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特開2022-102589フォトニック結晶構造体の製造方法、フォトニック結晶構造体、発光装置、およびプロジェクター
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022102589
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】フォトニック結晶構造体の製造方法、フォトニック結晶構造体、発光装置、およびプロジェクター
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/122 20060101AFI20220630BHJP
   H01S 5/22 20060101ALI20220630BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20220630BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
G02B6/122 301
H01S5/22 610
G03B21/00 D
G03B21/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020217411
(22)【出願日】2020-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】502350504
【氏名又は名称】学校法人上智学院
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100148323
【弁理士】
【氏名又は名称】川▲崎▼ 通
(74)【代理人】
【識別番号】100168860
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 充史
(72)【発明者】
【氏名】石沢 峻介
(72)【発明者】
【氏名】岸野 克巳
【テーマコード(参考)】
2H147
2K203
5F173
【Fターム(参考)】
2H147AB04
2H147AC02
2H147BA15
2H147BF04
2H147EA02C
2H147EA12A
2H147EA12C
2H147EA13C
2H147FA04
2H147FA07
2H147FC01
2H147GA15
2K203FA03
2K203FA23
2K203FA34
2K203FA44
2K203FA62
2K203GA02
2K203GA20
2K203HB19
2K203HB29
2K203MA35
5F173AC03
5F173AC52
5F173AC70
5F173AH22
5F173AR23
(57)【要約】
【課題】良好な周期性を備えた三次元周期構造を有するフォトニック結晶構造体を製造することができるフォトニック結晶構造体の製造方法を提供する。
【解決手段】複数の第1柱状部、および前記第1柱状部よりも高さが小さい複数の第2柱状部を形成する工程と、前記第1柱状部に第1柱状結晶を結晶成長させ、前記第2柱状部に第2柱状結晶を結晶成長させる工程と、を有し、前記第1柱状結晶および前記第2柱状結晶を結晶成長させる工程では、第1低屈折率層と第1高屈折率層とを交互に積層させて、前記第1柱状結晶を結晶成長させ、第2低屈折率層と第2高屈折率層とを交互に積層させて、前記第2柱状結晶を結晶成長させ、積層方向における第1位置に、前記第1低屈折率層および前記第2高屈折率層を配置させ、前記積層方向における前記第1位置と異なる第2位置に、前記第2低屈折率層および前記第1高屈折率層を配置させる、フォトニック結晶構造体の製造方法。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1柱状部、および前記第1柱状部よりも高さが小さい複数の第2柱状部を形成する工程と、
複数の前記第1柱状部の各々に第1柱状結晶を結晶成長させ、複数の前記第2柱状部の各々に第2柱状結晶を結晶成長させる工程と、
を有し、
前記第1柱状結晶および前記第2柱状結晶を結晶成長させる工程では、
第1低屈折率層と、前記第1低屈折率層よりも屈折率が高い第1高屈折率層と、を交互に積層させて、前記第1柱状結晶を結晶成長させ、
第2低屈折率層と、前記第2低屈折率層よりも屈折率が高い第2高屈折率層と、を交互に積層させて、前記第2柱状結晶を結晶成長させ、
前記第1低屈折率層と前記第1高屈折率層との積層方向における第1位置に、前記第1低屈折率層および前記第2高屈折率層を配置させ、
前記積層方向における前記第1位置と異なる第2位置に、前記第2低屈折率層および前記第1高屈折率層を配置させる、フォトニック結晶構造体の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1柱状結晶の最大の径および前記第2柱状結晶の最大の径は、互いに等しい、フォトニック結晶構造体の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記第1柱状部および前記第2柱状部を形成する工程では、前記第1柱状部および前記第2柱状部を結晶成長させる、フォトニック結晶構造体の製造方法。
【請求項4】
請求項3において、
前記第1柱状部の径は、前記第2柱状部の径よりも大きい、フォトニック結晶構造体の製造方法。
【請求項5】
複数の第1柱状部と、
前記第1柱状部よりも高さが小さい複数の第2柱状部と、
複数の前記第1柱状部の各々に設けられた第1柱状結晶と、
複数の前記第2柱状部の各々に設けられた第2柱状結晶と、
を有し、
前記第1柱状結晶は、
第1低屈折率層と、
前記第1低屈折率層よりも屈折率が高い第1高屈折率層と、
を有し、
前記第1低屈折率層と前記第1高屈折率層とは、交互に積層され、
前記第2柱状結晶は、
第2低屈折率層と、
前記第2低屈折率層よりも屈折率が高い第2高屈折率層と、
を有し、
前記第2低屈折率層と前記第2高屈折率層とは、交互に積層され、
