(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022102796
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】表装材及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 27/00 20060101AFI20220630BHJP
B32B 27/20 20060101ALI20220630BHJP
B32B 27/12 20060101ALI20220630BHJP
B32B 5/02 20060101ALI20220630BHJP
E04F 13/07 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
B32B27/00 101
B32B27/20 Z
B32B27/12
B32B5/02 B
E04F13/07 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020217751
(22)【出願日】2020-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000159032
【氏名又は名称】菊水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 寛史
(72)【発明者】
【氏名】藤江 幸男
(72)【発明者】
【氏名】則竹 慎也
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 洋平
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AA17A
4F100AG00C
4F100AH06B
4F100AK01A
4F100AK52B
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100BA10C
4F100CA13B
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4F100DG12C
4F100DG15C
4F100EJ67B
4F100GB08
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4F100JB13B
4F100JJ05A
4F100JJ07A
4F100JK09
4F100YY00A
4F100YY00B
(57)【要約】
【課題】本発明は、既存の表装材に対して骨材、吸熱性物質の比率を高めつつ、特定の材料の硬化物層30を形成することで、不燃性と耐傷性とを両立した表装材10を提供できる。
【解決手段】下地材の表面に施工するための表装材10であって、表装材10は、合成樹脂類、骨材、吸熱性物質を主たる要素とし、合成樹脂類を6~12重量%、骨材及び吸熱性物質を80~90重量%含むシート材20と、シート材20の一方の面側に積層され、合成樹脂類が含まれている縮合硬化型シリコーン組成物を含むコーティング組成物の硬化物層30とを備え、コーティング組成物は、0.1重量%以上、1.5重量%以下の着色剤を含み、シート材20の厚みが1.5mm以上、2.0mm以下の範囲内である。また、コーティング組成物は、アミノ基を含有するシランカップリング剤を含んでも良い。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下地材の表面に施工するための表装材であって、
前記表装材には、合成樹脂類、骨材、吸熱性物質を主たる要素とし、前記合成樹脂類を6~12重量%、前記骨材及び吸熱性物質を80~90重量%含むシート材20と、
前記シート材の一方の面側に積層され、
合成樹脂類が含まれている縮合硬化型シリコーン組成物を含むコーティング組成物の硬化物層とを備え、
前記コーティング組成物は、0.1重量%以上、1.5重量%以下の着色剤を含み、
前記シート材の厚みが1.5mm以上、2.0mm以下の範囲内であることを特徴とする表装材。
【請求項2】
前記コーティング組成物は、アミノ基を含有するシランカップリング剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の表装材。
【請求項3】
前記硬化物層の単位面積当たりの質量が、5.0g/m2以上15.0g/m2以下の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の表装材。
【請求項4】
下地材の表面に施工するための表装材であって、
前記表装材には、合成樹脂類、骨材、吸熱性物質を主たる要素とし、前記合成樹脂類を6~12重量%、前記骨材及び吸熱性物質を80~90重量%含むシート材と、
前記シート材の一方の面側に積層され、
ポリシロキサン系であることを特徴とする無機成分が含まれているコーティング組成物の硬化物層とを備え、
前記コーティング組成物は、0.1重量%以上、1.5重量%以下の着色剤を含み、
前記シート材の厚みが1.5mm以上、2.0mm以下の範囲内であることを特徴とする表装材。
【請求項5】
前記硬化物層の単位面積当たりの質量が、5.0g/m2以上25.0g/m2以下の範囲内であることを特徴とする請求項4に記載の表装材。
【請求項6】
前記着色剤は、
白色着色剤100重量%に対して黒色着色剤が10~20重量%であり、黄色着色剤が10~20重量%であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の表装材。
【請求項7】
前記吸熱性物質は、少なくとも一つの金属水酸化物を含むことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の表装材。
【請求項8】
