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特開2022-102700処理実行装置、処理実行プログラム、処理実行方法及び代理応答システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022102700
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】処理実行装置、処理実行プログラム、処理実行方法及び代理応答システム
(51)【国際特許分類】
   H04M 3/42 20060101AFI20220630BHJP
【FI】
H04M3/42 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020217581
(22)【出願日】2020-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591030237
【氏名又は名称】BIPROGY株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雅之
(72)【発明者】
【氏名】川田 清忠
【テーマコード(参考)】
5K201
【Fターム(参考)】
5K201AA07
5K201BA13
5K201BA19
5K201BC08
5K201CB14
5K201DC02
5K201DC05
5K201EC06
5K201ED10
5K201EE08
(57)【要約】
【課題】ユーザが受電する前に通話内容を分析し、分析結果に応じて通話に対する処理を実行する処理実行装置等を提供すること。
【解決手段】処理実行装置は、ユーザが受電する前に転送された架電者からの通話データを取得する取得部と、取得した前記通話データを分析する分析部と、分析結果に応じた処理を実行する実行部とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが受電する前に転送された架電者からの通話データを取得する取得部と、
取得した前記通話データを分析する分析部と、
分析結果に応じた処理を実行する実行部と
を備えることを特徴とする処理実行装置。
【請求項2】
転送された前記架電者からの電話を受電するオペレータの端末へ前記分析結果を出力する結果出力部を
備えることを特徴とする請求項1に記載の処理実行装置。
【請求項3】
前記分析結果が受電許可の場合、前記結果出力部は、前記ユーザに対応付けられた許可レベルを、オペレータの端末に表示させる
ことを特徴とする請求項2に記載の処理実行装置。
【請求項4】
前記分析部は、前記通話データに含む、質問に対する前記架電者からの回答、若しくは、前記架電者の声紋、又は、前記通話データに含む前記架電者の電話番号に基づき分析を行なう
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の処理実行装置。
【請求項5】
端末から前記ユーザに受電させるか否かの判断結果を受け付ける受付部と、
前記判断結果が通話許可の場合、前記実行部は電話を前記ユーザへ再転送させる
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の処理実行装置。
【請求項6】
前記架電者の電話番号を含む受電記録を作成する記録部を備える
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の処理実行装置。
【請求項7】
前記判断結果には要確認が含まれ、
前記受付部が要確認を受け付けた場合、前記実行部はオペレータの電話を前記ユーザ又は予め登録してある転送者へ接続させる
ことを特徴とする請求項5に記載の処理実行装置。
【請求項8】
前記分析結果が受電許可の場合、三者通話により前記ユーザ及び前記架電者間の通話音声を記録する音声記録部
を備えることを特徴とする請求項1から請求項7の何れか一項に記載の処理実行装置。
【請求項9】
ユーザが受電する前に転送された架電者からの通話データを取得し、
取得した前記通話データを分析し、
分析結果に応じた処理を実行する
処理をコンピュータに行なわせることを特徴とする処理実行プログラム。
【請求項10】
コンピュータが、
ユーザが受電する前に転送された架電者からの通話データを取得し、
取得した前記通話データを分析し、
分析結果に応じた処理を実行する
一連の処理を行なうことを特徴とする処理実行方法。
【請求項11】
ユーザが使用する電話番号宛の電話を、前記ユーザが受電する前に転送する分岐装置と、
前記分岐装置が転送した前記電話の架電者からの通話データを取得する取得部、
取得した前記通話データを分析する分析部、
該分析部が出力する分析結果が通話拒否である場合、前記電話に係る回線を切断し、前記分析結果が通話拒否以外である場合、前記電話をオペレータへ転送する実行部、及び
前記オペレータの端末へ前記分析結果を出力する結果出力部
を有する処理実行装置と
を備えることを特徴とする代理応答システム。
【請求項12】
前記オペレータの端末から三者通話の指示を受け付ける受付部、及び、
前記受付部が前記指示を受け付けた場合、前記ユーザと、前記架電者と、前記オペレータとによる三者通話サービスを提供する提供部
を備えることを特徴とする請求項11に記載の代理応答システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架電者の分析結果に基づいて、処理を実行する処理実行装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、特殊詐欺の被害者増大が社会問題となっている。特殊詐欺とは、犯人が電話や封書等で親族や公共機関の職員等を名乗って被害者を信じ込ませ、現金やキャッシュカードをだまし取り、又は、医療費の還付金が受け取れるなどと言ってATMを操作させ、犯人の口座に送金させる犯罪である。当該犯罪には、現金等を脅し取る恐喝や隙を見てキャッシュカード等をすり替えて盗み取る詐欺盗(窃盗)を含んでいる。
