(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022102645
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】システムおよび制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B66B 31/00 20060101AFI20220630BHJP
G09F 19/00 20060101ALI20220630BHJP
G09F 19/22 20060101ALI20220630BHJP
G09F 21/04 20060101ALI20220630BHJP
G06Q 30/02 20120101ALI20220630BHJP
【FI】
B66B31/00 A
B66B31/00 C
G09F19/00 Z
G09F19/22 Z
G09F21/04 Z
G06Q30/02 398
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020217495
(22)【出願日】2020-12-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】須藤 豪
(72)【発明者】
【氏名】小村 章
【テーマコード(参考)】
3F321
5L049
【Fターム(参考)】
3F321FA00
3F321FB00
5L049BB08
(57)【要約】
【課題】エスカレータ等の乗客コンベアを利用する利用者に対し、当該乗客コンベアを利用中に当該利用者に提供された情報を、該乗客コンベア利用後にも視聴可能とする。
【解決手段】システム(100)は、エスカレータ(3)の周辺に設けられ、広告宣伝情報を出力する表示装置(31)と、前記エスカレータを利用した利用者を特定する利用者特定部(115)と、前記利用者が前記エスカレータを利用していた利用期間中に前記表示装置に出力されていた前記広告宣伝情報を特定する情報特定部(116)と、特定された前記広告宣伝情報を、前記利用者の端末装置(200)に提供する提供部(117)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗客コンベアを利用する利用者に広告宣伝情報を提供するシステムであって、
前記乗客コンベアの周辺に設けられ、前記広告宣伝情報を出力する出力装置と、
前記乗客コンベアを利用した利用者を特定する利用者特定部と、
特定された前記利用者が前記乗客コンベアを利用していた利用期間中に前記出力装置に出力されていた前記広告宣伝情報を特定する情報特定部と、
特定された前記広告宣伝情報を、特定された前記利用者の端末装置に提供する提供部と、を備えるシステム。
【請求項2】
前記利用者の端末装置から、前記広告宣伝情報の提供要求を取得する取得部をさらに備え、
前記利用者特定部は、前記取得部が前記提供要求を取得したとき、前記提供要求を送信した前記端末装置の前記利用者を特定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記乗客コンベアの入口付近に設けられ、前記利用者を撮像する撮像装置と、
予め登録された登録者の顔画像と、当該登録者を識別する識別情報とを対応付けて記憶する記憶装置と、
前記撮像装置によって撮像された利用者の顔が、前記記憶装置に記憶されている前記顔画像と一致するか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記顔画像と一致すると判定された場合、当該顔画像に対応付けられて前記記憶装置に記憶されている前記識別情報と、前記利用期間とを対応付けて前記記憶装置に記憶する対応付け部と、をさらに含み、
前記提供要求は、前記利用者の識別情報を含み、
前記情報特定部は、前記取得部が前記提供要求を取得したとき、前記提供要求に含まれる識別情報と対応付けて前記記憶装置に記憶されている前記利用期間中に前記出力装置に出力されていた前記広告宣伝情報を特定する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記乗客コンベアの入口付近に設けられ、前記利用者を撮像する撮像装置と、
予め登録された登録者の顔画像と、当該登録者を識別する識別情報とを対応付けて記憶する記憶装置と、
前記撮像装置によって撮像された利用者の顔が、前記記憶装置に記憶されている前記顔画像と一致するか否かを判定する判定部と、をさらに含み、
前記判定部により前記顔画像と一致すると判定された場合、
前記利用者特定部は、当該顔画像と対応付けて前記記憶装置に記憶されている前記識別情報を特定し、
前記情報特定部は、前記撮像された利用者の前記利用期間中に前記出力装置に表示されていた前記広告宣伝情報を特定し、
前記提供部は、前記特定された広告宣伝情報を、前記特定された識別情報に基づき特定される前記登録者の端末装置に提供する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記乗客コンベアに乗り込む前記利用者を前記撮像装置が撮像した時刻を用いて、前記利用期間を特定する利用期間特定部をさらに含む、請求項3または4に記載のシステム。
【請求項6】
前記情報特定部が特定する前記広告宣伝情報は、前記出力装置への出力開始時刻および出力終了時刻の少なくとも一方が前記利用期間外であった前記広告宣伝情報である、請求項1から5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記乗客コンベアは、エスカレータまたは動く歩道である、請求項1から6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
端末装置の制御プログラムであって、
請求項1に記載のシステムに、前記広告宣伝情報の提供要求を送信する送信ステップと、
前記提供要求に対する応答として、前記情報特定部により特定された前記広告宣伝情報を受信する受信ステップと、
受信した前記広告宣伝情報を、前記端末装置に出力する出力ステップと、を含む、端末装置の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は乗客コンベアを利用する利用者に広告宣伝情報を提供するシステムおよび端末装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、エレベータのかご内に設けられた表示装置に、かごに乗車した利用者向けの広告を表示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、利用者が広告の表示を見ている間に目的階に到着した場合、該広告の内容を最後まで確認することができない場合がある。
【0005】
また、特許文献1の技術では、利用者が広告の内容に興味を持ち、利用後に再度確認したい場合、利用者自ら当該広告を探す必要がある。これは、エスカレータ等の乗客コンベアを利用する利用者も同様である。すなわち、エスカレータを利用している際に、当該エスカレータ付近に設けられた表示装置に表示された広告に対し、利用者が興味を持ち、利用後に再度確認したい場合、利用者自ら当該広告を探す必要がある。
【0006】
本発明の一態様は、エスカレータ等の乗客コンベアを利用する利用者に対し、当該乗客コンベアを利用中に当該利用者に提供された情報を、該乗客コンベア利用後にも視聴可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の態様1に係るシステムは、乗客コンベアを利用する利用者に広告宣伝情報を提供するシステムであって、前記乗客コンベアの周辺に設けられ、前記広告宣伝情報を出力する出力装置と、前記乗客コンベアを利用した利用者を特定する利用者特定部と、特定された前記利用者が前記乗客コンベアを利用していた利用期間中に前記出力装置に出力されていた前記広告宣伝情報を特定する情報特定部と、特定された前記広告宣伝情報を、特定された前記利用者の端末装置に提供する提供部と、を備える。
【0008】
前記の構成によれば、利用者を特定し、当該利用者が乗客コンベアを利用しているときに出力されていた広告宣伝情報を、当該利用者の端末装置へ提供するので、利用者は、一部しか視聴できなかった広告宣伝情報や、興味を持った広告宣伝情報を、改めて自身の端末装置を用いて視聴することができる。なお、乗客コンベアは、例えば、エスカレータや動く歩道である。また、前記出力装置は、複数個設置され、各々の出力装置が異なる広告宣伝情報を提供してもよい。
