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特開2022-102972眼科情報処理装置、および眼科情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022102972
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】眼科情報処理装置、および眼科情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/10 20060101AFI20220630BHJP
   A61B 3/103 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
A61B3/10
A61B3/103
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020218066
(22)【出願日】2020-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000135184
【氏名又は名称】株式会社ニデック
(72)【発明者】
【氏名】小林 大夢
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 壮平
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA03
4C316AA13
4C316AA16
4C316AA20
4C316AA24
4C316AA26
4C316FB12
4C316FB22
(57)【要約】
【課題】 専門知識が無くても理解しやすいを表示できる眼科情報処理装置、および眼科情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】 被検眼の情報を処理するための眼科情報処理装置であって、前記被検眼の測定値を取得する測定値取得手段と、前記測定値を表示する表示手段を制御する表示制御手段と、を備え、前記表示制御手段は、前記測定値の大きさを軸とするプロット領域に、前記測定値に応じた位置のプロットを表示させることを特徴とする。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検眼の情報を処理するための眼科情報処理装置であって、
前記被検眼の測定値を取得する測定値取得手段と、
前記測定値を表示する表示手段を制御する表示制御手段と、を備え、
前記表示制御手段は、前記測定値の大きさを軸とするプロット領域に、前記測定値に応じた位置のプロットを表示させることを特徴とする眼科情報処理装置。
【請求項2】
前記測定値は、前記被検眼の屈折度であり、
前記表示制御手段は、前記プロット領域に、前記屈折度に応じた位置の前記プロットを表示させることを特徴とする請求項1の眼科情報処理装置。
【請求項3】
前記プロット領域は、左側を遠視、右側を近視として左右方向に伸びることを特徴とする請求項2の眼科情報処理装置。
【請求項4】
リアルタイムの撮影画像を取得する画像取得手段をさらに備え、
前記表示制御手段は、リアルタイムの前記撮影画像を前記屈折度に応じてデフォーカスして表示させることを特徴とする請求項2または3の眼科情報処理装置。
【請求項5】
前記測定値は、前記被検眼の眼位であり、
前記表示制御手段は、前記プロット領域に、前記眼位に応じた位置の前記プロットを表示させることを特徴とする請求項1の眼科情報処理装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記表示手段に表示させた虹彩または瞳孔を模した図を、前記眼位の変位量に応じて変化させることを特徴とする請求項5の眼科情報処理装置。
【請求項7】
前記プロット領域は、位置に応じて色を連続的に変化させたカラーバーであり、
前記表示制御手段は、前記カラーバーに、前記測定値に応じた位置の前記プロットを表示させることを特徴とする請求項1~6のいずれかの眼科情報処理装置。
【請求項8】
被検眼の測定値を表示させるための眼科情報処理装置において実行される眼科情報処理プログラムであって、前記眼科情報処理装置の制御手段によって実行されることで、
前記測定値を取得する測定値取得ステップと、
測定値の大きさを軸とするプロット領域に、前記測定値に応じた位置のプロットを表示させる表示ステップと、
を前記眼科情報処理装置に実行させることを特徴とする眼科情報処理プログラム。
【請求項9】
被検眼の測定値を表示するための眼科情報処理装置において実行される眼科情報処理プログラムであって、前記眼科情報処理装置の制御手段によって実行されることで、
前記被検眼の屈折度を取得する屈折度取得ステップと、
リアルタイムの撮影画像を取得する撮影画像取得ステップと、
リアルタイムの前記撮影画像を前記屈折度に応じてデフォーカスして表示させる表示ステップと、
