(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022102687
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】衛生薄葉紙入り収納箱
(51)【国際特許分類】
B65D 83/08 20060101AFI20220630BHJP
A47K 10/20 20060101ALI20220630BHJP
A47K 10/16 20060101ALI20220630BHJP
A47K 10/42 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
B65D83/08 B
A47K10/20 B
A47K10/16 C
A47K10/42 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020217560
(22)【出願日】2020-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】大岡 康伸
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 光
(72)【発明者】
【氏名】大篭 幸治
【テーマコード(参考)】
2D135
3E014
【Fターム(参考)】
2D135AB03
2D135AB10
2D135AC01
2D135DA13
3E014LB02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】衛生薄葉紙の取出し性が良好であり、かつ収納箱の内部にゴミが入りにくい衛生薄葉紙入り収納箱を提供する。
【解決手段】収納箱11の取出し口13にフィルムを有さず、衛生薄葉紙20の組数が、120組以上260組以下であり、収納箱11の坪量が200g/m
2以上450g/m
2であり、収納箱11の高さが35mm以上77mm以下であり、取出し口13の長手方向の中央部における長手方向に直交する長さが、30mm以上65mm以下であり、取出し口13の長手方向の両端部における長手方向に直交する長さが、8mm以上40mm以下であり、取出し口13の長手方向の中央部における長手方向に直交する長さが、取出し口13の長手方向の両端部における長手方向に直交する長さより大きく、衛生薄葉紙20の引出し方向に直交する長さに対する取出し口13の長手方向の長さ比率が60%以上100%以下である衛生薄葉紙入り収納箱10である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納箱の内部に衛生薄葉紙を有し、収納箱の取出し口にフィルムを有しない衛生薄葉紙入り収納箱であって、
前記衛生薄葉紙の組数が、120組以上260組以下であり、
前記収納箱の坪量が、200g/m2以上450g/m2以下であり、前記収納箱の高さが、35mm以上77mm以下であり、
前記取出し口の長手方向の中央部における長手方向に直交する方向の長さが、30mm以上65mm以下であり、
前記取出し口の長手方向の両端部における長手方向に直交する方向の長さが、8mm以上40mm以下であり、
前記取出し口の長手方向の中央部における長手方向に直交する方向の長さが、前記取出し口の長手方向の両端部における長手方向に直交する方向の長さより大きく、
下記式(1)で表される値が、60%以上100%以下である衛生薄葉紙入り収納箱。
前記取出し口の長手方向の長さ(mm)/前記衛生薄葉紙の引出し方向に直交する方向の長さ(mm)×100・・・(1)
【請求項2】
前記衛生薄葉紙の引出し方向の長さが、150mm以上240mm以下であり、前記衛生薄葉紙の引出し方向に直交する方向の長さが、160mm以上260mm以下である請求項1記載の衛生薄葉紙入り収納箱。
【請求項3】
下記式(2)で表される値が、10%以上40%以下である請求項1又は2記載の衛生薄葉紙入り収納箱。
前記収納箱の高さ(mm)/前記衛生薄葉紙の引出し方向の長さ(mm)×100・・・(2)
【請求項4】
下記式(3)で表される値が、16以上40以下である請求項1から3いずれか1項記載の衛生薄葉紙入り収納箱。
(前記収納箱の高さ(mm)/前記衛生薄葉紙の組数)×100・・・(3)
【請求項5】
