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  • 特開-打設ホースおよび打設方法 図1
  • 特開-打設ホースおよび打設方法 図2
  • 特開-打設ホースおよび打設方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022102935
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】打設ホースおよび打設方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/02 20060101AFI20220630BHJP
   E02D 15/04 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
E04G21/02 103Z
E02D15/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020218016
(22)【出願日】2020-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塚原 裕一
【テーマコード(参考)】
2D045
2E172
【Fターム(参考)】
2D045CA11
2D045CA12
2E172AA05
2E172CA58
(57)【要約】
【課題】コスト低減および容易な打設作業を実現する。
【解決手段】打設ホース10は、複数のホース単体16からなり、上流側のホース単体16の下流端と下流側のホース単体16の上流端とがスライドファスナー24によって着脱可能に連結されている。スライドファスナー24は下流端に設けられたスカート部30の外側に設けられている。ホース単体16は、複数の第1ホース単体20と、第1ホース単体20の下流側に直列に連結される複数の第2ホース単体22とに区分され、第2ホース単体22は第1ホース単体20よりも短く、直列に連結された複数の第2ホース単体22の全長は1つの第1ホース単体20の長さ以下である。枠型14内の打設済高さに応じて打設ホース10のホース単体16を下流側から取り外す。スライドファスナー24はホース単体16の全周に亘って設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のホース単体が直列に連結された打設ホースであって、
前記ホース単体同士は留め具によって着脱可能に連結されていることを特徴とする打設ホース。
【請求項2】
前記ホース単体は、直列に連結される複数の第1ホース単体と、複数の前記第1ホース単体の下流側に直列に連結される複数の第2ホース単体とに区分され、前記第2ホース単体は前記第1ホース単体よりも短く、直列に連結された複数の前記第2ホース単体の全長は1つの前記第1ホース単体の長さ以下であることを特徴とする請求項1に記載の打設ホース。
【請求項3】
前記ホース単体は下流端に筒状のスカート部を備え、前記留め具は前記スカート部の外側に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の打設ホース。
【請求項4】
前記留め具は、全周に亘って設けられるスライドファスナーであることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の打設ホース。
【請求項5】
前記ホース単体は、さらに最上流側設けられる最上流ホース単体に区分され、
前記最上流ホース単体の上流端には抜止用リングが設けられ、
前記抜止用リングの内径は、最上流ホース単体をコンクリート吐出口に対して固定するバンドの外径よりも小さいことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の打設ホース。
【請求項6】
複数のホース単体が留め具によって直列かつ着脱可能に連結された打設ホースを用いる打設方法であって、
枠型に対して前記打設ホースを挿入し、前記打設ホースから前記枠型に対して打設を行い、前記枠型内の打設済高さに応じて前記打設ホースの前記ホース単体を下流側から取り外すことを特徴とする打設方法。
【請求項7】
前記ホース単体は、直列に連結される複数の第1ホース単体と、複数の前記第1ホース単体の下流側に直列に連結される複数の第2ホース単体とに区分され、前記第2ホース単体は前記第1ホース単体よりも短く、直列に連結された複数の前記第2ホース単体の全長は1つの前記第1ホース単体の長さ以下であり、
