登場する、上記した実施形態1と同じ名称の構成要素には、同じ符号を用いるとともにその先頭に添え字「1」を付す。
【0054】
本実施形態に係る酸素富化空気供給管122は、
図2に示すように、グラスステージ内に導入された他端側が、同様に導入されたワイン供給管112の他端側に対して傾いて配されている。このように、酸素富化空気供給管122及びワイン供給管112における各他端側の軸線同士が交わる配置とされることで、酸素富化空気供給管122の他端側に備わる供給口から供給される酸素富化空気が、ワイン供給管112の他端側に備わる注出口から注出されるワインWの液滴Lに対して斜め側方から吹き付けられるようになっている。これにより、グラスGに注出されるワインWの液滴Lに酸素富化空気が混ざり易くなっているので、ワインWの酸化が効率的に促進され、ワインWをよりスピーディに飲み頃にすることができる。なお、酸素富化空気供給管122及びワイン供給管112は、各他端側の軸線同士が、グラスGにおけるワインWの供給上限位置よりも高い位置にて交わるよう配置されていれば、注出口から落下する途上のワインWの液滴Lに対して酸素富化空気が吹き付けられる確実性が高くなるので、ワインWの液滴Lに酸素がより溶け込み易くなる。酸素富化空気供給管122及びワイン供給管112の具体的な配置は、上記以外にも適宜に変更可能である。
【0055】
以上説明したように本実施形態によれば、酸素富化空気供給管122は、グラスGに供給されるワインWに対して酸素富化空気が吹き付けられるよう、ワイン供給管112に対して傾いて配される。このようにすれば、ワイン供給管112からグラスGに供給されるワインWに対し、ワイン供給管112に対して傾いて配される酸素富化空気供給管122から供給される酸素富化空気が吹き付けられるようになっているから、ワインWに酸素富化空気が混ざり易くなっている。これにより、ワインWの酸化が効率的に促進され、ワインWをよりスピーディに飲み頃にすることができる。
【0056】
<実施形態3>
実施形態3を
図3によって説明する。この実施形態3では、飲料供給機を給茶機40とした場合を示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。また、本実施形態の説明で登場する、上記した実施形態1と同じ名称の構成要素には、同じ符号を用いるとともにその先頭に添え字「2」を付す。
【0057】
本実施形態では、飲料供給機の一例として、お茶(飲料)Tをカップ(容器)Cに供給する給茶機40を用いた場合を示す。給茶機40は、
図3に示すように、カップCを収容するカップステージ(容器収容部)41と、お茶Tの原材料であるお茶パウダー(粉末茶)Pを供給するお茶パウダー供給装置(原材料供給部)42と、お茶パウダーPを溶かす液体である水WAを供給する給水管(液体供給部)43と、お茶パウダー供給装置42及び給水管43の下側で且つカップステージ41の上側に配されるミキシングケース(混合部、飲料供給源)44と、を少なくとも備える。ミキシングケース44は、お茶パウダー供給装置42から供給されるお茶パウダーPと給水管43から供給される水WAとを混合してお茶Tを生成し、生成したお茶Tをカップステージ41のカップCに供給することができる。ミキシングケース44は、お茶Tの供給源であると言える。なお、給茶機40には、使用者がお茶Tの注出操作などを行うことが可能な操作スイッチを備えた操作部が備えられている。
【0058】
カップステージ41は、略箱型とされており、その内部にはカップCを収容するのに十分な収容空間が確保されている。カップステージ41の底面には、カップCが載置されるグリル41Aが敷設されている。カップステージ41の前面には、カップCを出し入れするための開口が設けられている。なお、カップステージ41の開口に開閉式の扉を設置することも可能であるが、そのような扉を非設置とすることも可能である。
【0059】
お茶パウダー供給装置42は、お茶パウダーPを貯留するキャニスタ42Aと、キャニスタ42Aに下側に配されるシュータ42Bと、を有する。キャニスタ42Aは、略箱型をなしており、その下面の一部には、シュータ42Bに連通する放出口が設けられている。キャニスタ42Aの下部には、モータによって駆動されるスクリュ装置が設けられており、スクリュ装置が駆動されるのに伴って貯留されたお茶パウダーPを放出口から定量ずつ放出することが可能とされる。シュータ42Bは、上下方向に延びる筒型をなしており、その上端側の開口がキャニスタ42Aの放出口に連通するとともに、下端側の開口がミキシングケース44の天面に形成された投入口に臨むよう配されている。以上の構成によれば、キャニスタ42Aにおいてスクリュ装置が駆動されると、キャニスタ42A内に貯留されたお茶パウダーPが所定量放出口から放出され、放出されたお茶パウダーPは、シュータ42Bを通ってミキシングケース44の投入口に投入されるようになっている。
【0060】
