(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022102583
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
H01L 27/11582 20170101AFI20220630BHJP
H01L 27/11575 20170101ALI20220630BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20220630BHJP
H01L 27/11565 20170101ALI20220630BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20220630BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
H01L27/11582
H01L27/11575
H01L27/088 E
H01L27/11565
H01L29/78 371
H01L21/90 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020217402
(22)【出願日】2020-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】一之瀬 大吾
【テーマコード(参考)】
5F033
5F048
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F033HH19
5F033HH20
5F033JJ19
5F033JJ20
5F033NN19
5F033QQ09
5F033QQ16
5F033RR04
5F033RR06
5F033SS15
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5F048AB01
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5F048BB11
5F048BC18
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5F048BF04
5F048BF07
5F048BF15
5F048BF16
5F048BG13
5F048CB01
5F083EP18
5F083EP33
5F083EP34
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5F083GA10
5F083GA27
5F083JA04
5F083JA19
5F083JA39
5F083JA56
5F083KA01
5F083KA11
5F083LA16
5F083LA21
5F083MA06
5F083MA16
5F083MA19
5F083NA01
5F101BA45
5F101BB02
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
5F101BH23
(57)【要約】
【課題】薄膜のはがれを低減可能な半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】一つの実施形態の半導体記憶装置は、積層体SK、柱状体、導電部材SL、板状部ST2、及び分断部IPを備える。積層体SKは、複数の導電層WLと複数の絶縁層OLとが交互に一層ずつ積層され、第1の方向の端部において導電層WLにより階段部SRが形成される。柱状体は、積層体SKを貫通し、導電層WLと対向する部分にメモリセルが形成される。導電部材SLは、積層体SKの下方において柱状体と電気的に接続し、第1の方向に沿って階段部SRを超えて積層体SKの側方の領域PAにまで延びる。板状部ST2は、領域PA内を積層体SKの積層方向に延びて導電部材SLに達するとともに、第1の方向と交差する第2の方向に延びる。分断部IPは、板状部ST2よりも階段部SR側の導電部材SL内に絶縁材料で形成され、導電部材SLを部分的に分断する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の導電層と複数の絶縁層とが交互に一層ずつ積層され、第1の方向の端部に前記導電層による階段部が形成された積層体と、
前記積層体を貫通し、前記複数の導電層の少なくとも1つと対向する部分にメモリセルが形成される柱状体と、
前記積層体の下方で前記柱状体と電気的に接続するとともに、前記第1の方向に沿って前記階段部を超えて前記積層体の側方下の領域にまで延びる導電部材と、
前記積層体の側方の領域内を前記積層体の積層方向に延びて前記導電部材に達するとともに、前記積層方向及び前記第1の方向と交差する第2の方向に延びる板状部と、
前記板状部よりも前記階段部側の前記導電部材内に絶縁材料で形成され、前記導電部材を部分的に分断する分断部と
を備える、半導体記憶装置。
【請求項2】
前記導電部材は、
前記柱状体と電気的に接続される第1の部分と、
前記第1の部分より前記第1の方向に沿って前記階段部側へと延びる第2の部分と
を有し、
前記第2の部分は、
前記第1の部分と電気的に導通する第1の層と、
絶縁材料により形成される第2の層を挟んで前記第1の層の上方に設けられ、前記第1の部分と電気的に導通する第3の層と
を有する、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記積層方向に延びる前記板状部が前記第1の層内で終端し、