【0003】
電話を用いた特殊詐欺被害を未然に防止するために、通話内容を分析し、通話が特殊詐欺に関する通話であると判定した場合、その旨の通知を行なうシステムが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-153961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のシステムでは、特殊詐欺を行なう犯人からの架電を被害者となるユーザが受電したのちに、通話内容を分析する。そのため、分析結果を得て通知を行なうまでに、被害者が騙されてしまうというリスクがある。
【0006】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものである。その目的は、ユーザが受電する前に通話内容を分析し、分析結果に応じて通話に対する処理を実行する処理実行装置等の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の一態様に係る処理実行装置は、ユーザが受電する前に転送された架電者からの通話データを取得する取得部と、取得した前記通話データを分析する分析部と、分析結果に応じた処理を実行する実行部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本願の一態様にあっては、ユーザが受電する前に通話内容を分析し、分析結果に応じた電話の制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】代理応答システムの構成例を示す説明図である。
図2】処理実行装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図3】オペレータ端末のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図4】ユーザDBの例を示す説明図である。
図5】転送者DBの例を示す説明図である。
図6】ブラックリストの例を示す説明図である。
図7】ホワイトリストの例を示す説明図である。
図8】対応履歴DBの例を示す説明図である。
図9】伝言DBの例を示す説明図である。
図10】通話処理の手順例を示すフローチャートである。
図11】通話処理の手順例を示すフローチャートである。
図12】通話内容の例を示す説明図である。
図13】通話内容の他例を示す説明図である。
図14】通話内容の他例を示す説明図である。
図15】利用状況レポートの例を示す説明図である。
図16】通話処理の他の手順例を示すフローチャートである。
図17】通話内容の他例を示す説明図である。
図18】通話内容の他例を示す説明図である。
図19】処理実行装置が備える機能部の一例を示すブロック図である。
図20】分岐装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図21】通話処理の他の手順例を示すフローチャートである。
図22】通話処理の他の手順例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は代理応答システムの構成例を示す説明図である。代理応答システム100は処理実行装置1、分岐装置2及びオペレータ端末4を含む。処理実行装置1及び分岐装置2はネットワークNにより、互いに通信可能に接続されている。分岐装置2及びオペレータ端末4はネットワークN1により、互いに通信可能に接続されている。ネットワークN、N1は公衆電話網、携帯電話網、又はIP通信網等であり、音声通話及びTCP/IPを用いたデータ通信が可能である。ネットワークNを介して代理応答システム100に接続されるものとして、ユーザ電話機3、親族端末5、架電者の電話機がある。
【0011】
処理実行装置1はサーバコンピュータ、PC(Personal Computer)等で構成する。また、処理実行装置1を複数のコンピュータからなるマルチコンピュータ、ソフトウェアによって仮想的に構築された仮想マシン、又は量子コンピュータで構成してもよい。さらに、処理実行装置1の機能をクラウドサービスで実現してもよい。
【0012】
分岐装置2は電話を転送する機能を有している。分岐装置2は架電者からユーザへの電話をオペレータへ転送する。
【0013】
オペレータ端末4はPC等で構成する。オペレータ端末4は電話機を制御する機能を有する。オペレータ端末4と電話機との組合せにより、所謂CTI(Computer Teleph0ny Integration)端末を構成する。CTI端末にはヘッドセットが接続可能で、オペレータは受話器を持たずに通話が可能である。
【0014】
図2は処理実行装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。処理実行装置1は制御部11、主記憶部12、補助記憶部13、通信部14及び読み取り部15を含む。制御部11、主記憶部12、補助記憶部13、通信部14及び読み取り部15はバスBにより接続されている。
【0015】
制御部11は、一又は複数のCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の演算処理装置を有する。制御部11は、補助記憶部13に記憶された制御プログラム1P(処理実行プログラム)を読み出して実行することにより、処理実行装置1に係る種々の情報処理、制御処理等を行い、各種の機能部を実現する。
【0016】
主記憶部12は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリ等である。主記憶部12は主として制御部11が演算処理を実行するために必要なデータを一時的に記憶する。
【0017】
補助記憶部13はハードディスク又はSSD(Solid State Drive)等であり、制御部11が処理を実行するために必要な制御プログラム1Pや各種DB(Database)を記憶する。補助記憶部13は、ユーザDB131、転送者DB132、ブラックリスト133、ホワイトリスト134、対応履歴DB135及び伝言DB136を記憶する。補助記憶部13は処理実行装置1に接続された外部記憶装置であってもよい。補助記憶部13に記憶する各種DB等を、処理実行装置1とは異なるデータベースサーバやクラウドストレージに記憶してもよい。
