(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022102721
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】化粧品開発サービス運営システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20220630BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020217614
(22)【出願日】2020-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】503415460
【氏名又は名称】株式会社イノス・ジャポン
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正悟
(74)【代理人】
【識別番号】100157417
【弁理士】
【氏名又は名称】並木 敏章
(74)【代理人】
【識別番号】100218095
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(72)【発明者】
【氏名】松浦 真須美
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】ユーザー満足度の高い新規化粧品を効率的に開発することが可能な化粧品開発サービス運営システムを提供する。
【解決手段】開発サービスを管理運営する管理運営者1が管理する運営管理装置30と、化粧品製造者5の管理の下に置かれた製造者側管理装置50と、複数のエステティック施術施設3のそれぞれの管理の下に置かれた施術施設側管理装置70とを有し、新規化粧品開発の要望情報、試作化粧品に対する評価結果情報及び総合評価情報を、各管理装置30、50、70の間でやり取りする。各情報の管理、授受を効率的に行うことにより、試作化粧品を的確に改良してユーザー満足度の高い新規化粧品の開発に繋げる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のエステティック施術施設との連携の下で化粧品製造者による新規化粧品の開発サービスを提供する化粧品開発サービス運営システムであって、
前記開発サービスを管理運営する管理運営者が管理する運営管理装置と、
前記化粧品製造者の管理の下に置かれ、前記運営管理装置との間で情報の授受を行う製造者側管理装置と、
前記複数のエステティック施術施設のそれぞれの管理の下に置かれ、前記運営管理装置との間で情報の授受を行う施術施設側管理装置とを有して構成され、
前記開発サービスにおいて、
前記管理運営者は、前記複数のエステティック施術施設から新規化粧品開発の要望を募り、
前記複数のエステティック施術施設はそれぞれ、新規化粧品開発の要望に係る要望情報を前記施術施設側管理装置から前記運営管理装置に送り、
前記運営管理装置は、前記複数のエステティック施術施設のそれぞれの前記施術施設側管理装置から送られてくる要望情報を受け、これら要望情報を前記製造者側管理装置に送り、
前記化粧品製造者は、前記製造者側管理装置が受け取った前記要望情報に基づいて化粧品を試作して前記複数のエステティック施術施設に送付して評価を求め、
前記複数のエステティック施術施設は、前記化粧品製造業者から送付された試作化粧品を用いてエステティック施術を行い、このエステティック施術の施術者および被施術者による前記試作化粧品に対する評価を行い、この評価に係る評価結果情報を前記施術施設側管理装置から前記運営管理装置に送り、
前記運営管理装置は、前記複数のエステティック施術施設から前記施術施設側管理装置を介して送られてきた評価結果情報を前記製造者側管理装置に送り、
前記化粧品製造者は、前記製造者側管理装置が受け取った前記評価結果情報に基づき前記試作化粧品を改良し、改良した試作化粧品を前記複数のエステティック施術施設に送付して評価を求める、というサイクルを実行することを特徴とする化粧品開発サービス運営システム。
【請求項2】
前記運営管理装置は、前記複数のエステティック施術施設から送られてきた評価結果情報を纏めて総合評価情報を作成する総合評価情報作成手段を備え、
前記運営管理装置においては、前記複数のエステティック施術施設から送られてきた複数の評価結果情報を受けて前記総合評価情報作成手段が総合評価情報を作成し、この総合評価情報を前記製造者側管理装置に送ることを特徴とする請求項1に記載の化粧品開発サービス運営システム。
【請求項3】
前記施術施設側管理装置はそれぞれ、この施術施設側管理装置が管理される対応エステティック施術施設において、エステティック施術の施術者および被施術者による前記試作化粧品に対する評価を入力する入力手段と、この入力手段から入力された複数の評価を纏めて評価結果情報を作成する評価情報作成手段を備え、この評価情報作成手段により作成された評価結果情報を前記施術施設側管理装置から前記運営管理装置に送ることを特徴とする請求項1もしくは2に記載の化粧品開発サービス運営システム。
【請求項4】
前記評価情報作成手段は、前記対応エステティック施術施設の環境情報、被施術者の情報を加味して前記評価結果情報を作成することを特徴とする請求項3に記載の化粧品開発サービス運営システム。
【請求項5】
前記運営管理装置は、前記要望情報、前記評価情報及び前記総合評価情報を、閲覧可能な形式で前記複数のエステティック施術施設に提供する閲覧表示手段を備えることを特徴
とする請求項1~4のいずれかに記載の化粧品開発サービス運営システム。
【請求項6】
前記運営者は前記複数のエステティック施術施設の運営を行う者であり、前記運営管理装置は前記複数のエステティック施術施設のうちのいずれかの施術施設内に設けられていることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の化粧品開発サービス運営システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品開発サービスを提供するための化粧品開発サービス運営システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な化粧品が開発され製造されている。化粧品の開発製造は、自社ブランドを有する化粧品メーカーにより行われているという印象が強いが、近年多様化している。例えば、化粧品の開発製造に直接関わっていない個人や企業等が、独自ブランドのオリジナル化粧品を販売する目的で、OEM製造を手掛ける化粧品メーカーに新規化粧品の開発製造を依頼するケースもある。
