(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022102612
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】工作装置、制動試験方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/18 20060101AFI20220630BHJP
【FI】
G05B19/18 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020217447
(22)【出願日】2020-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】小黒 雄輝
【テーマコード(参考)】
3C269
【Fターム(参考)】
3C269AB01
3C269AB26
3C269BB12
3C269KK11
3C269MN16
3C269MN27
3C269PP02
3C269PP03
(57)【要約】
【課題】待機時間の削減を促進することができる工作装置、制動試験方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】工作機械は、ワークを搬送する搬送装置を接続可能な工作機械を備える工作装置において、前記搬送装置を前記工作機械に接続したか否か判定する第一判定部と、制動を確認する為のトリガ信号が入力したか否か判定する第二判定部と、前記搬送装置及び工作機械のモータの制動試験を実行する制動試験部とを備え、前記制動試験部は、前記第一判定部にて前記搬送装置を前記工作機械に接続したと判定し、且つ、前記第二判定部にて前記トリガ信号が入力したと判定した場合、前記搬送装置及び工作機械の制動試験を並行実行する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを搬送する搬送装置を接続可能な工作機械を備える工作装置において、
前記搬送装置を前記工作機械に接続したか否か判定する第一判定部と、
制動を確認する為のトリガ信号が入力したか否か判定する第二判定部と、
前記搬送装置及び工作機械のモータの制動試験を実行する制動試験部と
を備え、
前記制動試験部は、前記第一判定部にて前記搬送装置を前記工作機械に接続したと判定し、且つ、前記第二判定部にて前記トリガ信号が入力したと判定した場合、前記搬送装置及び工作機械の制動試験を並行実行する
工作装置。
【請求項2】
前記搬送装置の制動試験のみを実行する指令が入力したか否か判定する第三判定部を備え、
前記制動試験部は、前記第一判定部にて前記搬送装置を前記工作機械に接続したと判定し、且つ、前記第二判定部にて前記トリガ信号が入力したと判定し、且つ、前記第三判定部にて前記指令が入力したと判定した場合、前記搬送装置の制動試験を実行する
請求項1に記載の工作装置。
【請求項3】
指令を入力する為の操作部を備え、
外部装置との接続が可能に構成され、
前記トリガ信号は、指定時刻、前記操作部からの指令又は接続した前記外部装置からの指令を含む
請求項1又は2に記載の工作装置。
【請求項4】
前記工作機械は、正面扉、第一側面扉及び第二側面扉を有し、
前記搬送装置は前記第一側面扉に対向配置してあり、
前記工作機械及び搬送装置の周囲を覆う柵と、
前記柵、正面扉及び第二側面扉が閉じたか否かを判定する第四判定部と
を備え、
前記制動試験部は、前記第四判定部にて、前記柵、正面扉及び第二側面扉が閉じたと判定した場合、前記柵、正面扉及び第二側面扉の閉錠後、前記制動試験を実行する
請求項1から3のいずれか一つに記載の工作装置。
【請求項5】
前記第四判定部にて、前記柵、正面扉及び第二側面扉の少なくとも一つが閉じていないと判定した場合、前記柵、正面扉及び第二側面扉が閉じていないことを報知する報知部を備える
請求項4に記載の工作装置。
【請求項6】
前記制動試験の実行後、前記制動試験の結果に異常があるか否か判定する第五判定部と、
該第五判定部にて、前記制動試験の結果に異常がないと判定した場合、前記柵、正面扉及び第二側面扉を解錠する解錠部を備える
請求項4又は5に記載の工作装置。
【請求項7】
前記第五判定部にて、前記制動試験の結果に異常があると判定した場合、前記柵、正面扉及び第二側面扉の閉錠を保持する
請求項6に記載の工作装置。
【請求項8】
前記工作機械及び搬送装置は、前記モータを制動する制動部を有し、
前記制動試験部は、制動時における前記工作機械のモータの移動量に対する第一許容移動量、前記工作機械の制動部に制動開始信号を出力してから前記工作機械のモータへの制動が開始するまでの制動遅延時間に対する第一許容時間、前記工作機械の制動部に制動解除信号を出力してから前記工作機械のモータへの制動を解除するまでの解除遅延時間に対する第二許容時間、前記工作機械の制動部が制動を開始してから所定の負荷が前記制動部に作用するまでの制動時間に対する第三許容時間、制動時における前記搬送装置のモータの移動量に対する第二許容移動量、前記搬送装置の制動部に制動開始信号を出力してから前記搬送装置のモータへの制動が開始するまでの制動遅延時間に対する第四許容時間、前記搬送装置の制動部に制動解除信号を出力してから前記搬送装置のモータへの制動を解除するまでの解除遅延時間に対する第五許容時間、前記搬送装置の制動部が制動を開始してから所定の負荷が前記制動部に作用するまでの制動時間に対する第六許容時間を設定し、
前記第五判定部は、前記制動試験の結果が前記第一許容移動量、第一許容時間、第二許容時間、第三許容時間、第二許容移動量、第四許容時間、第五許容時間、第六許容時間を超過した場合、前記制動試験の結果に異常があると判定する
