(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022102971
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】宅配ボックス
(51)【国際特許分類】
A47G 29/28 20060101AFI20220630BHJP
【FI】
A47G29/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020218065
(22)【出願日】2020-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000157212
【氏名又は名称】丸一株式会社
(72)【発明者】
【氏名】藤田 源希
【テーマコード(参考)】
3K100
【Fターム(参考)】
3K100CA24
3K100CA26
3K100CC02
3K100CD03
3K100CD05
(57)【要約】
【課題】
宅配ボックス内に結露が生じ、成長して結露水となっても、荷出しの為の開口から結露水が漏れることの無い宅配ボックスを提供する。
【解決手段】
不在時に配達品の荷受けを行う宅配ボックスにおいて、該宅配ボックスに宅配ボックス内の排水を排出する排水口を備えると共に、該排水口からの排水を処理するトラップ機能を備えた排水装置を備えて構成する。
また、上記トラップ機能を有した排水装置が、常時閉口し、排水時のみ開口する逆流防止弁であることを特徴とする宅配ボックスである。
また、上記宅配ボックスにおいて、宅配ボックス内を冷却する冷却機能を有する宅配ボックスである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不在時に配達品の荷受けを行う宅配ボックスにおいて、
該宅配ボックスに宅配ボックス内の排水を排出する排水口を備えると共に、該排水口からの排水を処理するトラップ機能を備えた排水装置を備えることを特徴とする宅配ボックス。
【請求項2】
上記トラップ機能を有した排水装置が、常時閉口し、排水時のみ開口する逆流防止弁であることを特徴とする請求項1に記載の宅配ボックス。
【請求項3】
上記宅配ボックスの排水口からの排水を、屋外側に排出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の宅配ボックス。
【請求項4】
上記宅配ボックスの排水口からの排水を、床下配管に排出するように構成してなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の宅配ボックス。
【請求項5】
上記宅配ボックスの排水口からの排水を、排水を内部に溜める排水カップに排出するように構成してなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の宅配ボックス。
【請求項6】
上記宅配ボックスが、宅配ボックス内を冷却する冷却機能を有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一つに記載の宅配ボックス。
【請求項7】
上記宅配ボックスを、
建物の屋内と屋外を隔てる壁面に配置される箱体であって、
屋外側に配達品を入れる荷受口を、
屋内側に配達品を取り出す荷出口を、それぞれ備えて構成したことを特徴とする、請求項1乃至請求項6のいずれか一つに記載の宅配ボックス。
【請求項8】
上記宅配ボックスに、常時閉口し、宅配ボックス外から宅配ボックス内に通気を行う通気時のみ開口する逆流防止弁からなる吸気弁を備えたことを特徴とする、請求項1乃至請求項7のいずれか一つに記載の宅配ボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宅配業者が配達する配達品を、受取人が不在の際に収納・保管する宅配ボックスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネット等の発達により、ユーザーが容易に商品の内容や在庫の情報を把握できるようになり、また注文も簡単に行えるようになったことから、通信販売が盛んになっている。
しかしながら、購入した商品を配達品として配送を行う宅配業者が購入者の自宅に配達する際、必ずしも家人がいるとは限らず、配達品の受け取りをすることができない場合がある。そこで、自宅に配達品を収納する宅配ボックスを設け、家人が不在の際は、この宅配ボックスに配達品を納入し、家人は帰宅後に宅配ボックス内に収納された配達品を回収することで、不在時でも配達品を受け取ることが可能になっている。