【0003】
新規化粧品を開発する場合、化粧品メーカーは、所期の効能が得られる内容成分や処方を仮決定して試作化粧品を製造する。そして、試作化粧品の評価試験を行って試作化粧品を評価し、その評価結果に基づき試作化粧品を改良する(例えば、下記特許文献1を参照)。このような試作化粧品に対する評価と改良を、一定水準の評価が得られるまで継続的に行うというのが新規化粧品開発の一般的な流れである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
新規化粧品を開発しても、その化粧品のユーザーが高い満足度を得ることができなければ、そのような化粧品は十分な顧客を獲得できないことになる。ユーザー満足度の高い化粧品を新規開発するのには、ターゲットユーザー(消費対象者として想定する顧客層)のニーズを的確に把握するとともに、試作化粧品の評価を的確に行ってユーザーニーズに対応するように試作化粧品を改良していくことが重要となるが、いずれも容易に達成することはできない。
【0006】
ユーザーニーズを把握するために大規模な市場アンケートが行われたり、試作化粧品に対するユーザーの評価を集めるために、一般ユーザーの中から多数の評価者を募って試作化粧品を使った評価試験が行われたりすることもある。しかし、これらの手法により収集した情報にはばらつきがあり、信頼性の低い情報が含まれている虞もある。また、情報収集や解析に多くの時間を要するので、効率的とはいえない。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、ユーザー満足度の高い新規化粧品を効率的に開発することが可能な化粧品開発サービス運営システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数のエステティック施術施設との連携の下で化粧品製造者による新規化粧品の開発サービスを提供する化粧品開発サービス運営システムであって、前記開発サービスを管理運営する管理運営者が管理する運営管理装置と、前記化粧品製造者の管理の下に置かれ、前記運営管理装置との間で情報の授受を行う製造者側管理装置と、前記複数のエステティック施術施設のそれぞれの管理の下に置かれ、前記運営管理装置との間で情報の授受を行う施術施設側管理装置とを有して構成される。そして、前記開発サービスにおい
て、前記管理運営者は、前記複数のエステティック施術施設から新規化粧品開発の要望を募り、前記複数のエステティック施術施設はそれぞれ、新規化粧品開発の要望に係る要望情報を前記施術施設側管理装置から前記運営管理装置に送り、前記運営管理装置は、前記複数のエステティック施術施設のそれぞれの前記施術施設側管理装置から送られてくる要望情報を受け、これら要望情報を前記製造者側管理装置に送り、前記化粧品製造者は、前記製造者側管理装置が受け取った前記要望情報に基づいて化粧品を試作して前記複数のエステティック施術施設に送付して評価を求め、前記複数のエステティック施術施設は、前記化粧品製造業者から送付された試作化粧品を用いてエステティック施術を行い、このエステティック施術の施術者および被施術者による前記試作化粧品に対する評価を行い、この評価に係る評価結果情報を前記施術施設側管理装置から前記運営管理装置に送り、前記運営管理装置は、前記複数のエステティック施術施設から前記施術施設側管理装置を介して送られてきた評価結果情報を前記製造者側管理装置に送り、前記化粧品製造業者は、前記製造者側管理装置が受け取った前記評価結果情報に基づき前記試作化粧品を改良し、改良した試作化粧品を前記複数のエステティック施術施設に送付して評価を求める、というサイクルを実行する。
【0009】
本発明において、好ましくは、前記運営管理装置は、前記複数のエステティック施術施設から送られてきた評価結果情報を纏めて総合評価情報を作成する総合評価情報作成手段(例えば、実施形態における評価情報管理部32)を備え、前記運営管理装置においては、前記複数のエステティック施術施設から送られてきた複数の評価結果情報を受けて前記総合評価情報作成手段が総合評価情報を作成し、この総合評価情報を前記製造者側管理装置に送るように構成される。
【0010】
また、本発明において、好ましくは、前記施術施設側管理装置はそれぞれ、この施術施設側管理装置が管理される対応エステティック施術施設において、エステティック施術の施術者および被施術者による前記試作化粧品に対する評価を入力する入力手段(例えば、実施形態における画像表示面71)と、この入力手段から入力された複数の評価を纏めて評価結果情報を作成する評価情報作成手段(例えば、実施形態における評価結果情報作成部73)を備え、この評価情報作成手段により作成された評価結果情報を前記施術施設側管理装置から前記運営管理装置に送るように構成される。
【0011】
また、本発明において、好ましくは、前記評価情報作成手段は、前記対応エステティック施術施設の環境情報、被施術者の情報を加味して前記評価結果情報を作成するように構成される。
【0012】
また、本発明において、好ましくは、前記運営管理装置は、前記要望情報、前記評価情報及び前記総合評価情報を、閲覧可能な形式で前記複数のエステティック施術施設に提供する閲覧表示手段(例えば、実施形態における閲覧表示部33)を備える。
【0013】
また、本発明において、前記運営者は前記複数のエステティック施術施設の運営を行う者であり、前記運営管理装置は前記複数のエステティック施術施設のうちのいずれかの施術施設内に設けられる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の化粧品開発サービス運営システムによれば、新規化粧品開発の要望情報と、この要望情報に基づき製造された試作化粧品に対する評価結果情報とが、管理運営者が管理する運営管理装置を介して、複数のエステティック施術施設がそれぞれ管理する施術施設側管理装置と、化粧品製造者が管理する製造者側管理装置との間でやり取りされる。そのため、要望情報及び評価結果情報を運営管理装置により一元管理しつつ、これらの情報の伝達を的確にかつ効率的に行うことができる。また、多くの顧客(被施術者)と接する機