前記シート材の他方の面側には、織布又は不織布からなる基布が積層されていることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の表装材。
【請求項9】
前記基布は、ガラス繊維からなることを特徴とする請求項8に記載の表装材。
【請求項10】
前記表装材が、ISO5660-1に準拠したコーンカロリーメータ試験機による発熱性試験において、建築基準法施工令第108条の2第1号及び第2号に記載の要件を満たす不燃材料であることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の表装材。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の表装材の製造方法であって、前記シート材を押出成形により加工することを特徴とする表装材の製造方法。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の表装材の製造方法であって、前記シート材を吹付け塗装により加工することを特徴とする表装材の製造方法。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の表装材の製造方法であって、前記シート材を型押し成形により加工することを特徴とする表装材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば劇場・映画館、病院、百貨店等の特殊建築物の他に、地下街や防火区画などで使用できるようにするため、不燃性を加えた表装材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シート状の表装材とこれを壁面等に接合する際の仕上げ方法として、特許文献1記載の技術が提案されていた(特許文献1の段落[0005]、並びに[
図3]及び[
図4]参照)。
また、難燃性を有する表装材、並びに使用可能な基材や骨材等として、特許文献2記載の技術が提案されていた(特許文献2の段落[0004]及び[0005]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3140680号公報
【特許文献2】特許第2542992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、内装シート材は不燃性を持たせるため、有機成分(樹脂分)を少なくし、厚みが薄いものがある。
しかし、厚みが薄いため、型押し工程などによって表面形状に凹凸を付けても意匠性向上には限界がある。すなわち、厚み以上の凹凸をつけられないためである。
そこで、本発明は、着色剤を入れたコート剤を凸部と凹部に異なる濃度又は色でトップコートすることで、不燃性を加えるために厚みを薄くしたシート材でも、意匠性を向上させることができるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る表装材は、下地材の表面に施工するための表装材であって、前記表装材には、合成樹脂類、骨材、吸熱性物質を主たる要素とし、前記合成樹脂類を6~12重量%、前記骨材及び吸熱性物質を80~90重量%含むシート材20と、前記シート材の一方の面側に積層され、合成樹脂類が含まれている縮合硬化型シリコーン組成物を含むコーティング組成物の硬化物層とを備え、前記コーティング組成物は、0.1重量%以上、1.5重量%以下の着色剤を含み、前記シート材の厚みが1.5mm以上、2.0mm以下の範囲内であることを特徴とする。
【0006】
また、本発明の一態様に係る表装材は、前記コーティング組成物が、アミノ基を含有するシランカップリング剤を含むことを特徴とする。
本発明の一態様に係る表装材は、前記硬化物層の単位面積当たりの質量が、5.0g/m2以上15.0g/m2以下の範囲内であることを特徴とする。
【0007】
本発明の一態様に係る表装材は、下地材の表面に施工するための表装材であって、前記表装材には、合成樹脂類、骨材、吸熱性物質を主たる要素とし、前記合成樹脂類を6~12重量%、前記骨材及び吸熱性物質を80~90重量%含むシート材と、前記シート材の一方の面側に積層され、ポリシロキサン系であることを特徴とする無機元素成分が含まれているコーティング組成物の硬化物層とを備え、前記コーティング組成物は、0.1重量%以上、1.5重量%以下の着色剤を含み、前記シート材の厚みが1.5mm以上、2.0mm以下の範囲内であることを特徴とする。
【0008】
本発明の一態様に係る表装材は、前記硬化物層の単位面積当たりの質量が、5.0g/m2以上25.0g/m2以下の範囲内であることを特徴とする。
本発明の一態様に係る表装材は、前記着色剤が、白色着色剤100重量%に対して黒色着色剤が10~20重量%であり、黄色着色剤が10~20重量%であることを特徴とする。
【0009】
本発明の一態様に係る表装材は、前記吸熱性物質が、少なくとも一つの金属水酸化物を含むことを特徴とする。
本発明の一態様に係る表装材は、前記シート材の他方の面側には、織布又は不織布からなる基布が積層されていることを特徴とする。
本発明の一態様に係る表装材は、前記基布が、ガラス繊維からなることを特徴とする。
【0010】
本発明の一態様に係る表装材は、前記表装材が、ISO5660-1に準拠したコーンカロリーメータ試験機による発熱性試験において、建築基準法施工令第108条の2第1号及び第2号に記載の要件を満たす不燃材料であることを特徴とする。
本発明の一態様に係る表装材の製造方法は、前記シート材を押出成形により加工することを特徴とする。
【0011】
本発明の一態様に係る表装材の製造方法は、前記シート材を吹付け塗装により加工することを特徴とする。
本発明の一態様に係る表装材の製造方法は、 前記シート材を型押し成形により加工することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、既存の表装材に対して骨材、吸熱性物質の比率を高めつつ、特定の材料の硬化物層を形成することで、不燃性と耐傷性とを両立した表装材を提供できる。
