(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022102973
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】ウェブカウンセリング装置及びウェブカウンセリング方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20220630BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020218068
(22)【出願日】2020-12-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】306021424
【氏名又は名称】株式会社ハッピー
(74)【代理人】
【識別番号】100188422
【弁理士】
【氏名又は名称】小沼 良平
(72)【発明者】
【氏名】橋本 英夫
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】
クリーニング品についての情報をもとに、クリーニング品の特徴を考慮したクリーニングサービスを顧客端末に表示することである。
【解決手段】
ウェブカウンセリング装置10は、クリーニング品毎に当該クリーニング品の情報及び当該クリーニング品に適用するクリーニングサービスを記憶するクリーニング履歴データベース21を有し、顧客のクリーニング品の情報を取得し、前記取得した顧客のクリーニング品の情報を含むレコードを前記データベースから所定数だけ検索し、前記検索した所定数のレコードの中から所定のクリーニングサービスを表す名称を検索し、通信インターフェースを介して、前記検索されたクリーニングサービスを表す名称を顧客端末11に送信するようにしている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリーニング品毎に当該クリーニング品の情報及び当該クリーニング品に適用するクリーニングサービスを記憶するデータベースと、
通信インターフェースと、
命令セットを蓄積する記憶手段と、
前記命令セットを実行する少なくとも1つのプロセッサ、から構成され
前記命令セットは、
顧客のクリーニング品の情報を取得し、
前記取得した顧客のクリーニング品の情報を含むレコードを前記データベースから所定数だけ検索し、
前記検索した所定数のレコードの中から所定のクリーニングサービスを表す名称を検索し、
前記通信インターフェースを介して、前記検索されたクリーニングサービスを表す名称を顧客端末に送信するウェブカウンセリング装置。
【請求項2】
前記命令セットはさらに、前記検索した所定数のレコードの中から所定のキーワードを検索し、
前記検索されたキーワードに基づいて、キーワードとクリーニングサービスについてのお好み確認情報とを対応づける所定の表の中から前記キーワードに対応するクリーニングサービスについてのお好み確認情報を検索し、
前記通信インターフェースを介して、前記検索されたクリーニングサービスについてのお好み確認情報を前記顧客端末に送信する、
請求項1に記載のウェブカウンセリング装置。
【請求項3】
前記命令セットはさらに、前記検索されたクリーニングサービスを表す名称の第1出現率であって、前記検索された所定数のレコードに対する前記所定のクリーニングサービスを表す名称を含むレコードの数の割合により定義される前記第1出現率を算出し、
前記通信インターフェースを介して、前記検索されたクリーニングサービスを表す名称に対応させて前記第1出現率も顧客端末に送信する、
請求項1又は請求項2の何れかに記載のウェブカウンセリング装置。
【請求項4】
前記命令セットはさらに、前記検索されたキーワードの第2出現率であって、前記検索された所定数のレコードに対する前記所定のキーワードを含むレコードの数の割合により定義される前記第2出現率を算出し、
前記通信インターフェースを介して、前記検索されたクリーニングサービスについてのお好み確認情報に対応させて前記第2出現率も顧客端末に送信する、
請求項2に記載のウェブカウンセリング装置。
【請求項5】
前記データベースであって、さらにクリーニング品毎に当該クリーニング品に適用するクリーニングサービスにより生ずる可能性のある当該クリーニング品に対するリスク情報を記憶するデータベースであり、
前記命令セットはさらに、前記顧客端末により選択されたクリーニングサービスを取得し、
前記取得した顧客のクリーニング品の情報及び前記取得したクリーニングサービスを含むレコードを前記データベースから所定数だけ検索し、
前記検索された所定数のレコードの中からリスク情報を検索し、
前記通信インターフェースを介して、前記検索されたリスク情報を顧客端末に送信する、
請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のウェブカウンセリング装置。
【請求項6】
顧客のクリーニング品の情報を取得し、
前記取得した顧客のクリーニング品の情報を含むレコードを、クリーニング品毎に当該クリーニング品の情報及び当該クリーニング品に適用するクリーニングサービスを記憶するデータベースから所定数だけ検索し、
前記検索した所定数のレコードの中から所定のクリーニングサービスを表す名称を検索し、
前記検索されたクリーニングサービスを表す名称を顧客端末に送信する、
ウェブカウンセリング方法。
【請求項7】
さらに、前記検索した所定数のレコードの中から所定のキーワードを検索し、
前記検索されたキーワードに基づいて、キーワードとクリーニングサービスについてのお好み確認情報とを対応づける所定の表の中から前記キーワードに対応するクリーニングサービスについてのお好み確認情報を検索し、
前記検索されたクリーニングサービスについてのお好み確認情報を前記顧客端末に送信する、
請求項6に記載のウェブカウンセリング方法。
【請求項8】
さらに、前記検索されたクリーニングサービスを表す名称の第1出現率であって、前記検索された所定数のレコードに対する前記所定のクリーニングサービスを表す名称を含むレコードの数の割合により定義される前記第1出現率を算出し、
前記検索されたクリーニングサービスを表す名称に対応させて前記第1出現率も顧客端末に送信する、
請求項6又は請求項7の何れかに記載のウェブカウンセリング方法。
【請求項9】
さらに、前記検索されたキーワードの第2出現率であって、前記検索された所定数のレコードに対する前記所定のキーワードを含むレコードの数の割合により定義される前記第2出現率を算出し、
