(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022103028
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】逆止弁
(51)【国際特許分類】
F16K 15/02 20060101AFI20220630BHJP
【FI】
F16K15/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021124327
(22)【出願日】2021-07-29
(31)【優先権主張番号】P 2020216282
(32)【優先日】2020-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】特許業務法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】加島 卓磨
(72)【発明者】
【氏名】小塚 直星
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 雅洋
【テーマコード(参考)】
3H058
【Fターム(参考)】
3H058AA02
3H058BB40
3H058CA04
3H058CA05
3H058CA06
3H058CA22
3H058CA23
3H058CB02
3H058CB16
3H058CC05
3H058CD05
3H058CD13
3H058EE01
3H058EE13
(57)【要約】
【課題】耐久性に優れた逆止弁を提供する。
【解決手段】本発明の逆止弁7は、弁座部材35及び弁部材30等を備えている。弁部材30は、ケース31及びスプール33を有している。ケース31は、第2周壁部36を有している。第2周壁部36の内周側には貫通孔31aが形成されている。また、第2周壁部36の内周側には、凹条の環状溝31bが貫通孔31aに向けて開口している。スプール33は、弁体41、第1~4柱体43~46及び延設部47を有している。第1~4柱体43~46は、弁体41に一体に形成されている。延設部47は、第1~4柱体43~46に接続している。延設部47は、復元力によって環状溝31bに係合される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1周壁部と、前記第1周壁部の内周側に形成され、流体を流通させる弁孔とを有する弁座部材と、
前記弁孔を開閉する弁体と、前記弁座部材を間に挟んで前記弁体に連結される頭部とを有する弁部材と、
前記弁座部材と前記弁部材との間に配置され、前記弁体が前記弁孔を閉塞する方向に前記弁部材を前記弁座部材に対して付勢する付勢部材と、を備える逆止弁であって、
前記頭部は、前記流体を流通させる貫通孔を内周側に形成する第2周壁部を有し、
前記第2周壁部の内周側には、前記第2周壁部の周方向に延びつつ前記貫通孔と連通する係合部が形成され、
前記弁部材は、前記弁孔に挿通されるとともに前記弁体に接続された複数の柱状部と、前記各柱状部に接続された少なくとも一つの延設部と、を有し、
前記延設部は、復元力によって前記係合部に係合されることを特徴とする逆止弁。
【請求項2】
前記柱状部の一端は前記弁体に接続され、前記柱状部の他端は前記延設部に接続され、
前記延設部は複数である請求項1記載の逆止弁。
【請求項3】
前記各延設部は円弧状であり、前記第2周壁部の周方向に並んで配置されている請求項2記載の逆止弁。
【請求項4】
前記係合部は、前記柱状部に向けて突出する突出部位と、前記突出部位と接続されて前記延設部の復元力を受ける対向部位と、を有し、
前記第2周壁部の外周側には、前記突出部位及び前記対向部位と連通し、前記延設部の一部が露出するよう切り欠かれた組付口が設けられている請求項1乃至3のいずれか1項記載の逆止弁。
【請求項5】
前記係合部は、前記延設部を内部に係合させつつ前記延設部の復元力を受ける溝状に形成されている請求項1乃至3のいずれか1項記載の逆止弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は逆止弁に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の逆止弁が開示されている。この逆止弁は、圧縮機に採用されており、流体通路の内部に設けられている。同文献において、流体通路とは、具体的には圧縮機の吸入口である。吸入口は、圧縮機の内部に形成された吸入室と連通しているとともに、配管を通じて蒸発器と接続している。これにより、吸入口の内部には、流体としての冷媒が流通可能となっている。
【0003】
逆止弁は、弁座部材と、弁部材と、付勢部材とを備えている。弁座部材は、第1周壁部と、第1周壁部の内側に形成され、冷媒を流通させる弁孔とを有している。
【0004】
弁部材は、弁体と、頭部とを有している。弁部材は、吸入口の内部で冷媒の流通方向に移動可能である。弁体は、頭部よりも冷媒の流通方向の下流側に配置されている。弁体は、頭部とともに吸入口の内部を冷媒の流通方向に移動することによって、弁孔を開閉する。頭部は、第2周壁部を有している。第2周壁部の内周側には、冷媒を流通させる連通孔が形成されている。頭部は、弁座部材を間に挟んで弁体に連結される。付勢部材は、弁座部材と弁部材との間に配置され、弁体が弁孔を閉塞する流通方向に弁部材を弁座部材に対して付勢する。
【0005】
また、弁部材は、複数本の柱状部と、各柱状部の一端に設けられた係合爪とを有している。各柱状部は他端が弁体に一体に設けられている。各柱状部は弁孔に挿通される。各係合爪は、流通方向と直交する径外方向に延在する。頭部には、連結部が形成されている。そして、各係合爪が連結部に係合することにより、各柱状部と頭部とが連結されている。この際、各係合爪と連結部とを接合することにより、各柱状部と頭部との連結が補強されている。
【0006】