打設済高さに応じて前記第2ホース単体の全てを取り外した後、最下流側の前記第1ホース単体を取り外し、あらためて複数の前記第2ホース単体を取り付けることを特徴とする請求項6に記載の打設方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枠型にコンクリートを打設する打設ホースおよび打設方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート構造物の建造には所定形状の枠型を構成し、該枠型に打設する。打設時には壁上にコンクリート配管を付設し、配管と配管の間の打設部位にバルブを取付けて先端にホースを取付けてコンクリートを打設する。コンクリートの打設には、例えば特許文献1に記載のような打設ホースが用いられる。
【0003】
打設ホースの吐出口は、底面や打設対象面から所定高さになるよう定められているため、構造物が壁などある程度の高さを有する場合にはホースを数回切断しながら打設する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-249016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ホースを切断しながら打設を行う場合には、汎用のサニタリーホースやゴムホースが利用され消耗品として扱われている。そのため、打設の度に新しいホースを用意する必要からコスト高となるとともに、打設後には廃棄物として処分する手間がある。また、ホースの切断には刃物などを準備しておくことが必要であり、しかも効率的な切断作業には多少の練度を要する。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、コスト低減および容易な打設作業を実現することのできる打設ホースおよび打設方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる打設ホースは、複数のホース単体が直列に連結された打設ホースであって、前記ホース単体同士は留め具によって着脱可能に連結されていることを特徴とする。
【0008】
このような打設ホースでは、枠型内の打設済高さに応じて打設ホースのホース単体を下流側から順次取り外すことにより全長を調整することができる。この取り外し作業は留め具を操作するだけで容易に行われ、しかも工具や刃物が不要であり容易な打設作業を実現することができる。また、取り外した各ホース単体は打設終了後に廃棄物として処分する必要がなく、再利用することが可能であり、打設施工回数に応じてコスト低減を実現することができる。
【0009】
前記ホース単体は、直列に連結される複数の第1ホース単体と、複数の前記第1ホース単体の下流側に直列に連結される複数の第2ホース単体とに区分され、前記第2ホース単体は前記第1ホース単体よりも短く、直列に連結された複数の前記第2ホース単体の全長は1つの前記第1ホース単体の長さ以下であってもよい。
【0010】
前記ホース単体は下流端に筒状のスカート部を備え、前記留め具は前記スカート部の外側に設けられていてもよい。
【0011】
前記留め具は、全周に亘って設けられるスライドファスナーであってもよい。
【0012】
前記ホース単体は、さらに最上流側設けられる最上流ホース単体に区分され、前記最上流ホース単体の上流端には抜止用リングが設けられ、前記抜止用リングの内径は、最上流ホース単体をコンクリート吐出口に対して固定するバンドの外径よりも小さくてもよい。
【0013】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる打設方法は、複数のホース単体が留め具によって直列かつ着脱可能に連結された打設ホースを用いる打設方法であって、枠型に対して前記打設ホースを挿入し、前記打設ホースから前記枠型に対して打設を行い、前記枠型内の打設済高さに応じて前記打設ホースの前記ホース単体を下流側から取り外すことを特徴とする。
【0014】
前記ホース単体は、直列に連結される複数の第1ホース単体と、複数の前記第1ホース単体の下流側に直列に連結される複数の第2ホース単体とに区分され、前記第2ホース単体は前記第1ホース単体よりも短く、直列に連結された複数の前記第2ホース単体の全長は1つの前記第1ホース単体の長さ以下であり、打設済高さに応じて前記第2ホース単体の全てを取り外した後、最下流側の前記第1ホース単体を取り外し、あらためて複数の前記第2ホース単体を取り付けてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかる打設ホースおよび打設方法では、コスト低減および容易な打設作業を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、実施形態にかかる打設ホースおよび枠型を示す模式図である。
図2図2は、打設ホースの分解図である。