【0018】
通信部14はネットワークNを介して、オペレータ端末4と通信を行う。また、制御部11が通信部14を用い、ネットワークN等を介して他のコンピュータから制御プログラム1Pをダウンロードし、補助記憶部13に記憶してもよい。
【0019】
読み取り部15はCD(Compact Disc)-ROM及びDVD(Digital Versatile Disc)-ROMを含む可搬型記憶媒体1aを読み取る。制御部11が読み取り部15を介して、制御プログラム1Pを可搬型記憶媒体1aより読み取り、補助記憶部13に記憶してもよい。また、ネットワークN等を介して他のコンピュータから制御部11が制御プログラム1Pをダウンロードし、補助記憶部13に記憶してもよい。さらにまた、半導体メモリ1bから、制御部11が制御プログラム1Pを読み込んでもよい。
【0020】
図3はオペレータ端末のハードウェア構成例を示すブロック図である。オペレータ端末4は制御部41、主記憶部42、補助記憶部43、通信部44、入力部45及び表示部46を含む。制御部41、主記憶部42、補助記憶部43、通信部44、入力部45及び表示部46はバスBにより接続されている。
【0021】
制御部41は、一又は複数のCPU、MPU、GPU等の演算処理装置を有する。制御部11は、補助記憶部43に記憶された制御プログラム4Pを読み出して実行することにより、オペレータ端末4に係る種々の情報処理、制御処理等を行う。
【0022】
主記憶部42は、SRAM、DRAM、フラッシュメモリ等である。主記憶部42は主として制御部41が演算処理を実行するために必要なデータを一時的に記憶する。
【0023】
補助記憶部43はハードディスク又はSSD等であり、制御部41が処理を実行するために必要な制御プログラム4Pや各種DBを記憶する。補助記憶部43はオペレータ端末4に接続された外部記憶装置であってもよい。補助記憶部43に記憶する各種DB等を、オペレータ端末4とは異なるデータベースサーバやクラウドストレージに記憶してもよい。
【0024】
通信部44はネットワークNを介して、処理実行装置1と通信を行う。また、制御部41が通信部44を用い、ネットワークN等を介して他のコンピュータから制御プログラム4Pをダウンロードし、補助記憶部43に記憶してもよい。
【0025】
入力部45はキーボードやマウスである。表示部46は液晶表示パネル等を含む。表示部46は処理実行装置1が送信した判定結果(分析結果)などを表示する。また、表示部46は入力部45と一体化したタッチパネルディスプレイでもよい。なお、オペレータ端末4は外部の表示装置に表示を行ってもよい。
【0026】
次に、代理応答システム100で用いるデータベースについて説明する。図4はユーザDB131の例を示す説明図である。ユーザDB131は代理応答システム100のサービスを利用するエンドユーザ(以下、単に「ユーザ」とも記す。)の情報を記憶する。ユーザDB131はユーザID列、氏名列、年齢列、性別列、認知機能列、電話番号列及び許可レベル列を含む。ユーザID列はユーザを一意に特定可能なユーザIDを記憶する。氏名列はユーザの氏名を記憶する。年齢列はユーザの年齢を記憶する。性別列はユーザの性別を記憶する。認知機能列はユーザの認知機能を記憶する。認知機能とは、記憶力、思考力、理解力、計算力、学習力、言語力、判断力などの知的な能力をいう。認知機能列はユーザの当該能力を記憶する。例えば、「正常」、「やや低下」、「低下」、「軽度痴呆」又は「重度痴呆」の何れかを認知機能列は記憶する。電話番号列はユーザが使用する固定電話の電話番号を記憶する。許可レベル列はセールスの電話について、ユーザが接続を許可する度合いを記憶する。例えば、許可レベルは三段階(0、1、2)とする。許可レベル0は、セールスの電話は全て拒否することを示す。許可レベル1は、セールスの電話は内容を確認した上で判断することを示す。許可レベル3はセールスの電話を許可することを示す。なお、許可レベル列は本実施の形態においては、必須ではない。
【0027】
図5は転送者DBの例を示す説明図である。転送者DB132は転送者の情報を記憶する。ここで、転送者はエンドユーザの関係者であって、代理応答システム100からの依頼に基づき、エンドユーザの代わりに通話を受け付ける。また、代理応答システム100が、エンドユーザに電話を繋ぐべきか否かを判定できない場合、ユーザ又は転送者に確認を行なう。転送者DB132は転送者ID列、氏名列、ユーザID列、関係列及び電話番号列を含む。転送者ID列は転送者を一意に特定可能な転送者IDを記憶する。氏名列は転送者の氏名を記憶する。転送者が自然人ではない場合、機関名等を氏名列に記憶してもよい。ユーザID列は転送者に対応するエンドユーザのユーザIDを記憶する。関係列はエンドユーザからみた関係者との関係を記憶する。例えば、転送者がエンドユーザの子である場合、関係列は子を記憶する。転送者がエンドユーザの民法に規定された補助人である場合、関係列は補助人を記憶する。電話番号列は転送者の電話番号を記憶する。当該電話番号は携帯電話の番号であることが望ましい。
【0028】
図6はブラックリストの例を示す説明図である。ブラックリスト133は特殊詐欺に使用された電話の情報を記憶する。ブラックリスト133は電話番号列、種別列及び提供列を記憶する。電話番号列は使用された電話の電話番号を記憶する。種別列は行われた特殊詐欺の種別を記憶する。特殊詐欺の種別は、例えばオレオレ詐欺、預貯金詐欺、架空料金請求詐欺、還付金詐欺、融資保証金詐欺、金融商品詐欺、ギャンブル詐欺、交際あっせん詐欺、その他の特殊詐欺、又は、キャッシュカード詐欺盗である。提供列は情報を提供した機関名を記憶する。機関名は、例えば警視庁、消費生活センタ等である。
【0029】
