(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022102844
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】樹脂チューブの押出成形装置及び樹脂チューブ
(51)【国際特許分類】
B29C 48/92 20190101AFI20220630BHJP
B29C 48/09 20190101ALI20220630BHJP
B29C 48/19 20190101ALI20220630BHJP
B29C 48/255 20190101ALI20220630BHJP
B29C 48/32 20190101ALI20220630BHJP
B29C 48/395 20190101ALI20220630BHJP
B29C 48/49 20190101ALI20220630BHJP
B29C 48/90 20190101ALI20220630BHJP
B29L 23/00 20060101ALN20220630BHJP
【FI】
B29C48/92
B29C48/09
B29C48/19
B29C48/255
B29C48/32
B29C48/395
B29C48/49
B29C48/90
B29L23:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020217827
(22)【出願日】2020-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】591265611
【氏名又は名称】株式会社プラ技研
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】特許業務法人 小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊澤 良治
【テーマコード(参考)】
4F207
【Fターム(参考)】
4F207AG14
4F207AJ08
4F207AR12
4F207KA01
4F207KA17
4F207KB21
4F207KL65
4F207KL69
4F207KL88
4F207KL93
4F207KM15
4F207KM16
(57)【要約】
【課題】部分的に屈曲可能な樹脂チューブを効率的に製造可能な樹脂チューブの押出成形装置及び配管スペースを低減できる樹脂チューブを提供する。
【解決手段】供給された溶融樹脂を管状に押し出す金型と、第1の樹脂を押し出す第1の押出機と、第1の樹脂よりも柔軟な第2の樹脂を押し出す第2の押出機と、第1の押出機と金型との間に設けられる第1のバルブと、第2の押出機と金型との間に設けられる第2のバルブと、第1の押出機と金型とが連通し、かつ、第2の押出機と金型との間が遮断された第1の状態と、少なくとも第2の押出機と金型とが連通した第2の状態とに第1のバルブ及び第2のバルブを制御可能な制御装置とを備え、制御装置は、第1及び第2のバルブを、第1の状態から第2の状態に切り替えた後、第1の状態に切り替える、樹脂チューブの押出成形。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給された溶融樹脂を管状に押し出す金型と、
第1の樹脂を押し出す第1の押出機と、
前記第1の樹脂よりも柔軟な第2の樹脂を押し出す第2の押出機と、
前記第1の押出機と前記金型との間に設けられる第1のバルブと、
前記第2の押出機と前記金型との間に設けられる第2のバルブと、
前記第1の押出機と前記金型とが連通し、かつ、前記第2の押出機と前記金型との間が遮断された第1の状態と、少なくとも前記第2の押出機と前記金型とが連通した第2の状態とに前記第1のバルブ及び前記第2のバルブを制御可能な制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記第1及び前記第2のバルブを、前記第1の状態から前記第2の状態に切り替えた後、前記第1の状態に切り替える、樹脂チューブの押出成形装置。
【請求項2】
前記金型の内部に前記供給された溶融樹脂を混練する混練機構が設けられる、請求項1に記載の樹脂チューブの押出成形装置。
【請求項3】
前記制御装置は、1本の樹脂チューブの押出成形中に、前記第1のバルブ及び前記第2のバルブを、前記第1の状態から前記第2の状態に切り替えた後、前記第2の状態から前記第1の状態に切り替える制御を複数回行う、請求項1または2に記載の樹脂チューブの押出成形装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記第2の状態において、前記第1の押出機と前記金型との間が遮断されるように、前記第1のバルブを制御する、請求項1~3のいずれかに記載の押出成形装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記第2の状態において、前記第1の押出機と前記金型とが連通するように、前記第1のバルブを制御する、請求項1~3のいずれかに記載の押出成形装置。