また、本発明の一態様によれば、コート剤に着色剤を入れることで、シート材の形状に合わせた立体感や風合いを付与できる。
さらに、本発明の一態様によれば、シート材の厚み規定により、不燃性と易施工性とを両立できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施形態1)
本発明の実施形態1について、以下に図面を参照して説明する。
ここで、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造等が下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0015】
(実施形態1に係わる表装材10)
図1中、10は、表装材であり、表装材10は、図示しないが、例えば劇場・映画館、病院、百貨店等の特殊建築物の他に、地下街や防火区画などで使用できる。
表装材10は、次の各層を含むものである。
【0016】
なお、次の(1)~(3)については後述する。
(1)シート材20
(2)硬化物層30
(3)基布40
なお、表装材10の各層は、上記した(1)~(3)に限定されず、例えば、硬化物層30の表面に、エンボス部31を形成しても良いし、或いは、例えば
図2に示すように、シート材20と硬化物層30の間に、絵柄層50を形成しても良い。
また、硬化物層30のシート材20とは反対側の面に、図示しないが、積層された有機樹脂を含有する被膜層を更に形成しても良い。
表装材10の層の構成は、次の通りである。
(表側)着色剤を含むコーティング組成物の硬化物層30/シート材20(不燃性)/ガラス不織布の基布40(裏側)
【0017】
(表装材10の主な特徴)
(1)本実施形態1に係わる表装材10の主な特徴は、次の通りである。
本実施形態1に係わる表装材10は、下地材の表面に施工するための表装材10であって、表装材10は、合成樹脂類、骨材、吸熱性物質を主たる要素とし、合成樹脂類を6~12重量%、骨材及び吸熱性物質を80~90重量%含むシート材20と、シート材20の一方の面側に積層され、合成樹脂類が含まれている縮合硬化型シリコーン組成物を含むコーティング組成物の硬化物層30とを備え、コーティング組成物は、0.1重量%以上、1.5重量%以下の着色剤を含み、シート材20の厚みが1.5mm以上、2.0mm以下の範囲内である。
本実施形態1に係わる表装材10は、有機系コート剤を使用している。
本実施形態1によれば、既存の表装材に対して骨材、吸熱性物質の比率を高めつつ、特定の材料の硬化物層30を形成することで、不燃性と耐傷性とを両立した表装材10を提供できる。
また、本発明の一態様によれば、コート剤に着色剤を入れることで、シート材20の形状に合わせた立体感や風合いを付与できる。
さらに、本発明の一態様によれば、シート材20の厚み規定により、不燃性と易施工性とを両立できる。
【0018】
(2)本実施形態1に係わる表装材10は、コーティング組成物は、アミノ基を含有するシランカップリング剤を含む。
(3)本実施形態1に係わる表装材10は、硬化物層30の単位面積当たりの質量が、5.0g/m2以上15.0g/m2以下の範囲内である。
【0019】
(4)本実施形態1に係わる表装材10は、下地材の表面に施工するための表装材10であって、表装材10には、合成樹脂類、骨材、吸熱性物質を主たる要素とし、合成樹脂類を6~12重量%、骨材及び吸熱性物質を80~90重量%含むシート材20と、シート材の一方の面側に積層され、ポリシロキサン系であることを特徴とする無機成分が含まれているコーティング組成物の硬化物層30とを備え、コーティング組成物は、0.1重量%以上、1.5重量%以下の着色剤を含み、シート材20の厚みが1.5mm以上、2.0mm以下の範囲内である。
本実施形態1に係わる表装材10は、無機系コート剤(ポリシロキサン系)を使用している。
【0020】
(5)本実施形態1に係わる表装材10は、硬化物層の単位面積当たりの質量が、5.0g/m2以上25.0g/m2以下の範囲内である。
(6)本実施形態1に係わる表装材10は、着色剤において、白色着色剤100重量%に対して黒色着色剤が10~20重量%であり、黄色着色剤10~20重量%である。
本実施形態1によれば、着色剤の配合を変えることで、シート材20の形状に合わせた立体感や風合いを付与できる。
【0021】
(7)本実施形態1に係わるシート材20は、吸熱性物質が、少なくとも一つの金属水酸化物を含むものである。
本実施形態1によれば、吸熱性物質の選定により、シート材20に確実な不燃性を付与することができる。
(8)本実施形態1に係わる表装材10は、シート材20の他方の面側に、織布又は不織布からなる基布40が積層されている。
本実施形態1によれば、基布40を構成することにより、シート材20の生産性を向上させることができる。
【0022】
(9)本実施形態1に係わる表装材10は、基布40が、ガラス繊維からなる。
本実施形態1によれば、基布40の材質を選定することにより、より確実な不燃性を付与することができる。
(10)本実施形態1に係わる表装材10は、ISO5660-1に準拠したコーンカロリーメータ試験機による発熱性試験において、建築基準法施工令第108条の2第1号及び第2号に記載の要件を満たす不燃材料である。
本実施形態1によれば、不燃性試験の規格を満足することにより、不燃材としての利用が可能となる。
【0023】
(11)本実施形態1に係わる表装材10の製造方法は、シート材20を押出成形により加工することで、シート材20の生産性を向上させることができる。
(12)本実施形態1に係わる表装材10の製造方法は、シート材20を吹付け塗装により加工することで、シート材20により自然な立体感や風合いを付与できる。
