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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022102698
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】立体画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 30/52 20200101AFI20220630BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20220630BHJP
   G02F 1/1347 20060101ALI20220630BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20220630BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20220630BHJP
   G03B 35/16 20210101ALI20220630BHJP
   G02B 3/14 20060101ALI20220630BHJP
   H04N 13/322 20180101ALI20220630BHJP
   H04N 13/125 20180101ALI20220630BHJP
【FI】
G02B30/52
G02F1/13 505
G02F1/1347
G02F1/13357
G02F1/133 550
G02F1/133 535
G03B35/16
G02B3/14
H04N13/322
H04N13/125
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020217579
(22)【出願日】2020-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】520272868
【氏名又は名称】武漢天馬微電子有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100183955
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 悟郎
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100180334
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 洋美
(74)【代理人】
【識別番号】100177149
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 浩義
(74)【代理人】
【識別番号】100174067
【弁理士】
【氏名又は名称】湯浅 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136342
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 成美
(72)【発明者】
【氏名】池田 直康
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 哲史
【テーマコード(参考)】
2H059
2H088
2H189
2H193
2H199
2H391
5C061
【Fターム(参考)】
2H059AA33
2H088EA05
2H088EA40
2H088EA42
2H088EA47
2H088GA02
2H088HA08
2H088HA18
2H088JA05
2H088MA10
2H088MA20
2H189AA22
2H189AA32
2H189AA35
2H189HA16
2H189JA05
2H189LA10
2H189LA17
2H189MA15
2H193ZA04
2H193ZC16
2H193ZE04
2H193ZG03
2H193ZG14
2H193ZG45
2H193ZP15
2H193ZQ06
2H193ZR10
2H199BA23
2H199BA30
2H199BA63
2H199BB02
2H199BB09
2H199BB10
2H199BB42
2H199BB51
2H199BB52
2H391AA03
2H391AB04
2H391AC13
2H391AC32
2H391CB01
2H391CB04
2H391CB52
2H391EA13
2H391EB02
2H391FA03
5C061AA06
5C061AB14
5C061AB16
5C061AB17
(57)【要約】
【課題】クロストークを抑制できる立体画像表示装置を提供する。
【解決手段】立体画像表示装置10は、表示ユニット20と可変焦点レンズユニット40と制御部80とを備える。表示ユニット20は、第1画像信号により表示される第1画像と第2画像信号により表示される第2画像とを順次に表示し、第1画像の表示光L1と第2画像の表示光L1とを出射する。可変焦点レンズユニット40は、表示光L1に対する焦点距離が切り替わり、第1画像と第2画像のそれぞれを第1表示面102と第2表示面104のそれぞれに虚像として結像させる。制御部80は、表示ユニット20の画素に異なる画像の画像信号の書き込みが開始される開始タイミングに基づいて、表示ユニット20が第1画像の表示光L1と第2画像の表示光L1を出射する出射タイミングを制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1画像信号により表示される第1画像と第2画像信号により表示される第2画像とを順次に表示し、前記第1画像の表示光と前記第2画像の表示光とを出射する表示ユニットと、
前記第1画像の表示光に対する焦点距離と前記第2画像の表示光に対する焦点距離が切り替わる可変焦点レンズユニットと、
前記表示ユニットが前記第1画像の表示光と前記第2画像の表示光を出射する出射タイミングを制御する制御部と、を備え、
前記第1画像と前記第2画像は、表示対象を、観察者から見て奥行き方向の異なる位置に位置する第1表示面と第2表示面のそれぞれに、前記観察者の側から投影した二次元画像であり、
前記可変焦点レンズユニットは、前記第1画像と前記第2画像のそれぞれを、前記第1表示面と前記第2表示面のそれぞれに、虚像として結像させ、
前記制御部は、前記表示ユニットの画素に異なる画像の画像信号の書き込みが開始される開始タイミングに基づいて、前記出射タイミングを制御する、
立体画像表示装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記出射タイミングを、前記開始タイミングから、前記可変焦点レンズユニットの前記第1画像の表示光に対する焦点距離と前記第2画像の表示光に対する焦点距離の切り替えと、前記表示ユニットの画素の前記第1画像信号に対する応答と、前記表示ユニットの画素の前記第2画像信号に対する応答のうちの、前記開始タイミングから最も遅く終了する時間が経過したタイミングに設定する。
請求項1に記載の立体画像表示装置。
【請求項3】
前記表示ユニットは、前記第1画像の表示光と前記第2画像の表示光とを、偏光方向が所定の第1方向である偏光光として出射する、
請求項1又は2に記載の立体画像表示装置。
【請求項4】
前記可変焦点レンズユニットは、
前記第1画像が前記表示ユニットに表示されている場合に前記第1画像の表示光の偏光方向を前記所定の第1方向に維持して出射し、前記第2画像が前記表示ユニットに表示されている場合に前記第2画像の表示光の偏光方向を前記所定の第1方向と異なる所定の第2方向に変えて出射して、出射光の偏光方向を前記所定の第1方向と前記所定の第2方向とに切り替える偏光切り替え部と、
前記偏光切り替え部から出射された前記出射光に対する焦点距離が、前記出射光の偏光方向によって異なる偏光二焦点レンズと、を備える、
請求項3に記載の立体画像表示装置。
【請求項5】
前記表示ユニットは、線順次走査により前記第1画像と前記第2画像を表示し、前記第1画像の表示光と前記第2画像の表示光のそれぞれを、前記線順次走査の方向に区分された複数の出射領域ごとに順次に出射し、
前記偏光切り替え部は、前記複数の出射領域のそれぞれに対応して前記出射光の偏光方向を切り替える、複数の切り替え領域を有し、
前記制御部は、前記出射領域ごとの前記開始タイミングに基づいて、前記出射領域ごとに前記出射タイミングを制御する、
請求項4に記載の立体画像表示装置。
【請求項6】
前記可変焦点レンズユニットが、前記所定の第1方向の偏光方向を有する偏光光に対する焦点距離を、印加される電圧により変える液晶レンズである、
請求項3に記載の立体画像表示装置。
