(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022102991
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】ひったくり防止器具
(51)【国際特許分類】
A45C 13/00 20060101AFI20220630BHJP
【FI】
A45C13/00 E
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020220075
(22)【出願日】2020-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】513078103
【氏名又は名称】眞室 里香
(72)【発明者】
【氏名】眞室 里香
【テーマコード(参考)】
3B045
【Fターム(参考)】
3B045LA10
(57)【要約】
【課題】 どのような手荷物にも取り付け可能で、しかも、ひったくり犯から倒されたり、引きずられたりすることによる怪我を、未然に防止することが可能な、バッグや手荷物のひったくり防止器具を提供する。
【解決手段】 ひったくり防止器具を、警報音発生装置を内蔵し、スイッチ穴を有する本体と、前記スイッチ穴に挿入され、引き抜かれることにより前記警報音発生装置を作動させるスイッチピンと、前記本体に備えられ、ひったくりの対象となる物品に接合するための第一の接合手段と、前記スイッチピンに備えられ、前記物品の保持者または前記保持者の身装品に接合するための第二の接合手段とで構成する。これにより、本発明に係るひったくり防止器具を取り付けた手荷物を強奪しようとすると、スイッチピン2が抜けることで、警報音発生装置が作動し、しかも手荷物の保持者が負傷を被る可能性が少なくなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
警報音発生装置を内蔵し、スイッチ穴を有する本体と、前記スイッチ穴に挿入され、引き抜かれることにより前記警報音発生装置を作動させるスイッチピンとを有する、ひったくり防止器具において、前記本体は、ひったくりの対象となる物品に接合するための第一の接合手段を有し、前記スイッチピンは、前記物品の保持者または前記保持者の身装品に接合するための第二の接合手段を有することを特徴とする、ひったくり防止器具。
【請求項2】
前記第一の接合手段と前記の第二の接合手段の少なくとも何れかは、紐状の部材を介して、前記物品または前記保持者もしくは前記保持者の身装品に接合されることを特徴とする、請求項1に記載のひったくり防止器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドバッグなどの手荷物のひったくり防止器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自転車やバイクに乗つて、歩行者、とくに女性の歩行者の後ろから近づき、ハンドバッグのような手荷物を強奪する、「ひったくり」が後を絶たない。これを防止するための、従来の対策として挙げられるのは、ひったくり自体を不可能にしたバッグ、ひったくられた場合に貴重品のみ手元に残せるバッグなどが主流である。
【0003】
前者の例として、特許文献1には、たすき掛け状に繋いだ吊り紐などを用いた、ひったくりが極めて困難なバッグが開示されている。しかし、ここに開示されているバッグは、機能のみを求めているため、女性用のハンドバッグとして重要なデザインが無視されている。また、バッグが身体から離れ難いという機能が逆に作用して、バイクなどを使ったひったくり犯に引っ張られて転倒し、怪我に至る虞がある。
【0004】
また、後者の例として、特許文献2には、内部にポケット状の収納部を設け、バッグをひったくられても、財布や貴重品が手元に残るバッグが開示されている。しかし、この場合は、バッグ自体の構造が複雑となり、デザインの自由度が減縮される可能性があり、特許文献1、特許文献2のいずれにしても、TPOに合わせて携行するバッグを変えることができないという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4214315号公報
【特許文献2】特開2010-012191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って本発明の課題は、どのような手荷物にも取り付け可能で、しかも、ひったくり犯から倒されたり、引きずられたりすることによる怪我を、未然に防止することが可能な、バッグや手荷物のひったくり防止器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前記の課題に鑑み、従来使用されていた、音を発するアラームやチェーンを用いたひったくり防止器具の再構成を検討した結果、なされたものである。
【0008】