を前記眼科情報処理装置に実行させることを特徴とする眼科情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、眼の検査結果に関する情報を表示させる眼科情報処理装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来において、被検眼を測定するための眼科装置が知られている(特許文献1参照)。眼科装置としては、例えば、眼屈折力測定装置、角膜形状測定装置、眼圧測定装置、眼軸長測定装置などの種々の装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-147570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の眼科装置において、測定結果の表示を見たとしても専門知識を持っていない者は理解することが難しかった。
【0005】
本開示は、従来の問題点に鑑み、専門知識が無くても理解しやすいを表示できる眼科情報処理装置、および眼科情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示は以下のような構成を備えることを特徴とする。
【0007】
(1) 被検眼の情報を処理するための眼科情報処理装置であって、前記被検眼の測定値を取得する測定値取得手段と、前記測定値を表示する表示手段を制御する表示制御手段と、を備え、前記表示制御手段は、前記測定値の大きさを軸とするプロット領域に、前記測定値に応じた位置のプロットを表示させることを特徴とする。
(2) 被検眼の測定値を表示させるための眼科情報処理装置において実行される眼科情報処理プログラムであって、前記眼科情報処理装置の制御手段によって実行されることで、前記測定値を取得する測定値取得ステップと、測定値の大きさを軸とするプロット領域に、前記測定値に応じた位置のプロットを表示させる表示ステップと、を前記眼科情報処理装置に実行させることを特徴とする。
(3) 被検眼の測定値を表示するための眼科情報処理装置において実行される眼科情報処理プログラムであって、前記眼科情報処理装置の制御手段によって実行されることで、前記被検眼の屈折度を取得する屈折度取得ステップと、リアルタイムの撮影画像を取得する撮影画像取得ステップと、リアルタイムの前記撮影画像を前記屈折度に応じてデフォーカスして表示させる表示ステップと、を前記眼科情報処理装置に実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、専門知識が無くても理解しやすい測定結果を表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施例の概略構成を示す図である。
図2】本実施例に係る眼科観察装置の構成について説明するブロック図である。
図3】本実施例の制御動作を示すフローチャートである。
図4】本実施例の屈折度の測定結果を示す表示画面の一例を示す図である。
図5】本実施例の眼位の測定結果を示す表示画面の一例を示す図である。
図6】本実施例のシミュレーション画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施形態>
以下、本開示に係る実施形態について説明する。本実施形態の眼科情報処理装置(例えば、眼科情報処理装置1)は、被検眼の検索結果などの情報を処理するための装置である。眼科情報処理装置は、例えば、測定値取得部(例えば、制御部10)と、表示制御部(例えば、制御部10)を備える。測定値取得部は、例えば、被検眼の測定値を取得する。測定値取得部は、取得された測定データから測定値を算出することによって測定値を取得してもよいし、眼科装置などによって既に算出された測定値を取得してもよい。眼科装置は、例えば、眼屈折力測定装置、角膜形状測定装置、眼圧測定装置、眼軸長測定装置などの種々の眼科装置であってもよい。測定値は、例えば、被検眼の屈折度、角膜曲率、眼圧、眼軸長などの種々の測定値であってもよい。
【0011】
表示制御部は、例えば、表示部の表示を制御する。表示部は、例えば、測定値を表示させるための表示部である。表示部は、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイなどのように画面に電子的に表示するものであってもよいし、プリンターなどのように紙に印刷することによって表示するものであってもよい。表示制御部は、測定値の大きさを軸とするプロット領域に、測定値に応じた位置のプロットを表示させる。プロットとは、例えば、観測点を示す目印である。
【0012】
本実施形態の眼科情報処理装置は、上記のような構成を備えることによって、眼の検査に関する知識を有していないユーザ(検者または被検者)にも、眼の状態がどのような段階にあるかを容易に認識させることができる。
【0013】
なお、表示制御部は、測定値として被検眼の屈折度を表示させる場合、プロット領域に屈折度に応じた位置のプロットを表示させる。また、この場合、プロット領域は、左側を遠視、右側を近視として左右方向(水平方向)に伸びていてもよい。このように、近視と遠視の度合を一つの軸で評価することによって、専門知識を持たないユーザでも重症度を容易に把握できる。もちろん、プロット領域は、左側を近視、右側を遠視として定義されてもよい。
【0014】