(13)本実施形態1に係わる表装材10の製造方法は、シート材20を型押し成形により加工することで、シート材20に立体形状をはじめとする様々な表面形状を付与することができる。
【0024】
(シート材20)
シート材20は、合成樹脂類、骨材、吸熱性物質を主たる要素とする。
また、合成樹脂類を6~12重量%、骨材及び吸熱性物質を80~90重量%含む。
例えば、天然石或いはその砕石、着色骨材、寒水砂、セラミック砕粒から選ばれた骨材、充填材に加えて、水酸化アルミニウムを例とする吸熱性物質を骨材或いは充填材として使用し、合成樹脂成分を結合材とするものをシート化したものを使用することができる。
シート材20の風合いや加工性、ハンドリング性、不燃性などを考慮すると、結合材としての合成樹脂成分と、骨材、充填材、吸熱性物質成分の割合は、前者が6~12重量%、後者が80~90重量%程度とすることが望ましい。
なかでも、吸熱性物質は、シート材として不燃性が発現するに足る量を添加する必要がある。
なお、シート材20の厚みとしては、特に制限はないが、シートの加工性や不燃性等を考慮すると、1.5mm~2.0mm程度とするのが好ましい。
【0025】
(合成樹脂類)
合成樹脂類としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-α-オレフィン共重合体、プロピレン-α-オレフィン共重合体等のポリオレフィン樹脂や、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体、エチレン-不飽和カルボン酸共重合体金属中和物(アイオノマー)等のオレフィン系共重合体樹脂等のポリオレフィン系樹脂や、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート-イソフタレート共重合体、1,4-シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート等のポリエステル系樹脂、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系樹脂、6-ナイロン、6,6-ナイロン、6,10-ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール等のビニル系樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフロロエチレン、エチレン-テトラフロロエチレン共重合体、エチレン-パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体等のフッ素系樹脂等或いはそれらの2種以上の混合物、共重合体、複合体、積層体等を使用できる。
【0026】
(骨材)
骨材としては、先に説明したように、例えば、天然石或いはその砕石、着色骨材、寒水砂、セラミック砕粒から選ばれたものを使用する。
第1実施形態においては、骨材として、着色細骨材を用いたが、これに限定されない。
【0027】
(吸熱性物質)
吸熱性物質は、少なくとも一つの金属水酸化物を含んでいれば良い。
吸熱性物質としては、例えば、フッ化アルミニウム、水酸化アルミニウム、第二リン酸カルシウム、シュウ酸カルシウム、水酸化コバルト、ほう砂、水酸化マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、塩化コバルトアンモニア錯体等があり、熱分解する際に吸熱する物質のことである。水酸化アルミニウムには天然鉱物もあり、ベーマイト、ギブサイト、ダイアスボアがある。
吸熱性物質として、水酸化アルミニウムを例示したが、これに限定されない。
シート材20の厚みとしては、特に制限はない。シート材20の厚みとしては、シートの加工性や不燃性等を考慮すると、例えば1.3mm~2.2mm程度、望ましくは1.5mm~2.0mm程度とするのが好ましい。
【0028】
(硬化物層30)
硬化物層30は、シート材20の一方の面側に積層されている。
硬化物層30は、大別すると、次の2種類に大別される。
(1)有機系コート剤を含む場合
有機系コート剤を含む場合は、合成樹脂類が含まれている縮合硬化型シリコーン組成物を含むコーティング組成物から構成する。
(2)無機系コート剤を含む場合
無機系コート剤を含む場合は、ポリシロキサン系であることを特徴とする無機成分が含まれているコーティング組成物から構成する。
【0029】
(有機系コート剤を含む場合)
有機系コート剤を含む場合は、合成樹脂類が含まれている縮合硬化型シリコーン組成物を含む「コーティング組成物」から構成する。
すなわち、「コーティング組成物」は、0.1重量%以上、1.5重量%以下の着色剤を含む。
また、シート材20は、その厚みが1.5mm以上、2.0mm以下の範囲内である
一方、「コーティング組成物」は、有機系コート剤に加え、無機系材料(シランカップリング剤を含んでいる。すなわち、「コーティング組成物」は、アミノ基を含有する「シランカップリング剤」を含む。
また、「硬化物層30」は、その単位面積当たりの質量が、5.0g/m2以上15.0g/m2以下の範囲内である。
【0030】
(無機系コート剤を含む場合)
無機系コート剤を含む場合は、ポリシロキサン系であることを特徴とする無機成分が含まれているコーティング組成物から構成する。
すなわち、「コーティング組成物」は、ポリシロキサン系であることを特徴とする無機元素成分が含まれている。
また、「コーティング組成物」は、0.1重量%以上、1.5重量%以下の着色剤を含む。
さらに、「シート材」は、その厚みが1.5mm以上、2.0mm以下の範囲内である。
一方、硬化物層は、その単位面積当たりの質量が、5.0g/m2以上25.0g/m2以下の範囲内である。
【0031】
(有機系コート剤を含む場合と無機系コート剤を含む場合との比較)
有機系コート剤を含む場合と無機系コート剤を含む場合とを比較すると、次の通りである。
有機系は、無機系と比べて耐傷性が劣るため、単位面積当たりの質量が少ない場合は「シランカップリグ剤」を添加している。