前記検索されたクリーニングサービスについてのお好み確認情報に対応させて前記第2出現率も顧客端末に送信する、
請求項7に記載のウェブカウンセリング方法。
【請求項10】
前記顧客端末により選択されたクリーニングサービスを取得し、
前記取得した顧客のクリーニング品の情報及び前記取得したクリーニングサービスを含むレコードを、前記データベースであってさらにクリーニング品毎に当該クリーニング品に適用するクリーニングサービスにより生ずる可能性のある当該クリーニング品に対するリスク情報を記憶するデータベースから所定数だけ検索し、
前記検索された所定数のレコードの中からリスク情報を検索し、
前記検索されたリスク情報を顧客端末に送信する、
請求項6乃至請求項9の何れか1項に記載のウェブカウンセリング方法。
【請求項11】
ネットワークを介してクリーニング品の情報を送信し、
前記送信したクリーニング品の情報をもとにクリーニングサービスを表す名称が検索され、
前記ネットワークを介して前記検索されたクリーニングサービスを表す名称を受信し、
前記受信したクリーニングサービスを表す名称を表示する、
ウェブカウンセリング表示方法。
【請求項12】
ネットワークを介してクリーニング品の情報を送信し、
前記送信したクリーニング品の情報をもとにクリーニングサービスについてのお好み確認情報が検索され、
前記ネットワークを介して前記検索されたクリーニングサービスについてのお好み確認情報を受信し、
前記受信したクリーニングサービスについてのお好み確認情報を表示する、
ウェブカウンセリング表示方法。
【請求項13】
ネットワークを介してクリーニング品の情報を送信し、
前記送信したクリーニング品の情報をもとにクリーニングサービスを表す名称が検索され、
前記ネットワークを介して前記検索されたクリーニングサービスを表す名称及び前記検索されたクリーニングサービスを表す名称の出現率を受信し、
前記受信したクリーニングサービスを表す名称が複数ある場合は、前記受信したクリーニングサービスを表す名称を前記出現率の高低に応じて選択的に表示する、
ウェブカウンセリング表示方法。
【請求項14】
ネットワークを介してクリーニング品の情報を送信し、
前記送信したクリーニング品の情報をもとにクリーニングサービスについてのお好み確認情報が検索され、
前記ネットワークを介して前記検索されたクリーニングサービスについてのお好み確認情報及び前記検索されたクリーニングサービスについてのお好み確認情報の出現率を受信し、
前記受信したクリーニングサービスについてのお好み確認情報が複数ある場合は、前記受信したクリーニングサービスについての好み確認情報を前記出現率の高低に応じて選択的に表示する、
ウェブカウンセリング表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は顧客が預けるクリーニング品についての情報をもとに、インターネットを介して顧客端末等にクリーニング品にお薦めのクリーニングサービスを提示する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
IT技術を利用したクリーニングサービスの提供が広く行われている。サービス提供事業者だけではなく、利用者にとっても大きな便益が得られるからである。文献1、2はクリーニング品の集荷や配送を最適化しようとする試みであり、事業者側から見たクリーニングサービスへのIT技術の利用である。また、文献3はクリーニング品の集荷や配送だけではなく、顧客と店舗間でのクリーニング品の受渡しについてもIT技術の介入により顧客サービスの向上を目指すものである。文献3はスマートフォン等により顧客が指示するクリーニングサービスを受付け、受付けた情報をクリーニング処理の現場に連絡するとともに、クリーニング品の管理を行うシステムである。
【0003】
クリーニング品はワイシャツやスカート等のアイテムの相違、クリーニング品である衣服の素材、クリーニング品のデザイン(色、柄、種類等)及びクリーニング品の預かり時の状態(汚れや損傷の程度等)に応じて、クリーニング品に適用する(又は適用されるべき)サービスは多様である。洗浄処理やシミ落とし処理がクリーニングサービスの必要最小限のものとすれば、さらにいろいろなサービスが必要となる。クリーニング品によっては撥水加工や折り目加工等の加工処理サービス、裾上げやほつれ直し等の修理修繕サービスも必要である。さらに顧客の嗜好によりサービスの種類も異なる。例えば糊付きワイシャツを好む顧客であれば、糊の強弱が気になるところである。このようにクリーニング品はその属性、状態、さらには顧客の嗜好により適用するクリーニングサービスは大いに異なる。
【0004】
現在、クリーニング品を店頭で受付けるときに、顧客との対面を通じて適用するべきクリーニングサービスが提示され、選択されそして決定されている。一方、遠隔の場合は電話やメールにより顧客の要望をオペレーターが聞き取り、それをもとにクリーニング品に適用するべきクリーニングサービスが提示され、選択され、決定されている。いわゆる人手によるカウンセリングである。しかしながら、オペレーターを介することなく、クリーニング品それぞれが有する特徴に応じたクリーニングサービスを提示するカウンセリングシステムはいまだ構築されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-230590号公報
【特許文献2】特開2009-207583号公報
【特許文献3】特開2017-188110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
クリーニング品についての情報をもとに、クリーニング品の特徴を考慮したクリーニングサービスを顧客端末に表示し、顧客に提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明であるウェブカウンセリング装置は、クリーニング品毎に当該クリーニング品の情報及び当該クリーニング品に適用するクリーニングサービスを記憶するデータベースと、通信インターフェースと、命令セットを蓄積する記憶手段と、前記命令セットを実行する少なくとも1つのプロセッサ、から構成され前記命令セットは、顧客のクリーニング品の情報を取得し、前記取得した顧客のクリーニング品の情報を含むレコードを前記データベースから所定数だけ検索し、前記検索した所定数のレコードの中から所定のクリーニングサービスを表す名称を検索し、前記通信インターフェースを介して、前記検索されたクリーニングサービスを表す名称を顧客端末に送信する、構成を有している。
