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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022102898
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】画像形成装置及び画像形成方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20220630BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20220630BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20220630BHJP
   G03G 21/14 20060101ALI20220630BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
B41J29/38 202
H04N1/00 127B
H04N1/00 567K
G03G21/00 384
G03G21/14
G06F3/12 313
G06F3/12 329
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020217933
(22)【出願日】2020-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】糸川 喜裕
(72)【発明者】
【氏名】京谷 忠雄
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP07
2C061AQ06
2C061AS02
2C061HJ02
2C061HJ10
2C061HK05
2C061HK11
2C061HL01
2C061HM00
2C061HN05
2C061HN08
2C061HN15
2C061HN19
2C061HN20
2H270LA70
2H270LB01
2H270LC04
2H270LC05
2H270LC07
2H270LD01
2H270LD08
2H270LD14
2H270MA34
2H270MB01
2H270MB05
2H270MB07
2H270MC01
2H270MC44
2H270ME05
2H270MF08
2H270MH05
2H270MH06
2H270PA07
2H270PA16
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC06
2H270ZD02
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA35
5C062AB08
5C062AB22
5C062AB32
5C062AC04
5C062AC12
5C062AC67
5C062AE01
5C062AF10
5C062AF14
(57)【要約】
【課題】画像形成データに従って実行される画像形成処理において画像形成部のローラを全速とは異なる速度で回転させる場合であっても、画像形成処理への移行を速やかに行うことを可能にする。
【解決手段】画像形成装置(1)は、画像形成データに従い画像をシートに画像形成する画像形成部(10)と、画像形成データに先行して外部端末(2)から送信される先行コマンドを受信する受信処理(S110)、先行コマンドに含まれるオプション情報から、画像形成部(10)の加熱ローラ(105a)の回転速度を決定する回転速度決定処理(S120)、及び、画像形成部(10)が画像形成を開始する前に加熱ローラ(105a)を回転させる準備処理(S130)、を実行するCPU(111)と、を備えている。CPU(111)は、回転速度決定処理(S120)にて決定した回転速度で加熱ローラ(105a)が回転するよう、準備処理(S130)において加熱ローラ(105a)を駆動するモータ(M)を制御する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部端末から送信された画像形成データに従い画像をシートに画像形成する画像形成部であって、シートを搬送するローラと、前記ローラに駆動力を付与することによって前記ローラを所定の速度で回転させる駆動部と、を有する画像形成部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記画像形成データに先行して前記外部端末から送信される先行コマンドを取得する取得処理と、
前記先行コマンドに含まれるオプション情報から、前記ローラの回転速度を決定する決定処理と、
前記画像形成部が画像形成を開始する前に、前記決定処理で決定した回転速度で前記ローラを回転するように前記駆動部を制御する準備処理と、
を実行する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記決定処理にて決定した回転速度が第1の速度である場合に、前記準備処理を実行し、前記決定処理にて決定した回転速度が前記第1の速度とは異なる第2の速度である場合に、前記準備処理を実行しない、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記決定処理にて決定した回転速度が第1の速度である場合に、前記第1の速度で前記ローラが回転するよう、前記準備処理において前記駆動部を制御し、前記決定処理にて決定した回転速度が前記第1の速度とは異なる第2の速度である場合に、前記第2の速度で前記ローラが回転するよう、前記準備処理において前記駆動部を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記オプション情報は、シートのサイズ、シートの種別、及び、画像形成モードの少なくとも何れかを指定する指定情報を含み、
前記決定処理において、前記制御部は、前記指定情報に基づいて、前記ローラの回転速度を決定する、
ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記決定処理において、前記制御部は、前記オプション情報に含まれる前記指定情報に加え、当該画像形成装置に記憶された内部指定情報であって、前記画像形成モードを指定する指定する内部指定情報に基づいて、前記ローラの回転速度を決定する、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記決定処理において、前記制御部は、前記オプション情報に前記画像形成モードを指定する指定情報が含まれていない場合、前記オプション情報に含まれる前記指定情報に加え、当該画像形成装置に記憶された指定情報であって、前記画像形成モードを指定する指定情報に基づいて、前記ローラの回転速度を決定する、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記オプション情報は、前記ローラの回転速度を第1の速度にするか前記第1の速度とは異なる第2の速度にするかを指定する指定情報を含み、
前記決定処理においいて、前記制御部は、前記指定情報に従って、前記ローラの回転速度を前記第1の速度にするか前記第2の速度にするかを決定する、
ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記画像形成部は、ヒータと、前記ヒータにより加熱される加熱ローラと、を有し、
前記ローラは、前記加熱ローラである、
ことを特徴とする請求項1~7の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
画像形成データに先行して外部端末から送信される先行コマンドを取得する取得処理と、
前記先行コマンドに含まれるオプション情報から、画像形成部のローラの回転速度を決定する決定処理と、
前記画像形成部が画像形成を開始する前に前記ローラを回転させる準備処理と、
前記画像形成部を用いて前記画像形成データに従い画像をシートに画像形成する画像形成処理と、を含み、
前記決定処理にて決定した回転速度で前記ローラが回転するよう、前記準備処理において前記ローラを駆動する駆動部を制御する、
ことを特徴とする画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像をシートに画像形成する画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置において、画像形成が指示されてから1枚目のシートの後端が排出されるまでの時間、いわゆるファーストプリント時間を短縮する技術が提案されている。例えば、画像形成データに先行して受信した先行コマンドをトリガーとして、準備処理を開始する画像形成装置が提案されている。準備処理としては、例えば、定着部の加熱ローラを回転させることや、定着部のヒータを昇温することなどが挙げられる。
【0003】
特許文献1に記載のプリンタ装置では、印刷データのスプールと印刷装置の暖機処理とを並行して行うことによって、ファーストプリント時間を短くしている。特許文献1のプリンタ装置における暖機処理は、印刷データに先行して受信した起動用データをトリガーとして開始される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-150761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
先行コマンドに従って実行される準備処理においては、従来、シートを搬送するローラを常に全速回転させていた。このため、画像形成データに従って実行される画像形成処理においてローラを全速とは異なる速度、例えば半速で回転させる場合、準備処理から画像形成処理に移行する際にローラを駆動するモータの回転速度を切り替える必要があった。このため、準備処理から画像形成処理への移行に、余計な時間が掛かるという問題があった。
【0006】
本発明の一態様は、画像形成データに従って実行される画像形成処理においてローラを全速とは異なる速度で回転させる場合であっても、画像形成処理への移行を速やかに行うことが可能な画像形成装置及び画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る画像形成装置は、外部端末から送信された画像形成データに従い画像をシートに画像形成する画像形成部であって、シートを搬送するローラと、前記ローラに駆動力を付与することによって前記ローラを所定の速度で回転させる駆動部と、を有する画像形成部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記画像形成データに先行して前記外部端末から送信される先行コマンドを取得する取得処理と、前記先行コマンドに含まれるオプション情報から、前記ローラの回転速度を決定する決定処理と、前記画像形成部が画像形成を開始する前に、前記決定処理で決定した回転速度で前記ローラを回転するように前記駆動部を制御する準備処理と、を実行する。
【0008】
上記の構成によれば、準備処理におけるローラの回転速度を画像形成処理におけるローラの回転速度に一致させることができるので、準備処理から画像形成処理に移行する際にローラの回転速度を変更する必要がない。したがって、準備処理から画像形成処理への移行を速やかに行うことができる。
【0009】
本発明の一態様に係る画像形成装置において、前記制御部は、前記決定処理にて決定した回転速度が第1の速度である場合に、前記準備処理を実行し、前記決定処理にて決定した回転速度が前記第1の速度とは異なる第2の速度である場合に、前記準備処理を実行しない。
【0010】
上記の構成によれば、画像形成処理におけるローラの回転速度が第2の速度である場合に、準備処理が省略されるので、画像形成処理への移行に際してローラの回転速度を第1の速度から第2の速度に変更する必要がない。したがって、画像形成処理への移行を速やかに行うことができる。また、準備処理においてローラを第1の速度で回転させることによる騒音の発生を回避することができる。
【0011】
本発明の一態様に係る画像形成装置において、前記制御部は、前記決定処理にて決定した回転速度が第1の速度である場合に、前記第1の速度で前記ローラが回転するよう、前記準備処理において前記駆動部を制御し、前記決定処理にて決定した回転速度が前記第1の速度とは異なる第2の速度である場合に、前記第2の速度で前記ローラが回転するよう、前記準備処理において前記駆動部を制御する。
【0012】