前記第1低屈折率層と前記第1高屈折率層との積層方向における第1位置には、前記第1低屈折率層および前記第2高屈折率層が設けられ、
前記積層方向における前記第1位置と異なる第2位置には、前記第2低屈折率層および前記第1高屈折率層が設けられている、フォトニック結晶構造体。
【請求項6】
請求項5において、
前記第1柱状結晶の最大の径および前記第2柱状結晶の最大の径は、互いに等しい、フォトニック結晶構造体。
【請求項7】
請求項5または6において、
前記第1柱状部の径は、前記第2柱状部の径よりも大きい、フォトニック結晶構造体。
【請求項8】
請求項5ないし7のいずれか1項に記載のフォトニック結晶構造体と、
前記第1柱状結晶に設けられた発光層と、
を有する、発光装置。
【請求項9】
請求項8に記載の発光装置を有する、プロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトニック結晶構造体の製造方法、フォトニック結晶構造体、発光装置、およびプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
フォトニック結晶について世界的に精力的な研究が進められ、近年、フォトニック結晶レーザーが実用化されるに至っている。
【0003】
例えば特許文献1では、二次元周期穴構造をリソグラフィーおよびドライエッチング加工により形成し、この二次元周期構造の上にSi/SiOの交互積層構造を自己クローニングモードにより積層することにより三次元周期構造を作製することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-249235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような三次元周期構造を有するフォトニック結晶構造体では、良好な周期性を有することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るフォトニック結晶構造体の製造方法の一態様は、
複数の第1柱状部、および前記第1柱状部よりも高さが小さい複数の第2柱状部を形成する工程と、
複数の前記第1柱状部の各々に第1柱状結晶を結晶成長させ、複数の前記第2柱状部の各々に第2柱状結晶を結晶成長させる工程と、
を有し、
前記第1柱状結晶および前記第2柱状結晶を結晶成長させる工程では、
第1低屈折率層と、前記第1低屈折率層よりも屈折率が高い第1高屈折率層と、を交互に積層させて、前記第1柱状結晶を結晶成長させ、
第2低屈折率層と、前記第2低屈折率層よりも屈折率が高い第2高屈折率層と、を交互に積層させて、前記第2柱状結晶を結晶成長させ、
前記第1低屈折率層と前記第1高屈折率層との積層方向における第1位置に、前記第1低屈折率層および前記第2高屈折率層を配置させ、
前記積層方向における前記第1位置と異なる第2位置に、前記第2低屈折率層および前記第1高屈折率層を配置させる。
【0007】
本発明に係るフォトニック結晶構造体の一態様は、
複数の第1柱状部と、
前記第1柱状部よりも高さが小さい複数の第2柱状部と、
複数の前記第1柱状部の各々に設けられた第1柱状結晶と、
複数の前記第2柱状部の各々に設けられた第2柱状結晶と、
を有し、
前記第1柱状結晶は、
第1低屈折率層と、
前記第1低屈折率層よりも屈折率が高い第1高屈折率層と、
を有し、
前記第1低屈折率層と前記第1高屈折率層とは、交互に積層され、
前記第2柱状結晶は、
第2低屈折率層と、
前記第2低屈折率層よりも屈折率が高い第2高屈折率層と、
を有し、
前記第2低屈折率層と前記第2高屈折率層とは、交互に積層され、
前記第1低屈折率層と前記第1高屈折率層との積層方向における第1位置には、前記第1低屈折率層および前記第2高屈折率層が設けられ、
前記積層方向における前記第1位置と異なる第2位置には、前記第2低屈折率層および前記第1高屈折率層が設けられている。
【0008】
本発明に係る発光装置の一態様は、
前記フォトニック結晶構造体の一態様と、
前記第1柱状結晶に設けられた発光層と、
を有する。
【0009】
本発明に係るプロジェクターの一態様は、
前記発光装置の一態様を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係るフォトニック結晶構造体を模式的に示す断面図。
図2】第1実施形態に係るフォトニック結晶構造体を模式的に示す平面図。
図3】第1実施形態に係るフォトニック結晶構造体を模式的に示す断面図。
図4】第1実施形態に係るフォトニック結晶構造体の製造方法を説明するためのフローチャート。
図5】第1実施形態に係るフォトニック結晶構造体の製造工程を模式的に示す断面図。
図6】第1実施形態に係るフォトニック結晶構造体の製造工程を模式的に示す断面図。
図7】複数の柱状部のTEM像。
図8】複数の柱状部のTEM像。
図9】第1実施形態の変形例に係るフォトニック結晶構造体を模式的に示す断面図。
図10】第1実施形態の変形例に係るフォトニック結晶構造体を模式的に示す平面図。
図11】第2実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図。
図12】第2実施形態に係る発光装置を模式的に示す平面図。
図13】第2実施形態の変形例に係る発光装置を模式的に示す断面図。
図14】本実施形態に係るプロジェクターを模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0012】
1. 第1実施形態
1.1. フォトニック結晶構造体
まず、第1実施形態に係るフォトニック結晶構造体について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係るフォトニック結晶構造体100を模式的に示す断面図である。図2は、第1実施形態に係るフォトニック結晶構造体100を模式的に示す平面図である。なお、図1は、図2のI-I線断面図である。
【0013】