【請求項6】
曲げ剛性が相対的に低く、可撓性を有する可撓管部が部分的に設けられ、
長手方向と直交する方向における断面の外形が円形であり、
外径が一定である、樹脂チューブ。
【請求項7】
前記可撓管部が複数設けられる、請求項6に記載の樹脂チューブ。
【請求項8】
前記可撓管部が、前記可撓管部以外の部分を構成する第1の樹脂よりも柔軟な樹脂からなる、請求項6または7に記載の樹脂チューブ。
【請求項9】
前記可撓管部が、前記第1の樹脂と、前記第1の樹脂よりも柔軟な第2の樹脂との混合物からなる、請求項8に記載の樹脂チューブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂チューブの押出成形装置及び樹脂チューブに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の燃料配管やワイヤハーネスの外装材、給湯設備等の配管として、屈曲性を有する蛇腹状の部分(屈曲部)を設けた樹脂チューブが用いられている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載されるような樹脂チューブは、配管の配設箇所の形状に応じて、屈曲部の位置及び長さが設計され、屈曲部を屈曲させることにより、配設箇所の形状に沿うように配管を配設することができる。
【0003】
特許文献1に記載される樹脂チューブは、コルゲータと呼ばれる成形装置を用いて製造することが一般的である(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、配管の配設箇所に応じて屈曲部の位置及び長さを変更するためには、コルゲータで用いる金型を変更する必要があり、製造コストの増大に繋がる。
【0004】
コルゲータにおける屈曲部の位置及び長さの変更が容易でないという課題を解決する技術として、例えば、特許文献3に記載されたものがある。特許文献3では、全長に渡って蛇腹部が形成されたコルゲートチューブを成形した後、金型を用いて蛇腹部の一部を加熱及び加圧して押し潰すことにより、任意の位置及び長さで直線部と蛇腹部とを形成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-243900号公報
【特許文献2】特開2014-218028号公報
【特許文献3】特開2017-221036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献3に記載の方法では、コルゲートチューブの成形後に、別途の金型を用いて蛇腹部を押し潰す工程が必要であり、製造効率の面で改善の余地がある。また、蛇腹部を設けた樹脂チューブは、表面の凸部の分だけ、配管スペースが余分に必要であるという問題がある。
【0007】
本発明は、部分的に屈曲可能な樹脂チューブを効率的に製造可能な樹脂チューブの押出成形装置及び配管スペースを低減できる樹脂チューブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る樹脂チューブの押出成形装置は、供給された溶融樹脂を管状に押し出す金型と、第1の樹脂を押し出す第1の押出機と、第1の樹脂よりも柔軟な第2の樹脂を押し出す第2の押出機と、第1の押出機と金型との間に設けられる第1のバルブと、第2の押出機と金型との間に設けられる第2のバルブと、第1の押出機と金型とが連通し、かつ、第2の押出機と金型との間が遮断された第1の状態と、少なくとも第2の押出機と金型とが連通した第2の状態とに第1のバルブ及び第2のバルブを制御可能な制御装置とを備える。制御装置は、第1及び第2のバルブを、第1の状態から第2の状態に切り替えた後、第1の状態に切り替える。
【0009】
本発明に係る樹脂チューブは、曲げ剛性が相対的に低く、可撓性を有する可撓管部が部分的に設けられ、長手方向と直交する方向における断面の外形が円形であり、外径が一定であるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、部分的に屈曲可能な樹脂チューブを効率的に製造可能な樹脂チューブの押出成形装置及び配管スペースを低減できる樹脂チューブを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】実施形態に係る樹脂チューブの押出成形装置の模式図
【
図3】