上記の構成によれば、画像形成処理におけるローラの回転速度が第2の速度である場合に、準備処理におけるローラの回転速度も第2の速度に制御されるので、画像形成処理への移行に際してローラの回転速度を第1の速度から第2の速度に変更する必要がない。したがって、画像形成処理への移行を速やかに行うことができる。また、準備処理においてローラを第1の速度で回転させることにより発生する騒音を低減することができる。
【0013】
本発明の一態様に係る画像形成装置において、前記オプション情報は、シートのサイズ、シートの種別、及び、画像形成モードの少なくとも何れかを指定する指定情報を含み、前記決定処理において、前記制御部は、前記指定情報に基づいて、前記ローラの回転速度を決定する。
【0014】
上記の構成によれば、準備処理におけるローラの回転速度を、シートのサイズ、シートの種別、及び、画像形成モードに応じて適切に設定することができる。
【0015】
本発明の一態様に係る画像形成装置において、前記制御部は、前記決定処理において、前記オプション情報に含まれる前記指定情報に加え、当該画像形成装置に記憶された内部指定情報であって、前記画像形成モードを指定する指定する内部指定情報に基づいて、前記ローラの回転速度を決定する。
【0016】
上記の構成によれば、画像形成装置に記憶された内部指定情報により指定される画像形成モードに応じて、準備処理におけるローラの回転速度を適切に設定することができる。
【0017】
本発明の一態様に係る画像形成装置において、前記制御部は、前記決定処理において、前記オプション情報に前記画像形成モードを指定する指定情報が含まれていない場合、前記オプション情報に含まれる前記指定情報に加え、当該画像形成装置に記憶された指定情報であって、前記画像形成モードを指定する指定情報に基づいて、前記ローラの回転速度を決定する。
【0018】
上記の構成によれば、先行コマンドに画像形成モードを指定する指定情報が含まれていない場合であっても、画像形成装置に記憶された内部指定情報により指定される画像形成モードに応じて、準備処理におけるローラの回転速度を適切に設定することができる。
【0019】
本発明の一態様に係る画像形成装置において、前記オプション情報は、前記ローラの回転速度を第1の速度にするか前記第1の速度とは異なる第2の速度にするかを指定する指定情報を含み、前記決定処理においいて、前記制御部は、前記指定情報に従って、前記ローラの回転速度を前記第1の速度にするか前記第2の速度にするかを決定する。
【0020】
上記の構成によれば、準備処理におけるローラの回転速度を決定する機能を外部端末が有している場合に、準備処理から画像形成処理への移行を速やかに行うことが可能な画像形成装置を実現することができる。
【0021】
本発明の一態様に係る画像形成装置において、前記画像形成部は、ヒータと、前記ヒータにより加熱される加熱ローラと、を有し、前記ローラは、前記加熱ローラである。
【0022】
本発明の一態様に係る画像形成方法は、画像形成データに先行して外部端末から送信される先行コマンドを取得する取得処理と、前記先行コマンドに含まれるオプション情報から、画像形成部のローラの回転速度を決定する決定処理と、前記画像形成部が画像形成を開始する前に前記ローラを回転させる準備処理と、前記画像形成部を用いて前記画像形成データに従い画像をシートに画像形成する画像形成処理と、を含み、前記決定処理にて決定した回転速度で前記ローラが回転するよう、前記準備処理において前記ローラを駆動する駆動部を制御する。
【0023】
上記の方法によれば、準備処理におけるローラの回転速度を画像形成処理におけるローラの回転速度に一致させることができるので、準備処理から画像形成処理に移行する際にローラの回転速度を変更する必要がない。したがって、準備処理から画像形成処理への移行を速やかに行うことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一態様によれば、画像形成データに従って実行される画像形成処理において画像形成部のローラを全速とは異なる速度で回転させる場合であっても、画像形成処理への移行を速やかに行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成システムの構成を示すブロック図である。
図2図1の画像形成システムに含まれる画像形成装置の内部の構成を示す図である。
図3図2の画像形成装置の内部の構成を示すブロック図である。
図4図1の画像形成システムに含まれる外部端末の動作の流れを示すフローチャートである。
図5図3の画像形成装置の動作の流れを示すフローチャートである。
図6図5のフローチャートに含まれる回転速度決定処理の一具体例を示すフローチャートである。
図7図5のフローチャートに含まれる準備処理の一具体例を示すフローチャートである。
図8図5のフローチャートに含まれる画像形成処理の一具体例を示すフローチャートである。
図9図5のフローチャートに含まれる画像形成終了処理の一具体例を示すフローチャートである。
図10図3の画像形成装置の動作例を示すタイミングチャートである。
図11図3の画像形成装置の動作の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本実施形態について図面を参照して説明する。
【0027】
(画像形成システムの構成)
本発明の一実施形態に係る画像形成システム3について、図1を参照して説明する。図1は、画像形成システム3の構成を示すブロック図である。
【0028】
画像形成システム3は、画像形成装置1と、画像形成装置1と通信可能に接続された外部端末2と、を含んでいる。画像形成装置1は、シートに画像を形成するための装置である。外部端末2は、シートに画像を形成することを画像形成装置1に指示するための装置である。本実施形態においては、画像形成装置1として、MFP(Multi-Function Peripheral)を用いている。また、外部端末2として、PC(Personal Computer)を用いている。
【0029】
なお、図1においては、1台の外部端末2を含む画像形成システム3を例示しているが、これに限定されない。すなわち、画像形成システム3は、2台以上の外部端末2を含み得る。また、画像形成システム3は、スマートフォンやタブレットなど、PC以外の外部端末2を含み得る。