下記式(4)で表される値が、12以上25以下である請求項1から4いずれか1項記載の衛生薄葉紙入り収納箱。
(前記衛生薄葉紙の組数×前記衛生薄葉紙の紙厚(μm)/1000/前記収納箱の高さ(mm))×100・・・(4)
【請求項6】
前記衛生薄葉紙が、2プライのティッシュペーパーであり、前記衛生薄葉紙の前記引出し方向が、CD方向であり、前記衛生薄葉紙が、ポップアップできるように断面V字折りにされている請求項1から5いずれか1項記載の衛生薄葉紙入り収納箱。
【請求項7】
前記取出し口に蓋部が設けられており、前記蓋部は前記取出し口の形状に沿った開封用ミシン目で囲まれており、前記蓋部の中心部に開封用の押込み片を有する請求項1から6いずれか1項記載の衛生薄葉紙入り収納箱。
【請求項8】
前記中心部の前記押込み片が、半楕円形であり、前記取出し口の長手方向の長さが、10mm以上30mm以下であり、前記取出し口の長手方向に直交する方向の長さが、14mm以上30mm以下である請求項7記載の衛生薄葉紙入り収納箱。
【請求項9】
前記押込み片の曲線部のRが、7mm以上15mm以下である請求項7又は8記載の衛生薄葉紙入り収納箱。
【請求項10】
前記蓋部の開封用ミシン目を開裂することにより形成される前記取出し口の開口面積が、2000mm2以上7000mm2以下である請求項7から9いずれか1項記載の衛生薄葉紙入り収納箱。
【請求項11】
前記開口面積が、前記収納箱の天面の面積に対して5%以上30%以下である請求項10記載の衛生薄葉紙入り収納箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生薄葉紙入り収納箱に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ティッシュペーパー等の衛生薄葉紙が収容された薄葉紙入り収納箱は、軽量化及びコンパクト化が進められている。生産者にとっては、収納箱の生産コスト、製品輸送コストを削減することができ、消費者にとっては、商品購入時の持ち帰り作業の簡易化、及び、家での保管スペースの削減等が可能となる。
薄葉紙用収納箱には取出し口にフィルムが設けられているものが多いが、ごみの分別化により、フィルムを収納箱から外して捨てる必要があることから、近年は、取出し口のフィルムレス化が進んでいる(特許文献1から3参照)。このような収納箱は、フィルムレスカートンとも呼ばれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-53176号公報
【特許文献2】特開2009-102078号公報
【特許文献3】特開2010-13181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、フィルムレスカートンにおいては、衛生薄葉紙を引き出す時、取出し口の縁が衛生薄葉紙に直接擦れ、フィルムを使用する収納箱に比べて、取出しの抵抗が高く取出し性が劣るという問題がある。
取出し口の長辺を長くすると取出し性は改善するが衛生薄葉紙が自立できずにドロップバック(箱内に落ち込む現象を示す)しやすくなる。また、短辺方向が長すぎるとゴミが入りやすく、狭いと最初の1組が摘まみにくいという欠点がある。さらに、フィルムレスカートンの坪量が高すぎる場合には、衛生薄葉紙の取出し時の引っ掛かりが強く、衛生薄葉紙が破れやすくなり、取出し性が劣る。逆に、坪量が低すぎる場合は、カートンの強度が下がり、取出し口が曲がりやすくなり、取出し性が劣る。このように、従来のフィルムレスカートンは取出し性、ゴミの入りにくさ、及び摘まみやすさを全て満たすことは困難であった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、フィルムレスの衛生薄葉紙入り収納箱であって、衛生薄葉紙の取出し性(引き出しやすさ、摘まみやすさ)が良好であり、かつ収納箱の内部にゴミが入りにくい衛生薄葉紙入り収納箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、収納箱の内部に衛生薄葉紙を有し、収納箱の取出し口にフィルムを有しない衛生薄葉紙入り収納箱であって、衛生薄葉紙の組数が、120組以上260組以下であり、収納箱の坪量が、200g/m2以上450g/m2以下であり、収納箱の高さが、35mm以上77mm以下であり、取出し口の長手方向の中央部における長手方向に直交する方向の長さが、30mm以上65mm以下であり、取出し口の長手方向の両端部における長手方向に直交する方向の長さが、8mm以上40mm以下であり、取出し口の長手方向の中央部における長手方向に直交する方向の長さが、取出し口の長手方向の両端部における長手方向に直交する方向の長さより大きく、下記式(1)で表される値が、60%以上100%以下である衛生薄葉紙入り収納箱である。