前記分断部が前記第1の層に設けられる、請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記積層方向に延びる前記板状部が前記第3の層内で終端し、
前記分断部が前記第3の層に設けられる、請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
基板の上に形成され、配線層を含む第1の絶縁体部と、
交互に一層ずつ積層される複数の導電層と複数の絶縁層とを含む積層体であって、前記第1の絶縁体部の上方に設けられ、第1の方向の端部に前記導電層による階段部が形成された当該積層体と、
前記積層体を貫通し、前記複数の導電層の少なくとも1つと対向する部分にメモリセルが形成される柱状体と、
前記第1の方向における前記積層体の側方の領域内を、前記積層体の積層方向、並びに前記積層方向及び前記第1の方向と交差する第2の方向に延びるとともに、前記基板及び前記配線層とは離間するように前記第1の絶縁体部内まで達する板状部と、
前記積層体の下方で前記柱状体と電気的に接続し、前記板状部とは離間するように前記第1の方向に沿って延びる導電部材と、
を備える、半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体記憶装置などの半導体装置では、記憶容量の増大のため、3次元構造が採用されている。更なる記憶容量増大のため、半導体ウエハなどの基板の上に形成される薄膜の総膜厚が更に増大しつつある。このような状況の下、基板や種々の薄膜の間の例えば熱膨張係数の差異により、膜中に生じる応力が増大し、これによる薄膜のはがれなどが懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-160922号公報
【特許文献2】特開2020-047727号公報
【特許文献2】特開2019-165133号公報
【特許文献2】米国特許第10566339号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一つの実施形態は、薄膜のはがれを低減可能な半導体記憶装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの実施形態の半導体記憶装置は、積層体、柱状体、導電部材、板状部、及び分断部を備える。積層体は、複数の導電層と複数の絶縁層とが交互に一層ずつ積層され、第1の方向の端部に前記導電層による階段部が形成される。柱状体は、前記積層体を貫通し、前記複数の導電層の少なくとも1つと対向する部分にメモリセルが形成される。導電部材は、前記積層体の下方で前記柱状体と電気的に接続するとともに、前記第1の方向に沿って前記階段部を超えて前記積層体の側方下の領域にまで延びる。板状部は、前記積層体の側方の領域内を前記積層体の積層方向に延びて前記導電部材に達するとともに、前記積層方向及び前記第1の方向と交差する第2の方向に延びる。分断部は、前記板状部よりも前記階段部側の前記導電部材内に絶縁材料で形成され、前記導電部材を部分的に分断する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、実施形態による半導体記憶装置の一部上面図である。
【
図4】
図4は、実施形態による半導体記憶装置における分断部の平面視形状を示す一部上面図である。
【
図5】
図5は、実施形態による半導体記憶装置のセルアレイ領域の形成方法を説明する一部断面図である。
【
図6】
図6は、
図5に引き続いて、実施形態による半導体記憶装置のセルアレイ領域の形成方法を説明する一部断面図である。
【
図7】
図7は、実施形態による半導体記憶装置の分断部IPの形成方法を説明する一部断面図である。
【
図8】
図8は、比較例による半導体記憶装置の一部断面図である。
【
図9】
図9は、実施形態による半導体記憶装置の分断部の変形例を示す一部断面図である。
【
図10】
図10は、実施形態による半導体記憶装置の分断部の変形例を示す一部断面図である。
【
図11】
図11は、実施形態による半導体記憶装置の分断部の変形例を示す一部上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の限定的でない例示の実施形態について説明する。添付の全図面中、同一または対応する部材または部品については、同一または対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面は、部材もしくは部品間、または、種々の層の厚さの間の相対比を示すことを目的とせず、したがって、具体的な厚さや寸法は、以下の限定的でない実施形態に照らし、当業者により適宜決定されてよい。
【0008】
図1は、実施形態による半導体記憶装置の一部上面図であり、
図2は、
図1のL1-L1線に沿った断面図であり、
図3は、
図1のL2-L2線に沿った断面図である。本実施形態による半導体記憶装置1は、例えばシリコンなどの半導体で形成されるほぼ矩形の基板と、基板上に形成された周辺回路部(後述)と、周辺回路部上に形成された記憶素子部とを有している。
【0009】
図1を参照すると、半導体記憶装置1は、記憶素子部にセルアレイ領域CAと階段領域SAを有している。セルアレイ領域CAには複数のメモリピラーMPが設けられており、メモリピラーMPは図中のxy面内において格子状に配列され、それぞれ図中のz方向に延びている。階段領域SAは階段部SRを含み、階段部SRは、後述するように、複数の段(後述)を有している。また、セルアレイ領域CA及び階段領域SAの上には、上部配線やプラグなどを含む上部配線層が設けられているが、