【0009】
本発明の態様2に係るシステムは、上記態様1において、前記利用者の端末装置から、前記広告宣伝情報の提供要求を取得する取得部をさらに備え、前記利用者特定部は、前記取得部が前記提供要求を取得したとき、前記提供要求を送信した前記端末装置の前記利用者を特定してもよい。
【0010】
前記の構成によれば、利用者からの要求に基づいて、当該利用者の乗客コンベアの利用中に出力されていた広告宣伝情報を利用者に提供するので、広告宣伝情報の提供を望む利用者にのみ、広告宣伝情報を提供することができる。
【0011】
本発明の態様3に係るシステムは、上記態様2において、前記乗客コンベアの入口付近に設けられ、前記利用者を撮像する撮像装置と、予め登録された登録者の顔画像と、当該登録者を識別する識別情報とを対応付けて記憶する記憶装置と、前記撮像装置によって撮像された利用者の顔が、前記記憶装置に記憶されている前記顔画像と一致するか否かを判定する判定部と、前記判定部により前記顔画像と一致すると判定された場合、当該顔画像に対応付けられて前記記憶装置に記憶されている前記識別情報と、前記利用期間とを対応付けて前記記憶装置に記憶する対応付け部と、をさらに含み、前記提供要求は、前記利用者の識別情報を含み、前記情報特定部は、前記取得部が前記提供要求を取得したとき、前記提供要求に含まれる識別情報と対応付けて前記記憶装置に記憶されている前記利用期間中に前記出力装置に出力されていた前記広告宣伝情報を特定してもよい。
【0012】
前記の構成によれば、利用者が登録者である場合に、当該利用者と当該利用者の利用期間とが対応付けられるので、利用者が登録者である場合に、利用者の利用期間中に出力装置に出力されていた広告宣伝情報を特定することが可能となる。これにより、自身の端末装置で広告宣伝情報を視聴することを望む登録者から要求があったときのみ、広告宣伝情報を提供することができる。
【0013】
本発明の態様4に係るシステムは、上記態様1において、前記乗客コンベアの入口付近に設けられ、前記利用者を撮像する撮像装置と、予め登録された登録者の顔画像と、当該登録者を識別する識別情報とを対応付けて記憶する記憶装置と、前記撮像装置によって撮像された利用者の顔が、前記記憶装置に記憶されている前記顔画像と一致するか否かを判定する判定部と、をさらに含み、前記判定部により前記顔画像と一致すると判定された場合、前記利用者特定部は、当該顔画像と対応付けて前記記憶装置に記憶されている前記識別情報を特定し、前記情報特定部は、前記撮像された利用者の前記利用期間中に前記出力装置に表示されていた前記広告宣伝情報を特定し、前記提供部は、前記特定された広告宣伝情報を、前記特定された識別情報に基づき特定される前記登録者の端末装置に提供してもよい。
【0014】
前記の構成によれば、利用者が登録者である場合に、当該利用者に広告宣伝情報を提供することになるので、自身の端末装置で広告宣伝情報を視聴することを望む登録者にのみ、広告宣伝情報を提供することができる。
【0015】
本発明の態様5に係るシステムは、上記態様3または4において、前記乗客コンベアに乗り込む前記利用者を前記撮像装置が撮像した時刻を用いて、前記利用期間を特定する利用期間特定部をさらに含んでもよい。
【0016】
前記の構成によれば、利用期間を正確に特定することができるので、利用者の乗客コンベアの利用中に出力装置に出力された広告宣伝情報を正確に特定することができる。
【0017】
なお、利用者が乗客コンベアの利用を終了する時刻は、乗客コンベアの出口付近に撮像装置を設け、当該撮像装置が撮像した画像に基づき特定してもよいし、乗客コンベアの運行速度から推定してもよい。
【0018】
本発明の態様6に係るシステムは、上記態様1から5の何れかにおいて、前記情報特定部が特定する前記広告宣伝情報は、前記出力装置への出力開始時刻および出力終了時刻の少なくとも一方が前記利用期間外であった前記広告宣伝情報であってもよい。
【0019】
前記の構成によれば、利用者の利用期間を超えて出力された広告宣伝情報のみを利用者への提供対象とすることができる。つまり、利用者が乗客コンベアの利用中に最初から最後まで視聴した広告宣伝情報は、利用者に提供する広告宣伝情報から除外されるので、利用者がすべて視聴することができなかった広告宣伝情報を提供することができる。
【0020】
本発明の態様7に係るシステムは、上記態様1から6の何れかにおいて、前記乗客コンベアは、エスカレータまたは動く歩道であってもよい。
【0021】
前記の構成によれば、エスカレータまたは動く歩道の利用者に対し、当該利用者が一部しか視聴できなかった広告宣伝情報や、興味を持った広告宣伝情報を提供することができる。
【0022】
本発明の各態様に係るシステムおよび端末装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記システムおよび前記端末装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記システムをコンピュータにて実現させるシステムまたは端末装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一態様によれば、エスカレータ等の乗客コンベアを利用する利用者に対し、当該乗客コンベアを利用中に当該利用者に提供された情報を、該乗客コンベア利用後にも視聴可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態に係るシステムの構成を示すブロック図である。
【
図2】システムに含まれるエスカレータの概要図である。
【
図3】登録者データベースの一具体例を示す図である。
【
図4】利用履歴データベースの一具体例を示す図である。
【
図5】広告データベースの一具体例を示す図である。
【
図6】広告履歴データベースの一具体例を示す図である。
【
図7】システムに含まれる各装置が実行する処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図8】システムに含まれる各装置が実行する処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図9】変形例に係る広告管理装置を含むシステムの構成を示すブロック図である。
【
図10】システムに含まれる動く歩道の概要図である。
【
図11】利用履歴データベースの別の例を示す図である。
【
図12】広告履歴データベースの別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<システム100の概要>
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係るシステム100の構成を示すブロック図である。システム100は、乗客コンベアを利用する利用者に広告宣伝情報を提供するシステムである。なお、システム100は、一例としてクラウドサーバ上に構築されるシステムであってもよい。また、本実施形態では、利用者を移動させるためのコンベア式の移動装置である乗客コンベアとして、エスカレータを例に挙げて説明するが、乗客コンベアはエスカレータのみに限られない。例えば、乗客コンベアは、動く歩道(ムービングウォーク)であってもよい。
【0026】
図1に示すように、システム100は、広告管理装置1、利用期間特定装置(利用期間特定部)2、およびエスカレータ(乗客コンベア)3を備える。本実施形態では、システム100は、利用期間特定装置2、およびエスカレータ3が設けられた建物を複数含んでいるものとする。また、本実施形態に係る建物は、複数のエスカレータ3を含んでいるものとする。
【0027】
本実施形態に係る広告管理装置1は、エスカレータ3の周辺に設けられた表示装置(出力装置)31に広告を表示させる。また、広告管理装置1は、エスカレータ3を利用した利用者の端末装置200からの要求に基づき、当該利用者がエスカレータ3を利用している間に表示装置31に表示されていた広告宣伝情報を当該端末装置200に送信する。なお、広告管理装置1の詳細については後述する。
【0028】
広告宣伝情報とは、利用者の消費活動を促す情報であり、例えばある店舗、商品またはサービスの広告、イベントの宣伝、またはクーポン等の情報である。本実施形態では、広告宣伝情報は、動画像であるものとして説明する。すなわち、本実施形態に係る広告宣伝情報は、店舗、商品、サービス、イベントなどの広告、宣伝のための動画像である。当該動画像がクーポンにアクセスするためのURLやQRコード(登録商標)を含んでいてもよい。