給水管43は、一端側が水WAの供水源に、他端側がミキシングケース44に、それぞれ接続されている。給水管43は、一端側が二股に分かれた分岐構造となっており、温水供給管43A及び冷水供給管43Bを有する。温水供給管43Aは、温水の供給源である温水給水源に、冷水供給管43Bは、冷水の供給源である冷水給水源に、それぞれ接続されている。温水供給管43Aには、温水供給バルブ43A1が介装されており、温水供給バルブ43A1の開閉タイミング及び開度に応じて温水の供給タイミング及び供給量などを調整することができる。冷水供給管43Bには、冷水供給バルブ43B1が介装されており、冷水供給バルブ43B1の開閉タイミング及び開度に応じて冷水の供給タイミング及び供給量などを調整することができる。給水管43の他端側は、ミキシングケース44における天面に形成された給水管導入開口44Cを通してミキシングケース44内に導入されている。以上の構成によれば、温水供給バルブ43A1及び冷水供給バルブ43B1の少なくとも一方が開かれると、給水管43の他端側から水WAがミキシングケース44内に供給されるようになっている。なお、温水供給バルブ43A1及び冷水供給バルブ43B1は、いずれか一方を閉じた状態として他方のみを開くこともできるが、両方を共に開くことも可能である。例えば、温水供給バルブ43A1及び冷水供給バルブ43B1が共に開かれた場合には、温水供給管43Aにより供給される温水と、冷水供給管43Bにより供給される冷水と、が給水管43の途中で合流してから、ミキシングケース44へと供給されるようになっている。従って、温水供給バルブ43A1及び冷水供給バルブ43B1の各開度を調整することで、ミキシングケース44に供給される水WAの温度を調整することができる。
【0061】
ミキシングケース44は、略箱型とされており、その底面上には撹拌羽根44Aが設けられている。ミキシングケース44の底部の外側には、撹拌羽根44Aを回転するよう駆動する撹拌モータ44Bが設けられている。ミキシングケース44内にお茶パウダーP及び水WAが投入された状態で撹拌モータ44Bにより駆動されて撹拌羽根44Aが回転されると、お茶パウダーPと水WAとが混合・撹拌されることで、お茶パウダーPが水WAに溶解するのが促進され、お茶Tが生成されるようになっている。ミキシングケース44の天面には、シュータ42Bから供給されるお茶パウダーPが投入される投入口と、給水管43が導入される給水管導入開口44Cと、が少なくとも設けられている。
【0062】
ミキシングケース44の底部には、生成されたお茶Tをカップステージ41のカップCに供給するお茶供給管(飲料供給部)45が設けられている。お茶供給管45は、ミキシングケース44の底部から下向きに延出し、その延出端がカップステージ41の天面に形成された管導入開口41Bを通してカップステージ41内に導入されている。お茶供給管45の延出端側は、グリル41A上に載置されたカップCの開口に臨むよう配されている。従って、お茶供給管45の延出端側に備わる注出口からお茶Tが注出されると、注出されたお茶TがカップC内に注がれるようになっている。
【0063】
ここで、従来の給茶機においては、ミキシングケースのお茶に不用意な酸化が進行すると、お茶の味や香りが劣化してしまい、カップに供給されたお茶の品位が芳しくない、という問題があった。これに対し、窒素ガスボンベの窒素ガスをミキシングケースに供給することで、お茶の酸化防止を図ることが考えられるものの、窒素ガスボンベの交換などの作業を定期的に行う必要があって管理が煩わしく、そのような作業を行う間は給茶機が使用不可になる、などの問題があった。
【0064】
そこで、本実施形態に係る給茶機40は、空気から酸素と窒素とを分離することで窒素富化空気と酸素富化空気とを生成し、それら窒素富化空気を少なくともミキシングケース44に、酸素富化空気を装置外(外部)に、分配する分配機構220を備える。分配機構220は、空気から酸素と窒素とを分離する分離膜を含む分離部221と、窒素富化空気を少なくともミキシングケース44に供給する窒素富化空気供給管223と、酸素富化空気を装置外に排出する酸素富化空気排出管(酸素富化空気排出部)46と、を少なくとも備える。また、分配機構220は、外気を取り込む吸入口を有するエアポンプ224と、エアポンプ224により取り込まれた外気をフィルタリングして分離部221に供給するフィルタユニット225と、を少なくとも備える。
【0065】