図1では、その図示を省略している。なお、階段領域SAと、半導体記憶装置1の端部1Yとの間の領域を周辺領域PAという場合がある。
【0010】
また、半導体記憶装置1には、セルアレイ領域CA及び階段領域SAを複数のブロックBLKへと分割する複数の第1板状部ST1が設けられている。各第1板状部ST1は、セルアレイ領域CAと階段領域SAをx方向に通り抜け、周辺領域PA内で終端する。また、第1板状部ST1は、図中のz方向に延び、後述のソースラインSL内で終端する。また、半導体記憶装置1は、その周辺領域PAに第2板状部ST2を有している。第2板状部ST2はy方向及びz方向に延びる板状の形状を有している。また、第2板状部ST2よりも階段領域SA側には、第2板状部ST2とほぼ平行にy方向に延びる分断部IPが設けられている。分断部IPは、後に説明するように、ソースラインSL内に形成される。
【0011】
図2を参照すると、基板Sの表層には、素子分離部STIにより分離されたトランジスタTrが形成されている。トランジスタTr及び基板Sの上には、第1の層間絶縁膜IL1が例えば酸化シリコンなどの絶縁材料により形成され、第1の層間絶縁膜IL1内には、トランジスタTrのゲート電極などに接続するビアVgや、配線MLが設けられている。これらのトランジスタTrや、ビアVg、配線ML、第1の層間絶縁膜IL1により、後述のメモリセルを制御する周辺回路部PERが構成されている。
【0012】
第1の層間絶縁膜IL1の上には絶縁膜BSLが設けられている。絶縁膜BSLは、例えば酸化シリコンなどの絶縁材料により形成され得る。ここで、絶縁膜BSLは、第1の層間絶縁膜IL1と同じ絶縁材料で形成されるので、絶縁膜BSLと第1の層間絶縁膜IL1は実質的に一つの絶縁膜とみなしてもよい。絶縁膜BSLの上には、ソースラインSLが形成されている。ソースラインSLは、第1の導電層ECL1、第2の導電層ECL2、及び第3の導電層ECL3を有し、これらがこの順に積層されている。第1の導電層ECL1、第2の導電層ECL2、及び第3の導電層ECL3は、例えば、ヒ素やアンチモンなどの不純物が添加された導電性の多結晶シリコンにより形成される。
【0013】
ソースラインSL上には積層体SKが形成されている。積層体SKには、複数の絶縁層OLと複数の導電層WLとが交互に一層ずつ積層されている。絶縁層OLは絶縁材料、例えば酸化シリコンで形成され、導電層WLは金属、例えばタングステンまたはモリブデンなどで形成される。
【0014】
メモリピラーMPは、図示のとおり、z方向(積層体SKの積層方向)に沿って、積層体SK、第3の導電層ECL3、及び第2の導電層ECL2を貫通し、第1の導電層ECL1内で終端する。メモリピラーMPは、有底のほぼ円筒状の形状を有し、中心から外側に向かって同心円状に形成されたコア層COR、チャネル層CHN、及びメモリ膜MEMを有している。ここで、コア層CORは例えば酸化シリコン等で形成されてよく、チャネル層CHNは例えば導電性の多結晶シリコン又はアモルファスシリコン等で形成されてよい。また、
図2に示すように、メモリ膜MEMは、メモリピラーMPの中心から外側に向かう方向に沿って順次形成されたトンネル絶縁層TN、電荷蓄積層CT、及びブロック絶縁層BKを有している。トンネル絶縁層TN及びブロック絶縁層BKは例えば酸化シリコンで形成されてよく、電荷蓄積層CTは例えば窒化シリコンで形成されてよい。
【0015】
積層体SK中の導電層WLがメモリピラーMPのメモリ膜MEMに対向する部分にメモリセルMCが形成される。この場合、導電層WLがワード線として機能する。ただし、複数の導電層WLのうちの最上層及び最下層の導電層WLがメモリピラーMPに対向する部分は選択トランジスタとして機能する。すなわち、積層体SK内の最上層の導電層WLは、ドレイン側選択ゲート線に相当し、最下層の導電層WLはソース側選択ゲート線に相当する。なお、ソース側選択ゲート線として例えば導電性の多結晶シリコンの層を使用することも可能である。
【0016】
また、メモリピラーMPにおいて、メモリ膜MEMは、ソースラインSLの第2の導電層ECL2の下面と上面との間に対応する範囲には設けられていない。そのため、その範囲ではチャネル層CHNがメモリピラーMPの外側面を構成している。そして、そのチャネル層CHNが第2の導電層ECL2と接触している。これにより、チャネル層CHNとソースラインSLとが電気的に接続される。すなわち、ソースラインSLは、全体として、メモリピラーMPに形成されるメモリセルMCに対するソースとして機能する。チャネル層CHNがその外周面で第2の導電層ECL2と接触しているため、それらの接触面積を大きくすることができ、したがって接触抵抗を低減することが可能となる。
【0017】
積層体SK及びメモリピラーMPの上には絶縁膜SOが形成されており、絶縁膜SOには、メモリピラーMPのチャネル層CHNと接続するプラグPGが埋め込まれている。また、プラグPGは、上部配線(不図示)と接続され、上部配線は積層体SKを貫通し周辺回路部PERと接続される貫通コンタクト(不図示)と接続される。
【0018】
第1板状部ST1は、積層体SKの上面から積層体SKと第3の導電層ECL3とを貫通し、第2の導電層ECL2内で終端する。第1板状部ST1は、積層体SK等を貫通する後述のスリット(