請求項6又は7に記載の工作装置。
【請求項9】
前記搬送装置は、第一アームと、該第一アームに連結した第二アームと、該第二アームに設けた把持部とを有し、
前記制動試験部は、前記第一アーム及び第二アームを横に展開し、且つ前記把持部が所定の重量の物体を保持した場合に作用する負荷を前記制動部に付与する
請求項8に記載の工作装置。
【請求項10】
ワークを搬送する搬送装置を接続可能な工作機械を備える工作装置の制動試験方法において、
前記搬送装置を前記工作機械に接続したか否か判定し、
制動を確認する為のトリガ信号が入力したか否か判定し、
前記搬送装置を前記工作機械に接続したと判定し、且つ、前記トリガ信号が入力したと判定した場合、前記搬送装置及び工作機械の制動試験を並行実行する
工作装置の制動試験方法。
【請求項11】
ワークを搬送する搬送装置を接続可能な工作機械を備える工作装置にて実行可能なコンピュータプログラムにおいて、
前記工作装置に、
前記搬送装置を前記工作機械に接続したか否か判定し、
制動を確認する為のトリガ信号が入力したか否か判定し、
前記搬送装置を前記工作機械に接続したと判定し、且つ、前記トリガ信号が入力したと判定した場合、前記搬送装置及び工作機械の制動試験を並行実行する
処理を実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、ワークを搬送する搬送装置を接続可能な工作機械を備え、モータの制動試験を実行する工作装置、該工作装置の制動試験方法、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械は、部材を動かすモータと、該モータのブレーキとを備える。モータの停止時に、ブレーキは作動し、部材を所定位置に保持する。例えば、部材が上下方向に移動する場合に、ブレーキが故障すると、部材は自重の作用により落下する。そのため、工作機械はブレーキの異常の有無を確認する試験を行う(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
工作機械に搬送装置を設けることがある。搬送装置を設けた場合、搬送装置のブレーキの異常の有無を確認する。しかし、工作機械の試験と搬送装置の試験とを個別に実行した場合、一方の試験が終了するまで他方は長時間待機しなければならないおそれがある。
【0005】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、待機時間の削減を促進することができる工作装置、制動試験方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る工作装置は、ワークを搬送する搬送装置を接続可能な工作機械を備える工作装置において、前記搬送装置を前記工作機械に接続したか否か判定する第一判定部と、制動を確認する為のトリガ信号が入力したか否か判定する第二判定部と、前記搬送装置及び工作機械のモータの制動試験を実行する制動試験部とを備え、前記制動試験部は、前記第一判定部にて前記搬送装置を前記工作機械に接続したと判定し、且つ、前記第二判定部にて前記トリガ信号が入力したと判定した場合、前記搬送装置及び工作機械の制動試験を並行実行する。
【0007】
本開示の一実施形態においては、搬送装置を工作機械に接続したと判定し、且つ、前記トリガ信号が入力したと判定した場合、搬送装置及び工作機械の制動試験を並行実行するので、一方が制動試験を終了してから他方の制動試験を実施する場合に比べて時間を短縮できる。
【0008】
本開示の一実施形態に係る工作装置は、前記搬送装置の制動試験のみを実行する指令が入力したか否か判定する第三判定部を備え、前記制動試験部は、前記第一判定部にて前記搬送装置を前記工作機械に接続したと判定し、且つ、前記第二判定部にて前記トリガ信号が入力したと判定し、且つ、前記第三判定部にて前記指令が入力したと判定した場合、前記搬送装置の制動試験を実行する。
【0009】
本開示の一実施形態においては、搬送装置の制動試験のみを実行する指令が入力した場合には、工作機械の制動試験を行わず、制動試験の時間を短縮する。
【0010】
本開示の一実施形態に係る工作装置は、指令を入力する為の操作部を備え、外部装置との接続が可能に構成され、前記トリガ信号は、指定時刻、前記操作部からの指令又は接続した前記外部装置からの指令を含む。
【0011】
本開示の一実施形態においては、指定時刻になった場合、操作部からの指令があった場合、又は外部装置からの指令があった場合に、制動試験を実行する。工作機械は様々な入力に基づき制動試験を実行するので、利用者の利便性が高まる。
【0012】
本開示の一実施形態に係る工作装置は、前記工作機械は、正面扉、第一側面扉及び第二側面扉を有し、前記搬送装置は前記第一側面扉に対向配置してあり、前記工作機械及び搬送装置の周囲を覆う柵と、前記柵、正面扉及び第二側面扉が閉じたか否かを判定する第四判定部とを備え、前記制動試験部は、前記第四判定部にて、前記柵、正面扉及び第二側面扉が閉じたと判定した場合、前記柵、正面扉及び第二側面扉の閉錠後、前記制動試験を実行する。
【0013】
本開示の一実施形態においては、柵、正面扉及び第二側面扉の閉錠後に、制動試験を実行し、操作者の安全を確保する。
【0014】
本開示の一実施形態に係る工作装置は、前記第四判定部にて、前記柵、正面扉及び第二側面扉の少なくとも一つが閉じていないと判定した場合、前記柵、正面扉及び第二側面扉が閉じていないことを報知する報知部を備える。
【0015】
本開示の一実施形態においては、前記柵、正面扉及び第二側面扉の少なくとも一つが閉じていない場合、その旨報知する。報知によって、操作者に、開いた柵、正面扉又は第二側面扉を閉じるよう促すことができる。