会のあるエステティック施術施設では、どのようなユーザーがどのような化粧品を求めているのかについての情報を得やすい。そのため、新規化粧品開発に対する要望情報を複数のエステティック施術施設から集めることにより、ユーザーニーズに対応した新規化商品の開発に繋げることができる。また、試作化粧品に対する評価は、複数のエステティック施術施設において試作化粧品を用いたエステティック施術を行って、このエステティック施術の施術者および被施術者により行われる。これにより、美容サービスの専門家である施術者と、ユーザーとなる被施術者の率直な意見を、試作化粧品の評価に反映させることができるので、試作化粧品を的確に改良してユーザー満足度の向上に繋げることができる。このように本発明によれば、ユーザー満足度の高い新規化粧品を効率的に開発することが可能となる。
【0015】
本発明の好ましい態様では、運営管理装置は、複数のエステティック施術施設から送られてきた評価結果情報を纏めて総合評価情報を作成する総合評価情報作成手段を備え、運営管理装置においては、複数のエステティック施術施設から送られてきた複数の評価結果情報を受けて総合評価情報作成手段が総合評価情報を作成し、この総合評価情報を製造者側管理装置に送る。このような態様によれば、化粧品製造者は、運営管理装置から製造者側管理装置に送られてきた総合評価情報に基づき、試作化粧品を改良することができる。総合評価情報は、複数のエステティック施術施設から送られてきた複数の評価結果情報を纏めて作成されたものであるので、信頼性及び客観性が高くユーザーニーズを的確に反映したものとなる。そのため、このような総合評価情報に基づき試作化粧品を改良することより、的確にユーザー満足度の向上に繋げることができる。
【0016】
また、本発明の別の好ましい態様では、施術施設側管理装置はそれぞれ、この施術施設側管理装置が管理される対応エステティック施術施設において、エステティック施術の施術者および被施術者による試作化粧品に対する評価を入力する入力手段と、入力手段から入力された複数の評価を纏めて評価結果情報を作成する評価情報作成手段を備え、この評価情報作成手段により作成された評価結果情報が施術施設側管理装置から運営管理装置に送られる。このような態様によれば、対応エステティック施術の施術者および被施術者による試作化粧品に対する複数の評価を纏めた評価結果情報を効率良く作成することができるとともに、この評価結果情報を運営管理装置により効率的に一元管理することができる。
【0017】
さらに、このような態様において、評価情報作成手段は、対応エステティック施術施設の環境情報、例えば、当該施術施設が寒冷地に設置されているとか、海沿いで日射量の多い地域に設置されているとか、空気の澄んだ郊外の地域に設置されているとかの情報や、被施術者の情報、例えば、被施術者の性別、年代、肌質の状態、職業、趣味などの情報を加味して評価結果情報を作成するように構成される。このような構成によれば、対応エステティック施術施設の環境や被施術者の肌質等の違いによって、試作化粧品の評価結果が影響を受けて不適正なものとなることを防止して、評価結果情報の信頼性及び客観性を高めることができる。
【0018】
また、本発明の他の好ましい態様では、運営管理装置は、要望情報、評価情報及び総合評価情報を、閲覧可能な形式で複数のエステティック施術施設に提供する閲覧表示手段を備える。このような態様によれば、複数のエステティック施術施設においてそれぞれ、要望情報、評価情報及び総合評価情報を閲覧して参照することができるので、これらの情報を的確に把握することができるとともに、閲覧した情報を、潜在的なユーザーニーズを発掘することや、試作化粧品を適正に評価することなどのために活かすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】新規化粧品の開発サービスに関わる関係者間の関係性を例示する図である。
【
図2】上記開発サービスについて説明するための図である。
【
図3】化粧品開発サービス運営システムの構成例を示す図である。
【
図4】上記化粧品開発サービス運営システムにおける運営管理装置、製造者側管理装置及び施術施設側管理装置の機能構成例を示す図である。
【
図5】上記開発サービスの流れの一例を示すフローチャートである。
【
図6】マスター登録を行うマスター登録画面の一例を示す図である。
【
図7】新規化粧品開発の要望を入力する要望入力画面の一例を示す図である。
【
図9】試作化粧品に対する評価を入力する要望入力画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための具体的な形態について説明する。はじめに、新規化粧品の開発サービスについて、
図1及び
図2を参照して説明する。
【0021】
図1は、新規化粧品の開発サービスに関わる関係者間の関係性を例示する図である。この開発サービスは、管理運営者1により管理運営され、複数(図示例では3つであるが適宜変更可)のエステティック施術施設3(単に「施術施設3」とも称する)との連携の下で化粧品製造者5が新規化粧品の開発製造を行うサービスとしてサービス提供依頼者7に提供される。
【0022】
サービス提供依頼者7は、開発サービスの利用を希望する者であれば特に限定されるものではなく、例えば、複数の施術施設3のうちの一部または全部を運営する施術施設運営者であってもよいし、化粧品製造者5であってもよい。或いは、管理運営者1、施術施設3及び化粧品製造者5とは別の個人や企業等であってもよい。以下では、図示した全ての施術施設3を運営する施術施設運営者が、サービス提供依頼者7である場合を例にとって説明する。また、管理運営者1は、開発サービスの管理運営を行う者であれば特に限定されるものではなく、例えば、施術施設運営者であってもよいし、化粧品製造者5であってもよい。施術施設3は、例えば、エステティックサロンと称される店舗であり、化粧品製造者5は、例えば、化粧品のOEM製造を手掛ける化粧品メーカーである。
【0023】
開発サービスを提供するにあたり、管理運営者1は、提携している施術施設3及び化粧品製造者5と、開発サービスの実行契約を締結する。実行契約が締結されると、実行契約者(施術施設3及び化粧品製造者5)に対し、後述する化粧品開発サービス運営システムを利用するためのIDが管理運営者1から発行される。このIDの発行により、化粧品開発サービス運営システムの利用を、実行契約者に限定し、これにより、化粧品開発サービス運営システムが不正に利用されることを防止することができる。