また、有機系では、単位面積当たりの質量を増やすと、不燃性を保持できなくなるため、無機系よりも上限を少なくしている。
両者を比較すると、下記のような相違点を有する。
・有機系の場合:不燃性ではなくなる。
・無機系の場合:シート表面が硬くなりすぎて、ヒビが入りやすくなる。
【0032】
硬化物層30は、形態も水性、エマルジョン、溶剤系いずれでも可能である。
イソシアネートを添加して架橋させる2液タイプを使うことも可能である。
表装材10の表面の硬度をさらに向上させたい場合には、紫外線や電子線照射で硬化する樹脂の使用も可能である。
さらに、耐候性を向上させるために紫外線吸収剤及び光安定剤を適宜添加しても良い。
これに加え、表面の意匠性や艶調整のため、或いは耐磨耗性を付与するために、アルミナ、シリカ、窒化珪素、炭化珪素、ガラスビーズ等の添加も任意に行える。
また、難燃剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤等を適宜添加しても良い。
コーティング組成物は、着色剤を0.1重量%以上、1.5重量%以下含む。着色剤は、望ましくは0.5%重量%以上、1.0%以下含む。
【0033】
(着色剤)
着色剤は、白色着色剤100重量%に対して黒色着色剤が10~20重量%であり、黄色着色剤が10~20重量%である。
着色剤には、例えば有機質添加材、無機質添加材(顔料)、揮発性溶剤が含まれている。
着色剤には、(1)白色着色剤(塗料)、(2)黒色着色剤(顔料)、(3)黄土色着色剤(顔料)がある。
【0034】
各着色剤の比率を例示すると、次の通りである。
(1)白色着色剤(塗料)
白色着色剤(塗料):樹脂エマルション60~65%、有機質添加材1~5%、無機質添加材(顔料)15~20%、揮発性溶剤5~10%、水5~10%
(2)黒色着色剤(顔料)
黒色着色剤(顔料):有機質添加材15~20%、無機質添加材(顔料)30~35%、揮発性溶剤(水含む)45~50%
(3)黄土色着色剤(顔料)
黄土色着色剤(顔料):有機質添加材5~15%、無機質添加材(顔料)50~60%、揮発性溶剤(水含む)25~35%
【0035】
(エンボス部31)
エンボス部31は、硬化物層30の表面に凹凸状に形成される。
エンボス部31の凸部と凹部とでは、着色剤の濃度又は色を変化させる。
例えば、凸部では、着色剤の濃度を高くし、凹部では低くし、或いは逆に、凸部では、濃度を低くし、凹部では高くし、遠近感を利用して、実際の凹凸の高低差に比較し、凹凸の高低差が増加したように見せることができ、意匠性を向上させることが可能である。
着色剤の色の変化についても、同様である。
これにより、不燃性を加えるために厚みを薄くしたシート材でも、意匠性を向上させることが可能となる。
ここで、エンボス部31というと、
図1に示すように、それなりの高低差のイメージを持つが、実際には数μmオーダーの高低差しかないこともある。
【0036】
(基布40)
基布40は、シート材20の他方の面側、
図1において下側に位置し、シート材20に積層されている。
基布40は、織布又は不織布からなる。
基布40の材質としては、特に制限はないが、シートの不燃性を考慮すると、ガラス繊維、シリカ繊維などの耐熱性の高い繊維を使用するのが好ましい。
【0037】
(不燃性)
建築基準法施工令に規定の不燃材料の技術的基準においては、ISO5660-1に準拠したコーンカロリーメータ試験機による発熱性試験において下記の要件を満たしている必要がある(建築基準法施工令第108条の2第1号及び第2号)。
本発明の表装材が不燃材料として認定されるためには、50kW/m2の輻射熱による加熱にて20分間の加熱時間において、次の1~3の要求項目をすべて満たす必要がある。
1.総発熱量が8MJ/m2以下。
2.最高発熱速度が10秒以上継続して200kW/m2を超えない。
3.防炎上有害な裏面まで貫通する亀裂および穴が生じない、本発明の表装材10によれば、シート材20を上記のような配合にて形成することで、不燃材料としての認定を取得することができる。
【0038】
(表装材10の製造方法)
上記した構成を有する表装材10の製造方法は、次の通りである。
(1)第一の工程
第一の工程は、織布又は不織布、例えばガラス繊維からなる基布40上に、シート材20を加工して形成する工程である。シート材20は、例えば厚み2.0mmに形成する。
シート材20の加工方法としては、(a)押出成形による加工方法、(b)吹付け塗装による加工方法、(c)型押し成形による加工方法の3種類がある。
(a)押出成形による加工方法
押出成形による加工方法は、基布40上に、シート材20を押出成形により加工する方法である。
押出成形による加工方法によれば、シート材20の生産性を向上させることができる。
【0039】
(b)吹付け塗装による加工方法
吹付け塗装による加工方法は、基布40上に、シート材20を吹付け塗装により加工する方法である。
吹付け塗装による加工方法によれば、シート材20により自然な立体感や風合いを付与できる。
(c)型押し成形による加工方法
型押し成形による加工方法は、基布40上に、シート材20を型押し成形により加工する方法である。
型押し成形による加工方法によれば、シート材20に立体形状をはじめとする様々な表面形状を付与することができる。
【0040】
(2)第二の工程
第二の工程は、シート材20の表面に、硬化物層30を形成する工程である。
例えば、有機系又は無機系のコーティング組成物100重量%に対して、着色剤が0.1重量%以上、1.0重量%以下を含むコーティング組成物を、例えば単位面積当たりの質量が10.0g/m2(Dry)にて、シート材20の表面に塗布し、23℃、55%RH条件下で1日間放置して養成することで硬化物層30を形成する。
ここで、コーティング組成物の塗布回数は、例えば1回でも良いし、又、複数回、例えば2回でも良いし、或いは3回以上でも良いが、硬化物層30の厚みが増加することから、1回又は2回が望ましい。