【0008】
上記(1)の構成によると、ウェブカウンセリング装置はクリーニング品毎に当該クリーニング品の情報及び当該クリーニング品に適用するクリーニングサービスを記憶するデータベースを有するコンピュータである。ウェブカウンセリング装置は顧客が預けたクリーニング品についての情報を取得すると、当該データベースを検索し、取得した顧客のクリーニング品の情報を含むレコードをあらかじめ定めた所定の数だけ取り出し、当該レコードの中から所定のクリーニングサービスを表す名称を検索し、検索されたクリーニングサービスを表す名称を顧客端末に送信するようにしている。
【0009】
(2)上記(1)の装置において、前記命令セットはさらに、前記検索した所定数のレコードの中から所定のキーワードを検索し、前記検索されたキーワードに基づいて、キーワードとクリーニングサービスについてのお好み確認情報とを対応づける所定の表の中から前記キーワードに対応するクリーニングサービスについてのお好み確認情報を検索し、前記通信インターフェースを介して、前記検索されたクリーニングサービスについてのお好み確認情報を前記顧客端末に送信する、構成を有している。
【0010】
上記(2)の構成によると、さらに前記検索した所定数のレコードの中からあらかじめ定めた所定のキーワードを検索し、検索されたキーワードに基づいて、キーワードとお好み確認情報とを対応づける所定の表の中から前記キーワードに対応するお好み確認情報を検索し、検索されたお好み確認情報を顧客端末に送信するようにしている。
【0011】
(3)上記(1)又は(2)の装置において、前記命令セットはさらに、前記検索されたクリーニングサービスを表す名称の第1出現率であって、前記検索された所定数のレコードに対する前記所定のクリーニングサービスを表す名称を含むレコードの数の割合により定義される前記第1出現率を算出し、前記通信インターフェースを介して、前記検索されたクリーニングサービスを表す名称に対応させて前記第1出現率も顧客端末に送信する、構成を有している。
【0012】
上記(3)の構成によると、検索されたクリーニングサービスを表す名称の出現率(検索された所定数のレコードのうち当該名詞を含むレコードの割合)を算出し、検索されたクリーニングサービスを表す名称を前記出現率と共に顧客端末に送信するようにしている。
【0013】
(4)上記(2)の装置において、前記命令セットはさらに、前記検索されたキーワードの第2出現率であって、前記検索された所定数のレコードに対する前記所定のキーワードを含むレコードの数の割合により定義される前記第2出現率を算出し、前記通信インターフェースを介して、前記検索されたクリーニングサービスについてのお好み確認情報に対応させて前記第2出現率も顧客端末に送信する、構成を有している。
【0014】
上記(4)の構成によると、検索されたキーワードを表す名詞の出現率(検索された所定数のレコードのうち当該キーワードを含むレコードの割合)を算出し、検索されたキーワードに対応するお好み確認情報を前記出現率と共に顧客端末に送信するようにしている。
【0015】
(5)上記(1)乃至(4)の装置において、前記データベースであって、さらにクリーニング品毎に当該クリーニング品に適用するクリーニングサービスにより生ずる可能性のある当該クリーニング品に対するリスク情報を記憶するデータベースであり、前記命令セットはさらに、前記顧客端末により選択されたクリーニングサービスを取得し、前記取得した顧客のクリーニング品の情報及び前記取得したクリーニングサービスを含むレコードを前記データベースから所定数だけ検索し、前記検索された所定数のレコードの中からリスク情報を検索し、前記通信インターフェースを介して、前記検索されたリスク情報を顧客端末に送信する、構成を有している。
【0016】
上記(5)の構成によると、前記データベースはさらにクリーニング品毎に当該クリーニング品に適用するクリーニングサービスにより生ずる可能性のある当該クリーニング品に対するリスク情報も記憶する構成としている。そして、前記顧客端末によって選択されたクリーニングサービスをもとに、前記取得した顧客のクリーニング品の情報及び前記取得したクリーニングサービスを含むレコードを前記データベースから所定数だけ検索し、前記検索された所定数のレコードの中からリスク情報を検索し、検索されたリスク情報も顧客端末に送信するようにしている。
【0017】
(6)本発明であるウェブカウンセリング表示方法は、ネットワークを介してクリーニング品の情報を送信し、前記送信したクリーニング品の情報をもとにクリーニングサービスを表す名称が検索され、前記ネットワークを介して前記検索されたクリーニングサービスを表す名称及び前記検索されたクリーニングサービスを表す名称の出現率を受信し、前記受信したクリーニングサービスを表す名称が複数ある場合は、前記受信したクリーニングサービスを表す名称を前記出現率の高低に応じて選択的に表示する、構成を有している。
【0018】
上記(6)の構成によると、顧客端末等からネットワークを介してクリーニング品の情報を送信すると、クリーニングサービスを表す名称及び当該クリーニングサービスを表す名称の出現率を受信することができ、複数のクリーニングサービスについての名称を受信したときには、当該顧客端末等では出現率の高低に応じてクリーニングサービスを表示するようにしている。
【0019】
(7)本発明であるウェブカウンセリング表示方法は、ネットワークを介してクリーニング品の情報を送信し、前記送信したクリーニング品の情報をもとにクリーニングサービスについてのお好み確認情報が検索され、前記ネットワークを介して前記検索されたクリーニングサービスについてのお好み確認情報及び前記検索されたクリーニングサービスについてのお好み確認情報の出現率を受信し、前記受信したクリーニングサービスについてのお好み確認情報が複数ある場合は、前記受信したクリーニングサービスについての好み確認情報を前記出現率の高低に応じて選択的に表示する、構成を有している。
【0020】
上記(7)の構成によると、顧客端末等からネットワークを介してクリーニング品の情報を送信すると、クリーニングサービスについてのお好み確認情報及びその出現率を受信することができ、複数のお好み確認情報を受信したときには、当該顧客端末等では出現率の高低に応じてお好み確認情報を表示するようにしている。