上記課題を解決するための、本発明の一態様に係るひったくり防止器具は、警報音発生装置を内蔵し、スイッチ穴を有する本体と、前記スイッチ穴に挿入され、引き抜かれることにより前記警報音発生装置を作動させるスイッチピンとを有し、前記本体は、ひったくりの対象となる物品に接合するための第一の接合手段を有し、前記スイッチピンは、前記物品の保持者または前記保持者の身装品に接合するための第二の接合手段を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一態様に係るひったくり防止器具は、前記第一の接合手段と前記の第二の接合手段の少なくとも何れかが、紐状の部材を介して、前記物品または前記保持者もしくは前記保持者の身装品に接合されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るひったくり防止器具は、警報音発生装置を内蔵する本体を、第一の接合手段により、ハンドバッグなどの手荷物、即ち、ひったくりの対象となる物品に取り付け、スイッチピンを第二の接合手段により、腕時計、ブレスレッドなどの身装品に取り付けることができ、手荷物をひったくられた際に、スイッチピンが抜けて警報音が発生し、ひったくり犯の犯意を抑止することができる。
【0011】
また、本発明に係るひったくり防止装置においては、手荷物が一定以上の力で引っ張られると、手荷物とひったくり防止器具の本体が、手荷物の保持者から分離するので、ひったくり犯に引っ張られることで、被害者が転倒したり引きずられたりして、傷害被害を被ることも抑制できる。
【0012】
さらに、前記のように、本発明に係るひったくり防止器具のバッグなどの手荷物への取り付けには、例えばクリップのような接合手段を用いるので、取り付ける手荷物の形状に限定されない他、接合手段のデザインの検討により、手荷物のデザイン面での付加価値を向上することもできるという特長がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】 本発明に係るひつたくり防止器具の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に具体的な図を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明に係るひつたくり防止器具の一例を示す図である。
【0015】
図1に示したように、本発明に係るひったくり防止器具は、図示しない警報音発生装置を内蔵する本体1と、スイッチ穴2を有し、スイッチ穴2には、スイッチピン3が挿入されている。スイッチピン3は、所定以上の引き抜き力が加わると、スイッチ穴2から脱落し、警報音発生装置が作動する。
【0016】
スイッチ穴2が配されている面の反対側の面には、本発明に係るひったくり防止器具を、手荷物に接合するための、第二の接合手段4が取り付けられている。
図1に示した例では、第二の接合手段4には、ナスカンと称されるフックが付属した金具が用いられている。ナスカンには、紐状部材、ここでは金属製の鎖6aが取り付けられ、さらにその先端には、クリップ7が取り付られ、図示しない手荷物の適当な位置に、クリップ7を挟んで固定することで、本発明に係るひったくり防止器具を手荷物に接合できる。この際にクリップ7の把持力を、スイッチピン2を脱落させるのに要する力よりも大きく設定する必要があることは勿論である。
【0017】
そして、スイッチピン3には、第一の接合手段3が取り付けられている。第一の接合手段3は、ナスカンのような部材を用いることができるが、ここでは金属製の環を用い、その先には、やはり金属製の鎖6bが接合されている。このような構造とすることにより、手荷物の保持者が、鎖6bを直接手で保持したり、さらに鎖6bの先端にナスカンなどの接合部材を取り付け、腕時計、ブレスレットなどの身装品に取り付けたりすることが可能である。
【0018】
このような構成とすることで、本発明に係るひったくり防止器具を取り付けた手荷物を強奪しようとすると、スイッチピン2が抜けることで、警報音発生装置が作動し、周囲に聞こえる大きな音響が発生する。その際に、手荷物と保持者は分離されるので、手荷物の保持者がひったくり犯に引っ張られて、転倒して負傷する可能性が減少する。しかも、手荷物の保持者側に残ったスイッチピン3を、スイッチ穴2に再挿入しない限り、警報音が止むことがなく、ひったくり犯が、手荷物を放り出して逃走したり、警報音を聞いた周囲の人々に、取り押さえられたりする可能性が増加する。
【0019】
以上に説明したように、本発明によれば、簡単な構造で被害者に危害が及び難い、ひったくり防止器具が提供でき、防犯向上に極めて有用である。なお、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の分野における通常の知識を有する者であれば想到し得る、各種変形、修正を含む、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0020】
1・・・本体 2・・・スイッチ穴 3・・・スイッチピン
4・・・第一の接合手段 5・・・第二の接合手段
6a,6b・・・鎖 7・・・クリップ