【0016】
本開示の一実施形態に係る工作装置は、前記制動試験の実行後、前記制動試験の結果に異常があるか否か判定する第五判定部と、該第五判定部にて、前記制動試験の結果に異常がないと判定した場合、前記柵、正面扉及び第二側面扉を解錠する解錠部を備える。
【0017】
本開示の一実施形態においては、制動試験の結果に異常がない場合、柵、正面扉及び第二側面扉を解錠する。故に工作機械は問題がない状態で柵、扉を解除するので作業者が柵、扉を開けても問題が発生しない。
【0018】
本開示の一実施形態に係る工作装置は、前記第五判定部にて、前記制動試験の結果に異常があると判定した場合、前記柵、正面扉及び第二側面扉の閉錠を保持する。
【0019】
本開示の一実施形態においては、制動試験の結果に異常があると判定した場合、柵、正面扉及び第二側面扉の閉錠を保持し、操作者の安全を確保する。
【0020】
本開示の一実施形態に係る工作装置は、前記工作機械及び搬送装置は、前記モータを制動する制動部を有し、前記制動試験部は、制動時における前記工作機械のモータの移動量に対する第一許容移動量、前記工作機械の制動部に制動開始信号を出力してから前記工作機械のモータへの制動が開始するまでの制動遅延時間に対する第一許容時間、前記工作機械の制動部に制動解除信号を出力してから前記工作機械のモータへの制動を解除するまでの解除遅延時間に対する第二許容時間、前記工作機械の制動部が制動を開始してから所定の負荷が前記制動部に作用するまでの制動時間に対する第三許容時間、制動時における前記搬送装置のモータの移動量に対する第二許容移動量、前記搬送装置の制動部に制動開始信号を出力してから前記搬送装置のモータへの制動が開始するまでの制動遅延時間に対する第四許容時間、前記搬送装置の制動部に制動解除信号を出力してから前記搬送装置のモータへの制動を解除するまでの解除遅延時間に対する第五許容時間、前記搬送装置の制動部が制動を開始してから所定の負荷が前記制動部に作用するまでの制動時間に対する第六許容時間を設定し、前記第五判定部は、前記制動試験の結果が前記第一許容移動量、第一許容時間、第二許容時間、第三許容時間、第二許容移動量、第四許容時間、第五許容時間、第六許容時間を超過した場合、前記制動試験の結果に異常があると判定する。
【0021】
本開示の一実施形態においては、前記制動試験の結果が前記許容移動量又は許容時間を超過した場合、前記制動試験の結果に異常があると判定し、制動異常の検出を実現する。
【0022】
本開示の一実施形態に係る工作装置は、前記搬送装置は、第一アームと、該第一アームに連結した第二アームと、該第二アームに設けた把持部とを有し、前記制動試験部は、前記第一アーム及び第二アームを横に展開し、且つ前記把持部が所定の重量の物体を保持した場合に作用する負荷を前記制動部に付与する。
【0023】
本開示の一実施形態においては、搬送装置の制動試験を行う場合、搬送装置を、制動部に大きい負荷が作用する姿勢にする。
【0024】
本開示の一実施形態に係る制動試験方法は、ワークを搬送する搬送装置を接続可能な工作機械を備える工作装置の制動試験方法において、前記搬送装置を前記工作機械に接続したか否か判定し、制動を確認する為のトリガ信号が入力したか否か判定し、前記搬送装置を前記工作機械に接続したと判定し、且つ、前記トリガ信号が入力したと判定した場合、前記搬送装置及び工作機械の制動試験を並行実行する。
【0025】
本開示の一実施形態においては、搬送装置を工作機械に接続したと判定し、且つ、前記トリガ信号が入力したと判定した場合、搬送装置及び工作機械の制動試験を並行実行する。
【0026】
本開示の一実施形態に係るコンピュータプログラムは、ワークを搬送する搬送装置を接続可能な工作機械を備える工作装置にて実行可能なコンピュータプログラムにおいて、前記工作装置に、前記搬送装置を前記工作機械に接続したか否か判定し、制動を確認する為のトリガ信号が入力したか否か判定し、前記搬送装置を前記工作機械に接続したと判定し、且つ、前記トリガ信号が入力したと判定した場合、前記搬送装置及び工作機械の制動試験を並行実行する。
【0027】
本開示の一実施形態においては、搬送装置を工作機械に接続したと判定し、且つ、前記トリガ信号が入力したと判定した場合、搬送装置及び工作機械の制動試験を並行実行する。
【発明の効果】
【0028】
本開示の一実施形態に係る工作装置、制動試験方法及びコンピュータプログラムにあっては、搬送装置を工作機械に接続したと判定し、且つ、前記トリガ信号が入力したと判定した場合、搬送装置及び工作機械の制動試験を並行実行する。そのため、搬送装置及び工作機械の制動試験を同時期に実行し、搬送装置又は工作機械の待機時間の削減を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】実施の形態1に係る工作装置の略示斜視図である。
【
図4】搬送装置を略示する部分断面右側面図である。
【
図8】CPUによる制動試験を説明するフローチャートである。
【
図9】CPUによる第一制動試験を説明するフローチャートである。
【
図10】CPUによる第二制動試験を説明するフローチャートである。
【
図11】実施の形態2に係るCPUによる制動試験を説明するフローチャートである。
【
図12】CPUによる第三制動試験を説明するフローチャートである。
【
図13】実施の形態3に係るCPUによる制動試験を説明するフローチャートである。
【
図14】実施の形態4に係るCPUによる制動試験を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下本発明を実施の形態1に係る工作装置を示す図面に基づいて説明する。
