(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022102941
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】電磁保護されたICタグ実装プレートを備えた金属部材
(51)【国際特許分類】
G06K 19/077 20060101AFI20220630BHJP
【FI】
G06K19/077 248
G06K19/077 224
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020218025
(22)【出願日】2020-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】592123853
【氏名又は名称】株式会社昭和螺旋管製作所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 勇
(57)【要約】 (修正有)
【課題】金属管などの金属部材に対して、ICタグ実装プレートを電磁干渉抑制領域として電磁フィールドしつつ取り付ける。
【解決手段】金属部材10にICタグ実装プレートを電磁障害なきよう取り付ける電磁干渉抑制部材であって、電磁干渉抑制領域30は、金属製品の表面の所望箇所に取り付けられ、製品情報を読み取り書き換え可能に格納したICタグ実装プレートを電磁シールドして保護し、かつ、上記製品情報を読み取ると共に、システムの基地局に伝達してこれを処理する読み取り用リーダを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属管などの金属製品に、I Cタグ実装プレートを電磁障害なきよう取り付ける電磁干渉抑制部材であって、
上記電磁干渉抑制領域は、上記金属製品の表面の所望箇所に取り付けられ、製品情報を読み取り書き換え可能に格納したI Cタグ実装プレートを電磁シールドして保護し、かつ上記製品情報を読み取ると共に、システムの基地局に伝達してこれを処理する読み取り用リーダを備えたことを特徴とした電磁保護されたICタグ実装プレートを備えた金属部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製品に対して電磁保護された電磁干渉抑制領域を設けた金属部材に関するもので、特に、フレキシブルな金属管などの鋼管に適用されるICタグ実装プレートを備えた金属部材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建築・土木分野などで適用される金属製品、特にICタグ(RFID:Radio Frequency Identification;無線自動認識)を取り付けた金属部材が、多く試みられるようになってきた。
非金属の製品に対しては、例えば、衣料品などをICタグに取り付けその管理をすることは既に一般に行われており、その物流管理や製品管理も様々に行われているが、金属部材にあってはさほど進展はしていない。
その理由は、金属部材の近くにICタグを置くと、電磁波が金属に吸収されることにより、ICタグの読み書きに支障をきたす恐れがあるためである。
【0003】
従来からICタグは、できるだけ導電性部材から遠ざけて設置するのが一般的であったが、UHF帯(極超短波)はアパレル業界や医療器具の管理・手術履歴など様々な業界で用いられ、数cmの近いところにあるタグから十数メートル離れたタグも一括で読み取れることから、近年急速に採用されてきている。
しかし、上記したように金属製品に対しては弱く、水分にも弱く、ゴムに吸収されるなど電磁波障害の点で難点があった。
また、この電磁波障害はUHF帯域において顕著に顕れるといわれており、この帯域における金属製品に対して安価で安全に読み書きを行うと共に、電磁障害除去の技術開発が望まれている。
【0004】
すなわち、UHF帯域において使用される携帯電話や医療関係の機器あるいは建築・土木の金属製品であって、電磁障害なき金属部材とICタグとの関係が模索されている。
なかでも、ICタグ実装プレートは読み書きができるラベルであって、これを金属部材に取り付けると共に、これを便利に管理しようとする場合に、電磁障害を防ぐための対策が必要とされる。
【0005】