【請求項7】
前記表示ユニットは、線順次走査により前記第1画像と前記第2画像を表示し、前記第1画像の表示光と前記第2画像の表示光のそれぞれを、前記線順次走査の方向に区分された複数の出射領域ごとに順次に出射し、
前記液晶レンズは、前記複数の出射領域のそれぞれに対応して前記所定の第1方向の偏光方向を有する偏光光に対する焦点距離を変える、複数の可変領域を有し、
前記制御部は、前記出射領域ごとの前記開始タイミングに基づいて、前記出射領域ごとに前記出射タイミングを制御する、
請求項6に記載の立体画像表示装置。
【請求項8】
前記表示ユニットは、光を発する光源部と、前記光源部から発せられた前記光を変調して、前記第1画像と前記第2画像を表示する液晶表示パネルとを有し、
前記第1画像信号と前記第2画像信号は前記液晶表示パネルに書き込まれ、
前記制御部は、前記光源部が前記光を発する発光タイミングを制御することにより、前記出射タイミングを制御する、
請求項1から7のいずれか1項に記載の立体画像表示装置。
【請求項9】
前記第1画像を表示するための前記第1画像信号又は前記第2画像を表示するための前記第2画像信号が前記液晶表示パネルの画素に連続して書き込まれる場合、前記液晶表示パネルの画素のそれぞれに書き込まれる電圧の極性は書き込みごとに反転している、
請求項8に記載の立体画像表示装置。
【請求項10】
前記第1画像と前記第2画像が1回ごとに書き込まれる場合、
連続する前記第1画像と前記第2画像の表示において、前記液晶表示パネルの画素に書き込まれる電圧の極性は、前記第1画像と前記第2画像とで同一であり、かつ次の前記第1画像と前記第2画像の表示の際に、前記液晶表示パネルの画素に書き込まれる電圧の極性が反転している、
請求項8に記載の立体画像表示装置。
【請求項11】
前記表示ユニットは、前記第1画像と前記第2画像を表示する自発光型表示パネルと、前記自発光型表示パネルから出射された光を遮蔽するシャッタ部とを有し、
前記第1画像信号と前記第2画像信号は前記自発光型表示パネルに書き込まれ、
前記制御部は、前記シャッタ部が前記自発光型表示パネルから出射された前記光を遮蔽する遮蔽タイミングを制御することにより、前記出射タイミングを制御する、
請求項1から7のいずれか1項に記載の立体画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、立体画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
裸眼で視認可能な立体画像(3次元画像)を表示する表示装置として、DFD(Depth Fused 3D)方式の立体画像表示装置が知られている。例えば、特許文献1は、2つの二次元画像を交互に表示する表示装置と、表示装置からの出射光を偏光光として出射する偏光板と、偏光板から出射された出射光の偏光方向を切り替える偏光切替装置と、偏光型二焦点レンズとを備える三次元表示装置を開示している。
【0003】
特許文献1の三次元表示装置では、2つの二次元画像のそれぞれを、交互に、観察者から見て異なった奥行き位置にある表示面のそれぞれに結像させ、2つの二次元画像の輝度あるいは透過度を独立に変化させることにより、立体画像を表示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-129983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の三次元表示装置では、2つの二次元画像が交互に表示されるので、2つの二次元画像の間でクロストークが生じると、立体画像が正しい位置に表示されない虞がある。
【0006】
本開示は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、クロストークを抑制できる立体画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本開示の立体画像表示装置は、
第1画像信号により表示される第1画像と第2画像信号により表示される第2画像とを順次に表示し、前記第1画像の表示光と前記第2画像の表示光とを出射する表示ユニットと、
前記第1画像の表示光に対する焦点距離と前記第2画像の表示光に対する焦点距離が切り替わる可変焦点レンズユニットと、
前記表示ユニットが前記第1画像の表示光と前記第2画像の表示光を出射する出射タイミングを制御する制御部と、を備え、
前記第1画像と前記第2画像は、表示対象を、観察者から見て奥行き方向の異なる位置に位置する第1表示面と第2表示面のそれぞれに、前記観察者の側から投影した二次元画像であり、
前記可変焦点レンズユニットは、前記第1画像と前記第2画像のそれぞれを、前記第1表示面と前記第2表示面のそれぞれに、虚像として結像させ、
前記制御部は、前記表示ユニットの画素に異なる画像の画像信号の書き込みが開始される開始タイミングに基づいて、前記出射タイミングを制御する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、クロストークを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1に係る立体画像表示装置を示す模式図である。
図2】実施形態1に係る液晶表示パネルを示す平面図である。
図3】実施形態1に係る光源部を示す模式図である。
図4】実施形態1に係る偏光切り替え部を示す断面図である。
図5】実施形態1に係る偏光二焦点レンズを示す断面図である、
図6】実施形態1に係る制御部を示すブロック図である。
図7】実施形態1に係る制御部のハードウェアの構成を示す図である。
図8】実施形態1に係る立体画像表示装置の動作のタイミングを示す図である。
図9】実施形態2に係る偏光切り替え部を示す断面図である。
図10】実施形態2に係る立体画像表示装置の動作のタイミングを示す図である。
図11】実施形態3に係る液晶表示パネルを示す平面図である。
図12】実施形態3に係る光源部を示す模式図である。
図13】実施形態3に係る偏光切り替え部を示す平面図である。
図14】実施形態3に係る立体画像表示装置の動作のタイミングを示す図である。
図15】実施形態4に係る立体画像表示装置を示す模式図である。
図16】実施形態4に係る液晶レンズを示す平面図である。
図17図16に示す液晶レンズをA-A線で矢視した断面図である。
図18】実施形態4に係る制御部を示すブロック図である。
図19】実施形態4に係る立体画像表示装置の動作のタイミングを示す図である。
図20】実施形態5に係る画素の書き込み電圧の極性を示す図である。
図21】実施形態5に係る画素回路を示す模式図である。
図22】実施形態5に係る画素に書き込む電圧の極性反転を示す図である。(a)~(d)はフレーム反転駆動を示し、(e)~(h)は画素反転駆動を示す。
図23】変形例に係る立体画像表示装置を示す模式図である。
図24】変形例に係る立体画像表示装置を示す模式図である。
図25】変形例に係る画素に印加される電圧の極性を示す図である。
図26】変形例に係る表示される画像の書き換え例を示す図である。
図27】他の変形例に係る画素に印加される電圧の極性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態に係る立体画像表示装置について、図面を参照して説明する。
【0011】
<実施形態1>
図1図8を参照して、本実施形態に係る立体画像表示装置10を説明する。立体画像表示装置10は、DFD(Depth Fused 3D)方式で立体画像を表示する表示装置である。立体画像表示装置10は、例えば、接眼レンズと組み合わされて、ヘッドマウントディスプレイとして用いられる。なお、本実施形態においては、モノクロ液晶パネルを用いた立体画像表示装置10を例に説明する。
【0012】
(全体構成)
まず、立体画像表示装置10の全体的な構成を説明する。立体画像表示装置10は、図1に示すように、表示ユニット20と、可変焦点レンズユニット40と、制御部80とを備える。
【0013】
表示ユニット20は、第1画像と第2画像とを時分割で順次に表示する。本実施形態では、表示ユニット20は、第1画像と第2画像の表示光L1を、偏光方向が所定の第1方向である偏光光として出射する。可変焦点レンズユニット40は、第1画像の表示光L1に対する焦点距離と前記第2画像の表示光L1に対する焦点距離を切り替えて、第1画像と第2画像のそれぞれを、第1表示面102と第2表示面104のそれぞれに虚像として結像させる。本実施形態では、可変焦点レンズユニット40は、偏光切り替え部50と偏光二焦点レンズ60とを有する。偏光切り替え部50は、表示ユニット20から出射された表示光L1の偏光方向を、所定の第1方向と所定の第2方向とに切り替て、出射する。偏光二焦点レンズ60は、偏光切り替え部50から出射された出射光に対する焦点距離が出射光の偏光方向によって異なるレンズである。制御部80は、表示ユニット20が表示光L1を出射する出射タイミングを制御する。また、制御部80は、表示ユニット20に第1画像を表示するための第1画像信号と第2画像を表示するための第2画像信号とを供給する。さらに、制御部80は、偏光切り替え部50の偏光方向の切り替えを制御する。