図1、
図2を用いて工作機械の構成について説明する。尚、以下の説明では図中の上下前後左右を使用する。
【0031】
工作装置は工作機械100及び搬送装置1を備える。工作機械100は、機械本体101と、壁102とを備える。壁102は機械本体101の周囲を覆う。壁102の右部には開口(図示略)が設けてあり、該開口の右側に扉ユニット4が設けてある。扉ユニット4の右側にカバー2が設けてある。
【0032】
カバー2は上下左右方向に延びた前板部2a及び後板部2bと、上下前後方向に延びた右板部2cを備える。前板部2aの右端と後板部2bの右端を右板部2cが連結する。右板部2cには開口2dが設けてある。
【0033】
カバー2と扉ユニット4の間に搬送装置1が設けてある。カバー2の右側にワーク91を載置する台90が設けてある。台90は開口2dの右隣に位置する。柵50が、台90、カバー2、搬送装置1及び工作機械100の周囲を覆う。柵50は開閉式の扉51を備え、扉51は錠機構51a(
図7参照)を有する。錠機構51aは電磁的に動作し、扉51を閉錠又は解錠する。柵50は、扉51の開閉を検出する開閉検出部50a(
図7参照)を有する。開閉検出部50aは開信号又は閉信号を出力する。
【0034】
扉ユニット4は、直方体状をなし、上下前後方向に延びた薄い筐体41を備える。筐体41は開口42を備え、開口42は、筐体41の右側面及び左側面を左右に貫通する。筐体41の開口42は、壁102の開口に対応した位置に配してある。筐体41は前後方向に移動する第一側面扉43を収容する。第一側面扉43は筐体41に略平行であり、前後に移動して開口42を開閉する。
【0035】
壁102の左部に第二側面扉103が設けてある。第二側面扉103は開閉可能である。第二側面扉103は錠機構103a(
図7参照)を有する。錠機構103aは電磁的に動作し、第二側面扉103を閉錠又は解錠する。第二側面扉103は、扉の開閉を検出する開閉検出部103b(
図7参照)を有する。開閉検出部103bは開信号又は閉信号を出力する。壁102の前部に正面扉105が設けてある。正面扉105は開閉可能である。正面扉105は錠機構105a(
図7参照)を有する。錠機構105aは電磁的に動作し、正面扉105を閉錠又は解錠する。正面扉105は、扉の開閉を検出する開閉検出部105b(
図7参照)を有する。開閉検出部105bは開信号又は閉信号を出力する。正面扉105の右隣に、操作者の操作を受け付ける操作部106が設けてある。操作部106の上方に表示部106aが設けてある。表示部106aは情報を表示する。
【0036】
図3を用いて機械本体101について説明する。機械本体101は、前後に延びた矩形の基台120を備える。基台120の上面後部に立柱112が設けてある。立柱112の後面に制御盤104が設けてあり、立柱112の前面に主軸ヘッド113が設けてある。主軸ヘッド113は、上下方向に移動可能である。
【0037】
主軸ヘッド113は上下延びる主軸(図示略)を備える。主軸の下端部に工具を装着する。主軸ヘッド113の上端部には主軸の回転を行う主軸モータ113aが設けてある。立柱112の上下方向中途部に、二つの連結板108を介して工具マガジン107が設けてある。二つの連結板108は立柱112から前方に突出し、左右に並ぶ。二つの連結板108の前端部に工具マガジン107が固定してある。工具マガジン107は、例えばタレット式の工具マガジン107であり、複数の工具を収納する。工具マガジン107は主軸ヘッド113よりも前側に位置する。制御盤104は、不図示のモータの駆動によって工具マガジン107を回転して、工具を所定位置に割り出し、モータ123(
図7参照)の駆動によって、主軸ヘッド113の下降を行い、主軸に工具を装着する。また制御盤104は、モータ123の駆動によって、主軸ヘッド113の上昇を行い、工具を主軸から取り外し、工具マガジン107に収納する。
【0038】
基台120の上面前部にワークを保持する保持装置111が設けてある。保持装置111は、第一移動台109及び第二移動台110を備える。第一移動台109は第二移動台110の上に設けてある。第一移動台109はモータ121(
図7参照)の駆動によって、左右方向に移動する。第二移動台110はモータ122(
図7参照)の駆動によって、前後方向に移動する。第二移動台110の移動によって、第一移動台109は前後方向に移動する。
【0039】
図7の如く、各モータ121、122、123はエンコーダ(不図示)を備え、エンコーダは各モータ121、122、123の回転位置を検出する。各モータ121、122、123は、制動部121a、122a、123aを有する。制動部121a、122a、123aはモータ121、122、123の回転を規制する。例えば、モータ121、122、123の回転軸にディスクを設け、制動部121a、122a、123aはディスクを挟み、モータ121、122、123の回転を規制する。制動部121a、122a、123aは電磁的に動作する。
【0040】
図4~
図6を用いて搬送装置1を説明する。搬送装置1は前後に延びた直方体状の基台12を備える。基台12の右側面に、前後に移動するボールねじ機構11が設けてある。ボールねじ機構11のナットの右側に台座13が設けてある。
【0041】
台座13は前面視逆L形をなし、上下前後に延びた右板部13aと、該右板部13aの上端から左方に突出した上板部13bとを備える。右板部13aはナット16に連結する。ボールねじ機構11のモータの回転によってナット及び台座13が前後に移動する。上板部13bは、ワーク91を交換する交換機構70を支持する。
【0042】