【0029】
<端末装置200>
端末装置200は、エスカレータ3を利用する利用者の端末装置であり、広告管理装置1と通信可能に接続されている。端末装置200は、例えば、スマートフォンやタブレット端末などの携帯端末であってもよいし、パーソナルコンピュータ等の据え置きの端末装置であってもよい。端末装置200には、広告管理装置1から広告宣伝情報を取得して表示するためのアプリケーションがインストールされている。なお、以降の説明において、端末装置200が実行する処理は、当該アプリケーションが起動された状態で行われる。また、以降の説明において、単に「アプリケーション」と記載する場合、広告宣伝情報を取得して表示するためのアプリケーションを指すものとする。
【0030】
端末装置200は、利用者の操作に従って広告管理装置1に広告宣伝情報の提供要求を送信する。提供要求とは、利用者が利用したエスカレータ3周辺の表示装置31で表示された広告宣伝情報を端末装置200へ送信することを要求する情報である。提供要求には、エスカレータ3を利用した利用者であって、端末装置200を用いて提供要求を送信する利用者を識別可能な識別情報が含まれる。当該識別情報は、例えばアプリケーションの利用者ごとに付与されている識別番号(後述の利用者ID)である。
【0031】
一例として、端末装置200は、送信した提供要求に対する応答として、建物名およびエスカレータ3の利用開始時刻が対応付けられたレコードから成るリストを受信し、表示する。利用者の操作によって当該リストからいずれかのレコードが選択されると、端末装置200は、選択されたレコードに対応する広告宣伝情報、すなわち、選択されたレコードにおける建物で、選択された利用開始時刻にエスカレータ3に乗り込んだときに表示装置31に表示されていた広告宣伝情報の提供要求(以降、「第2提供要求」と表記)を送信する。端末装置200は、当該提供要求に対応する応答として、当該広告宣伝情報のリストを受信し、表示する。当該リストは、各広告宣伝情報を識別する識別情報(後述の広告ID)のリストである。利用者の操作によって当該リストから広告IDが選択されると、端末装置200は、選択された広告IDが示す広告宣伝情報の提供要求(以降、「第3提供要求と表記」)を送信する。また、端末装置200は、当該提供要求の応答として、選択された広告宣伝情報を受信し、表示する。
【0032】
<エスカレータ3>
図2は、システム100に含まれるエスカレータ3の概要図である。エスカレータ3は、複数の段(ステップ)が所定の方向に移動することで乗り込んだ利用者を移動させるコンベア式の移動装置である。1つの建物には1基以上のエスカレータ3が設けられている。
【0033】
表示装置31はエスカレータ3の周辺に設けられ、広告管理装置1から受信した広告宣伝情報を表示する出力装置である。表示装置31は、例えば
図2に示すように、エスカレータ3に沿って設けられた壁99に設けられており、エスカレータ3の利用者は、エスカレータ3に乗車することで表示装置31に表示された広告宣伝情報を視認することができる。なお、本実施形態では、広告宣伝情報の出力装置として、エスカレータ3の周辺に表示装置31のみが設けられる構成を例に挙げて説明するが、当該出力装置は表示装置31に限られない。例えば、エスカレータ3の周辺には、音声を出力するスピーカがさらに備えられ、広告宣伝情報を音声出力してもよい。当該スピーカは例えば、表示装置31が備えるスピーカであってもよい。また、表示装置31が設けられる位置は、当該表示装置31に表示される広告宣伝情報を利用者が視認可能な位置であればよく、壁99に限られない。例えば、表示装置31は、エスカレータ3周辺の床面や天井に設けられてもよく、また、エスカレータ3の手すりや欄干に設けられてもよい。
【0034】
また、表示装置31は、1基のエスカレータ3の周辺に1つのみ設けられていてもよいし、複数設けられていてもよい。また、表示装置31が複数設けられる場合、複数の表示装置31のそれぞれは、同じ広告宣伝情報を表示してもよいし、異なる広告宣伝情報を表示してもよい。
【0035】
撮像装置32は、例えばエスカレータ3を利用している利用者の顔を撮像可能な位置に設けられ、撮像した画像を利用期間特定装置2に送信する。なお、本実施形態では、撮像装置32はエスカレータ3の入口付近に設けられる。換言すれば、撮像装置32は、エスカレータ3に乗り込む利用者を撮像可能な位置に設けられる。また、実施形態では、撮像装置32は動画像を撮像するものとして説明するが、静止画像を撮像するものであってもよい。
【0036】
<利用期間特定装置2>
利用期間特定装置2は、利用者がエスカレータ3を利用していた時間を示す利用期間を特定する。利用期間特定装置2は、広告管理装置1、表示装置31および撮像装置32と通信可能に接続されており、撮像装置32から撮像された画像を取得する。当該画像には、撮像装置32を識別可能な撮像装置IDが対応付けられている。一例として、利用期間特定装置2は、取得した動画像に基づき、利用者がエスカレータ3に乗り込んだ利用開始時刻と、当該利用者がエスカレータ3から降りた利用終了時刻とを特定する。
【0037】
一例として、利用期間特定装置2は、或る利用者がエスカレータ3に乗り込んでいるフレームの撮像時刻を利用開始時刻として特定する。この特定処理は、既存の画像認識処理を行うことで実現することができる。そして、利用期間特定装置2は、画像に対応付けられている撮像装置IDに基づき、当該撮像装置IDが示す撮像装置32の撮像対象であるエスカレータ3の運行時間を特定する。ここで、運行時間とは、エスカレータ3において入口に出現した段が出口に到達するまでにかかる時間であり、換言すれば、エスカレータ3に乗り込んだ利用者が立ち止まった状態で出口に到達するまでの時間である。運行時間は、一例として、エスカレータ3の運行速度と、運行距離、すなわちエスカレータ3の入口から出口までの距離とに基づき算出される。具体的には、利用期間特定装置2は、撮像装置IDと、当該撮像装置IDが示す撮像装置32の撮像対象であるエスカレータ3の運行時間とを対応付けたデータベース(不図示)を記憶している。利用期間特定装置2は、当該データベースを参照し、撮像装置IDが示す撮像装置32の撮像対象であるエスカレータ3の運行時間を特定する。そして、利用期間特定装置2は、利用開始時刻に運行時間を加算することで算出された時刻を、利用終了時刻として特定する。利用開始時刻から利用終了時刻までの期間が当該利用者の利用期間である。
【0038】
なお、利用期間特定装置2は、利用者のエスカレータ3上での位置を考慮して利用期間を特定してもよい。例えば、利用期間特定装置2は、エスカレータ3を利用中の利用者が表示装置31に表示される広告宣伝情報を視聴可能な位置(以下、「視聴可能位置」と表記する)に到達した時間を利用開始時時刻として特定してもよい。また、利用期間特定装置2は、当該広告宣伝情報を視聴不可能な位置(以下、「視聴不可能位置」と表記する)に到達した時間を利用終了時刻として特定してもよい。この例の場合、撮像装置32は、視聴可能位置を撮像可能な位置に設けられる。これにより、利用期間特定装置2が利用開始時刻を特定することができる。また、利用終了時刻は、利用開始時刻に、利用者が表示装置31に表示される広告宣伝情報を視聴可能な視聴可能時間を加算することにより特定される。視聴可能時間は、エスカレータ3の運行速度と、視聴可能位置から視聴不可能位置までの距離とに基づき算出される。具体的には、利用期間特定装置2は、撮像装置IDと、当該撮像装置IDが示す撮像装置32の撮像対象であるエスカレータ3における視聴可能時間とを対応付けたデータベース(不図示)を記憶している。利用期間特定装置2は、当該データベースを参照し、撮像装置IDが示す撮像装置32の撮像対象であるエスカレータ3における視聴可能時間を特定する。
【0039】
利用期間特定装置2は、撮像された利用者の顔画像と、特定した利用開始時刻および利用終了時刻と、利用者が利用したエスカレータ3の号機を示す情報(後述のエスカレータID)と、当該エスカレータ3が設けられている建物を示す情報(後述する建物ID)とを対応付けて広告管理装置1に送信する。なお、利用期間特定装置2は、例えば、当該顔画像を、利用開始時刻を特定したフレームから抽出する。
【0040】
<広告管理装置1>
以下、広告管理装置1の詳細な構成について説明する。