特許文献1に記載の宅配ボックスでは、建物の屋内と屋外を隔てる外壁に、屋外側に品物を入れる荷受口を、屋内側に品物を取り出す荷出口を、それぞれ備えた宅配ボックスを設けてなる。このように構成することで、家人が不在であっても配達業者は配送を完了でき、家人は外出していても配達品を受け取ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の宅配ボックスでは、ボックス本体に断熱材などを利用し、外気温の影響を受けにくいように構成している。しかしながら、配達品は常に常温・常湿の物とは限らず、生鮮食品や冷凍食品など低温での配送が行われる配達品がある。
このような、配達品が冷凍品・冷蔵品など低温の品物であった場合、宅配ボックス自体が断熱構造であっても、宅配ボックス内が冷却されて内部に結露を生じる場合がある。
また、上記生鮮食品や冷凍食品などが配達品であった場合に合わせて、宅配ボックス内に冷凍機能・冷蔵機能など、配達品を冷却するための機能を備える場合があり、この場合、冷却機能を作動させることで、宅配ボックス内が冷却されて内部に結露を生じる場合がある。
また、配達品には生花など水分を多く含み、狭い空間に収納されると収納空間内を高湿度にしてしまう配達品などもある。この場合、常温のままでも宅配ボックス内が高湿度となり、宅配ボックス内に結露を生じる場合がある。
これら結露は宅配ボックス内で成長し、自重が大きくなって表面張力で宅配ボックスの内面に付着することができなくなると宅配ボックスの内面を流下し、結露水となって宅配ボックスの底面上に溜まるようになる。
ここで、特許文献1の宅配ボックスでは、屋内側に荷出口を設けているため、家人が配達品を回収するため荷出口を開口した際、荷出口から結露水が漏れて荷受けを行った家人や屋内を汚してしまう場合があった。
また、宅配ボックスは上記のように建物の壁面に設けられるとは限らない。例えば、宅配ボックスの全体を屋外に固定し、荷受口・荷出口を兼用した一つの開口から宅配物の出し入れを行う構成の宅配ボックスや、マンションなど集合住宅に採用される場合には、1階フロアに荷受口・荷出口を兼用した一つの開口から宅配物の出し入れを行う宅配ボックスを、更に複数個集合させた構成の宅配ボックス等があるが、このような荷受口・荷出口を兼用した一つの開口を備えた構成の宅配ボックスでも、荷受口・荷出口を別々に備えた宅配ボックスと同様に、配達品を取り出す際、結露水が開口から漏れてしまい、荷受けを行った家人を汚してしまう場合があった。
本発明は上記問題点に鑑み発明されたものであって、宅配ボックス内に結露が生じ、成長して結露水となっても、荷出しの為の開口から結露水が漏れることの無い宅配ボックスを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の本発明は、不在時に配達品の荷受けを行う宅配ボックスにおいて、該宅配ボックスに宅配ボックス内の排水を排出する排水口を備えると共に、該排水口からの排水を処理するトラップ機能を備えた排水装置を備えることを特徴とする宅配ボックスである。
【0006】
請求項2に記載の本発明は上記トラップ機能を有した排水装置が、常時閉口し、排水時のみ開口する逆流防止弁であることを特徴とする請求項1に記載の宅配ボックスである。
【0007】
請求項3に記載の本発明は、上記宅配ボックスの排水口からの排水を、屋外側に排出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の宅配ボックスである。
【0008】
請求項4に記載の本発明は、上記宅配ボックスの排水口からの排水を、床下配管に排出するように構成してなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の宅配ボックスである。
【0009】
請求項5に記載の本発明は上記宅配ボックスの排水口からの排水を、排水を内部に溜める排水カップに排出するように構成してなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の宅配ボックスである。
【0010】