図7はホワイトリストの例を示す説明図である。ホワイトリスト134は架電者を確認せずにユーザに繋いでも問題のない架電者の情報を記憶する。ホワイトリスト134は電話番号列、ユーザID列、関係列及び名称列を含む。電話番号列は架電者の電話番号を記憶する。ユーザID列は電話を繋ぐ対象となるユーザのユーザIDを記憶する。ユーザ全員に繋いでも問題のない架電者の場合、ユーザID列は例えば「全ユーザ」を記憶する。関係列は架電者とユーザとの関係を記憶する。関係列は例えば「子」のような親族関係だけではなく、公的な関係を示す「民生委員」、「保健婦」、「補助人」等を記憶する。名称列は架電者が個人の場合は氏名を記憶する。架電者が機関の場合、名称列は機関の名称を記憶する。
【0030】
図8は対応履歴DBの例を示す説明図である。対応履歴DB135は代理応答システム100で応対した通話の履歴を記憶する。当該履歴は受電記録の一例である。対応履歴DB135はユーザID列、日時列、発信番号列、架電者列、所属列、関係列、要件列、結果列、確認列、相談列及び理由列を含む。ユーザID列は受電対象となったユーザのユーザIDを記憶する。日時列は架電の日時を記憶する。発信番号列は架電者の電話番号を記憶する。発信者番号が非通知の場合、発信番号列の値はなし又は空白とする。架電者列は架電者(発信者)の氏名を記憶する。所属列は架電者が法人等に所属している場合、法人等の名称を記憶する。関係列は架電者のユーザとの関係を記憶する。架電者列、所属列、関係列の値は、オペレータが対応した場合はオペレータが聞き出した内容を記憶する。通話音声を認識して、これらの情報を取得してもよい。また、ホワイトリスト134に登録した個人又は機関が架電者の場合、ホワイトリスト134の値を記憶する。要件列は架電者が説明した電話の要件を記憶する。オペレータが応答しなかった場合、要件列には値が記憶されなくともよい。結果列は架電の結果を記憶する。例えば結果は、繋いだ、切断した、伝言を受けたである。確認列はユーザに電話を繋ぐか否かを確認した状況を記憶する。有はユーザに確認したことを示す。無はユーザに確認せずにオペレータが判断したことを示す。ホワイトリスト134に記憶された電話番号からの発信についても、無となる。相談列はユーザに繋ぐ否かを転送者に問い合わせた否かを記憶する。相談列は転送ID列及び応答列を含む。転送ID列は転送者の転送者IDを記憶する。転送者に問い合わせをしなかった通話の場合、転送ID列の値はなし又は空白とする。応答列は転送者の回答を記憶する。受電は転送者が受電したことを示す。伝言は転送者に電話を回したものの転送者が不在等で応答しなかったことを示す。理由列は結果に対するコメントを記憶する。オペレータが対応した場合、理由列はオペレータが入力した内容を記憶する。ブラックリスト133により切断した場合、ホワイトリスト134により繋いだ場合、その旨が制御部11により、理由列に記憶される。
【0031】
図9は伝言DBの例を示す説明図である。伝言DB136はユーザ宛の伝言を記憶する。伝言DB136はユーザID列、架電者列、電話番号列及び内容列を含む。ユーザID列は受電対象となったユーザのユーザIDを記憶する。架電者列は架電者の氏名/名称を記憶する。ホワイトリスト134に登録した個人又は機関が架電者の場合、ホワイトリスト134の名称列の値を架電者列に記憶してもよい。電話番号列は架電者の電話番号を記憶する。内容列は伝言の内容を記憶する。
【0032】
次に、代理応答システム100が行なう情報処理について説明する。図10及び図11は通話処理の手順例を示すフローチャートである。架電者からの電話を架電する(ステップS1)。ユーザ宅に設置の分岐装置2が電話を処理実行装置1へ転送する(ステップS2)。処理実行装置1の制御部11は受電する(ステップS3)。制御部11は発信者番号を取得する(ステップS4)。制御部11は発信者番号を取得でき、かつ、取得した発信者番号がブラックリスト133に掲載の番号か否かを判定する(ステップS5)。制御部11は発信者番号がブラックリスト133に掲載の番号と判定した場合(ステップS5でYES)、架電者に対して着信拒否をする旨の通知を行なう(ステップS6)。当該通知は、例えば予め録音してある音声メッセージを流すことである。制御部11は通知後、通話を終了させる(ステップS7)。制御部11はオンフック信号を出し回線を切る。制御部11は処理を終了する。制御部11は発信者番号が非通知、又は、発信者番号がブラックリスト133に掲載されていない番号と判定した場合(ステップS5でNO)、発信者番号を取得でき、かつ、取得した発信者番号がホワイトリスト134に掲載の番号か否かを判定する(ステップS8)。制御部11は発信者番号がホワイトリスト134に掲載の番号と判定した場合(ステップS8でYES)、電話をユーザ宅に再転送する(ステップS9)。ユーザ宅の電話は着信する(ステップS10)。分岐装置2はユーザ宅の電話が応答したか否かを判定する(ステップS11)。分岐装置2はユーザ宅の電話が応答したと判定した場合(ステップS11でYES)、処理を終了する。なお、ユーザ宅の電話が応答したとは、ユーザが電話に出た場合に加えて、ユーザ宅の電話機の留守番電話機能が働いた場合も含む。分岐装置2はユーザ宅の電話が応答しないと判定した場合(ステップS11でNO)、着信してから所定時間経過したか否かを判定する(ステップS12)。分岐装置2は着信してから所定時間経過していないと判定した場合(ステップS12でNO)、処理をステップS11へ戻す。分岐装置2は着信してから所定時間経過していると判定した場合(ステップS12でYES)、分岐装置2はオペレータの電話機へ電話を再々転送する(ステップS13)。処理はステップS22(図11)へ移る。制御部11は発信者番号が非通知、又は、発信者番号がホワイトリスト134に掲載の番号でないと判定した場合(ステップS8でNO)、電話をオペレータに転送する(ステップS14)。自動音声により、架電者に対してオペレータへ転送する旨を通知した上で、転送を行なう。制御部11はオペレータと架電者との通話音声を収集する。制御部11は収集した音声の声紋、音声認識して得た内容に含まれる単語等から、特殊詐欺が疑われる電話であるか否かを判定し、判定結果をオペレータ端末4へ出力する(ステップS15)。