(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022102732
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】衛生薄葉紙入り収納箱
(51)【国際特許分類】
B65D 83/08 20060101AFI20220630BHJP
A47K 10/20 20060101ALI20220630BHJP
A47K 10/42 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
B65D83/08 B
A47K10/20 B
A47K10/42 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020217638
(22)【出願日】2020-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 光
(72)【発明者】
【氏名】大岡 康伸
(72)【発明者】
【氏名】藤田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】大篭 幸治
【テーマコード(参考)】
3E014
【Fターム(参考)】
3E014LB01
3E014LB03
(57)【要約】
【課題】蓋部の開封がし易く、衛生薄葉紙の取出し性が良好である衛生薄葉紙入り収納箱を提供する。
【解決手段】本発明は、収納箱11の内部に衛生薄葉紙20を有し、収納箱11の取出し口13にフィルムを有しない衛生薄葉紙入り収納箱10であって、取出し口13が、収納箱11の長手方向に延びる形状であり、中央部と、中央部の長手方向の両側に延びる長手開口部とを有し、中央部における長手方向に直交する方向の長さが、長手開口部の両端部における長手方向に直交する方向の長さより大きく、取出し口13に、取出し口13を塞ぐ、第1ミシン目12で囲まれた蓋部14を有し、蓋部14は、蓋部14を長手方向に2分割する第2ミシン目16と開封用タブ15を構成する第3ミシン目17とを有する衛生薄葉紙入り収納箱10である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納箱の内部に衛生薄葉紙を有し、収納箱の取出し口にフィルムを有しない衛生薄葉紙入り収納箱であって、
前記取出し口が、前記収納箱の長手方向に延びる形状であり、中央部と、該中央部の前記長手方向の両側に延びる長手開口部とを有し、
前記中央部における前記長手方向に直交する方向の長さが、前記長手開口部の両端部における前記長手方向に直交する方向の長さより大きく、
前記取出し口に、該取出し口を塞ぐ、第1ミシン目で囲まれた蓋部を有し、
前記蓋部が、前記蓋部を長手方向に2分割する第2ミシン目と開封用タブを構成する第3ミシン目とを有する衛生薄葉紙入り収納箱。
【請求項2】
前記開封用タブが、半円形又は半楕円形の押込み片であり、
前記開封用タブの前記長手方向の長さが、10mm以上30mm以下であり、前記長手方向に直交する方向の長さが、14mm以上30mm以下である請求項1記載の衛生薄葉紙入り収納箱。
【請求項3】
前記押込み片の曲線部のRが、7mm以上15mm以下である請求項1又は2記載の衛生薄葉紙入り収納箱。
【請求項4】
前記第1ミシン目のタイカット比が、1:1以上1:6以下である請求項1から3いずれか1項記載の衛生薄葉紙入り収納箱。
【請求項5】
前記中央部における前記長手方向に直交する方向の長さが、30mm以上65mm以下であり、前記両端部における前記長手方向に直交する方向の長さが、8mm以上40mm以下である請求項1から4いずれか1項記載の衛生薄葉紙入り収納箱。
【請求項6】
前記衛生薄葉紙の組数が、120組以上260組以下である請求項1から5いずれか1項記載の衛生薄葉紙入り収納箱。
【請求項7】
前記収納箱の坪量が、200g/m2以上450g/m2以下であり、前記収納箱の高さが35mm以上77mm以下である請求項1から6いずれか1項記載の衛生薄葉紙入り収納箱。
【請求項8】
前記衛生薄葉紙の引出し方向の長さが、150mm以上240mm以下であり、前記衛生薄葉紙の引出し方向に直交する方向の長さが、160mm以上260mm以下である請求項1から7いずれか1項記載の衛生薄葉紙入り収納箱。
【請求項9】