なお、眼科情報処理装置は、画像取得部(例えば、制御部10)を備えてもよい。画像取得部は、例えば、リアルタイムの撮影画像を取得する。この場合、表示制御部は、リアルタイムの撮影画像を屈折度に応じてデフォーカスして表示させてもよい。これによって、ユーザは、被検者がどのような見え方をしているのかを容易に把握することができる。
【0015】
なお、表示制御部は、測定値として被検眼の眼位を表示させる場合、プロット領域に眼位に応じた位置のプロットを表示させる。この場合、表示制御部は、虹彩または瞳孔を模した図(図形または絵など)を表示部に表示させてもよい。また、この場合、表示制御部は、眼位の測定値(例えば、変位量)に応じて変化(例えば、変位)させてもよい。これによって、ユーザは、虹彩または瞳孔を模した図などを確認することによって、被検者の眼位異常を容易に把握できる。
【0016】
なお、プロット領域は、位置に応じて色を連続的に変化させたカラーバーであってもよい。この場合、表示制御部は、測定値に応じた位置のプロットをカラーバー上に表示させる。これによって、ユーザは、プロットの位置におけるカラーバーの色を確認することによって、被検眼の状態を容易に把握することができる。なお、表示制御部は、プロット領域において、測定値が異常である領域は赤色などの注意または危険を連想させる色で表示させ、測定値が正常である領域は緑色などの安全または正常を連想させる色で表示させてもよい。
【0017】
なお、制御部は、記憶部などに記憶された眼科情報処理プログラムを実行してもよい。眼科情報処理プログラムは、例えば、測定値取得ステップと、表示ステップを含む。測定値取得ステップは、被検眼の測定値を取得するステップである。表示ステップは、例えば、測定値の大きさを軸とするプロット領域に、測定値に応じた位置のプロットを表示させるステップである。
【0018】
なお、眼科情報処理プログラムは、屈折度取得ステップと、撮影画像取得ステップと、表示ステップであってもよい。屈折度取得ステップは、例えば、被検眼の屈折度を取得するステップである。撮影画像取得ステップは、リアルタイムの撮影画像を取得するステップである。表示ステップは、リアルタイムの撮影画像を屈折度に応じてデフォーカスして表示させるステップである。
【0019】
<実施例>
以下、本開示に係る実施例について説明する。本実施例の眼科情報処理装置1は、例えば、被検眼の測定値を表示するための装置である。本実施例では、被検者の眼屈折力(屈折度)の測定値を表示する例を説明する。
【0020】
もちろん、眼科情報処理装置1は、被検眼の屈折度に限られず、被検眼の任意の眼特性を示す測定値(または指標)などを表示することができる。
【0021】
本実施例に係る眼科情報処理装置1を図1に基づいて説明する。図1のように、眼科情報処理装置1は、携帯型の装置である。眼科情報処理装置1は、例えば、スマートフォン、タブレットコンピュータ等の携帯端末に以下説明する各種機能を実現するためのアプリケーションソフトウェアをインストールしたものであってもよい。もちろん、眼科情報処理装置は、携帯型の装置でなくてもよく、例えば据え置き型の装置であってもよい。眼科情報処理装置1は、例えば、カメラが接続されたデスクトップ型のパーソナルコンピュータ(PC)またはカメラ付きノートPCなどであってもよい。
【0022】
図2は、眼科情報処理装置1の要部構成の一例を示すブロック図である。図示のように、眼科情報処理装置1は、制御部10、記憶部11、入力部12、表示部13、および撮影部14を備えている。
【0023】
なお、記憶部11、入力部12、表示部13および撮影部14については、眼科情報処理装置1の外部に設けられていてもよい。また、眼科情報処理装置1は、図示した以外のブロックを備えていてもよい。
【0024】
制御部10は、眼科情報処理装置1の各部を統括して制御するものである。制御部10には、データ取得部101、測定値算出部102、および表示制御部103が含まれている。例えばCPU(Central Processing Unit)のような任意の制御装置を1つまたは複数用いることにより、これら各部の機能が実現できる。
【0025】
記憶部11は、眼科情報処理装置1が使用する各種データを記憶するものである。記憶部11の機能は、1または複数の任意の記憶装置により実現できる。
【0026】
入力部12は、眼科情報処理装置1に対するユーザの操作を受け付けるものである。入力部12の機能は、例えば、キーボードやマウス等の任意の入力装置により実現できる。
【0027】
表示部13は、撮影部14によって撮影された画像、被検眼の測定値などを表示する。表示部13は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなど種々のディスプレイが用いられる。表示部13は、タッチパネルであってもよく、これにより表示部13を眼科情報処理装置1の入力部12としても利用することができる。
【0028】
撮影部14は、被検眼の画像などを撮影する。撮影部14は、例えば、一般的なカメラであり、被検眼の前眼部を撮影する。撮影部14は、レンズ、撮像素子などを備える。
【0029】
データ取得部101は、被検者の眼特性に関するデータを取得する。例えば、データ取得部101は、撮影部14が出力する画像データを取得してもよい。