フォトニック結晶構造体100は、図1および図2に示すように、基板10と、第1柱状部20と、第2柱状部22と、第1柱状結晶30と、第2柱状結晶40と、を有している。なお、便宜上、図2では、柱状部20,22以外の部材の図示を省略している。
【0014】
基板10は、例えば、支持基板12と、バッファー層14と、を有している。支持基板12は、例えば、Si基板、GaN基板、サファイア基板、SiC基板などである。バッファー層14は、支持基板12上に設けられている。バッファー層14は、例えば、GaN層である。
【0015】
本明細書では、第1柱状結晶30の第1低屈折率層32と第1高屈折率層34との積層方向(以下、単に「積層方向」ともいう)において、第1柱状部20を基準とした場合、第1柱状部20から第1柱状結晶30に向かう方向を「上」とし、第1柱状部20から基板10に向かう方向を「下」として説明する。また、積層方向と直交する方向を「面内方向」ともいう。
【0016】
バッファー層14上には、柱状部20,22を形成するためのマスク層16が設けられている。マスク層16は、例えば、チタン層、酸化チタン層、シリコン層、酸化シリコン層などである。
【0017】
第1柱状部20および第2柱状部22は、バッファー層14上に設けられている。第1柱状部20は、基板10と第1柱状結晶30との間に設けられている。第2柱状部22は、基板10と第2柱状結晶40との間に設けられている。柱状部20,22は、バッファー層14から上方に突出した柱状の形状を有している。柱状部20,22は、例えば、GaN層である。
【0018】
第1柱状部20および第2柱状部22の径は、例えば、50nm以上500nm以下である。第1柱状部20の径D1は、第2柱状部22の径D2よりも大きい。
【0019】
なお、「柱状部の径」とは、柱状部20,22の平面形状が円の場合は、直径であり、柱状部20,22の平面形状が円ではない形状の場合は、最小包含円の直径である。例えば、柱状部20,22の径は、柱状部20,22の平面形状が多角形の場合、該多角形を内部に含む最小の円の直径であり、柱状部20,22の平面形状が楕円の場合、該楕円を内部に含む最小の円の直径である。このことは、後述する「柱状結晶の径」について同様である。
【0020】
第2柱状部22の高さH2は、第1柱状部20の高さH1よりも小さい。すなわち、第2柱状部22の積層方向における大きさは、第1柱状部20の積層方向における大きさよりも小さい。図示の例では、高さH1と高さH2との差は、第2低屈折率層42の厚さと等しい。
【0021】
第1柱状部20は、複数設けられている。第2柱状部22は、複数設けられている。複数の柱状部20,22は、積層方向からみて、所定の方向に所定のピッチで配列されている。図2に示す例では、複数の柱状部20,22は、三角格子状に配置されている。柱状部20,22の平面形状は、正六角形である。
【0022】
なお、「柱状部のピッチ」とは、所定の方向に沿って隣り合う柱状部20,22の中心間の距離である。「柱状部の中心」とは、柱状部20,22の平面形状が円の場合は、該円の中心であり、柱状部20,22の平面形状が円ではない形状の場合は、最小包含円の中心である。例えば、柱状部20,22の中心は、柱状部20,22の平面形状が多角形の場合、該多角形を内部に含む最小の円の中心であり、柱状部20,22の平面形状が楕円の場合、該楕円を内部に含む最小の円の中心である。
【0023】
第1柱状結晶30は、複数の第1柱状部20の各々の上に設けられている。第1柱状結晶30は、第1低屈折率層32と、第1低屈折率層32よりも屈折率が高い第1高屈折率層34と、を有している。第1低屈折率層32は、複数設けられている。第1高屈折率層34は、複数設けられている。第1低屈折率層32と第1高屈折率層34とは、交互に積層されている。第1低屈折率層32および第1高屈折率層34は、所定の周期で積層方向に配列されている。第1低屈折率層32は、例えば、AlGaN層である。第1高屈折率層34は、例えば、GaN層である。
【0024】
第2柱状結晶40は、複数の第2柱状部22の各々の上に設けられている。第2柱状結晶40は、第2低屈折率層42と、第2低屈折率層42よりも屈折率が高い第2高屈折率層44と、を有している。第2低屈折率層42は、複数設けられている。第2高屈折率層44は、複数設けられている。第2低屈折率層42と第2高屈折率層44とは、交互に積層されている。第2低屈折率層42および第2高屈折率層44は、例えば、第1低屈折率層32および第1高屈折率層34と同じ周期で、かつ第1低屈折率層32および第1高屈折率層34に対して半周期分ずれて、積層方向に配列されている。第2低屈折率層42の数は、第1低屈折率層32の数と同じである。第2高屈折率層44の数は、第1高屈折率層34の数と同じである。第2低屈折率層42は、例えば、AlGaN層である。第2高屈折率層44は、例えば、GaN層である。
【0025】
積層方向における第1位置P1には、第1低屈折率層32および第2高屈折率層44が設けられている。第1低屈折率層32および第2高屈折率層44は、第1位置P1において、所定の周期で面内方向に配列されている。図示の例では、第1位置P1は、最も上方に位置する第2高屈折率層44の中心を通る位置である。第1低屈折率層32の側方には、第2高屈折率層44が設けられている。
【0026】
積層方向における第2位置P2には、第2低屈折率層42および第1高屈折率層34が設けられている。第2低屈折率層42および第1高屈折率層34は、第2位置P2において、第1位置P1における第1低屈折率層32および第2高屈折率層44の周期と同じ周期で、面内方向に配列されている。第2位置P2は、第1位置P1と異なる位置である。図示の例では、第2位置P2は、最も上方に位置する第2低屈折率層42の中心を通る位置である。
【0027】
ここで、図3は、第1柱状結晶30および第2柱状結晶40の形状を、より詳細に説明するための図である。
【0028】