図1に示すように広告管理装置1は制御部11、通信部12および記憶部13を備える。なお、本実施形態では、広告管理装置1が1つの装置である構成を例に挙げて説明するが、広告管理装置1は各部としての機能を有する複数の装置同士が接続された広告管理システムとして構成されていてもよい。制御部11は、広告管理装置1の各部を制御する。また、通信部12は、広告管理装置1が利用期間特定装置2、表示装置31、および端末装置200と通信を行うための通信モジュールである。
【0041】
記憶部(記憶装置)13は広告管理装置1が実行する各種プログラムや、広告管理装置1が使用する各種データを記憶している。本実施形態に係る記憶部13は、少なくとも、登録者データベース131、利用履歴データベース132、広告データベース133、および広告履歴データベース134を記憶している。なお、記憶部13は、広告管理装置1と通信可能に接続された、広告管理装置1とは別体の記憶装置であってもよい。
【0042】
図3は、登録者データベース131の一具体例を示す図である。
図3に示すように、登録者データベース131は、予め登録された登録者の顔画像データと、当該登録者を識別する利用者IDとが対応付けられたレコードによって構成されている。ここで、「登録者」とは、端末装置200でアプリケーションを利用している人物を指す。すなわち、登録者データベース131は、アプリケーションの利用者のIDである利用者IDと、当該利用者の顔画像とを対応付けて記憶するデータベースである。
【0043】
端末装置200は、アプリケーションの利用者の操作に基づき、顔画像データを広告管理装置1へ送信する。このとき、顔画像データには利用者IDが対応付けられて送信される。広告管理装置1は、受信した顔画像データと利用者IDとを登録者データベース131に格納する。
【0044】
図4は、利用履歴データベース132の一具体例を示す図である。利用履歴データベース132は、エスカレータ3を利用した利用者の利用履歴によって構成されている。具体的には、
図4に示すように、利用履歴データベース132には、各利用者IDに、利用者IDが示す利用者が利用したエスカレータ3を識別するエスカレータIDと、エスカレータIDが示すエスカレータ3が設けられている建物を識別する建物IDと、当該利用者の利用開始時刻および利用終了時刻とが対応付けられたレコードが格納されている。利用履歴データベース132の更新の詳細については後述する。
【0045】
図5は、広告データベース133の一具体例を示す図である。
図5に示すように、広告データベース133は、広告宣伝情報と、当該広告宣伝情報を識別するための広告IDと、当該広告宣伝情報における動画像の時間的な長さを示す広告時間とが対応付けられたレコードによって構成されている。なお、広告データベース133の各レコードは、広告時間を含んでいなくてもよい。
【0046】
図6は、広告履歴データベース134の一具体例を示す図である。広告履歴データベース134は、各建物における各エスカレータ3に表示された広告宣伝情報を時系列順に並べたデータベースである。
図6の例では、広告履歴データベース134には、広告IDと、当該広告IDが示す広告宣伝情報を表示した表示装置31に対応するエスカレータ3を示すエスカレータIDと、当該エスカレータIDが示すエスカレータ3が設けられている建物を示す建物IDと、当該広告IDが示す広告宣伝情報の、当該エスカレータIDが示すエスカレータ3での表示開始時刻(出力開始時刻)とが対応付けられたレコードが格納されている。
【0047】
なお、1基の乗客コンベア(例えば、エスカレータ3)に対して表示装置31が複数設けられる場合、利用履歴データベース132および広告履歴データベース134は、それぞれ
図11および
図12の例となる。この詳細については後述する。
【0048】
<制御部11の構成>
再度
図1を参照すると、制御部11は、広告決定部111、判定部112、利用履歴更新部(対応付け部)113、取得部114、利用者特定部115、情報特定部116および提供部117を含んでいる。
【0049】
広告決定部111は、エスカレータ3の表示装置31に表示させる広告宣伝情報を決定する。具体的には、広告決定部111は、広告データベース133に格納されている広告宣伝情報を取得し、通信部12を介して表示装置31に当該広告宣伝情報を送信する。広告決定部111が広告宣伝情報を決定する方法は特に限定されない。例えば広告決定部111は、表示装置31に表示させる広告宣伝情報をランダムに決定してもよい。または、表示装置31に表示させる広告宣伝情報は、予め表示される順番が設定されていてもよい。この場合、広告決定部111は、設定された順番に広告宣伝情報を取得し、表示装置31に送信する。
【0050】
なお、エスカレータ3が複数設けられ、各エスカレータ3に対応する表示装置31が複数設けられる場合、広告決定部111は、全ての表示装置31に同じ広告宣伝情報を送信してもよく、少なくとも1つの表示装置31に、他の表示装置31と異なる広告宣伝情報を送信してもよい。または、広告決定部111は、1基のエスカレータ3に対応する複数の表示装置31毎に、異なる広告宣伝情報を送信してもよい。または、1つの建物の或る場所に複数のエスカレータ3が並列で設けられる場合、広告決定部111は、各エスカレータ3の同じ高さまたは同じ移動距離に設けられる表示装置31に同じ広告宣伝情報が表示されるように広告宣伝情報を送信してもよい。
【0051】
また、広告決定部111は、表示装置31に送信した広告宣伝情報を示す広告IDと、当該広告宣伝情報の表示開始時刻と、当該広告宣伝情報が表示された表示装置31に対応するエスカレータ3のエスカレータIDと、当該エスカレータ3が設けられている建物の建物IDとを対応付けて広告履歴データベース134に記憶する。広告決定部111は、表示装置31に当該広告宣伝情報を送信した時刻を表示開始時刻としてもよい。または、表示装置31が広告宣伝情報を表示装置31に表示させ始めた時刻を示す情報を広告管理装置1に送信し、広告決定部111は、当該情報が示す時刻を表示開始時刻としてもよい。なお、後者の例の場合、表示装置31は、広告宣伝情報を表示させ始めた時刻を示す情報に、エスカレータID、建物IDおよび広告IDを対応付けて広告管理装置1へ送信する。
【0052】
判定部112は、エスカレータ3を利用した利用者が、アプリケーションを利用している利用者(登録者)であるか否かを判定する。判定部112は、利用期間特定装置2から受信した顔画像について、登録者データベース131に格納されている顔画像データのいずれかと一致するか否かを判定する。受信した顔画像が登録者データベース131に格納されている顔画像データのいずれかと一致する場合、判定部112は、登録者データベース131において当該顔画像データに対応付けられている利用者IDを取得する。そして、判定部112は、取得した利用者IDを、顔画像とともに受信した建物ID、エスカレータID、利用開始時刻および利用終了時刻に対応付け、利用履歴更新部113に出力する。一方、受信した顔画像が登録者データベース131に格納されている顔画像のいずれとも一致しない場合、判定部112は、処理を終了する。なお、受信した顔画像と、各顔画像データとが一致するか否かの判定は、既存の画像比較処理で実現することができる。
【0053】
利用履歴更新部113は、判定部112から取得した情報を、利用履歴データベース132へ格納し、利用履歴データベース132を更新する。具体的には、利用履歴更新部113は、判定部112から取得した利用者IDと一致する利用者IDを、利用履歴データベース132から特定する。そして、特定した利用者IDに、判定部112から取得した建物ID、エスカレータID、利用開始時刻および利用終了時刻を対応付けて格納する。これにより、受信した利用者IDが示す利用者の、エスカレータ3の利用履歴が更新される。
【0054】
取得部114は、端末装置200から、通信部12を介して広告宣伝情報の提供要求を受信する。取得部114は、提供要求を受信すると、当該提供要求を利用者特定部115に出力する。なお、当該提供要求には、利用者IDが含まれている。
【0055】
利用者特定部115は、取得部114から提供要求を取得すると、提供要求に含まれる利用者IDと一致する利用者IDを、利用履歴データベース132から特定する。つまり、利用者特定部115は、利用履歴データベース132において、提供要求を送信した端末装置200の利用者(アプリケーションの利用者)を特定する。また、利用履歴データベース132は、アプリケーションの利用者による、エスカレータ3の利用履歴であるため、エスカレータ3を利用した利用者から一人の利用者を特定すると表現することもできる。利用者特定部115は、特定した利用者IDを含むレコードを情報特定部116へ出力する。なお、当該レコードは、建物ID、エスカレータID、利用開始時刻および利用終了時刻の組み合わせを複数含んでいてもよい。