図6(c)のスリットGP1参照)を例えば酸化シリコンで埋め込むことにより形成される。ただし、酸化シリコンに代わり、タングステンやモリブデンなどの金属により埋め込まれてもよい。この場合、第1板状部ST1は、ソースラインSLと電気的に接続するソース線コンタクトとして機能することができる。また、この場合、スリットを金属で埋め込む前に、酸化シリコンなどの絶縁材料によるライナー層がスリットの内壁に形成される。
【0019】
図3は、
図1中のL2-L2線に沿った断面図であり、階段領域SAとその下方の構造とが図示されている。ただし、階段領域SAの下方にも周辺回路部PERが設けられるが、セルアレイ領域CAの下方の周辺回路部PER(
図2)と同様の構成を有するため、
図3では、図示を省略する。
【0020】
階段部SRは複数の段STPを有し、本実施形態では、各段STPは一組の導電層WL及び絶縁層OLにより構成される。階段部SRの上方には、第2の層間絶縁膜IL2が形成されている。第2の層間絶縁膜IL2は、絶縁層OLの絶縁材料(例えば酸化シリコン)と同じ絶縁材料により形成され、したがって、絶縁層OLと第2の層間絶縁膜IL2は実質的に一体化される。各導電層WLは、セルアレイ領域CAから階段領域SAへとx方向に延びており、その延在長さは、上方に位置する導電層WL、すなわちソースラインSLから遠くに位置する導電層WLほど短くなる。これにより、導電層WLが段STPの実質的なテラス面(踏み面)TRRとなる。なお、最下層の導電層WLのx方向の端部が積層体SKのx方向端部に相当し、本実施形態では、積層体SKのx方向端部が階段領域SAと周辺領域PAを区分している。なお、上述の第2板状部ST2は、後述する応力緩和の観点から、積層体SKのx方向端部からx方向に沿って5μm以内の位置、より好ましくは1μm以内の位置に配置される。
【0021】
導電層WLによるテラス面TRRには、絶縁膜SOと第2の層間絶縁膜IL2を貫通するコンタクトCCが接続される。コンタクトCCは、例えばタングステンやモリブデンなどの金属により形成され得る。コンタクトCCは、不図示の上部配線や貫通コンタクトにより周辺回路部PER(
図2)と接続され、周辺回路部PERから、ワード線としての導電層WLを介してメモリセルMC(
図2)に所定の電圧が印加される。なお、コンタクトCCは、セルアレイ領域CA内に階段部が設けられたうえで、この階段部のテラス面としての導電層WLに接続されてもよい。この場合、階段部SRのコンタクトCCを省略することができ、よって、その階段部SRはいわゆるダミー階段部であってよい。
【0022】
また、階段部SR及び第2の層間絶縁膜IL2の下方には、ソースラインSLの第3の導電層ECL3がセルアレイ領域CAから延びており、その下方に絶縁層INが設けられている。絶縁層INは、階段領域SAとセルアレイ領域CAとの間の所定の位置で、第2の導電層ECL2と接している。すなわち、セルアレイ領域CAでは、第3の導電層ECL3の下方に第2の導電層ECL2が設けられる一方、階段領域SAでは、第3の導電層ECL3の下方に絶縁層INが設けられる。
【0023】
絶縁層INの下方には、ソースラインSLの第1の導電層ECL1がセルアレイ領域CAから延びている。また、第1の導電層ECL1内には、第2の層間絶縁膜IL2、第3の導電層ECL3、及び絶縁層INを貫通する第2板状部ST2が終端している。第2板状部ST2は、本実施形態では、第1板状部ST1のためのスリットと同じ工程においてスリットが形成され、後述するように、このスリットが絶縁材料で埋め込まれることにより形成される。第2板状部ST2、及び第2板状部ST2のためのスリットは、セルアレイ領域CAや、階段領域SA、周辺領域PAにおいて生じ得る応力を緩和する機能を有している。
【0024】
また、第1の導電層ECL1には、第1の導電層ECL1を部分的に分断する分断部IPが設けられている。分断部IPは、絶縁層INを構成する絶縁材料と同じ材料で形成されてよい。
図4は、分断部IPの平面視形状を示す一部上面図であり、具体的には、第1の導電層ECL1の一部上面図に相当する。便宜上、第1板状部ST1の位置を破線で示している。図示のとおり、本実施形態においては、分断部IPは、周辺領域PAにおいて、第2板状部ST2とほぼ平行にy方向に延び、第1の導電層ECL1内で終端している。すなわち、分断部IPは、第1の導電層ECL1を完全に分断することはない。言い換えると、第1の導電層ECL1は、分断部IPのy方向端部の外側の領域を通して、分断部IPのx方向に沿った両側で連通しており、したがって、分断部IPの両側で電気的に導通可能である。
【0025】
以下、
図5及び
図6を参照しながら、セルアレイ領域CAの形成方法を説明する。
図5及び
図6は、セルアレイ領域CAの形成方法を主な工程ごとに説明する一部断面図であり、
図2に示す一部断面図に相当する。なお、その形成方法に先立って、例えばシリコンウエハなどの半導体ウエハ上に上述の周辺回路部PER(
図2)が形成され、周辺回路部PERの層間絶縁膜IL1上に絶縁膜BSLが形成されているものとする。
【0026】
図5(a)を参照すると、絶縁膜BSLの上には、第1の導電層ECL1、酸化シリコン膜Ox1、犠牲膜SC、酸化シリコン膜Ox2、及び第3の導電層ECL3が順次形成されている。ここで、犠牲膜SCは窒化シリコンで形成されてよい。また、第3の導電層ECL3の上には、複数の絶縁層OLと複数の窒化シリコン層SNとが交互に一層ずつ積層された積層体TSKが形成されている。なお、先に説明した積層体SKは、積層体TSKの窒化シリコン層SNが導電層WLに置換されることにより形成されたものである。絶縁層OLについては、積層体SKと積層体TSKとで同一である。