図1の例では、化粧品製造者5が1つのみ図示されているが、複数の化粧品製造者5と提携し、その中から少なくとも1つの化粧品製造者5を選択して実行契約を締結してもよい。複数の化粧品製造者5と提携しておくことにより、開発する化粧品の種類等に応じて好適な化粧品製造者5を選択することができる。
【0024】
図2は、新規化粧品の開発サービスについて説明するための図である。サービス提供依頼者7(施術施設運営者)からの開発サービスの提供依頼を受けると、管理運営者1は、各施術施設3から新規化粧品開発の要望を募るとともに、各施術施設3からの新規化粧品開発の要望を化粧品製造者5に伝える。化粧品製造者5は、伝えられた新規化粧品開発の要望に基づき化粧品を試作して各施術施設3に送付して評価を求める。各施術施設3は、化粧品製造業者5から送付された試作化粧品を用いてエステティック施術を行い、このエステティック施術の施術者および被施術者による試作化粧品に対する評価を行う。この評
価は、管理運営者1を介して管理運営者1に伝えられる。化粧品製造者5は、伝えられた評価に基づき試作化粧品を改良し、改良した試作化粧品を各施術施設3に送付して評価を求める。以上のサイクルを、満足度の高い一定水準の評価が得られるまで繰り返し実行して、新規化粧品を開発していくというのが開発サービスの大まかな内容となる。
【0025】
図2の例では、試作化粧品は、化粧品製造者5から各施術施設3に直接送付される。送付の際には、送付した日時や到着予定日等を示す送付情報が、化粧品製造者5から管理運営者1に、電子メール等により伝えられる。なお、化粧品製造者5から管理運営者1に試作化粧品を送付し、送付された試作化粧品を管理運営者1が分けて各施術施設3に送付するようにしてもよい。これにより、試作化粧品の各施術施設3への送付を、管理運営者1が的確に管理することができる。開発サービスの提供が完了した場合、管理運営者1からサービス提供依頼者7に対しサービス提供料が請求され、サービス提供依頼者7から管理運営者1にサービス提供料が支払われる。管理運営者1に支払われたサービス提供料は、開発サービスの実行契約者(施術施設3及び化粧品製造者5)に対して一部が分配される。
【0026】
開発サービスを利用して新規化粧品を開発するためには、新規化粧品開発の要望や試作化粧品の評価に係る情報を、管理運営者1、各施術施設3及び化粧品製造者5の間で、確実に管理してやり取りする必要がある。これらの新規化粧品開発に必要となる情報の管理や授受は、人手により行うことも可能であるが、開発サービスの効率化を図るためには、これらの情報の管理及び授受を、効率的に実行するためのシステムを構築することが好ましい。
【0027】
以下、本発明の一実施形態における化粧品開発サービス運営システムについて、
図3及び
図4を追加参照して説明する。
図3は、化粧品開発サービス運営システムの概要を示している。
図3に示すように、化粧品開発サービス運営システム10は、管理運営者1が管理する運営管理装置30と、化粧品製造者5の管理の下に置かれ、運営管理装置30との間で情報の授受を行う製造者側管理装置50と、各施術施設3のそれぞれの管理の下に置かれ、運営管理装置30との間で情報の授受を行う施術施設側管理装置70とを有して構成される。運営管理装置30、製造者側管理装置50及び施術施設側管理装置70は、インターネット等のネットワークNTを介して相互通信可能に接続されている。
【0028】
運営管理装置30は、ネットワークNTに接続されたコンピュータであり、例えば、管理運営者1が保有する建屋内に設置される。なお、管理運営者1が施術施設運営者である場合には、運営管理装置30は、複数の施術施設3のうちのいずれかに設置されてもよい。ただし、設置場所は特に問わないため、運営管理装置30はレンタルサーバなどでもよい。製造者側管理装置50は、ネットワークNTに接続されたコンピュータ(例えば、画像表示面51(
図4を参照)を備えたパソコン)であり、例えば、化粧品製造者5が保有する建屋内に設置される。施術施設側管理装置70は、ネットワークNTに接続されたコンピュータ、例えば、入力手段となるタッチパネルとしても機能する画像表示面71(
図4を参照)を備えたタブレット端末とされるが、入力手段としてのキーボードやマウスを備えたパソコンでもよい。施術施設側管理装置70は、複数の施術施設3のそれぞれに少なくとも1台は備えられる。
【0029】
図4は、運営管理装置30、製造者側管理装置50及び施術施設側管理装置70の機能構成例を示している。施術施設側管理装置70には、タブレット端末を、以下に説明する要望情報作成部72及び評価結果情報作成部73として機能させるためのプログラムが組み込まれている。
【0030】
要望情報作成部72は、後述する要望入力画面を画像表示面71に表示し、同画面で入
力された新規化粧品開発の要望を纏めて要望情報(詳細後述)を作成する。作成された要望情報は、ネットワークNTを介して運営管理装置30に送信される。評価結果情報作成部73は、後述する評価入力画面を画像表示面71に表示し、同画面で入力された試作化粧品に対する評価を纏めて評価結果情報(詳細後述)を作成する。作成された評価結果情報は、ネットワークNTを介して運営管理装置30に送信される。
【0031】
運営管理装置30には、コンピュータを、以下に説明するマスター登録部31、要望情報管理部32、評価情報管理部33及び閲覧表示部34として機能させるためのプログラムが組み込まれている。マスター登録部31は、開発サービスの実行契約締結時に、ネットワークNTを介して実行契約者(施術施設3及び化粧品製造者5)を登録するマスター登録を行うための手段であり、具体的にはWebサイト(「登録用Webサイト」とも称する)として実装される。製造者側管理装置50または施術施設側管理装置70から登録用Webサイトに接続すると、製造者側管理装置50の画像表示面51や施術施設側管理装置70の画像表示面71にマスター登録画面(詳細後述)が表示される。このマスター登録画面において、IDが発行されるとともに、実行契約者の識別情報、例えば契約者名や所在地、契約パスワード(実行契約時に設定するパスワード)等の入力が求められる。これらの識別情報が入力されると、マスター登録部31は、それをデータ記憶媒体35に保存して登録する。