窒素富化空気供給管223について詳しく説明する。窒素富化空気供給管223は、一端側が分離部221に、他端側がミキシングケース44及びカップステージ41に、それぞれ接続されており、分離部221にて生成された窒素富化空気をミキシングケース44及びカップステージ41へとそれぞれ供給することができる。窒素富化空気供給管223は、他端側が二股に分かれた分岐構造となっており、第1窒素富化空気供給管(窒素富化空気供給部)47及び第2窒素富化空気供給管(第2の窒素富化空気供給部)48を有する。第1窒素富化空気供給管47は、ミキシングケース44の天面に形成された第1窒素富化空気供給管導入開口44Dを通してミキシングケース44内に導入されている。第2窒素富化空気供給管48は、カップステージ41の天面に形成された管導入開口41Bを通してカップステージ41内に導入されている。第2窒素富化空気供給管48は、お茶供給管45と共に、グリル41A上に載置されたカップCの開口に臨むよう配されている。なお、管導入開口41Bは、お茶供給管45及び第2窒素富化空気供給管48が共に挿入される1つの開口であってもよいが、お茶供給管45及び第2窒素富化空気供給管48が個別に挿入される2つの開口であってもよい。また、窒素富化空気供給管223は、一端側に、第1窒素富化空気供給管47及び第2窒素富化空気供給管48の双方に繋げられた共通窒素富化空気供給管(共通窒素富化空気供給部)49を有する。窒素富化空気供給管223は、一端側の共通窒素富化空気供給管49が、分離部221のうちの酸素富化空気が生成される部分に接続されている。分離部221にて生成された窒素富化空気は、共通窒素富化空気供給管49から第1窒素富化空気供給管47及び第2窒素富化空気供給管48に分配されてから、ミキシングケース44及びカップステージ41のそれぞれに供給されるようになっている。なお、第1窒素富化空気供給管47及び第2窒素富化空気供給管48における窒素富化空気の分配比率は、第1窒素富化空気供給管47及び第2窒素富化空気供給管48の各径寸法(内部空間の断面積)の比率に応じたものとなる。第1窒素富化空気供給管47及び第2窒素富化空気供給管48の各径寸法は、同一でもよいが、互いに異なっていてもよい。
【0066】
分配機構220に備わる分離部221及び第1窒素富化空気供給管47によれば、次のような作用及び効果が得られる。すなわち、分離部221にて生成された窒素富化空気が第1窒素富化空気供給管47によってミキシングケース44に供給されることで、ミキシングケース44にあるお茶Tが酸化し難くなる。特に、ミキシングケース44では、撹拌羽根44Aを回転させてお茶パウダーPと水WAとを混合しており、混合に際しては周囲に存在する空気がお茶Tに取り込まれ易く、その空気に含まれる酸素がお茶Tに溶け込んで酸化を促すことが懸念される。その点、第1窒素富化空気供給管47によってミキシングケース44に窒素富化空気が供給されることで、ミキシングケース44内が低酸素環境となるので、撹拌羽根44Aを回転させてお茶パウダーPと水WAとを混合する際に酸素がお茶Tに溶け込み難くなっている。これにより、ミキシングケース44にて生成されるお茶Tに酸化が生じ難くなり、時間の経過に伴うお茶Tの味や香りの劣化が抑制される。ここで、窒素富化空気は、分離部221の分離膜によって空気に含まれる窒素と酸素とを分離させることで生成されているので、従来のような窒素ボンベに貯留された窒素を用いてお茶Tの酸化を抑制する場合に窒素ボンベの交換などの作業が必要になるのに比べると、管理が容易になるとともに作業の実施に伴う使用不可期間が削減されて利便性に優れる。
【0067】
一方、分配機構220に備わる分離部221及び第2窒素富化空気供給管48によれば、次のような作用及び効果が得られる。すなわち、分離部221にて生成された窒素富化空気が第2窒素富化空気供給管48によりカップステージ41に供給されることで、供給された窒素富化空気によってカップC内が満たされるとともにカップCの周りを取り囲むカップステージ41内の空間も満たされるようになっている。このように、カップステージ41内の空間が窒素富化空気により満たされることで、カップC内の窒素富化空気が留まり易くなる。これにより、仮に外部に開放された環境でカップCに窒素富化空気を供給する場合に比べると、窒素富化空気によってお茶Tの酸化が好適に抑制される。以上のように、お茶Tは、ミキシングケース44にて生成されてからカップCに供給されるまでの間、窒素富化空気によって継続的に酸化が抑制されているから、味や香りの劣化が効果的に抑制される。
【0068】
また、第1窒素富化空気供給管47及び第2窒素富化空気供給管48は、共通窒素富化空気供給管49を介して分離部221に対して間接的に接続されている。従って、分離部221にて生成された窒素富化空気は、共通窒素富化空気供給管49を介して第1窒素富化空気供給管47及び第2窒素富化空気供給管48に分配されることになる。仮に分離部221に対して第1窒素富化空気供給管及び第2窒素富化空気供給管を個別に接続した場合に比べると、分離部221に対して1つの共通窒素富化空気供給管49を接続すればよく、それに伴って分離部221の構成が単純になるので、例えば分離部221として汎用品を用いることが可能となる。
【0069】
窒素富化空気供給管223を構成する共通窒素富化空気供給管49には、共通窒素富化空気供給バルブ(窒素富化空気供給弁及び第2の窒素富化空気供給弁)50が介装されている。共通窒素富化空気供給バルブ50は、共通窒素富化空気供給管49のうちの分離部221側の端部付近に配されている。共通窒素富化空気供給バルブ50は、その開閉タイミング及び開度を調整することで、第1窒素富化空気供給管47及び第2窒素富化空気供給管48への分配タイミング及び分配量などを調整することができるとともに、ミキシングケース44及びカップステージ41への窒素富化空気の供給タイミング及び供給量などを調整することができる。共通窒素富化空気供給バルブ50が開かれると、分離部221にて生成された窒素富化空気が、共通窒素富化空気供給管49から第1窒素富化空気供給管47及び第2窒素富化空気供給管48へと分流されてから、ミキシングケース44及びカップステージ41内にそれぞれ供給されるようになっている。