【0030】
(画像形成装置の構成)
画像形成装置1の構成について、図2図3を参照して説明する。図2は、画像形成装置1の内部の物理的構成を示す図である。図3は、画像形成装置1の構成を示すブロック図である。
【0031】
画像形成装置1は、図2に示すように、本体筐体16と、シート供給部17と、排出ローラ18と、排出トレイ19と、を更に備えている。本体筐体16は上記各部を収容している。
【0032】
シート供給部17はシートSを送り出す。シート供給部17は、トレイ171と、給送ローラ172と、シート押圧板173と、搬送ローラ174と、レジストレーションローラ175と、を備える。トレイ171はシートSを収容するシートトレイである。給送ローラ172は、トレイ171に収容されたシートSを送り出す給送ローラである。
【0033】
シートSが送り出される場合、トレイ171上のシートSは、シート押圧板173によって給送ローラ172に寄せられ、給送ローラ172の回転に伴い搬送ローラ174に給送される。搬送ローラ174は、シートSをレジストレーションローラ175に向けて搬送する。レジストレーションローラ175は、シートSの先端の位置を揃えた後、画像形成部10に向けてシートSを搬送する。画像形成部10は、シート供給部17によって送り出されたシートSに画像を形成する。画像が形成されたシートSは、排出ローラ18によって排出トレイ19上に排出される。
【0034】
以下、図2および図3を参照して、画像形成部10の構成及び動作について補足する。画像形成部10は、露光部102と、転写部104と、帯電部101と、現像部103と、定着部105と、感光体100と、を備える。露光部102は、不図示のレーザ光源と、ポリゴンミラー102Gと、走査レンズ102Lと、ポリゴンモータ102Mと、反射鏡102Rと、を備える。
【0035】
ポリゴンミラー102Gは正六角柱の側面を6つの反射面とする回転多面鏡である。ポリゴンミラー102Gは、レーザ光源が出射した光ビームL1を感光体100に向かう方向へ偏向するためのものである。ポリゴンモータ102Mは、ポリゴンミラー102Gを回転駆動する。露光部102が備える不図示のモータドライバはポリゴンモータ102Mを駆動する。
【0036】
露光部102は、光ビームL1をポリゴンミラー102Gにより偏向し、ポリゴンミラー102Gから走査レンズ102L及び反射鏡102Rを介して感光体100の表面に光ビームL1を出射する。露光部102は、光ビームL1によって感光体100の表面を走査して露光する。これにより、感光体100に静電潜像が形成される。ポリゴンモータ102MはブラシレスDCモータである。
【0037】
転写部104は、感光体100との間でシートSを挟む転写ローラである。帯電部101は、不図示の帯電ワイヤ及びグリッド部を有するスコロトロン型の帯電器である。不図示の高電圧生成回路により、帯電ワイヤに帯電電圧が印加され、グリッド部にグリッド電圧が印加されることでコロナ放電が発生し、感光体100の表面が一様に帯電される。現像部103は現像ローラ103R及び現像剤収容部103Aを備える。
【0038】
画像形成部10では、感光体100の表面が帯電部101により一様に帯電された後、露光部102からの光ビームL1によって感光体100に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、現像ローラ103Rは、現像剤収容部103A内の現像剤を静電潜像が形成された感光体100に供給する。これにより、静電潜像が可視像化され、感光体100上に現像剤像が形成される。その後、シート供給部17から供給されたシートSが、感光体100と転写部104との間である転写位置に搬送されることで、感光体100上に形成された現像剤像がシートS上に転写される。
【0039】
現像剤像が転写されたシートSは、感光体100及び転写部104によって、定着部105に搬送される。定着部105は、感光体100及び転写部104から搬送されるシートS上の現像剤像を熱定着させる。定着部105は、加熱ローラ105aと、加圧ローラ105cと、ヒータHと、を備える。定着部105は、画像が形成されたシートSを、ヒータHを用いて加熱するものである。
【0040】
加熱ローラ105aはシートSを加熱する。加圧ローラ105cは加熱ローラ105aとの間でシートSを挟む。加熱ローラ105aの内部には、加熱ローラ105aの温度を上昇させるためのヒータHが配置されている。ヒータHは、例えばハロゲンランプである。定着部105では、現像剤像が転写されたシートSが、加熱ローラ105aと加圧ローラ105cとの間で挟まれて搬送されることによって、現像剤像がシートS上に熱定着される。現像剤像が熱定着されたシートSは、排出ローラ18によって排出トレイ19上に排出される。加熱ローラ105aは、特許請求の範囲における「ローラ」の一例である。
【0041】
画像形成装置1は、図3に示すように、画像形成部10と、ASIC(Application Specification Integrated Circuit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、LAN(Local Area Network)インタフェース14と、操作パネル15と、を備えている。画像形成部10、ASIC11、ROM12、RAM13、LANインタフェース14、及び操作パネル15は、バスを介して互いに接続されている。
【0042】
画像形成部10は、シートSに画像を形成するための構成である。本実施形態において、画像形成部10は、図2及び図3に示すように、帯電部101と、露光部102と、現像部103と、転写部104と、定着部105と、により構成されている。
【0043】
帯電部101は、感光体100の表面を一様に帯電させるための構成である。露光部102は、一様に帯電した感光体の表面に、光ビームを用いて静電潜像を形成するための構成である。現像部103は、感光体100の表面に形成された静電潜像を、現像剤を用いて可視像化するための構成である。転写部104は、感光体100の表面に形成された現像剤像を、転写ローラを用いてシートSの表面に転写するための構成である。定着部105は、上述のように、シートSの表面に転写された現像剤像を、加熱ローラ105aを用いて熱定着させるための構成である。