【0027】
次に、
図5(b)に示すように、積層体TSKを貫通する複数の(図示の例では4つの)メモリピラーMPが形成される。具体的には、メモリピラーMPは、積層体TSKを貫通してソースラインSLの第1の導電層ECL1内で終端するメモリホールを形成し、メモリホールの内面にメモリ膜MEM、チャネル層CHN、及びコア層CORを順次形成することにより形成される。次いで、
図5(c)に示すように、4つのメモリピラーMPの両側にスリットGP1が形成される。これらのスリットGP1は、後に絶縁材料が埋め込まれ、第1板状部ST1となるが、それに先立って、酸化シリコン膜Ox1、犠牲膜SC、及び酸化シリコン膜Ox2を第2の導電層ECL2へ置換するために利用され、さらに、積層体TSK内の窒化シリコン層SNを導電層WLへ置換するために利用される。
【0028】
スリットGP1の内側面及び底面にはライナー層LLが形成される。ライナー層LLは、犠牲膜SCと、酸化シリコン膜Ox1及びOx2を除去する際に、積層体TSK内の絶縁層OLと窒化シリコン層SNを保護するために形成される。ライナー層LLの材料として例えば多結晶シリコンが例示される。スリットGP1の底面に形成されたライナー層LLが異方性エッチングにより除去されると、スリットGP1の底面には、犠牲膜SCが露出する。次いで、スリットGP1を通して、犠牲膜SCと、酸化シリコン膜Ox1及びOx2とを順次除去すると、
図6(a)に示すように、空間S1が形成される。また、空間S1の形成とともに、メモリピラーMPのメモリ膜MEMも除去され、チャネル層CHNがメモリピラーMPの側面に露出する。続けて、
図6(b)に示すように、スリットGP1を通して空間S1に導電性の多結晶シリコンを埋め込むことにより、第2の導電層ECL2が形成される。これにより、ソースラインSLと、メモリピラーMPのチャネル層CHNとが電気的に接続される。
【0029】
続けて、スリットGP1内のライナー層LLが除去されると、スリットGP1の内側面に絶縁層OLと窒化シリコン層SNが露出する。そして、スリットGP1を通して、積層体TSK内の窒化シリコン層SNがエッチングされて除去される。窒化シリコン層SNが除去されることにより生じた空間に、例えばタングステンやモリブデンなどの導電性材料が埋め込まれて、ワード線としての導電層WLが形成される(
図6(c))。これにより、積層体SKが得られる。この後、スリットGP1が絶縁材料(例えば酸化シリコン)で埋め込まれ、積層体SK上にプラグPGを有する絶縁膜SOが形成されると、セルアレイ領域CAの構造が得られる(
図2)。
【0030】
なお、スリットGP1を通して窒化シリコン層SNを除去することにより生じた空間は、上下に隣接する2つの絶縁層OLにより規定されるが、スリットGP1を通して、これらの絶縁層OLの露出した面に保護層としてのアルミナ膜を形成してもよい。
【0031】
次に、
図7を参照しながら、第1の導電層ECL1の分断部IP(
図3)の形成方法について説明する。
図7(a)から
図7(f)までは、分断部IPの形成方法を説明する一部断面図である。なお、説明の便宜上、絶縁膜BSLより下方の構造は省略している。
【0032】
図7(a)を参照すると、絶縁膜BSL上の第1の導電層ECL1の上に酸化シリコン膜Ox1が形成され、その上にエッチングマスク(ハードマスク)となる窒化シリコン膜HM0が形成されている。第1の導電層ECL1及び酸化シリコン膜Ox1は、セルアレイ領域CAから階段領域SAを超えて周辺領域PAまで延びている。すなわち、第1の導電層ECL1及び酸化シリコン膜Ox1は、セルアレイ領域CAにおいても階段領域SA及び周辺領域PAにおいても形成され、
図5(a)に示した犠牲膜SCが形成される前に、酸化シリコン膜Ox1の上に窒化シリコン膜HM0が形成される。
【0033】
次に、
図7(b)に示すように、フォトリソグラフィ工程及びエッチング工程により窒化シリコン膜HM0に開口OP1が形成され、ハードマスクHMが得られる。続けて、ハードマスクHMを用いた例えば反応性イオンエッチング(RIE)法などのプラズマエッチング法により、開口OP2が形成される。開口OP2は、酸化シリコン膜Ox1及び第1の導電層ECL1を貫通し、絶縁膜BSL内で終端する。開口OP2は、分断部IPとなるべき開口であり、
図4に示したようにy方向に延びている。
【0034】
図7(c)を参照すると、ハードマスクHMの上に絶縁膜TSOが形成される。絶縁膜TSOは例えば酸化シリコンなどの絶縁材料で形成され、この絶縁材料により開口OP2が埋め込まれている。次に、絶縁膜TSOとハードマスクHMがプラズマエッチング法により除去される。このとき、
図7(d)に示すように、第1の導電層ECL1の開口OP2には絶縁材料が残り、これにより分断部IPが得られる。
【0035】
続けて、
図7(e)に示すように、酸化シリコン膜Ox1の上に例えば酸化シリコンなどの絶縁層INが形成される。ここで、絶縁層INの形成に先立って、