この逆止弁では、吸入口の内部を冷媒が流通していない場合を含め、吸入口の内部を流通方向の上流側から下流側、すなわち、配管側から吸入室側に向かって吸入口の内部を流通する冷媒の圧力が所定値よりも低い場合には、付勢部材の付勢力によって弁部材が冷媒の流通方向で弁座部材から離隔する。一方、このような弁部材の移動により、弁体が冷媒の流通方向で弁座部材に接近する。そして、弁体と弁座部材とが当接することで、弁体は吸入口を閉塞する。こうして、この逆止弁は、冷媒が配管側から吸入室側に向かって吸入口の内部を流通することを禁止する。また、弁体が吸入口を閉塞することにより、この逆止弁では、冷媒が吸入室側から配管側に向かって吸入口の内部を流通することも禁止する。
【0007】
これに対し、この逆止弁では、配管側から吸入室側に向かって吸入口の内部を流通する冷媒の圧力が所定値よりも高くなれば、冷媒が弁体を冷媒の流通方向に押圧する。これにより、付勢部材の付勢力に抗して弁部材が冷媒の流通方向で弁座部材に接近する一方、弁体が冷媒の流通方向で弁座部材から離隔する。これにより、弁体が吸入口を開放することで、この逆止弁は、冷媒が配管側から吸入室側に向かって吸入口の内部を流通することを許容する。このため、配管を経て吸入口の内部に流入した冷媒は、吸入室に向かって流通可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記従来の逆止弁では、流体通路の内部で弁部材が流体の流通方向に移動を繰り返すことにより、係合爪及び頭部の連結部には、流体の流通方向に負荷が繰り返し作用する。仮に流体通路を想定よりも高圧の流体が上流側から下流側に流通した場合には、この高圧の流体によって、弁体には流体の流通方向に大きな負荷が作用する。このため、各係合爪と連結部との係止、ひいては各柱状部と頭部とが離隔してしまう懸念がある。ここで、この逆止弁では、各係合爪と連結部とを接合しているものの、この接合が不十分な場合があり得ることから、この構造ではその懸念を払拭することができない。これらのため、より耐久性の高い逆止弁が求められる。
【0010】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、耐久性に優れた逆止弁を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の逆止弁は、第1周壁部と、前記第1周壁部の内周側に形成され、流体を流通させる弁孔とを有する弁座部材と、
前記弁孔を開閉する弁体と、前記弁座部材を間に挟んで前記弁体に連結される頭部とを有する弁部材と、
前記弁座部材と前記弁部材との間に配置され、前記弁体が前記弁孔を閉塞する方向に前記弁部材を前記弁座部材に対して付勢する付勢部材と、を備える逆止弁であって、
前記頭部は、前記流体を流通させる貫通孔を内周側に形成する第2周壁部を有し、
前記第2周壁部の内周側には、前記第2周壁部の周方向に延びつつ前記貫通孔と連通する係合部が形成され、
前記弁部材は、前記弁孔に挿通されるとともに前記弁体に接続された複数の柱状部と、前記各柱状部に接続された少なくとも一つの延設部と、を有し、
前記延設部は、復元力によって前記係合部に係合されることを特徴とする。
【0012】
本発明の逆止弁では、第2の周壁部の内周側に係合部が形成されており、この係合部は、第2の周壁部の周方向に延びつつ貫通孔に連通している。また、弁部材は、複数の柱状部と、少なくとも一つの延設部とを有している。ここで、この延設部は複数の柱状部に連接して設けられている。つまり、延設部は、複数の柱状部を繋ぐように延びている。そして、延設部は、自己の復元力によって係合部に係合される。こうして、この逆止弁では、弁部材において弁体と頭部とが一体化され、弁体は頭部とともに移動可能となる。
【0013】
そして、この逆止弁では、延設部が複数の柱状部を繋ぐように延びていることから、延設部は、第2周壁部の周方向、ひいては、係合部の周方向において個々の柱状部よりも長く延びている。これにより、延設部は、係合部の周方向に長い範囲において、係合部と係合する。こうして、この逆止弁では、延設部と係合部とが係合する範囲を十分な大きさで確保することができる。
【0014】
これにより、この逆止弁では、流体通路の内部でケース及び弁体が流体の流通方向に繰り返し移動し、延設部と係合部とに対して流体の流通方向の負荷が繰り返し作用しても、延設部と係合部との係合が解除され難い。また、この逆止弁では、例えば高圧の流体によって、弁体に対して流体の流通方向に大きな荷重が作用した場合であっても、延設部と係合部との係合が解除され難い。
【0015】
したがって、本発明の逆止弁は耐久性に優れている。
【0016】
柱状部の一端は弁体に接続され、柱状部の他端は延設部に接続され得る。そして、延設部は複数であることが好ましい。この場合には、各延設部が柱状部の端部に設けられているため、各延設部を係合部に係合させるに当たって、例えば柱体状部を弾性変形させることで各延設部を係合部に進入させ易くなる。
【0017】
また、各延設部は円弧状であり、第2周壁部の周方向に並んで配置されていることが好ましい。この場合には、第2周壁部の周方向において、各延設部が係合部と広範囲で係合するため、各延設部と係合部とを強固に係合させることができる。
【0018】
係合部は、柱状部に向けて突出する突出部位と、突出部と接続されて延設部の復元力を受ける対向部位と、を有し得る。そして、第2周壁部の外周側には、突出部位及び対向部位と連通し、延設部の一部が露出するよう切り欠かれた組付口が設けられていることが好ましい。
【0019】
この場合には、組付口を通じて延設部を係合部に進入させ易くなるため、延設部と係合部とを容易に係合させることが可能となる。また、この逆止弁では、係合部の突出部位により、第2周壁部、ひいては頭部の剛性を好適に確保することが可能となる。
【0020】