請求項6に記載の本発明は、上記宅配ボックスが、宅配ボックス内を冷却する冷却機能を有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一つに記載の宅配ボックスである。
【0011】
請求項7に記載の本発明は上記宅配ボックスを、
建物の屋内と屋外を隔てる壁面に配置される箱体であって、
屋外側に配達品を入れる荷受口を、
屋内側に配達品を取り出す荷出口を、それぞれ備えて構成したことを特徴とする、請求項1乃至請求項6にいずれか一つに記載の宅配ボックスである。
【0012】
請求項8に記載の本発明は、上記宅配ボックスに、常時閉口し、宅配ボックス外から宅配ボックス内に通気を行う通気時のみ開口する逆流防止弁からなる吸気弁を備えたことを特徴とする、請求項1乃至請求項7にいずれか一つに記載の宅配ボックス。
宅配ボックスである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の本発明では、宅配ボックス内に結露水が生じても、該結露水を排水口から排出して処理することができ、荷出口から配達品を回収する際に屋内側に結露水が漏れることが無い。これは請求項6に記載の本発明のように、宅配ボックス内に冷却機能を備えた場合、特に有効である。また、排水口からの流路上にトラップ機能を備えた排水装置を備えたことで、排水の処理先より臭気や害虫類の宅配ボックス内への侵入を防止することができる。
また、請求項2に記載の本発明では、上記トラップ機能を備えた排水装置として、常時閉口し排水時のみ開口する排水用の逆流防止弁を設けたため、宅配ボックス内に排水を処理する流路の下流側からの排水などの逆流を防ぐことができる。
請求項3乃至請求項5に記載の本発明では、排水の処理先を明確にすることができる。
請求項7に記載の本発明では、宅配ボックスの構成を明確にすることができる。
請求項8に記載の本発明では、宅配ボックス内が負圧になった場合に、宅配ボックス内に宅配ボックス外の空気を吸気することで負圧を解消し、宅配ボックスの荷出しの際に宅配ボックス内が負圧のため扉を開くことが困難になる、という状態を解消することができる。これは例えば請求項6に記載の発明のように、冷却機能を宅配ボックスに備えたことで、宅配ボックス内が冷却されて内部の気体が収縮し、負圧となる場合に効果的に機能する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第一実施例の宅配ボックスの、側面方向の断面図である。
【
図3】第一実施例の宅配ボックスの、平面方向の断面図である。
【
図4】
図2の宅配ボックスの、荷受口を開口した正面図である。
【
図5】
図3の宅配ボックスの、荷受口及び荷出口を開口した断面図である。
【
図7】逆流防止弁ユニットの部材構成を示す断面図である。
【
図8】
図1の宅配ボックスの、配達品を収納した状態を示す断面図である。
【
図9】第二実施例の宅配ボックスの、側面方向の断面図である。
【
図10】第二実施例の宅配ボックスの正面図である。
【
図11】段落0035に記載した宅配ボックスの断面図である。
【0015】
以下に、本発明の第一実施例について、図面を参照しつつ説明する。
図1乃至
図5に示した第一実施例の宅配ボックスは、建物の屋内と屋外を隔てる外壁の壁面W、例えば玄関近傍の外壁の壁面Wに設置固定される宅配ボックスであって、以下のように構成されてなる。
宅配ボックスは、以下に記載する、ボックス本体1と、荷受口側扉2と、荷出口側扉3と、排水配管Pと、から構成される。
ボックス本体1は、
図4等に示したように、約60センチメートル×約40センチメートルの開口を備えた、厚み約3センチメートル、長さ約50センチメートルの金属製の枠体である。
該枠体の端部の一方、屋外側に向けて設置される側が荷受口1a、他方の屋内側に設置される側が荷出口1bであり、荷受口1aが玄関脇の壁面Wと面一となるように玄関近傍の壁面Wに設置固定されてなる。
また、ボックス本体1の荷受口1aは、側面側に設けたヒンジによって開閉可能な金属製の扉である荷受口側扉2を備えてなる。
また、ボックス本体1の荷出口1bは、側面側に設けたヒンジによって開閉可能な金属製の扉である荷出口側扉3を備えてなる。
宅配ボックスは、ボックス本体1の荷受口1aを荷受口側扉2が、荷出口1bを荷出口側扉3が、それぞれ閉口することで箱体の形状を形成してなる。