【0056】
情報特定部116は、利用者特定部115からレコードを取得すると、利用者特定部115によって特定された利用者がエスカレータ3を利用していた利用期間中に表示装置31に表示されていた広告宣伝情報を特定する。具体的には、情報特定部116は、広告履歴データベース134を参照し、取得したレコードに含まれる利用開始時刻から利用終了時刻までの利用期間に、表示開始時刻および表示終了時刻(出力終了時刻)の少なくとも一方が含まれる広告宣伝情報を特定する。より具体的には、情報特定部116は、取得したレコードに含まれる建物IDおよびエスカレータIDの組み合わせと一致する、建物IDおよびエスカレータIDの組み合わせを、広告履歴データベース134から特定する。続いて、情報特定部116は、特定した組み合わせに対応付けられた表示開始時刻のうち、取得したレコードに含まれる利用開始時刻から利用終了時刻までの利用期間内の表示開始時刻に対応付けられた広告IDを特定する。特定した広告IDは、表示開始時刻、または、表示開始時刻および表示終了時刻の両方が利用期間内の広告宣伝情報を示す。また、情報特定部116は、広告履歴データベース134から、表示開始時刻が利用開始時刻以前のレコードを抽出する。情報特定部116は、抽出したレコードのうち、最も表示開始時刻が遅いレコードを特定する。特定したレコードの表示開始時刻が利用開始時刻と同じである場合、当該レコードについては上述した処理によって既に広告IDを特定されているため、情報特定部116は、当該レコードに対してこれ以上の処理を行わない。一方、特定したレコードの表示開始時刻が利用開始時刻よりも前である場合、情報特定部116は、当該レコードに含まれる広告IDを特定する。この広告IDは、その一部が利用期間内に表示されていた広告宣伝情報を示す。情報特定部116は、特定した広告IDに、取得した利用者ID、建物IDおよび利用開始時刻を対応付けて提供部117へ出力する。
【0057】
例えば、
図4に示す利用者IDが「u001」の利用者は、建物IDがb001の建物において、エスカレータIDがe1のエスカレータ3に、2020年8月1日8時00分10秒に乗り込み、同30秒に降りている。当該利用者が、端末装置200を使用して広告管理装置1に利用要求を送信した場合、情報特定部116は、2020年8月1日8時00分10秒から同30秒までの間に、表示開始時刻および表示終了時刻の少なくとも一方が含まれる広告宣伝情報の広告IDを特定する。
図6に示す例の場合、情報特定部116は、広告IDとして「a001」および「a002」を特定する。
【0058】
また、例えば、
図4に示す利用者IDが「u002」の利用者は、建物IDがb001の建物において、エスカレータIDがe1のエスカレータ3に、2020年8月1日8時00分20秒に乗り込み、同40秒に降りている。また、当該利用者は、建物IDがb002の建物において、エスカレータIDがe1のエスカレータ3に、2020年8月1日10時00分35秒に乗り込み、同50秒に降りている。当該利用者が、端末装置200を使用して広告管理装置1に利用要求を送信した場合、情報特定部116は、2020年8月1日8時00分10秒から同30秒までの間に、表示開始時刻および表示終了時刻の少なくとも一方が含まれる広告宣伝情報の広告IDを特定する。
図6に示す例の場合、情報特定部116は、広告IDとして「a002」および「a003」を特定する。また、情報特定部116は、2020年8月1日10時00分35秒から同50秒までの間に、表示開始時刻および表示終了時刻の少なくとも一方が含まれる広告宣伝情報の広告IDを特定する。
図6に示す例の場合、情報特定部116は、広告IDとして「a012」を特定する。
【0059】
提供部117は、広告宣伝情報を、提供要求を送信した端末装置200に提供する。具体的には、提供部117は、情報特定部116から取得した建物IDから特定される建物名と利用開始時刻とを含むレコードから成るリストを生成し、提供要求を送信した端末装置200へ送信する。当該リストに含まれる建物名は、記憶部13に記憶されている、建物IDと建物名とを対応付けたデータベース(
図1では不図示)を参照して特定すればよい。また、提供部117は、当該端末装置200から、選択されたレコードを示す情報を含む第2提供要求を受信すると、当該レコードから建物IDおよび利用開始時刻を特定し、特定したこれら情報に対応付けられた広告IDをさらに特定する。そして、提供部117は特定した広告IDのリストを生成し、第2提供要求を送信した端末装置200へ送信する。また、提供部117は、当該端末装置200から、選択された広告IDを含む第3提供要求を受信すると、広告データベース133から、当該広告IDに対応付けられた広告宣伝情報を読み出し、第3提供要求を送信した端末装置200へ送信する。
【0060】
<システム100における処理の流れの一例>
図7および
図8は、システム100に含まれる各装置が実行する処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図7は、利用履歴データベース132を更新する処理の流れを示す。
図8は、広告管理装置1が広告宣伝情報を端末装置200に送信する処理の流れを示す。
【0061】
利用者がエスカレータ3を利用すると、まず、
図7に示す処理、すなわち利用履歴データベース132を更新する処理が行われる。具体的には、まず、利用期間特定装置2は、エスカレータ3の撮像装置32によって撮像された動画像を取得し(S1)、取得した動画像に基づき、利用者の利用期間として利用開始時刻および利用終了時刻を特定する(S2)。利用期間特定装置2は、利用者の顔画像と、利用者の利用期間と、利用者が利用したエスカレータ3の号機を示すエスカレータIDと、当該エスカレータ3が設けられている建物を示す建物IDとを対応付けて広告管理装置1に送信する。
【0062】
広告管理装置1の判定部112は、登録者データベース131を参照し、利用期間特定装置2から受信した利用者の顔画像が、登録者データベース131に格納されている顔画像データのいずれかと一致するか否かを判定する(S11)。利用者の顔画像が、登録者データベース131に格納されている顔画像データのいずれとも一致しない場合(S11でNO)、判定部112は、処理を終了する。
【0063】
受信した顔画像が登録者データベース131に格納されている顔画像データのいずれかと一致する場合(S11でYES)、判定部112は、登録者データベース131において当該顔画像データに対応付けられている利用者IDを取得する。判定部112は、取得した利用者IDを、顔画像とともに受信した建物ID、エスカレータID、利用開始時刻および利用終了時刻に対応付け、利用履歴更新部113に出力する。
【0064】
利用履歴更新部113は、判定部112から取得した情報に基づき、利用履歴データベース132を更新する(S12)。具体的には、利用履歴更新部113は、利用者IDと一致する利用者IDを、利用履歴データベース132から特定し、特定した利用者IDに、判定部112から取得した建物ID、エスカレータID、利用開始時刻および利用終了時刻を対応付けて格納する。以上で、利用履歴データベース132を更新する処理は終了する。
【0065】
次に、エスカレータ3を利用した利用者が、自身の端末装置200を用いて提供要求を広告管理装置1に送信すると、
図8に示す処理、すなわち広告管理装置1が広告宣伝情報を端末装置200に送信する処理が行われる。具体的には、まず、端末装置200が広告管理装置1に提供要求を送信する(S31)と、広告管理装置1の取得部114が当該提供要求を取得する。その後、取得部114は、当該提供要求を利用者特定部115に出力する。
【0066】
利用者特定部115は、取得部114から提供要求を取得すると、提供要求を送信した端末装置200の利用者を特定する(S21)。具体的には、利用者特定部115は、利用履歴データベース132を参照し、提供要求に含まれる利用者IDと一致する利用者IDを特定する。利用者特定部115は、特定した利用者IDを含むレコードを情報特定部116へ出力する。
【0067】