【0070】
また、分離部221に係る詳しい構成は、上記した実施形態1に記載した通りであり、分離膜により空気から酸素と窒素とを分離し、窒素富化空気と酸素富化空気とを生成することができる。分離部221に供給される空気は、エアポンプ224により取り込まれた外気であり、事前にフィルタユニット225によってフィルタリングされることで、外気に含まれていた塵埃などが除去されている。これにより、分離部221に備わる分離膜に目詰まりなどの不具合が生じ難くなっている。
【0071】
分配機構220に備わる酸素富化空気排出管46は、一端側が分離部221に接続されるのに対し、他端側が装置外に導出されている。酸素富化空気排出管46は、一端側が、分離部221のうちの酸素富化空気が生成される部分に接続されている。酸素富化空気排出管46は、他端側が当該給茶機40の外装を貫通して装置外に露出した状態とされる。これにより、分離部221において窒素富化空気が生成されるのに伴って生成される酸化富化空気は、酸素富化空気排出管46を通して装置外に排出されるようになっている。また、酸素富化空気排出管46には、酸素富化空気の排出量などを調整するための酸素富化空気排出量調整バルブ51が介装されている。
【0072】
給茶機40は、制御装置(制御部、コントロールボックス)230を備える。制御装置230は、各バルブ43A1,43B1,50,51、エアポンプ224、撹拌モータ44B、スクリュ装置及びそのモータ、並びに操作部などに接続されている。制御装置230は、マイクロコンピュータを有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続されたCPU及びメモリなどを備えている。制御装置230は、使用者によって操作部に入力された操作に基づいて各バルブ43A1,43B1,50,51、エアポンプ224、撹拌モータ44B、並びにスクリュ装置及びそのモータの動作を制御するものとされる。それ以外にも、制御装置230は、メモリに記憶されたプログラムに基づいて各バルブ43A1,43B1,50,51、エアポンプ224、撹拌モータ44B、並びにスクリュ装置及びそのモータの動作を制御することが可能とされる。このように、各バルブ43A1,43B1,50,51、エアポンプ224、撹拌モータ44B、並びにスクリュ装置及びそのモータの動作が制御装置230により適宜に制御されることで、分離部221での窒素富化空気及び酸素富化空気の生成タイミング及び生成量などが調整され、ミキシングケース44及びカップステージ41への窒素富化空気の供給タイミング及び供給量などが調整され、装置外への酸素富化空気の排出タイミング及び排出量などが調整され、ミキシングケース44への水WAの供給タイミング及び供給量などが調整され、ミキシングケース44での撹拌羽根44Aの回転のON/OFFタイミング(回転時間)や回転速度などが調整され、キャニスタ42Aでのスクリュ装置の回転のON/OFFタイミング(回転時間)や回転速度などが調整されるようになっている。
【0073】
特に、制御装置230は、第1窒素富化空気供給管47による窒素富化空気の供給が、ミキシングケース44でのお茶Tの生成に先行して開始されるよう、共通窒素富化空気供給バルブ50及びミキシングケース44を制御している。具体的には、制御装置230は、操作部にお茶Tの注出を開始するための操作が入力されると、エアポンプ224を駆動させて分離部221にて窒素富化空気及び酸素富化空気を生成させるとともに、共通窒素富化空気供給バルブ50を開いて窒素富化空気をミキシングケース44及びカップステージ41に供給する。窒素富化空気の供給が所定時間行われ、ミキシングケース44及びカップステージ41の各内部空間(カップCの内部空間を含む)が窒素富化空気にて十分に満たされた状態となったら、続いて制御装置230は、キャニスタ42Aのスクリュ装置を回転させて所定量のお茶パウダーPをミキシングケース44内に投入するとともに給水管43からミキシングケース44内に水WAを供給する。その上で、制御装置230は、ミキシングケース44の撹拌羽根44Aを所定時間回転させることで、お茶パウダーPを水WAに溶解させてお茶Tを生成させ、生成されたお茶Tをカップステージ41のカップCに注ぐ。このように、制御装置230により共通窒素富化空気供給バルブ50及びミキシングケース44が制御されることで、ミキシングケース44及びカップステージ41には、第1窒素富化空気供給管47による窒素富化空気の供給が、ミキシングケース44でのお茶Tの生成に先行して開始されるようになっているので、ミキシングケース44及びカップステージ41の内部が予め窒素富化空気によって満たされた状態でカップCへのお茶Tの供給、及びミキシングケース44でのお茶Tの生成が開始される。これにより、カップC及びミキシングケース44のそれぞれにおいてお茶Tの酸化が効率的に抑制され、お茶Tの味や香りがより劣化し難くなる。