このため、金属部材とICタグ実装プレートとの電磁障害を防ぐためには、従来は金属部材に対して立ち上がった状態でICタグ実装プレートを取付け、距離をおきながら電磁障害を防ぐという技術手段がとられていた。
この種の技術手段には、特許文献1(特開2009-116438)のように、無線タグ2はテープ状に形成された無線タグラベルのラベル本体を、折り曲げ線に沿って折り曲げて自立部3を立体化することによって電磁障害なきような技術手段がある。
特許文献2(特開2011-197765)のように、金属製の被貼付け体に貼り付けるにあたって、RFIDインレットの部分を起立可能なRFIDラベル1を提供するもので、このRFIDの領域1はラベル本体領域に対してこれを折り返して、ラベル本体領域の平面から起立可能とするような技術手段がある。
特許文献3(特許第6492206号)のように、当社の発明に係る文献で、金属部材の属性情報を容易に検知・判別可能とするもので、その生産段階から流通段階並びに最終段階までの各種の情報を容易に検知・判別可能とすると共に、製品のトレーサビリティ管理に優れ、かつ製品の属性情報を書き換え可能に格納し、電波障害の除去に優れた安価で容易なICタグを有する金属部材、またそのICタグを有した金属部材によるトレーサビリティに優れた製品履歴管理システムに関するものである。
なお、金属部材の属性情報とは、文献の明細書中に示されているように、金属製品自体の固有の系統を示す固有番号及び製品自体の品質・履歴の各種の製品情報を示す任意番号とからなるなどと提案されており、この特許文献3は本願発明の前提とされる文献である。
特許文献4(特開2007-271707号)のように、金属物品に貼付するために特有な加工を施すことなく、且つ非金属又は金属のいずれの被着体に貼付しても立ち上った状態の通信可能なRFIDラベルを提供するような技術手段がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009-116438号
【特許文献2】特開2011-197765号
【特許文献3】特許第6492206号
【特許文献4】特開2007-271707号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記したように、特許文献1(特開2009-116438号)や特許文献2(特開2011-197765号)や特許文献3(特許第6492206号)や特許文献4(特開2007-271707号)などの文献は、いずれも金属部材に対して立ち上がった状態でICタグ実装プレートを取り付け、その距離をおきつつ電磁障害を防ぐという技術手段がとられている。
【0008】
特許出願人は、RFIDラベル20を折り曲げることなく、また、立ち上げたりせず、また、距離を持たせたりせずに電磁障害なきよう図るため、金属部材に装着されるICタグを電磁干渉抑制領域を介して保護すること試みたものである。
【0009】
本発明は、金属管などの金属部材に対して、I Cタグ実装プレートを電磁干渉抑制領域として電磁フィールドしつつ取り付けることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、電磁保護されたICタグ実装プレートを備えた金属部材として、請求項1記載のように、金属管などの金属製品に、I Cタグ実装プレートを電磁障害なきよう取り付ける電磁干渉抑制部材であって、上記電磁干渉抑制領域は、上記金属製品の表面の所望箇所に取り付けられ、製品情報を読み取り書き換え可能に格納したI Cタグ実装プレートを電磁シールドして保護し、かつ上記製品情報を読み取ると共に、システムの基地局に伝達してこれを処理する読み取り用リーダを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、金属部材に取り付けるI Cタグ実装プレートを、電磁干渉抑制領域を介して保護しているので、従来のように金属部材とI Cタグ実装プレートとを電波障害を起こさないように立ち上げたり距離をとる必要がなく平面的に処理することができ、I Cタグ実装プレートの汎用性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係るICタグ実装プレートを金属造部材に取り付けた第1実施例の断面図である。