図1では、便宜上、第2柱状結晶40の径を一定として図示しているが、第2柱状結晶40は、図3に示すように、上方に向けて徐々に径が大きくなるテーパー形状部40aと、径が一定となる径一定形状部40bと、を有している。テーパー形状部40aは、第2柱状部22上に設けられている。径一定形状部40bは、テーパー形状部40a上に設けられている。図示の例では、第1柱状結晶30の径は、一定である。第1柱状結晶30の最大の径D3および第2柱状結晶40の最大の径D4は、互いに等しい。柱状結晶30,40は、第1位置P1において、それぞれ最大の径D3,D4を有する。さらに、柱状結
晶30,40は、第2位置P2において、それぞれ最大の径D3,D4を有する。
【0029】
なお、図1では、便宜上、第1低屈折率層32と第1高屈折率層34とのペア数、および第2低屈折率層42と第2高屈折率層44とのペア数を、3ペアとして図示しているが、第1低屈折率層32と第1高屈折率層34とのペア数、および第2低屈折率層42と第2高屈折率層44とのペア数は、3ペアよりも多く、例えば、20ペア以上である。
【0030】
フォトニック結晶構造体100では、第1低屈折率層32と第1高屈折率層34との屈折率差、および第2低屈折率層42と第2高屈折率層44との屈折率差によって、積層方向において、フォトニック結晶の効果を発現することができる。さらに、第1低屈折率層32と第2高屈折率層44との屈折率差、および第2低屈折率層42と第1高屈折率層34との屈折率差によって、面内方向において、フォトニック結晶の効果を発現することができる。したがって、フォトニック結晶構造体100では、三次元フォトニック結晶としての性質を有する。
【0031】
フォトニック結晶構造体100は、例えば、以下の作用効果を有する。
【0032】
フォトニック結晶構造体100では、複数の第1柱状部20と、第1柱状部20よりも高さが小さい複数の第2柱状部22と、複数の第1柱状部20の各々に設けられた第1柱状結晶30と、複数の第2柱状部22の各々に設けられた第2柱状結晶40と、を有する。第1柱状結晶30は、第1低屈折率層32と、第1低屈折率層32よりも屈折率が高い第1高屈折率層34と、を有し、第1低屈折率層32と第1高屈折率層34とは、交互に積層されている。第2柱状結晶40は、第2低屈折率層42と、第2低屈折率層42よりも屈折率が高い第2高屈折率層44と、を有し、第2低屈折率層42と第2高屈折率層44とは、交互に積層されている。積層方向における第1位置P1には、第1低屈折率層32および第2高屈折率層44が設けられ、積層方向における第1位置P1と異なる第2位置P2には、第2低屈折率層42および第1高屈折率層34が設けられている。そのため、フォトニック結晶構造体100では、良好な周期性を備えた三次元周期構造を有することができる。
【0033】
例えば、基板に凹凸形状を形成し、凹凸形状が形成された基板上に、互いに屈折率の異なる層を形成する場合、積層を重ねることで段差が変化して良好な周期性を保つことができない。フォトニック結晶構造体100では、互いに高さが異なる柱状部20,22を設け、その上に、それぞれ柱状結晶30,40を設けるため、良好な周期性を有することができる。
【0034】
フォトニック結晶構造体100では、第1柱状結晶30の最大の径D3および第2柱状結晶40の最大の径D4は、互いに等しい。そのため、フォトニック結晶構造体100では、柱状結晶30,40の最大の径D3,D4が互いに同じとなる部分の成長速度を同じにすることができる。これにより、最大の径D3,D4が互いに同じとなる部分において、第1柱状結晶30と第2柱状結晶40との高さの差を保ちながら柱状結晶30,40を結晶成長させることができる。その結果、面内方向における周期構造の制御が容易となる。
【0035】
フォトニック結晶構造体100では、第1柱状部20の径D1は、第2柱状部22の径D2よりも大きい。柱状部を結晶成長させた場合、柱状部の径が大きいほど、積層方向における成長速度が速くなる。そのため、フォトニック結晶構造体100では、第1柱状部20の高さを第2柱状部22の高さよりも大きくすることができる。
【0036】
1.2. フォトニック結晶構造体の製造方法
次に、第1実施形態に係るフォトニック結晶構造体100の製造方法について、図面を参照しながら説明する。図4は、第1実施形態に係るフォトニック結晶構造体100の製造方法を説明するためのフローチャートである。図5および図6は、第1実施形態に係るフォトニック結晶構造体100の製造工程を模式的に示す断面図である。
【0037】
図5に示すように、支持基板12上に、バッファー層14を結晶成長させる(ステップS1)。バッファー層14の結晶成長は、例えば、MOCVD(Metal Organic Chemical
Vapor Deposition)法、RF-MBE(Radio Frequency - Molecular Beam Epitaxy)法を用いたエピタキシャル成長である。ステップS1により、基板10を形成することができる。
【0038】
次に、バッファー層14上に、マスク層16を形成する(ステップS2)。マスク層16は、例えば、スパッタ法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、電子ビーム蒸着法によって成膜され、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術によるパターニングによって形成される。
【0039】
図6に示すように、マスク層16をマスクとして、バッファー層14上に、複数の第1柱状部20、および複数の第2柱状部22を形成する(ステップS3)。具体的には、柱状部20,22を結晶成長させる。柱状部20,22の結晶成長は、例えば、MOCVD法、RF-MBE法を用いたエピタキシャル成長である。柱状部20,22の径D1,D2を変えることで柱状部20,22の積層方向の成長速度が変化するため、マスク層16に設けられた開口部の径によって、柱状部20,22の高さH1,H2を制御することができる。具体的には、第1柱状部20の径D1は、第2柱状部22の径D2よりも大きいため、第1柱状部20の高さHD1は、第2柱状部22の高さH2よりも大きくなる。
【0040】