図2に示した混合金型及びこれに隣接する装置の詳細を示す部分断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、実施形態に係る樹脂チューブの模式図である。
図1において、説明の便宜上、可撓管部をハッチングにより特定している。
【0013】
樹脂チューブ1は、曲げ剛性が相対的に低く、可撓性を有する可撓管部2a~2dと、曲げ剛性が相対的に高く、可撓性が低い低可撓管部3a~3eとを有する。可撓管部2a~2dは、樹脂チューブ1の長手方向において部分的に設けられており、それぞれ、一対の低可撓管部に挟まれる。可撓管部2a~2dは、低可撓管部3a~3dを構成する樹脂よりも柔軟な樹脂により形成されている。可撓管部2a~2dは、低可撓管部3a~3eの構成樹脂とは異なる樹脂で形成しても良いし、低可撓管部3a~3eの構成樹脂とこれよりも柔軟な樹脂との混合樹脂により形成しても良い。
【0014】
樹脂チューブ1は、後述する押出成形装置を用いて押出成形により製造することができる。したがって、樹脂チューブ1の長手方向と直交する方向における断面の外径は円形(真円)であり、樹脂チューブの外径は一定である。
【0015】
図1の例では、1本の樹脂チューブ1に4つの可撓管部2a~2dが設けられているが、可撓管部の数は限定されず、1以上であれば良い。また、可撓管部の位置及び長さも限定されない。可撓管部の数、位置及び長さは、任意に変更可能であり、樹脂チューブ1の配管箇所の形状に応じて設定することができる。
【0016】
樹脂チューブ1は、部分的に設けられた可撓管部2a~2dを有するため、可撓管部2a~2dの各部において、樹脂チューブ1の断面形状を略円形に維持したまま屈曲させることができる。したがって、樹脂チューブ1は、車両の燃料配管やワイヤハーネスの外装材、給湯設備等の配管等に利用でき、配管箇所に沿わせて配置することができる。
【0017】
図2は、実施形態に係る樹脂チューブの押出成形装置の模式図である。
【0018】
押出成形装置100は、第1の押出機11と、第2の押出機12と、混合金型13と、真空水槽14と、外径検出器15と、引取機16と、巻取機17と、制御装置18とを備える。押出成形装置100を構成する各装置は、架台の上に設置されている。
【0019】
第1の押出機11及び第2の押出機12は、例えば、スクリュー押出機であり、樹脂のペレットを溶融混練し、溶融樹脂を吐出口から押し出すことができる。第1の押出機11及び第2の押出機12には、硬度が異なる第1の樹脂及び第2の樹脂がそれぞれ供給される。第1の樹脂は相対的に硬度が高い樹脂であり、第2の樹脂は第1の樹脂より柔軟な樹脂である。第1の樹脂及び第2の樹脂は、樹脂チューブの用途等に応じて適宜選択することができるが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、フッ素樹脂、ABS樹脂を使用することができる。第1の樹脂及び第2の樹脂として、相溶性がある材料を選択することが好ましいが、相溶化剤の添加を条件として相溶性が低い樹脂を選択しても良い。第1の樹脂及び第2の樹脂の一方または両方には、適宜、フィラーや各種添加剤を配合しても良い。
【0020】
混合金型13は、第1の押出機11から供給された第1の樹脂と、第2の押出機12から供給された第2の樹脂とを混合し、管状に押し出すための構成である。混合金型13の詳細については後述する。
【0021】
真空水槽14は、内部に冷却水を貯留しており、混合金型13から管状に押し出された樹脂を冷却水で冷却して固化させる。真空水槽14内には空間が存在するが、図示しない真空ポンプを用いて真空水槽14内の空間が負圧に維持されている。
【0022】
外径検出器15は、真空水槽14において固化した樹脂チューブ1の外径を測定する装置である。引取機16は、樹脂チューブ1に一定の張力を与えながら樹脂チューブ1を引き取ると共に、引き取った樹脂チューブを巻取機17に向けて送り出す。巻取機17は、樹脂チューブ1をロール状に巻回する。尚、巻取機17に代えて、樹脂チューブ1を一定の長さに切断するチューブ切断機を設けても良い。
【0023】
制御装置18は、CPU、メモリ、記憶装置を備えるコンピュータを含み、押出成形装置100を構成する各装置を制御する。
【0024】
図3は、
図2に示した混合金型及びこれに隣接する装置の詳細を示す部分断面図である。
【0025】
混合金型13は、金型20と、第1のバルブ21と、第2のバルブ22と、混練機構とを含む。
【0026】
金型20は、供給された溶融樹脂を管状に押し出す部材であり、外型となるケース25と、内型となる管状部材26及び回転部材27とを備える。
【0027】