前記衛生薄葉紙の引出し方向の引張強度が、0.7N/25mm以上2.5N/25mm以下であり、前記衛生薄葉紙の引出し方向に直交する方向の引張強度が、2.8N/25mm以上6.0N/25mm以下である請求項1から8いずれか1項記載の衛生薄葉紙入り収納箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生薄葉紙入り収納箱に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ティッシュペーパー等の衛生薄葉紙が収容された衛生薄葉紙入り収納箱は、軽量化及びコンパクト化が進められている。衛生薄葉紙入り収納箱は、生産者にとっては、収納箱の生産コスト及び製品輸送コストを削減することができるという利点があり、消費者にとっては、商品購入時の持ち帰り作業の簡易化、及び家での保管スペースの削減が可能となる。
衛生薄葉紙入り収納箱には取出し口にフィルムが設けられているものが多いが、ごみの分別化により、フィルムを収納箱から外して捨てる必要があることから、近年は、取出し口のフィルムレス化が進んでいる(特許文献1から3参照)。このような収納箱は、フィルムレスカートンとも呼ばれている。従来のフィルムレスカートンにおいては、取出し口を大きくするとゴミ等がカートン内に侵入し易く、また、次に取り出す衛生薄葉紙の保持が難くなることから、取出し口を狭くしたものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-53176号公報
【特許文献2】特開2009-102078号公報
【特許文献3】特開2010-13181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特に、取出し口の短辺方向を狭めたものとして、取出し口片の長手方向の片側に開封タブ(押し込みタブ)部を形成したものが知られている(
図10参照)。しかしながら、その開封タブ部を摘み、ミシン目で囲まれた取出し口片(本明細書では蓋部ともいう)を引き上げる際、収納箱を構成する板紙が層間剥離してミシン目でうまく破断せず、取出し口が良好に形成されないことがある。特に、フィルムレスカートンの坪量が低い場合にはこの現象が顕著となる。
さらに、衛生薄葉紙の入り数を多くした場合、フィルムレスカートンを採用すると、収納箱の天面と衛生薄葉紙束との間の空間が無く、収納箱の天面と衛生薄葉紙とが密接することから、衛生薄葉紙が取出しにくいという問題もある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、フィルムレスの衛生薄葉紙入り収納箱であって、蓋部の開封がし易く、衛生薄葉紙の取出し性が良好である衛生薄葉紙入り収納箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の発明者は、鋭意検討を行った結果、フィルムレスの収納箱の取出し口を覆う蓋部を特定の構成にすることにより、蓋部の開封がし易く、衛生薄葉紙の取出し性が良好であることを見出し、本発明に至った。
【0007】
すなわち、本発明は、収納箱の内部に衛生薄葉紙を有し、収納箱の取出し口にフィルムを有しない衛生薄葉紙入り収納箱であって、取出し口が、収納箱の長手方向に延びる形状であり、中央部と、中央部の長手方向の両側に延びる長手開口部とを有し、中央部における長手方向に直交する方向の長さが、長手開口部の両端部における長手方向に直交する方向の長さより大きく、取出し口に、取出し口を塞ぐ、第1ミシン目で囲まれた蓋部を有し、蓋部が、蓋部を長手方向に2分割する第2ミシン目と開封用タブを構成する第3ミシン目とを有する衛生薄葉紙入り収納箱である。
【0008】
開封用タブは、半円形又は半楕円形の押込み片であり、開封用タブの長手方向の長さは、10mm以上30mm以下であり、長手方向に直交する方向の長さは、14mm以上30mm以下であることが好ましい。
【0009】
押込み片の曲線部のRは、7mm以上15mm以下であることが好ましい。
【0010】
第1ミシン目のタイカット比は、1:1以上1:6以下であることが好ましい。
【0011】
中央部における長手方向に直交する方向の長さは、30mm以上65mm以下であり、両端部における長手方向に直交する方向の長さは、8mm以上40mm以下であることが好ましい。
【0012】
衛生薄葉紙の組数は、120組以上260組以下であることが好ましい。
【0013】
収納箱の坪量は、200g/m2以上450g/m2以下であり、収納箱の高さは、35mm以上77mm以下であることが好ましい。
【0014】