ここで、図7および図8は、複数の柱状部のSEM(Scanning Electron Microscope)像である。図7は平面図であり、図8は斜視図である。図7および図8に示すように、柱状部の径が大きいと、柱状部の高さが大きくなることがわかる。
【0041】
図1に示すように、複数の第1柱状部20の各々の上に第1柱状結晶30を結晶成長させ、複数の第2柱状部22の各々の上に第2柱状結晶40を結晶成長させる(ステップS4)。ステップS4では、第1低屈折率層32と第1高屈折率層34とを交互に積層させて、第1柱状結晶30を結晶成長させる。さらに、第2低屈折率層42と第2高屈折率層44とを交互に積層させて、第2柱状結晶40を結晶成長させる。第1低屈折率層32の結晶成長と第2低屈折率層42の結晶成長とは、同一の工程で行われる。第1高屈折率層34の結晶成長と第2高屈折率層44の結晶成長とは、同一の工程で行われる。低屈折率層32,42および高屈折率層34,44の結晶成長は、例えば、MOCVD法、RF-MBE法を用いたエピタキシャル成長である。
【0042】
ステップS4では、第2柱状結晶40が面内方向によって広がり、かつシャドウ効果によって、図3に示すように、径が小さい第2柱状結晶40が拡大して径D3,D4が互いに等しくなるような条件で、柱状結晶30,40を結晶成長させる。これにより、柱状結晶30,40の最大の径D3,D4が互いに同じとなる部分の成長速度を同じにすることができる。その結果、最大の径D3,D4が互いに同じとなる部分において、第1柱状結晶30と第2柱状結晶40との高さの差を保ちながら柱状結晶30,40を結晶成長させることができる。なお、「シャドウ効果」とは、柱状部20,22の間隔が狭くなると原料が入り込み難くなる現象のことである。
【0043】
ステップS4では、積層方向における第1位置P1に、第1低屈折率層32および第2高屈折率層44を配置させる。さらに、積層方向における第2位置P2に、第2低屈折率
層42および第1高屈折率層34を配置させる。
【0044】
以上の工程により、フォトニック結晶構造体100を製造することができる。
【0045】
1.3. フォトニック結晶構造体の変形例
次に、第1実施形態の変形例に係るフォトニック結晶構造体について、図面を参照しながら説明する。図9は、第1実施形態の変形例に係るフォトニック結晶構造体110を模式的に示す断面図である。図10は、第1実施形態の変形例に係るフォトニック結晶構造体110を模式的に示す平面図である。なお、図9は、図10のIX-IX線断面図である。また、便宜上、図10では、柱状部20,22以外の部材の図示を省略している。
【0046】
以下、第1実施形態の変形例に係るフォトニック結晶構造体110において、上述した第1実施形態に係るフォトニック結晶構造体100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0047】
上述したフォトニック結晶構造体100は、図1および図2に示すように、複数の柱状部20,22の平面形状は、三角格子状に配置されていた。さらに、柱状部20,22の平面形状は、正六角形であった。
【0048】
これに対し、フォトニック結晶構造体110は、図9および図10に示すように、複数の柱状部20,22の平面形状は、四角格子状に配置されている。柱状部20,22の平面形状は、円である。
【0049】
2. 第2実施形態
2.1. 発光装置
次に、第2実施形態に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。図11は、第2本実施形態に係る発光装置200を模式的に示す断面図である。図12は、第2実施形態に係る発光装置200を模式的に示す平面図である。なお、図11は、図12のXI-XI線断面図である。また、便宜上、図12では、柱状部20,22以外の部材の図示を省略している。
【0050】
発光装置200は、図11および図12に示すように、例えば、上述したフォトニック結晶構造体100を有している。さらに、発光装置200は、第1発光層50と、第2発光層52と、第3柱状結晶60と、第4柱状結晶70と、を有している。
【0051】
第1発光層50は、第1柱状結晶30上に設けられている。第1発光層50は、第1柱状結晶30と第3柱状結晶60との間に設けられている。第2発光層52は、第2柱状結晶40上に設けられている。第2発光層52は、第2柱状結晶40と第4柱状結晶70との間に設けられている。図示の例では、第1発光層50は、第1高屈折率層34および第3高屈折率層64と接している。第2発光層52は、第2高屈折率層44および第4高屈折率層74と接している。
【0052】
第1発光層50および第2発光層52は、光が入射されることで光を発生させる。発光層50,52は、例えば、i型のInGaN層からなるウェル層と、i型のGaN層からなるバリア層と、を有している。発光層50,52は、例えば、ウェル層とバリア層とから構成されたMQW(Multiple Quantum Well)構造を有している。なお、ウェル層の数およびバリア層の数は、特に限定されない。発光層50,52は、SQW(Single Quantum Well)構造を有していてもよい。
【0053】
第3柱状結晶60は、第1発光層50上に設けられている。第3柱状結晶60は、第3
低屈折率層62と、第3低屈折率層62よりも屈折率が高い第3高屈折率層64と、を有している。第3低屈折率層62は、複数設けられている。第3高屈折率層64は、複数設けられている。第3低屈折率層62と第3高屈折率層64とは、交互に積層されている。第3低屈折率層62および第3高屈折率層64は、所定の周期で積層方向に配列されている。第3低屈折率層62は、例えば、AlGaN層である。第3高屈折率層64は、例えば、GaN層である。
【0054】