【0014】
本明細書では、理解を容易にするため、図1における立体画像表示装置10の左方向(紙面の左方向)を+Z方向、上方向(紙面の上方向)を+Y方向、+Y方向と+Z方向に垂直な方向(紙面の手前方向)を+X方向として説明する。また、第1画像を表示するための第1画像信号と第2画像を表示するための第2画像信号を総称して、画像信号とも記載する。
【0015】
立体画像表示装置10の表示ユニット20は、液晶表示パネル22と光源部32とを備える。表示ユニット20の液晶表示パネル22は、制御部80から供給される第1画像を表示するための第1画像信号と第2画像を表示するための第2画像信号に基づいて、光源部32から発せられた光を変調して、第1画像と第2画像とを時分割で順次に表示する。液晶表示パネル22は、画像(例えば、第1画像と第2画像)の表示光L1を偏光方向が所定の第1方向である偏光光として出射する。液晶表示パネル22から出射された表示光L1は、偏光切り替え部50に入射する。本実施形態では、所定の第1方向をX方向とする。
【0016】
第1画像と第2画像は、表示対象を、観察者から見て奥行き方向(+Z方向)の異なる位置に位置する第1表示面102と第2表示面104のそれぞれに、観察者の側から投影した二次元画像である。第1表示面102と第2表示面104については、後述する。
【0017】
液晶表示パネル22は、例えば、TFT(Thin Film Transistor)によりアクティブマトリクス駆動される透過型TN(Twisted Nematic)液晶パネルである。液晶表示パネル22は、図2に示すように、マトリクス状に配列された画素Pとゲートドライバ23Gとデータドライバ23Dとを有する。ゲートドライバ23Gは、画素Pを行ごとに順次選択して、-Y方向に線順次走査を行う。データドライバ23Dは、選択された画素Pのそれぞれに画像信号に応じた電圧を供給して、画素Pのそれぞれに画像信号を書き込む。なお、図2では、マトリクスに配列された画素Pのうちの一部のみを図示している。また、液晶表示パネル22は偏光板、液晶等を備えている。
【0018】
表示ユニット20の光源部32は、制御部80から供給され、画像信号に同期する光源駆動信号に基づいて、液晶表示パネル22に対して間欠的に光を発する。制御部80は、光源駆動信号を光源部32に供給して、光源部32が光を発する発光タイミングt30を制御することにより、表示ユニット20が表示光L1を出射する出射タイミングを制御する。光源駆動信号と光源部32が光を発する発光タイミングt30については、後述する。
【0019】
光源部32は、例えば、液晶表示パネル22の背面に設けられる直下型バックライトである。光源部(バックライト)32は、図3に示すように、筐体33と、複数のLED(Light emitting diode)素子34と、ドライバ回路36とを備える。また、光源部32は、図示しない、反射シート、拡散シート等を備えている。
【0020】
筐体33は、LED素子34、ドライバ回路36等を収容する。LED素子34は、白色光を出射する。LED素子34は、実装基板35に実装され、液晶表示パネル22の画素Pの行方向(+X方向)に直列に接続されている。実装基板35は、液晶表示パネル22の線順次走査方向(-Y方向)に沿って並び、ドライバ回路36に接続している。ドライバ回路36は、光源駆動信号に基づいてLED素子34に電流を供給して、LED素子34を発光させる。本実施形態では、ドライバ回路36は、光源駆動信号に基づいて、すべてのLED素子34を一度に発光させる。したがって、本実施形態の光源部32では、光源部32の全面が同じタイミングで光を発する。すなわち、表示光L1は、表示ユニット20の全面から同じタイミングで出射される。
【0021】
立体画像表示装置10の偏光切り替え部50は、制御部80から供給され、画像信号に同期する切り替え信号に基づいて、表示ユニット20から出射される表示光L1の偏光方向を、所定の第1方向(X方向)と所定の第2方向とに切り替える。本実施形態では、所定の第2方向をY方向とする。具体的には、第1画像が表示ユニット20の液晶表示パネル22に表示されている場合、偏光切り替え部50は、入射した表示光L1の偏光方向をX方向に維持して出射する。一方、第2画像が表示ユニット20の液晶表示パネル22に表示されている場合、偏光切り替え部50は、入射した表示光L1の偏光方向をY方向に切り替えて出射する。
【0022】
偏光切り替え部50は、例えば、ツイスト角が90°のTN液晶素子である。偏光切り替え部(TN液晶素子)50は、図4に示すように、液晶52と、液晶52に電圧を印加する電極53を有し液晶を挟持する2つの透光性基板54a、54bと、液晶52を配向する配向膜(図示せず)とを備える。透光性基板54aと透光性基板54bは、シール材56により貼り合わされる。偏光切り替え部50は、OFFレベルの切り替え信号が供給されると、表示光L1の偏光方向を90°回転させ、偏光方向がY方向の表示光L2を出射する。一方、ONレベルの切り替え信号が偏光切り替え部50に供給されると、液晶52が透光性基板54a、54bに対して垂直に配向し、偏光切り替え部50は表示光L1の偏光方向をX方向に維持して表示光L2を出射する。偏光切り替え部50から出射した表示光L2は、偏光二焦点レンズ60に入射する。切り替え信号については、後述する。
【0023】
立体画像表示装置10の偏光二焦点レンズ60は、偏光切り替え部50からの出射光、すなわち偏光切り替え部50から出射された表示光L2に対する焦点距離が表示光L2の偏光方向(X方向とY方向)によって異なるレンズである。偏光二焦点レンズ60は、第1画像と第2画像のそれぞれを、第1表示面102と第2表示面104のそれぞれに、観察者から見て虚像として結像させる。第1表示面102と第2表示面104は、観察者から見て奥行き方向(+Z方向)の異なる位置に位置する仮想の表示面である。本実施形態では、図1に示すように、第1表示面102と第2表示面104は、観察者から見て表示ユニット20よりも遠くに位置する。また、第2表示面104が、第1表示面102よりも観察者側(-Z側)に位置している。
【0024】
観察者は、時分割で順次に表示される、第1表示面102の第1画像の虚像と第2表示面104の第2画像の虚像とを見て、表示対象が第1表示面102と第2表示面104との間に位置すると認識する。観察者が認識する表示対象の位置は、第1画像と第2画像の明るさ(例えば、輝度)の比を調整することにより、変えることができる。例えば、第1画像と第2画像の明るさの比が1:1である場合、観察者は、表示対象が第1表示面102と第2表示面104の中間に位置すると認識する。
【0025】
偏光二焦点レンズ60は、例えば、液晶レンズである。偏光二焦点レンズ(液晶レンズ)60は、図5に示すように、第1透光性基板61と、第2透光性基板62と、液晶64とを備える。
【0026】
第1透光性基板61と第2透光性基板62は、例えば、ガラス基板である。第1透光性基板61は、樹脂製のフレネルレンズ66を、第2透光性基板62に対向する第1主面61aに有する。第1透光性基板61と第2透光性基板62は、シール材67により貼り合わされ、液晶64を挟持する。液晶64は、例えば、正の屈折率異方性(Δn=ne-no>0、ne:異常光線屈折率、no:常光線屈折率)を有するネマチック液晶である。液晶64は、図示しない配向膜によりX方向に配向されている。
【0027】
偏光方向がX方向である第1画像の表示光L2が、偏光二焦点レンズに入射すると、正の屈折率異方性を有するネマチック液晶がX方向に配向されているので、偏光二焦点レンズ60の表示光L2に対する焦点距離は短く、第1画像は第1表示面102に結像される。一方、偏光方向がY方向である第2画像の表示光L2が、偏光二焦点レンズに入射すると、偏光二焦点レンズ60の表示光L2に対する焦点距離は長く、第2画像は第2表示面104に結像される。
【0028】
立体画像表示装置10の制御部80は、図示しない外部装置から入力される入力信号に基づいて、表示ユニット20と偏光切り替え部50とを制御する。制御部80は、図6に示すように、表示駆動部82と、偏光切り替え駆動部84と、光源駆動部86とを有する。
【0029】