衛生薄葉紙の引出し方向の長さは、150mm以上240mm以下であり、衛生薄葉紙の引出し方向に直交する方向の長さは、160mm以上260mm以下であることが好ましい。
【0015】
衛生薄葉紙の引出し方向の引張強度は、0.7N/25mm以上2.5N/25mm以下であり、衛生薄葉紙の引出し方向に直交する方向の引張強度は、2.8N/25mm以上6.0N/25mm以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、フィルムレスの衛生薄葉紙入り収納箱であって、蓋部の開封がし易く、衛生薄葉紙の取出し性が良好である衛生薄葉紙入り収納箱を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の衛生薄葉紙用入り収納箱の一実施形態を示す斜視図ある。
【
図2】衛生薄葉紙を取出し口から引き出す状態を示す断面図である。
【
図3】衛生薄葉紙入り収納箱の取出し口を示す平面図である。
【
図5】衛生薄葉紙入り収納箱の蓋部を示す平面図である。
【
図7】蓋部のさらに他の実施形態を示す平面図である。
【
図8】開封用タブを押し込んだときの平面図と側面投影図である。
【
図9】蓋部を引き上げたときの平面図と側面投影図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。なお、本発明の実施形態の説明の全体を通して、同じ要素には同じ符号を付している。
【0019】
[衛生薄葉紙入り収納箱]
図1に示すように、本発明の衛生薄葉紙入り収納箱10は、収納箱11の内部に衛生薄葉紙20を有し、取出し口13にはフィルムを有しない。衛生薄葉紙20は、例えば、
図2に示すように、折り線21で折り畳まれて収納箱11に収納されている。衛生薄葉紙20の引出し方向とは、
図2中の上向き矢印の方向であり、引出し方向に直交する方向は、収納箱11のX方向に相当する。
【0020】
(収納箱)
本発明の衛生薄葉紙入り収納箱10における収納箱11は、紙製の直方体である。
-坪量-
収納箱11の坪量は、200g/m2以上450g/m2以下であることが好ましく、240g/m2以上400g/m2以下であることがより好ましく、270g/m2以上350g/m2以下であることが更に好ましい。収納箱11の坪量が、200g/m2以上であることにより、衛生薄葉紙20の取出し性が良好となり、450g/m2以下であることにより、衛生薄葉紙20の破れにくくなる。また、収納箱11の強度を維持して収納箱11を潰れにくくできるとともに、収納箱11の製函性も良好に維持される。
製函性とは、収納箱11を二つ折りにした状態から四角柱状の筒体に変形させる際の起函しやすさや、起函後に収納箱11に衛生薄葉紙20の積層体を収容(充填)する際、短辺側フラップ及び高さ側フラップを折り重ねる際の開口の封緘し易さをいう。
収納箱11の坪量は、JIS P 8124に基づいて測定される値である。
【0021】
-収納箱のサイズ-
図1に示すように、収納箱11の高さH
C(
図1中Z方向)は、35mm以上77mm以下であることが好ましく、35mm以上64mm以下であることがより好ましく、35mm以上58mm以下が更に好ましい。
また、収納箱11の長手方向の長さL
C(
図1中X方向)は、160mm以上250mm以下であることが好ましく、180mm以上240mm以下であることがより好ましい。
また、収納箱11の長手方向に直交する方向(
図1中Y方向、以下、短手方向と記載する場合がある)の長さW
Cは、100mm以上120mm以下であることが好ましく、105mm以上115mm以下であることがより好ましい。
長手方向の長さL
C及び短手方向の長さW
Cの好ましい組み合わせは、長手方向の長さL
Cが160mm以上250mm以下であり、短手方向の長さW
Cが100mm以上120mm以下である。
収納箱11を上記範囲のサイズにすることにより、フィルムレスの収納箱11であっても衛生薄葉紙20の取出し性が良好になる。
【0022】
(取出し口)
本実施形態の取出し口13は、
図3に示すように、略楕円形の中央部Aと、その両側に延びる長手開口部B1及びB2とを有し、長手開口部B1及びB2に両端部18を有する。
【0023】
ここで、取出し口13の長手方向の「中央部」とは、長手方向の中心を含めて、取出し口13の長手方向の長さL13の45%以上55%以下の領域を示す。
また、「長手開口部」は、中央部Aの長手方向の両側に位置し、それぞれ、取出し口13の長手方向の長さL13の0%より大きく28%以下の領域を示す。