【0074】
以上説明したように本実施形態に係る給茶機(飲料供給機)40は、飲料供給源であるミキシングケース44のお茶(飲料)Tを供給するお茶供給管(飲料供給部)45と、空気に含まれる酸素と窒素とを分離させる分離膜を有していて分離前の空気よりも窒素の含有率が高い窒素富化空気を少なくとも生成する分離部221と、分離部221に接続されていて窒素富化空気をミキシングケース44に供給する第1窒素富化空気供給管(窒素富化空気供給部)47と、を備える。
【0075】
このようにすれば、ミキシングケース44のお茶Tがお茶供給管45によって供給される。分離部221では、分離膜によって空気に含まれる窒素と酸素とを分離させることで、少なくとも窒素富化空気が生成される。分離部221にて生成された窒素富化空気は、分離前の空気よりも窒素の含有率が高くて酸素の含有率が低くなっている。従って、第1窒素富化空気供給管47によって窒素富化空気がミキシングケース44に供給されることで、ミキシングケース44にあるお茶Tが酸化し難くなる。ミキシングケース44にあるお茶Tの酸化が抑制されれば、お茶供給管45により供給されるお茶Tの味や香りが良好なものとなる。ここで、窒素富化空気は、分離部221の分離膜によって空気に含まれる窒素と酸素とを分離させることで生成されているので、従来のような窒素ボンベに貯留された窒素を用いてお茶Tの酸化を抑制する場合に窒素ボンベの交換などの作業が必要になるのに比べると、管理が容易になるとともに作業の実施に伴う使用不可期間が削減されて利便性に優れる。以上により、管理を容易にしつつお茶Tの酸化を抑制することができる。
【0076】
また、お茶供給管(飲料供給部)45は、お茶(飲料)Tをカップ(容器)Cに供給しており、分離部221に接続されていて窒素富化空気をカップCに供給する第2窒素富化空気供給管(第2の窒素富化空気供給部)48を備える。このようにすれば、分離部221にて生成された窒素富化空気は、第1窒素富化空気供給管47により飲料供給源であるミキシングケース44に供給されるとともに第2窒素富化空気供給管48によりカップCに供給される。従って、飲料として酸化に伴って味や香りが劣化し易いタイプのお茶Tを扱う場合には、第1窒素富化空気供給管47によって窒素富化空気が飲料供給源に供給されることで飲料供給源であるミキシングケース44にあるお茶Tの酸化が抑制されるとともに、第2窒素富化空気供給管48によって窒素富化空気がカップCに供給されることでカップCにあるお茶Tの酸化が抑制されるので、お茶Tの味や香りがより劣化し難くなる。
【0077】
また、お茶Tの原材料であるお茶パウダー(原材料)Pとお茶パウダーPを溶かす液体である水(液体)WAとを混合してお茶Tを生成するミキシングケース(混合部)44を備えており、ミキシングケース44は、飲料供給源を構成する。このようにすれば、飲料供給源を構成するミキシングケース44では、お茶Tのお茶パウダーPと水WAとを混合し、お茶パウダーPを水WAに溶かすことでお茶Tを生成することができる。ここで、お茶パウダーPと水WAとを混合する際には、周囲に存在する空気がお茶Tに取り込まれ易くなっており、その空気に含まれる酸素がお茶Tに溶け込んで酸化を促すことが懸念される。その点、飲料供給源を構成するミキシングケース44には、第1窒素富化空気供給管47によって窒素富化空気が供給されるから、お茶パウダーPと水WAとを混合する際に酸素がお茶Tに溶け込み難くなっている。これにより、ミキシングケース44にて生成されるお茶Tに酸化が生じ難くなっている。お茶供給管45によってミキシングケース44からカップCに供給されたお茶Tは、第2窒素富化空気供給管48によってカップCに供給される窒素富化空気に曝される。このように、お茶Tは、ミキシングケース44にて生成されてからカップCに供給されるまでの間、窒素富化空気によって継続的に酸化が抑制されているから、味や香りの劣化が効果的に抑制される。
【0078】
また、第1窒素富化空気供給管47及び第2窒素富化空気供給管48の少なくとも一方における窒素富化空気の供給を調整する共通窒素富化空気供給バルブ(窒素富化空気供給弁)50と、少なくとも共通窒素富化空気供給バルブ50及びミキシングケース44に接続されていてこれらを制御する制御装置230と、を備えており、制御装置230は、第1窒素富化空気供給管47による窒素富化空気の供給が、ミキシングケース44でのお茶Tの生成に先行して開始されるよう、共通窒素富化空気供給バルブ50及びミキシングケース44を制御する。このようにすれば、制御装置230により共通窒素富化空気供給バルブ50が制御されることで、第1窒素富化空気供給管47及び第2窒素富化空気供給管48の少なくとも一方からミキシングケース44及びカップCの少なくとも一方への窒素富化空気の供給タイミング及び供給量などが調整される。