また、荷受口側扉2の屋外側には受取可/受取不可を表示する表示窓2aが備えられ、荷受口側扉2のボックス本体1側には捺印用の印鑑(図示せず)、及び荷受口側扉2を施錠状態とする施錠レバー2bが備えられている。施錠レバー2bに施錠操作を行った状態で荷受口側扉2を閉じると、荷受口側扉2は施錠状態となって荷受口1aを開くことができなくなり、また表示窓2aの表示は受取可から受取不可に変更される。
また、荷出口側扉3の屋内側には、屋内側からの開閉操作のみによって荷出口側扉3を開口できるように施錠機能が備えられている。
また、宅配ボックス内には、センサー、及び操作ボタンを備えた冷却装置4が備えられてなる。この冷却装置4は次の1から4のいずれかの場合に機能し、宅配ボックス内を冷蔵又は冷凍の状態とする。冷蔵または冷凍のどちらの機能が作動するかは、冷却装置4が作動する際に指定されるものとする。
1.配送業者が、操作ボタンによって、宅配ボックスの冷却装置4に対して「冷蔵」または「冷凍」の操作をしたとき。
2.家人が事前に「要冷蔵」または「要冷凍」の配達品Dの到着時間を把握する等して、タイマーを設定して到着時間に合わせて「冷蔵」または「冷凍」の機能を作動させるとき。
3.配達品Dに「要冷蔵」または「要冷凍」のタグが添付され、宅配ボックスのセンサーがこの「要冷蔵」または「要冷凍」のタグを読み取ったとき。
4.配達品Dに配達品Dの情報を管理する個別の管理コードが付与され、宅配業者が該管理コードの情報を管理する情報管理システムを備え、該情報管理システム上にて管理コードに「要冷蔵」または「要冷凍」の情報が記録され、宅配ボックス内に配達品Dが配送・収納されたとき、宅配ボックスのセンサーが配達品Dの管理コードを読み取り、インターネット等の情報網にて情報管理システムにアクセスして配達品Dの管理コードの情報から「要冷蔵」または「要冷凍」の情報を取得したとき。
また、冷却機能は、屋内側から荷受口側扉2を開くことで作動を停止するように構成されてなる。
また、宅配ボックスには、ボックス本体1の底面になる部分に若干の勾配を設け、該勾配によって下端となる部分に排水口5を設けてなる。本実施例では、排水口5から、屋外に向けて排水を処理するための排水配管Pを備えてなる。本実施例では、排水配管Pの端部は、屋外側で解放されるように構成されてなる。
また、排水口5には、トラップ機能を備えた排水装置として、ボックス本体1内からの排水や空気は下流側に通過させるが、下流側からボックス本体1内への排水や空気は通過させない逆流防止弁である排水弁V1が配置されてなる。
また、宅配ボックスには、ボックス本体1の屋内側の上面に貫通孔を設け、この貫通孔に、屋内側からボックス本体1内への空気は通過させるが、ボックス本体1内から屋内側への空気は通過させない逆流防止弁である吸気弁V2が配置されてなる。
排水弁V1、吸気弁V2は、それぞれ
図6及び
図7に図示した、以下に記載する弁本体6とユニット本体7とから構成される。
ユニット本体7は円筒状にして、その内部に流体の流路を形成すると共に、円筒の内周に沿って弁体6aが当接する弁座部7aと、弁本体6の軸部6bを固定する固定部7bを備えてなる。
弁本体6はゴムなどの弾性素材からなり、円盤状にして当接部に当接し流路を閉口する弁体6aと、弁体6aの中央から延出された棒状の軸部6bと、から構成される。
弁体6aが弁座部7aに当接するようにして弁本体6の軸部6bを固定部7bに固定させることでユニット本体7の筒状部分内部の流路が閉口された
図6のような状態となる。この状態において、適正な流路方向、
図6では上方から下方への流路方向に流体が流れると流体の圧力(上流側が正圧になる場合、または下流側が負圧になる場合)や重量によって弁体6aが弾性変形し、弁座部7aから離間して流路が開口し、気体や液体等の流体が流出する。逆に、
図6の下方から上方に向かう逆流方向の流れに対しては弁体6aが弁座部7aに当接した状態を維持し、流路が閉口されたままのため、流体の逆流は生じない。
排水弁V1、また吸気弁V2は気体の通過を防止する性質上、常時閉口し、上流側から下流側へ液体や気体などの流体を通過させる場合のみ開口するように構成されてなる。
この排水弁V1、また吸気弁V2は必要に応じて宅配ボックスから取り外し、適宜清掃や交換などメンテナンスを行うことができる。
【0016】
上記のように構成された宅配ボックスの使用方法を以下に記載する。
尚、以下の説明においては、配達業者が配達する配達品Dには、要冷蔵の情報を付与したシール状の電子タグTが貼り付けされている。
【0017】