【0032】
要望情報管理部32は、各施術施設側管理装置70から送信された要望情報をデータ記憶媒体35に保存する。保存された要望情報は、随時或いは所定のタイミング(例えば、各施術施設側管理装置70からの要望情報が揃った時点)で製造者側管理装置50に送信される。評価情報管理部33は、各施術施設側管理装置70から送信された評価結果情報をデータ記憶媒体35に保存するとともに、保存された各評価結果情報を総合して総合評価情報(詳細後述)を作成する。作成された総合評価情報は、データ記憶媒体35に保存されるとともに、製造者側管理装置50に送信される。なお、総合評価情報だけではなく、データ記憶媒体35に保存された各評価結果情報がそのまま全部、或いは一部が取捨選択されて製造者側管理装置50に送信されるようにしてもよい。
【0033】
閲覧表示部34は、データ記憶媒体35に保存された情報(要望情報、評価結果情報及び総合評価情報を含む)を、ネットワークNTを介して各施術施設3(施術施設側管理装置70)において閲覧可能にする手段であり、具体的にはWebサイト(「閲覧用Webサイト」とも称する)として実装される。施術施設側管理装置70から閲覧用Webサイトに接続すると施術施設側管理装置70の画像表示面71にログイン画面(図示略)が表示され、ログイン認証のために、開発サービスの実行契約を締結した際に施術施設3(閲覧用Webサイトに接続した施術施設側管理装置70を保有する施術施設3)に対し発行されたIDと、実行契約時に設定した契約パスワードの入力が求められる。IDと契約パスワードを入力してログイン認証が完了すると、画像表示面71に、要望情報、評価結果情報、総合評価情報等が表示されて閲覧可能となる。これにより、或る施術施設3から出された要望情報や評価結果情報を、参考とするために別の施術施設3が閲覧することも可能となる。
【0034】
製造者側管理装置50には、パソコンを、以下に説明する開発用情報管理部52として機能させるためのプログラムが組み込まれている。開発用情報管理部52は、運営管理装置30から送信された要望情報及び総合評価情報をデータ記憶媒体53に保存する。また、開発用情報管理部52は、要望情報に基づき化粧品製造者5により製造された試作化粧品の情報(成分や容器等の情報)をデータ記憶媒体53に保存するとともに、総合評価情報に基づき化粧品製造者5により改良された試作化粧品の情報をデータ記憶媒体53に保存する。
【0035】
製造者側管理装置50から運営管理装置30の閲覧用Webサイトに接続することもできる。閲覧用Webサイトに接続すると製造者側管理装置50の画像表示面51にログイン画面が表示され、ログイン認証のために、開発サービスの実行契約を締結した際に管理運営者1から化粧品製造者5に対し発行されたIDと、実行契約時に設定した契約パスワードの入力が求められる。IDと契約パスワードを入力してログイン認証が完了すると、画像表示面51に、要望情報、総合要望情報、評価結果情報、総合評価情報等が表示されて閲覧可能となる。
【0036】
次に、開発サービスの流れについて
図5を追加参照して説明する。
図5のフローチャートは、開発サービスの流れを化粧品開発サービス運営システム10の動作と関連づけて示している。前述のとおり、化粧品開発サービス運営システム10を利用し開発サービスを実行するためには事前の実行契約が必要であり、実行契約が締結された段階でマスター登録が行われる(ステップS101)。
【0037】
マスター登録が行われると、登録された複数の施術施設3に対し管理運営者1から新規化粧品開発の要望(どのような新規化粧品を開発したいのかの要望)が募集される(ステップS102)。この新規化粧品開発の要望募集は、例えば、登録された複数の施術施設3にそれぞれ備えられた施術施設側管理装置70に対し運営管理装置30から新規化粧品開発の要望(「開発要望」とも称する)を募る旨の通知がネットワークNTを介して(例えば、電子メール等により)送られることによって行われる。この要望募集に応じて各施術施設3では、新規化粧品の開発要望が施術施設側管理装置70に入力される(ステップS103)。開発要望が入力されると、その開発要望が施術施設側管理装置70により纏められて要望情報が作成され、運営管理装置30に送信される(ステップS104)。
【0038】
運営管理装置30は、各施術施設3の施術施設側管理装置70から送られてきた各要望情報を保存するとともに、それらを製造者側管理装置50に送信する(ステップS105)。製造者側管理装置50は、運営管理装置30から送られてきた各要望情報を保存する(ステップS106)。そして、化粧品製造者5は、製造者側管理装置50に保存された要望情報に応じた試作化粧品を製造し、それを各施術施設3に送付する(ステップS107)。なお、試作化粧品製造の際には、まず要望情報を解析して要望情報に対応するように試作化粧品の成分等の仕様を仮決定し、次にその仮決定した仕様の試作化粧品を製造する。
【0039】
製造された試作化粧品が各施術施設3に送付されると、各施術施設3では、その試作化粧品を使用してエステティック施術を行う(ステップS108)。そして、使用した試作化粧品を評価し、その評価を施術施設側管理装置70に入力する(ステップS109)。なお、このときの試作化粧品に対する評価は、エステティック施術を行った施術者が行うとともに、エステティック施術を受けた被施術者も行う。これにより、美容サービスの専門家による信頼性の高い評価情報が得られるとともに、実際に試作化粧品が使用された被施術者によるユーザー目線での評価情報も得ることができる。使用された試作化粧品に対する評価が施術施設側管理装置70に入力されると、その評価が施術施設側管理装置70により纏められて評価結果情報が作成され、それが運営管理装置30に送信される(ステップS110)。
【0040】
運営管理装置30は、各施術施設3の施術施設側管理装置70から送られてきた各評価結果情報を保存するとともに、それらを総合して総合評価情報を作成し、製造者側管理装置50に送信する(ステップS111)。製造者側管理装置50は、運営管理装置30から送られてきた総合評価情報を保存する(ステップS112)。そして、化粧品製造者5は、製造者側管理装置50に保存された総合評価情報における満足度評価(詳細後述)が一定水準(「合格基準」とも称する)を超えた評価となっているか否かを判定する(ステ