【0030】
測定値算出部102は、被検者の両眼のそれぞれについての眼特性に関する測定データを用いて被検者の眼特性を示す測定値を算出する。測定値算出部102は、より詳細には、各眼特性についての測定データを用いて、被検者の眼特性を所定の方法で数値化した測定値を算出する。例えば、測定値算出部102は、撮影部14によって撮影された被検眼の画像データからフォトレフラクション法に基づいて、被検眼の屈折度を算出してもよい。フォトレフラクション法は、例えば、瞳孔を通過する眼底からの反射光を撮影部14によって撮影し、瞳孔における明るいクレッセントの瞳孔半径方向の寸法の瞳孔径に対する割合に基づいて被検眼の屈折度を算出する方法である(例えば、特開2006-149501号公報参照)。
【0031】
表示制御部103は、測定値算出部102が算出する眼特性の測定値を表示部13に出力する。
【0032】
<制御動作>
続いて、本実施例の眼科情報処理装置1において、表示制御部103が測定値を表示部13に出力するときの制御動作を説明する。
【0033】
(ステップS1:撮影)
まず、入力部12へのユーザの操作に基づいて、制御部10は屈折度の測定アプリケーションを起動し、撮影部14による撮影を開始する。ユーザは、撮影部14を被検者に向け、被検眼を撮影する。
【0034】
(ステップS2:データ取得)
撮影部14によって撮影された被検眼の画像データは、データ取得部101に出力される。データ取得部101は、撮影部14から入力された画像データを取得する。
【0035】
(ステップS3:測定値算出)
測定値算出部102は、データ取得部101によって取得された被検眼の画像データに基づいて、被検眼の屈折度を算出する。例えば、測定値算出部102は、フォトレフラクション法に基づいて被検眼の屈折度を算出する。
【0036】
(ステップS4:測定結果表示)
表示制御部103は、図4に示すように、結果表示画面210を表示部13に表示させる。結果表示画面210には、測定値算出部102によって算出された被検眼の屈折度が表示される。例えば、表示制御部103は、右眼、左眼のそれぞれについて、プロット領域211,212、測定値のプロット213,214、左右の軸ラベル215,216により屈折度の測定結果を示す。本実施例のプロット領域211,212は、色付けされた一次元の水平バー(カラーバー)である。なお、プロット領域211,212は、水平バーに限らない。例えば、プロット領域211,212は、垂直方向のバーであってもよいし、円形領域であってもよいし、二次元以上の領域であってもよい。表示制御部103は、プロット領域211,212において、測定値算出部102によって算出された屈折度の大きさに応じた位置にプロット213,214を表示する。
【0037】
図4の例では、結果表示画面210に上下に並んだ2つのプロット領域211,212が表示されている。上のプロット領域211が右眼用であり、下のプロット領域212が左眼用である。右眼用のプロット領域211には、右眼の屈折度の測定値に応じた位置にプロット213が表示される。同様に、左眼用のプロット領域212には、左眼の屈折度の測定値に応じた位置にプロット214が表示される。プロット領域211,212は、中央が正視、左側が遠視、右側が遠視となるように定義されている。したがって、左の軸ラベル215には遠視側を示す「遠」の文字、右の軸ラベル216には近視側を示す「近」の文字が表示されている。
【0038】
プロット領域211,212は、例えば、中央部が緑色で、周辺部に向けて徐々に黄色になり、最終的に赤色に連続的に変化するようなグラデーションで色付けされる。したがって、プロット213,214が表示された位置におけるプロット領域211,212の色によって直感的に屈折異常の状態が分かるようになっている。もちろん、プロット領域211,212の色は、上記の色に限らず、種々の色を用いることができる。
【0039】
例えば、被検眼の右眼が正視で、左眼が若干遠視である場合、右眼のプロット領域211に表示されるプロット213は緑色の中央部の領域に、左眼のプロット領域212に表示されるプロット214は、中央部より少し左側の黄色の領域に表示される。また、被検眼の右左ともに強度近視である場合、左右のプロット213,214は、それぞれのプロット領域211,212の右側の赤色の領域に表示される。
【0040】
以上のように、色付けされたプロット領域211,212に測定値のプロット213,214を表示させることによって、屈折度[D](ディオプター)、球面度数、円柱度数、円柱軸を数値で示す場合に比べ、眼の検査に関する専門知識を持たない者であっても、屈折異常を容易に理解できる。また、近視と遠視の度合を一つの軸で評価することによって、重症度の基準が明確になり、専門知識を持たない者でも重症度を容易に把握できる。
【0041】