制御装置230によりミキシングケース44が制御されることで、お茶Tが生成されるタイミングやお茶パウダーPと水WAとを混合する時間などが調整される。そして、制御装置230により共通窒素富化空気供給バルブ50及びミキシングケース44が制御されることで、第1窒素富化空気供給管47による窒素富化空気の供給が、ミキシングケース44でのお茶Tの生成に先行して開始されるようになっているので、カップC及びミキシングケース44の少なくとも一方の内部が予め窒素富化空気によって満たされた状態でカップCへのお茶Tの供給、及びミキシングケース44でのお茶Tの生成の少なくとも一方が開始されることになる。これにより、カップC及びミキシングケース44の少なくとも一方においてお茶Tの酸化が効率的に抑制され、お茶Tの味や香りがより劣化し難くなる。
【0079】
また、一端側が分離部221に接続されて他端側が第1窒素富化空気供給管47及び第2窒素富化空気供給管48の双方に接続される共通窒素富化空気供給管(共通窒素富化空気供給部)49を備える。このようにすれば、第1窒素富化空気供給管47及び第2窒素富化空気供給管48は、共通窒素富化空気供給管49を介して分離部221に対して間接的に接続される。従って、分離部221にて生成された窒素富化空気は、共通窒素富化空気供給管49を介して第1窒素富化空気供給管47及び第2窒素富化空気供給管48に分配されることになる。仮に分離部221に対して第1窒素富化空気供給管及び第2窒素富化空気供給管を個別に接続した場合に比べると、分離部221の構成が単純になるので、例えば分離部221として汎用品を用いることが可能となる。
【0080】
また、カップCを収容するカップステージ(容器収容部)41を備えており、第2窒素富化空気供給管48は、カップステージ41に窒素富化空気を供給する。このようにすれば、カップステージ41に対して第2窒素富化空気供給管48から窒素富化空気が供給されると、カップステージ41に収容されたカップCにも窒素富化空気が供給される。カップCを収容するカップステージ41が窒素富化空気によって満たされることで、カップC内の窒素富化空気が留まり易くなる。これにより、仮に外部に開放された環境でカップCに窒素富化空気を供給する場合に比べると、窒素富化空気によってカップCのお茶Tがより酸化され難くなる。
【0081】
また、分離部221は、分離前の空気よりも酸素の含有率が高い酸素富化空気を生成しており、分離部221に接続されていて酸素富化空気を外部に排出する酸素富化空気排出管(酸素富化空気排出部)46を備える。このようにすれば、分離部221にて生成された酸化富化空気を酸素富化空気排出管46によって外部に排出することができる。
【0082】
<実施形態4>
実施形態4を
図4によって説明する。この実施形態4では、上記した実施形態1から分配機構320の構成を変更したものを示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。また、本実施形態の説明で登場する、上記した実施形態1と同じ名称の構成要素には、同じ符号を用いるとともにその先頭に添え字「3」を付す。
【0083】
本実施形態に分配機構320は、
図4に示すように、上記した実施形態1に記載した窒素富化空気供給管23(
図1を参照)に代えて、窒素富化空気を装置外に排出する窒素富化空気排出管(窒素富化空気排出部)28を備える。分配機構320に備わる窒素富化空気排出管28は、一端側が分離部321に接続されるのに対し、他端側が装置外に導出されている。窒素富化空気排出管28は、一端側が、分離部321のうちの窒素富化空気が生成される部分に接続されている。窒素富化空気排出管28は、他端側がワインディスペンサ310の外装を貫通して装置外に露出した状態とされる。これにより、分離部321において酸素富化空気が生成されるのに伴って生成される窒素富化空気は、窒素富化空気排出管28を通して装置外に排出されるようになっている。また、窒素富化空気排出管28には、窒素富化空気の排出量などを調整するための窒素富化空気排出量調整バルブ29が介装されている。また、ワイン供給管312における2つのワイン供給分岐管312Aには、それぞれボトルBのワインWを吸い上げてグラスGに供給するためのワイン供給ポンプ(飲料供給調整部)14が個別に介装されている。
【0084】
以上説明したように本実施形態のワインディスペンサ(飲料供給機)310は、ワインWをグラスGに供給するワイン供給管312と、空気に含まれる酸素と窒素とを分離させる分離膜を有していて分離前の空気よりも酸素の含有率が高い酸素富化空気を少なくとも生成する分離部321と、分離部321に接続されていて酸素富化空気をグラスGに供給する酸素富化空気供給管322と、を備える。
【0085】