ップS113)。ここで、総合評価が合格基準以下の場合は(ステップS113;NO)、総合評価情報に応じて試作化粧品を改良し、それを各施術施設3に送付する(ステップS114)。なお、試作化粧品改良の際には、まず総合評価情報を解析して総合評価情報に対応するように試作化粧品の成分内容や成分割合等を変更して試作化粧品を改良する。改良された試作化粧品が各施術施設3に送付されると、上記ステップS108~S113の処理が繰り返される。
【0041】
一方、上記ステップS112において、総合評価情報における満足度評価が合格基準を超えている場合は(ステップS113;YES)、試作化粧品の開発が完了する。そして、管理運営者1からサービス提供依頼者7に対しサービス提供料が請求される(ステップS116)。この請求を受けて、サービス提供依頼者7から管理運営者1にサービス提供料が支払われ(ステップS117)、これにより開発サービスが終了する。なお、開発が完了した新規化粧品は、化粧品製造者5からサービス提供依頼者7(施術施設運営者)に納品され、その代金がサービス提供依頼者7から化粧品製造者5に支払われる(管理運営者1を介して支払うようにしてもよい)。サービス提供依頼者7(施術施設運営者)に納品された新規化粧品は、各施術施設3において、エステティック施術用の業務用化粧品として使用してもよいし、販売用化粧品として顧客(被施術者)に対し販売してもよい。また、化粧品販売店や通信販売サイトを介して販売するようにしてもよい。
【0042】
図6は、ステップS101のマスター登録を行うマスター登録画面の一例を示している。
図6に例示するマスター登録画面210は、開発サービスの実行契約を締結するために施術施設3の施術施設側管理装置70から運営管理装置30の登録用Webサイトに接続された際に、施術施設側管理装置70の画像表示面71に表示される。マスター登録画面210には、表示枠211、入力枠212~215及び登録ボタン216が配置されている。表示枠211は、マスター登録の際に、運営管理装置30により発行されるIDが表示される枠である。入力枠212~214はそれぞれ、施術施設名、契約パスワード、契約者の所在地を入力する枠である。入力枠215は、施術施設の特徴、例えば、主に40代以降の裕福層を顧客対象とする高級エステティックサロンであるとか、主に20代以下の若年層を顧客対象とする大衆向けエステティックサロンであるといった情報を入力する枠である。登録ボタン216はマスター登録時にクリックするボタンである。入力枠212~215にそれぞれの項目の情報を入力後、登録ボタン216をクリックすると、入力された各情報がIDと関連付けされて保存され、マスター登録が完了する。
【0043】
図7は、上記ステップS103の開発要望の入力の際に施術施設側管理装置70が表示する要望入力画面の一例を示している。
図7に例示する要望入力画面220には、入力枠221~227及び確定ボタン228が配置されている。入力枠221は、開発したい化粧品の種類を入力する枠であり、選択可能な化粧品種類の名称がドロップダウンリストとして表示される。ドロップダウンリストとして表示されるのは、例えば、「化粧水」、「乳液」、「美容液」、「クレンジングクリーム」、「洗顔ジェル」、「ボディジェル」、「ボディクリーム」及び「その他」である。「その他」を選択した場合には、任意の化粧品種類の名称、例えば、「日焼け止めクリーム」や「パック」等が入力可能となる。なお、スキンケア化粧品だけではなく、メイクアップ化粧品(リップスティック、アイシャドー、ファンデーション等)や、フレグランス化粧品(香水、オードトワレ等)を入力できるようにしてもよい。
【0044】
入力枠222は、開発したい化粧品の対象年代(ターゲットユーザーの年代)を入力する枠であり、選択可能な年代がドロップダウンリストとして表示される。ドロップダウンリストとして表示されるのは、例えば、「10代」、「20代」、「30代」、「40代」、「50代」、「60代」及び「その他」である。「その他」を選択した場合には、任意の年代、例えば、「40~50代」や「50代以上」等が入力可能となる。なお、対象
年代だけではなく、対象性別を入力可能としてもよい。入力枠223は、開発したい化粧品の対象肌質(ターゲットユーザーの肌質)を入力する枠であり、選択可能な肌質の名称がドロップダウンリストとして表示される。ドロップダウンリストとして表示されるのは、例えば、「普通肌」、「乾燥肌」、「脂性肌」、「混合肌」、「敏感肌」である。
【0045】
入力枠224は、開発したい化粧品の香りを入力する枠であり、選択可能な香りの名称がドロップダウンリストとして表示される。ドロップダウンリストとして表示されるのは、例えば、「フローラル系」、「シトラス系」、「石鹸系」、「無香料」及び「その他」である。「その他」を選択した場合には、任意の香り、例えば、「さくらの香り」、「バラの香り」、「淡いレモンの香り」等が入力可能となる。入力枠225は、開発したい化粧品の中心となる成分(アピールポイントにしたい成分)を入力する枠であり、選択可能な成分の名称がドロップダウンリストとして表示される。ドロップダウンリストとして表示されるのは、例えば、「天然成分」、「漢方成分」、「最新成分」及び「その他」である。「その他」を選択した場合には、任意の成分、例えば、「ラベンダーの成分」、「葛根エキス」、「〇×博士の開発した▽×成分」等が入力可能となる。
【0046】
入力枠226は、開発したい化粧品の感触(肌触り感)を入力する枠であり、選択可能な感触の例がドロップダウンリストとして表示される。ドロップダウンリストとして表示されるのは、例えば、「さっぱりした感触」、「しっとりした感触」、「もちもちした感触」及び「その他」である。「その他」を選択した場合には、任意の感触、例えば、「こってりした感触」、「さらさらした感触」、「しっとりしているがべたつかない感触」等が入力可能となる。入力枠227は、開発したい化粧品の効能を入力する枠であり、選択可能な効能の例がドロップダウンリストとして表示される。ドロップダウンリストとして表示されるのは、例えば、「美白になる」、「肌を引き締める」、「しわを目立たなくする」、「肌に潤いを与える」及び「その他」である。「その他」を選択した場合には、任意の効能、例えば、「アンチエイジング」、「目元のたるみを解消する」、「シミを取る」等が入力可能となる。確定ボタン228は要望入力完了時にクリックするボタンである。入力枠221~227に各項目の要望データを入力後、確定ボタン228をクリックすると、入力された各項目の要望データが、入力を行った施術施設側管理装置70により要望情報として纏められ、運営管理装置30に送信される。