制御部11は所定の長さの通話音声を取得できたら判定を行い、その結果をオペレータ端末4に表示する。当該判定はオペレータが判断結果を入力するまで、繰り返し行ってもよい。判定結果は、例えば、許可(受電許可)、要確認、拒否又は伝言である。許可は電話をユーザに繋いでも問題ないと判定したことを示す。要確認はユーザ又は転送者に確認を取った上で繋ぐか否かを、オペレータが判断すべきと判定したことを示す。拒否はユーザ又は転送者に確認を取ることなく拒否すべきと判定したことを示す。伝言はユーザに繋いでも問題ない可能性が高いものの、念のためにユーザには繋がずにオペレータが伝言を承るべきと判定したことを示す。オペレータは判断結果をオペレータ端末4に入力する。例えば、判断結果は通話許可、ユーザへ確認(要確認)又は通話拒否である。制御部11は判断結果をオペレータ端末4から取得する(ステップS16)。制御部11は判断結果が通話拒否であるか否かを判定する(ステップS17)。制御部11は判断結果が通話拒否であると判定した場合(ステップS17でYES)、処理をステップS6へ移す。制御部11は判断結果が通話拒否でないと判定した場合(ステップS17でNO)、判断結果が「ユーザへ確認」であるか否かを判定する(ステップS18)。制御部11は判断結果が「ユーザへ確認」でないと判定した場合(ステップS18でNO)、処理をステップS21へ移す。制御部11は判断結果が「ユーザへ確認」であると判定した場合(ステップS18でYES)、架電者からの通話を保留し、オペレータの電話をユーザに繋ぐ。オペレータはユーザに電話を受けるか否かを確認し、確認結果をオペレータ端末4に入力する。オペレータ端末4は確認結果を処理実行装置1へ送信する。制御部11は確認結果を取得する(ステップS19)。例えば確認結果は、通話許可、伝言取得又は通話拒否である。制御部11は確認結果が通話拒否であるか否かを判定する(ステップS20)。制御部11は確認結果が通話拒否であると判定した場合(ステップS20でYES)、処理をステップS6へ移す。制御部11は確認結果が通話拒否でないと判定した場合(ステップS20でNO)、確認結果が伝言取得であるか否かを判定する(ステップS21)。制御部11は確認結果が伝言取得でないと判定した場合(ステップS21でNO)、処理をステップS9へ移す。制御部11は確認結果が伝言取得であると判定した場合(ステップS21でYES)、伝言を取得して伝言を記録する(ステップS22)。例えば、制御部11は伝言を音声取得して補助記憶部13に記憶する。又はオペレータが伝言を聞き、オペレータ端末4に文字入力する。オペレータ端末4は入力した伝言を処理実行装置1へ送信する。制御部11はオペレータ端末4から受信した伝言を補助記憶部13に記憶する。制御部11は通話を終了させる(ステップS23)。制御部11は通話の履歴を対応履歴DB135に記憶し(ステップS24、処理を終了する。
【0033】
図12は通話内容の例を示す説明図である。図12に示す通話は要確認の例である。処理実行装置1の制御部11は、架電者の電話番号がブラックリスト133及びホワイトリスト134に登録されていないと判定した場合、自動音声を流したのちに、電話をオペレータへ転送する。発話121は電話をオペレータへ転送する前に流す自動音声の例である。発話122、124及び126はオペレータの発話である。発話123、125及び127は架電者の発話である。処理実行装置1の制御部11は、発話123、125及び127を音声認識により文字データを変換した後、形態素解析を行なう。制御部11は各発話に含まれる単語を抽出する。制御部11は抽出した単語と、特殊詐欺でよく使用されるキーワードやフレーズが登録された辞書とを参照する。制御部11は、発話123、125及び127には、特殊詐欺に繋がるキーワードが存在しないと判断する。また、制御部11は、発話123、125及び127から得た架電者音声の特徴量と、過去の特殊詐欺の電話から抽出した音声の特徴量とを対比し、特殊詐欺でないと判定する。特徴量は例えば声紋である。しかしながら、架電者「鈴木二郎」は「佐藤一郎」の「親戚」を名乗っているが、ホワイトリスト134に登録されていないので、制御部11は判定結果として、「要確認」をオペレータ端末4へ判定結果として出力する。オペレータは判定結果と通話内容とから、最終的な判断を下し、判断結果をオペレータ端末4へ入力する。
【0034】
図13及び14は通話内容の他例を示す説明図である。図13及び14に示す通話は拒否の例である。図12と同様に、処理実行装置1の制御部11は、架電者の電話番号がブラックリスト133及びホワイトリスト134に登録されていないと判定した場合、自動音声を流したのちに、電話をオペレータへ転送する。図13では自動音声の例は省略している。発話141、143、145、147、148a、及び148bはオペレータの発話である。発話142、144及び146は架電者の発話である。処理実行装置1の制御部11は、発話142、144及び146を音声認識により文字データを変換した後、形態素解析を行なう。制御部11は各発話に含まれる単語を抽出する。制御部11は抽出した単語と、特殊詐欺でよく使用されるキーワードやフレーズが登録された辞書とを参照する。制御部11は、発話144に含む「親戚なのですが」及び発話146「遠い親戚」は、特殊詐欺を予見するフレーズ、キーワードと判断する。また、制御部11は、発話142、144及び146から得た架電者音声の特徴量と、過去の特殊詐欺の電話から抽出した音声の特徴量とを対比し、特殊詐欺の可能性があると判定する。特徴量は例えば声紋である。制御部11は判定結果として、「拒否」をオペレータ端末4へ判定結果を出力する。オペレータは判定結果と通話内容とから、最終的な判断を下し、判断結果をオペレータ端末4へ入力する。ここに示す例では、「親戚」、「法事」とのキーワードから、オペレータはユーザに確認せずに拒否をすると、特殊詐欺ではなかった場合に、ユーザに迷惑が掛かると考え、ユーザに確認すべきと判断している(発話147)。ユーザに確認して拒否となった場合は、架電者に拒否を伝え(発話148a)、電話を切る。ユーザに確認して繋ぐことを決定した場合であっても、オペレータが不信感を拭えないときは、三者通話により、オペレータが架電者とユーザとの通話をモニタしてもよい(発話148b)。さらに、モニタしているオペレータが必要に応じて、通話に介入してもよい。また、三者通話により、通話音声を補助記憶部等に記録してもよい。さらに、必要に応じて制御部11は通話音声を補助記憶部13に記憶し、万が一の場合に犯罪資料として提供可能なように保管する。加えて、オペレータが判断をする場合、ユーザの年齢、性別、認知機能を参照してもよい。