【0041】
(
図2に示す実施形態2)
図2を用いて、実施形態2について説明する。
本実施形態2は、
図2に示すように、シート材20と硬化物層30の間に、絵柄層50を形成している点を特徴とする。
また、シート材20と絵柄層50の間に、図示しないが、インク密着性を向上させるためのプライマー層を別途設けても良い。
なお、絵柄層50を加えた4層の厚みの比率は、
図2に限定されない。
【0042】
(絵柄層50)
ここで、絵柄層50は、印刷対象となるシート材の種類や表面形状に応じて、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷等の各種公知の印刷方式によって設けることができる。特に、シート材の表面が凹凸形状を有している場合は、非接触の印刷方式であるインクジェット印刷法を用いることが望ましい。
【0043】
(絵柄層50で使用するインキ)
使用するインキは、従来公知の材料を使用することができる。
特に、インクジェット印刷法を用いる場合は、水系、溶剤系、UV系など各種従来公知のインクを使用することができ、印刷対象となるシート材の種類等に応じて適宜選択することができる。
【0044】
ここで、インクの成分としては、着色剤としての顔料又は染料を含んでおり、使用するインクの色に合わせて従来公知の顔料、染料を使用することができる。
例えば、顔料として好適に使用できる無機顔料の一例として、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、鉛白、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、ホワイトカーボン、アルミナホワイト、カオリンクレー、タルク、ベントナイト、黒色酸化鉄、カドミウムレッド、べんがら、モリブデンレッド、モリブデートオレンジ、クロムバーミリオン、黄鉛、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、チタンイエロー、酸化クロム、ビリジアン、チタンコバルトグリーン、コバルトグリーン、コバルトクロムグリーン、ビクトリアグリーン、群青、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルー、コバルトシリカブルー、コバルト亜鉛シリカブルー、マンガンバイオレット、及びコバルトバイオレット、等が挙げられる。
【0045】
また、有機顔料の一例として、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、染料レーキ顔料、蛍光顔料等が挙げられる。
ブラック顔料としては、ファーネス法、チャネル法で製造されたカーボンブラックが挙げられる。
カーボンブラックのほかにも、本第3実施形態で使用することができるブラック顔料としては、例えば、アニリンブラック、ルモゲンブラック、アゾメチンアゾブラック等が挙げられる。
また、シアン顔料、マゼンタ顔料、イエロー顔料や、ブラウン顔料、オレンジ顔料等の有彩色顔料を複数使用し、ブラック顔料とすることもできる。
【0046】
ここで用いることのできる染料としては、特に制限はなく、油性染料、分散染料、直接染料、酸性染料及び塩基性染料等の例を挙げることができる。
色相としては、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、ブルー、グリーン、レッドが好ましく用いられ、特に好ましくは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各染料である。
油溶性染料の中には、水溶性染料を長鎖の塩基と造塩することにより油溶性を示す染料も含まれる。また、C.I.ディスパーズイエロー、C.I.ディスパーズレッド、C.I.ディスパーズブルー等の分散染料を用いることもできる。
特に、長期の耐候性を付与したい場合は、無機顔料を使用したインクを用いて形成することが望ましい。
【0047】
(絵柄層50の製造方法)
絵柄層50の製造方法は、
図1を用いて説明した実施形態1と同様に、シート材20を成形し、このシート材20の一方の面、例えばシート材20の表面側に絵柄層50を形成する。
絵柄層50は、カチオン硬化性UVインクジェットインキを用いたインクジェット印刷法により、御影石調の意匠を印刷することで形成する。カチオン硬化性UVインクジェットインキには、着色剤として無機顔料のみを使用した。
印刷した基材シートは、反応を進行させるために室温にて24時間以上、保管した。
この絵柄層50の表面側に、コーティング組成物を10.0g/m
2(Dry)にて塗布し、23℃、55%RH条件下で1日間放置して養成することで硬化物層30を形成した。
【実施例0048】
以下に、本発明に係る表装材の実施例1~実施例12、及び比較例1~比較例15について説明する。
なお、本発明は、下記の実施例1~実施例12に限定されない。
(実施例1)
実施例1は、有機系のコーティング組成物を使用し、1回塗りである。
実施例1は、コーティング組成物100の重量%に対し、着色剤が0.1重量%を含むコーティング組成物を、単位面積当たりの質量(塗布量)が8.0g/m2(Dry)にて、厚み2.0mmのシート材に塗布し、硬化物層を形成し、実施例1の評価シートを製作した。
なお、着色剤を、0.1重量%としたが、0.1重量%以上、1.5重量%以下、望ましくは0.1重量%以上、1.0重量%以下であっても良い。
【0049】
(実施例2)
実施例2は、有機系のコーティング組成物を使用し、2回塗りである。
1回目は、コーティング組成物の100重量%に対し、着色剤が0.5重量%を含むコーティング組成物を、塗布量が4.0g/m2(Dry)にて、厚み2.0mmのシート材に塗布し、硬化物を形成した。