取出し口の長手方向の長さ/衛生薄葉紙の引出し方向に直交する方向の長さ・・・(1)
【0007】
衛生薄葉紙の引出し方向の長さは、150mm以上240mm以下であり、衛生薄葉紙の引出し方向に直交する方向の長さは、160mm以上260mm以下であることが好ましい。
【0008】
下記式(2)で表される値は、10%以上40%以下であることが好ましい。
収納箱の高さ(mm)/衛生薄葉紙の引出し方向の長さ(mm)×100・・・(2)
【0009】
下記式(3)で表される値は、16以上40以下であることが好ましい。
(収納箱の高さ(mm)/衛生薄葉紙の組数)×100・・・(3)
【0010】
下記式(4)で表される値は、12以上25以下であることが好ましい。
(衛生薄葉紙の組数×衛生薄葉紙の紙厚(μm)/1000/収納箱の高さ(mm))×100・・・(4)
【0011】
衛生薄葉紙は、2プライのティッシュペーパーであり、衛生薄葉紙の引出し方向は、CD方向であり、衛生薄葉紙は、ポップアップできるように断面V字折りにされていることが好ましい。
【0012】
取出し口に蓋部が設けられており、蓋部は取出し口の形状に沿った開封用ミシン目で囲まれており、蓋部の中心部に開封用の押込み片を有することが好ましい。
【0013】
中心部の押込み片は、半楕円形であり、取出し口の長手方向の長さが、10mm以上30mm以下であり、取出し口の長手方向に直交する方向の長さが、14mm以上30mm以下であることが好ましい。
【0014】
押込み片の曲線部のRは、7mm以上15mm以下であることが好ましい。
【0015】
蓋部の開封用ミシン目を開裂することにより形成される取出し口の開口面積は、2000mm2以上7000mm2以下であることが好ましい。
【0016】
開口面積は、収納箱の天面の面積に対して5%以上30%以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、衛生薄葉紙の取出し性が良好であり、かつ収納箱の内部にゴミが入りにくい衛生薄葉紙入り収納箱を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の衛生薄葉紙入り収納箱の一実施形態を示す斜視図ある。
【
図2】衛生薄葉紙入り収納箱の蓋部を取り除いた状態の天面図である。
【
図3】収納箱から薄葉紙を取出した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。なお、本発明の実施形態の説明の全体を通して、同じ要素には同じ符号を付している。
【0020】
[衛生薄葉紙入り収納箱]
図1に示すように、本発明の衛生薄葉紙入り収納箱10は、収納箱11の内部に衛生薄葉紙20を有し、取出し口13にはフィルムを有しない。衛生薄葉紙20は、
図3に示すように、矢印方向に引き出される。本明細書においては、衛生薄葉紙20は、
図5の折り線21で折り畳まれて、
図6に示すように、収納箱11に収納されている。このため、衛生薄葉紙20の引出し方向とは、
図5中の上向き矢印の方向であり、引出し方向に直交する方向は、収納箱11のX方向に相当する。
【0021】
(収納箱)
本発明の衛生薄葉紙入り収納箱10における収納箱11は、紙製の直方体である。
-収納箱のサイズ-
図1に示すように、収納箱11の高さH
C(
図1中Z方向)は、35mm以上77mm以下である。高さHcは35mm以上65mm以下であることがより好ましく、35mm以上58mm以下であることが更に好ましい。
また、収納箱11の長手方向の長さL
C(
図1中X方向)は、160mm以上250mm以下であることが好ましく、180mm以上240mm以下であることがより好ましく、200mm以上230mm以下であることが更に好ましい。
また、収納箱11の長手方向に直交する方向(
図1中Y方向、以下、この方向を短手方向と記載する場合がある)の長さW