【0044】
加熱ローラ105aの昇温は、ヒータHへの通電することによって行われる。加熱ローラ105aは、モータMの回転によって駆動力が付与される。加熱ローラ105aは、モータMの回転速度、すなわち、加熱ローラ105aの回転速度は、モータMを駆動するモータドライバ105bによって制御される。なお、モータドライバ105bは、特許請求の範囲における「駆動部」の一例である。
【0045】
ASIC11には、CPU(Central Processing Unit)111が内蔵されている。CPU111は、画像形成装置1の各部、例えば、前述した画像形成部10及び後述する操作パネル15を制御するための構成である。ROM12には、画像形成装置1の各部を制御するための各種プログラム及び各種パラメータが保存されている。CPU111は、ROM12に保存されたプログラムに従って、ROM12に保存されたパラメータを参照しながら画像形成装置1の各部を制御する。CPU111は、画像形成装置1の制御部として機能し、ROM12は、画像形成装置1の記憶部として機能する。
【0046】
LANインタフェース14は、各種コマンド及び各種データを外部端末2から受信するための構成である。LANインタフェース14が外部端末2から受信するコマンド及びデータとしては、例えば、後述する先行コマンド及び画像形成データが挙げられる。RAM13には、バッファ131と、ページメモリ132と、が設けられている。バッファ131は、LANインタフェース14が受信した各種コマンド及び各種データを一時的に記憶するための構成である。例えば、LANインタフェース14が外部端末2から受信した先行コマンド及び画像形成データは、このバッファ131に一時的に記憶される。ページメモリ132は、CPU111が生成したデータを一時的に記憶するための構成である。例えば、CPU111が画像形成データから生成したラスターデータは、このページメモリ132に一時的に記憶される。RAM13は、画像形成装置1の記憶部として機能し、LANインタフェース14は、画像形成装置1の通信部として機能する。
【0047】
操作パネル15は、ユーザ操作を受け付けるための構成である。操作パネル15は、例えば、タッチパネル部151とプッシュボタン部152とにより構成される。タッチパネル部151は、ディスプレイとタッチパッドとにより構成され、CPU111から取得した操作画面をディスプレイに表示すると共に、タッチパッドが検出したタッチ操作を表す信号をCPU111に供給する。プッシュボタン部152は、複数のプッシュボタンにより構成され、各プッシュボタンが検出したプッシュ操作を表す信号をCPU111に供給する。
【0048】
(外部端末の動作)
外部端末2の動作について、図4を参照して説明する。図4は、外部端末2の動作の流れを示すフローチャートである。
【0049】
外部端末2は、画像形成ボタンが押下されると(S201:YES)、オプション情報作成処理S202を実行する。オプション情報作成処理S202は、画像形成処理において画像を画像形成する方法を表すオプション情報を作成する処理である。本実施形態においては、シートサイズを指定するシートサイズ指定情報、シートタイプを指定するシートタイプ指定情報、及び、画像形成モードを指定する画像形成モード指定情報を含むオプション情報を利用する。
【0050】
外部端末2は、続いて先行コマンド送信処理S203を実行する。先行コマンド送信処理S203は、オプション情報作成処理S202にて作成されたオプション情報を含む先行コマンドを、LANを介して画像形成装置1に送信する処理である。本実施形態においては、オプション情報がプリンタジョブ言語(PJL:Printer Job Language)により記述された先行コマンドを利用する。先行コマンドは、USBコントロール転送形式のコマンドであってもよい。
【0051】
外部端末2は、続いて画像形成データ生成処理S204を実行する。画像形成データ生成処理S204は、画像形成処理において画像を形成する方法と形成する画像の内容とを表す画像形成データを生成する処理である。本実施形態においては、画像を形成する方法がプリンタジョブ言語により記述され、形成する画像の内容がページ記述言語(PDL:Page Description Language)により記述された画像形成データを利用する。なお、形成する画像の内容は、PDF(Portable Document Format)に従い記述されていてもよい。
【0052】
外部端末2は、続いて画像形成データ送信処理S205を実行する。画像形成データ送信処理S205は、画像形成データ生成処理S204にて生成された画像形成データを、LANを介して画像形成装置1に送信する処理である。画像形成データ生成処理S204及び画像形成データ送信処理S205は、ページ毎に実行され、全てのページに対する処理が完了する(S206:YES)まで繰り返される。
【0053】
なお、本実施形態においては、先行コマンド及び画像形成データを外部端末2がLANを介して画像形成装置1に送信する構成を採用しているが、本発明は、これに限定されない。例えば、先行コマンド及び画像形成データを外部端末2がUSB(Universal Serial Bus)ケーブルを介して画像形成装置1に送信する構成を採用してもよい。この場合、先行コマンド及び画像形成データは、例えば、USBコマンドとして画像形成装置1に送信されることになる。また、この場合、画像形成装置1は、LANインタフェース14の代わりにUSBインタフェースを備え、このUSBインタフェースを利用して先行コマンド及び画像形成データを受信することになる。
【0054】
(画像形成装置の動作)
画像形成装置1の動作について、図5を参照して説明する。図5は、画像形成装置1の動作の流れを示すフローチャートである。なお、以下に説明する各ステップの処理主体は、特に断らない限り、画像形成装置1、より具体的には、画像形成装置1のCPU111である。
【0055】