さらに、「両端部」とは、長手開口部B1及びB2の端18aから長手方向の0%以上15%以下の領域を示す。
【0024】
取出し口13の長手方向(X方向)の長さL13は、130mm以上220mm以下であることが好ましく、155mm以上215mm以下であることがより好ましく、165mm以上210mm以下であることが更に好ましい。取出し口13の長手方向の長さL13が、135mm以上であることにより、衛生薄葉紙20を引出しやすく、220mm以下であることにより、ドロップバックしにくくなる。
【0025】
取出し口13の長手方向の中央部Aにおける長手方向に直交する方向(Y方向)の長さWaは、両端部18における長手方向に直交する方向の長さWbより大きい。中央部Aの長さWaが、両端部18の長さWbより大きいことにより、1枚目が摘まみやすく、2枚目以降が支持されやすいという利点がある。
【0026】
取出し口13の長手方向の中央部Aにおける長手方向に直交する方向の長さWaは、30mm以上65mm以下であることが好ましく、35mm以上60mm以下であることがより好ましく、40mm以上55mm以下であることが更に好ましい。中央部Aにおける長手方向に直交する方向の長さWaが、30mm以上であることにより、1組目の衛生薄葉紙20を摘み易く、65mm以下であることにより、ゴミの侵入を防ぐことができる。
なお、Waは、中央部14における領域最大値を示す。
【0027】
取出し口13の両端部18における長手方向に直交する方向の長さWbは、8mm以上40mm以下であることが好ましく、10mm以上30mm以下であることがより好ましく、12mm以上20mm以下であることが更に好ましい。両端部18における長手方向に直交する方向の長さWbが、8mm以上であることにより、衛生薄葉紙20を引き出し易く、40mm以下であることにより、ドロップバックしにくくなる。
なお、Wbは、両端部15における領域最大値を示す。
【0028】
中央部Aの形状は、円形、楕形、矩形状等、様々な形状にすることができるが、取出し易さを考慮すると、円形又は楕円形であることが好ましい。
長手開口部B1及びB2のそれぞれの端は、
図3に示すように、R形状であることが好ましい。
【0029】
取出し口13の開口面積は、2000mm
2以上7000mm
2以下であることが好ましい。3000mm
2以上6000mm
2以下であることがより好ましく、3500mm
2以上5000mm
2以下であることが更に好ましい。取出し口13の開口面積が、2000mm
2以上であることにより、衛生薄葉紙20を取出し易く、7000mm
2以下であることにより、ゴミが入りにくい。
なお、開口面積は、以下のようにして測定することができる。まず、
図1に示すように、蓋部14がついた状態の収納箱10の天面11aだけの質量及び面積を測定する。次に、蓋部14を開封用ミシン目12で取り除いた後、蓋部14のみの質量を測定する。その2つの質量比から開口面積を算出する。
取出し口13の開口面積は、収納箱11の天面11aの面積に対して5%以上30%以下であることが好ましく、10%以上25%以下であることがより好ましく、15%以上20%以下であることが更に好ましい。
【0030】
-蓋部-
本発明の衛生薄葉紙入り収納箱10は、
図5に示すように、取出し口13に、取出し口13を塞ぐ、第1ミシン目12で囲まれた蓋部14を有し、蓋部14は、蓋部14を長手方向に2分割する第2ミシン目16と、開封用タブ15を構成する半円形に形成された第3ミシン目17とを有する。
【0031】
第1ミシン目12のタイカット比(すなわち、ボンド幅:切断幅)は、1:1以上1:6以下であることが好ましい。第1ミシン目12のタイカット比が上記範囲であることにより、蓋部14を、収納箱11が層間剥離することなく、良好に取り除くことができる。
【0032】
図5に示すように、開封用タブ15の長手方向の長さL
15は、10mm以上30mm以下であることが好ましく、10mm以上22mm以下であることがより好ましく、10mm以上16mm以下であることが更に好ましい。長手方向の長さL
15が、10mm以上であることにより、押し込み片を摘まみ易く、30mm以下であることにより、第2ミシン目16を開封しやすい。
【0033】
開封用タブ15の長手方向に直交する方向の長さW15は、14mm以上30mm以下であることが好ましく、16mm以上26mm以下であることがより好ましく、18mm以上22mm以下であることが更に好ましい。長手方向に直交する方向の長さW15が、14mm以上であることにより、押込みやすく、30mm以下であることにより第2ミシン目16を開封しやすい。