【
図2】ICタグ実装プレートを他の金属造部材に取り付けた第2の断面図である。
【
図3】ICタグ実装プレート体を示す説明用断面図である。
【
図4】電気絶縁・電磁抑制領域を示す説明図である。
【
図5】従来のプレート体の立ち上がりを示す説明図である。
【
図6】従来のプレート体の立ち上がりを示す他の説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施例を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明に係るICタグ実装プレートを金属造部材に取り付けた第1の実施例を示す断面図で、
図2は、第2の実施例を示す断面図である。
なお、特許文献3は、金属造部材のICタグ実装プレートに対して前提となるものであるが、その取付け構成が異なる。
また、ICタグ実装プレート自体は特許文献3を前提として説明をする。
10(10a)は金属部材であり、軸方向に伸びるフレキシブルな金属管であって、例えば、スプリンクラー用巻出し管などの消火配管などに適応され、その円筒状内には消火液などが流される。
また、この金属部材10aは、例えば、
図1のように平面状の金属部材である。また、この金属部材10aは、例えば、
図1のように円筒状の鋼管である。
金属部材10aの所望箇所の表面には、I Cタグ実装プレート11が取り付けられている。
【0014】
I C タグ実装プレート11は、
図3に示すように、I C タグ実装部分とプレート部分とより構成される。
このI C タグ実装プレート11には、製品情報を読み取り書き換え可能に格納されている(22)。
I C タグ実装プレート11のプレート体20について説明する。
同図に示すように、このI C タグ実装プレート11は、プラスチックなどの長尺な基体よりなる。
図中左側の一方領域を巻き付け領域20aとし、中央領域であるIC実装部分を立ち上がり領域20bとし、図中右側の他方領域を立ち上がり補強領域20cとして構成されている。
【0015】
巻き付け領域20aは、長尺な基体よりなるプレート体20とされ、蛇腹管である金属管1aに巻き付けられて取り付けられるが、貼付けやその他の方法で取り付けられても構わない。
【0016】
立ち上がり領域20bは、プレート体20の表面側に設けられる印字部21と、プレート体20の裏面側に設けられICタグを実装したアンテナ部であるインレイ部22とよりなる。
なお、この印字部21及びインレイ部22は、製品属性情報が書き換え可能に格納されている。
印字部21は、社名や製品番号など必要事項21aが書き換え可能に印刷されている。
インレイ部22は、プレート体20の裏面側において貼着された粘着層23によって保護され、通信電波に対する感度が最もよい方向、すなわちアンテナ指向方向が好感度となるように設定されている。
なお、通信電波の周波数は、長波~短波の周波数のうちから適宜選択できるが、この実施例では、UHF帯域を使用すると共に、金属管10aとインレイ部22の距離はデータ読み込み時の作業性と、通信の確実性の維持を考慮して設定される。
【0017】
立ち上がり補強領域20cは、ICタグを実装したプレート体20を補強・保護するもので、他方領域におけるプレート体端部分を折り返すようにして金属管10aと非接触状態として補強・保護して形成する。
金属対応のICタグとプレート体20との関係は密接な関係を有するので、次に詳細に述べるがいずれにせよ、このプレート体20自体はRFIDとして構成されている。
なお、上記実施例は本発明の一実施例を示すもので、本発明の範囲内において種々変更可能である。
したがって、特に、立ち上がり補強領域20cは、ICタグを実装したプレート体20を補強・保護するもので、他方領域におけるプレート体端部分を折り返すようにして金属管10aと非接触状態として補強・保護して形成するための説明であるので、平面状体で使用されても何らも問題はない。
【0018】
次に、I C タグ実装プレート11を取り付け電磁保護する電磁干渉抑制領域30を説明する。
電子機器への外部からの電磁波の影響を阻止するため、また、電子機器自体が発生する電磁波の外部への放出を阻止するため、電磁波シールドあるいは電磁波吸収効果のある電磁波抑制部材が求められている。