配達業者が、受取可の表示がされている宅配ボックスの荷受口側扉2を開いて荷受口1aを開口し、
図8に示したように、配達品Dを荷受口1aから宅配ボックスに収納する。宅配ボックス内に配達品Dが収納されると、宅配ボックス内の冷却装置4のセンサーが電子タグTの要冷蔵の情報を読み取り、冷却装置4が作動して、冷蔵に適正な温度に宅配ボックス内を冷却する。
尚、配達品Dが複数あり、それぞれの管理温度が異なる場合、例えば「要冷蔵」の配達品Dと、「要冷凍」である配達品Dなど、管理温度が異なる複数の配達品Dが同時に宅配ボックス内に収納された場合、冷却装置4はエラーを音と表示で通知して、配達品Dが統一された管理温度となるように配達業者に通知する。
【0018】
その後、施錠レバー2bを操作して荷受口側扉2を施錠状態とし、配達票に捺印した上で、荷受口側扉2を閉じる。
荷受口側扉2は施錠状態とされていたため、荷受口1aは荷受口側扉2によって施錠された状態で閉口され、屋外から荷受口側扉2を開くことができなくなる。この時表示窓2aには受取不可の表示がなされる。
【0019】
荷受口1aの閉口後、冷却装置4の作動により、冷蔵に適正な温度に宅配ボックス内を冷却する。
【0020】
家人が宅配ボックス内の配達品Dを回収する場合は、屋内から荷出口側扉3を開き、配達品Dを荷出口1bから取り出すことで、配達品Dを回収することができる。この時、冷却装置4は、荷出口1bが開口されたことで機能を停止する。
荷出口1bより荷受口側扉2の施錠レバー2bに操作を行い、施錠を解除した後、荷出口1bを閉じることで、宅配ボックスに対する操作が完了する。
【0021】
上記実施例の動作の際に、冷却の結果として、宅配ボックス内の内面に結露が生じると、これら結露は宅配ボックス内で成長し、自重が大きくなって表面張力で宅配ボックスの内面に付着することができなくなり、宅配ボックスの内面を流下し、結露水となって宅配ボックスの底面上に流下する。
この場合に、本実施例では、宅配ボックスの底面には勾配が設定され、勾配の最も低い位置には排水口5が備えられてなるため、結露水は排水口5から排出される。
排水口5からの流路内には排水弁V1が備えられてなり、排水が充分に溜まると、弁本体6の弁体6aが弾性変形し、弁座部7aから離間して流路を開口して溜まった排水を下流側に排出する。本実施例では、排水口5からの配管は、
図1、
図2、
図4、
図8に示したように、排水配管Pを介して壁面Wから屋外に排水を排出するように構成されており、宅配ボックス内に生じた結露水は、排水口5から排水弁V1を通過して屋外に排出されるため、荷出口1bを開口しても屋内側に結露水がこぼれることは無い。一方で、排水弁Vはトラップ機能を備えるため、臭気や害虫類の逆流を防止する。
【0022】
また、本実施例では、冷却装置4の動作の際に、冷却の結果として、宅配ボックス内の空気が収縮して宅配ボックス内が負圧となるが、本実施例では、宅配ボックスに吸気弁V2を備えてなり、宅配ボックス内が負圧となると、屋内と宅配ボックス内の気体の圧力差によって吸気弁V2の弁体6aが弁座部7aから離間し、屋内から宅配ボックス内に吸気を行って負圧を解消するため、宅配ボックス内が負圧によって荷出口側扉3を開くことが困難になることが無い。
【0023】
次に、本発明の第二実施例について、図面を参照しつつ説明する。
図9及び
図10に示した第二実施例の宅配ボックスは、建物の屋内と屋外を隔てる外壁の壁面W、例えば玄関近傍の外壁の壁面Wに設置固定される宅配ボックスであって、以下のように構成されてなる。
宅配ボックスは、以下に記載する、ボックス本体1と、荷受口側扉2と、荷出口側扉3と、排水配管Pと、から構成される。
ボックス本体1は、
図9、
図10に示したように、約60センチメートル×約40センチメートルの開口を備えた、厚み約3センチメートル、長さ約50センチメートルの金属製の枠体である。
該枠体の端部の一方、屋外側に向けて設置される側が荷受口1a、他方の屋内側に設置される側が荷出口1bであり、荷受口1aが玄関脇の壁面Wと面一となるように玄関近傍の壁面Wに設置固定されてなる。
また、ボックス本体1の荷受口1aは、側面側に設けたヒンジによって開閉可能な金属製の扉である荷受口側扉2を備えてなる。
また、ボックス本体1の荷出口1bは、側面側に設けたヒンジによって開閉可能な金属製の扉である荷出口側扉3を備えてなる。