Cは、95mm以上125mm以下であることが好ましく、100mm以上120mm以下であることがより好ましく、105mm以上115mm以下であることが更に好ましい。
長手方向の長さL
C及び短手方向の長さW
Cの好ましい組み合わせは、長手方向の長さL
Cが160mm以上250mm以下であり、短手方向の長さW
Cが95mm以上125mm以下である。
収納箱11を上記範囲のサイズにすることにより、フィルムレスの収納箱11であっても衛生薄葉紙20の取出し性が良好になる。
【0022】
-坪量-
収納箱11の坪量は、200g/m2以上450g/m2以下である。240g/m2以上400g/m2以下であることがより好ましく、270g/m2以上350g/m2以下であることが更に好ましい。収納箱11の坪量が、200g/m2以上であることにより、衛生薄葉紙20の取出し性が良好となり、450g/m2以下であることにより、衛生薄葉紙20の破れ易さが低減する。また、収納箱11の強度を維持して収納箱11を潰れにくくできるとともに、収納箱11の製函性も良好に維持される。
なお、製函性とは、収納箱11を二つ折りにした状態から四角柱状の筒体に変形させる際の起函しやすさや、起函後に収納箱11に衛生薄葉紙20の積層体を収容(充填)する際、短辺側フラップ及び高さ側フラップを折り重ねる際の開口の封緘しやすさをいう。
収納箱11の坪量は、JIS P 8124に基づいて測定される値である。
【0023】
(取出し口)
本実施形態の取出し口13は、
図2に示すように、略楕円形状の中央部14と、その両側に延びる長手開口部を有し、その長手開口部に両端部15を有する。取出し口13は、後述する開封用ミシン目12(
図4参照)を開裂することによって形成される。
【0024】
ここで、取出し口13の長手方向の「中央部」とは、長手方向の中心を含めて、長手方向の長さの45%以上55%以下の領域を示す。
また、取出し口13の長手方向の「両端部」とは、長手開口部の端15aから、それぞれ0%以上15%以下の領域を示す。
【0025】
中央部14の形状は、略円形、略楕円形、略矩形状等、様々な形状にすることができるが、取出しやすさを考慮すると、略円形又は略楕円形であることが好ましい。
中央部14以外の長手開口部は、
図2に示すように、収納箱11の長手方向に延びる形状であり、両端はR形状であることが好ましい。長手開口部は、
図2に示すように、長手方向に一定幅で設けられてもよく、中央部14に向かって徐々に大きくなるように設けられてもよい。
【0026】
本発明の衛生薄葉紙入り収納箱10は、取出し口13の長手方向(X方向)の中央部14における長手方向に直交する方向(Y方向)の長さW14は、取出し口13の長手方向の両端部15における長手方向(X方向)に直交する方向(Y方向)の長さW15より大きい。中央部14の長さW14が、両端部15の長さW15より大きいことにより、1組目が摘まみやすく、2組目以降はドロップバックすることなく、衛生薄葉紙20を支持し易いという利点がある。
【0027】
取出し口13の長手方向の中央部14における長手方向に直交する方向の長さW14は、30mm以上65mm以下である。長さW14は、35mm以上60mm以下であることが好ましく、40mm以上55mm以下であることがより好ましい。中央部14における長手方向に直交する方向の長さW14が、30mm以上であることにより、1組目の衛生薄葉紙20を摘まみ易く、65mm以下であることにより、ゴミの侵入を防ぐことができる。
なお、W14は、中央部14における領域最大値を示す。
【0028】
取出し口13の長手方向(X方向)の両端部15における長手方向に直交する方向(Y方向)の長さW15は、8mm以上40mm以下である。長さW15は、10mm以上30mm以下であることが好ましく、12mm以上20mm以下であることがより好ましい。両端部15における長手方向に直交する方向の長さW15が、8mm以上であることにより、衛生薄葉紙20を引き出し易く、40mm以下であることにより、衛生薄葉紙20のドロップバックを防止することができる。
なお、W15は、両端部15における領域最大値を示す。
【0029】