なお、眼科情報処理装置1は、眼位の測定結果を表示部13に表示させてもよい。この場合、測定値算出部102は、例えば、撮影部14によって撮影された被検眼の画像から瞳孔(または虹彩)と角膜反射像を検出し、それらの相対的な位置関係から被検眼の眼位を測定する。表示制御部103は、図5の結果表示画面220に示すように、右眼、左眼それぞれについて、グラデーションで色付けされた水平バー状のプロット領域221,222、測定値のプロット223,224、被検眼を模した図形(または絵など)225,226を表示部13に表示する。図形225,226の中央部にはそれぞれ虹彩(または瞳孔)マーク227,228が表示される。表示制御部103は、プロット領域221,222において、眼位の測定値の大きさに応じた位置にプロット223,224を表示する。また、表示制御部103は、測定した眼位に応じて虹彩マーク227,228を左右に変位させる。このように、虹彩マーク227,228の位置を変化させることによって、眼位を数値[°]で表示する場合よりも眼位異常をユーザに直感的に理解させることができる。
【0042】
なお、表示制御部103は、表示部13に見え方確認用のシミュレーション画像230を表示させてもよい。例えば、表示制御部103は、撮影部14によって撮影されたリアルタイム画像を被検眼の屈折度に応じてデフォーカスして表示部13に表示させる。例えば、表示制御部103は、屈折度が正常値付近の場合は図6(a)のように被写体にフォーカスの合った画像を表示させ、屈折度が中等度異常値付近の場合は図6(b)のように被写体からフォーカスをずらすか、または画像処理によってぼかしたリアルタイム画像を表示させる。これによって、例えば、被検者が実際の風景をどのように見ているのかをユーザに容易に把握させることができ、被検者の屈折度を直観的に示すことができる。
【0043】
なお、表示制御部103は、リアルタイム画像に限らず、例えば、測定に用いた画像データを屈折度に応じてデフォーカスして表示させてもよい。これによって、新たに画像を撮影する手間を省きつつ、被検者の屈折度を直感的に把握できる。
【0044】
なお、以上の実施例において、眼科情報処理装置1は、スマートフォンまたはPC等として説明したが、被検眼の眼特性を検査するための専用の検査装置であってもよい。具体的には、検査装置は、被検者の前眼部の撮像、角膜形状の測定、および屈折力の解析等を行う装置であってもよい。検査装置は、被検者の眼特性に関する測定を行い、表示部に表示させたプロット領域上に測定値の位置に応じたプロットを表示させてもよい。
【0045】
なお、以上の実施例では、眼科情報処理装置1と表示部13が一体となって構成されていたが、これに限らない。例えば、眼科情報処理装置1と表示装置が別々に構成されていてもよい。この場合、眼科情報処理装置1は、表示部13の代わりに出力部を備えてもよい。出力部は、眼科情報処理装置1が自機の外部に情報を出力するためのものである。出力部の機能は、任意の出力装置により実現できる。例えば、外部の表示装置に画像を表示させる場合、有線または無線の通信インターフェースを出力部として適用すればよい。
【0046】
なお、上述の実施例で説明した各処理は、複数の眼科情報処理装置によって実行する構成としてもよい。例えば、図3のフローチャートに示す処理の一部を、眼科情報処理装置1とは別の眼科情報処理装置(例えばサーバ)に行わせてもよい。具体例を挙げれば、S3における測定値の算出処理を異なる眼科情報処理装置に実行させてもよい。この場合、眼科情報処理装置1は、他の眼科情報処理装置が算出した測定値を取得して表示部に出力する。
【0047】
<ソフトウェアによる実現例>
眼科情報処理装置1の制御ブロック(特に制御部10に含まれる各部)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0048】
後者の場合、眼科情報処理装置1は、各機能を実現するソフトウェアである制御プログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記制御プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記制御プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本開示の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記制御プログラムは、該制御プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本開示の一態様は、上記制御プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0049】
本開示は上述した実施例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、実施例に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施例についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0050】
1 眼科情報処理装置
10 制御部
11 記憶部
12 入力部
13 表示部
14 撮影部
101 データ取得部
102 測定値算出部
103 表示制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6