情報特定部116は、利用者特定部115からレコードを取得すると、広告履歴データベース134を参照し、利用者がエスカレータ3を利用していた利用期間中に表示装置31に表示されていた広告宣伝情報の広告IDを特定する(S22)。情報特定部116は、特定した広告IDに、取得した利用者ID、建物IDおよび利用開始時刻を対応付けて提供部117へ出力する。
【0068】
提供部117は、情報特定部116から取得した建物IDから特定される建物名と利用開始時刻とを含むレコードから成るリストを生成し(S23)、提供要求を送信した端末装置200へ送信する。端末装置200は、広告管理装置1から建物名と利用開始時刻とを含むレコードから成るリストを受信すると、当該リストを出力する(S32)。また、端末装置200は、いずれかのレコードを選択する利用者の操作に基づき、選択されたレコードを示す情報を含む第2提供要求を広告管理装置1に送信する。
【0069】
提供部117は、当該第2提供要求を受信すると、選択されたレコードが示す建物IDおよび利用開始時刻に対応付けられた広告IDを特定する(S24)。提供部117は、特定した広告IDのリストを生成し、第2提供要求を送信した端末装置200へ送信する。端末装置200は、広告管理装置1から広告IDのリストを受信すると、当該リストを出力する(S33)。また、端末装置200は、いずれかの広告IDを選択する利用者の操作に従って、選択された広告IDを示す情報を含む第3提供要求を広告管理装置1に送信する(送信ステップ)。
【0070】
提供部117は、当該第3提供要求を受信すると、広告データベース133を参照し、選択された広告IDに対応付けられた広告宣伝情報を特定する(S25)。提供部117は、特定した広告宣伝情報を、第3提供要求を送信した端末装置200へ送信する。端末装置200は、広告管理装置1から広告宣伝情報を受信すると(受信ステップ)、当該宣伝情報を出力する(S34:出力ステップ)。
【0071】
<システム100の効果>
上述のように、本実施形態に係るシステム100は、エスカレータ3を利用する利用者に広告宣伝情報を提供するシステムであって、エスカレータ3の周辺に設けられ、広告宣伝情報を表示(出力)する表示装置31と、エスカレータ3を利用した利用者を特定する利用者特定部115と、特定された利用者がエスカレータ3を利用していた利用期間中に表示装置31に表示されていた広告宣伝情報を特定する情報特定部116と、特定された広告宣伝情報を、特定された利用者の端末装置200に提供する提供部117と、を含む。
【0072】
前記構成によると、利用者を特定し、当該利用者がエスカレータ3を利用しているときに出力されていた広告宣伝情報を、当該利用者の端末装置200へ提供するので、当該利用者は、一部しか視聴できなかった広告宣伝情報や、興味を持った広告宣伝情報を、改めて自身の端末装置200を用いて視聴することができる。
【0073】
また、システム100は、利用者の端末装置200から、広告宣伝情報の提供要求を取得する取得部114をさらに備え、利用者特定部115は、前記取得部が前記提供要求を取得したとき、提供要求を送信した端末装置200の利用者を特定する。
【0074】
前記構成によると、利用者からの要求に基づいて、当該利用者の利用中に出力されていた広告宣伝情報を利用者に提供するので、広告宣伝情報の提供を望む利用者にのみ、広告宣伝情報を提供することができる。
【0075】
また、システム100は、エスカレータ3の入り口付近に設けられ、利用者を撮像する撮像装置32と、判定部112と、対応付け部113と、を備える。判定部112は、予め登録された登録者の顔画像と、当該登録者を識別する識別情報とを対応付けて記憶する記憶部13と、撮像装置32によって撮像された利用者の顔が、記憶部13に記憶されている顔画像と一致するか否かを判定する。対応付け部113は、判定部112により、利用者の顔画像と登録者の顔画像とが一致すると判定された場合、当該登録者の顔画像に対応付けられて記憶部13に記憶されている利用者の識別情報と、利用者の利用期間とを対応付けて記憶部13に記憶する。
【0076】
また、提供要求は、利用者の識別情報を含み、情報特定部116は、取得部114が前記提供要求を取得したとき、提供要求に含まれる識別情報と対応付けて記憶部13に記憶されている利用期間中に表示装置31に表示されていた広告宣伝情報を特定する。
【0077】
前記構成によると、利用者が登録者である場合に、当該利用者と当該利用者の利用期間とが対応付けられるので、利用者が登録者である場合に、利用者の利用期間中に表示装置31に出力されていた広告宣伝情報を特定することが可能となる。これにより、自身の端末装置で広告宣伝情報を視聴することを望む登録者から要求があったときのみ、広告宣伝情報を提供することができる。
【0078】
また、システム100は、エスカレータ3に乗り込む利用者を撮像装置32が撮像した時刻と、エスカレータ3から降りる当該利用者を撮像装置32が撮像した時刻とを用いて、利用者の利用期間を特定する利用期間特定装置2をさらに含む。
【0079】
前記構成によると、利用期間を正確に特定することができるので、利用者の利用中に表示装置31に表示された広告宣伝情報を正確に特定することができる。
【0080】
また、端末装置200は、提供要求への応答として建物名と利用開始時刻とを含むレコードから成るリストを受信し、出力する。これにより、利用者が1つの建物のエスカレータ3を複数回利用した場合、いつ利用したエスカレータ3に表示されていた広告宣伝情報を視聴するかを選択することができる。また、利用者が複数の建物のエスカレータ3を利用した場合も、どの建物のエスカレータ3で表示された広告宣伝情報を視聴するかを選択することができる。また、利用者がエスカレータ3を利用してから時間が経過していたとしても、いつ利用したエスカレータ3に表示されていた広告宣伝情報を視聴するかを選択することができる。
【0081】
〔変形例〕
上述した実施形態では、広告管理装置1は、端末装置200から提供要求を受信したときに、その応答として広告宣伝情報を送信していた。しかしながら、広告管理装置1は、提供要求を受信せずに、利用者の利用期間中に表示されていた広告宣伝情報を当該利用者の端末装置200に自動的に送信してもよい。
【0082】
図9は、本変形例に係る広告管理装置1Aを含むシステム100Aの構成を示すブロック図である。
図9に示すように、広告管理装置1Aは、制御部11Aを備える。制御部11Aは、取得部114を備えず、判定部112に代えて判定部112Aを備え、利用者特定部115に代えて利用者特定部115Aを備える点において広告管理装置1の制御部11と異なる。
【0083】
広告管理装置1Aにおいて、判定部112Aは、利用期間特定装置2から受信したエスカレータ3を利用した利用者の顔画像が、登録者データベース131に記憶されている登録者の顔画像のいずれかと一致するか否かを判定する。判定部112Aは、エスカレータ3を利用した利用者が、アプリケーションを利用している利用者であると判定した場合、当該判定結果を示す情報を利用者特定部115Aに出力する。利用者特定部115Aは、当該判定結果を示す情報を取得すると、利用者の顔画像に対応する利用者IDを取得し、利用期間特定装置2から受信した利用開始時刻、利用終了時刻、エスカレータIDおよび建物IDとともに、情報特定部116へ出力する。その他の処理は上述の実施形態に係るシステム100における処理と同様である。
【0084】
以上のように、広告管理装置1Aにおいて、撮像された利用者の顔画像が登録者データベース131に登録されている場合、情報特定部116は、提供要求を取得する必要なく利用者を特定する。
【0085】
前記構成によると、撮像された利用者が登録者である場合に、当該利用者に自動的に広告宣伝情報を提供することができる。これにより、自身の端末装置で広告宣伝情報を視聴することを望む登録者、すなわち、アプリケーションの利用者にのみ、広告宣伝情報を提供することができる。
【0086】
なお、本変形例に係る記憶部13は、利用履歴データベース132を記憶していなくてもよい。この場合、制御部11Aは、利用履歴更新部113を含んでいなくてもよい。
【0087】