このようにすれば、ワインWがワイン供給管312によってグラスGに供給される。分離部321では、分離膜によって空気に含まれる窒素と酸素とを分離させることで、少なくとも酸素富化空気が生成される。分離部321にて生成された酸素富化空気は、分離前の空気よりも酸素の含有率が高くて窒素の含有率が低くなっている。従って、飲料として酸化に伴って味や香りが豊かになるタイプのお茶Tを扱う場合には、酸素富化空気供給管322によって酸素富化空気がグラスGに供給されることで、グラスGにあるワインWの酸化が促進され、ワインWの味や香りを豊かにすることができる。仮にグラスGのワインWを移し替えて酸化を促すデキャンタージュを別途行う場合に比べると、手間や時間をかけずにワインWを飲み頃にすることができて利便性に優れる。ここで、酸素富化空気は、分離部321の分離膜によって空気に含まれる窒素と酸素とを分離させることで生成されているので、仮に酸素ボンベに貯留された酸素を用いてワインWの酸化を促進する場合に酸素ボンベの交換などの作業が必要になるのに比べると、管理が容易になるとともに作業の実施に伴う使用不可期間が削減されて利便性に優れる。本実施形態によれば、ワインWを飲み頃にする上での利便性を向上させることができる。
【0086】
<他の実施形態>
本明細書が開示する技術は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
【0087】
(1)実施形態1,2に記載した構成において、酸素富化空気供給管22,122を省略してもよい。その場合、酸素富化空気供給管22,122に代えて、酸素富化空気を装置外に排出する酸素富化空気排出管を設置することが可能である。
【0088】
(2)実施形態2に記載した構成において、実施形態4の構成を適用し、窒素富化空気供給管23に代えて、窒素富化空気排出管28を設置することも可能である。
【0089】
(3)実施形態1,2,4に記載した構成において、制御装置30は、酸素富化空気供給管22,122,322による酸素富化空気の供給を、ワイン供給管12,112,312によるワインWの供給と同じタイミングまたは後のタイミングで開始してもよい。
【0090】
(4)実施形態2に記載した構成において、ワイン供給管112に対する酸素富化空気供給管122の具体的な傾き角度は、図示以外にも適宜に変更可能である。
【0091】
(5)実施形態1,2に記載した構成において、複数(2つ)の窒素富化空気供給分岐管23Aと同数の窒素富化空気供給バルブ26を用意し、それらの窒素富化空気供給バルブ26を各窒素富化空気供給分岐管23Aに対して個別に介装してもよい。その場合、制御装置30によって複数の窒素富化空気供給バルブ26の開閉を制御することで、複数のボトルBに対して選択的に窒素富化空気を供給することが可能となる。
【0092】
(6)実施形態1,2に記載した構成において、窒素富化空気供給管23を分岐構造とはせず、一端側が分離部21に接続されて他端側が一方のボトルBに接続される第1窒素富化空気供給管と、一端側が分離部21に接続されて他端側が他方のボトルBに接続される第2窒素富化空気供給管と、により窒素富化空気供給管23を構成してもよい。その場合、第1窒素富化空気供給管に第1窒素富化空気供給バルブを介装するとともに、第2窒素富化空気供給管に第2窒素富化空気供給バルブを介装してもよい。その場合、制御装置30によって複数の窒素富化空気供給バルブ26の開閉を制御することで、複数のボトルBに対して選択的に窒素富化空気を供給することが可能となる。
【0093】
(7)実施形態1,2に記載した構成において、2本のボトルBのうちの一方のボトルBには、窒素富化空気供給管23を非接続とすることも可能である。その場合、窒素富化空気供給管23は、分岐構造とはならず、一端側が分離部21に接続されて他端側が一方のボトルBのみに接続される構成とされる。
【0094】
(8)実施形態1,2に記載した構成において、ワイン供給管12,112のうちの他端側の共通部分に1つのワイン供給バルブ13を介装することも可能である。同様に、実施形態4に記載した構成において、ワイン供給管312のうちの他端側の共通部分に1つのワイン供給ポンプ14を介装することも可能である。
【0095】
(9)実施形態1,2,4に記載した構成において、グラスステージ11が例えばグリル11Aを支持する底部のみにより構成されていても構わない。
【0096】
(10)実施形態1,2,4に記載した構成において、飲料としてワインW以外にも日本酒を用いることも可能である。
【0097】
(11)実施形態1,2,4に記載した構成において、ボトル置き場におけるボトルBの設置数は、1つでも3つ以上でもよい。ボトルBの設置数が1つの場合、実施形態1,2に記載した構成においては窒素富化空気供給管23を非分岐構造とし、実施形態1,2,4に記載した構成においてはワイン供給管12,112,312を非分岐構造とすればよい。また、ボトルBの設置数が3つ以上の場合、実施形態1,2に記載した構成においては窒素富化空気供給分岐管23Aの数を3つ以上とし、実施形態1,2,4に記載した構成においてはワイン供給分岐管12A,312Aの数を3つ以上とすればよい。それ以外にも、ボトルBの設置数と窒素富化空気供給分岐管23Aの数とが不一致であったり、ボトルBの設置数とワイン供給分岐管12A,312Aの数とが不一致であったりしても構わない。