【発明の効果】
【0021】
ウェブカウンセリング装置は過去に扱ったクリーニング品毎に当該クリーニング品の情報及び当該クリーニング品に適用するクリーニングサービスを記憶するデータベース(換言すると、過去のクリーニング履歴情報)を有するコンピュータである。顧客からのクリーニング品についての情報を含むレコードを当該データベースの中から所定数だけ検索し、検索された所定数のレコード中からさらに所定のクリーニングサービスの名称を検索するようにしている。検索されたクリーニングサービスについては出現率(検索された所定数のレコードのうち当該クリーニングサービスの名称を含むレコードの割合)も算出する。検索されたキーワード及び出現率を顧客端末に通知している。ここで出現率は過去に同じクリーニング品について利用されたクリーニングサービスの利用率と同じ意義を有する。
【0022】
このため、ウェブカウンセリング装置は、入力されたクリーニング品についての情報をもとに、過去のクリーニング履歴情報を検索することにより、当該クリーニング品に適するクリーニングサービスを過去に利用された利用率をもとに顧客に回答することができる。これにより人手を介することなく顧客に対してクリーニングサービスについて的確に回答することができる。さらに、顧客端末においても、表示画面等に過去に利用された利用率の高低をもとにクリーニング品に適するクリーニングサービスを選択的に表示することができ、顧客に効果的な回答をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明に係る装置を用いた全体システムを示す図である。
【
図2】ウェブカウンセリング装置10のハードウエア構成を示す図である。
【
図3】顧客端末11のハードウエア構成を示す図である。
【
図4】クリーニング履歴DB21が有するクリーニング履歴情報の例を示す図である。
【
図5】クリーニングサービスの名称の例を表す表である。
【
図6】付加サービスについてのキーワードの例を表す表である。
【
図7】顧客端末11を介してウェブカウンセリング装置10に入力されたクリーニング品の情報の例である。
【
図8】クリーニング品についてのウェブカウンセリングの全体処理を示すフローチャートである。
【
図9】
図8のフローチャートのうちS14からS20までのステップを詳細に示すフローチャートである。
【
図10】
図9のフローチャートのうちS62のステップを詳細に示すフローチャートである。
【
図11】
図8のフローチャートのうちS22のステップを詳細に示すフローチャートである。
【
図12】S24のステップを終了した時点での顧客から預かったクリーニング品についての電子カルテの内容を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例0025】
(1)システム全体
図1は本発明に係る装置を含む全体構成である。クリーニング店舗16はウェブカウンセリング装置10とクリーニング工程管理装置25から構成される。顧客15が操作する顧客端末11はウェブカウンセリング装置10とインターネット等のネットワーク12を介して接続される。
【0026】
ウェブカウンセリング装置10は顧客端末11との情報交換を通じて、顧客が預けるクリーニング品についてのクリーニングサービスを決定し、顧客に提示する。顧客は提示されたクリーニングサービス等について適宜変更、追加及び承諾を行い、預けるクリーニング品についてのクリーニングサービスの内容を決めていく。ウェブカウンセリング装置10はさらにクリーニングサービスに基づいてクリーニング代の見積額を算出する機能や決済する機能も有する。ウェブカウンセリング装置10による処理のフローは
図8以降で説明する。
【0027】
クリーニング工程管理装置25はウェブカウンセリング装置10により生成され、出力される電子カルテに記載の情報をもとに、クリーニング処理を実行しその結果をウェブカウンセリング装置10に報告する。そのため、クリーニング工程管理装置25にはここでは述べない洗濯装置等を含むものである。ここで、電子カルテとは
図12で例示するように、顧客が預けようとするクリーニング品の情報、適用するクリーニングサービス等が記録された帳票であり、ウェブカウンセリング装置10と顧客11との情報交換により内容が定まるものである。
【0028】
ウェブカウンセリング装置10のハードウエア構成は
図2に示すものであり、その実体はコンピュータである。当該コンピュータが有する主要な機能は制御部20及びクリーニング履歴DB21から構成される。制御部20は内蔵するソフトウエアによりウェブカウンセリング装置10を制御する。制御部20はさらに、クリーニング履歴DB21に存在するクリーニング履歴情報(
図4に詳述する)をアクセスすることにより、顧客端末11からの要求や質問に対して回答する機能を有する。
【0029】
クリーニング履歴DB21は後述するウェブカウンセリング装置10のストレージ32に所在するデータベースである。クリーニング履歴DB21はクリーニング履歴情報を有し、制御部20により適宜検索される。
【0030】
(2)ウェブカウンセリング装置10
ウェブカウンセリング装置10はコンピュータシステムであり、そのハードウエア構成は
図2に示す。
【0031】
ウェブカウンセリング装置10はプロセッサ30、メモリ31、ストレージ32、通信インターフェース33、I/Oインターフェース34及び外部機器35から構成されるコンピュータである。ウェブカウンセリング装置10の具体例はパーソナルコンピュータ、ノートブックパソコン、サーバーである。さらに複数から構成される高い性能を目指したサーバー群であってもよい。
【0032】
プロセッサ30は1つ又は複数のプロセッシングコアを有し、メモリ31に格納されているプログラムを実行する。メモリ31はROMなどの不揮発性メモリ及びRAMなどの揮発性メモリから構成され、ウェブカウンセリング装置10が有する機能を実現するための命令セットであるプログラムが格納される。
【0033】
ストレージ32はハードディスク型であってもよいし半導体ディスク型であってもよい。ストレージ32にはデータベースを含んでいる。通信インターフェース33は顧客端末11との通信を行うものであり、インターネットプロトコルをサポートするものであれば物理的な通信回線の種類は何であってもよい。さらに通信インターフェース33はクリーニング工程管理装置25との通信を行うものであり、クリーニング工程管理装置25との通信に必要な通信回線を有する。具体的にはインターネットプロトコル、LANプロトコル、セキュアな機能を有するVPNプロトコル、専用線による通信手順などのうち1つ又は複数である。