図3図3は、実施形態にかかる打設方法を説明する図であり、(a)はその初期段階を示す図であり、(b)はその第1工程を示す図であり、(c)はその第2工程を示す図であり、(d)はその第3工程を示す図であり、(e)はその第4工程を示す図であり、(f)はその第5工程を示す図であり、(g)はその第6工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明にかかる打設ホースおよび打設方法の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0018】
図1は、本発明の実施形態にかかる打設ホース10の模式図である。図2は、打設ホース10の分解図である。
【0019】
打設ホース10は、上方に配置されている配管吐出口12に接続され、下方の枠型14に対してコンクリートを打設するために用いられるものである。配管吐出口12にはバルブ13が設けられている。打設ホース10は、打設する枠型14が壁などのある程度高い構造物が対象であって適用可能である。枠型14が設けられるのは地上、地下を問わない。配管吐出口12はアジテータ車などのコンクリート供給源につながっている。打設ホース10は枠型14の大きさに応じ複数設けられていてもよい。枠型14に対して打設ホース10が複数設けられる場合には、各バルブ13の開閉により順次打設を行うようにしてもよい。
【0020】
打設ホース10は、複数のホース単体16から構成されている。ホース単体16は、1つの最上流ホース単体18と、該最上流ホース単体18の下方に順次連結される複数の第1ホース単体20と、複数の第1ホース単体20の下方にさらに順次連結される複数の第2ホース単体22とに区分される。なお、図2では最上流ホース単体18、第1ホース単体20、および第2ホース単体22をそれぞれ代表的に1つずつ示している。
【0021】
以下の最上流ホース単体18、第1ホース単体20および第2ホース単体22の各長さについての説明は、それぞれ後述するスカート部30は含まず、基本的に後述するファスナー単体24aからファスナー単体24bまでの長さとする。最上流ホース単体18および第1ホース単体20は長さが等しく設定されている。第1ホース単体20は、枠型14の深さに応じて適度な数だけ直列に連結されている。第2ホース単体22の長さは第1ホース単体20の1/2以下であり、直列に連結された複数の第2ホース単体22の全長は1つの第1ホース単体20の長さ以下である。
【0022】
具体的に、本実施形態では、第2ホース単体22の長さは第1ホース単体20の1/4である。第2ホース単体22は1つの第1ホース単体20と同じ長さになるだけの数が設けられている。すなわち、図1の例では、最上流ホース単体18および第1ホース単体20の長さH1は2mであるのに対し、第2ホース単体22は長さH2が0.5mであり、4つが直列に連結されている。第2ホース単体22の長さは、枠型14に対して1回に打設する高さ(図3の符号H0参照)に相当するように設定するとよい。
【0023】
第1ホース単体20は適度に長いため、打設ホース10がある程度長い場合であっても、構成するホース単体16の数を抑制することができる。第2ホース単体22は適度に短いため、後述するように1回の打設量に応じて打設ホース10の全長を適切に調整することができる。ただし、条件によっては第1ホース単体20を省略し、打設ホース10の全長を第2ホース単体22で構成してもよい。
【0024】
各ホース単体16同士はスライドファスナー(留め具)24によって着脱可能に連結されている。スライドファスナー24はオープンファスナーである。ホース単体16の基部は、例えばシート体を筒状に丸めてつなぎ目16aで接続したものである。ホース単体16の素材として用いられるシート体は、例えば樹脂繊維からなる織物、編み物、メッシュ、ネットなどの布帛に合成樹脂をディッピング、コーティング、ラミネートまたはライニングしたものである。ホース単体16の内面はコンクリートが付着しにくくなるような生地にしてもよい。
【0025】
ホース単体16はコンクリートを打設させるのに必要かつ十分な径を有する。また、後述するようにホース単体16は施工現場で切断することがないため十分に高強度に構成することができ、コンクリートの安定供給性および耐久性に優れる。ホース単体16は薄地のシート体から構成されていることから可撓性に富み扱いやすい。ただし、図2では構造の理解を容易にするためにホース単体16を厚地に示している。
【0026】