宅配ボックスは、ボックス本体1の荷受口1aを荷受口側扉2が、荷出口1bを荷出口側扉3が、それぞれ閉口することで箱体の形状を形成してなる。
尚、上記本実施例のボックス本体1、また荷受口側扉2、荷出口側扉3等は耐火・耐熱素材で構成されており、火災などの際でも、内部の収納品は一定時間火災に耐えることができるように構成されている。
また、荷受口側扉2の屋外側には受取可/受取不可を表示する表示窓2aが備えられ、荷受口側扉2のボックス本体1側には捺印用の印鑑(図示せず)、及び荷受口側扉2を施錠状態とする施錠レバー2bが備えられている。施錠レバー2bに施錠操作を行った状態で荷受口側扉2を閉じると、荷受口側扉2は施錠状態となって荷受口1aを開くことができなくなり、また表示窓2aの表示は受取可から受取不可に変更される。
また、荷出口側扉3の屋内側には、屋内側からの開閉操作のみによって荷出口側扉3を開口できるように施錠機能が備えられている。
また、宅配ボックス内には、センサー、及び操作ボタンを備えた冷却装置4が備えられてなる。この冷却装置4は次の1から4のいずれかの場合に機能し、宅配ボックス内を冷蔵又は冷凍の状態とする。冷蔵または冷凍のどちらの機能が作動するかは、冷却装置4が作動する際に指定されるものとする。
1.配送業者が、操作ボタンによって、宅配ボックスの冷却装置4に対して「冷蔵」または「冷凍」の操作をしたとき。
2.家人が事前に「要冷蔵」または「要冷凍」の配達品Dの到着時間を把握する等して、タイマーを設定して到着時間に合わせて「冷蔵」または「冷凍」の機能を作動させるとき。
3.配達品Dに「要冷蔵」または「要冷凍」のタグが添付され、宅配ボックスのセンサーがこの「要冷蔵」または「要冷凍」のタグを読み取ったとき。
4.配達品Dに配達品Dの情報を管理する個別の管理コードが付与され、宅配業者が該管理コードの情報を管理する情報管理システムを備え、該情報管理システム上にて管理コードに「要冷蔵」または「要冷凍」の情報が記録され、宅配ボックス内に配達品Dが配送・収納されたとき、宅配ボックスのセンサーが配達品Dの管理コードを読み取り、インターネット等の情報網にて情報管理システムにアクセスして配達品Dの管理コードの情報から「要冷蔵」または「要冷凍」の情報を取得したとき。
また、冷却機能は、屋内側から荷受口側扉2を開くことで作動を停止するように構成されてなる。
また、宅配ボックスには、ボックス本体1の底面になる部分に若干の勾配を設け、該勾配によって下端となる部分に排水口5を設けてなる。本実施例では、宅配ボックス内であって、排水口5の下方に排水口5からの排水を受ける排水カップCを備えてなる。
また、排水口5には、トラップ機能を備えた排水装置として、ボックス本体1内からの排水や空気は下流側に通過させるが、下流側からボックス本体1内への排水や通気は通過させない逆流防止弁である排水弁V1が配置されてなる。
排水弁V1は、それぞれ以下に記載する弁本体6とユニット本体7とから構成される。
ユニット本体7は円筒状にして、その内部に流体の流路を形成すると共に、円筒の内周に沿って弁体6aが当接する弁座部7aと、弁本体6の軸部6bを固定する固定部7bを備えてなる。
弁本体6はゴムなどの弾性素材からなり、円盤状にして当接部に当接し流路を閉口する弁体6aと、弁体6aの中央から延出された棒状の軸部6bと、から構成される。
弁体6aが弁座部7aに当接するようにして弁本体6の軸部6bを固定部7bに固定させることで、ユニット本体7の筒状部分内部の流路が閉口された
図6のような状態となる。この状態において、適正な流路方向、
図6では上方から下方への流路方向に流体が流れると流体の圧力(上流側が正圧になる場合、または下流側が負圧になる場合)や重量によって弁体6aが弾性変形し、弁座部7aから離間して流路が開口し、気体や液体等の流体が流出する。逆に、
図6の下方から上方に向かう逆流方向の流れに対しては弁体6aが弁座部7aに当接した状態を維持し、流路が閉口されたままのため、流体の逆流は生じない。
この排水弁V1は必要に応じて宅配ボックスから取り外し、適宜清掃や交換などメンテナンスを行うことができる。
【0024】
上記のように構成された宅配ボックスの使用方法を以下に記載する。
尚、以下の説明においては、配達業者が配達する配達品Dには、配達業者が管理する管理コードの情報を付与したシール状の電子タグTが貼り付けされている。