【0047】
図8は、上記ステップS104で作成される要望情報の一例を示している。
図8に例示する要望情報230は、開発したい化粧品の種類が「ボディクリーム」、対象年代が「40~50代」、対象肌質が「敏感肌」、香りが「シトラス系」、中心となる成分が「生薬成分」、感触が「しっとり」、効能が「肌を引き締める」の場合を例示している。前述したように要望情報は、製造者側管理装置50または施術施設側管理装置70から運営管理装置30の閲覧用Webサイトに接続することにより表示可能となる。このとき、閲覧した要望情報がどの施術施設3によって出されたものなのかが識別できるように、表示される要望情報には、要望情報を纏めた施術施設側管理装置70を保有する施術施設3の名称も併せて表示される(
図8を参照)。
【0048】
なお、要望情報は各施術施設3からそれぞれ出されるのが原則となるが、各施術施設3間で開発要望を調整して共同の1つの要望情報を決めるようにしてもよい。例えば、各施術施設3がネットワークNTを介してWeb会議を行って、共同の要望情報を決めるようにしてもよい。施術施設3では、日々のエステティック施術を通じて、美容意識の高い顧客(被施術者)と接する機会が多く、そこから、新規化粧品に対する潜在的なニーズ等を察知することも可能となる。そのため、各施術施設3が新規化粧品の開発要望を出し合って検討することにより、ユーザー満足度の高い新規化粧品の開発に結び付けられる可能性も高まる。
【0049】
図9は、上記ステップS109の評価入力の際に施術施設側管理装置70が表示する評価入力画面の一例を示している。
図9に例示する評価入力画面240には、入力枠241~247及び確定ボタン248が配置されている。入力枠241は、試作化粧品を使用したエステティック施術を行った施術者の情報を入力する枠である。入力する情報としては、主に施術者としての属性情報、例えば、施術者としての経験年数、一か月に行うエステティック施術の平均実行数、指名を受ける顧客数等であるが、個人としての属性情報、例えば、年齢、性別、趣味等を入力してもよい。なお、これら施術者の情報は、評価入力画面240で行わずに、別の入力画面(「施術者情報入力画面」とも称する、図示略)で行うようにしてもよい。そして、施術者情報入力画面においては、施術者の情報とともにその施術者を他の施術者と識別するための記号や文字、番号等で構成される施術者識別情報を入力し、評価入力画面240の入力枠241ではその施術者識別情報のみを入力するようにしてもよい。
【0050】
入力枠242は、試作化粧品を使用したエステティック施術を受けた施術者の情報を入力する枠である。入力する情報としては、主に被施術者としての属性情報、例えば、肌質、施術施設の利用年数、一か月に受けるエステティック施術の平均回数等であるが、個人属性、例えば、年齢、性別、居所、職業、趣味、年収、一か月の小遣い額、好きな化粧品ブランド、出身地等を入力してもよい。なお、これら被施術者の情報は、評価入力画面240で行わずに、別の入力画面(「被施術者情報入力画面」とも称する、図示略)で行うようにしてもよい。そして、被施術者情報入力画面においては、被施術者の情報とともにその被施術者を他の被施術者と識別するための記号や文字、番号等で構成される被施術者識別情報を入力し、評価入力画面240の入力枠242ではその被施術者識別情報のみを入力するようにしてもよい。
【0051】
入力枠243は、評価した者の種別を入力する枠であり、選択肢として「施術者」または「被施術者」がドロップダウンリストとして表示される。入力枠244~247はそれぞれ、試作化粧品の「香り」、「成分イメージ」、「感触(しっとり感)」及び「効能(肌の引き締まり感)」の各項目に対する評価を入力する枠であり、選択可能な評価レベルがドロップダウンリストとして表示される。ドロップダウンリストとして表示されるのは、例えば、7段階の評価レベル、「7:とても良い(+3)」、「6:かなり良い(+2)」、「5:まあまあ良い(+1)」、「4:普通(0)」、「3:少し悪い(-1)」、「2:かなり悪い(-2)」、「1:とても悪い(-3)」である。評価レベルの選択は、例えば、「香り」の項目であれば、評価者が試作化粧品の香りをとても高く評価すれば、7段階の評価レベルのうちの「7:とても良い(+3)」が選択されるというように行われる。各評価レベルにおける括弧付きの数値は評価値であり、総合評価情報を作成する際に使用される。確定ボタン248は評価入力完了時にクリックするボタンである。入力枠241~247に評価レベルを入力後、確定ボタン248をクリックすると、入力された各項目の評価レベルのデータが、入力を行った施術施設側管理装置70により評価結果情報として纏められ、運営管理装置30に送信される。
【0052】
図10は、上記ステップS110で作成される評価結果情報の一例を示している。
図10に例示する評価結果情報250では、「施術者識別情報:ES・・・」、「被施術者識別情報:CT・・・」が表示されるとともに、評価者種別が「施術者」であることが表示されている。また、評価結果情報250は、試作化粧品における「香り」、「成分イメージ」、「感触(しっとり感)」及び「効能(肌の引き締まり感)」の各項目における評価レベルがそれぞれ、「6:かなり良い(+2)」、「3:少し悪い(-1)」、「4:普通(0)」、「7:とても良い(+3)」、「5:まあまあ良い(+1)」である場合を例示している。前述したように評価結果情報は、製造者側管理装置50または施術施設側管理装置70から運営管理装置30の閲覧用Webサイトに接続することにより表示可能となる。このとき、閲覧した評価結果情報がどの施術施設3によって出されたものかが識
別できるように、表示される評価結果情報には、評価結果報を纏めた施術施設側管理装置70を保有する施術施設3の名称も併せて表示される(