制御部80の表示駆動部82は、入力信号から、第1画像を表示するための第1画像信号と第2画像を表示するための第2画像信号とを生成する。また、表示駆動部82は、画像信号を液晶表示パネル22に供給する。さらに、表示駆動部82は、偏光切り替え駆動部84と光源駆動部86に、画像信号の供給開始(すなわち、画像信号の書き込みが開始される開始タイミング)に同期する同期信号を供給する。
【0030】
制御部80の偏光切り替え駆動部84は、表示駆動部82から供給された同期信号に基づいて、切り替え信号を生成する。また、偏光切り替え駆動部84は、生成した切り替え信号を偏光切り替え部50に供給する。本実施形態では、偏光切り替え駆動部84は、第1画像が液晶表示パネル22に表示される場合に、切り替え信号をONレベルにして偏光切り替え部50に供給する。
【0031】
制御部80の光源駆動部86は、表示駆動部82から供給された同期信号に基づいて、光源駆動信号を生成する。また、光源駆動部86は、生成した光源駆動信号を光源部32のドライバ回路36に供給する。本実施形態では、既に書き込まれている画像信号と異なる画像信号が書き込まれる場合に、光源駆動部86は、光源駆動信号を生成し光源駆動信号を光源部32に供給する。
【0032】
図7は、制御部80のハードウェアの構成を示す。制御部80は、CPU(Central Processing Unit)92と、ROM(Read Only Memory)94と、RAM(Random Access Memory)96と、入出力インタフェース98とを備える。CPU92とROM94とRAM96と入出力インタフェース98は、バス99によって接続される。CPU92は、各種の処理を実行する。ROM94は、プログラムとデータとを記憶している。RAM96は、データを記憶する。入出力インタフェース98は、CPU92と、液晶表示パネル22と光源部32と偏光切り替え部50と外部装置との信号を入出力する。制御部80の機能は、CPU92が、ROM94に記憶されたプログラムを実行することによって、実現される。
【0033】
次に、光源部32の発光タイミングt30について説明する。図8は、立体画像表示装置10の動作のタイミングを示す。図8において、1段目は液晶表示パネル22に入力される画像信号(第1画像信号と第2画像信号)を示す。また、図8の2段目は、液晶表示パネル22の線順次走査における1行目の画素Pの透過率を示し、図8の3段目は、液晶表示パネル22の線順次走査における最終行の画素Pの透過率を示す。図8の4段目は、切り替え信号のタイミングを示し、図8の5段目は、偏光切り替え部50から出射する表示光L2の偏光方向を示す。さらに、図8の6段目は、光源駆動信号のタイミングを示す。
【0034】
本実施形態では、表示駆動部82は240Hz周期(1フレームの期間:4.2ms)で画像信号を液晶表示パネル22に供給し、液晶表示パネル22は240Hz周期で線順次走査(すなわち、画素Pへの書き込み)を行う。また、図8の1段目に示すように、表示駆動部82は同一の画像信号を2回連続して液晶表示パネル22に供給して、液晶表示パネル22は第1画像と第2画像を順次に表示する。図8では、第1画像の書き込みがタイミングt11、t12から開始され、次に、第2画像の書き込みがタイミングt21、t22から開始される。
【0035】
したがって、図8の2段目と3段目に示すように、液晶表示パネル22の1行目の画素Pの透過率はタイミングt11とタイミングt21から変化していき、液晶表示パネル22の最終行の画素Pの透過率はタイミングt12とタイミングt22から変化していく。タイミングt11は1回目の第1画像の書き込みが開始される開始タイミングに、タイミングt12は2回目の第1画像の書き込みが開始される開始タイミングに相当する。また、タイミングt21は1回目の第2画像の書き込みが開始される開始タイミングに、タイミングt22は2回目の第2画像の書き込みが開始される開始タイミングに相当する。
【0036】
本実施形態では、図8の4段目に示すように、偏光切り替え駆動部84は、1回目の第1画像の書き込み開始のタイミングt11の0.2ms前のタイミングt25から1回目の第2画像の書き込み開始のタイミングt21の0.2ms前のタイミングt26までの期間、ONレベルの切り替え信号を偏光切り替え部50に供給する。これにより、図8の5段目に示すように、偏光切り替え部50から出射される表示光L2の偏光方向は、タイミングt25から、Y方向からX方向に切り替わっていく。また、偏光切り替え部50から出射される表示光L2の偏光方向は、タイミングt26から、X方向からY方向に切り替わっていく。
【0037】
光源駆動部86は、発光タイミングt30を、異なる画像の画像信号の書き込みが開始される開始タイミングに基づいて、設定する。本実施形態では、タイミングt11とタイミングt21が、異なる画像の画像信号の書き込みが開始される開始タイミングに相当する。以下では、異なる画像の画像信号の書き込みが開始される開始タイミングを、異画像の開始タイミングt11、t21と記載する。
【0038】
本実施形態では、光源駆動部86は、偏光切り替え部50の表示光L2の偏光方向の切り替えと、液晶表示パネル22の画素Pの第1画像信号に対する応答と第2画像信号に対する応答のうちの、異画像の開始タイミングt11、t21から最も遅く終了する時間が異画像の開始タイミングt11、t21から経過したタイミングに、発光タイミングt30を設定する。偏光切り替え部50の表示光L2の偏光方向の切り替えは、可変焦点レンズユニット40の第1画像の表示光L2に対する焦点距離と第2画像の表示光L2に対する焦点距離の切り替えに相当する。
【0039】
具体的には、異画像の開始タイミングt11、t21から偏光切り替え部50の表示光L2の偏光方向の切り替えが終了する時間をそれぞれTd1、Td2と、異画像の開始タイミングt11から液晶表示パネル22の画素Pの第1画像信号に対する応答が終了するまでの時間をTp1と、異画像の開始タイミングt21から液晶表示パネル22の画素Pの第2画像信号に対する応答が終了するまでの時間をTp2とすると、図8に示すように、時間Td2が最も長い。したがって、光源駆動部86は、図8の6段目に示すように、発光タイミングt30を、異画像の開始タイミングt11、t21から時間Td2が経過したタイミングに設定する。これにより、液晶表示パネル22の最終行の画素Pの応答が終了し、次に、表示光L2の偏光方向が切り替わった後に、光源部32が光を発する。したがって、第1画像信号により表示される第1画像と第2画像信号により表示される第2画像の混在を防ぐことができる。なお、本実施形態と以下の実施形態では、終了するまでの時間とは、画素Pの透過率又は輝度、あるいは表示光L2が、目的とする値の99%に達するまでの時間を指す。例えば、透過率100%の画像(白)から透過率0%の画像(黒)を表示する場合、終了するまでの時間は、透過率1%に達するまでの時間を意味する。
【0040】
また、光源駆動部86は、光源部32の発光期間Teを偏光切り替え部50における偏光方向の切り替えが開始される前までに設定する。本実施形態では、光源駆動部86は、発光期間Teを、偏光切り替え部50の偏光方向の切り替えが開始される0.2ms前までに設定している。以上により、光源部32は、発光タイミングt30から次の異画像の開始タイミングt11、t21の0.4ms前まで、すべてのLED素子34を一度に発光させる。
【0041】
以上のように、本実施形態では、光源部32の発光タイミングt30が、液晶表示パネル22の画素Pへの異なる画像を表示する画像信号の書き込みが開始される開始タイミング(異画像の開始タイミング)t11、t21に基づいて、設定される。具体的には、光源部32の発光タイミングは、異画像の開始タイミングt11、t21から、異画像の開始タイミングt11、t21から最も遅く終了する時間Td2が経過したタイミングに設定される。これにより、液晶表示パネル22の最終行の画素Pの応答が終了し、次に、表示光L2の偏光方向が切り替わった後に、光源部32が光を発する。したがって、第1画像と第2画像の混在を防ぎ、第1画像と第2画像のクロストークを抑制できる。
【0042】
<実施形態2>
実施形態1では、異画像の開始タイミングt21から表示光L2の偏光方向の切り替えが終了する時間Td2が最も長い。本実施形態では、異画像の開始タイミングt21から液晶表示パネル22の画素Pの第2画像信号に対する応答が終了するまでの時間Tp2が最も長い場合について、説明する。
【0043】
本実施形態では、偏光切り替え部50に、実施形態1のTN液晶素子に代えて、PLZT(Lead Lanthanum Zirconate Titanate)素子を用いる。また、立体画像表示装置10の動作のタイミングが実施形態1と異なる。立体画像表示装置10のその他の構成は、実施形態1と同様である。