【0034】
I/Oインターフェース34はキーボードやディスプレイ等の外部機器35を収容する。プロセッサ30、メモリ31、ストレージ32、通信インターフェース33及びI/Oインターフェース34は信号バス36により相互接続される。
【0035】
(3)顧客端末11
図3は顧客端末11のハードウエア構成である。顧客端末11はプロセッサ50、メモリ51、ストレージ52、通信インターフェース53及びI/Oインターフェース54から構成されるコンピュータである。顧客端末11の具体例はスマートフォン、モバイル端末、パーソナルコンピュータなどである。プロセッサ50は1つ又は複数のプロセッシングコアを有し、メモリ51に格納されているプログラムを実行する。メモリはROMなどの不揮発性メモリ及びRAMなどの揮発性メモリから構成され、顧客端末11が有する機能を実現するための命令セットであるプログラムが格納されている。
【0036】
ストレージ52はハードディスク型であってもよいし半導体ディスク型であってもよい。ストレージ52は顧客端末11が提供するべき機能を実現するプログラムやデータが格納される。当該プログラムやデータは実行時にメモリ51にロードされる。通信インターフェース53はウェブカウンセリング装置10との通信を行うものであり、インターネットプロトコルをサポートするものであれば物理的な通信回線の種類は何であってもよい。I/Oインターフェース54はディスプレイ等の外部機器55を収容するインターフェースを有する。
【0037】
プロセッサ50、メモリ51、ストレージ52、通信インターフェース53及びI/Oインターフェース54は信号バス56により相互接続される。
【0038】
(4)データベース
図4はウェブカウンセリング装置10のストレージ32に記憶されるデータベースのレコード構成の一例である。本発明では、当該データベースはクリーニング履歴情報と称する。
【0039】
各レコードは過去になされたクリーニング処理の履歴情報をクリーニング品毎に記録したものであり、過去に処理されたクリーニング品の電子カルテの集積でもある。「レコード番号」を整理番号として、処理を行った「年月日」、預かったときの「クリーニング品の情報」、「適用したクリーニングサービス」及びクリーニングサービスを適用するにあたり「顧客に告知したリスク情報」等を列挙するものである。ここで、リスク情報とはクリーニング等の処理中に発生する可能性のある不具合についての情報である。
【0040】
「クリーニング品の情報」とはクリーニング品についての属性、状態、特徴等の情報であり、「アイテム」、「素材」及び「預かり時の状態」等を含む。これらの情報は名詞の形式で記録されている。
【0041】
「適用したクリーニングサービス」とはクリーニング品に適用したクリーニングサービスやクリーニング処理であり、当該欄にはクリーニングサービスを表す名称とともにクリーニングサービスに関するキーワードを含む自然文が記録されることがある。例えば、レコード番号568における「適用したクリーニングサービス」の欄では「洗浄処理」という名称とともに「糊を強めにする」との自然文による表現がみられる。レコード番号568では、綿を素材とするワイシャツにおいては糊を強くするのか、それとも弱くするのかは顧客にとってはクリーニング上の好みとなるサービスであったことが伺える。ここで「糊」はクリーニングサービスに関するキーワードと定義する。キーワードについては後述する。
【0042】
(5)サービス名称リストとキーワードリスト
図5はサービス名称の一例を表形式で示すものであり、ウェブカウンセリング装置10のストレージ32に記憶されるものである。クリーニング履歴情報に比べ情報量が少ないため、メモリ31のうちROMなどの不揮発性メモリに記憶され、必要に応じてRAMにロードされるようにしてもよい。ここで、サービス名称とは前述したクリーニング履歴情報に記録されている「適用したクリーニングサービス」のうち、クリーニングサービスそのものを示し、あらかじめ定義しておくものである。当該表は
図8以降で後述する処理フローにおいて使用される。
【0043】
図6はキーワードの一例を表形式で示すものであり、ウェブカウンセリング装置10のストレージ32に記憶されるものである。クリーニング履歴情報に比べ情報量は少ないため、メモリ31のうちROMなどの不揮発性メモリに記憶され、必要に応じてRAMにロードされるようにしてもよい。ここで、キーワードとは前述したクリーニング履歴情報に記録されている「適用したクリーニングサービス」のうち、クリーニングサービスに準ずるサービス、つまり付加サービス(例えば仕上げサービス等)に関する単語を示し、あらかじめ定義しておくものである。また、
図6にはキーワードに対応する「お好み確認情報」が定義されている。これはそれぞれのキーワードについて、付加サービスについてのお好み確認を顧客にするために顧客端末11に送信するメッセージである。詳細は
図9のフローにおいて後述する。
【0044】
(6)サービス名称とキーワード
図5はクリーニングサービスについてのサービス名称を示し、
図6は付加サービスについてのキーワードを示すところ、種々のクリーニングサービスに関してサービス名称とキーワードの2つに分類している理由は以下のとおりである。
【0045】
クリーニングに関するサービスについては多種多様なものがあるが、サービスの名称(又は名詞)を指し示すことによりサービス提供者側がどんな作業をすればよいか自明な場合と、そうでない場合がある。例えば顧客から「洗浄処理」と要求されれば、詳細を顧客が指定することなく、サービス提供者自身の判断により当該洗浄処理を実施しうるのが通常である。一方、例えば顧客から「糊を付けてほしい」との要求があった場合には、糊を強くするのか、弱くするのかなど糊の強弱について顧客の好みや要望を確認しないと、サービス提供者は当該作業を進めることが難しい。つまり、「糊」という指定だけではサービス提供者は作業を先に進めることができないのである。
【0046】
このように、顧客からのクリーニングの要求についてはサービス名称のみでサービス提供者が作業を進められるものと、顧客の好みを確認しないとサービス提供者が的確な作業を進められないものとがある。
【0047】