図5(a)に示したように酸化シリコン膜Ox1の上に犠牲膜SCが形成される。この犠牲膜SCは、セルアレイ領域CAだけでなく、階段領域SA及び周辺領域PAにおいても形成されるため、階段領域SA及び周辺領域PAでは、フォトリソグラフィ工程とエッチング工程とにより犠牲膜SCを除去した後に、酸化シリコン膜Ox1の上に絶縁層INが形成される。そして、絶縁層INの上に酸化シリコン膜Ox2が形成される。このとき、絶縁層IN及び酸化シリコン膜Ox2は、実質的に一体化されてセルアレイ領域CAにおいて犠牲膜SCの上にも形成される。これらセルアレイ領域CAの絶縁層IN及び酸化シリコン膜Ox2は、そのまま犠牲膜SCの上に残されてもよいし、例えば化学機械研磨(CMP)法により薄化されてもよい。その後、酸化シリコン膜Ox2の上(階段領域SA及び周辺領域PAにおいては酸化シリコン膜Ox1及びOx2と実質的に一体化された絶縁層INの上)に第3の導電層ECL3が形成される。
【0036】
次いで、第3の導電層ECLの上に、複数の絶縁層OLと複数の窒化シリコン層SNとが交互に一層ずつ積層された積層体TSKが形成される。この積層体TSKは、先に説明したセルアレイ領域CAにおける積層体TSK(
図5(a))と連続している。すなわち、セルアレイ領域CAと階段領域SAに亘って積層体TSKが形成されている。次いで、積層体TSKの上面に、階段部SRが形成されるべき位置に開口を有するレジストマスクが設けられ、例えば、エッチングと、レジストマスクのスリミングと、再度のエッチングとを含む工程を続けることにより、
図7(f)に示すように、積層体TSKの端部に暫定的な階段部TSRが形成される。
【0037】
この後、暫定的な階段部TSRを覆うように例えば酸化シリコン膜が堆積される。次いで、この酸化シリコン膜が例えばCMP法により平坦化されると、第2の層間絶縁膜IL2が得られる。次に、リソグラフィ工程とエッチング工程によりスリットGP2が形成される。スリットGP2は、第2の層間絶縁膜IL2、第3の導電層ECL3、及び絶縁層INを貫通し、第1の導電層ECL1内で終端する。スリットGP2は、第2板状部ST2の形成のために設けられ、
図4に示したようにy方向に延びている。
【0038】
なお、スリットGP2は、スリットGP1(
図5(c))と同時に形成されてよい。ここで、
図7(f)に示したように、スリットGP2は第1の導電層ECL1まで延びて、その内部で終端するのに対し、
図5(c)のスリットGP1は犠牲膜SCの上面で終端し、第1の導電層ECL1には到達していない。スリットGP1が絶縁層OLと窒化シリコン層SNで構成される積層体TSKをエッチングすることにより形成される一方で、スリットGP2は、主に、酸化シリコンで形成される第2の層間絶縁膜IL2をエッチングすることにより形成される。このため、スリットGP2は、スリットGP1よりも大きなエッチング速度で形成される。これにより、スリットGP2のz方向の長さ(深さ)が大きくなる。
【0039】
この後、スリットGP1を通して
図7(f)に示す積層体TSKの窒化シリコン層SNが導電層WLに置換され、暫定的な階段部TSRが階段部SR(
図3)となる。この置換は、
図6(c)を参照しながら説明した工程において行われる。また、スリットGP2は、例えば酸化シリコンなどの絶縁材料で埋め込まれることにより、第2板状部ST2が形成される。スリットGP2への酸化シリコンの埋め込みは、例えばプラズマ化学堆積(CVD)法により行うことができる。次いで、層間絶縁膜IL2の上に絶縁膜SOが形成され、階段部SRの各テラス面TRRに接続するコンタクトCCが形成されると、
図3に示した構造が得られる。
【0040】
なお、CVD法により第2板状部ST2を形成する場合、酸化シリコンは、スリットGP2の内側面及び底面に堆積され、内側面での厚さが増大していき、スリットGP2の中央で互いに接合する。このようにしてスリットGP2が埋め込まれ、第2板状部ST2が形成される。このため、第2板状部ST2の中央にはz方向に沿ったシームが残ることとなる。このようなシームによって第2板状部ST2の存在が把握され得る。
【0041】
また、先に説明したように、窒化シリコン層SNの除去により生じた空間に露出する上下2つの絶縁層OLに保護層としてのアルミナ膜を形成する場合には、アルミナ膜は、スリットGP1だけでなく、第2板状部ST2のためのスリットGP2の内側面にも形成され得る。これらの内側面のアルミナ膜は、上述の空間に導電性材料を埋め込んだ後に除去されるが、スリットGP2の内側面に残っても構わない。この場合、残留したアルミナによって、酸化シリコンで形成される第2の層間絶縁膜IL2内に、同じく酸化シリコンで形成される第2板状部ST2の輪郭が規定され得る。すなわち、残留したアルミナによっても、第2の層間絶縁膜IL2内の第2板状部ST2の存在が把握され得る。
【0042】
次に、本実施形態による半導体記憶装置1により奏される効果について、比較例を参照しながら説明する。
図8は、比較例による半導体記憶装置の一部断面図であり、実施形態による半導体記憶装置1についての
図7(f)に示す断面図に相当する。図示のとおり、比較例による半導体記憶装置においては、分断部IPが設けられておらず、絶縁膜BSLの上に第1の導電層ECL1が連続的に形成されている。この点を除くと、比較例による半導体記憶装置は、実施形態による半導体記憶装置1と同じ構成を有している。
【0043】
このような構成においては、例えば、第2板状部ST2のためのスリットGP2の形成後に、アニールなどの高温工程を行った場合に、第1の導電層ECL1が絶縁膜BSLから剥がれてしまうおそれがある。これまでの説明から分かるように、このときの半導体記憶装置は、基板Sの上に周辺回路部PER(