【0044】
本実施形態の偏光切り替え部(PLZT素子)50は、図9に示すように、2つの透光性基板511、512と、2つの電極513、514と、PLZT516とを備える。透光性基板511と透光性基板512はPLZT516を挟持し、電極513と電極514はPLZT516に電圧を印加する。PLZT516は透光性を有する強誘電体セラミックスである。PLZT素子は、一般に、TN液晶素子よりも高速に表示光L1の偏光方向をX方向とY方向に切り替えることができる(PLZT素子の応答時間:数μm~数百μm)。
【0045】
本実施形態の光源部32の発光タイミングt30について説明する。ここでは、主に、実施形態1のタイミングと異なる点について、説明する。
【0046】
図10は、本実施形態の立体画像表示装置10の動作のタイミングを示す。本実施形態では、偏光切り替え駆動部84は、図10の4段目に示すように、1回目の第1画像の書き込み開始のタイミング(異画像の開始タイミング)t11と1回目の第2画像の書き込み開始のタイミング(異画像の開始タイミング)t21までの期間、ONレベルの切り替え信号を偏光切り替え部50に供給する。これにより、図10の5段目に示すように、偏光切り替え部50から出射される表示光L2の偏光方向は、異画像の開始タイミングt11から、Y方向からX方向に切り替わっていく。また、偏光切り替え部50から出射される表示光L2の偏光方向は、異画像の開始タイミングt21から、X方向からY方向に切り替わっていく。本実施形態では、偏光切り替え部50にPLZT素子を用いているので、図10の5段目に示すように、異画像の開始タイミングt11、t21から表示光L2の偏光方向の切り替えが終了するまでの時間Td1、Td2を短くできる。
【0047】
本実施形態では、図10に示すように、異画像の開始タイミングt11、t21から偏光切り替え部50の表示光L2の偏光方向の切り替えが終了するまでの時間Td1、Td2と、異画像の開始タイミングt11から液晶表示パネル22の画素Pの第1画像信号に対する応答が終了するまでの時間Tp1と、異画像の開始タイミングt21から液晶表示パネル22の画素Pの第2画像信号に対する応答が終了するまでの時間Tp2のうち、時間Tp2が最も長い。したがって、光源駆動部86は、図10の6段目に示すように、発光タイミングt30を、異画像の開始タイミングt11、t21から時間Tp2が経過したタイミングに設定する。また、光源駆動部86は、発光期間Teを異画像の開始タイミングt11、t21の前までに設定する。本実施形態では、光源駆動部86は、発光期間Teを、異画像の開始タイミングt11、t21の0.2ms前までに設定している。
【0048】
本実施形態では、発光タイミングt30を、異画像の開始タイミングt11、t21から時間Tp2が経過したタイミングに設定することにより、表示光L2の偏光方向が切り替わり、次に液晶表示パネル22の最終行の画素Pの応答が終了した後に、光源部32が光を発する。したがって、第1画像と第2画像の混在を防ぎ、第1画像と第2画像のクロストークを抑制できる。
【0049】
<実施形態3>
実施形態1と実施形態2では、表示光L1は表示ユニット20の全面から同じタイミングで出射される。本実施形態では、立体画像表示装置10の表示ユニット20は、複数の出射領域ごとに表示光L1を順次に出射する。本実施形態では、表示ユニット20が4つの出射領域に区分されている場合について、説明する。
【0050】
本実施形態の立体画像表示装置10は、実施形態1の立体画像表示装置10と同様に、表示ユニット20と、偏光切り替え部50と、偏光二焦点レンズ60と、制御部80とを備える。本実施形態の偏光二焦点レンズ60の構成は実施形態1の偏光二焦点レンズ60と同様であるので、表示ユニット20と偏光切り替え部50と制御部80について説明する。
【0051】
本実施形態の表示ユニット20は、実施形態1の表示ユニット20と同様に、液晶表示パネル22と光源部32とを備える。本実施形態の液晶表示パネル22は、図11に示すように、線順次走査方向に4つの第1表示領域211~第4表示領域214に区分される。第1表示領域211~第4表示領域214のそれぞれは、後述する、光源部32の4つの第1出射領域311~第4出射領域314のそれぞれに対応している。本実施形態の液晶表示パネル22のその他の構成は、実施形態1の液晶表示パネル22と同様である。
【0052】
本実施形態の光源部32は、実施形態1の光源部32と同様に、筐体33と、複数のLED素子34と、ドライバ回路36とを備える。また、光源部32は、図示しない、反射シート、拡散シート等を備えている。本実施形態の光源部32は、図12に示すように、液晶表示パネル22の線順次走査方向に4つの第1出射領域311~第4出射領域314に区分される。本実施形態のドライバ回路36は、制御部80の光源駆動部86から供給される光源駆動信号に基づいて、第1出射領域311~第4出射領域314ごとにLED素子34を発光させる。本実施形態では、第1出射領域311~第4出射領域314のそれぞれは液晶表示パネル22の第1表示領域211~第4表示領域214のそれぞれに対応しているので、表示ユニット20は第1出射領域311~第4出射領域314ごとに表示光L1を出射する。第1出射領域311~第4出射領域314は、表示ユニット20の出射領域に相当する。
【0053】
本実施形態の偏光切り替え部50は、実施形態1の偏光切り替え部50と同様に、TN液晶素子である。本実施形態の偏光切り替え部50は、図13に示すように、光源部32の第1出射領域311~第4出射領域314のそれぞれに対応した4つの第1切り替え領域521~第4切り替え領域524に区分されている。第1切り替え領域521~第4切り替え領域524は、制御部80の偏光切り替え駆動部84から供給される切り替え信号に基づいて、独立に、表示光L1の偏光方向をX方向とY方向に切り替える。なお、本実施形態では、第1切り替え領域521~第4切り替え領域524に独立に切り替え信号を供給するために、偏光切り替え部50の電極53は、線順次走査方向に4つに分割されている。
【0054】
本実施形態の制御部80は、実施形態1の制御部80と同様に、表示駆動部82と偏光切り替え駆動部84と光源駆動部86とを有する。また、本実施形態の制御部80のハードウェアの構成も、実施形態1と同様である。
【0055】
本実施形態の表示駆動部82は、実施形態1の表示駆動部82と同様に、入力信号から画像信号を生成し、生成した画像信号を液晶表示パネル22に供給する。さらに、表示駆動部82は、第1表示領域211~第4表示領域214のそれぞれへの画像信号の供給ごとに、画像信号の供給開始(画像信号の書き込みが開始される開始タイミング)に同期する同期信号を、偏光切り替え駆動部84と光源駆動部86に供給する。
【0056】
本実施形態の偏光切り替え駆動部84は、実施形態1の偏光切り替え駆動部84と同様に、表示駆動部82から供給された同期信号に基づいて切り替え信号を生成し、生成した切り替え信号を偏光切り替え部50に供給する。本実施形態の偏光切り替え駆動部84は、偏光切り替え部50の第1切り替え領域521~第4切り替え領域524のそれぞれに、独立に、切り替え信号を供給する。
【0057】
本実施形態の光源駆動部86は、実施形態1の光源駆動部86と同様に、表示駆動部82から供給された同期信号に基づいて光源駆動信号を生成し、生成した光源駆動信号を光源部32のドライバ回路36に供給する。本実施形態の光源駆動部86は、液晶表示パネル22の第1表示領域211~第4表示領域214のそれぞれに異なる画像が表示されるごとに、光源駆動信号をドライバ回路36に供給する。これにより、ドライバ回路36は、第1出射領域311~第4出射領域314ごとに、発光タイミングt300で順次にLED素子34から光を出射させる。
【0058】
次に、本実施形態の光源部32の発光タイミングt300について説明する。図14は、立体画像表示装置10の動作のタイミングを示す。図14において、1段目は液晶表示パネル22に入力される画像信号(第1画像信号と第2画像信号)を示す。また、図14の2段目~5段目は、それぞれ、液晶表示パネル22の第1表示領域211~第4表示領域214の最終行の画素Pの透過率を示す。図14の6段目~9段目は、それぞれ、偏光切り替え部50の第1切り替え領域521~第4切り替え領域524における切り替え信号のタイミングと出射する表示光L2の偏光方向とを示す。図14の10段目~13段目は、それぞれ、光源部32の第1出射領域311~第4出射領域314の光源駆動信号のタイミングを示す。
【0059】