また、係合部は、延設部を内部に係合させつつ延設部の復元力を受ける溝状に形成されていることも好ましい。この場合にも、延設部と係合部とを容易に係合させることが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の逆止弁は耐久性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、実施例1の圧縮機を示す部分断面図である。
【
図2】
図2は、実施例1の圧縮機に係り、逆止弁等を示す要部拡大断面図である。
【
図3】
図3は、実施例1の圧縮機に係り、逆止弁等を示す要部拡大断面図である。
【
図4】
図4は、実施例1の圧縮機に係り、ケースを示す断面図である。
【
図5】
図5は、実施例1の圧縮機に係り、ケースを下方から見た背面図である。
【
図6】
図6は、実施例1の圧縮機に係り、弁体、柱体及び延設部を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、実施例1の圧縮機に係り、延設部及び係合部等を示す要部拡大断面図である。
【
図8】
図8は、実施例1の圧縮機に係り、延設部が係合部に係合している状態を示す要部拡大断面図である。
【
図9】
図9は、実施例1の圧縮機に係り、
図8のA-A断面を示す断面図である。
【
図10】
図10は、実施例2の圧縮機に係り、逆止弁等を示す
図2と同様の要部拡大断面図である。
【
図11】
図11は、実施例2の圧縮機に係り、ケースを示す斜視図である。
【
図13】
図13は、実施例2の圧縮機に係り、ケース及びスプールを示す斜視図である。
【
図14】
図14は、実施例2の圧縮機に係り、逆止弁を示す要部拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した実施例1、2を図面を参照しつつ説明する。
【0024】
(実施例1)
図1に示すように、実施例1の圧縮機は、ハウジング1と、駆動軸3と、圧縮機構5と、逆止弁7とを備えている。逆止弁7は、本発明における「逆止弁」の一例である。実施例1の圧縮機は、図示しない車両に搭載されており、車両の冷凍回路を構成している。
【0025】
本実施例では、
図1に示す実線矢印によって、圧縮機の前後方向及び上下方向を規定している。そして、
図2以降では、
図1に対応して圧縮機の前後方向及び上下方向を規定している。前後方向及び上下方向は互いに直交する関係にある。なお、これらの各方向は説明の便宜上のための一例であり、圧縮機は、搭載される車両に対応して、その姿勢が適宜変更される。
【0026】
ハウジング1は、第1ハウジング11と、第2ハウジング13とを有している。第1ハウジング11は、圧縮機の前方に配置されている。第1ハウジング11は、後方が開口する有底の略筒状に形成されている。また、第1ハウジング11には、圧縮機の前方に向かって突出するボス11aが設けられている。
【0027】
第2ハウジング13は、圧縮機の後方に配置されている。第2ハウジング13は、前方が開口する有底の略筒状に形成されており、第1ハウジング11と接合されている。また、第2ハウジング13には、吸入口15と、吐出口17とが形成されている。吸入口15及び吐出口17は、流体通路である。吸入口15には、配管21を通じて蒸発器101が接続されている。一方、吐出口17には、配管22を通じて凝縮器102が接続されている。蒸発器101と凝縮器102とは、配管23によって接続されている。また、配管23には、膨張弁103が設けられている。
【0028】
駆動軸3は、ハウジング1の内部に挿通されており、ハウジング1の内部で回転可能となっている。駆動軸3は、プーリ等の動力伝達機構を介して車両の動力装置と接続されている。なお、動力伝達機構及びエンジンの図示は省略する。また、駆動軸3は、電動モータと接続される構成であっても良い。つまり、実施例1の圧縮機は電動圧縮機であっても良い。後述する実施例2の圧縮機についても同様である。
【0029】
圧縮機構5は、ハウジング1内に設けられている。詳細な図示を省略するものの、圧縮機構5は公知のベーン型圧縮機構である。圧縮機構5は、ハウジング1の内部、より具体的には、第2ハウジング13の内部に吸入室19を形成している。また、圧縮機構5は、第2ハウジング13の内部に吐出室(図示略)を形成している。吸入室19は吸入口15と連通している。吐出室は吐出口17と連通している。なお、圧縮機構5は、斜板式圧縮機構の他、スクロール型圧縮機構や遠心式圧縮機構等であっても良い。
【0030】
圧縮機構5は、駆動軸3が動力装置によって回転することで作動する。これにより、圧縮機構5は、吸入室19内の冷媒を吸入して圧縮する。冷媒は、本発明における「流体」の一例である。このように圧縮機構5が作動することによって、吸入口15の内部では、
図2及び
図3の白色矢印で示すように、蒸発器101から配管21を経た冷媒が吸入室19に向かって圧縮機の上方から下方に流通する。このように、吸入口15における冷媒の流通方向は、圧縮機の上方から下方に向かう方向となる。この圧縮機では、吸入口15に対して冷媒の流通方向の上流側に配管21及び蒸発器101が存在しており、吸入口15に対して冷媒の流通方向の下流側に吸入室19が存在している。
【0031】
また、圧縮機構5は、圧縮した冷媒を吐出室に吐出する。詳細な図示を省略するものの、吐出室に吐出された冷媒は、
図1に示す吐出口17から配管22、ひいては凝縮器102に向かって流通する。つまり、吸入口15の内部と、吐出口17の内部とでは、冷媒の流通方向が反対となる。
【0032】
図2及び
図3に示すように、逆止弁7は、吸入口15の内部に設けられている。逆止弁7は、弁座部材35と、弁部材30と、コイルばね37とを備えている。コイルばね37は、本発明における「付勢部材」の一例である。
【0033】