2回目は、上記のシート材にコーティング組成物100重量%に対し、着色剤が1.0重量%を含むコーティング組成物を、塗布量が4.0g/m2(Dry)にて塗布し、実施例2の評価シートを製作した。
【0050】
(実施例3)
実施例3は、無機系のコーティング組成物を使用し、1回塗りである。
実施例3の構成は、次の表1の通りである。
また、次の表1には、実施例3のほか、実施例1、実施例2、実施例4~実施例11及び比較例1~比較例12の各構成についても記載した。
【0051】
【0052】
実施例3は、表1に示す通り、コーティング組成物100の重量%に対し、着色剤が0.1重量%を含むコーティング組成物を、単位面積当たりの質量(塗布量)が10.0g/m2(Dry)にて、厚み2.0mmのシート材に塗布し、硬化物層を形成し、実施例3の評価シートを製作した。
なお、着色剤を、0.1重量%としたが、0.1重量%以上、1.5重量%以下、望ましくは0.1重量%以上、1.0重量%以下であっても良い。
【0053】
(実施例4)
実施例4は、無機系のコーティング組成物を使用し、2回塗りである。
1回目は、コーティング組成物の100重量%に対し、着色剤が0.5重量%を含むコーティング組成物を、塗布量が4.0g/m2(Dry)にて、厚み2.0mmのシート材に塗布し、硬化物を形成した。
2回目は、上記のシート材にコーティング組成物100重量%に対し、着色剤が1.0重量%を含むコーティング組成物を、塗布量が4.0g/m2(Dry)にて塗布し、実施例4の評価シートを製作した。
【0054】
(実施例5)
実施例5は、無機系のコーティング組成物を塗布したものである。
無機系のコーティング組成物100重量%に対し、着色剤が0.1重量%含むコーティング組成物を、塗布量が25.0g/m2(Dry)にて、厚み1.5mmのシート材に塗布し、硬化物層を形成し、実施例5の評価シートを製作した。
なお、着色剤を、0.1重量%としたが、0.1重量%以上、1.5重量%以下、望ましくは0.1重量%以上、1.0重量%以下であっても良い。
また、シート材の厚みを、1.5mmとしたが、厚みは1.5mm以上、2.0mm以下であっても良い。
【0055】
(実施例6)
実施例6は、濃色のトップコート剤を少量塗工する場合である。
無機系のコーティング組成物100重量%に対し、着色剤が1.0重量%を含む無機系コーティング組成物を、塗布量が5.0g/m2(Dry)にて、厚み1.5mmのシート材に塗布し、硬化物層を形成し、実施例6の評価シートを製作した。
なお、シート材の厚みを、1.5mmとしたが、厚みは1.5mm以上、2.0mm以下であっても良い。
【0056】
(実施例7~実施例11)
実施例7~実施例11は、表1に示した数値であり、それ以外は実施例3と同様であり、実施例7~実施例11の評価シートをそれぞれ製作した。
(実施例12)
実施例12は、有機系のコーティング組成物を使用し、その塗布量が15.0g/m2(Dry)である場合である。
コーティング組成物100重量%に対し、着色剤が0.1重量%以上、1.0重量%以下を含む有機系のコーティング組成物を、塗布量が15.0g/m2(Dry)にて、厚み1.5mm以上、2.0mm以下のシート材に塗布し、硬化物層を形成し、実施例12の評価シートを製作した。
【0057】
(比較例1)
比較例1は、着色剤0.1重量%未満の場合である。
無機系のコーティング組成物100重量%に対し、着色剤が0.05重量%含むコーティング組成物を、塗布量が10.0g/m2(Dry)にて、厚み1.5mm以上、2.0mm以下のシート材に塗布し、硬化物層を形成し、比較例1の評価シートを製作した。
(比較例2)
比較例2は、着色剤1.0重量%を超える場合である。
無機系のコーティング組成物100重量%に対し、着色剤が2.0重量%以上を含むコーティング組成物を、塗布量が5.0g/m2(Dry)にて、厚み1.5mm以上、2.0mm以下のシート材に塗布し、硬化物層を塗布し、硬化物を形成し、比較例2の評価シートを製作した。
【0058】
(比較例3)
比較例3は、厚み1.5mm未満の場合である。
無機系のコーティング組成物100重量%に対し、着色剤が0.1重量%以上、1.0重量%以下を含むコーティング組成物を、塗布量が10.0g/m2(Dry)にて、厚み1.0mmのシート材に塗布し、硬化物層を形成し、比較例3の評価シートを製作した。
【0059】
(比較例4)
比較例4は、厚み2.0mmを超える場合である。
無機系のコーティング組成物100重量%に対し、着色剤が0.1重量%以上、1.0重量%以下を含むコーティング組成物を、塗布量が5.0g/m2(Dry)にて、厚み3.0mmのシート材に塗布し、硬化物層を形成し、比較例4の評価シートを製作した。
【0060】
(比較例5)
比較例5は、有機系のコーティング組成物を使用し、0その塗布量が15.0g/m2(Dry)を超える場合である。
コーティング組成物100重量%に対し、着色剤が0.1重量%以上、1.0重量%以下を含む有機系のコーティング組成物を、塗布量が25.0g/m2(Dry)にて、厚み1.5mm以上、2.0mm以下のシート材に塗布し、硬化物層を形成し、比較例5の評価シートを製作した。
【0061】
(比較例6~比較例12)
比較例6~比較例12は、表1に示した数値であり、それ以外は実施例3と同様であり、比較例6~比較例12の評価シートをそれぞれ製作した。
(比較例13)
比較例13は、有機系のコーティング組成物を使用し、その塗布量が下限5.0g/m2(Dry)未満である場合である。
コーティング組成物100重量%に対し、着色剤が0.1重量%以上、1.0重量%以下を含む有機系のコーティング組成物を、塗布量が2.5g/m2(Dry)にて、厚み1.5mm以上、2.0mm以下のシート材に塗布し、硬化物層を形成し、比較例13の評価シートを製作した。
【0062】
(比較例14)
比較例14は、無機系のコーティング組成物を使用し、その塗布量が下限5.0g/m2(Dry)未満である場合である。