また、上述の実施形態では、広告管理装置1は、利用者の利用期間中に表示装置31で表示された広告宣伝情報の広告IDのすべてを該利用者に提供していたが、利用者が利用期間中に表示装置31ですべてを視聴した広告宣伝情報の広告IDを提供しなくともよい。具体的には、情報特定部116は、表示装置31への表示開始時刻および表示終了時刻の少なくとも一方が利用者の利用期間外であった広告宣伝情報の広告IDのみを特定してもよい。より具体的には、情報特定部116は、利用者特定部115から取得したレコードに含まれる建物IDおよびエスカレータIDの組み合わせと一致する、建物IDおよびエスカレータIDの組み合わせを、広告履歴データベース134から特定する。続いて、情報特定部116は、特定した組み合わせに対応付けられた表示開始時刻および表示終了時刻のうち、いずれか一方が利用期間内に含まれ、もう一方が利用期間外である表示開始時刻および表示終了時刻に対応付けられた広告IDを特定する。
【0088】
前記構成によると、利用者の利用期間を超えて表示された広告宣伝情報のみを利用者へ提供することができる。つまり、利用者がエスカレータ3を利用中に最初から最後まで視聴した広告宣伝情報は、利用者に提供する広告宣伝情報から除外されるので、利用者がすべて視聴することができなかった広告宣伝情報のみを提供することができる。
【0089】
また、上述した実施形態では、エスカレータ3に乗り込む利用者を撮像可能な位置(例えば、エスカレータ3の入口付近)に1つの撮像装置32が設けられる構成について説明したが、撮像装置32はそれ以外の場所に設けられてもよい。例えば、撮像装置32は、エスカレータ3に乗り込む利用者と、エスカレータ3から降りる利用者とを同時に撮像可能な位置に設けられていてもよい。この例の場合、利用期間特定装置2は、或る利用者がエスカレータ3から降りているフレームの撮像時刻を利用終了時刻として特定し、当該フレームより前に撮像された、当該利用者が映り始めたフレームを特定する。この特定処理は、既存の画像比較処理を行うことで実現することができる。そして、利用期間特定装置2は、特定したフレームの撮像時刻を利用開始時刻として特定する。
【0090】
また、撮像装置32は、1基のエスカレータ3に対して複数設けられていてもよい。例えば、撮像装置32は、エスカレータ3に乗り込む利用者を撮像可能な位置(例えば、エスカレータ3の入口付近)と、当該エスカレータ3から降りる利用者を撮像可能な別の位置(例えば、エスカレータ3の出口付近)とに設けられていてもよい。この場合、利用期間特定装置2は、入口付近に設けられた撮像装置32において利用者が映り始めたフレームが撮像された時刻を利用開始時刻として特定してもよい。また、利用期間特定装置2は、出口付近に設けられた撮像装置32において、当該利用者が1度映った後のフレームであって、当該利用者が映らなくなったフレームが撮像された時刻を利用終了時刻として特定してもよい。
【0091】
また、撮像装置32は、エスカレータ3の乗場における、エスカレータ3の入口を含まない範囲を撮像するものであってもよい。この場合、利用期間特定装置2は、当該撮像装置32において利用者が映らなくなったフレームが撮像された時刻を利用開始時刻として特定する。また、1基のエスカレータ3に対して複数の撮像装置32が設けられる構成において、エスカレータ3の出口付近に設けられる撮像装置32は、エスカレータ3の出口を含まない範囲を撮像するものであってもよい。この場合、利用期間特定装置2は、当該撮像装置32において利用者が映り始めたフレームが撮像された時刻を利用終了時刻として特定する。
【0092】
また、撮像装置32はそれぞれのエスカレータ3に1対1対応するように設けられてもよいし、いくつかのエスカレータ3を纏めて撮像するように設けられていてもよい。
【0093】
また、情報特定部116は、利用者がエスカレータ3に乗り込んだ時刻と、当該利用者がエスカレータ3から降りた時刻とが、それぞれ利用開始時刻および利用終了時刻と特定される例において、視聴可能位置から視聴不可能位置に到達するまでの期間に基づき広告宣伝情報を特定してもよい。具体的には、情報特定部116は、当該期間中に、表示開始時刻および表示終了時刻の少なくとも一方が含まれる広告宣伝情報を特定してもよい。この場合、記憶部13には、エスカレータIDに対応付けられて、利用者がエスカレータ3に乗り込んでから視聴可能位置に到達するまでの第1所要時間と、当該視聴可能位置に到達してから視聴不可能位置に到達するまでの第2所要時間が記憶されている。1基のエスカレータ3に対応して複数の表示装置31が設けられる場合、各表示装置31に関して同様の情報が記憶部に記憶されている。
【0094】
情報特定部116は、取得したレコードに含まれるエスカレータIDに対応付けられた第1所要時間を、取得したレコードに含まれる利用開始時刻に加算する。ここで、加算後の時刻を視聴可能時刻と表記する。また、情報特定部116は、当該視聴可能時刻に第2所要時間を加算する。ここで、加算後の時刻を視聴不可能時刻と表記する。
【0095】
情報特定部116は、広告履歴データベース134を参照し、視聴開始時刻から視聴不可能時刻までの期間である視聴可能期間に、表示開始時刻および表示終了時刻の少なくとも一方が含まれる広告宣伝情報を特定する。より具体的には、情報特定部116は、取得したレコードに含まれる建物IDおよびエスカレータIDの組み合わせと一致する、建物IDおよびエスカレータIDの組み合わせを、広告履歴データベース134から特定する。続いて、情報特定部116は、特定した組み合わせに対応付けられた表示開始時刻のうち、視聴可能期間内の表示開始時刻に対応付けられた広告IDを特定する。また、広告履歴データベース134から、表示開始時刻が利用開始時刻以前のレコードを抽出する。情報特定部116は、抽出したレコードのうち、最も表示開始時刻が遅いレコードを特定する。特定したレコードの表示開始時刻が利用開始時刻と同じである場合、当該レコードについては上述した処理によって既に広告IDを特定されているため、情報特定部116は、当該レコードに対してこれ以上の処理を行わない。一方、特定したレコードの表示開始時刻が利用開始時刻よりも前である場合、情報特定部116は、当該レコードに含まれる広告IDを特定する。
【0096】
例えば、エスカレータ3の長さが長い場合、利用期間中に表示が開始され当該利用期間中に表示が終了した広告宣伝情報であっても利用者が全て視聴できない可能性がある。上述の構成によれば、情報特定部116は、利用者が利用期間中であって、広告宣伝情報を視聴可能な期間中に表示装置31に表示されていた広告宣伝情報を特定する。これにより、利用者が視聴可能位置に到達する前に表示が終了した、あるいは利用者が視聴不可能位置に到達した後に表示が開始された広告宣伝情報は利用者に提供されない。
【0097】
また、システム100において、エスカレータ3が設けられた建物は1つのみであってもよく、また、当該建物にはエスカレータ3が1基のみ設けられていてもよい。システム100において、1基のエスカレータ3が設けられた建物が1つのみである場合、利用者が利用した建物およびエスカレータ3を特定する必要がなくなるため、建物IDおよびエスカレータIDは不要となる。
【0098】
また、端末装置200において、利用者が広告宣伝情報を選択するためのリストには、広告ID以外の情報が含まれていてもよい。例えば、端末装置200では、広告IDに代えて、あるいは加えて、各広告宣伝情報を示すサムネイル画像、または各広告宣伝情報の概要を説明するテキストのリストが表示されてもよい。
【0099】
また、システム100において、それぞれのエスカレータ3には全て異なるエスカレータIDが付与されていてもよい。この場合、建物IDがなくとも利用者が利用したエスカレータ3を特定することが可能となるため、建物IDは不要となる。
【0100】
また、端末装置200は、送信した提供要求に対する応答として広告宣伝情報を受信し、端末装置200に当該広告宣伝情報を表示してもよい。あるいは、端末装置200は、送信した提供要求に対する応答として、建物名および利用開始時刻のリストに代えて、広告宣伝情報のリストを受信し、表示してもよい。
【0101】
また、上述したとおり、1つの乗客コンベアに対して表示装置31が複数設けられてもよい。本変形例では、この例として、動く歩道に対して複数の表示装置31が設けられる例を説明する。
図10は、システム100に含まれる動く歩道4の概要図である。動く歩道4は、複数のパレットが所定の方向に移動することで乗り込んだ利用者を移動させるコンベア式の移動装置である。動く歩道4に沿って設けられた壁99には、
図10に示すように、2つの表示装置31(表示装置31Aおよび表示装置31B)が設けられている。表示装置31Aおよび表示装置31Bは、上述したとおり、同じ広告宣伝情報を表示してもよいし、異なる広告宣伝情報を表示してもよい。
【0102】