第4柱状結晶70は、第2発光層52上に設けられている。第4柱状結晶70は、第4低屈折率層72と、第4低屈折率層72よりも屈折率が高い第4高屈折率層74と、を有している。第4低屈折率層72は、複数設けられている。第4高屈折率層74は、複数設けられている。第4低屈折率層72と第4高屈折率層74とは、交互に積層されている。第4低屈折率層72および第4高屈折率層74は、例えば、第3低屈折率層62および第3高屈折率層64と同じ周期で、かつ第3低屈折率層62および第3高屈折率層64に対して半周期分ずれて、積層方向に配列されている。第4低屈折率層72の数は、第3低屈折率層62の数と同じである。第4高屈折率層74の数は、第3高屈折率層64の数と同じである。第4低屈折率層72は、例えば、AlGaN層である。第4高屈折率層74は、例えば、GaN層である。
【0055】
発光装置200では、周期構造に周期性を乱す欠陥を意図的に設けることで、欠陥に光を強く局在させることができる。具体的には、基板10上の位置Aに、第1柱状部20を設ける。これにより、柱状部20,22の周期性を乱すことができ、位置Aに位置する第1柱状部20上に設けられた第1発光層50に光を局在させることができる。位置Aを除いた領域で、第1低屈折率層32と第2高屈折率層44、第2低屈折率層42と第1高屈折率層34、第3低屈折率層62と第4高屈折率層74、および第4低屈折率層72と第3高屈折率層64は、面内方向に周期的に配列されている。
【0056】
発光装置200では、入射した励起光は発光層50,52で吸収され、電子が励起されて発光する。発生した光は、面内方向および積層方向におけるフォトニック結晶の効果により位置Aに局在し、第1発光層50で利得を受けてレーザー発振する。そして、発光装置200は、レーザー光を積層方向に出射する。
【0057】
発光装置200では、面内方向および積層方向におけるフォトニック結晶の効果によって、自然放出が抑制されるために、キャリアを効率よく蓄積することができる。そのため、低閾値の半導体レーザーを実現することができる。
【0058】
なお、図示はしないが、支持基板12とバッファー層14との間、または支持基板12の下に反射層が設けられていてもよい。該反射層は、例えば、DBR(Distributed Bragg Reflector)層である。該反射層によって、第1発光層50において発生した光を反射させることができ、発光装置200は、基板10とは反対側のみから光を出射することができる。
【0059】
2.2. 発光装置の製造方法
次に、第2実施形態に係る発光装置200の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
【0060】
第1柱状結晶30および第2柱状結晶40を結晶成長させるところまでは、上述したフォトニック結晶構造体100の製造方法と同様である。
【0061】
図11に示すように、第1柱状結晶30上に第1発光層50を結晶成長させ、第2柱状結晶40上に第2発光層52を結晶成長させる。発光層50,52の結晶成長は、例えば
、MOCVD法、RF-MBE法を用いたエピタキシャル成長である。第1発光層50の結晶成長と第2発光層52の結晶成長とは、同一の工程で行われる。
【0062】
次に、第1発光層50上に第3柱状結晶60を結晶成長させ、第2発光層52上に第4柱状結晶70を結晶成長させる。柱状結晶60,70の結晶成長は、例えば、MOCVD法、RF-MBE法を用いたエピタキシャル成長である。第3柱状結晶60の結晶成長と第4柱状結晶70の結晶成長とは、同一の工程で行われる。
【0063】
以上の工程により、発光装置200を製造することができる。
【0064】
2.3. 発光装置の変形例
次に、第2実施形態の変形例に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。図13は、第2実施形態の変形例に係る発光装置210を模式的に示す断面図である。
【0065】
以下、第2実施形態の変形例に係る発光装置210において、上述した第2実施形態に係る発光装置200の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0066】
上述した発光装置200は、図11に示すように、第1発光層50に光が入射されることによって発光した。
【0067】
これに対し、発光装置210は、図13に示すように、第1発光層50に電流が注入されることによって発光する。
【0068】
発光装置210では、バッファー層14、柱状部20,22、および高屈折率層34,44は、例えば、Siがドープされたn型のGaN層である。低屈折率層32,42は、Siがドープされたn型のAlGaN層である。高屈折率層64,74は、Mgがドープされたp型のGaN層である。低屈折率層62,72は、Mgがドープされたp型のAlGaN層である。
【0069】
発光装置210は、第1電極80と、第2電極82と、を有している。
【0070】
第1電極80は、バッファー層14上に設けられている。バッファー層14は、第1電極80とオーミックコンタクトしていてもよい。第1電極80は、柱状結晶30,40と電気的に接続されている。図示の例では、第1電極80は、バッファー層14および柱状部20,22を介して、柱状結晶30,40と電気的に接続されている。第1電極80は、第1発光層50に電流を注入するための一方の電極である。第1電極80としては、例えば、バッファー層14側から、Cr層、Ni層、Au層の順序で積層したものなどを用いる。
【0071】
第2電極82は、柱状結晶60,70上に設けられている。第2電極82は、柱状結晶60,70と電気的に接続されている。柱状結晶60,70は、第2電極82とオーミックコンタクトしていてもよい。第2電極82は、第1発光層50に電流を注入するための他方の電極である。第2電極82としては、例えば、ITO(indium tin oxide)などを用いる。電極80,82は、例えば、真空蒸着法などにより形成される。
【0072】
発光装置210では、p型の柱状結晶60,70、不純物がドープされていないi型の第1発光層50、およびn型の柱状結晶30,40により、pinダイオードが構成される。発光装置210では、第1電極80と第2電極82との間に、pinダイオードの順バイアス電圧を印加すると、第1発光層50に電流が注入されて第1発光層50において