コーティング組成物100重量%に対し、着色剤が0.1重量%以上、1.0重量%以下を含む有機系のコーティング組成物を、塗布量が2.5g/m2(Dry)にて、厚み1.5mm以上、2.0mm以下のシート材に塗布し、硬化物層を形成し、比較例14の評価シートを製作した。
【0063】
(比較例15)
比較例15は、無機系のコーティング組成物を使用し、その塗布量が上限25.0g/m2(Dry)を超える場合である。
コーティング組成物100重量%に対し、着色剤が0.1重量%以上、1.0重量%以下を含む有機系のコーティング組成物を、塗布量が50g/m2(Dry)にて、厚み1.5mm以上、2.0mm以下のシート材に塗布し、硬化物層を形成し、比較例15の評価シートを製作した。
【0064】
(評価方法および評価基準)
上記して作製した評価シートの評価方法は、次の通りである。
(1)意匠性
(2)不燃性
(3)耐傷性
【0065】
(意匠性)
意匠性については、硬化物層に形成したエンボス部と、エンボス部の凸部と凹部とで着色剤の濃度又は色を変化させ、意匠性の観点から、目視にて評価した。
評価基準は、「○」、「×」の2段階で評価し、目視評価の合格「○」し、それ以外の場合に不合格「×」とした。
【0066】
(不燃性)
不燃性については、ISO5660-1に準拠したコーンカロリーメータ試験機による発熱性試験を行なった。具体的には、50kW/m2の輻射熱による加熱にて20分間の加熱時間において下記の1~3の要求項目をすべて満たすかどうか評価した。
1.総発熱量が8MJ/m2以下。
2.最高発熱速度が10秒以上継続して200kW/m2を超えない。
3.防炎上有害な裏面まで貫通する亀裂及び穴が生じない。
評価基準は、「○」、「×」の2段階で評価し、上記1~3の要求項目をすべて満たす場合を合格「○」し、それ以外の場合に不合格「×」とした。
【0067】
(耐傷性)
耐傷性については、JIS5600‐5‐4に準拠した引っかき硬度〈鉛筆法〉にて評価した。具体的には、45°に固定した鉛筆に750gの荷重をかけ、硬化物層や被膜層の硬度を測定した。鉛筆の芯は、硬度が4B~4Hのものを使用した。硬度の測定は、各層に圧痕が生じるまで繰り返し、表装材としての耐傷性を評価した。
評価基準は、「◎」、「○」、「△」、「×」の4段階で評価し、HB以上で合格とした。「◎」(3H以上)、「〇」(H、2H)、「△」(HB)とし、「HB未満の場合には不合格「×」とした。
【0068】
(評価結果)
評価シートの評価結果は、次の表2の通りである。
【表2】
【0069】
(実施例1~実施例12及び比較例1~比較例15)
実施例1~実施例12、及び比較例1~比較例15の評価シートのうち、(1)意匠性、(2)不燃性、(3)耐傷性のすべての評価項目が「合格」であったものは、実施例1~実施例12の評価シートだけである。
残る比較例1~比較例15の評価シートは、(1)意匠性、(2)不燃性、(3)耐傷性の評価項目のうち、少なくとも1個以上の「不合格」を含んでいた。
【0070】
(意匠性について)
比較例1~比較例3、比較例6~比較例8及び比較例13~比較例15は、意匠性がすべて「不合格」であった。
比較例1及び比較例6は、着色剤が「0.05重量%」であり、少なすぎ、着色剤の濃度又は色の変化が少なく、エンボス部の凸部と凹部とによる遠近感の効果が低いことが原因と推測できる。
比較例1及び比較例6と実施例3とを比較すると、意匠性については、着色剤が「0.05重量%」を超えていることが必要であるものと推測できる。
【0071】
比較例2及び比較例7は、着色剤が「2.0重量%以上」であり、多すぎたことが原因と推測できる。
比較例2及び比較例7と実施例6とを比較すると、意匠性については、着色剤が「2.0重量%」未満であることが必要であるものと推測できる。
比較例3及び比較例8は、シート材の厚みが「1.0mm」であり、薄すぎたことが原因と推測できる。
比較例3及び比較例8と実施例3とを比較すると、意匠性については、シート材の厚みが「1.0mm」を超えていることが必要であるものと推測できる。
【0072】
比較例13は、「有機系」であり、コーティング組成物の塗布量が「2.5g/m2」で、少なすぎる。
このため、比較例13と、実施例1とを比較すると、実施例1も同じ「有機系」であり、「有機系」については少なくとも「2.5g/m2」を超えている必要があるものと推測できる。
また、比較例14は、「無機系」であり、コーティング組成物の塗布量が「2.5g/m2」で、少なすぎる。
このため、比較例14と、実施例6とを比較すると、実施例6も同じ「無機系」であり、「5.0g/m2」で意匠性が合格であり、「無機系」については少なくとも「2.5g/m2」を超えている必要があるものと推測できる。
比較例15は、「無機系」であり、コーティング組成物の塗布量が「50.0g/m2」で、多すぎる。
このため、比較例15と、実施例5とを比較すると、実施例5も同じ「無機系」であり、「25.0g/m2」で意匠性が合格であり、「無機系」については少なくとも「50.0g/m2」未満である必要があるものと推測できる。
【0073】
(不燃性について)
比較例4、比較例5及び比較例9~比較例12は、不燃性がともに「不合格」であった。
比較例4、比較例5及び比較例9~比較例12は、シート材の厚みが「3.0mm」であり、厚すぎたことが原因と推測できる。
比較例4、比較例5及び比較例9~比較例12と、実施例1~実施例11とを比較すると、不燃性については、シート材の厚みが「3.0mm」未満であることが必要であるものと推測できる。
【0074】
(耐傷性について)
耐傷性については、実施例5、実施例8~実施例10、比較例5、比較例10~比較例12及び比較例15が優れている。
これらの実施例及び比較例は、コーティング組成物を、20.0g/m2(Dry)以上である。
耐傷性については、コーティング組成物の塗布量が多い方が有利であることが推測できる。