【0035】
電話内容の判定を、機械学習モデルを用いて行ってもよい。学習モデルはニューラルネットワーク、サポートベクターマシン又は決定木等である。特殊詐欺を目的とした通話を含む種々の通話を収集する。それぞれの通話内容をテキスト化するとともに、危険度をラベル付けする。例えば、特殊詐欺の目的とした通話を5、悪質セールスの電話を3、正常な電話を1とする。ラベル付けした通話内容テキストを訓練データとして、学習を行なう。学習モデルの入力は通話内容テキストである。学習モデルの出力として、危険度を示す0から5までの連続値を出力する。または、学習モデルの出力として、危険度1、2、3、4、5である確率をそれぞれ出力してもよい。学習時は、学習モデルの出力がラベル近づくように、学習モデルの定義づけるパラメータを調整する。なお、入力する通話内容テキストは、架電者とオペレータの2者の内容ではなく、架電者のみの内容としてもよい。
【0036】
学習モデルの利用時は、通話内容テキストを学習モデルに入力し、学習モデルが出力した値に基づいて判定結果を定める。0から5までの連続値を取得する場合、1、2、3、4又は5の離散値に置き換えてよい。各段階でのオペレータの基本的判断は、例えば次のようにする。5であれば通話を拒否する。4であればユーザに確認するが基本的に拒否する。3であればユーザに確認し、繋ぐのであれば、オペレータがモニタする。2はユーザに確認する。1はユーザに繋ぐ。
【0037】
また、通話音声や通話音声から得た声紋を入力すると危険度を出力する機械学習モデルを利用してもよい。訓練データは危険度をラベル付けした通話の音声データ又は声紋データである。学習モデルの利用時は通話の音声データ又は声紋データを学習モデルに入力し、学習モデルが出力した危険度を取得する。その他については、通話内容テキストの場合と同様であるから、説明を省略する。
【0038】
図15は利用状況レポートの例を示す説明図である。利用状況レポート150はサマリー表151と内訳表を含む。サマリー表151は、契約者宅に掛かってきたコール総数、コールセンタで受けたコール数、利用者宅へつないだコール数、コールセンタで切ったコール数を示す。内訳表はコールセンタで受けたコール数の内訳を示す。利用状況レポート150は、対応履歴DB135に記憶されたデータに基づき作成される。
【0039】
本実施の形態においては、処理実行装置1が架電者とオペレータとの通話内容から、架電者が特殊詐欺を目的としているかを判定し、その結果をオペレータへ伝達する。それにより、複数オペレータ間の判断ばらつきを抑制することが可能となる。また、ホワイトリスト134に登録された番号からの発信はオペレータに繋ぐことなく、ユーザ宅の電話に受電させる。ブラックリスト133に登録された番号からの発信はオペレータに繋ぐことなく、電話を切断する。それにより、オペレータが対応する通話数を削減することが可能となる。
【0040】
(実施の形態2)
本実施の形態は音声チャットボットの利用により、オペレータの業務量の軽減を目指す形態に関する。
【0041】
図16は通話処理の他の手順例を示すフローチャートである。本実施の形態における通話処理は図10及び図11に示した処理を一部変更したものである。図16は変更部分を示している。制御部11は、図10のステップS8でNOと判定した場合、音声チャットボットでの対応を行ない、その通話音声を収集する(ステップS31)。制御部11は収集した架電者の通話音声から、特殊詐欺を目的とした通話である可能性を判定する(ステップS32)。判定についての処理は、実施の形態1と同様である。制御部11は判定の結果、通話を拒否すべきか否かを判定する(ステップS33)。制御部11は通話を拒否すべきではなくオペレータに判断を委ねるべきと判定した場合(ステップS33でNO)、オペレータへ転送する(ステップS34)。制御部11はオペレータとの通話音声を収集する(ステップS35)。制御部11は収集した通話音声を用いて、特殊詐欺を目的したものである可能性を再判定し、結果をオペレータ端末4へ出力する(ステップS36)。制御部11はステップS16以降を実行する。制御部11は通話を拒否すべきと判定した場合(ステップS33でYES)、架電者に対して着信拒否をする旨の通知を行なう(ステップS37)。当該通知は、例えば予め録音してある音声メッセージを流すことである。なお、万が一、制御部11の判定が誤りであり、繋ぐべき架電者からの電話を切断してしまった場合に備えて、問い合わせ番号を発番し、発番した問い合わせ番号とコールセンタの電話番号を、架電者へ伝えても良い。架電者はコールセンタに電話して、オペレータに事情を説明する。オペレータがユーザに繋いでも問題ないと判断したら、架電者はユーザと通話することが可能となる。制御部11は通知後、通話を終了させる(ステップS38)。制御部11は処理を終了する。
【0042】
図17は通話内容の他例を示す説明図である。処理実行装置1の制御部11は、架電者の電話番号がブラックリスト133及びホワイトリスト134に登録されていないと判定した場合、自動音声を流したのちに、音声チャットボットで対応する。発話171は電話を音声チャットボットで対応する前に流す自動音声の例である。発話172、174、176及び178は音声チャットボットの発話である。発話173、175及び177は架電者の発話である。処理実行装置1の制御部11は、発話173、175及び177には、特殊詐欺に繋がるキーワードが存在しないと判断する。また、制御部11は、発話173、175及び177から得た架電者音声の特徴量と、過去の特殊詐欺の電話から抽出した音声の特徴量とを対比し、特殊詐欺でないと判定する。特徴量は例えば声紋である。制御部11は判定結果として「許可」をオペレータ端末4へ出力して、電話をオペレータへ転送する。