画像形成装置1は、画像形成データに先行して外部端末2から送信される先行コマンドを受信すると(S110:YES)、回転速度決定処理S120を実行する。回転速度決定処理S120は、受信した先行コマンドに含まれるオプション情報から、後述する準備処理S130及び画像形成処理S140における加熱ローラ105aの回転速度、すなわち、モータMの回転速度を決定する処理である。回転速度決定処理S120の具体例については、参照する図面を代えて後述する。
【0056】
なお、本実施形態において、回転速度決定処理S120にて決定される回転速度は、第1の速度、又は、第1の速度よりも遅い第2の速度の何れかである。以下、第1の速度を全速、第2の速度を全速の50%の半速と仮定するが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1の速度が全速である場合、第2の速度は、全速の75%の速度でもよいし、全速の25%の速度でもよい。
【0057】
画像形成装置1は、続いて準備処理S130を実行する。準備処理S130は、モータMを用いて加熱ローラ105aを回転させると共に、ヒータHを用いて加熱ローラ105aを加熱することによって、定着部105を昇温する処理である。準備処理S130において、画像形成装置1のCPU111及びモータドライバ105bは、回転速度決定処理S120にて決定した回転速度で加熱ローラ105aが回転するよう、モータMを制御する。例えば、回転速度決定処理S120にて決定した回転速度が半速である場合、画像形成装置1のCPU111及びモータドライバ105bは、加熱ローラ105aが半速で回転するよう、モータMを制御する。また、回転速度決定処理S120にて決定した回転速度が全速である場合、画像形成装置1のCPU111及びモータドライバ105bは、加熱ローラ105aが全速で回転するよう、モータMを制御する。準備処理S130の具体例については、参照する図面を代えて後述する。
【0058】
画像形成装置1は、続いて画像形成処理S140を実行する。画像形成処理S140は、外部端末2から送信される画像形成データに従い、画像をシートSに画像形成する処理である。後述するように、画像形成処理S140における加熱ローラ105aの回転速度は、準備処理S130における加熱ローラ105aの回転速度に一致する。このため、準備処理S130から画像形成処理S140に移行する際にモータMの回転速度を変更する必要はない。画像形成処理S140の具体例については、参照する図面を代えて後述する。
【0059】
画像形成装置1は、続いて画像形成終了処理S150を実行する。画像形成終了処理S150は、モータMを用いた加熱ローラ105aの回転を停止すると共に、ヒータHを用いた加熱ローラ105aの加熱を停止する処理である。画像形成終了処理S150の具体例については、参照する図面を代えて後述する。
【0060】
(回転速度決定処理の具体例)
回転速度決定処理S120の具体例について、図6を参照して説明する。図6は、回転速度決定処理S120の具体例を示すフローチャートである。なお、以下に説明する各ステップの処理主体は、特に断らない限り、画像形成装置1、より具体的には、画像形成装置1のCPU111である。
【0061】
回転速度決定処理S120において、画像形成装置1は、受信した先行コマンドに含まれるオプション情報を取得する(S121)。上述したように、このオプション情報には、シートサイズ指定情報と、シートタイプ指定情報と、画像形成モード指定情報と、が含まれている。画像形成装置1は、プリンタジョブ言語で記述されたオプション情報を解釈することによって、シートサイズ指定情報により指定されるシートサイズ、シートタイプ指定情報により指定されるシートタイプ、及び、画像形成モード指定情報により指定される画像形成モードを特定する。
【0062】
画像形成装置1は、続いて、オプション情報に含まれるシートサイズ指定情報により指定されるシートサイズが小サイズであるか否かを判定する(S122)。シートサイズが小サイズである場合(S122:YES)、画像形成装置1は、回転速度を半速に設定する(S127)。なお、シートサイズが小サイズであるとは、例えば、シートサイズがレターサイズよりも1cm以上小さいことを指す。
【0063】
シートサイズが小サイズではない場合(S122:NO)、画像形成装置1は、続いて、オプション情報に含まるシートタイプ指定情報により指定されるシートタイプが厚紙であるか否かを判定する(S123)。シートタイプが厚紙である場合(S123:YES)、画像形成装置1は、回転速度を半速に設定する(S127)。
【0064】
シートタイプが厚紙ではない場合(S123:NO)、画像形成装置1は、続いて、オプション情報に含まる画像形成モード指定情報により指定される画像形成モードが静音モードであるか否かを判定する(S124)。画像形成モードが静音モードである場合(S124:YES)、画像形成装置1は、回転速度を半速に設定する(S127)。
【0065】
画像形成モードが静音モードではない場合(S124:NO)、画像形成装置1は、続いて、オプション情報に含まれる画像形成モード指定情報により指定される画像形成モードが定着改善モードであるか否かを判定する(S125)。画像形成モードが定着改善モードである場合(S125:YES)、画像形成装置1は、回転速度を半速に設定する(S127)。
【0066】
以上のステップS122~S125の全てにおいてNOと判定された場合、画像形成装置1は、回転速度を全速に設定する(S126)。
【0067】
シートSが小サイズ紙の場合、画像形成処理S140において加熱ローラ105aを半速駆動する必要がある。シートSが小サイズ紙の場合、加熱ローラ105aの端部をシートSが通過しないので、加熱ローラ105aの温度を低く抑えると共に、加熱ローラ105aの回転速度を低く抑える必要があるからである。上記のように、シートSが小サイズ紙の場合に準備処理S130における加熱ローラ105aの回転速度を半速に設定すれば、準備処理S130と画像形成処理S140とにおいて加熱ローラ105aの回転速度を一致させることができる。
【0068】
また、シートSが厚紙の場合、画像形成処理S140において加熱ローラ105aを半速駆動する必要がある。シートSが厚紙の場合、シートSに熱が伝わり難いので、時間をかけてシートSを加熱する必要があるからである。上記のように、シートSが厚紙の場合に準備処理S130における加熱ローラ105aの回転速度を半速に設定すれば、準備処理S130と画像形成処理S140とにおいて加熱ローラ105aの回転速度を一致させることができる。