図2)を有し、その上に、絶縁膜BSLやソースラインSL(絶縁層INを含む)を介して、絶縁層OLと窒化シリコン層SNによる積層体TSKが形成されている。すなわち、基板S上には、多数の層が種々の材料で形成され、合計の厚さが比較的厚くなっている。そのような状況で、例えば800℃を超えるような高温での処理を行うと、基板Sやその他の層の間には、例えば材料の熱膨張係数の相違に起因する比較的大きな応力が働く。そうすると、応力により、例えば第2板状部ST2用のスリットGP2の底部から第1の導電層ECL1に亀裂が生じ、これが第1の導電層ECL1と絶縁膜BSLとの境界に伝搬し、両者間での剥がれPEを引き起こすおそれがあると考えられる。
【0044】
一方、実施形態による半導体記憶装置1においては、第1の導電層ECL1には分断部IPが設けられている。仮に、スリットGP2の下方の第1の導電層ECL1に応力により亀裂が生じたとしても、分断部IPによって、階段領域SAへ向かって剥がれが伝搬することが妨げられる。特に、本実施形態では、分断部IPは、絶縁膜BSLと同じ絶縁材料(例えば酸化シリコン)で形成されているため、分断部IPと絶縁膜BSLは強い結合力で密着することができる。したがって、第1の導電層ECL1と絶縁膜BSLとの間の剥がれは効果的に抑制され得る。
【0045】
また、分断部IPは、第1の導電層ECL1を完全に分断することなく、第1の導電層ECL1は分断部IPのx方向に沿った両側で電気的に連続している。仮に、第1の導電層ECL1が分断部IPにより完全に分断されると、例えば、第1の導電層ECLにおける分断部IPよりも端部側の部分が孤立し、電気的に浮くこととなる。そうすると、半導体記憶装置1の製造工程中の例えばプラズマプロセスにおいて、その部分でアーキングが生じるおそれがある。しかし、上述のとおり、実施形態による半導体記憶装置1においては、第1の導電層ECL1が分断部IPのx方向に沿った両側で電気的に連続しており、第1の導電層ECL1は、他の回路要素を通じて接地され得るため、アーキングの発生を抑制することが可能となる。
【0046】
次に、
図9及び
図10を参照しながら、変形例について説明する。
図9及び
図10は、分断部の変形例を示す一部断面図である。
【0047】
(変形例1)
図9(a)を参照すると、第1の導電層ECL1に分断部IP1が設けられ、第3の導電層ECL3に分断部IP2が設けられている。この場合、分断部IP1,IP2は同じ平面視形状を有してよく、一方の幅(x方向の長さ)が他方の幅より大きくてもよい。また、分断部IP1,IP2とも絶縁層INと同じ絶縁材料で形成されてよい。この場合であっても、第2板状部ST2用のスリットGP2の下方において、第1の導電層ECL1と絶縁層BSLとの間で剥がれが生じても、分断部IP1により剥がれの伝搬が抑制され得る。また、分断部IP1,IP2が同じ平面形状を有している場合、第3の導電層ECL3の形成後に、一つのフォトレジストマスクにより、第1の導電層ECL1に分断部IP1となる開口(
図7(b)の開口OP2に相当)を形成するだけでなく、第3の導電層ECL3に分断部IP2用の開口を形成することができる。したがって、第1の導電層ECL1にだけ分断部IPを形成する場合に比べ、工程数を低減することが可能となる。
【0048】
(変形例2)
図9(b)を参照すると、第1の導電層ECL1のx方向への延在長さは、第3の導電層ECL3のx方向への延在長さよりも短く、第1の導電層ECL1のx方向端部は、絶縁層INLに接している。絶縁層INLは、絶縁層IN及び絶縁膜BSLと同じ絶縁材料、例えば酸化シリコンで形成されてよい。また、第3の導電層ECL3に分断部IP3が設けられており、第3の導電層ECL3における分断部IP3よりもx方向端部側で、第2板状部ST2が第3の導電層ECL3内で終端している。この場合、第3の導電層ECL3と絶縁層INとの間で剥がれが生じるおそれがあるが、分断部IP3によって、剥がれが進行するのが抑制され得る。
【0049】
なお、この変形例においても、第2板状部ST2のためのスリットGP2は、第1板状部ST1のためのスリットGP1と同時に形成されてよく、例えば、エッチング条件でエッチング速度を調整することにより、スリットGP1の底面を犠牲膜SCの上面に位置させるとともに(
図5(c)参照)、スリットGP2の底面を第3の導電層ECL3内に位置させることができる。また、絶縁層INLは、例えば
図7(b)において、ハードマスクHMに開口OP1よりもx方向に広い開口を設け、そのハードマスクHMを用いて第1の導電層ECL1をエッチングにより除去した後、絶縁膜TSO(
図7(c))を形成して全面エッチバックすることにより、形成することができる。
【0050】
(変形例3)
図9(c)には、上述の変形例2の更なる変形例3が図示されている。すなわち、変形例3は、第2板状部ST2が第3の導電層ECL3を貫通して絶縁層INL内で終端している点で、変形例2と異なり、その他の点で同一である。上述のとおり、絶縁層IN、絶縁層INL、及び絶縁膜BSLは同じ絶縁材料で一体的に形成される。このため、第2板状部ST2のためのスリットGP2の底面では亀裂が生じにくく、むしろ、第3の導電層ECL3と絶縁層INとの界面にて剥がれが生じる可能性がある。しかしながら、本例のように、第3の導電層ECL3には分断部IP3が設けられているため、仮に剥がれが生じたとしても、その剥がれの伝搬を抑制することが可能となる。なお、絶縁層INLにまで延びるスリットGP2は、第1板状部ST1のためのスリットGP1と同時に形成するときに、エッチング速度を調整することにより、形成することができる。