また、配達業者は配達業者が配達品Dを管理する情報管理システムを有し、配達品Dに付与されている管理コードの情報を管理している。情報管理システムは、管理コード毎に配達品Dを管理しており、配達品Dの配送先や配送希望時間、また配達品Dの内容や配達に際しての注意事項、例えば要冷凍、割れ物注意などの情報が情報管理システムに入力されている。
管理コードの入力情報において、配達品Dの配達依頼時に「要冷凍」の指定がされる場合、又は情報管理システムにて管理する品物管理のデータベース情報から、配達品Dが「要冷凍」に指定されている品物であった場合などにおいて、情報管理システムは情報管理システム上の配達品Dの管理コードに「要冷凍」の情報を記録する。
【0025】
配達業者が、受取可の表示がされている宅配ボックスの荷受口側扉2を開いて荷受口1aを開口し、配達品Dを荷受口1aから宅配ボックスに収納する。
【0026】
宅配ボックス内に配達品Dが収納されると、宅配ボックス内の冷却装置4のセンサーが電子タグTの管理コードを読み取り、インターネット等の情報網を介して情報管理システムにアクセスして管理コード上にある配達品Dの情報を取得する。そして、取得した配達品Dの情報から、「要冷凍」の情報を取得すると、冷却装置4が作動して、冷凍に適正な温度に宅配ボックス内を冷却する。
尚、配達品Dが複数あり、それぞれの管理温度が異なる場合、例えば「要冷凍」である配達品Dと、生花など「冷凍不可」である配達品Dなど、管理温度が異なる複数の配達品Dが同時に宅配ボックス内に収納された場合、冷却装置4はエラーを音と表示で通知して、配達品Dが統一された管理温度となるように配達業者に通知する。
【0027】
その後、施錠レバー2bを操作して荷受口側扉2を施錠状態とし、配達票に捺印した上で、荷受口側扉2を閉じる。
荷受口側扉2は施錠状態とされていたため、荷受口1aは荷受口側扉2によって施錠された状態で閉口され、屋外から荷受口側扉2を開くことができなくなる。この時表示窓2aには受取不可の表示がなされる。
【0028】
荷受口1aの閉口後、冷却装置4の作動により、冷凍に適正な温度に宅配ボックス内を冷却する。
【0029】
家人が宅配ボックス内の配達品Dを回収する場合は、屋内から荷出口側扉3を開き、配達品Dを荷出口1bから取り出すことで、配達品Dを回収することができる。この時、冷却装置4は、荷出口1bが開口されたことで機能を停止する。
荷出口1bより荷受口側扉2の施錠レバー2bに操作を行い、施錠を解除した後、荷出口1bを閉じることで、宅配ボックスに対する操作が完了する。
【0030】
上記実施例の動作の際に、冷却の結果として、宅配ボックス内の内面に結露が生じると、これら結露は宅配ボックス内で成長し、自重が大きくなって表面張力で宅配ボックスの内面に付着することができなくなり、宅配ボックスの内面を流下し、結露水となって宅配ボックスの底面上に流下する。
この場合に、本実施例では、宅配ボックスの底面には勾配が設定され、勾配の最も低い位置には排水口5が備えられてなるため、結露水は排水口5から排出される。
排水口5からの流路内には排水弁V1が備えられてなり、排水が充分に溜まると、弁本体6の弁体6aが弾性変形し、弁座部7aから離間して流路を開口して溜まった排水を下流側に排出する。本実施例では、
図9、
図10に示したように、排水口5から排水弁V1を通過して排水カップCに捕集されるため、荷出口1bを開口しても屋内側に結露水がこぼれることは無い。一方で、排水弁Vはトラップ機能を備えるため、排水カップC内の結露水からの臭気の逆流を防止する。
排水カップCに溜まった排水は、一定量溜まった時点で家人が排水カップCを取出し、適宜排出処理する。
【0031】
また、本実施例では、宅配ボックスに耐火素材を用いて構成しているため、火災などの際でも、内部の収納品は一定時間(火災が収まる程度の時間)火災に耐えることができる。
【0032】
本発明の実施例は以上のようであるが、本発明は上記実施例に限定される物ではなく、主旨を変更しない範囲において自由に変更が可能である。
例えば、上記実施例では、冷却装置4は、センサーが配達品Dの情報を読み取ることで動作してなるが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、配送業者が、配達品Dの内容を確認し、宅配ボックスの冷却装置4に対して「冷蔵」または「冷凍」の操作することで動作させたり、家人が事前に「要冷蔵」または「要冷凍」の配達品Dの到着時間を把握し、タイマー等を設定して到着時間に合わせて「冷蔵」または「冷凍」の機能を作動させるようにしても構わない。