弁座部材35は金属製である。弁座部材35は、第1周壁部35aと、第1周壁部35aの内側に形成され、冷媒を流通させる弁孔35bとを有している。第1周壁部35aは、弁孔35bによって、後述する弁体41の中心線Cと同軸をなす円環状に形成されている。これにより、第1周壁部35aでは、内部を冷媒が流通可能となっている。第1周壁部35aの外径は、吸入口15の内径よりも僅かに大径に形成されている。一方、第1周壁部35aの内径は、弁体41の外径よりも小径に形成されている。また、弁座部材35には、弁孔35bと連通するばね室35cが形成されている。
【0034】
弁部材30は、ケース31と、スプール33とを有している。ケース31は、本発明における「頭部」の一例である。ケース31は、逆止弁7において最も上方、つまり、冷媒の流通方向の最も上流側に位置している。ケース31は樹脂製である。
図4に示すように、ケース31は、第2周壁部36を有している。第2周壁部36は、ケース31において、冷媒の流通方向の上流側から下流側まで延びており、ケース31の外周面を構成している。第2周壁部36の内周側には、貫通孔31aと環状溝31bとが形成されている。環状溝31bは、本発明における「係合部」の一例である。
【0035】
貫通孔31aは、第2周壁部36を冷媒の流通方向の上流側から下流側まで貫通している。貫通孔31aは、弁体41の中心線Cと同軸をなしている。貫通孔31aは、本体孔310aと、進入口310bとを有している。本体孔310aは、ケース31の上端に開口しており、ケース31の下方に向かって延びている。
図5に示すように、本体孔310aは、冷媒の流通方向に円柱状に延びている。
【0036】
一方、
図4に示すように、進入口310bはケース31の下端に開口している。進入口310bは、本体孔310aと同軸をなしている。進入口310bは冷媒の流通方向で本体孔310aに向かって延びており、本体孔310aと連通している。
図5に示すように、進入口310bは、冷媒の流通方向に略楕円の柱状に延びている。ここで、進入口310bは、本体孔310aよりも大径をなしている。
【0037】
進入口310bには、第1~4凹部311~314が形成されている。第1~4凹部311~314は、進入口310bの周方向に配置されている。第1~4凹部311~314は、略三角形状をなしている。
【0038】
これらの本体孔310a及び進入口310b、すなわち貫通孔31aが形成されることにより、ケース31は冷媒の流通方向に延びる円筒状をなしている。
図2及び
図3に示すように、ケース31は、吸入口15の内径よりも小径に形成されている。
【0039】
図4に示すように、環状溝31bは、貫通孔31aと同軸、ひいては中心線C同軸をなす円環状をなしている。具体的には、環状溝31bは、貫通孔31aから冷媒の流通方向に直交する方向に略コ字に凹設されており、第2周壁部36の内周側を周方向に一周している。つまり、環状溝31bは、第2周壁部36の内周側を凹条に延びており、本体孔310aに向かって開口している。ここで、環状溝31bは、凹条をなしているため、本体孔310aに向かっては開口しているものの、ケース31の上部及び下部、すなわち、冷媒の流通方向には開口していない。
【0040】
環状溝31bは、対向面315と、保持面316と、延在面317とを有している。対向面315は、冷媒の流通方向に延びており、環状溝31bの底部を構成している。保持面316は、対向面315よりも冷媒の流通方向の下流側に位置しており、対向面315と接続している。そして、保持面316は、ケース31の径方向で対向面315から離隔するように直線状に延びている。保持面316は、進入口310bにおける冷媒の流通方向の上端部分、つまり、進入口310bにおける環状溝31bとの接続部分を構成している。延在面317は、対向面315よりも冷媒の流通方向の上流側に位置しており、対向面315と接続している。そして、延在面317は、ケース31の径方向で対向面315から離隔するように直線状に延びている。延在面317は、対向面315を挟んで保持面316と対向している。
【0041】
図2及び
図3に示すように、スプール33は、逆止弁7において、冷媒の流通方向でケース31よりも下流側に位置している。
図6に示すように、スプール33は、弁体41と、第1柱体43と、第2柱体44と、第3柱体45と、第4柱体46と、延設部47とによって構成されている。第1~4柱体43~46は、本発明における「柱状部」の一例である。スプール33は樹脂製である。つまり、弁体41、第1~4柱体43~46及び延設部47は、いずれも樹脂製である。
【0042】
図2及び
図3に示すように、弁体41は、スプール33の下端に位置している。これにより、弁体41は、逆止弁7において、冷媒の流通方向で最も下流側に位置している。弁体41は、吸入口15の内径よりも小径の円盤状に形成されており、表面41aと裏面41bとを有している。表面41aは弁体41の上方に面している。裏面41bは、表面41aの反対側に位置しており、弁体41の下方に面している。
【0043】
また、弁体41には、中心線Cが規定されている。中心線Cは、弁体41の中心を通って弁体41の上下方向、すなわち冷媒の流通方向に直線状に延びている。さらに、表面41aの中心には、案内部41cが形成されている。案内部41cは、中心線Cと同軸をなしつつ、弁体41の上方、すなわちケース31に向かって上方に円錐状に隆起している。
【0044】
図6に示すように、第1~4柱体43~46は、弁体41に一体に形成されており、弁体41の周方向に等間隔で配置されている。これにより、第1~4柱体43~46は、中心線Cから弁体41の径方向に離隔しつつ、中心線Cを囲んでいる。
【0045】
図6に示すように、第1~4柱体43~46は、それぞれ本体部401と、薄肉部402と、第1接続部403と、
図2、
図3及び
図9に示す第2接続部404とを有している。なお、第2柱体44における薄肉部402については、図示を省略する。
【0046】