本実施形態では、表示駆動部82は120Hz周期(1フレームの期間:8.3ms)で画像信号を液晶表示パネル22に供給し、液晶表示パネル22は120Hz周期で線順次走査(画素Pへの書き込み)を行う。図14では、第1表示領域211への第1画像の書き込みがタイミングt111から、第1表示領域211への第2画像の書き込みがタイミングt211から開始される。第2表示領域212への第1画像の書き込みがタイミングt112から、第2表示領域212への第2画像の書き込みがタイミングt212から開始される。また、第3表示領域213への第1画像の書き込みがタイミングt113から、第3表示領域213への第2画像の書き込みがタイミングt213から開始される。さらに、第4表示領域214への第1画像の書き込みがタイミングt114から、第4表示領域214への第2画像の書き込みがタイミングt214から開始される。
ここでは、理解を容易にするために、第1表示領域211と第1切り替え領域521と第1出射領域311とを例に、発光タイミングt300を説明する。
【0060】
第1表示領域211では、第1画像がタイミングt111からタイミングt112までの期間で書き込まれ、第2画像がタイミングt211からタイミングt212までの期間で書き込まれる。したがって、図14の2段目に示すように、第1表示領域211の最終行の画素Pの透過率は、タイミングt112とタイミングt212から変化していく。また、タイミングt111とタイミングt211は、第1表示領域211における、異なる画像を表示する画像信号の書き込みが開始される開始タイミング(異画像の開始タイミング)に相当する。以下では、タイミングt111とタイミングt211を、それぞれ、異画像の開始タイミングt111と異画像の開始タイミングt211、と記載する。
【0061】
本実施形態の偏光切り替え駆動部84は、図14の6段目に示すように、異画像の開始タイミングt111から異画像の開始タイミングt211までの期間、ONレベルの切り替え信号を偏光切り替え部50に供給する。第1切り替え領域521から出射される表示光L2の偏光方向は、異画像の開始タイミングt111から、X方向からY方向に切り替わっていく。また、第1切り替え領域521から出射される表示光L2の偏光方向は、異画像の開始タイミングt211から、Y方向からX方向に切り替わっていく。
【0062】
本実施形態の光源駆動部86は、第1出射領域311の発光タイミングt300を、異画像の開始タイミングt111、t211から、第1切り替え領域521の表示光L2の偏光方向の切り替えと、第1表示領域211の画素Pの第1画像信号に対する応答と第2画像信号に対する応答のうちの、異画像の開始タイミングt111、t211から最も遅く終了する時間が経過したタイミングに設定する。本実施形態では、図14に示すように、異画像の開始タイミングt211から第1切り替え領域521の表示光L2の偏光方向の切り替えが終了する時間Td2が、最も長い。したがって、本実施形態の光源駆動部86は、図14の10段目に示すように、第1出射領域311の発光タイミングt300を、異画像の開始タイミングt111、t211から時間Td2が経過したタイミングに設定する。これにより、第1表示領域211の最終行の画素Pの応答が終了し、次に、第1切り替え領域521の表示光L2の偏光方向が切り替わった後に、光が光源部32の第1出射領域311から発せられる。したがって、第1画像信号により表示される第1画像と第2画像信号により表示される第2画像の混在を防ぐことができる。なお、本実施形態においても、偏光切り替え部50による表示光L1の偏光方向の切り替えが、可変焦点レンズユニット40の第1画像の表示光L1に対する焦点距離と第2画像の表示光L1に対する焦点距離の切り替えに相当する。
【0063】
また、本実施形態の光源駆動部86は、第1出射領域311の発光期間Teを、発光タイミングt300から次の異画像の開始タイミングt111、t211までに設定する。以上により、光源部32の第1出射領域311では、発光タイミングt300から異画像の開始タイミングt111、t211までの期間、光が発せられる。
【0064】
第2表示領域212と第2切り替え領域522と第2出射領域312と、第3表示領域213と第3切り替え領域523と第3出射領域313と、第4表示領域214と第4切り替え領域524と第4出射領域314においても、第1表示領域211と第1切り替え領域521と第1出射領域311と同様に、発光タイミングt300と発光期間Teが設定される。
【0065】
以上のように、本実施形態では、光源部32の第1出射領域311~第4出射領域314の発光タイミングt300が、それぞれの異画像の開始タイミングt111~t214に基づいて、設定される。具体的には、発光タイミングt300は、異画像の開始タイミングt111~t214から、異画像の開始タイミングt211~t214から終了するまでの時間が最も長い時間Td2が経過するタイミングに設定される。これにより、第1画像と第2画像の混在を防ぎ、第1画像と第2画像のクロストークを抑制できる。
【0066】
<実施形態4>
実施形態1~実施形態3では、可変焦点レンズユニット40は、偏光切り替え部50と偏光二焦点レンズ60とを備えるが、可変焦点レンズユニット40は液晶レンズ600であってもよい。
【0067】
本実施形態の立体画像表示装置10は、実施形態1の立体画像表示装置10と同様に、表示ユニット20と可変焦点レンズユニット40と制御部80とを備える。本実施形態の立体画像表示装置10の表示ユニット20の構成は、実施形態1の表示ユニット20と同様である。ここでは、可変焦点レンズユニット40と制御部80と発光タイミングt30について、説明する。
【0068】
本実施形態の可変焦点レンズユニット40は、図15に示すように、液晶レンズ600である。液晶レンズ600は、印加される電圧により、所定の第1方向(X方向)の偏光方向を有する偏光光、すなわち表示ユニット20から出射された表示光L1に対する焦点距離を変える。具体的には、液晶レンズ600は、制御部80から供給され、画像信号に同期する切り替え信号に基づいて、表示ユニット20から出射された表示光L1に対する焦点距離を変える。液晶レンズ600は、表示ユニット20から出射された表示光L1に対する焦点距離を切り替えて、表示ユニット20に第1画像が表示されている場合に第1画像を第1表示面102に結像し、表示ユニット20に第2画像が表示されている場合に第2画像を第2表示面104に結像する。液晶レンズ600は、図16図17に示すように、第3透光性基板610と第4透光性基板620と液晶630とを有する。
【0069】
第3透光性基板610は、例えば、平板状のガラス基板である。第3透光性基板610と第4透光性基板620は、シール材615により貼り合わされ、液晶630を挟持する。第3透光性基板610は第1電極612と配向膜(図示せず)とを有する。
【0070】
第3透光性基板610の第1電極612は、第3透光性基板610の第1主面610aに矩形状に形成される。第1電極612は、後述する、第4透光性基板620の第2電極622に対向する。第1電極612は制御部80に接続している。
【0071】
第3透光性基板610の配向膜は第1電極612の上に設けられる。配向膜は液晶630をX方向に配向させる。配向膜は、例えば、ラビング処理を施されたポリイミド配向膜である。
【0072】
第4透光性基板620は、第3透光性基板610と同様に、平板状のガラス基板である。第4透光性基板620と第3透光性基板610は、シール材615により貼り合わされ、液晶630を挟持する。第4透光性基板620は、2つの第2電極622と配向膜(図示せず)とを有する。
【0073】
第4透光性基板620の第2電極622は、それぞれ、第4透光性基板620の第1主面620aの+X側の端部と-X側の端部に配置される。第2電極622のそれぞれは、Y方向に延在し、制御部80に接続している。
【0074】
第4透光性基板620の配向膜は、第1主面620aと第2電極622の上に設けられる。配向膜は、第3透光性基板610の配向膜と同様に、液晶630をX方向に配向させる。
【0075】
液晶630は、正の誘電率異方性と正の屈折率異方性を有するネマチック液晶である。液晶630は、電圧が印加されていない状態でX方向に配向している。
【0076】
液晶レンズ600では、第1電極612と第2電極622との間に電圧を印加することにより、XZ断面で見て、二次曲線形状の電位が2つの第2電極622の間に形成される。液晶630は、形成された二次曲線形状の電位に沿って配向する。液晶レンズ600は、二次曲線形状の電位に沿った液晶630の配向により、表示ユニット20から出射された表示光L1に対してレンズとして作用する。液晶レンズ600の焦点距離は、印加される電圧の値に依存する。
【0077】