ホース単体16は下流端にファスナー半体24aを備える。最上流ホース単体18を除くホース単体16は、上流端にファスナー半体24bを備える。下流側のファスナー半体24aにはスライダー24aaが設けられている。ホース単体16同士の連結部26で上流側のホース単体16の下流端におけるファスナー半体24aと下流側のホース単体16の上流端におけるファスナー半体24bとがスライドファスナー24を構成している。ファスナー半体24a,24bは、例えばつなぎ目16aを始端および終端としてホース単体16の全周に亘って設けられている。
【0027】
周知のように、スライドファスナー24のファスナー半体24a,24bは、それぞれ整列配置された複数の務歯を備えており、相互の務歯をスライダー24aaによってかみ合わせるものである。スライドファスナー24は連結部26の位置が分かりやすいように他の部分であるシート体の色(例えば黄色)とは明確に異なる色(例えば黒)にしてもよい。スライドファスナー24は他の素地色と明確に異なる色とすることにより、例えば枠型14内がやや暗い場合であっても識別が容易となる。また打設ホース10の長さの目盛りとなり、例えば枠型14への概略挿入深さを確認可能になる。
【0028】
このような第1ホース単体20および第2ホース単体22は、連結部26のスライドファスナー24によって全周を一様かつ確実に連結されており、しかもスライダー24aaの操作により簡便に着脱が可能である。当然ながら、連結部26におけるホース単体16同士の着脱には工具や刃物などが不要である。
【0029】
ホース単体16の下流端にはスカート部30が設けられている。スカート部30は、ホース単体16の基材と同材で構成された筒状部材であり、ホース単体16の内周面に当接固定されて、下流側に突出している。
【0030】
ファスナー半体24aはスカート部30の外側に設けられている。すなわち、連結部26では、上流側のホース単体16における下端のスカート部30が下流側のホース単体16の上流端の内腔部に嵌り込み、スライドファスナー24は全体としてスカート部30の外側に配置されることになる。スカート部30は連結部26のスライドファスナー24にコンクリートが付着して固着しないような汚れ防止の作用がある。
【0031】
つなぎ目16a同士の接続、シート体とスライドファスナー24との接続、およびスカート部30の接続は、例えば溶着、接着および縫製などによる。
【0032】
最上流ホース単体18は配管吐出口12に対してバンド33(図1参照)で固定される。最上流ホース単体18の上流端には配管吐出口12の吐出口に対する抜止用リング32が設けられている。抜止用リング32は硬質材でありシート基材で包まれている。抜止用リング32の内径はバンド33の外径よりも小さい。抜止用リング32はバンド33よりも下方には移動不能になることから、締付不足・滑り等による打設ホース10の落下を防ぐことができる。ただし、条件によっては、第1ホース単体20を打設ホース10の最上端に設けて、配管吐出口12に対してバンド33などのよって締め付けて使用してもよい。最上流ホース単体18の下端部は第1ホース単体20および第2ホース単体22と同構成である。
【0033】
第2ホース単体22のうち最下流側に接続するものについては、下流端のファスナー半体24bおよびスカート部30を省略してもよい。
【0034】
次に、打設ホース10を用いた打設方法について説明する。図3は、実施形態にかかる打設方法を説明する図であり、(a)はその初期段階を示す図であり、(b)はその第1工程を示す図であり、(c)はその第2工程を示す図であり、(d)はその第3工程を示す図であり、(e)はその第4工程を示す図であり、(f)はその第5工程を示す図であり、(g)はその第6工程を示す図である。打設ホース10は、複数のホース単体16が連結部26でスライドファスナー24によって連結した状態としておく。
【0035】
まず、最上流ホース単体18を配管吐出口12に対してバンド33によって取り付け(図1参照)、打設ホース10を枠型14の中に挿入する。
【0036】
図3(a)に示すように、打設ホース10の下端開口を、枠型14の内部で枠型14の底面14aに対して規定高さH0またはそれ以下となるよう配置する。この規定高さH0は所定の基準・規格で定められており、例えば1.5m程度である。下端開口が過度に高いと落下の衝撃によりセメントと石とが分離するなどの不都合があるためである。ここでは、打設ホース10の下端開口から枠型14の底面14aまでの高さを規定高さH0と同じにしておく。
【0037】
図3(b)に示すように、打設ホース10からコンクリート34を打設する。このとき、1回の打設による打設高さH0は適量に制限される。1回の打設高さH0は所定の基準・規格で定められており、例えば1時間あたり0.5mである。一度の打設高さを過度に大きくすると、液状のコンクリート34による圧力が大きくなり枠型14の構造に負担がかかるためである。一度の打設が終了したとき、打設ホース10の下端開口とコンクリート34と隙間をH01とする。この例ではH0=H0-H0=1.5-0.5=1.0mである。また、一度の打設によるコンクリート34を模式に符号34aで示す。