そこで、名称のみ指定すればクリーニングサービスの内容が明確なものをサービス名称リストに登録している(当該リストにはクリーニング店舗16が固有に提供する個別具体的なクリーニングサービスについて固有の名称をもって登録されるサービス名称もある)。一方、名称のみの指定では足りず、顧客にそのサービスの好みの程度又はカスタマイズの程度を確認する必要があるサービスもある。これについては付加サービスと位置付けて当該付加サービスに関する単語をキーワードとして定義し、キーワードリストに登録するのである。
【0048】
そして本発明は、顧客が預けようとするクリーニング品の情報を含むクリーニング品をクリーニング履歴情報から検索し、検索結果の中にサービス名称リストに掲げるクリーニングサービスと同じ名称が存在すれば、当該クリーニングサービスを顧客に提示するのである。さらに、検索結果の中にキーワードリストに掲げるキーワードと同じキーワードがあれば、当該キーワードに対応する「お好み確認情報」をキーワードリストからさらに検索し、検索された「お好み確認情報」を顧客に送信する。これにより顧客の好みを確認し、顧客からの指定を得たうえで、当該キーワードに対応する付加サービスを特定するのである。
【0049】
なお、顧客からのクリーニング品の情報を含むクリーニング品を検索する場合、検索されたクリーニング品であっても顧客(あるいは顧客の嗜好の違い)により、又はクリーニング品の属性のわずかな違いにより適用したクリーニングサービスに相違やばらつきがみられる。このため、検索にあたっては所定数のレコードをクリーニング履歴DB21から検索し、さらに当該所定数のレコードの中からクリーニングサービスやキーワードを検索するようにしている。顧客に提示するべきクリーニングサービスやキーワードに基づいた「お好み確認情報」に漏れがないようにするため、複数レコードの中からクリーニングサービスやキーワードを検索するのである。
【0050】
そして、これらの工程を経ることにより、顧客が預けるクリーニング品についての電子カルテ(
図12)が完成し、ウェブカウンセリング装置10は完成した当該電子カルテをクリーニング工程管理装置25に送る。その後、クリーニング工程管理装置25は当該電子カルテに記載の内容に従って、顧客のクリーニング品のクリーニング処理を行うのである。
【0051】
(7)処理フロー
次に処理の全体フローを説明する。
図8は顧客15が顧客端末11を介してクリーニング店舗16と情報交換を行う様子を示すものである。郵送又は持参等することにより顧客15がクリーニング品をクリーニング店舗16に引渡し、その後クリーニング処理がなされ、当該クリーニング品が顧客15のもとに返送されるまでの処理を示すものである。
【0052】
はじめに、顧客15がクリーニング品をクリーニング店舗16に引渡す(S10)。クリーニング店舗16では、配送されてきた当該クリーニング品はクリーニング工程管理装置25で受信するものとする。これはクリーニング処理の工程管理を行うクリーニング工程管理装置25が設置されるクリーニング処理の作業現場又はクリーニング品の入検部門で受信するとの意味である。
【0053】
次に、顧客15は顧客端末11を介してクリーニング品についてどのようなクリーニングサービスを受けるかクリーニング店舗16のウェブカウンセリング装置10に相談する。このために、まずウェブカウンセリング装置10に接続し、ログインする(S12)。
【0054】
次に、顧客端末11を介してクリーニング品の情報を入力する(S14)。ここで、クリーニング品の情報とはクリーニング品についての属性、状態、特徴等に関する情報である。その一例を
図7に示す。説明を簡易にするために、品番号153に示すクリーニング品を顧客15がクリーニング店舗16に引渡したとする。そして、そのときのクリーニング品の情報は「アイテム」としてワイシャツ、「素材」として綿であった。なお預かり時の状態としては特段の情報は存在しないとする。これらの情報が顧客端末11を介してウェブカウンセリング装置10に送信される(S14)。なお、クリーニング品の情報についての入力は顧客端末11によるものに限らず、クリーニング店舗16、例えばクリーニング品の入検部門により入力されるものであってもよい。
【0055】
S14でクリーニング品の情報入力が完了すると、ウェブカウンセリング装置10は電子カルテの作成を開始する(S15)。この時点では年月日と共に、クリーニング品の情報として「アイテム」=ワイシャツ、「素材」=綿という情報が電子カルテに記録されるであろう(
図12)。
【0056】
次に、ウェブカウンセリング装置10は入力されたクリーニング品の情報をもとにクリーニング履歴DB21を検索し、入力されたクリーニング品と同一のクリーニング品であって過去に適用されたサービス名称の検索を開始する。ウェブカウンセリング装置10は検索したサービス名称を顧客端末11に送信する(S16)。
【0057】
続いて、ウェブカウンセリング装置10は入力されたクリーニング品の情報をもとにクリーニング履歴DB21を検索し、入力されたクリーニング品と同一のクリーニング品であって過去に適用されたクリーニングサービスについての付加サービスに関するキーワードを検索する。さらに検索されたキーワードに対応するお好み確認情報を検索し、顧客端末11に送信する(S18)。付加サービスについては顧客の好みを確認する必要があるからである。
【0058】
その後、顧客端末11からクリーニングサービスの追加や変更、さらにはお好み確認に対する顧客の回答又はサービス指定がウェブカウンセリング装置10に送信される(S20)。この段階で顧客のクリーニング品に対するクリーニングサービスや付加サービスが決まることとなり、これらの情報は順次電子カルテに記録される(
図12)。
【0059】
次に、クリーニング品の情報及び決定されたクリーニングサービスをもとに再度、クリーニング履歴DB21を検索し、顧客に通知するべきリスク情報を決定する。決定されたリスク情報は顧客端末11に送信される(S22)。S22については
図11を用いて再度説明する。
【0060】
最終的にクリーニングサービスとリスク情報を顧客15が承諾する(S24)と、電子カルテの作成が完了する(S25)。引き続きて、ウェブカウンセリング装置10はクリーニング料金の見積を顧客端末11に送信し(S26)、顧客による承諾を得て料金決済が実行される(S28)。料金の支払い後にクリーニング処理(S29)が実行され、処理を終えるとクリーニング品が顧客15に返送される(S30)。