【0034】
上記では、蓋部14は、半円形の押込み片からなる開封用タブ15を有するものについて説明したが、
図6及び
図7に示すような半楕円形の押込み片からなる開封用タブ15を有するものであってもよい。
図6に示す形態では、蓋部14は、長手方向の中心に設けられた、蓋部14を長手方向に2分割する第2ミシン目16と、開封用タブ15を構成する略楕円形に設けられた第3ミシン目17とを有する。
図7に示す形態では、蓋部14は、Y方向に対して斜め方向に設けられた第2ミシン目16と、第2ミシン目16に連続して略楕円形に設けられた第3ミシン目17とを有する。
【0035】
蓋部14は、以下のようにして開封される。
図8及び
図9を参照しながら説明する。
図8及び
図9に示す開封用タブ15は、上記の
図6の楕円形のものである。
まず、
図8に示すように、第2ミシン目16を開裂させて開封用タブ15を内部へ押し込むと、孔が形成される。次に、孔に指をかけて、
図9に示すように、蓋部14を長手方向に2分割しながら上方に引き上げ、第1ミシン目12を開裂させて蓋部14を取り除く。
【0036】
開封用タブ15の曲線部のRは、7mm以上15mm以下であることが好ましく、8mm以上13mm以下であることがより好ましく、9mm以上11mm以下であることが更に好ましい。このようなR形状であることにより、開封用タブ15を押込み易くなる。
【0037】
(衛生薄葉紙)
本発明における衛生薄葉紙20の詳細を以下に説明する。衛生薄葉紙20には、通常、ティッシュペーパーと称されるものを含む。
【0038】
-組数-
本発明の衛生薄葉紙入り収納箱10に収納される衛生薄葉紙20の組数は、120組以上260組以下である。組数は、140組以上240組以下であることがより好ましく、150組以上220組以下であることが更に好ましい。
【0039】
-紙厚-
衛生薄葉紙20における、紙厚は、1プライ当たり、35μm以上75μm以下であることが好ましく、40μm以上65μm以下であることがより好ましく、45μm以上55μm以下であることが更に好ましい。また、衛生薄葉紙は、1組2プライであることが好ましい。
【0040】
紙厚は、以下の方法で測定した値とする。
装置は、シックネスゲージ(尾崎製作所製のダイヤルシックネスゲージ「PEACOCK」)を用いる。測定条件は、測定荷重250gf、測定子直径30mmで、測定子と測定台の間に試料を置き、測定子を1秒間に1mm以下の速度で下ろしたときのゲージを読み取る。1回の測定は1プライのシートを10枚(2プライのシートを5組)重ねて行い、測定を10回繰り返して測定結果を平均し、その後、値を1/10にして、1プライ当たりの値にする。
【0041】
衛生薄葉紙20の引出し方向に直交する方向の長さ(L
20、
図4参照)に対する取出し口13の長手方向の長さL
13(
図3参照)の比率は、下記式(1)で表され、60%以上100%以下であることが好ましく、70%以上96%以下であることがより好ましく、80%以上92%以下であることが更に好ましい。
取出し口の長手方向の長さ(mm)/衛生薄葉紙の引出し方向に直交する方向の長さ(mm)×100・・・(1)
上記式(1)で求められる値が、60%以上であることにより、衛生薄葉紙20を破れることなく取り出すことができ、100%以下であることにより、衛生薄葉紙20のドロップバックを防止することができる。
【0042】
下記式(2)で表される、衛生薄葉紙20の引出し方向の長さW20に対する収納箱11の高さHcの比率が、10%以上40%以下であることが好ましく、14%以上34%以下であることがより好ましく、18%以上28%以下であることが更に好ましい。
収納箱の高さ(mm)/衛生薄葉紙の引出し方向の長さ(mm)×100・・・(2)
衛生薄葉紙20の引出し方向の長さW20に対する収納箱11の高さHcの比率が、10%以上であることにより、衛生薄葉紙20の引出し性が良化し、40%以上であることにより、衛生薄葉紙20のドロップバックを防止することができる。
【0043】
下記式(3)で表される、衛生薄葉紙20の組数に対する収納箱11の高さHcの比率が、16以上40以下であることが好ましく、18以上34以下であることがより好ましく、20以上28以下であることが更に好ましい。
(収納箱の高さ(mm)/衛生薄葉紙の組数)×100・・・(3)