本実施形態では、第1電極612と第2電極622との間に所定の第1電圧が印加された場合に、液晶レンズ600は、表示光L1に対する焦点距離が第1焦点距離に切り替わることにより、第1画像の表示光L1を第1表示面102に結像する。また、第1電極612と第2電極622との間に所定の第2電圧(第1電圧>第2電圧)が印加された場合に、液晶レンズ600は、表示光L1に対する焦点距離が第2焦点距離に切り替わることにより、第2画像の表示光L1を第2表示面104に結像する。
【0078】
本実施形態の制御部80は、図示しない外部装置から入力される入力信号に基づいて、表示ユニット20と液晶レンズ600とを制御する。制御部80は、図18に示すように、表示駆動部82と、焦点切り替え駆動部814と、光源駆動部86とを有する。本実施形態の表示駆動部82と光源駆動部86の構成は実施形態1と同様であるので、焦点切り替え駆動部814について説明する。
【0079】
焦点切り替え駆動部814は、表示駆動部82から供給された同期信号に基づいて、第1焦点切り替え信号と第2焦点切り替え信号の2種類の焦点切り替え信号を生成する。また、偏光切り替え駆動部84は、焦点切り替え信号を液晶レンズ600に供給する。本実施形態では、焦点切り替え駆動部814は、第1画像が液晶表示パネル22に表示される場合に、第1焦点切り替え信号(第1電圧)を生成し、第1焦点切り替え信号を液晶レンズ600に供給する。また、焦点切り替え駆動部814は、第2画像が液晶表示パネル22に表示される場合に、第2焦点切り替え信号(第2電圧)を生成し、第2焦点切り替え信号を液晶レンズ600に供給する。
【0080】
次に、本実施形態の光源部32の発光タイミングt30について説明する。ここでは、主に、実施形態1のタイミングと異なる点について、説明する。
【0081】
図19は、本実施形態の立体画像表示装置10の動作のタイミングを示す。本実施形態では、焦点切り替え駆動部814は、図19の4段目に示すように、1回目の第1画像の書き込み開始のタイミングt11の0.2ms前のタイミングt25から1回目の第2画像の書き込み開始のタイミングt21の0.2ms前のタイミングt26までの期間、第1焦点切り替え信号(第1電圧)を液晶レンズ600に供給する。また、焦点切り替え駆動部814は、タイミングt26からタイミングt25までの期間、第2焦点切り替え信号(第2電圧)を液晶レンズ600に供給する。これらにより、図19の5段目に示すように、液晶レンズ600の焦点距離は、タイミングt25から、第2焦点距離から第1焦点距離へ切り替わっていく。また、液晶レンズ600の焦点距離は、タイミングt26から、第1焦点距離から第2焦点距離へ切り替わっていく。
【0082】
本実施形態では、図19に示すように、異画像の開始タイミングt11、t21から液晶レンズ600の焦点距離の切り替えが終了するまでの時間Td1、Td2と、異画像の開始タイミングt11から液晶表示パネル22の画素Pの第1画像信号に対する応答が終了するまでの時間をTp1と、異画像の開始タイミングt21から液晶表示パネル22の画素Pの第2画像信号に対する応答が終了するまでの時間をTp2のうち、時間Td2が最も長い。したがって、光源駆動部86は、図10の6段目に示すように、発光タイミングt30を、異画像の開始タイミングt11、t21から時間Td2が経過したタイミングに設定する。なお、液晶レンズ600の焦点距離の切り替えは、可変焦点レンズユニット40の第1画像の表示光L1に対する焦点距離と第2画像の表示光L1に対する焦点距離の切り替えに相当する。
【0083】
本実施形態では、発光タイミングt30を、異画像の開始タイミングt11、t21から時間Td2が経過したタイミングに設定することにより、液晶レンズ600の表示光L1に対する焦点距離(結像位置)が切り替わり、次に液晶表示パネル22の最終行の画素Pの応答が終了した後に、光源部32が光を発する。したがって、第1画像と第2画像の混在を防ぎ、第1画像と第2画像のクロストークを抑制できる。また、本実施形態では、可変焦点レンズユニット40に液晶レンズ600を用いることにより、実施形態1~実施形態の偏光切り替え部50を別途設ける必要がない。
【0084】
<実施形態5>
実施形態1、2、4では、表示駆動部82は同一の画像信号を2回連続して液晶表示パネル22に供給している。すなわち、表示駆動部82は、液晶表示パネル22の画素Pに同一の画像信号を連続して書き込んでいる。この場合、画素Pのそれぞれに書き込まれる電圧の極性は、図20に示すように、書き込みごとに反転していることが好ましい。これにより、液晶表示パネル22の表示の焼き付きを抑制できる。
【0085】
具体的には、表示駆動部82は、図21に示す画素回路において、液晶表示パネル22の共通電極の電位Vcomと液晶表示パネル22のTFT側の電位Vpiとの大小関係を書き込みごとに逆転させる。これにより、図20に示すように、液晶表示パネル22の画素Pに書き込まれる電圧の極性を書き込みごとに反転できる。
【0086】
図22は、図20において第1画像と第2画像を表示する際の、画素Pに書き込まれる電圧の極性の変化の例を示している。ここで、第1画像は数字の「1」を表示し、第2画像は数字の「2」を表示する。図22(a)~図22(d)は、すべての画素が同じ極性で反転するフレーム反転駆動を示している。また、図22(e)~図22(h)は、隣接する画素間で極性が異なる画素反転駆動を示している。
【0087】
図20においてt11から始まる第1のフレームでは、図22(a)に示すように、各画素Pに第1画像を表示するための電圧が+極性で書き込まれる。その後、t12から始まる第2のフレームでは、図22(b)に示すように、各画素Pに第1画像を表示するための電圧が-極性で書き込まれる。次に、t21から始まる第3のフレームでは、図22(c)に示すように、各画素Pに第2画像を表示するための電圧が+極性で書き込まれる。次に、t22から始まる第4のフレームでは、図22(d)に示すように、各画素Pに第2画素を表示するための電圧が-極性で書き込まれる。このように、書き込みごとにフレーム反転を行う。
【0088】
別の反転駆動として、図20においてt11から始まる第1のフレームでは、図22(e)に示すように、第1画像を表示するための電圧が隣接する画素Pごとに異なる極性で書き込まれる。その後、t12から始まる第2のフレームでは、図22(f)に示すように、第1画像を表示するための電圧が画素ごとに極性を反転して書き込まれる。次に、t21から始まる第3のフレームでは、図22(g)に示すように、第2画像を表示するための電圧が第2のフレームから画素ごとに極性を反転して書き込まれる。次に、t22から始まる第4のフレームでは、図22(h)に示すように、第2画素を表示するための電圧が第3のフレームから画素ごとに極性を反転して書き込まれる。このように、書き込みごとに画素反転を行う。
【0089】
上記のフレーム反転と画素反転以外にも、例えば、行ごとに極性を反転する走査線反転、列ごとに極性を反転する信号線反転等を適用できる。
【0090】
<変形例>
以上、実施形態を説明したが、本開示は、要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0091】
実施形態1~実施形態4の表示ユニット20は、液晶表示パネル22と光源部32とを有するが、表示ユニット20の構成はこれらに限られない。例えば、立体画像表示装置10は、図23に示すように、液晶表示パネル22と光源部32とを有する表示ユニット20の代わりに、自発光型表示パネル712とシャッタ部714とを有する表示ユニット20Aを備えてもよい。自発光型表示パネル712は、例えば、TFTによりアクティブマトリクス駆動される有機EL(Electro Luminescence)表示パネルである。シャッタ部714は、自発光型表示パネル712から出射された光を、間欠的に遮蔽する。シャッタ部714は、例えば、TNモードで動作する液晶シャッタである。この場合、制御部80は、光源駆動信号の代わりに遮蔽信号をシャッタ部714に供給する。シャッタ部714は、遮蔽信号の遮蔽する遮蔽タイミングと遮蔽する期間に基づいて、自発光型表示パネル712から出射された光を、遮蔽する。すなわち、制御部80は、シャッタ部714が自発光型表示パネル712から出射された光を遮蔽する遮蔽タイミングを制御することにより、表示ユニット20が表示光L1を出射する出射タイミングを制御する。
【0092】
また、立体画像表示装置10は、図24に示すように、液晶表示パネル22と光源部32とを有する表示ユニット20の代わりに、自発光型表示パネル716と偏光板718とを有する表示ユニット20Bを備えてもよい。自発光型表示パネル716は、公知の技術により、実施形態1~実施形態3の光源部32の発光タイミングt30、t300と同様なタイミングで発光する。偏光板718は、自発光型表示パネル716から出射された光を、偏光方向が所定の第1方向である表示光L1として出射する。