取出し口13の長手方向の長さL13は、130mm以上215mm以下であることが好ましく、150mm以上210mm以下であることがより好ましく、160mm以上205mm以下であることが更に好ましい。取出し口13の長手方向の長さL13が、130mm以上であることより、衛生薄葉紙20を引出しやすく、215mm以下であることにより、衛生薄葉紙20のドロップバックを防止することができる。
【0030】
取出し口13の開口面積は、2000mm
2以上7000mm
2以下であることが好ましく、3000mm
2以上6000mm
2以下であることがより好ましく、3500mm
2以上5000mm
2以下であることが更に好ましい。取出し口13の開口面積が、2000mm
2以上であることにより、衛生薄葉紙20を取出し易く、7000mm
2以下であることにより、ゴミが入りにくくなる。
なお、開口面積は、以下のようにして測定することができる。まず、
図4に示すように、蓋部16がついた状態の収納箱10の天面11aだけの質量及び面積を測定する。次に、蓋部16を開封用ミシン目12で取り除いたのち、蓋部16のみの質量を測定する。その2つの質量比から開口面積を算出する。
取出し口13の開口面積は、収納箱11の天面11aの面積に対して5%以上30%以下であることが好ましく、10%以上25%以下であることがより好ましく、15%以上20%以下であることが更に好ましい。
【0031】
衛生薄葉紙20の引出し方向に直交する方向の長さ(L
20、
図1参照)に対する取出し口13の長手方向の長さL
13(
図2参照)の比率は、下記式(1)で表され、60%以上100%以下であることが好ましく、70%以上96%以下であることがより好ましく、80%以上92%以下であることが更に好ましい。
取出し口の長手方向の長さ(mm)/衛生薄葉紙の引出し方向に直交する方向の長さ(mm)×100・・・(1)
上記式(1)で求められる値が、60%以上であることにより、衛生薄葉紙20を破れることなく取り出すことができ、100%以下であることにより、衛生薄葉紙20のドロップバックを防止することができる。
【0032】
-蓋部-
本発明の衛生薄葉紙入り収納箱10は、
図4に示すように、取出し口13に蓋部16が設けられていることが好ましく、蓋部16は、取出し口13の形状に沿った開封用ミシン目12で囲まれていることが好ましい。開封用ミシン目は、蓋部16の一部が囲まれていなくてもよいが、蓋部16の全体が囲まれていることが好ましい。
【0033】
また、蓋部16の中心部に開封用の押込み片17を有することが好ましい。中心部の押込み片17の形状は、様々な形状にすることができるが、略半円形または略半楕円形が好ましく、略半楕円形がより好ましい。
押込み片17の長手方向の長さL17は、10mm以上30mm以下であることが好ましく、10mm以上22mm以下であることがより好ましく、10mm以上16mm以下であることが更に好ましい。押込み片17の長手方向の長さL17が、10mm以上であることにより、押込み片17を押した際に、積層体の上部が押されて空間が適切に空くことで、1組目が摘まみ易くなる。30mm以下であることにより、押込み片17を押しやすく、蓋部16を綺麗に開けることができ、衛生薄葉紙20が取り出しやすくなる。
【0034】
押込み片17の長手方向に直交する方向の長さW17は、14mm以上30mm以下であることが好ましく、16mm以上26mm以下であることがより好ましく、18mm以上22mm以下であることが更に好ましい。長手方向に直交する方向の長さW17が、14mm以上であることにより、押込み片17を押込み易くなる。30mm以下であることにより、押込み片17を押しやすく、蓋部16を綺麗に開封することができ、衛生薄葉紙20が取り出しやすくなる。
【0035】
押込み片17は、略半楕円の直径に相当する部分に折り曲げ線19が設けられ、弧の部分が開封用ミシン目18で構成されることが好ましい。開封用ミシン目18を開裂させて押込み片17を押し込むと、折り曲げ線19で押込み片17が収納箱11の内部へ折られ、孔が形成される。その孔に指をかけて、蓋部16を中心部から左右に分割しながら引き上げて開封用ミシン目12を開裂させることにより、蓋部16を取り除くことができる。
ここで、「蓋部16の中心部」とは、押込み片17に設けられた折り曲げ線19が、取出し口13の中央部14を長手方向に二等分する位置になるように、押込み片17が形成される位置を示す。