電子と正孔との再結合が起こる。この再結合により発光が生じる。第1発光層50で発生した光は、面内方向および積層方向におけるフォトニック結晶の効果により位置Aに局在し、第1発光層50で利得を受けてレーザー発振する。そして、発光装置210は、積層方向にレーザー光を出射する。
【0073】
なお、第2発光層52に注入される電流の密度は、第1発光層50に注入される電流の密度よりも小さくしてもよい。第2柱状部22の径は、第1柱状部20の径よりも小さいため、第2柱状部22の抵抗は高い。これにより、第2発光層52に注入される電流の密度を小さくすることができる。上記のように、光は、位置Aに位置する第1柱状部20上に設けられた第1発光層50に局在するため、第1発光層50に選択的に電流を注入させることにより、効率よく第1発光層50を発光させることができる。
【0074】
また、上記では、発光装置200,210が半導体レーザーである場合について説明したが、発光装置200,210は、LED(Light Emitting Diode)であってもよい。
【0075】
3. 第3実施形態
次に、第3実施形態に係るプロジェクターについて、図面を参照しながら説明する。図14は、本実施形態に係るプロジェクター900を模式的に示す図である。
【0076】
プロジェクター900は、例えば、光源として、発光装置210を有している。
【0077】
プロジェクター900は、図示しない筐体と、筐体内に備えられている赤色光、緑色光、青色光をそれぞれ出射する赤色光源210R、緑色光源210G、青色光源210Bと、を有している。なお、便宜上、図14では、赤色光源210R、緑色光源210G、および青色光源210Bを簡略化している。
【0078】
プロジェクター900は、さらに、筐体内に備えられている、第1光学素子902Rと、第2光学素子902Gと、第3光学素子902Bと、第1光変調装置904Rと、第2光変調装置904Gと、第3光変調装置904Bと、投射装置908と、を有している。第1光変調装置904R、第2光変調装置904G、および第3光変調装置904Bは、例えば、透過型の液晶ライトバルブである。投射装置908は、例えば、投射レンズである。
【0079】
赤色光源210Rから出射された光は、第1光学素子902Rに入射する。赤色光源210Rから出射された光は、第1光学素子902Rによって集光される。なお、第1光学素子902Rは、集光以外の機能を有していてもよい。後述する第2光学素子902Gおよび第3光学素子902Bについても同様である。
【0080】
第1光学素子902Rによって集光された光は、第1光変調装置904Rに入射する。第1光変調装置904Rは、入射した光を画像情報に応じて変調させる。そして、投射装置908は、第1光変調装置904Rによって形成された像を拡大してスクリーン910に投射する。
【0081】
緑色光源210Gから出射された光は、第2光学素子902Gに入射する。緑色光源210Gから出射された光は、第2光学素子902Gによって集光される。
【0082】
第2光学素子902Gによって集光された光は、第2光変調装置904Gに入射する。第2光変調装置904Gは、入射した光を画像情報に応じて変調させる。そして、投射装置908は、第2光変調装置904Gによって形成された像を拡大してスクリーン910に投射する。
【0083】
青色光源210Bから出射された光は、第3光学素子902Bに入射する。青色光源210Bから出射された光は、第3光学素子902Bによって集光される。
【0084】
第3光学素子902Bによって集光された光は、第3光変調装置904Bに入射する。第3光変調装置904Bは、入射した光を画像情報に応じて変調させる。そして、投射装置908は、第3光変調装置904Bによって形成された像を拡大してスクリーン910に投射する。
【0085】
また、プロジェクター900は、第1光変調装置904R、第2光変調装置904G、および第3光変調装置904Bから出射された光を合成して投射装置908に導くクロスダイクロイックプリズム906を有することができる。
【0086】
第1光変調装置904R、第2光変調装置904G、および第3光変調装置904Bによって変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム906に入射する。クロスダイクロイックプリズム906は、4つの直角プリズムを貼り合わせて形成され、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが配置されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成され、カラー画像を表す光が形成される。そして、合成された光は、投射装置908によりスクリーン910上に投射され、拡大された画像が表示される。
【0087】
なお、赤色光源210R、緑色光源210G、および青色光源210Bは、発光装置210を映像の画素として画像情報に応じて制御することで、第1光変調装置904R、第2光変調装置904G、および第3光変調装置904Bを用いずに、直接的に映像を形成してもよい。そして、投射装置908は、赤色光源210R、緑色光源210G、および青色光源210Bによって形成された映像を、拡大してスクリーン910に投射してもよい。
【0088】
また、上記の例では、光変調装置として透過型の液晶ライトバルブを用いたが、液晶以外のライトバルブを用いてもよいし、反射型のライトバルブを用いてもよい。このようなライトバルブとしては、例えば、反射型の液晶ライトバルブや、デジタルマイクロミラーデバイス(Digital Micro Mirror Device)が挙げられる。また、投射装置の構成は、使用されるライトバルブの種類によって適宜変更される。
【0089】
また、光源を、光源からの光をスクリーン上で走査させることにより、表示面に所望の大きさの画像を表示させる画像形成装置である走査手段を有するような走査型の画像表示装置の光源装置にも適用することが可能である。