衛生薄葉紙20の組数に対する収納箱11の高さHcの比率が、16以上であることにより、衛生薄葉紙20の引出し性が良化し、40以下であることにより、上部空間が適切に空いているため、1枚目の衛生薄葉紙20が摘まみやすくなる。
【0044】
また、衛生薄葉紙20は、収納箱11との関係において、下記式(4)で表される値が、15以上25以下であることが好ましく、14以上24以下であることがより好ましく、16以上23以下であることが更に好ましい。
(衛生薄葉紙の組数×衛生薄葉紙の紙厚(μm)/1000/収納箱の高さ(mm))×100・・・(4)
なお、衛生薄葉紙の紙厚(μm)は、1プライ当たりの紙厚を示す。
上記式(4)で求められる値が、15以上であることにより、上部空間が適切に空いているため、衛生薄葉紙20の1組目が摘み易くなり、25以下であることにより、衛生薄葉紙20が収納箱11の天面11aから圧迫される圧力が小さく、衛生薄葉紙20が破れることなく、滑らかに取り出すことができる。
【0045】
-坪量-
衛生薄葉紙20における、シート1プライ当たりの坪量は、9g/m2以上15g/m2以下であることが好ましく、9g/m2以上13g/m2以下であることがより好ましく、9g/m2以上11g/m2以下であることが更に好ましい。坪量は、JIS P 8124に基づき測定される値である。
【0046】
衛生薄葉紙20の紙厚及びシート1プライ当たりの坪量を上記の範囲内にすることにより、柔らかさとボリューム感及び収納箱11のコンパクトさとが両立可能となる。また、衛生薄葉紙20を収納箱11から取り出す際、破れにくく取出し易くなる。
なお、上記の坪量及び紙厚は、衛生薄葉紙20自体のものであって、薬液が塗布された状態の衛生薄葉紙20についての坪量及び紙厚を意味する。
【0047】
収納箱11に収納されている衛生薄葉紙20は、2プライのティッシュペーパーであり、衛生薄葉紙20の引出し方向が、CD(Cross Direction)方向であることが好ましい。衛生薄葉紙20は、マルチスタンド式インターフォルダで加工することが好ましい。マルチスタンド式インターフォルダで加工すると引出し方向がCD方向となる。
収納箱11中の衛生薄葉紙20は、
図2に示すように、収納箱11の短手方向からみて、断面V字折りにされ、ポップアップ式で収納されていることが好ましい。
【0048】
―衛生薄葉紙の引出し方向の長さW
20-
衛生薄葉紙20の引出し方向の長さW
20(
図4参照)は、150mm以上240mm以下であることが好ましく、170mm以上220mm以下であることがより好ましく、190mm以上210mm以下であることが更に好ましい。
【0049】
-衛生薄葉紙の引出し方向に直交する方向の長さL
20-
衛生薄葉紙20の引出し方向に直交する方向(X方向)の長さL
20(
図1及び
図4参照)は、160mm以上260mm以下であることが好ましく、180mm以上240mm以下であることがより好ましく、200mm以上220mm以下であることが更に好ましい。
【0050】
衛生薄葉紙20の長さL20及びW20を上記範囲にすることにより、本発明の高さHcを有する収納箱11に、本発明の衛生薄葉紙20のクリップを挿入する際に適したシート幅と長さになり、引出し性が良好になる。
【0051】
-引出し方向に直交する方向の強度(DMDT)-
本発明における衛生薄葉紙20は、JIS P 8113に基づく乾燥時の縦方向の引張強さ(2プライ、引張り速度300mm/分で測定)DMDT(Dry Machine Direction Tensile strength)が、2.8N/25mm以上6.0N/25mm以下であることが好ましく、3.4N/25mm以上5.5N/25mm以下であることがより好ましく、3.9N/25mm以上4.9N/25mm以下であることが更に好ましい。DMDTを上記の範囲にすることにより、柔らかさが良好になり、衛生薄葉紙20を収納箱11から取り出す際、破れにくく取出し易くなる。また、生産時にMD(Machine Direction)方向に破れにくくなる。
【0052】
-引出し方向の強度(DCDT)-
本発明の衛生薄葉紙20の引出し方向はCD方向であり、乾燥時の横方向の引張強さ(2プライ、引張り速度300mm/分で測定)DCDT(Dry Cross Direction Tensile strength)が、0.7N/25mm以上2.5N/25mm以下であることが好ましく、0.9N/25mm以上2.1N/25mm以下であることがより好ましく、1.1N/25mm以上1.7N/25mm以下であることが更に好ましい。DCDTを上記の範囲にすることにより、衛生薄葉紙20が、引出し時に破れにくく、取出しやすくなり、柔らかさが良好になる。