【0051】
(変形例4)
図10(a)を参照すると、変形例2及び変形例3とは異なり、変形例4においては、第3の導電層ECL3のx方向への延在長さが短く、第3の導電層ECL3のx方向端部が第2板状部ST2から離間して、絶縁層INUに接している。絶縁層INUは、絶縁層IN及び第2の層間絶縁膜IL2と同じ絶縁材料、例えば酸化シリコンで形成されてよい。第2板状部ST2は、第2の層間絶縁膜IL2、絶縁層INU、絶縁層INを貫通し、第1の導電層ECL1内で終端している。分断部IPは、第1の導電層ECL1に設けられている。このため、第1の導電層ECL1と絶縁膜BSLとの界面で発生し得る剥がれを抑制することが可能となる。なお、絶縁層INUは、第3の導電層ECL3の形成後に、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程、絶縁膜の堆積工程、及び平坦化工程を行うことにより形成可能である。
【0052】
また、
図10(b)に示すように、第3の導電層ECL3のx方向端部だけでなく、第1の導電層ECL1のx方向端部もまた第2板状部STから離間してもよい。この場合、第2板状部ST2は、第2の層間絶縁膜IL2、絶縁層INU、絶縁層IN、絶縁層INLを貫通し、絶縁膜BSL内で終端する。本例では、分断部IPは第1の導電層ECL1にも第3の導電層ECL3にも形成されない。ここで、第2板状部ST2のためのスリットGP2(
図7(f))の側面には、絶縁層INLと絶縁膜BSLとの界面が現れ、この界面から亀裂が進行していく可能性もある。しかし、絶縁層INLと絶縁膜BSLは同じ絶縁材料で形成され得るため、両者が強固に接続されるとともに、両者間では、熱膨張係数の差がないことから、応力が生じにくい。したがって、そのような亀裂が絶縁層INLと絶縁膜BSLとの界面に沿って積層体SK側へと伝搬することが防止される。
【0053】
なお、第2板状部ST2のためのスリットGP2は、絶縁膜BSLを貫通し、絶縁膜BSLの下方の周辺回路部PERの第1の層間絶縁膜IL1内に達していてもよく、したがって、第2板状部ST2もまた第1の層間絶縁膜IL1内で終端してもよい。言い換えると、第2板状部ST2は、基板Sや第1の層間絶縁膜IL1内のビアVg、配線ML(
図2)といった配線層と離間していれば、絶縁膜BSL及び第1の層間絶縁膜IL1のいずれの層内で終端していてもよい。すなわち、これらの層は同じ絶縁材料で形成され得るため、界面が強固に接続されるとともに、熱膨張係数の差がなく層間での応力が生じにくく、これらの層とは材料が異なる基板Sや配線層とは離間して第2板状部ST2を終端させることで、界面での剥がれの伝搬を効果的に抑制することができる。
【0054】
続けて、
図11を参照しながら、分断部の他の変形例を説明する。
図11は、分断部を示す一部上面図である。すなわち、以下の変形例における分断部は、上述の分断部IP等とは平面視形状において相違する。
【0055】
(変形例5)
図11(a)に示すように、変形例5における分断部IP4は、y方向に連続的にではなく、間欠的に延びている。このような場合であっても、第1の導電層ECL1とその下地層としての絶縁膜BSLとの間で生じ得る剥がれは、分断部IP4により、抑制される。
【0056】
(変形例6)
図11(b)に示すように、変形例6における分断部IP5は、変形例5の分断部IP4と同様の平面視形状がx方向に2列に配置されて構成される。しかも、2列の分断部IP5が、列間で相互にy方向にずれて配置されている。このため、第1の導電層ECL1とその下地層としての絶縁膜BSLとの間で生じ得る剥がれは、分断部IP5により、より効果的に抑制され得る。
【0057】
なお、
図11(c)に示すように、第2板状部ST2がx方向に並んで2列に形成されてもよく、3列または4列以上でも構わない。また、
図11(c)には分断部IP4が図示されているが、2列の第2板状部ST2と、分断部IP,IP1~IP3,IP5のいずれかが設けられてもよい。さらに、分断部IP2や分断部IP3の平面視形状が、分断部IP4と同様であってよく、また、分断部IP2や分断部IP3がx方向に2列に並んでもよい。言い換えると、分断部IP,IP1~IP3,IP5の平面視形状は、分断部IP4と同様に、y方向に連続的にではなく、間欠的に延びてもよい。また、分断部IP5に倣って、間欠的に延びる分断部IP,IP1~IP3が2列y方向にずらされて設けられてもよい。
【0058】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0059】
1…半導体記憶装置、CA…セルアレイ領域、SA…階段領域、SR…階段部、TRR…テラス面、MP…メモリピラー、MEM…メモリ膜、TN…トンネル絶縁層、CT…電荷蓄積層、BK…ブロック絶縁層、CHN…チャネル層、COR…コア層、BLK…ブロック、SL…ソースライン、ECL1…第1の導電層、ECL2…第2の導電層、ECL3…第3の導電層、IN,INU,INL…絶縁層、IP,IP1~IP5…分断部、Tr…トランジスタ、ML…配線、IL1…第1の層間絶縁膜、IL2…第2の層間絶縁膜、PER…周辺回路部、SK,TSK…積層体、WL…導電層、OL…絶縁層(酸化シリコン層)、SN…窒化シリコン層、ST1…第1板状部、ST2…第2板状部、GP1,GP2…スリット、CC…コンタクト、LL…ライナー層、SO…絶縁膜。