【0043】
図18は通話内容の他例を示す説明図である。処理実行装置1の制御部11は、架電者の電話番号がブラックリスト133及びホワイトリスト134に登録されていないと判定した場合、自動音声を流したのちに、音声チャットボットで対応する。図18において、電話を音声チャットボットで対応する前に流す自動音声は省略している。発話181、183、185及び187はチャットボットの発話である。発話182、184及び186は架電者の発話である。制御部11は、発話184に含む「遠い親戚」及び発話186「言えない」とのフレーズ、発話184及び発話186の「だけど」との言い回しや、架電者音声の特徴量から特殊詐欺の可能性があると判定する。制御部11は判定結果として「拒否」を選択し、着信拒否の通知(発話187)を行い、通話を終了する。
【0044】
本実施の形態においては、オペレータが応答する前に、音声チャットボットにより、架電者の情報、ユーザとの関係、通話の目的を収集するので、オペレータがこれらの内容を尋ねる業務負担がなくなる。また、音声チャットボットへの回答を元に、通話の目的が特殊詐欺である可能性が高いと判定した場合、着信を拒否するので、オペレータの業務負担を軽減することが可能となる。
【0045】
上述の実施の形態において、分岐装置2をユーザ宅に設置するとしたがそれに限らない。分岐装置2が備える機能又は同等な機能を電話局等に設置される電話交換機や収容ルータなどに設けてもよい。
【0046】
(変形例)
上述の実施の形態において、オペレータに電話が転送された際に、オペレータ端末4に許可レベルを表示してもよい。上述したように許可レベルは、セールスの電話に対して、ユーザが接続を許可する度合いを示す。通話の目的がセールスであると、オペレータが判断した場合、許可レベルを参照してユーザに繋ぐか否かを、オペレータは最終判断する。許可レベル0であれば、オペレータは丁重に断り電話を切断する。許可レベル1であれば、オペレータはセールスの内容を聞いた上で、電話を繋ぐか否かをユーザに確認する。許可レベル2であれば、オペレータ電話をユーザに繋ぐ。ユーザに繋ぐものの、オペレータが不信感を拭えないときは、三者通話により、オペレータが架電者とユーザとの通話をモニタするか、通話音声を補助記憶部13に記憶するよう、制御部11に指示してもよい。
【0047】
本変形例においては、セールスの電話に対して、ユーザが接続を許可する度合いを示す許可レベルをオペレータ端末4に表示する。オペレータは、セールスの電話をユーザに繋ぐか否かの判断が容易になるとの効果を奏する。
【0048】
図19は処理実行装置が備える機能部の一例を示すブロック図である。処理実行装置1は機能部として、取得部11a、分析部11b、実行部11c、結果出力部11d、記録部11e及び音声記録部11fを備える。これらの各機能部は、制御部11が制御プログラム1Pに基づいて動作することにより、実現される。
【0049】
取得部11aはユーザが受電する前に転送された架電者からの通話データを取得する。分析部11bは取得した通話データを分析する。実行部11cは分析結果に応じた処理を実行する。結果出力部11dは転送された架電者からの電話を受電するオペレータの端末へ分析結果を出力する。記録部11eは架電者の電話番号を含む受電記録を作成する。音声記録部11fは分析結果が受電許可の場合、三者通話により前記ユーザ及び前記架電者間の通話を記録する。
【0050】
(実施の形態3)
本実施の形態は、上述の実施の形態において処理実行装置1が備えている機能を分岐装置2に持たせる形態である。図20は分岐装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。分岐装置2は、制御部21、主記憶部22、補助記憶部23、回線交換部24及び通信部25を含む。制御部21、主記憶部22、補助記憶部23、回線交換部24及び通信部25はバスBにより接続されている。
【0051】
制御部21は、一又は複数のCPU、MPU、GPU等の演算処理装置を有する。制御部21は、補助記憶部23に記憶された制御プログラム2Pを読み出して実行することにより、分岐装置2に係る種々の情報処理、制御処理等を行い、各種の機能部を実現する。
【0052】
主記憶部22は、SRAM、DRAM、フラッシュメモリ等である。主記憶部22は主として制御部21が演算処理を実行するために必要なデータを一時的に記憶する。
【0053】
補助記憶部23はハードディスク又はSSD等であり、制御部11が処理を実行するために必要な制御プログラム2Pや各種DBを記憶する。補助記憶部23は、ブラックリスト231、ホワイトリスト232及び履歴DB233を記憶する。補助記憶部23は分岐装置2に接続された外部記憶装置であってもよい。補助記憶部23に記憶する各種DB等を、分岐装置2とは異なるデータベースサーバやクラウドストレージに記憶してもよい。なお、ブラックリスト231、ホワイトリスト232及び履歴DB233はそれぞれブラックリスト133、ホワイトリスト134及び対応履歴DB135と同様であるから説明を省略する。
【0054】
回線交換部24は回線交換機能を有している。架電者からの電話を主回線で受け、必要に応じて、副回線を用いて、オペレータに転送を行なう。ユーザにつないでよいと判断した場合は、ユーザ電話機3を鳴らす。
【0055】
通信部25はネットワークN1を介して、オペレータ端末4と通信を行う。また、制御部21が通信部25を用い、ネットワークN1等を介して他のコンピュータから制御プログラム2Pをダウンロードし、補助記憶部23に記憶してもよい。
【0056】
図21及び図22は通話処理の他の手順例を示すフローチャートである。図21及び図22に示す通話処理は、一部の処理を処理実行装置1ではなく分岐装置2が行なう点で、図10及び図11に示し処理と異なるが、処理内容そのものは同様である。