【0036】
押込み片17の曲線部のRは、7mm以上15mm以下であることが好ましく、8mm以上13mm以下であることがより好ましく、9mm以上11mm以下であることが更に好ましい。
【0037】
(衛生薄葉紙)
本発明における衛生薄葉紙20の詳細を以下に説明する。衛生薄葉紙20には、通常、ティッシュペーパーと称されるものを含む。
【0038】
-組数-
本発明の衛生薄葉紙入り収納箱10に収納される衛生薄葉紙20の組数は、120組以上260組以下である。組数は、140組以上240組以下であることがより好ましく、150組以上220組以下であることが更に好ましい。衛生薄葉紙20は、1組1から3プライであってもよく、2プライが好ましい。
【0039】
-紙厚-
衛生薄葉紙20における、紙厚は、1プライ当たり、35μm以上75μm以下であることが好ましく、40μm以上65μm以下であることがより好ましく、45μm以上55μm以下であることが更に好ましい。また、本願では衛生薄葉紙1組が2プライであることが好ましい。
【0040】
紙厚は、以下の方法で測定される値とする。
装置は、シックネスゲージ(尾崎製作所製のダイヤルシックネスゲージ「PEACOCK」)を用いる。測定条件は、測定荷重250gf、測定子直径30mmで、測定子と測定台の間に試料を置き、測定子を1秒間に1mm以下の速度で下ろしたときのゲージを読み取る。1回の測定は1プライのシートを10枚(2プライのシートを5組)重ねて行い、測定を10回繰り返して測定結果を平均し、その後、値を1/10にして、1プライ当たりの値にする。
【0041】
下記式(2)で表される、衛生薄葉紙20の引出し方向の長さW
20(
図5参照)に対する収納箱11の高さHcの比率は、10%以上40%以下であることが好ましく、14%以上34%以下であることがより好ましく、18%以上28%以下であることが更に好ましい。
収納箱の高さ(mm)/衛生薄葉紙の引出し方向の長さ(mm)×100・・・(2)
衛生薄葉紙20の引出し方向の長さW
20に対する収納箱11の高さHcの比率が、10%以上であることにより、衛生薄葉紙20の引出し性が良化し、40%以下であることにより、衛生薄葉紙20のドロップバックを防止することができる。
【0042】
下記式(3)で表される、衛生薄葉紙20の組数に対する収納箱11の高さHcの比率が、16以上40以下であることが好ましく、18以上34以下であることがより好ましく、20以上28以下であることが更に好ましい。
(収納箱の高さ(mm)/衛生薄葉紙の組数)×100・・・(3)
衛生薄葉紙20の組数に対する収納箱11の高さHcの比率が、16以上であることにより、衛生薄葉紙20の引出し性が良化し、40以下であることにより、上部空間が適切に空き、1組目が摘まみ易くなる。
【0043】
また、衛生薄葉紙20は、収納箱11との関係において、下記式(4)で表される値が、12以上25以下であることが好ましく、14以上24以下であることがより好ましく、16以上23以下であることが更に好ましい。
(衛生薄葉紙の組数×衛生薄葉紙の紙厚(μm)/1000/収納箱の高さ(mm))×100・・・(4)
なお、衛生薄葉紙20の紙厚(μm)は、1プライ当たりの紙厚を示す。
上記式(4)で求められる値が、12以上であることにより、上部空間が適切に空いているため、1組目の衛生薄葉紙20が摘まみ易くなり、25以下であることにより、衛生薄葉紙20が収納箱11の天面11aから圧迫される圧力が小さく、衛生薄葉紙20が破れることなく、滑らかに取り出すことができる。
【0044】
-坪量-
衛生薄葉紙20における、シート1プライあたりの坪量は、9g/m2以上15g/m2以下であることが好ましく、9g/m2以上13g/m2以下であることがより好ましく、9g/m2以上11g/m2以下であることが更に好ましい。坪量は、JIS P 8124に基づき測定される値である。
【0045】
衛生薄葉紙20の紙厚及びシート1プライあたりの坪量を上記の範囲内にすることにより、衛生薄葉紙20を収納箱11から取り出す際、破れにくく取り出しやすい。また、柔らかさとボリューム感及び収納箱11のコンパクトさとが両立可能となる。
衛生薄葉紙20には、薬液が塗布されていてもよく、塗布された場合は、塗布された状態の坪量、紙厚を意味する。なお、本願の衛生薄葉紙には薬液が塗布されていないことが好ましい。