交換機構70は、前支持体20及び後支持体21を備える。前支持体20及び後支持体21は前後に離隔し、上板部18bの上面に固定してある。後支持体21は前後方向を軸方向とした筒状をなし、後支持体21の後部にモータ22が設けてある。後支持体21の内側に、前後方向を軸方向とした伝動円柱24が設けてある。伝動円柱24の軸部分にモータ22の回転軸22aが同軸的に連結する。
【0043】
前支持体20は前後方向を軸方向とした筒状をなし、モータ23を収容する。モータ23の回転軸23aは前支持体20から後方に突出する。
【0044】
前支持体20及び後支持体21の間に第一アーム31が設けてある。第一アーム31は上下に延びた箱状をなす。第一アーム31の下端部は前後に貫通した筒状をなす。
【0045】
第一アーム31の下端部の前部には、モータ23の回転軸23aが挿入する。モータ23の回転軸23aにはプーリ26が設けてある。モータ23の回転軸23a、モータ22の回転軸22a、伝動円柱24の軸部分、第一アーム31の下端部の軸心は、第一軸(
図6参照)上に位置する。モータ22が回転し、伝動円柱24が第一軸回りに回転して、第一アーム31は下端部を中心にして、第一軸回りに回転する。
【0046】
第一アーム31の上端部前側に、前後方向を軸方向とした伝動円柱33が設けてある。伝動円柱33は前後に突出した軸部33aを備える。軸部33aの後端部は第一アーム31の上端部を貫通し、第一アーム31の内側に位置する。軸部33aの後端部にはプーリ33bが設けてある。モータ23の回転軸23a及び軸部33aに設けた二つのプーリ26、33bにベルト25が掛架している。
【0047】
伝動円柱33の前側に第二アーム32が設けてある。第二アーム32は上下に延びた箱状をなす。第二アーム32の上端部に伝動円柱33が連結している。軸部33aは第二軸(
図6参照)上に位置する。モータ23が回転し、ベルト25を介して軸部33a及び伝動円柱33が軸回りに回転し、第二アーム32は上端部を中心にして、第二軸回りに回転する。
【0048】
第二アーム32の下端部は、モータ34を収容する。第二アーム32の下端部の後側に開口32aが設けてある。モータ34の回転軸34aは開口32aから後方に突出している。回転軸34aにプーリ35が設けてある。
【0049】
第二アーム32の下端部下面に前後方向を軸方向とした支持筒66が設けてある。支持筒66は有底円筒状をなす。支持筒66の底部は後側に位置する。支持筒66には伝動体65が設けてある。伝動体65は前後方向を軸方向とした円盤状をなす。伝動体65の中心に回転軸67が設けてある。回転軸67は伝動体65から前後に延びる。回転軸67の後端部は支持筒66の底部を貫通し、支持筒66の後側に突出している。回転軸67の後端部にプーリ36が設けてある。モータ34の回転軸34a及び回転軸67に設けた二つのプーリ35、36にベルト37が掛架している。
【0050】
回転軸67の前端部には円板部68が設けてある。該円板部68の前側に、前面視L形の支持板64が設けてある。円板部68は支持板64の角部64aに連結する。モータ34及びプーリ35が回転し、ベルト37を介してプーリ36、回転軸67及び伝動体65が回転し、支持板64が回転する。角部64aは第三軸(
図6参照)上に位置し、支持板64は前後方向を回転軸方向として、角部64aを中心にして、第三軸回りに回転する。
【0051】
支持板64の両端部夫々にワーク91を把持する把持部60が設けてある。把持部60は、シリンダ61と、該シリンダ61の駆動によって移動する移動板62と、移動板62に対向する受け部材63とを備える。シリンダ61が駆動し、移動板62は受け部材63に接近するか又は受け部材63から離れる。移動板62と受け部材63の間にワーク91が位置し、移動板62が受け部材63に接近した場合、移動板62及び受け部材63はワーク91を把持する。移動板62及び受け部材63がワーク91を把持し、移動板62が受け部材63から離れた場合、移動板62及び受け部材63はワーク91を離す。
【0052】
各モータ22、23、34は不図示のエンコーダを備え、エンコーダは各モータ22、23、34の回転位置を検出する。各モータ22、23、34は、制動部22b、23b、34bを有する。制動部22b、23b、34bはモータ22、23、34の回転を規制する。例えば、モータ22、23、34の回転軸にディスクを設け、制動部22b、23b、34bはディスクを挟み、モータ22、23、34の回転を規制する。制動部22b、23b、34bは電磁的に動作する。
【0053】
工作装置は、第一側面扉43及び交換機構70には、係合部及び被係合部(何れも図示略)を備える。第一側面扉43を開閉する場合、係合部及び被係合部を係合する。例えば、係合部はエアシリンダのロッドであり、被係合部はロッドが挿入される凹部である。ロッド進退は工作機械100の制御盤104又は搬送装置1の制御盤80からの信号によって行う。
【0054】
図7を用いて工作装置の電気構成を説明する。工作機械100の制御盤104は、CPU104a、RAM104b、記憶部104c、タイマ104dを備える。RAM104bは情報を一時的に記憶する。記憶部104cはEEPROM、EPROM、フラッシュメモリ、ハードディスク等の書き換え可能な記憶部である。
【0055】
記憶部104cは加工プログラム、制動試験プログラム、制動試験に使用する変数、該変数に設定した設定値、第一許容移動量、第一許容時間、第二許容時間、第三許容時間、第二許容移動量、第四許容時間、第五許容時間、第六許容時間等を格納する。第一許容移動量、第一許容時間、第二許容時間、第三許容時間は工作機械100の制動試験に使用し、第二許容移動量、第四許容時間、第五許容時間、第六許容時間は搬送装置1の制動試験に使用する。CPU104aは、記憶部104cから加工プログラム、制動試験プログラム等をRAM104bに読み出して実行する。加工プログラム、制動試験プログラム等は、例えば、CD-ROM、フラッシュメモリ等の記録媒体150から記憶部104cに記憶してもよいし、外部装置200から記憶部104cに記憶してもよいし、ネットワークを介してサーバから記憶部104cに記憶してもよい。