【0069】
また、画像形成モードが静音モードである場合、画像形成処理S140において加熱ローラ105aを半速駆動する必要がある。画像形成モードが静音モードである場合、モータ搬送音を低減する必要があるからである。上記のように、画像形成モードが静音モードである場合に準備処理S130における加熱ローラ105aの回転速度を半速に設定すれば、準備処理S130と画像形成処理S140とにおいて加熱ローラ105aの回転速度が一致する。
【0070】
また、画像形成モードが定着改善モードある場合、画像形成処理S140において加熱ローラ105aを半速駆動する必要がある。画像形成モードが定着改善モードである場合、時間を掛けて確実に加熱ローラ105aによるシートSへの加熱を実行する必要があるからである。上記のように、画像形成モードが定着改善モードである場合に準備処理S130における加熱ローラ105aの回転速度を半速に設定すれば、準備処理S130と画像形成処理S140とにおいて加熱ローラ105aの回転速度を一致させることができる。
【0071】
なお、本実施形態においては、先行コマンドにオプション情報として含まれる画像形成モード指定情報を参照して加熱ローラ105aの回転速度を決定する構成について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、操作パネル15を用いて設定され、ROM12又はRAM13に記憶された画像形成モード指定情報を参照して加熱ローラ105aの回転速度を決定する構成を採用してもよい。この場合、画像形成装置1のCPU111は、回転速度決定処理S120において、先行コマンドにオプション情報として含まれるシートサイズ指定情報及びシートタイプ指定情報に加え、画像形成装置1のROM12又はRAM13に記憶された画像形成モード指定情報に基づいて、加熱ローラ105aの回転速度を決定することになる。画像形成装置1のCPU111は、先行コマンドにオプション情報として画像形成モード指定情報が含まれていない場合に限って、先行コマンドにオプション情報として含まれるシートサイズ指定情報及びシートタイプ指定情報に加え、画像形成装置1のROM12又はRAM13に記憶された画像形成モード指定情報に基づいて、加熱ローラ105aの回転速度を決定してもよい。
【0072】
(準備処理の具体例)
準備処理S130の具体例について、図7を参照して説明する。図7は、準備処理S130の具体例を示すフローチャートである。なお、以下に説明する各ステップの処理主体は、特に断らない限り、画像形成装置1、より具体的には、画像形成装置1のCPU111である。
【0073】
準備処理S130において、画像形成装置1は、モータMを駆動することによって、加熱ローラ105aの回転を開始する(S131)。この際、モータMを駆動するモータドライバ105bは、モータMの回転速度、すなわち、加熱ローラ105aの回転速度が、回転速度決定処理S120にて決定した回転速度に一致するようにモータMを制御する。
【0074】
画像形成装置1は、続いて、ヒータHを用いて、加熱ローラ105aの昇温を開始する(S132)。加熱ローラ105aの昇温は、例えば、加熱ローラ105aの温度が予め定められた温度に達する(S133:YES)まで継続される。
【0075】
(PJL解析及びRIP処理)
PJL解析及びRIP処理について説明する。CPU111は、PJL解析及びRIP処理を、図5のフローチャートの処理と並列に実行する。
【0076】
画像形成装置1は、外部端末2から画像形成データを受信すると、PJL解析及びRIP処理を実行する。ここで、PJL解析とは、画像形成装置1のCPU111が、画像形成データに含まれるプリンタジョブ記述言語を解析することによって、画像をシートSに画像形成する方法を特定する処理のことを指す。また、RIP処理とは、画像形成データに含まれるページ記述言語を解釈することによって、シートSに画像形成する画像を表すラスターデータを生成する処理のことを指す。CPU111は、RAM13のページメモリ132にラスターデータを記憶する。ラスターデータは、1ページ毎のデータであり、画像形成データに複数ページ分含まれる場合、CPU111は、複数ページ分全ての画像形成データに対するPJL解析及びRIP処理を実行完了した段階で処理を終了する。
【0077】
(画像形成処理の具体例)
画像形成処理S140の具体例について、図8を参照して説明する。図8は、画像形成処理S140の具体例を示すフローチャートである。なお、以下に説明する各ステップの処理主体は、特に断らない限り、画像形成装置1、より具体的には、画像形成装置1のCPU111である。
【0078】
CPU111は、画像形成キューが有るか、すなわち、ページメモリ132にラスターデータが記憶されているかどうかを判断する(S141)。CPU111は、ページメモリ132にラスターデータが記憶されている場合(S141:YES)は、S142に進む。CPU111は、ページメモリ132にラスターデータが記憶されていない場合(S141:NO)、S144に進む。
【0079】
画像形成装置1は、続いて、シートSの供給が可能であるか否かを判定する(S142)。そして、シートSの供給が可能であると判定した場合(S142:YES)、画像形成装置1は、ラスターデータの表す画像をシートSに画像形成する(S143)。CPU111は、1ページのラスターデータの表す画像のシートSへの画像形成が終了すると、画像形成が終了したラスターデータをページメモリ132から削除する。そして、CPU111は、S141に戻る。CPU111は、S141にてページメモリ132にラスターデータが記憶されているかの確認を行う。
【0080】
なお、外部端末2からページメモリ132にラスターデータが記憶されておらず(S141:NO)、予め定められた時間が経過した場合(S144:YES)、画像形成装置1は、シートSへの画像形成を行うことなく、画像形成処理S140を終了する。また、シートSの供給が不可能であり(S142:NO)、且つ、エラー状態が検出された場合(S145:YES)、画像形成装置1は、シートSへの画像形成を行うことなく、画像形成処理S140を終了する。