【0046】
収納箱11に収納されている衛生薄葉紙20は、2プライのティッシュペーパーであり、衛生薄葉紙20の引出し方向が、CD(Cross Direction)方向であることが好ましい。衛生薄葉紙20は、マルチスタンド式インターフォルダで加工することが好ましい。マルチスタンド式インターフォルダで加工すると引出し方向がCD方向となる。
また、収納箱11中の衛生薄葉紙20は、
図6に示すように、収納箱11の短手方向からみて、断面V字折りにされていることが好ましく、衛生薄葉紙がポップアップ式に引き出されることが好ましい。
【0047】
―衛生薄葉紙の引出し方向の長さW
20-
衛生薄葉紙20の引出し方向の長さW
20(
図5参照)は、150mm以上240mm以下であることが好ましく、170mm以上230mm以下であることがより好ましく、190mm以上210mm以下であることが更に好ましい。
【0048】
-衛生薄葉紙の引出し方向に直交する方向の長さL
20-
衛生薄葉紙20の引出し方向に直交する方向(X方向)の長さL
20(
図1及び
図5参照)は、160mm以上260mm以下であることが好ましく、180mm以上240mm以下であることがより好ましく、200mm以上220mm以下であることが更に好ましい。
【0049】
衛生薄葉紙20の長さL20及びW20を上記範囲にすることにより、本発明のフィルムを有しない高さHcを有する収納箱11に、本発明の衛生薄葉紙20の積層体を挿入して得られた衛生薄葉紙入り収納箱において引出し性が良好になる。また、積層体を挿入する際に適したシート幅と長さになり、引出し性が良好になる。
【0050】
-引出し方向に直交する方向の強度(DMDT)-
本発明における衛生薄葉紙20は、JIS P 8113に基づく乾燥時の縦方向の引張強さ(2プライ、引張り速度300mm/分で測定)DMDT(Dry Machine Direction Tensile strength)が、2.8N/25mm以上6.0N/25mm以下であることが好ましく、3.4N/25mm以上5.5N/25mm以下であることがより好ましく、3.9N/25mm以上4.9N/25mm以下であることが更に好ましい。DMDTを上記の範囲にすることにより、衛生薄葉紙20を収納箱11から取り出す際、破れにくく取り出しやすくなり、使いやすさが良好になる。また、生産時にMD(Machine Direction)方向に破れにくくなる。
【0051】
-引出し方向の強度(DCDT)-
本発明の衛生薄葉紙20は、引出し方向がCD方向であり、JIS P 8113に基づく乾燥時の横方向の引張強さ(2プライ、引張り速度300mm/分で測定)DCDT(Dry Cross Direction Tensile strength)が、0.7N/25mm以上2.5N/25mm以下であることが好ましく、0.9N/25mm以上2.1N/25mm以下であることがより好ましく、1.1N/25mm以上1.7N/25mm以下であることが更に好ましい。DCDTを上記の範囲にすることにより、衛生薄葉紙20が、引出し時に破れにくく取り出しやすくなり、使いやすさが良好になる。
【0052】
-原料-
衛生薄葉紙20を構成する2プライのシートは、パルプを主成分とするものであり、50質量%以上のパルプを含有することが好ましく、70質量%以上のパルプを含有することがより好ましく、90質量%以上のパルプを含有することが更に好ましい。衛生薄葉紙20の製造に使用できるパルプとしては、木材パルプ、古紙パルプ、非木材パルプが挙げられるが、本発明における衛生薄葉紙20は、パルプとして木材パルプ100%から成るものであってもよく、木材パルプの他に、古紙パルプや非木材パルプを含んでいてもよい。パルプ以外の成分としては、填料、合成繊維、天然繊維等を挙げることができる。目標とする品質を得るためには、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)2質量%以上35質量%以下と、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)65質量%以上98質量%以下とからなる木材パルプを原料とすることが好ましく、NBKP:5質量%以上30質量%以下と、LBKP:70質量%以上95質量%以下とからなる木材パルプを原料とすることがより好ましく、NBKP:10質量%以上25質量%以下と、LBKP:75質量%以上90質量%以下とからなる木材パルプを原料とすることが更に好ましい。