【0056】
制御盤104は、モータ121、122、123に駆動又は停止信号を出力し、錠機構51a、103a、105aに閉錠信号又は解錠信号を出力し、制動部121a、122a、123aに制動開始信号又は制動終了信号を出力し、表示部106aに表示信号を出力する。モータ121、122、123は、自身の回転位置を制御盤104に出力する。開閉検出部50a、103b、105bは、開信号又は閉信号を制御盤104に出力する。操作部106は、受け付けた操作に基づく信号を制御盤104に出力する。
【0057】
制御盤104は外部装置200と接続可能である。外部装置200との接続は、有線又は無線のいずれでもよい。外部装置200は、例えばPC、スマートフォン又はタブレット端末である。
【0058】
搬送装置1は制御盤80を備える。制御盤80は、CPU80a、RAM80b、記憶部80cを備える。記憶部80cは加工プログラム、制動試験プログラム等を格納する。CPU80aは、記憶部80cから搬送プログラム、制動試験プログラム等をRAM80bに読み出して実行する。両制御盤104、80は通信する。
【0059】
図8を用いてCPU104aによる制動試験を説明する。
CPU104aは工作機械100の電源がオンになったか否か判定する(S1)。電源がオンになっていない場合(S1:NO)、CPU104aはステップS1に処理を戻す。工作機械100の電源がオンになった場合(S1:YES)、CPU104aは搬送装置1を接続したか否か判定する(S2)。CPU104aは、例えば、制御盤80に返答を要求する信号を出力し、所定時間内に返答があった場合、搬送装置1と接続したと判定し、返答がない場合、搬送装置1と接続してないと判定する。ステップS2を実行するCPU104aは第一判定部を構成する。
【0060】
搬送装置1を接続してないと判定した場合(S2:NO)、CPU104aは第二制動試験を実行する(S9)。第二制動試験の詳細は後述する。
【0061】
搬送装置1を接続したと判定した場合(S2:YES)、CPU104aは制御盤80に、制動試験に使用する設定値を送信し(S3)、制御盤80から、前回の制動試験の結果を受信する(S4)。ステップS3、S4は初期処理である。CPU104aは設定値の変更があったか否か判定する(S5)。例えば、操作者は操作部106を操作し、設定値を変更する。設定値は、例えば指定時刻である。
【0062】
設定値の変更があったと判定した場合(S5:YES)、CPU104aは、変更後の設定値を制御盤80に送信するか又は記憶部104cに設定する(S6)。CPU80aは、受信した設定値を記憶部80cに設定する。
【0063】
CPU104aはタイマ104dを参照し、制動試験の指定時刻を経過したか否か判定する(S7)。指定時刻はトリガ信号に対応する。ステップS7を実行するCPU104aは第二判定部を構成する。指定時刻を経過した場合(S7:YES)、CPU104aは第一制動試験を実行する(S8)。指定時刻を経過してない場合(S7:NO)、CPU104aはステップS7に処理を戻す。ステップS8、S9を実行するCPU104aは制動試験部を構成する。
【0064】
図9は、CPU104aによる第一制動試験を説明するフローチャートである。指定時刻が経過した場合(S7:YES)、CPU104aは、開閉検出部50a、103b、105bから信号を取り込み、扉51、第二側面扉103及び正面扉105全てが閉じているか否か判定する(S11)。扉51、第二側面扉103及び正面扉105の少なくとも一つが閉じていない場合(S11:NO)、CPU104aは、表示部106aに、扉51、第二側面扉103及び正面扉105の少なくとも一つが閉じていない旨、即ち、少なくとも一つが開いている旨、報知する信号を出力し(S12)、ステップS11に処理を戻す。ステップS11を実行するCPU104aは第四判定部を構成し、ステップS12を実行するCPU104aは報知部を構成する。
【0065】
扉51、第二側面扉103及び正面扉105全てが閉じている場合(S11:YES)、CPU104aは、錠機構51a、103a、105aに閉錠信号を出力し(S13)、工作機械100及び搬送装置1の制動試験を並行実行する(S14)。
【0066】
具体的には、CPU104aは制動部121a、122a、123aに制動開始信号を出力し、出力時点、即ち第一時点を記憶部104cに記憶する。制動部121a、122a、123aはモータ121、122、123への制動を開始し、開始処理完了信号を制御盤104に出力する。CPU104aは開始処理完了信号の入力時点、即ち第二時点を記憶部104cに記憶する。第一時点及び第二時点の間の時間は制動遅延時間である。
【0067】
CPU104aは、モータ121、122、123に駆動信号を出力し、制動部121a、122a、123aへの負荷を導出する。モータ121、122、123への駆動信号から、制動部121a、122a、123aに作用する負荷、例えばトルクを導出する。CPU104aは、所定の負荷が作用した時点(駆動信号が示す負荷値が予め記憶部80cに記憶した所定の値を超えた時)、即ち第三時点を記憶部104cに記憶する。第一時点及び第三時点の間の時間は制動時間である。CPU104aは、モータ121、122、123のエンコーダから回転位置を取り込み、回転位置の変化、即ちモータ121、122、123の移動量を導出する。