【0093】
実施形態1では、表示ユニット20の光源部32は直下型バックライトであるが、光源部32は直下型バックライトに限られない。表示ユニット20の光源部32は、例えば、サイドエッジ型バックライトであってもよい。
【0094】
また、偏光切り替え部50は、TN液晶素子とPLZT素子に限られない。偏光切り替え部50は、例えば、ファラデー効果を利用した素子であってもよい。
【0095】
さらに、可変焦点レンズユニット40は、偏光切り替え部50と偏光二焦点レンズ60と、液晶レンズ600とに限られない。例えば、可変焦点レンズユニット40は、焦点距離が印加される電圧により変化する液体レンズであってもよい。液体レンズとして、例えば、エレクトロウェッティングを利用した液体レンズを用いることができる。エレクトロウェッティングを利用した液体レンズは、絶縁性と疎水性とを有する層で覆われた導電性基板と、導電性基板に沈着した絶縁性の液滴と、絶縁性の液滴に電圧を印加する導電性の液体とを有する。エレクトロウェッティングを利用した液体レンズでは、導電性基板と導電性の液体とによって絶縁性の液滴に電圧を印加することにより、絶縁性の液滴の形状が変化する。これにより、エレクトロウェッティングを利用した液体レンズの焦点距離が変化する。また、液体レンズの他の例として、高屈折液体(屈折率:1.4~1.7)と高屈折液体を挟むPDMS(ポリジメチルシロキサン)膜とを有し、PDMS膜の形状変化により焦点距離が変わる、液体レンズも挙げられる。
【0096】
実施形態1では、偏光切り替え駆動部84は、異画像の開始タイミングt11の0.2ms前のタイミングt25から異画像の開始タイミングt21の0.2ms前のタイミングt26までの期間、ONレベルの切り替え信号を偏光切り替え部50に供給している。タイミングt25、t26は、異画像の開始タイミングt11、t21の0.2ms前に限定されない。また、光源駆動部86は、発光期間Teを、発光タイミングt30からタイミングt25、t26の0.2ms前までの期間に設定しているが、発光期間Teはタイミングt25、t26の0.2ms前までに限られない。また、実施形態4においても、タイミングt25、t26は、異画像の開始タイミングt11、t21の0.2ms前に限定されない。
【0097】
実施形態3では、液晶表示パネル22と光源部32と偏光切り替え部50のそれぞれを4つの領域に区分しているが、区分される領域は4つに限られない。
【0098】
実施形態3では、偏光切り替え部50と偏光二焦点レンズ60の代わりに、液晶レンズ600を備えてもよい。この場合、液晶レンズ600は、光源部32の第1出射領域311~第4出射領域314のそれぞれに対応した4つの可変領域に区分される。可変領域のそれぞれは、焦点切り替え駆動部814から供給される切り替え信号に基づいて、独立に、表示光L1に対する焦点距離を切り替える。なお、可変領域のそれぞれに独立に切り替え信号を供給するために、第1電極612と第2電極622は線順次走査方向に分割されている。
【0099】
実施形態1~実施形態4では、終了するまでの時間を、画素Pの透過率又は輝度、あるいは、表示光L1が目的とする値の99%に達するまでの時間としている。終了するまでの時間は、透過率、輝度、偏光方向等の変化量が十分に小さくなるまでの時間であればよい。例えば、実施形態2の偏光切り替え部50のように、偏光方向が急峻に変化する場合には、終了するまでの時間を、90%に達するまでの時間としてもよい。
【0100】
実施形態5では、同一の画像の画像信号が液晶表示パネル22の画素Pに2回連続して書き込まれ、液晶表示パネル22の画素Pに書き込まれる電圧の極性は、1回目の書き込みと2回目の書き込みで反転している。図25に示すように、第1画像と第2画像が1回ごとに書き込まれる場合であっても、以下のように対応できる。具体的には、表示駆動部82は、連続する第1画像と第2画像の表示において液晶表示パネル22の画素Pに書き込まれる電圧の極性を同一にし、かつ次の第1画像と第2画像の表示の際に、液晶表示パネル22の画素Pに書き込まれる電圧の極性を反転させて対応してもよい。
【0101】
図26は、図25における画像の書き換えの例を示している。ここで、表示される画像は、画素Pがゲートドライバ23Gに行ごとに線順次で選択されて画像信号に応じて書き換えが行われている。すなわち、図25に示すt11において第1画像の画像信号が書き込まれると、図26において円で示す第2画像から第1画像へと線順次に書き換えが行われ、t12の時点で、図26において白抜きの四角で示す第1画像に表示が切り替わる。図26は期間t11からt12について示しているが、t21からt22についても、書き換えられる画像が異なるだけで、同様の動作を行う。
なお、図25では、同一の画像が2フレームに渡って表示されているが、同一の画像は少なくとも1フレーム分書き込まれればよい。
【0102】
図27は、画素に印加される電圧の極性に係る他の例を示している。図27では、1フレーム期間t11-t21を、画像信号による書き込み期間t11-t1bと1フレーム期間内で画像信号がないブランキング期間t1b-t21により構成している。また、次の1フレーム期間t21-t11を、画像信号による書き込み期間t21-t2bとブランキング期間t2b-t11により構成している。この場合でも、図25と同様の極性で画素Pに電圧を印加できる。また、図25図27に示す例においても、図22に示すフレーム反転と画素反転、走査線反転、信号線反転等の反転駆動を適用できる。
【0103】
立体画像表示装置10がヘッドマウントディスプレイに利用される場合、立体画像表示装置10は、右眼用の可変焦点レンズユニット40と左眼用の可変焦点レンズユニット40とを備えてもよい。また、ヘッドマウントディスプレイは、右眼用の立体画像表示装置10と左眼用の立体画像表示装置10とを備えてもよい。
【0104】
各実施形態では、モノクロ液晶パネルを用いた立体画像表示装置10を例に説明したが、モノクロ液晶パネルに代えて、カラー液晶パネルを用いてもよい。この場合、画素PはR(赤色)、G(緑色)、B(青色)等に色分けされたサブ画素とすることができる。
【0105】
以上、好ましい実施形態について説明したが、本開示は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、本開示には、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲が含まれる。
【符号の説明】
【0106】
10 立体画像表示装置、20,20A,20B 表示ユニット、22 液晶表示パネル、23D データドライバ、23G ゲートドライバ、32 光源部、33 筐体、34 LED素子、35 実装基板、36 ドライバ回路、40 可変焦点レンズユニット、50 偏光切り替え部、52 液晶、53,513,514 電極、54a,54b,511,512 透光性基板、56 シール材、60 偏光二焦点レンズ、61 第1透光性基板、61a 第1透光性基板の第1主面、62 第2透光性基板、64 液晶、66 フレネルレンズ、67 シール材、80 制御部、82 表示駆動部、84 偏光切り替え駆動部、86 光源駆動部、92 CPU、94 ROM、96 RAM、98 入出力インタフェース、99 バス、102 第1表示面、104 第2表示面、211 第1表示領域、212 第2表示領域、213 第3表示領域、214 第4表示領域、311 第1出射領域、312 第2出射領域、313 第3出射領域、314 第4出射領域、416 PLZT、521 第1切り替え領域、522 第2切り替え領域、523 第3切り替え領域、524 第4切り替え領域、600 液晶レンズ、610 第3透光性基板、610a 第3透光性基板の第1主面、612 第1電極、615 シール材、620 第4透光性基板、620a 第4透光性基板の第1主面、622 第2電極、630 液晶、712,716 自発光型表示パネル、714 シャッタ部、718 偏光板、814 焦点切り替え駆動部、L1,L2 表示光、P 画素、t11,t21,t111,t112,t113,t114,t211,t212,t213,t214 異画像の開始タイミング(タイミング)、t12,t22,t25,t26,t1b,t2b タイミング、t30,t300 発光タイミング、Td1,Td2,Tp1,Tp2 時間、Te 発光期間
図1
図2
図3
図4
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