本体部401、薄肉部402及び第1接続部403の各形状を含め、第1~4柱体43~46は同一の形状である。以下、第1柱体43を基に本体部401、薄肉部402及び第1、2接続部403、404の各構成を説明する。
【0047】
本体部401は、スプール33の上下方向に直線状に延びている。また、
図9に示すように、本体部401は、冷媒の流通方向に直交する方向の断面の形状が略三角形状をなしている。つまり、本体部401は、冷媒の流通方向に延びる略三角形の柱状をなしている。ここで、第1~4柱体43~46が樹脂製であることから、本体部401、ひいては第1~4柱体43~46は、一定の剛性を有しつつも、弁体41の径方向に弾性変形することが可能となっている。
【0048】
また、
図6に示すように、本体部401には、傾斜面401aが形成されている。傾斜面401aは、本体部401における中心線C側に形成されており、中心線Cと対向している。傾斜面401aは、本体部401の上端から下方に向かうにつれて、すなわち本体部401における冷媒の流通方向の上流側から下流側に向かうにつれて、弁体41の径方向で中心線Cに近づくように傾斜している。また、傾斜面401aは、冷媒の流通方向の上流側から下流側に向かうにつれて、弁体41の周方向における長さ、つまり幅の長さが徐々に短くなっている。なお、本体部401において、傾斜面401aの形成を省略しても良い。
【0049】
薄肉部402は、本体部401において傾斜面401aの反対側となる個所に位置している。薄肉部402は、本体部401に対して冷媒の流通方向に延びる略楕円形状に凹設されることで本体部401に形成されている。このように薄肉部402が本体部401に形成されることにより、本体部401において薄肉部402が存在する個所は、薄肉部402が存在しない個所に比べて肉厚が薄くなっている。このため、本体部401、ひいては第1柱体43において、薄肉部402が存在する個所は、薄肉部402が存在しない個所に比べて剛性が低くなっている。なお、薄肉部402の形状は適宜設計可能である。
【0050】
第1接続部403は、本体部401と弁体41との間に位置している。第1接続部403は、本体部401の下端、つまり本体部401における冷媒の流通方向の下流側と接続しており、本体部401と一体をなしている。第1接続部403は、本体部401における冷媒の流通方向に直交する方向の断面の形状に倣った形状に形成されている。そして、第1接続部403は、冷媒の流通方向で弁体41に近づくにつれて、本体部401よりも大きく広がりながら弁体41の表面41aと接続している。
【0051】
図2、
図3及び
図9に示すように、第2接続部404は、本体部401と延設部47との間に位置している。第2接続部404は、本体部401の上端、つまり本体部401における冷媒の流通方向の上流側と接続しており、本体部401と一体をなしている。第2接続部404は、延設部47に近づくにつれて、本体部401よりも大きく広がりながら延設部47と接続している。なお、本体部401等の形状を含め、第1~4柱体43~46の形状は適宜設計可能である。
【0052】
図6に示すように、延設部47は、第1延設部47aと、第2延設部47bとによって構成されている。これらの第1延設部47a及び第2延設部47b、すなわち延設部47は、スプール33の上端に位置している。
【0053】
第1延設部47aは、第1柱体43及び第4柱体46の各上端と接続している。一方、第2延設部47bは、第2柱体44及び第3柱体45の各上端と接続している。こうして、第1延設部47aは、第1柱体43及び第4柱体46に一体化されており、第1柱体43と第4柱体46とを繋いでいる。また、第2延設部47bは、第2柱体44及び第3柱体45に一体化されており、第2柱体44及び第3柱体45とを繋いでいる。より具体的には、
図9に示すように、第1延設部47a及び第2延設部47bは、それぞれ第2接続部404を介して本体部401と接続している。
【0054】
第1延設部47a及び第2延設部47bは、ケース31の環状溝31b(
図4参照)に係合可能な肉厚で形成されている。これにより、冷媒の流通方向における第1延設部47a及び第2延設部47bの断面形状、つまり延設部47の断面形状は、
図2及び
図3に示すように、略矩形状をなしている。
【0055】
図6に示すように、第1延設部47aと第2延設部47bとは、弁体41の周方向に配置されている。第1延設部47a及び第2延設部47bは、中心線Cを挟んで互いに対向しており、それぞれ弁体41の周方向に延びている。ここで、第1延設部47a及び第2延設部47bにおける弁体41の周方向の長さは同一であり、それぞれ、弁体41を周方向に約半周する長さとなっている。これにより、第1延設部47a及び第2延設部47bは、第1~4柱体43~46の本体部401を含め、第1~4柱体43~46よりも弁体41の周方向に長く延びている。つまり、第1延設部47aは、第1、4柱体43、46よりも弁体41の周方向に長く延びており、第2延設部47bは、第2、3柱体44、45よりも弁体41の周方向に長く延びている。
【0056】
また、第1延設部47aは、第1、4柱体43、46よりも弁体41の径方向で弁体41の外側に向かって突出している。同様に、第2延設部47bは、第2、3柱体44、45よりも弁体41の径方向で弁体41の外側に向かって突出している。こうして、延設部47は、第1~4柱体43~46よりも弁体41の径方向で弁体41の外側に向かって突出する形状をなしている。
【0057】
そして、弁体41の周方向において、第1延設部47aと第2延設部47bとの間には、第1離隔部51aと、第2離隔部51bとが形成されている。第1離隔部51a及び第2離隔部51bは、第1延設部47aと第2延設部47bとを弁体41の周方向に分断している。つまり、第1延設部47aと第2延設部47bとは、弁体41の周方向に連続しておらず、互いに独立している。
【0058】