図11は、利用履歴データベース132の別の例である利用履歴データベース132Aを示す図である。具体的には、利用履歴データベース132Aは、1つの乗客コンベアに対して複数の表示装置31が設けられる場合の利用履歴データベースである。
図11に示すように、利用履歴データベース132Aの各レコードには、利用者IDと、利用者IDが示す利用者が利用した動く歩道4を識別する動く歩道IDと、動く歩道IDが示す動く歩道4が設けられている建物を識別する建物IDと、利用者IDが示す利用者が利用した動く歩道4の周辺に設けられ、当該利用者が広告宣伝情報を視聴したと考えられる表示装置31の表示装置IDと、当該表示装置31に対応する利用者の利用期間と、を含む。この場合、利用期間とは、各表示装置31の視聴可能位置に当該利用者が到達した時刻(利用開始時刻)、および各表示装置31の視聴不可能位置に当該利用者が到達した時刻(利用終了時刻)である。なお、
図11に示す表示装置IDのうち、建物ID「b001」に対応付けられている表示装置ID「d1」が、表示装置31Aを示し、同じく「d2」が表示装置31Bを示すものとする。
【0103】
例えば、利用者IDが「u001」の利用者は、建物IDがb001の建物において、動く歩道IDがe1の動く歩道4に乗り込み、2020年8月1日8時00分00秒に、表示装置31Aの視聴可能位置に到達し、同10秒に表示装置31Aの視聴不可能位置に到達している。続いて、当該利用者は、2020年8月1日8時00分15秒に、表示装置31Bの視聴可能位置に到達し、同25秒に表示装置31Bの視聴不可能位置に到達している。
【0104】
図12は、広告履歴データベース134の別の例である広告履歴データベース134Aを示す図である。具体的には、広告履歴データベース134Aは、1つの乗客コンベアに対して複数の表示装置31が設けられる場合の広告履歴データベースである。
図12の例では、広告履歴データベース134Aの各レコードには、広告IDと、当該広告IDが示す広告宣伝情報を表示した表示装置31の表示装置IDと、当該広告宣伝情報の、当該表示装置31での表示開始時刻(出力開始時刻)と、当該表示装置31が設けられた動く歩道4を示す動く歩道IDと、当該動く歩道4が設けられている建物を示す建物IDとが含まれている。
【0105】
つまり、
図12の例では、広告履歴データベース134Aは、表示装置31が表示した広告宣伝情報の広告IDを、表示装置IDごとに時系列順に並べたデータベースである。例えば、表示装置IDが「d1」である表示装置31Aは、2020年8月1日8時00分00秒に広告IDがa001である広告宣伝情報の表示を開始し、同15秒に、広告IDがa001である広告宣伝情報に代えて、広告IDがa002である広告宣伝情報の表示を開始し、同35秒に、広告IDがa002である広告宣伝情報に代えて、広告IDがa003である広告宣伝情報の表示を開始している。
【0106】
ここで、利用者IDが「u001」の利用者が、端末装置200を使用して広告管理装置1に利用要求を送信した場合、情報特定部116は、2020年8月1日8時00分00秒から同10秒までの間に、表示装置31Aにおける表示開始時刻および表示終了時刻の少なくとも一方が含まれる広告宣伝情報の広告IDと、2020年8月1日8時00分15秒から同25秒までの間に、表示装置31Bにおける表示開始時刻および表示終了時刻の少なくとも一方が含まれる広告宣伝情報の広告IDとを特定する。
図12に示す例の場合、情報特定部116は、広告IDとして「a001」および「a011」を特定する。
【0107】
〔ソフトウェアによる実現例〕
システム100および100Aの制御ブロック(特に利用期間特定装置2、判定部112、112A、利用履歴更新部113、取得部114、利用者特定部115、115A、情報特定部116、および提供部117)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0108】
後者の場合、システム100および100Aは、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0109】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0110】
1、1A 広告管理装置
2 利用期間特定装置(利用期間特定部)
3 エスカレータ(乗客コンベア)
31 表示装置(出力装置)
32 撮像装置
100、100A システム
114 取得部
112、112A 判定部
113 利用履歴更新部(対応付け部)
115、115A 利用者特定部
116 情報特定部
117 提供部
200 端末装置
【手続補正書】
【提出日】2022-03-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗客コンベアを利用する利用者に広告宣伝情報を提供するシステムであって、
前記乗客コンベアの入口付近に設けられ、前記利用者を撮像する撮像装置と、
前記乗客コンベアの周辺に設けられ、前記広告宣伝情報を出力する出力装置と、
前記乗客コンベアを利用した利用者を特定する利用者特定部と、
特定された前記利用者が前記乗客コンベアを利用していた利用期間を、前記撮像装置によって撮像された画像に基づいて特定する利用期間特定部と、
特定された利用期間中に前記出力装置に出力されていた前記広告宣伝情報を特定する情報特定部と、
特定された前記広告宣伝情報を、特定された前記利用者の端末装置に提供する提供部と、を備えるシステム。
【請求項2】
前記利用者の端末装置から、前記広告宣伝情報の提供要求を取得する取得部をさらに備え、
前記利用者特定部は、前記取得部が前記提供要求を取得したとき、前記提供要求を送信した前記端末装置の前記利用者を特定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
予め登録された登録者の顔画像と、当該登録者を識別する識別情報とを対応付けて記憶する記憶装置と、
前記撮像装置によって撮像された利用者の顔が、前記記憶装置に記憶されている前記顔画像と一致するか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記顔画像と一致すると判定された場合、当該顔画像に対応付けられて前記記憶装置に記憶されている前記識別情報と、前記利用期間とを対応付けて前記記憶装置に記憶する対応付け部と、をさらに含み、
前記提供要求は、前記利用者の識別情報を含み、
前記情報特定部は、前記取得部が前記提供要求を取得したとき、前記提供要求に含まれる識別情報と対応付けて前記記憶装置に記憶されている前記利用期間中に前記出力装置に出力されていた前記広告宣伝情報を特定する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
予め登録された登録者の顔画像と、当該登録者を識別する識別情報とを対応付けて記憶する記憶装置と、
前記撮像装置によって撮像された利用者の顔が、前記記憶装置に記憶されている前記顔画像と一致するか否かを判定する判定部と、をさらに含み、
前記判定部により前記顔画像と一致すると判定された場合、
前記利用者特定部は、当該顔画像と対応付けて前記記憶装置に記憶されている前記識別情報を特定し、
前記提供部は、前記特定された広告宣伝情報を、前記特定された識別情報に基づき特定される前記登録者の端末装置に提供する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記利用期間特定部は、前記乗客コンベアに乗り込む前記利用者を前記撮像装置が撮像した時刻を用いて、前記利用期間を特定する、請求項3または4に記載のシステム。
【請求項6】
前記情報特定部が特定する前記広告宣伝情報は、前記出力装置への出力開始時刻および出力終了時刻の少なくとも一方が前記利用期間外であった前記広告宣伝情報である、請求項1から5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記乗客コンベアは、エスカレータまたは動く歩道である、請求項1から6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
端末装置の制御プログラムであって、
請求項1に記載のシステムに、前記広告宣伝情報の提供要求を送信する送信ステップと、
前記提供要求に対する応答として、前記情報特定部により特定された前記広告宣伝情報を受信する受信ステップと、
受信した前記広告宣伝情報を、前記端末装置に出力する出力ステップと、を含む、端末装置の制御プログラム。