【0053】
上記LBKPの材種としては、ユーカリ属グランディス及びユーカリグロビュラスに代表される、フトモモ科ユーカリ属から製造されるパルプが好ましい。また、上記のパルプ比率の木材パルプの他に古紙パルプを含んでいてもよく、その配合量は上記のパルプ比率の木材パルプ100質量部に対し、220質量部以下とすることが好ましく、170質量部以下とすることがより好ましく、120質量部以下とすることが更に好ましい。古紙パルプとしてはミルク等の紙製液体飲料容器由来が好ましい。
【0054】
なお、衛生薄葉紙20に適正な強度を確保するため、通常の手段で原料配合した後、パルプ繊維の叩解処理にて強度調整を行うことができる。目標の品質を得るための叩解処理としては、種箱原料のろ水度(csf)が200ml以上650ml以下、好ましくは250ml以上600ml以下、より好ましくは300ml以上550ml以下にすることが好ましい。なお、乾燥紙力増強剤を使用してもよく、湿潤紙力増強剤を使用することが好ましい。
上記のパルプ配合、ろ水度に調整することで、本願のようなフィルムを有しないカートンにおいて引き出しやすく、適した強度の薄葉紙となる。
【実施例0055】
[実施例及び比較例]
表1から表3に示すフィルムレスの収納箱とティッシュペーパー(薬液なし)(以下、「ティッシュ」と略する)とで、
図4に示す形状の蓋部を有する衛生薄葉紙入り収納箱を製造した。ティッシュは、マルチスタンド式インターフォルダで加工し、引出し方向がCD方向となるようにした。ティッシュは、2プライ1組で、
図6に示すように、収納箱にポップアップ式で収納されている。
【0056】
[評価]
以下の項目について官能評価を行った。
(衛生薄葉紙の1組目の摘まみやすさ)
モニター30人の評価を基に、1組目のティッシュの摘まみやすさを、以下の評価基準で評価した。
5:最初の1組目が摘まみにくい(取り出しにくい)と感じた人数が0人~1人
4:最初の1組目が摘まみにくい(取り出しにくい)と感じた人数が2人~3人
3:最初の1組目が摘まみにくい(取り出しにくい)と感じた人数が4人~6人
2:最初の1組目が摘まみにくい(取り出しにくい)と感じた人数が7人~20人
1:最初の1組目が摘まみにくい(取り出しにくい)と感じた人数が21人~30人
【0057】
(衛生薄葉紙の2組目以降の引出しやすさ)
モニター30人が2組目以降のティッシュの引出しやすさを、以下の評価基準で評価し、その評価値の平均を求めた。また、その平均値を四捨五入して、有効数字を1桁とした。
5:最後まで使っても衛生薄葉紙が破れなかった。または、引き出しにくく感じられなかった
4:最後まで使うと1収納箱につき1回~2回破れた。または、ほとんど引き出しにくく感じられなかった
3:最後まで使うと1収納箱につき3回~5回破れた。または、引き出しにくく感じられたが、問題はなかった
2:最後まで使うと1収納箱につき6回~10回破れた。または、引き出しにくく感じられた
1:最後まで使うと1収納箱につき11回以上破れた。または、顕著に引き出しにくく感じられた。
【0058】
(ドロップバック)
モニター30人が、1個の収納箱について引出し動作を最後の組まで行い、以下の評価基準で評価し、その評価値の平均を求めた。また、その平均値を四捨五入して、有効数字を1桁とした。
5:ドロップバックが1回も起こらなかった
4:ドロップバックが1回起こった
3:ドロップバックが2回~3回起こった
2:ドロップバックが4回~6回起こった
1:ドロップバックが7回以上起こった
【0059】
(ゴミの入りにくさ)
モニター30人の評価を基に、ティッシュを使用した時の収納箱へのゴミの入りにくさについて、以下の評価基準で評価した。
良:ゴミが入りやすいと感じた人数が0人~3人
可:ゴミが入りやすいと感じた人数が4人~6人
不可:ゴミが入りやすいと感じた人数が7人~30人
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
表1に示すように、本発明の衛生薄葉紙入り収納箱は、取出し性及びゴミの入りにくさの評価において、良好な結果を得ることができた。