【0068】
CPU104aは、モータ121、122、123に停止信号を出力し、制動部121a、122a、123aに制動解除信号を出力する。CPU104aは、制動解除信号を出力した時点、即ち第四時点を記憶部104cに記憶する。制動部121a、122a、123aはモータ121、122、123への制動を解除し、解除処理完了信号を制御盤104に出力する。CPU104aは解除処理完了信号の入力時点、即ち第五時点を記憶部104cに記憶する。第四時点及び第五時点の間の時間は解除遅延時間である。
【0069】
CPU104aは制御盤80に制動試験要求を送信する。CPU80aは制動試験要求を受信し、制動部22b、23b、34b及びモータ22、23、34に対して、上述の移動試験と同様な制動試験を行う。CPU80aは、第一アーム31及び第二アーム32を右又は左に、即ち横に展開し、且つ前記把持部60が所定の重量のワーク91を把持した場合に作用する負荷を制動部22b、23b、34bに付与する。所定の重量は、搬送装置1の仕様に基づき決定する。CPU80aは制動試験の結果を記憶部80cに記憶し、制御盤104に送信する。故に工作装置は工作機械100側の制動試験と、搬送装置1側の制動試験を同時に行い、制動試験の一方を実施後、他方を実施するよりも制動試験時間を短くできる。なお、工作機械100側の制動試験と、搬送装置1側の制動試験は、同じタイミングで開始されなくてもよい。工作機械100側の制動試験と、搬送装置1側の制動試験とが、少なくとも時間的に一部重複して実施されれば、制動試験の一方を実施後、他方を実施するよりも制動試験時間を短くできる。
【0070】
CPU104aは、工作機械100及び搬送装置1の制動試験の結果を取得したか否か判定する(S15)。工作機械100及び搬送装置1の制動試験の結果を取得してない場合(S15:NO)、CPU104aはステップS15に処理を戻す。
【0071】
工作機械100及び搬送装置1の制動試験の結果を取得した場合(S15:YES)、CPU104aは工作機械100の試験結果に異常があるか否か判定する(S16)。具体的には、CPU104aは、モータ121、122、123の移動量が第一許容移動量を超過したか否か判定し、制動遅延時間が第一許容時間を超過したか否か判定し、解除遅延時間が第二許容時間を超過したか否か判定し、制動時間が第三許容時間を超過したか否か判定する。
【0072】
移動量が許容移動量を超過せず、制動遅延時間が第一許容時間を超過せず、解除遅延時間が第二許容時間を超過せず、且つ制動時間が第三許容時間を超過しない場合、工作機械100の試験結果に異常がないと判定し(S16:NO)、CPU104aは搬送装置1の試験結果に異常があるか否か判定する(S17)。具体的には、CPU104aは、モータ22、23、34の移動量が第二許容移動量を超過したか否か判定し、制動遅延時間が第四許容時間を超過したか否か判定し、解除遅延時間が第五許容時間を超過したか否か判定し、制動時間が第六許容時間を超過したか否か判定する。ステップS16、S17を実行するCPU104aは第五判定部を構成する。
【0073】
移動量が第二許容移動量を超過せず、制動遅延時間が第四許容時間を超過せず、解除遅延時間が第五許容時間を超過せず、且つ制動時間が第六許容時間を超過しない場合、搬送装置1の試験結果に異常がないと判定し(S17:NO)、CPU104aは、錠機構51a、103a、105aに解錠信号を出力し(S18)、制動試験を終了する。ステップS18を実行するCPU104aは解錠部を構成する。
【0074】
移動量が第一許容移動量を超過するか、制動遅延時間が第一許容時間を超過するか、解除遅延時間が第二許容時間を超過するか、又は制動時間が第三許容時間を超過した場合、工作機械100の試験結果に異常があると判定し(S16:YES)、CPU104aは異常を報知して(S19)、制動試験を終了する。例えば、CPU104aは表示部106aに異常を示す情報を表示する。
【0075】
移動量が第二許容移動量を超過するか、制動遅延時間が第四許容時間を超過するか、解除遅延時間が第五許容時間を超過するか、又は制動時間が第六許容時間を超過した場合、搬送装置1の試験結果に異常があると判定し(S17:YES)、CPU104aは異常を報知して(S19)、制動試験を終了する。即ち、閉錠を維持したまま制動試験を終了する。
【0076】
図10は、CPU104aによる第二制動試験を説明するフローチャートである。第二制動試験のステップS21~S23、S25~S28は、第一制動試験のステップS11~13、S15、S16、S18、S19と同様な処理であり(
図9参照)、その詳細な説明を省略する。ステップ24において、CPU104aは工作機械100の制動試験を実行する。第二制動試験では、搬送装置1を接続していないので、工作機械100の制動試験のみ実行する。
【0077】
実施の形態1に係る工作装置、制動試験方法及びコンピュータプログラムにあっては、搬送装置1を工作機械100に接続したと判定し、且つ、指定時刻が入力したと判定した場合、搬送装置1及び工作機械100の制動試験を並行実行する。そのため、搬送装置1及び工作機械100の制動試験を同時期に実行し、搬送装置1又は工作機械100の待機時間の削減を促進することができる。
【0078】
また工作装置は指定時刻になった場合又は操作部からの指令があった場合に、制動試験を実行する。また柵50、正面扉105及び第二側面扉103の閉錠後に、制動試験を実行し、操作者の安全を確保する。
【0079】
また柵50、正面扉105及び第二側面扉103の少なくとも一つが閉じていない場合、その旨報知する。報知によって、操作者に、開いた柵50、正面扉105及び第二側面扉103を閉じるよう促す。