【0038】
一度の打設量がH0に達したら打設を一時停止させる。打設済高さは所定の目印等により確認可能である。そして、打設ホース10における最下流の第2ホース単体22を取り外す。
【0039】
この取り外し作業はスライドファスナー24のスライダー24aaを操作するだけで容易に行われ、もちろん工具や刃物が不要であり容易な打設作業を実現することができる。また、取り外した各ホース単体16は打設終了後に廃棄物として処分する必要がなく、再利用することが可能であり、打設施工回数に応じてコスト低減を実現することができる。この取り外し作業は、枠型14の内部で足場に乗った作業者が行ってもよいし、または一度打設ホース10の下端部だけを枠型14の外に引き出して行ってもよい。このとき、打設ホース10の下端開口近傍には、ファスナー単体24aのスライダー24aa(図2参照)があることから、該スライダー24aaのリング部に巻きかけたロープによって引き上げてもよい。
【0040】
第2ホース単体22は0.5mであることから、この時点で打設ホース10の下端開口からその時点のコンクリート34の上面までの高さは規定高さH0が確保され、所定時間が経過すれば第2回目の打設を行うことができる。枠型14に複数の打設ホース10を適用する場合には(図1参照)、所定時間が経過するまでに異なる他の打設ホース10による打設を行ってもよい。
【0041】
そして、図3(c)に示すように2回目の打設を行う。2回目以降も1回の打設高さH0は0.5mであり、隙間H0は1.0mとなる。この時点では1回目で打設されたコンクリート34(図2(c)の下側の符号34a部分)は適度に固化しており、その上部にさらにコンクリート34を打設しても枠型14に大きな負担はかからない。
【0042】
図3(c)~(f)に示すように、この後は再下端の第2ホース単体22の取り外しと打設とを繰り返す。図3(f)に示すように全ての第2ホース単体22が取り外されると、打設ホース10の再下端部は第1ホース単体20となる。
【0043】
このように、打設済高さに応じて第2ホース単体22の全てを取り外した後には、最下流側の第1ホース単体20を取り外し、あらためて図3(g)に示すように複数(この場合3つ)の第2ホース単体22を取り付ける。
【0044】
そうすると、打設ホース10の下端開口からその時点のコンクリート34の上面までの高さは規定高さH0が確保され、しかも打設ホース10の下流側には複数の第2ホース単体22が連結されている状態となり、実質的に初期段階の図3(a)と同じ状態になる。したがって、この後も同様の手順を繰り返しながらコンクリートの打設済高さに応じて打設ホース10の長さを適切に調整することができる。
【0045】
すなわち、本実施形態にかかる打設ホース10および打設方法では、配管吐出口12および打設ホース10を介して打設を開始すると枠型14内にコンクリート34が溜まり始め、次第にその打設済高さが高くなる。そして、枠型14内の打設済高さに応じて打設ホース10のホース単体16を下流側から順次取り外すことにより、打設ホース10の全長を用意に調整することができる。
【0046】
枠型14に対する打設は数日にわたって行われる場合がある。その場合の1日あたりの打設は、例えば打設ホース10の下流側の複数の第2ホース単体22を全て取り外すまでとしてもよい。すなわち、図3の例では(a)から(f)までを初日とし、(g)以降を2日目に行ってもよい。
【0047】
上記のとおり、打設ホース10の連結部26はスライドファスナー24を用いると全周にわたって一様且つ確実な連結が可能であって好適であるが、条件によってはホック、ボタン、スナップフィット式のプラスチックバックルなど他の留め具を用いてもよい。なお、留め具とは離れたり動いたりしないようにとめる器具であるが、本願ではさらに具体的に、ネジ止め、楔、圧入、固着、融着、接着など工具・器具等が必要なものや取り外し不能となる固定手段を除くものとする。
【0048】
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【符号の説明】
【0049】
10 打設ホース
12 配管吐出口
13 バルブ
14 枠型
16 ホース単体
16a つなぎ目
18 最上流ホース単体
20 第1ホース単体
22 第2ホース単体
24 スライドファスナー
24a,24b ファスナー半体
24aa スライダー
26 連結部
30 スカート部
32 抜止用リング
33 バンド
図1
図2
図3