【0061】
以上が処理の概要である。ここで、本発明の中心であるサービス名称やお好み確認情報の決定方法に関する処理はS14~S20である。当該部分を以下に詳述する。
【0062】
(8)クリーニング品の情報入力とレコード検索/S60~S61
図9は顧客端末11によってクリーニング品の情報を入力するステップ(S14)から顧客端末11によってサービスの追加や変更の指示がなされるステップ(S20)までの詳細である。一部において、
図10による詳細説明に及ぶことに注意されたい。
【0063】
顧客端末11によって入力されたクリーニング品の情報が、ウェブカウンセリング装置10に配置されている制御部20で受信される(S14)と、これを契機に制御部20は電子カルテの記録を開始する。クリーニング品の情報として、
図7の品番号153で示されるクリーニング品の情報である、アイテム=ワイシャツ、素材=綿、という情報が電子カルテ(
図12)に記録されるのである(S60)。
【0064】
次に制御部20はクリーニング履歴DB21について事前に決めた所定数だけ当該クリーニング品の情報を含むレコードを検索し取得する。これは、クリーニング品の情報を含むクリーニング品を検索する場合、検索されたクリーニング品であっても顧客(あるいは顧客の嗜好の違い)により、又はクリーニング品の属性のわずかな違いにより適用したクリーニングサービスに相違やばらつきがみられる。このため、検索にあたっては所定数のレコードを検索し、さらに当該所定数のレコードの中から広くクリーニングサービスやキーワードを検索しようというのである。
【0065】
ここでは説明の便宜のため所定数を3とする。所定数が多いほど、検索等に要する処理時間は長くなり、顧客端末11への応答時間が長くなることがあるが、過去において頻繁に利用されたクリーニングサービスがどれであるか、さらにはまれに利用されたサービスはどれかなどが明確になり、クリーニングサービスについて過去の利用実績としての利用頻度の高低も示しつつ顧客に種々のサービス提案ができるという効果がある。
【0066】
クリーニング履歴DB21の一例である
図4のクリーニング履歴情報の中から、
図7に示す品番号153で示されるアイテム=ワイシャツ、素材=綿、というクリーニング品の情報を含むものはレコード番号568、570及び571の3レコードである。当該3レコードがクリーニング履歴DB21から制御部20に返される(S61)。
【0067】
(9)サービス名称とお好み確認情報の検索/S62
次に、前記3レコードについてサービス名称とキーワードの検索がなされる(S62)。S62の詳細処理は
図10に示すとおりである。
【0068】
S80において、前記3レコードの任意の1レコードについて処理が始まる。ここでは若い番号のレコード番号568から取り上げる。レコード番号568において「適用したクリーニング内容」を取得する(S80)。レコード番号568において取得された文章は2文あり、第1文は「洗浄処理」、第2文は「糊を強めにする」である。そのなかの第1文を選択し(S82)、当該文章中にサービス名称リスト(
図5)に掲げるサービス名称と一致する名称が存在するか否かを検査する(S84)。ここでは「洗浄処理」が一致する名称に該当するので、「洗浄処理」がサービス名称として検索できたこととなる(S87)。次にS90に進み、当該第1文は最後の文章ではないので、S82に戻り、第2文「糊を強めにする」が評価される。
【0069】
第2文ではサービス名称リストに掲げるサービス名称と一致する名詞は存在せず(S84)、文章中の名詞が抽出される(S86)。当該第2文では「糊」が抽出される。なお、文章(自然文)中から名詞を抽出する手段はいくつか考えられるが、その一例は形態素解析技術である。当該技術は日本語テキストを単語に分解したうえで単語の名詞、形容詞等の品詞を特定する技術である。
【0070】
次に、抽出された名詞がキーワードリスト(
図6)に掲げるキーワードと一致するかが検査される(S88)。ここでの例である「糊」はキーワードとして列挙されている名詞と一致するので、「糊」がキーワードとして特定できることとなる(S89)。
【0071】
以上がレコード番号568から取得した文章2つの処理であり(S90)、次のレコード番号570に処理が移る(S80)。レコード番号570では第1文「洗浄処理」、第2文「糊を弱めにする」との文章が取得され上述の処理がなされる。3番目のレコードであるレコード番号571では第1文「洗浄処理」との文章が取得され上述の処理がなされる。
【0072】
以上、3レコードについて処理がなされ、サービス名称として「洗浄処理」が3回検索され、キーワードとして「糊」が2回検索されるのである。
【0073】
(10)サービス名称等の送信/S64~S70
再び
図9に戻り、検索されたサービス名称を検索回数に応じて並べる(S64)。ここでの例ではサービス名称「洗浄処理」のみであり、その出現率は100%である。ここで出現率とは過去に同じクリーニング品について利用されたクリーニングサービスの利用率を示すものであり、検索したレコードの所定数を分母とし当該サービス名称を含むレコードの数を分子とする場合の百分率である。当該出現率の考えは後述するキーワードについても同様である。参考までにキーワードについての出現率は検索したレコードの所定数を分母としキーワードを含むレコードの数を分子とする場合の百分率である。
【0074】
次に、S16において、顧客端末11に向けて、制御部20は出現率の高い方から順番に検索されたサービス名称を送信する(S16)。ここでの例では、サービス名称「洗浄処理」のみが顧客端末11に向けて送信される。なお、制御部20は出現率の低い方から順番にサービス名称を送信するのでもよく、出現率とは無関係にサービス名称を送信するものでもよい。
【0075】
次に、検索されたキーワードを検索回数に応じて並べる(S66)。ここでの例ではキーワードは「糊」のみであり、その出現率は67%である。
【0076】
次に、各キーワードについてキーワードリスト(