【0080】
制動試験の結果に異常がない場合、柵50、正面扉105及び第二側面扉103を解錠する。一方、制動試験の結果に異常があると判定した場合、柵50、正面扉105及び第二側面扉103の閉錠を保持し、操作者の安全を確保する。
【0081】
また搬送装置1の制動試験を行う場合、第一アーム31及び第二アーム32を横に展開し、且つ把持部60が所定の重量の物体を把持した場合に作用する負荷、即ちモーメントを制動部22b、23bに付与し、制動性能を測定する。搬送装置1の姿勢を、制動部22b、23bにより大きい負荷が作用する姿勢にすることで、制動部22b、23bの制動性能を、より厳密に測定することができる。
【0082】
(実施の形態2)
以下本発明を実施の形態2について
図11、
図12を用いて説明する。実施の形態2の制動試験のステップの内、ステップS31~37、S39、S40は、実施の形態1の制動試験におけるステップS1~S9と同様な処理であるので(
図8参照)、その詳細な説明を省略する。
【0083】
ステップS37において、指定時刻を経過した場合(S37:YES)、CPU104aは、限定指令が入力したか否か判定する(S38)。限定指令は、制動試験の対象を搬送装置1に限定する指令である。限定指令は、例えば、操作者が操作部106を操作して、入力する。限定指令が入力してない場合(S38:NO)、CPU104aは第一制動試験を実行する(S39)。限定指令が入力している場合(S38:YES)、CPU104aは第三制動試験を実行する(S41)。
【0084】
図12の第三制動試験のフローチャートの内、ステップS51~S53、S55~S58は、第一制動試験のステップS11~13、S15、S17~S19と同様な処理であるので、その詳細な説明を省略する。ステップS54において、CPU104aは搬送装置1の制動試験を実行する。第三制動試験では、限定指令が入力しているので、搬送装置1の制動試験のみ実行する。
【0085】
実施の形態2にあっては、搬送装置1の制動試験のみを実行する指令が入力した場合には、工作機械100の制動試験を行わず、制動試験の時間を短縮する。
限定指令が有る場合、S37の指定時刻の経過を判定する処理を実行せずに、S38の判定を実行するようにしてもよい。即ち、S36の処理後、直ちにS38の判定を実行してもよい。
【0086】
(実施の形態3)
以下本発明を実施の形態3について
図13を用いて説明する。実施の形態3の制動試験のステップの内、ステップS61~67、S70~S73は、実施の形態1におけるステップS1~S7(
図8参照)、実施の形態2におけるステップS38~S41と同様な処理であるので(
図11参照)、その詳細な説明を省略する。
【0087】
ステップS67において、指定時刻が経過した場合(S67:YES)、CPU104aは、制動試験を開始する為の指示を要求する(S68)。例えば、CPU104aは表示部106aに、前記指示の入力を要求する情報を表示し、操作者に指示の入力を促す。CPU104aは制動試験を開始する為の指示が入力されたか否か判定する(S69)。前記指示が入力してない場合(S69:NO)、CPU104aはステップS69に処理を戻す。前記指示が入力した場合(S69:YES)、CPU104aはステップS70に処理を進める。
【0088】
実施の形態3にあっては、操作部からの指令があった場合に、制動試験を実行する。操作者は、制動試験を実行するか否か判断できる。
【0089】
記憶部104cの変数は制動試験猶予時間を含む。制動試験猶予時間に所定の時間を設定した場合、ステップS69において、開始指示の入力の待機中に(S69:NO)、指定時刻からの経過時間が制動試験猶予時間を超過すると、全ての扉が閉錠する。開始指示が入力した場合、全ての扉を解錠する。
【0090】
(実施の形態4)
以下本発明を実施の形態4について
図14を用いて説明する。実施の形態4の制動試験のステップの内、ステップS81~86、S88~S91は、実施の形態3におけるステップS61~S66、S70~S73(
図13参照)と同様な処理であるので、その詳細な説明を省略する。
【0091】
ステップS86の処理を実行後、CPU104aは外部装置200から開始指令を取得したか否か判定する(S87)。開始指令を取得してない場合(S87:NO)、CPU104aはステップS87に処理を戻す。開始指令を取得した場合(S87:YES)、CPU104aはステップS88に処理を進める。ステップS86の処理を実行後、外部装置200に対し、開始指令の入力を要求し、操作者に開始指令の入力を促してもよい。開始指令の入力は、外部装置200の他に操作部106からの入力でもよい。
【0092】
実施の形態4にあっては、外部装置200からの指令があった場合に、制動試験を実行する。操作者は、工作装置から離れた場所にいても、外部装置200を操作し、制動試験の実行を判断できる。
【0093】
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。各実施例にて記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0094】
1 搬送装置
22、23、34 モータ
22b、23b、34b 制動部
50a、103b、105b 開閉検出部
80 制御盤
80a CPU
80b RAM
80c 記憶部
100 工作機械
104 制御盤
104a CPU
104b RAM
104c 記憶部
106 操作部
106a 表示部
121、122、123 モータ
121a、122a、123a 制動部