ケース25は、管状部材26及び回転部材27の外形に対応した中空部33を有する。ケース25は、樹脂を管状に押し出すための外型であると共に、第1のバルブ21及び第2のバルブ22の弁体を収容するケースである。ケース25の前面部には、樹脂を押し出すための押出口が設けられている。ケース25の中空部33には、押出口側から順に、管状部材26の第2の部分32と回転部材27が隣接して収容されており、第2の部分32の外面と中空部33の内面との間、及び、回転部材27の外面と中空部33の内面との間に所定の隙間が形成されている。この隙間は、供給された溶融樹脂を押出口へと導く流路として機能する。
【0028】
本実施形態では、ケース25のうち、金型20の外型となる部分と、第1のバルブ21及び第2のバルブ22の弁体を収容する部分とが一体に構成されているが、金型20の外型となる部分と、第1のバルブ21及び第2のバルブ22の弁体を収容する部分とを別に構成しても良い。
【0029】
管状部材26は、中心軸を貫通する貫通孔を有する管状の部材である。管状部材26に設けられた貫通孔は、成形した樹脂チューブの中空内部に空気を導入するためのものである。管状部材26は、後端を含む管状の第1の部分31と、第1の部分31に接続され、前端を含む環状の第2の部分32とを含む。第1の部分31の外径は略一定である。第2の部分32の最外径は第1の部分31の外径より大きく、第2の部分32は、第1の部分31に接続され、外形が一定である円筒部と、前端へと向かって外径が狭まるテーパー部とを有する。管状部材26は、図示しない固定手段によりケース25に対して固定されており、その中心軸周りの回転が禁止されている。
【0030】
回転部材27は、中心を貫通する貫通孔を有する筒形状の部材である。回転部材27の中空部の内径は、管状部材26の第1の部分31の外径と略等しく、回転部材27の中空部に、管状部材26の第1の部分31が収容されている。また、回転部材27の外径は、管状部材26の第2の部分32の円筒部の外径と等しく、管状部材26の第1の部分31を回転部材27の中空部に収容した状態において、回転部材27の外面と、管状部材26の第2の部分32の円筒部とは、連続した円柱面を構成する。回転部材27は、管状部材26と同軸であり、管状部材26によって、中心軸周りに回転可能に支持されている。回転部材27の外面には、螺旋状に延びる溝が形成されている。回転部材27は、モータ28に接続されており、モータ28と共に混練機構を構成する。回転部材27は、モータ28の駆動力によって回転する。回転部材27とケースの中空部の内面との間の空間に供給された樹脂は、モータ28による回転部材27の回転に伴い、回転部材27の外面の溝によって混練される。回転部材27の外面には、溝の代わりに凸条やピン、突起等を設けても良い。
【0031】
第1のバルブ21は、第1の押出機11と金型20の樹脂供給口34との間に設けられ、第1のバルブ21と金型20とが連通した状態と、第1のバルブ21と金型20との間が遮断された状態とを切り替え可能である。第2のバルブ22は、第2の押出機12と金型20の樹脂供給口35との間に設けられ、第2のバルブ22と金型20とが連通した状態と、第2のバルブ22と金型20との間が遮断された状態とを切り替え可能である。第1のバルブ21の弁体及び第2のバルブ22の弁体には、それぞれモータ23及び24が取り付けられており、モータ23及び24の回転により、対応する押出機から金型20までの流路の開閉を行う。
【0032】
尚、第1のバルブ21のモータ23、第2のバルブ22のモータ24、混練機構のモータ28の回転は、制御装置18によって制御される。
【0033】
真空水槽4の側壁には、混合金型13から押し出された樹脂チューブを、真空水槽14の内部に導入するための円筒状のサイジング30が設けられている。サイジング30のうち、真空水槽14内に配置される部分には、無数の孔(図示せず)が設けられている。真空水槽14の内部は減圧されているため、樹脂チューブ1は、サイジング30を通過する過程において、サイジング30に設けられた穴を通して、サイジング30の径方向に吸引される。樹脂チューブ1は、サイジング30の内周面に密着した状態で引き取られるため、樹脂チューブ1の外径がサイジング30の内径で規定される一定寸法に定まる。また、樹脂チューブ1は、サイジング30を通過する過程で、冷却水により冷却されて固化する。
【0034】
以下、本実施形態に係る押出成形装置100を用いた樹脂チューブ1の製造方法を説明する。
【0035】
まず、制御装置18は、第1の押出機11と金型20とが連通し、かつ、第2の押出機12と金型20との間の流路が遮断された第1の状態となるように、第1のバルブ21及び第2のバルブ22を制御する。第1のバルブ21及び第2のバルブ22の状態制御は、制御装置18が、モータ23及び24を回転させて、第1のバルブ21及び第2のバルブ22のそれぞれの弁体の位置を調整することにより行う。第1のバルブ21及び第2のバルブ22を第1の状態として、第1の押出機11から第1の樹脂を押し出すことにより、第1の樹脂からなる低可撓管部が成形される。