【0090】
上述した実施形態に係る発光装置は、プロジェクター以外にも用いることが可能である。プロジェクター以外の用途には、例えば、屋内外の照明、ディスプレイのバックライト、レーザープリンター、スキャナー、車載用ライト、光を用いるセンシング機器、通信機器等の光源がある。また、上述した実施形態に係る発光装置は、微小な発光素子をアレイ状に配置して画像表示させるLEDディスプレイの発光素子にも適用することができる。
【0091】
上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【0092】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成、例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施
の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【0093】
上述した実施形態および変形例から以下の内容が導き出される。
【0094】
フォトニック結晶構造体の製造方法の一態様は、
複数の第1柱状部、および前記第1柱状部よりも高さが小さい複数の第2柱状部を形成する工程と、
複数の前記第1柱状部の各々に第1柱状結晶を結晶成長させ、複数の前記第2柱状部の各々に第2柱状結晶を結晶成長させる工程と、
を有し、
前記第1柱状結晶および前記第2柱状結晶を結晶成長させる工程では、
第1低屈折率層と、前記第1低屈折率層よりも屈折率が高い第1高屈折率層と、を交互に積層させて、前記第1柱状結晶を結晶成長させ、
第2低屈折率層と、前記第2低屈折率層よりも屈折率が高い第2高屈折率層と、を交互に積層させて、前記第2柱状結晶を結晶成長させ、
前記第1低屈折率層と前記第1高屈折率層との積層方向における第1位置に、前記第1低屈折率層および前記第2高屈折率層を配置させ、
前記積層方向における前記第1位置と異なる第2位置に、前記第2低屈折率層および前記第1高屈折率層を配置させる。
【0095】
このフォトニック結晶構造体の製造方法では、良好な周期性を備えた三次元周期構造を有するフォトニック結晶構造体を製造することができる。
【0096】
フォトニック結晶構造体の製造方法の一態様において、
前記第1柱状結晶の最大の径および前記第2柱状結晶の最大の径は、互いに等しくてもよい。
【0097】
このフォトニック結晶構造体の製造方法によれば、第1柱状結晶と第2柱状結晶との成長速度を同じにすることができる。
【0098】
フォトニック結晶構造体の製造方法の一態様において、
前記第1柱状部および前記第2柱状部を形成する工程では、前記第1柱状部および前記第2柱状部を結晶成長させてもよい。
【0099】
フォトニック結晶構造体の製造方法の一態様において、
前記第1柱状部の径は、前記第2柱状部の径よりも大きくてもよい。
【0100】
このフォトニック結晶構造体の製造方法によれば、第1柱状部の高さを第2柱状部の高さよりも大きくすることができる。
【0101】
フォトニック結晶構造体の一態様は、
複数の第1柱状部と、
前記第1柱状部よりも高さが小さい複数の第2柱状部と、
複数の前記第1柱状部の各々に設けられた第1柱状結晶と、
複数の前記第2柱状部の各々に設けられた第2柱状結晶と、
を有し、
前記第1柱状結晶は、
第1低屈折率層と、
前記第1低屈折率層よりも屈折率が高い第1高屈折率層と、
を有し、
前記第1低屈折率層と前記第1高屈折率層とは、交互に積層され、
前記第2柱状結晶は、
第2低屈折率層と、
前記第2低屈折率層よりも屈折率が高い第2高屈折率層と、
を有し、
前記第2低屈折率層と前記第2高屈折率層とは、交互に積層され、
前記第1低屈折率層と前記第1高屈折率層との積層方向における第1位置には、前記第1低屈折率層および前記第2高屈折率層が設けられ、
前記積層方向における前記第1位置と異なる第2位置には、前記第2低屈折率層および前記第1高屈折率層が設けられている。
【0102】
このフォトニック結晶構造体によれば、良好な周期性を備えた三次元周期構造を有することができる。
【0103】
フォトニック結晶構造体の一態様において、
前記第1柱状結晶の最大の径および前記第2柱状結晶の最大の径は、互いに等しくてもよい。
【0104】
このフォトニック結晶構造体によれば、第1柱状結晶と第2柱状結晶との成長速度を同じにすることができる。
【0105】
フォトニック結晶構造体の一態様において、
前記第1柱状部の径は、前記第2柱状部の径よりも大きくてもよい。
【0106】
このフォトニック結晶構造体によれば、第1柱状部の高さを第2柱状部の高さよりも大きくすることができる。
【0107】
発光装置の一態様において、
前記のフォトニック結晶構造体と、
前記第1柱状結晶に設けられた発光層と、
を有する。
【0108】
本発明に係るプロジェクターの一態様は、
前記発光装置の一態様を有する。
【符号の説明】
【0109】
10…基板、12…支持基板、14…バッファー層、16…マスク層、20…第1柱状部、22…第2柱状部、30…第1柱状結晶、32…第1低屈折率層、34…第1高屈折率層、40…第2柱状結晶、40a…テーパー形状部、40b…径一定形状部、42…第2低屈折率層、44…第2高屈折率層、50…第1発光層、52…第2発光層、60…第3柱状結晶、62…第3低屈折率層、64…第3高屈折率層、70…第4柱状結晶、72…第4低屈折率層、74…第4高屈折率層、80…第1電極、82…第2電極、100,110…フォトニック結晶構造体、200,210…発光装置、210R…赤色光源、210G…緑色光源、210B…青色光源、900…プロジェクター、902R…第1光学素子、902G…第2光学素子、902B…第3光学素子、904R…第1光変調装置、904G…第2光変調装置、904B…第3光変調装置、906…クロスダイクロイックプリズム、908…投射装置、910…スクリーン
図1
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