【0033】
また、上記第二実施例は、宅配ボックスと配送業者の情報管理システムはインターネット等の通信網を介して配達品Dに係る情報をやり取りできるように構成されている。これを利用し、配送品Dの受け取りの情報を宅配ボックスから情報管理システムに通知したり、異なる管理温度の配達品Dが宅配ボックス内に一時収納されてエラーとなった時にエラーとなった事実、及びエラーを生じた配達品Dの情報を情報管理システムに通知するなど、配達状況の管理を行うように構成しても構わない。また、これらの情報は、宅配ボックス、又は情報管理システムから、スマートフォンなどの情報端末を通じて配達品Dの受取人に通知するようにしても良い。また、受取人への通知を利用して、段落0026に記載したように、異なる管理温度の配達品Dを配送した場合に、どの管理温度の配達品Dを宅配ボックスに配送し、どの管理温度の配達品Dを持ち帰るかを受取人に確認するようにしても良い。
【0034】
また、上記実施例では、宅配ボックスを戸建て住宅に採用した場合の構成としているが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の構成をマンションなどいわゆる集合住宅に採用しても構わない。この場合、1階フロアに、荷出口1bと兼用した荷受口1aを備えたボックス本体1と、該荷受口1aを閉口する、荷出口側扉3と兼用した荷受口側扉2を備えた宅配ボックスを、全住宅分集合させて配置するような構成となる。
【0035】
また上記実施例は、一つの宅配ボックスに、冷凍、冷蔵、常温の収納物を収納することを前提とした宅配ボックスであるが、要冷凍の配達品Dと生花など冷凍してはならない配達品Dは同時に使用することができない、といった不具合がある。
そこで、
図11に示したように、常温用宅配ボックス、冷却機能を備えた冷蔵用宅配ボックス、及び冷却機能を備えた冷凍用宅配ボックスと、それぞれに機能を分けた複数の宅配ボックスを用意しておき、配送業者がそれぞれの配達品Dの管理温度に合わせて配送を行うように構成しても構わない。
図11では、荷出口1bと兼用した荷受口1aを備えたボックス本体1と、該荷受口1aを閉口する、荷出口側扉3と兼用した荷受口側扉2を備えた宅配ボックスであって、更に図中上から順に冷却機能を備えた冷蔵用宅配ボックス、及び冷却機能を備えた冷凍用宅配ボックス、及び常温用宅配ボックスとしている。常温用宅配ボックスには冷却装置を備えない。尚、荷出口1bと兼用した荷受口1aが施錠された場合、別途家人等が所有する解除キーを用いて施錠を解除することで、荷出口1bと兼用した荷受口1aを開くことができる。
この場合、冷蔵用宅配ボックス、冷凍用宅配ボックスはそれぞれ、施錠レバー2bに操作が行われ、「受取不可」の状態となった時に冷却を開始し、荷出口側扉3と兼用した荷受口側扉2が開口された時に冷却機能の作動を停止する。
【0036】
尚、段落0034や段落0035のような、複数の宅配ボックスを集合させる場合、
図11に示したように、排水口5からの排水の流路を、配管を介して合流させ、床下配管から下水側に排出処理するように構成すると好適である。また、このように複数の宅配ボックスの排水を処理することで、相応の量の排水を処理する場合には、トラップ機能を備えた排水装置として、第一実施例や第二実施例の逆流防止弁に変えて、封水式排水トラップTPを採用しても良い。封水式排水トラップTPは、排水の流路を屈曲させる等して、排水の流路上に排水を溜め、封水と呼ばれる流路が満水となる流路部分を形成することで、該満水部分を臭気や害虫類が通過することができなくなり、上流側への臭気や害虫類の逆流を防ぐ排水装置である。封水式排水トラップTPが機能するためには、排水の量が充分に生じる必要があるが、段落0034や段落0035の事例では、複数の宅配ボックスの排水を集めることで、充分な排水が生じるため、支障なく採用することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 ボックス本体 1a 荷受口
1b 荷出口 2 荷受口側扉
2a 表示窓 2b 施錠レバー
3 荷出口側扉 4 冷却装置
5 排水口 6 弁本体
6a 弁体 6b 軸部
7 ユニット本体 7a 弁座部
7b 固定部 C 排水カップ
D 配達品 P 配管
T 電子タグ TP 封水式排水トラップ
V1 排水弁 V2 吸気弁
W 壁面