図10を参照)。また、表示された評価結果情報の画面において、「施術者識別情報:ES・・・」の表示箇所をクリックすると、施術者の属性情報が表示され、「被施術者識別情報:CT・・・」の表示箇所をクリックすると被施術者の属性情報が閲覧可能に表示される。
【0053】
なお、例示した評価は、人の五感(視覚、触覚、嗅覚、味覚、聴覚)を使って行う官能評価によるものであるが、測定機器を用いて行う機能評価を一部採用してもよい。施術者は、エステティック施術に精通した美容サービスの専門家であり、種々の化粧品を取り扱う機会が多い。そのため、エステティック施術において実際に施術者が試作化粧品を使用した上で行った試作化粧品に対する評価を評価結果情報とすることで、客観的で信頼性の高い評価結果を得ることができる。また、エステティック施術を受ける被施術者は、美容(化粧品)に対する意識と情報感度が高く、化粧品に対する知識も一般的ユーザーよりも高い傾向がある。そのため、試作化粧品を使用したエステティック施術を受けた上で被施術者が行った試作化粧品に対する評価を評価結果情報とすることで、ユーザーとしての信頼性の高い評価結果を得ることができる。
【0054】
各施術施設3の施術施設側管理装置70から運営管理装置30へ送られてきた各評価結果情報は、運営管理装置30において総合されて総合評価結果情報が作成される(上記ステップS111を参照)。
図11は、上記ステップS111で作成される総合評価情報の一例を示している。
図11に例示する総合評価情報260は、試作化粧品における「香り」、「成分イメージ」、「感触(しっとり感)」及び「効能(肌の引き締まり感)」の各項目における評価点がそれぞれ、「+2.1」、「+1.1」、「+1.8」、「-0.3」である場合を例示している。これらの評価点は、各施術施設3の施術施設側管理装置70から運営管理装置30へ送られてきた各評価結果情報における「香り」、「成分イメージ」、「感触(しっとり感)」及び「効能(肌の引き締まり感)」の各項目における評価点を項目別に平均したものである。例えば、運営管理装置30へ送られてきた評価結果情報が5個あり、それら5個の評価結果情報における「香り」の項目に対する評価点がそれぞれ、「+3」、「+2」、「+1」、「+2」、「-1」である場合は、これら5個の評価点を合計し、それを5で除した値「1.4」が、総合評価情報における「香り」の項目に対する評価点となる。
【0055】
ただし、各評価結果情報における評価点が単純に合計されるのではなく、特定の評価結果情報における評価点に付いては所定の重み付けがなされる場合がある。この重み付けは、例えば、評価を行った施術施設の環境情報や被施術者の情報に基づいて行われる。施術施設の環境情報に関しては、例えば、評価を行った施術施設が寒冷地にある場合は、「感触(しっとり感)」の項目に対する評価のばらつきが大きくなる傾向があるとして、その施術施設からの同項目に対する評価点に対してはばらつきを抑える重み付け係数(例えば、0.9)を掛ける。また、評価を行った施術施設が大都市の街中にある場合は、「香り」の項目に対する評価が低くなる傾向があるとして、その施術施設からの同項目に対する評価点に対しては、一律に(例えば、0.2)加点するといった例が挙げられる。
【0056】
被施術者の情報に関しては、例えば、被施術者が対象年代や対象肌質に合致する場合は、そのような被施術者による評価を重視して、同被施術者による各項目に対する評価点には、それぞれ評価点を拡大する重み付け係数(例えば、1.2)を掛ける。また、エステティック施術を受けた経験が多い被施術者の場合は、「成分イメージ」の項目に対する評価が低めとなる傾向があるとして、そのような被施術者による「成分イメージ」の項目に対する評価点には、一律に(例えば、0.1)加点するといった例が挙げられる。なお、被施術者の情報に関しては、先に例示した種々の属性情報(職業、趣味、年収、好きな化粧品ブランド等)があるので、これらの属性情報に基づいて重み付けを行ってもよい。ま
た、評価を行った施術施設の特徴情報や施術者の情報に基づいて重み付けを行ってもよい。例えば、評価を行った施術施設が高級エステティックサロンである場合は、その施術施設からの各項目に対する評価点に対して一律に加点したり、施術者としての経験年数が10年以上となる施術者による各項目に対する評価点には、それぞれ評価点を拡大する重み付け係数(例えば、1.1)を掛けたりするといった例が挙げられる。
【0057】
また、
図11の総合評価情報260には、満足度評価が表示されている。この満足度評価は、総合評価情報260における「香り」、「成分イメージ」、「感触(しっとり感)」及び「効能(肌の引き締まり感)」の各項目に対する評価点を合計したものである。前述したように、この満足度評価が、合格基準を超えた場合は新規化粧品の開発が完了し、合格基準以下の場合は試作化粧品の改良が行われる(上記ステップS113を参照)。
図11の例では、満足度評価が「+4.7」であるのに対し合格基準が「+9.0」であるので、試作化粧品の改良が行われる。前述したように総合評価情報は、製造者側管理装置50または施術施設側管理装置70から運営管理装置30の閲覧用Webサイトに接続することにより表示可能となる。
【0058】
以上説明した化粧品開発サービス運営システム10によれば、要望情報、評価結果情報及び総合評価情報を運営管理装置30により一元管理しつつ、これらの情報の作成、伝達を的確かつ効率的に行うことができる。また、美容サービスの専門家である施術者と、美容意識が総じて高い被施術者の率直な意見を、試作化粧品の評価に反映させることができるので、試作化粧品を的確に改良してユーザー満足度の向上に繋げることができる。そのため、ユーザー満足度の高い新規化粧品を効率的に開発することが可能となる。なお、本発明は、上記実施形態の態様に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 管理運営者
3 エステティック施術施設
5 化粧品製造者
7 サービス提供依頼者
10 化粧品開発サービス運営システム
30 運営管理装置
33 評価情報管理部(総合評価情報作成手段)
34 閲覧表示部(閲覧表示手段)
50 製造者側管理装置
70 施術施設側管理装置
71 画像表示面(入力手段)
73 評価結果情報作成部(評価情報作成手段)
210 マスター登録画面
220 要望入力画面
230 要望情報
240 評価入力画面
250 評価結果情報
260 総合評価情報
NT ネットワーク