【0036】
次に、制御装置18は、第1のバルブ21及び第2のバルブ22を、第1の状態から、少なくとも第2の押出機12と金型20とが連通した第2の状態となるように制御する。第2の状態において、第1の押出機11と金型20との間が遮断されていても良いし、連通していても良い。
【0037】
第2のバルブ22と金型20とが連通し、かつ、第1のバルブ21と金型20との間が遮断された状態(以下、「第2の状態A」という)で、第2の押出機12から第2の樹脂を押し出すと、金型20の流路内に残存する第1の樹脂と第2の樹脂とが混練機構により混合される。また、第2のバルブ22と金型20とが連通し、かつ、第1のバルブ21と金型20とが連通した状態(以下、「第2の状態B」という)で、第1の押出機11及び第2の押出機12から第1の樹脂及び第2の樹脂をそれぞれ押し出すと、金型20の流路内に残存する第1の樹脂と、新たに供給された第1の樹脂及び第2の樹脂とが混練機構により混合される。第1の状態から、第2の状態Aまたは第2の状態Bに切り替えた直後は、金型20の流路内に残存している第1の樹脂が金型20から押し出されるが、その後、第1の樹脂とこれよりも柔軟な第2の樹脂との混合物が金型20から押し出される。第1の樹脂及び第2の樹脂の混合物が金型20から押し出されることにより、低可撓管部よりも曲げ剛性が低く、屈曲性を有する可撓管部が形成される。
【0038】
尚、第2の状態Bにおいては、第1の押出機11と金型20とが連通しているため、金型20における第2の樹脂の割合の増加が緩やかとなる。第2の状態Bにおいては、第1のバルブ21及び第2のバルブ22の開度により、第1の樹脂及び第2の樹脂の供給量を調整しても良い。
【0039】
次に、制御装置18は、第1のバルブ21及び第2のバルブ22を、第2の状態から第1の状態となるように制御する。第2の状態から第1の状態に切り替えた直後は、金型20の流路内に残存する第1の樹脂及び第2の樹脂の混合物または第2の樹脂が金型20から押し出されるが、その後、金型20の流路内の樹脂が第1の樹脂に入れ替わり、可撓管部よりも曲げ剛性の高い低可撓管部が成形される。
【0040】
第1の状態での押出成形時間及び第2の状態での押出成形時間は、第1の押出機11の押出速度、第2の押出機12の押出速度、引取機16による引取速度、金型20の流路の体積、成形する低可撓管部及び可撓管部の長さ、流動性等の樹脂の特性等に応じて設定することができる。
【0041】
図1に例示したような、1本の樹脂チューブ1内に複数箇所の可撓管部を設ける場合、制御装置18は、第1のバルブ21及び第2のバルブ22を、第1の状態から第2の状態に切り替えた後、第2の状態から第1の状態に切り替える制御を、複数回(可撓管部の数だけ)繰り返し行う。
【0042】
以上説明したように、本実施形態に係る押出成形装置100によれば、可撓性を有する可撓管部を部分的に設けた樹脂チューブ1を、押出成形装置のバルブ制御により成形することができる。可撓管部の数、位置及び長さが変わっても、従来のコルゲータを用いて蛇腹状の屈曲部を設ける場合のように、金型の変更を要しないため、従来と比べて、低コストで効率的に樹脂チューブ1を製造することができる。
【0043】
また、本実施形態に係る押出成形装置100を用いて製造した樹脂チューブ1は、外径が一定で円形の断面形状を有するため、蛇腹状の屈曲部のような表面凹凸がないため、配管に要するスペースを小さくすることができる。また、表面凹凸がないため、ハンドリング性も良好である。
【0044】
尚、上記の実施形態では、内型の一部を構成する回転部材27を用いて混練機構を構成し、供給された樹脂を混練しながら押し出す構成を例示したが、混練機構と金型は別体として設けても良い。例えば、金型と、第1のバルブ及び第2のバルブとの間に混練機構を設けても良い。ただし、上記の実施形態のように、金型の一部を用いて混練機構を構成した方が、金型内の樹脂の流路の体積(樹脂の残存量)を小さくすることができ、短い可撓管部を形成できるため好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、車両の燃料配管やワイヤハーネスの外装材、給湯設備等の配管等に用いられる樹脂チューブの製造装置として利用できる。
【符号の説明】
【0046】
1 樹脂チューブ
2a~2d 可撓管部
3a~3e 低可撓管部
11 第1の押出機
12 第2の押出機
18 制御装置
20 金型
21 第1のバルブ
22 第2のバルブ
25 ケース
26 管状部材
27 回転部材
100 押出成形装置