特に、小型電子機器等では一般にスペースが限られているため、電子機器内にをコンパクトに収納できることが望ましく、電磁波抑制機能を有するシート状あるいは塗料の適用が望まれる。
このような電磁波抑制部材としては、例えば、シリコーン樹脂やシリコーンゲル中に磁性体のような電磁波吸収材分散させ、電磁波吸収機能持つ材料がある。
また、イオン液体もイオン導電性・常温液体性・不揮発性ねかんてんから着目を浴びる材料とされる。
貼付型のものとしては、外面に電波吸収体を貼り付ける形態で、ゴムシート状のフェライトやカーボンなどが使用される。
塗装型のものとしては、外面に電波吸収体を塗装する形態で、厚さを一定にする、厚く塗る必要がある。
いずれにしても、この電磁干渉抑制領域30は、電子機器内の不要電磁波の干渉によって生じる電磁障害を抑制するために用いられる電磁フィールドの電磁干渉抑制体であって、無線通信を改善するために、近傍金属の影響を減らす目的で用いられる。
すなわち、不要電磁波を取り除くあるいは遮蔽する電磁干渉抑制体の電磁フィールドの使用として用いられる。
【0019】
図2において40は電気絶縁体よって形成される電気絶縁領域である。
電気絶縁領域40は、金属部材10の表面に設けられ、建物内と金属部材10とを連結する固定金具を取り付ける領域であり、電気絶縁体40が装着されている。
図2に示した電気絶縁領域40のように、樹脂部材を介して形成されているので、建物の中に生じる迷走電流(漏れ電流など)や金属管との異種金属間に生じる電位差による電蝕を防止することができる。
なお、この電気絶縁材料40としては、図示しないが、絶縁テープ、絶縁塗料、絶縁用雲母製品、絶縁用紙製品、絶縁用ゴム製品・絶縁用布製品・電気絶縁用バンドなどから選択することができる。
但し、この電磁干渉抑制領域30に電気絶縁領域40を兼務させて電磁・電気絶縁領域とすることもできる。
なお、電気絶縁領域と電磁干渉抑制領域を1つの電気絶縁・電磁抑制領域とし、両領域の作用を併せ持つ領域としてもよい。
【0020】
次に、電気絶縁領域について説明する、
この実施例は、
図4に示したように、金属部材には電気絶縁領域が形成されることが多い。
と共に、その近傍にICタグ実装プレートが立設され、ICタグ実装プレートの下部と金属部材との間には、電磁干渉抑制領域が設けられている。
したがって、このICタグ実装プレートは、電磁干渉抑制領域によって電磁干渉抑制が図られ、保護されているので、金属部材との間で電波干渉等を抑制し起さない。
また、立ち上がり補強領域20cなどは、プレート体端部分を折り返すようにして補強・保護している。
【0021】
本発明の実施例によれば、電磁干渉抑制体は不要電磁波を取り除くあるいは遮蔽するために、テレビなどの家庭電気製品、パソコンなどのコンピューター、携帯電話などの移動体通信機器、医療機器など各種の電子機器に使用され、これら電子機器から放出される不要電磁波が他の電子機器や電子部品、回路基板に影響を与えて誤作動を発生させるのを抑制することができる。
具体的には、前記の電子機器類の内部または周辺部に配置されることにより、不要電磁波の干渉によって生じる電磁障害を効果的に抑制する。
このため、電磁干渉抑制体の使用形態としては、例えば、シート状の電磁干渉抑制体を適宜切り取って機器のノイズ源近傍に貼り付けたり、あるいは機器のノイズ源または近傍に上記のように塗布するなどして電磁干渉抑制体を使用する。
いずれにせよ、金属部材10とICタグ実装プレート11の間に電磁干渉抑制領域30を設けて保護領域を形成する。
この保護領域の厚みが、金属部材10とICタグ実装プレート11の間の距離をかせぐこととなる。
よって、本発明は、金属部材に立設されたI Cタグ実装プレートに、製品情報を読み取り書き換え可能に格納し、金属管の所望箇所に電磁干渉抑制領域を設けたので、従来よりもさらに電波障害を起こすことがなく、ICタグ実装プレートを備えた金属部材を提供することができる。
【符号の説明】
【0022】
10 金属部材
10a 金属管
20 プレート体
20a 巻き付け領域
20b 立ち上がり領域
20c 立ち上がり補強領域
21 印字部
22 インレイ部
23 粘着層
30 電磁干渉抑制領域
40 電気絶縁体
R リーダ
T タブレッド
P パソコン
D データーベース
B 基地局