【0053】
-原料-
衛生薄葉紙20を構成する2プライのシートは、パルプを主成分とするものであり、好ましくは、50質量%以上のパルプを含有する。衛生薄葉紙20の製造に使用できるパルプとしては、木材パルプ、古紙パルプ、非木材パルプが挙げられるが、本発明における衛生薄葉紙20は、パルプとして木材パルプ100%から成るものであってもよく、木材パルプの他に、古紙パルプや非木材パルプを含んでいてもよい。パルプ以外の成分としては、填料、合成繊維、天然繊維等を挙げることができる。目標とする品質を得るためには、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)10質量%以上40質量%以下と、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)60質量%以上90質量%以下とからなる木材パルプを原料とすることが好ましく、NBKP:15質量%以上35質量%以下と、LBKP:65質量%以上85質量%以下とからなる木材パルプを原料とすることがより好ましく、NBKP:20質量%以上30質量%以下と、LBKP:70質量%以上80質量%以下とからなる木材パルプを原料とすることが更に好ましい。
【0054】
上記LBKPの材種としては、ユーカリ属グランディス及びユーカリグロビュラスに代表される、フトモモ科ユーカリ属から製造されるパルプが好ましい。また、上記のパルプ比率の木材パルプ100質量部に対し、古紙パルプを50質量部程度まで含有させてもよい。古紙パルプは品質のバラツキが大きく、配合割合が増えると製品の品質、特に柔らかさに大きく影響するため、木材パルプに対する配合量を30質量部以下とすることが好ましく、15質量部以下とすることがより好ましく、5質量部以下とすることが更に好ましく、古紙パルプを配合しないことが最も好ましい。古紙パルプとしてはミルク収納箱等の紙製液体飲料容器由来が好ましい。
【0055】
なお、衛生薄葉紙20に適正な強度を確保するため、通常の手段で原料配合した後、パルプ繊維の叩解処理にて強度調整を行うことができる。目標の品質を得るための叩解処理としては、種箱原料のろ水度(csf)が350ml以上650ml以下、好ましくは400ml以上600ml以下、より好ましくは450ml以上550ml以下にすることが好ましい。なお、乾燥紙力増強剤を使用してもよく、湿潤紙力増強剤を使用することが好ましい。
上記のパルプ配合、ろ水度に調整することで、本発明のようなフィルムを有しない収納箱11に対して、引出し易く、適した強度の衛生薄葉紙となる。
【実施例0056】
[実施例]
表1に示すフィルムレスの衛生薄葉紙入り収納箱を作製した。蓋部の形状は、
図1に示すものとした。衛生薄葉紙には、2プライ200組で、坪量10.4g/m
2の衛生薄葉紙(ティッシュ)を用いた。収納箱の高さは、45mm~65mmであった。
【0057】
[比較例1]
取出し口を一定幅で長手方向に形成し、押込み片を中央に設けた衛生薄葉紙入り収納箱を作製した。
【0058】
[比較例2]
図10に示すような取出し口の一端に押込み片を形成した衛生薄葉紙入り収納箱を作製した。
【0059】
[評価]
以下の項目について官能評価を行った。
(衛生薄葉紙の取出し性)
モニター30人が、実施例及び比較例の衛生薄葉紙入り収納箱について、それぞれ5箱、ティッシュを全て引出し、シート破れ、ドロップバック、取り出す際の抵抗、及び取り出し時の音を総合的に評価した。評価基準は以下のとおりである。
A:満足したと感じたモニターが、21人以上30人以下
B:満足したと感じたモニターが、7人以上20人以下
C:満足したと感じたモニターが、0人以上6人以下
【0060】
(開封時の収納箱の破損の程度)
モニター30人が、実施例及び比較例の衛生薄葉紙入り収納箱について、5箱ずつ蓋部を開封し、蓋部の周辺の収納箱の層間剥離の発生割合を以下の式で求めて評価した。
発生割合(%)=層間剥離の発生個数/(30人×5個)×100
評価基準は以下のとおりである。
A:0%以上2%未満
B:2%以上5%未満
C:5%以上
【0061】
【0062】
表1に示すように、本発明の衛生薄葉紙入り収納箱は、衛生薄葉紙の取出し性と開封時の収納箱の破損の程度の評価において、良好な結果を得ることができた。