さらに、第1延設部47aと第2延設部47bとは、互いの間に空間部470を形成している。空間部470は、冷媒の流通方向に略円柱状に延びており、中心線Cと同軸をなしている。空間部470は、内部を冷媒が流通可能となっている。また、空間部470は、第1離隔部51a及び第2離隔部51bと連通している。
【0059】
このように、スプール33では、第1延設部47aと第2延設部47bとの間に第1、2離隔部51a、51b及び空間部470が形成され、かつ、第1延設部47a及び第2延設部47bが弁体41の周方向に約半周する長さで延びている。これにより、第1延設部47a及び第2延設部47bは、上面視で中心線Cを中心とする円弧状をなしている。つまり、第1延設部47a及び第2延設部47bによって構成される延設部47は、上面視で中心線Cを中心とする略円環状をなしている。
【0060】
スプール33では、
図7の白色矢印で示すように、弁体41の径方向で中心線Cに向かうように、第1~4柱体43~46の各本体部401を押圧することにより、各本体部401が弁体41の径方向で中心線Cに向かうように弾性変形する。これにより、第1延設部47a及び第2延設部47bは、それぞれ弁体41の径方向で中心線Cに近づきつつ互いに接近する。この際、第1離隔部51a及び第2離隔部51bは、第1延設部47aと第2延設部47bとが弁体41の径方向に接近する分だけ狭くなる。こうして、延設部47が弁体41の径方向に小さくなる。
【0061】
一方、弁体41の径方向で中心線Cに向かうように各本体部401が押圧されていない状態(以下、この状態を自然状態という。)では、
図5に示すように、第1延設部47a及び第2延設部47bは、それぞれ弁体41の径方向で最も遠ざかる。この結果、自然状態では、第1延設部47aと第2延設部47bとにおける弁体41の径方向の間隔が最大となる。このため、自然状態では、延設部47の外径が最大となる。
【0062】
ここで、この逆止弁7において、
図4に示す環状溝31bの内径は、自然状態における延設部47の外径の大きさよりも僅かに小径に形成されている。
【0063】
コイルばね37は、ケース31と、弁座部材35のばね室35cとの間に配置されている。コイルばね37は、ケース31と当接しているとともに、弁座部材35と当接している。これにより、コイルばね37は、自己の付勢力によって、ケース31と弁座部材35とを冷媒の流通方向に離隔させている。ここで、コイルばね37の付勢力は、逆止弁7が吸入口15を開放するために必要な冷媒の圧力に基づいて設定されている。
【0064】
ケース31と、スプール33と、弁座部材35と、コイルばね37と組み付けるに当たっては、スプール33の弁体41と、弁座部材35とを冷媒の流通方向で対向させつつ、弁孔35bに第1~4柱体43~46及び第1、2延設部47a、47bを挿通させる。また、この状態で、第1~4柱体43~46及び第1、2延設部47a、47bにコイルばね37を挿通しつつ、弁座部材35のばね室35c内にコイルばね37を配置する。
【0065】
さらに、弁座部材35及びスプール33と、ケース31とを冷媒の流通方向で対向させる。この際、ケース31では、進入口310bを第1、2延設部47a、47b及びばね室35cに対向させる。また、スプール33では、
図7の白色矢印で示すように、弁体41の径方向で中心線Cに向かうように、第1~4柱体43~46の各本体部401を押圧する。これにより、各本体部401を弁体41の径方向で中心線Cに向かうように弾性変形させて、第1延設部47aと第2延設部47bとを弁体41の径方向に接近させる。つまり、延設部47の外径を最大よりも小さくする。そして、この状態で
図7の黒色矢印で示すように、第1~4柱体43~46及び第1、2延設部47a、47bを進入口310b内に進入させる。
【0066】
そして、ケース31内において、第1、2延設部47a、47bが進入口310bを越えて環状溝31bに至ることにより、
図8に示すように、各本体部401の押圧を解除し、各本体部401を自然状態とする。このため、弁体41の径方向に接近した状態にある第1延設部47a及び第2延設部47bには、互いに弁体41の径方向に遠ざかって初期の状態に復元しようとする復元力が生じる。こうして、第1延設部47a及び第2延設部47bは、弁体41の径方向で環状溝31b内に進入しつつ、上記の復元力によって、弁体41の径方向、すなわち、冷媒の流通方向に直交する方向で環状溝31bと係合する。ここで、この逆止弁7では、第1延設部47a及び第2延設部47bと環状溝31bとが係合した状態で、これらの第1、2延設部47a、47b及び環状溝31bを接合していない。
【0067】
このように、第1、2延設部、47a、47bと、環状溝31bとが弁体41の径方向で係合することにより、環状溝31bでは、対向面315が第1、2延設部47a、47bと弁体41の径方向で対向しつつ当接する。つまり、対向面315は、第1、2延設部47a、47bと環状溝31bとが係合している間、第1、2延設部47a、47bの復元力、すなわち延設部47の復元力を受け続けることになる。また、保持面316及び延在面317は、第1延設部47a及び第2延設部47bと冷媒の流通方向で対向する。そして、保持面316は、第1延設部47a及び第2延設部47bと冷媒の流通方向で当接する。ここで、第1延設部47a及び第2延設部47bを弁体41の径方向で環状溝31bに進入させるに当たって、第1延設部47a及び第2延設部47bと環状溝31bとの間には、冷媒の流通方向にクリアランスが設けられている。このため、保持面316が第1延設部47a及び第2延設部47bと冷媒の流通方向で当接することにより、延在面317と、第1延設部47a及び第2延設部47bとの間には、冷媒の流通方向に僅かに隙間が生じる。
【0068】
このように、延設部47の復元力によって、第1延設部47a及び第2延設部47b、つまり延設部47と、環状溝31bとが弁体41の径方向で係合することにより、