【0098】
(12)実施形態1,2,4に記載した構成において、飲料供給源は、ガラス製のボトルB以外にも、ペットボトル、紙製の箱型の容器、木製の樽、金属製の容器などでもよい。
【0099】
(13)実施形態1,2に記載した構成において、実施形態4に記載した構成の、ボトルBのワインWを吸い上げてグラスGに供給するためのワイン供給ポンプ14を設置することも可能である。
【0100】
(14)分離部21,221,321により生成される窒素富化空気と酸素富化空気との流量比については、「1:1」以外にも適宜に変更可能である。これにより、窒素富化空気における窒素及び酸素の各含有率や酸素富化空気における窒素及び酸素の各含有率の具体的な数値を調整することが可能である。
【0101】
(15)実施形態3に記載した構成において、制御装置230は、窒素富化空気供給管223による窒素富化空気の供給を、お茶供給管45によるお茶Tの生成と同じタイミングまたは後のタイミングで開始してもよい。
【0102】
(16)実施形態3に記載した構成において、第1窒素富化空気供給管47及び第2窒素富化空気供給管48のいずれか一方を省略してもよい。その場合、分離部221にて生成した窒素富化空気の全てを窒素富化空気供給管223によりミキシングケース44及びカップステージ41のいずれか一方に供給することができる。
【0103】
(17)実施形態3に記載した構成において、共通窒素富化空気供給バルブ50に代えて、第1窒素富化空気供給管47に第1窒素富化空気供給バルブを介装するとともに、第2窒素富化空気供給管48に第2窒素富化空気供給バルブを介装してもよい。このようにすれば、第1窒素富化空気供給バルブ及び第2窒素富化空気供給バルブの開閉タイミングや開度を調整することで、ミキシングケース44とカップステージ41(カップC)とに対する窒素富化空気の供給タイミングや供給量を個別に調整することが可能となる。
【0104】
(18)実施形態3に記載した構成において、窒素富化空気供給管223を分岐構造とはせず、一端側が分離部221に接続されて他端側がミキシングケース44に接続される第1窒素富化空気供給管と、一端側が分離部221に接続されて他端側がカップステージ41に接続される第2窒素富化空気供給管と、により窒素富化空気供給管223を構成してもよい。その場合、第1窒素富化空気供給管に第1窒素富化空気供給バルブを介装するとともに、第2窒素富化空気供給管に第2窒素富化空気供給バルブを介装してもよい。
【0105】
(19)上記した(17),(18)の各構成において、ミキシングケース44に対して窒素富化空気の供給を開始または終了するタイミングと、カップステージ41(カップC)に対して窒素富化空気の供給を開始または終了するタイミングと、を異ならせることも可能である。
【0106】
(20)実施形態3に記載した構成において、カップステージ41が例えばグリル41Aを支持する底部のみにより構成されていても構わない。
【0107】
(21)実施形態3に記載した構成において、飲料として、お茶T以外にもコーヒー、ジュース(清涼飲料水)、紅茶などでもよい。
【0108】
(22)実施形態3に記載した構成において、原材料として、お茶パウダーP以外にも粉砕茶などを用いることも可能である。
【0109】
(23)実施形態3に記載した構成において、原材料の態様として、粉末以外にも濃縮タイプの液体などを用いることも可能である。
【0110】
(24)実施形態3に記載した構成において、原材料を溶かす液体として、水WA以外にも炭酸水や牛乳などを用いることも可能である。
【0111】
(25)窒素富化空気供給バルブ26及び酸素富化空気供給バルブ27のうちのいずれか一方、または両方を省略することも可能である。
【符号の説明】
【0112】
10,310…ワインディスペンサ(飲料供給機)、11…グラスステージ(容器収容部)、12,112,312…ワイン供給管(飲料供給部)、13…ワイン供給バルブ(飲料供給調整部)、14…ワイン供給ポンプ(飲料供給調整部)21,221,321…分離部、22,122,322…酸素富化空気供給管(酸素富化空気供給部)、23,223…窒素富化空気供給管(窒素富化空気供給部)、27…酸素富化空気供給バルブ(酸素富化空気供給弁)、30,230…制御装置(制御部)、40…給茶機(飲料供給機)、41…カップステージ(容器収容部)、44…ミキシングケース(混合部)、45…お茶供給管(飲料供給部)、46…酸素富化空気排出管(酸素富化空気排出部)、47…第1窒素富化空気供給管(窒素富化空気供給部)、48…第2窒素富化空気供給管(第2の窒素富化空気供給部)、49…共通窒素富化空気供給管(共通窒素富化空気供給部)、50…共通窒素富化空気供給バルブ(窒素富化空気供給弁)、B…ボトル(飲料供給源)、C…カップ(容器)、G…グラス(容器)、P…お茶パウダー(原材料)、T…お茶(飲料)、W…ワイン(飲料)、WA…水(液体)