【0081】
(画像形成終了処理の具体例)
画像形成終了処理S150の具体例について、図9を参照して説明する。図9は、画像形成終了処理S150の流れを示すフローチャートである。なお、以下に説明する各ステップの処理主体は、特に断らない限り、画像形成装置1、より具体的には、画像形成装置1のCPU111である。
【0082】
画像形成終了処理S150において、画像形成装置1は、準備処理S130にて開始したヒータHによる加熱ローラ105aへの加熱を終了させる(S151)。続いて、画像形成装置1は、加熱ローラ105aを駆動するモータMの回転を停止させる(S152)。
【0083】
(画像形成装置の動作例)
画像形成装置1の動作例について、図10を参照して説明する。図10は、画像形成装置1の動作例を示すタイミングチャートである。図10においては、画像形成装置1をLANインタフェース14、PJL解析部、RIP処理部、エンジン制御部、モータドライバ105b、定着部105に分け、各部が実行する処理を図示している。PJL解析部、RIP処理部、エンジン制御部は、それぞれ、CPU111によって実現される機能ブロックである。
【0084】
図10に示す動作例では、外部端末2から取得した先行コマンドに従って、準備処理S130における加熱ローラ105aの回転速度が半速に設定される。したがって、準備処理S130から画像形成処理S140に移行する際に、加熱ローラ105aを駆動するモータMの回転速度を変化させる必要がない。このため、準備処理S130から画像形成処理S140への移行を速やかに行うことが可能である。また、画像形成処理S140における加熱ローラ105aの回転速度が半速である場合には、準備処理S130における加熱ローラ105aの回転速度も半速になるため、画像形成処理S140を開始する前に画像形成装置1が発する騒音のレベルを低く抑えることが可能である。
【0085】
(変形例1)
本実施形態においては、外部端末2から送信される先行コマンドにシートサイズ指定情報、シートタイプ指定情報、及び画像形成モード指定情報をオプション情報として含め、これらの情報に基づき画像形成装置1が加熱ローラ105aの回転速度を決定する構成について説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、外部端末2がシートサイズ、シートタイプ、及び画像形成モードから加熱ローラ105aの回転速度を決定し、決定した回転速度を指定する回転速度指定情報をオプション情報として含む先行コマンドを画像形成装置1に送信する構成を採用してもよい。この場合、外部端末2において、回転速度決定処理S120に準じた処理が実行されることになる。また、画像形成装置1は、先行コマンドにオプション情報として含まれる回転速度指定情報に基づいて、加熱ローラ105aの回転速度を決定することになる。
【0086】
(変形例2)
本実施形態においては、画像形成装置1が準備処理S130を常に実行する構成について説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、回転速度決定処理S120にて決定した回転速度が全速である場合には、準備処理S130を実行し、回転速度決定処理S120にて決定した回転速度が半速である場合には、準備処理S130を省略する構成を採用してもよい。
【0087】
図11は、この場合の画像形成装置1の動作の流れを示すフローチャートである。図11に示すフローチャートは、図5に示すフローチャートに回転速度が半速であるか否かを判定するステップS160を追加したものである。準備処理S130は、回転速度決定処理S120にて決定した回転速度が半速でない場合、例えば、全速である場合(S160:NO)に限って実行されるようになっている。これは、回転速度決定処理S120にて決定した回転速度が半速である場合には、回転速度決定処理S120を終了した直後に準備処理S130を実行するのに対して、回転速度決定処理S120にて決定した回転速度が半速でない場合には、回転速度決定処理S120を終了した直後に準備処理S130を実行しないことを意味している。回転速度決定処理S120にて決定した回転速度が半速である場合には、例えば、画像形成データを受信した後に準備処理S130に相当する処理を実行してから画像形成処理S140に相当する処理を実行する。
【0088】
回転速度が半速のとき準備処理S130を行わない場合、画像形成データ受信後、準備処理を行って画像形成処理を実行するため、モータの回転速度の切り換えが生じない。故に、モータの回転速度の切り換えのための時間をロスすることない。したがって、画像形成処理への移行を速やかに行うことが可能になる。また、画像形成処理における加熱ローラ105aの回転速度が半速である場合には、準備処理S130が省略されるため、画像形成処理を開始する前に画像形成装置1が騒音を発することを回避することが可能である。
【0089】
(ソフトウェアによる実現例)
画像形成装置1の制御ブロックは、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0090】
後者の場合、画像形成装置1は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記憶媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPUを用いることができる。上記記憶媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAMなどを更に備えていてもよい。また、上記プログラムは、当該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0091】
(付記事項)
本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0092】
1 画像形成装置
10 画像形成部
11 ASIC
12 ROM
13 RAM
14 LANインタフェース
15 操作パネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11