【0057】
架電者からの電話を架電する(ステップS41)。ユーザ宅に設置の分岐装置2が電話を受電する(ステップS42)。分岐装置2の制御部21は発信者番号を取得する(ステップS43)。制御部21は発信者番号を取得でき、かつ、取得した発信者番号がブラックリスト231に掲載の番号か否かを判定する(ステップS44)。制御部21は発信者番号がブラックリスト231に掲載の番号と判定した場合(ステップS44でYES)、架電者に対して着信拒否をする旨の通知を行なう(ステップS45)。当該通知は、例えば予め録音してある音声メッセージを流すことである。制御部21は通知後、通話を終了させる(ステップS46)。制御部21はオンフック信号を出し回線を切る。制御部21は処理を終了する。制御部21は発信者番号が非通知、又は、発信者番号がブラックリスト231に掲載されていない番号と判定した場合(ステップS44でNO)、発信者番号を取得でき、かつ、取得した発信者番号がホワイトリスト232に掲載の番号か否かを判定する(ステップS47)。制御部21は発信者番号がホワイトリスト232に掲載の番号と判定した場合(ステップS47でYES)、ユーザ電話機3に着信される(ステップS48)。制御部21はユーザ電話機3が応答したか否かを判定する(ステップS49)。制御部21はユーザ電話機3が応答したと判定した場合(ステップS49でYES)、処理を終了する。なお、ユーザ電話機3が応答したとは、ユーザが電話に出た場合に加えて、ユーザ電話機3の留守番電話機能が働いた場合も含む。制御部21はユーザ電話機3が応答しないと判定した場合(ステップS49でNO)、着信してから所定時間経過したか否かを判定する(ステップS50)。制御部21は着信してから所定時間経過していないと判定した場合(ステップS50でNO)、処理をステップS49へ戻す。制御部21は着信してから所定時間経過していると判定した場合(ステップS50でYES)、処理はステップS59(図22)へ移る。制御部21は発信者番号が非通知、又は、発信者番号がホワイトリスト232に掲載の番号でないと判定した場合(ステップS47でNO)、電話をオペレータに転送する(ステップS51)。制御部21は自動音声により、架電者に対してオペレータへ転送する旨を通知した上で、転送を行なう。また、制御部21は、制御を処理実行装置1へ渡す。処理実行装置1の制御部11はオペレータと架電者との通話音声を収集する。制御部11は収集した音声の声紋、音声認識して得た内容に含まれる単語等から、特殊詐欺が疑われる電話であるか否かを判定し、判定結果をオペレータ端末4へ出力する(ステップS52)。ステップS52の処理は、図10のステップ15と同様である。オペレータは判断結果をオペレータ端末4に入力する。制御部11は判断結果をオペレータ端末4から取得する(ステップS53)。制御部11は判断結果が通話拒否であるか否かを判定する(ステップS54)。制御部11は判断結果が通話拒否であると判定した場合(ステップS54でYES)、処理をステップS62へ移す。制御部11は判断結果が通話拒否でないと判定した場合(ステップS54でNO)、判断結果が「ユーザへ確認」であるか否かを判定する(ステップS55)。制御部11は判断結果が「ユーザへ確認」でないと判定した場合(ステップS55でNO)、処理をステップS57へ移す。制御部11は判断結果が「ユーザへ確認」であると判定した場合(ステップS55でYES)、架電者からの通話を保留し、オペレータの電話をユーザに繋ぐ。オペレータはユーザに電話を受けるか否かを確認し、確認結果をオペレータ端末4に入力する。オペレータ端末4は確認結果を処理実行装置1へ送信する。制御部11は確認結果を取得する(ステップS56)。制御部11は確認結果が通話拒否であるか否かを判定する(図22のステップS57)。制御部11は確認結果が通話拒否であると判定した場合(ステップS57でYES)、処理をステップS62へ移す。制御部11は確認結果が通話拒否でないと判定した場合(ステップS57でNO)、確認結果が伝言取得であるか否かを判定する(ステップS58)。制御部11は確認結果が伝言取得でないと判定した場合(ステップS58でNO)、処理をステップS48へ移す。制御部11は確認結果が伝言取得であると判定した場合(ステップS58でYES)、伝言を取得して伝言を記録する(ステップS59)。制御部11は通話を終了させる(ステップS60)。制御部11は通話の履歴を対応履歴DB135に記憶し(ステップS61)、処理を終了する。なお、通話の履歴を対応履歴DB135に記憶するだけでなく、分岐装置2の履歴DB233に記憶してもよい。また、伝言を分岐装置2の補助記憶部23に記憶してもよい。
【0058】
本実施の形態は上述した実施の形態が奏する効果に加え、次の効果を奏する。処理実行装置1が提供する機能の一部を、分岐装置2で行うことにより、処理実行装置1の処理負担を軽減することが可能となる。
【0059】
各実施の形態で記載されている技術的特徴(構成要件)はお互いに組み合わせ可能であり、組み合わせすることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0060】
100 代理応答システム
1 処理実行装置
11 制御部
11a 取得部
11b 分析部
11c 実行部
11d 結果出力部
11e 記録部
11f 音声記録部
12 主記憶部
13 補助記憶部
131 ユーザDB
132 転送者DB
133 ブラックリスト
134 ホワイトリスト
135 対応履歴DB
136 伝言DB
14 通信部
15 読み取り部
1P 制御プログラム
1a 可搬型記憶媒体
1b 半導体メモリ
2 分岐装置
21 制御部
22 主記憶部
23 補助記憶部
231 ブラックリスト
232 ホワイトリスト
233 履歴DB
24 回線交換部
25 通信部
2P 制御プログラム
4 オペレータ端末
B バス
N ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22