図2及び
図3に示すように、弁部材30では、ケース31とスプール33とが冷媒の流通方向で一体化されている。また、弁座部材35は、ケース31と弁体41との間に配置されている。そして、コイルばね37は、ケース31とばね室35cとの間に配置されることにより、ケース31と弁座部材35とに当接している。こうして、弁部材30と、弁座部材35と、コイルばね37とが組み付けられて逆止弁7が完成する。
【0069】
ここで、
図9に示すように、ケース31において、進入口310bには、第1~4凹部311~314が設けられている。このため、逆止弁7では、ケース31とスプール33とを一体化させた際に、各第2接続部404を含め、第1~4柱体43~46とケース31とが干渉することが防止されている。
【0070】
そして、逆止弁7を圧縮機に組み付けるに当たっては、吸入口15における冷媒の流通方向の下流側、つまり、吸入室19側に弁体41の裏面41bを向けた状態としつつ、逆止弁7を冷媒の流通方向で吸入口15の内部に進入させる。そして、図示しない治具を用いて弁座部材35を吸入口15に圧入することにより、逆止弁7を吸入口15の内壁、つまり、第2ハウジング13に固定する。こうして、圧縮機に逆止弁7が組み付けられる。なお、図示を省略するものの、ケース31の第2周壁部36には、弁座部材35を吸入口15に圧入するに当たって、吸入口15と第2周壁部36との間に治具を進入させるための切欠き部が形成されている。
【0071】
ここで、
図2に示すように、この逆止弁7では、コイルばね37の付勢力によって、ケース31が冷媒の流通方向で弁座部材35から離隔する。この際、ケース31とスプール33とが一体化されているため、ケース31が冷媒の流通方向で弁座部材35から離隔することにより、スプール33では、弁体41が冷媒の流通方向で弁座部材35に接近する。反対に、コイルばね37の付勢力に抗してケース31が冷媒の流通方向で弁座部材35に接近すれば、弁体41は冷媒の流通方向で弁座部材35から離隔する。
【0072】
以上のように構成されたこの圧縮機では、
図2に示すように、吸入口15の内部において逆止弁7では、上記のように、コイルばね37の付勢力によってケース31が冷媒の流通方向で弁座部材35から離隔する。これにより、スプール33では、弁体41が冷媒の流通方向で弁座部材35の弁孔35bに接近する。この際、案内部41cは弁孔35b内に進入する。そして、弁体41の表面41aが弁座部材35に当接することにより、弁体41が弁孔35bを閉塞する。この結果、逆止弁7は、吸入口15の内部で吸入口15を閉塞し、配管21と吸入室19とを非連通とする。これにより、この圧縮機では、圧縮機構5の作動が停止している場合を含め、吸入口15の内部に存在する冷媒の圧力がコイルばね37の付勢力を下回っている状態では、冷媒が吸入室19へ向かって流通することが不可能となる。また、このように、弁体41が弁孔35bを閉塞している状態では、吸入室19内に存在する冷媒が配管21に向かって吸入口15の内部を流通することも不可能となる。こうして、この圧縮機では、圧縮機構5の作動が停止している際に、吸入室19から蒸発器101への冷媒の逆流を防止することができる。
【0073】
一方、この圧縮機では、圧縮機構5が作動することにより、配管21から吸入口15の内部に冷媒が流入し、この冷媒が吸入室19に向かって吸入口15の内部を流通し始める。これにより、吸入口15の内部を流通する冷媒は、ケース31の貫通孔31a、延設部47の空間部470及び弁座部材35の弁孔35bを流通しつつ、弁体41と弁孔35bとを離隔させるように弁体41を押圧する。そして、吸入口15の内部を流通する冷媒の流量が増大し、冷媒の圧力がコイルばね37の付勢力を上回ることにより、
図3に示すように、逆止弁7では、ケース31がコイルばね37の付勢力に抗しつつ、冷媒の流通方向で弁座部材35に接近する。これにより、スプール33では、弁体41が冷媒の流通方向で弁座部材35から離隔する。つまり、弁体41の表面41aが弁孔35bから離隔する。この際、弁体41は吸入室19内に進入する。
【0074】
このように、弁体41の表面41aが弁孔35bから離隔することにより、弁体41が吸入口15を開放し始める。こうして、吸入口15の内部において、逆止弁7は配管21と吸入室19とを連通させる。これにより、吸入口15の内部を流通する冷媒は、ケース31の貫通孔31a内、延設部47の空間部470及び弁座部材35の弁孔35b内を流通しつつ、第1~4柱体43~46の間を経て、吸入室19まで流通することになる。より詳細には、弁孔35bを経た冷媒は、弁体41の案内部41cによって、弁体41の径方向の外側に向けて案内されつつ、弁座部材35及び弁体41と、第1~4柱体43~46との間を流通する。
【0075】
そして、吸入口15の内部を流通する冷媒の流量がさらに増大し、冷媒の圧力が増大することにより、弁体41の表面41aが弁孔35bからより遠くに離隔する。このため、逆止弁7は、吸入口15をより大きく開放するため、吸入室19に流通する冷媒の流量が増大する。こうして、この圧縮機では、圧縮機構5が吸入室19内の冷媒を吸入しつつ圧縮する。また、圧縮機構5は、圧縮した冷媒を吐出室から吐出口17を通じて配管22、ひいては凝縮器102に吐出する。
【0076】
ここで、圧縮機において圧縮機構5の作動と停止とが繰り返し行われることにより、逆止弁7では、吸入口15の内部において、ケース31及びスプール33が繰り返し冷媒の流通方向に移動する。また、吸入口15の内部を流通する冷媒によって、スプール33では、弁体41が冷媒の流通方向に繰り返し押圧される。これらのため、第1、2延設部47a、47bと、環状溝31bとに対しては、冷媒の流通方向に負荷が繰り返し作用することになる。
【0077】