図6)を参照し、キーワードに対応する「お好み確認情報」を検索する(S68)。キーワードリストをみると、「□糊を強めに付けます。□糊を弱めに付けます。□糊なしにします。」とのお好み確認情報がキーワード「糊」に対応している。当該情報を顧客端末に送信するのである(S18)。お好み確認情報は、それぞれのキーワードについて、付加サービスについてのお好みを確認するために顧客端末11に送信するメッセージである。ここで、□との表示はここに顧客がレ点を入力することにより、顧客の付加サービスの程度について選択させ、顧客の嗜好に関する情報を取得することを目的とするものである。顧客が入力したレ点をウェブカウンセリング装置10の制御部20が受信することにより、顧客の嗜好を確実に取得し処理することができる。なお、お好み確認情報の形式は上述の例に限定されることなく、顧客端末11の画面表示機能等を考慮したうえで顧客の嗜好を確実に取得できる表現又は情報形式(ハイパーテキスト形式による表現等)であってもよい。
【0077】
なお、S18において、顧客端末11に向けて、制御部20は出現率の高い方から順番に検索されたキーワードに対応する「お好み確認情報」を送信する。制御部20は出現率の低い方から順番に送信するのでもよく、出現率とは無関係に送信するものでもよく、S16におけるサービス名称の送信の順番と同じ考え方である。
【0078】
ここまでの処理により、顧客端末11はサービス名称及びお好み確認情報を受信しているので、これらを画面表示する。サービス名称により示されるクリーニングサービスについて、顧客15の操作により顧客端末11を介して必要に応じて当該サービスの追加や変更がウェブカウンセリング装置10に通知される。また、お好み確認情報については適宜いずれかを選択し、当該選択情報がウェブカウンセリング装置10に通知される(S20)。ここでの例では顧客15は顧客端末11の操作により、サービス名称として「洗浄処理」、お好み確認情報については「糊を強めにする」を選択すると仮定する。
【0079】
顧客端末11から送信されたクリーニングサービスの追加と変更、付加サービスについてのお好み指定はそのまま電子カルテに記録される(S70)。ここでの例では、サービス名称として「洗浄処理」、お好み確認情報について「糊を強めにする」との指定が品番号153の電子カルテの「適用するクリーニングサービス」欄に記録される。
【0080】
(11)リスク情報/S22
最後に、
図8のS22における、顧客に通知するべきリスク情報を決定し送信する処理を、
図11を用いて詳細に述べる。
【0081】
S71において、クリーニング品の情報及び決定されたクリーニングサービスをもとにクリーニング履歴DB21を検索し、レコードを取得する。このとき、事前に決めた所定数のレコードだけ取得するようにする。検索されたリスク情報にはばらつきがあるので、広くリスク情報を拾い上げ、顧客に告知するためである。
【0082】
ここでは説明の便宜のため所定数を3とする。ここでの例では、クリーニング品の情報は、
図7に示す品番号153で示されるアイテム=ワイシャツ、素材=綿、であり、顧客により決定されたクリーニングサービスとは洗浄処理、であった。これらの情報は
図12の電子カルテにも記載の事項である。これらの情報をもとに
図4のクリーニング履歴情報を検索すると、レコード番号568、570及び571の3レコードが相当する。当該3レコードがクリーニング履歴DB21から制御部20に返される(S71)。
【0083】
次に検索された3レコードのうち「顧客に告知したリスク情報」に記録されているリスク情報を検索し(S72)、当該リスク情報を顧客端末11に送信する(S22)。ここでの例では、レコード番号568、570及び571の3レコードに1つ以上含まれるリスク情報は「移染、変色・脱色、風合い変わり」であり、当該リスク情報が顧客端末11に通知される。顧客端末11に通知された当該リスク情報は顧客からの承諾(S24)を経て、電子カルテに記録され、電子カルテの作成を完了する(S25、
図12)。
【0084】
その後、完成した電子カルテはクリーニング工程管理装置25における指示書としてクリーニング処理を行う際に参照される。当該クリーニング処理が終了したのちに、当該電子カルテは1個のレコードとしてクリーニング履歴情報(
図4)に反映されクリーニング履歴情報の一部となり、その後のさらなる顧客のカウンセリング情報として用いられる。
実施例1では、ウェブカウンセリング装置10(制御部20)が算出した出現率を必ずしも顧客端末11に送信するものではなかった(S16、S18)。ここでは、ウェブカウンセリング装置10がクリーニングサービスを表す名称に対応する出現率を顧客端末11に送信し(S16)、付加サービスについてのお好み確認情報に対応する出現率も送信するものである(S18)。そして、この場合には顧客端末11がクリーニングサービス及び付加サービスについて効果的な表示方法を提供しうることを述べる。
実施例1では、S64においてクリーニングサービスを表す名称として「洗浄処理」のみを例示しその出現率は100%であるとした(S64)。当該所定数をもっと増やすと、クリーニングサービスを表す名称として複数の名称が検索され、その出現率が異なることもある。
当該情報から、顧客が預けたクリーニング品と同じクリーニング品について過去に行われたクリーニングサービスを推察すると、「洗浄処理」は必ず適用され、「シミ落とし」は多くの場合適用され、「撥水加工」はごく一部の場合にだけ適用され利用されたことが判る。
この場合、制御部20がこれらの情報を以下のような形式のメッセージ(なお、クリーニングサービスを表す名称とその出現率との対応が明確であればよく、具体的なメッセージ形式は以下に限るものではない。)をもって顧客端末11に送信したとする(S16)。
・『「洗浄処理」100%、「シミ落とし」80%、「撥水加工」5%』
実施例2は、上記メッセージを顧客端末11が受信したとき、当該メッセージ中の情報を効果的に顧客端末11の画面上に表示する方法を示すものである。つまり、顧客端末11は受信したクリーニングサービスを表す名称を当該出現率の高低に応じて選択的に表示する構成とするのである。
例えば、出現率の高い順番にクリーニングサービスを画面上に表示したり、一定の出現率以上のクリーニングサービスのみを表示したりするのである。また、顧客15が指定する出現率(顧客15からみると過去における利用率とも言える)を超えるクリーニングサービスのみを表示させる等、いろいろの表示方法が考えられる。もちろん、出現率の高低にかかわらず受信したクリーニングサービスを表す名称をすべて表示するものでもよい。
上記表示方法は、付加サービスについてのお好み確認情報及びその出現率を受信したときにも同じく適用できる。顧客端末15が複数のお好み確認情報を受信したときには、出現率の高低に応じてお好み確認情報を選択的に表示する構成とするのである。