この点、この逆止弁7では、第1延設部47aが第1柱体43と第4柱体46とを繋ぐように円弧状延びている。同様に、第2延設部47bが第2柱体44と第3柱体45とを繋ぐように円弧状延びている。つまり、延設部47は、環状溝31bの周方向において第1~4柱体43~46のそれぞれよりも長く延びている。これにより、延設部47は、環状溝31bの周方向に長い範囲において、環状溝31bと係合している。このように、この逆止弁7では、延設部47と環状溝31bとが係合する範囲を十分な大きさで確保することが可能となっている。
【0078】
さらに、この逆止弁7では、自然状態における延設部47の外径よりも、環状溝31bの内径が小径となっている。このため、第1、2延設部47a、47bと、環状溝31bとが弁体41の径方向に係合することにより、
図8の白色矢印で示すように、環状溝31bの対向面315は、第1、2延設部47a、47bと当接しつつ、第1、2延設部47a、47bを弁体41の径方向で中心線Cに向けて押圧する。これに対し、第1、2延設部47a、47bには、弁体41の径方向で中心線Cから離れるように、つまり自然状態に復帰するように反力が作用する。このため、逆止弁7では、第1、2延設部47a、47bと、対向面315とが当接した状態が好適に維持されることから、第1、2延設部47a、47bと、環状溝31bとの係合が好適に維持されるようになっている。換言すれば、逆止弁7では、対向面315が延設部47の復元力を受ける状態が好適に維持されるようになっている。
【0079】
これらにより、この逆止弁7では、第1、2延設部47a、47bと環状溝31bとに対して冷媒の流通方向に負荷が繰り返し作用しても、第1、2延設部47a、47bと環状溝31bとの係合が解除され難くなっている。
【0080】
また、この逆止弁7では、たとえ吸入口15の内部を想定よりも高圧の冷媒が配管21側から吸入室19に向かって流通し、弁体41に対して冷媒の流通方向に大きな荷重が作用した場合であっても、第1、2延設部47a、47bと環状溝31bとの係合が解除され難くなっている。こうして、この逆止弁7では、ケース31とスプール33とが分離し難くなっている。
【0081】
したがって、逆止弁7を備えた実施例1の圧縮機は、耐久性に優れている。
【0082】
特に、この逆止弁では、第1、2延設部47a、47bが自己の復元力によって環状溝31に係合するため、第1、2延設部47a、47bと環状溝31bとの係合を補強するに当たって、第1、2延設部47a、47bと環状溝31bとを必ずしも接合する必要がない。このため、この逆止弁では、ケース31とスプール33との組み付けを容易化することが可能となっている。
【0083】
また、逆止弁7では、スプール33が第1~4柱体43~46を有している。このため、これらの第1~4柱体43~46によって、スプール33、ひいては逆止弁7の剛性を好適に確保することが可能となっている。また、逆止弁7の剛性を確保しつつ、第1~4柱体43~46をそれぞれ可及的に細く形成することができるため、吸入室19に向かって流通する冷媒が第1~4柱体43~46に衝突し難くなっている。このため、この逆止弁7では、冷媒の圧力損失を抑制することも可能となっている。
【0084】
さらに、この逆止弁7では、第1、2延設部47a、47bと、環状溝31bとが弁体41の径方向で係合することにより、環状溝31bの保持面316が第1、2延設部47a、47bと冷媒の流通方向で当接する。これにより、この逆止弁7では、第1、2延設部47a、47bが環状溝31bから冷媒の流通方向に抜けることを防止しつつ、第1、2延設部47a、47bと、環状溝31bとを強固に係合させることが可能となっている。
【0085】
また、第1~4柱体43~46は、それぞれ薄肉部402を有しているため、第1~4柱体43~46の剛性を確保しつつも、第1、2延設部47a、47bと環状溝31bとを係合するに当たって、第1~4柱体43~46を好適に弾性変形させることが可能となっている。
【0086】
さらに、逆止弁7では、延設部47が第1延設部47aと第2延設部47bとによって構成されている。このため、上記のように、延設部47と環状溝31bとが係合する範囲を十分な大きさで確保しつつも、第1、2延設部47a、47bを環状溝31bに進入させ易くなっている。
【0087】
また、第1延設部47aと第2延設部47bとは、弁体41の周方向における長さが等しくなっているため、第1、2延設部47a、47bの形成も容易となっている。
【0088】
さらに、環状溝31bは、ケース31の周方向に一周しているため、第1延設部47a及び第2延設部47bに対応して、ケース31に2つの環状溝31bを形成する場合に比べて、環状溝31bの形成も容易となっている。また、第1、2延設部47a、47bと環状溝31bとを係合するに当たって、第1、2延設部47a、47bと環状溝31bとの位置決めも容易となっている。このため、この逆止弁7では、第1、2延設部47a、47bと環状溝31bとを容易に係合させることが可能となっている。
【0089】
また、弁体41の表面41aには、円錐状に隆起する案内部41cが形成されている。これにより、この逆止弁7では、弁孔35bを経た冷媒を案内部41cによって、弁体41の径方向の外側に好適に案内することが可能となっている。この点においても、この逆止弁7では、吸入室19に向かって流通する冷媒が第1~4柱体43~46に衝突し難くなっている。
【0090】
(実施例2)
実施例2の圧縮機では、逆止弁7に換えて
図10に示す逆止弁8を採用している。逆止弁8も逆止弁7と同様、吸入口15の内部に設けられている。逆止弁8は、弁部材60を備えている他、逆止弁7と同様に、弁座部材35及びコイルばね37を備えている。
【0091】
弁部材60は、ケース61とスプール33とを有している。ケース61も本発明における「頭部」の一例である。ケース61は、逆止弁8において最も上方、つまり、冷媒の流通方向の最も上流側に位置している。ケース61は樹脂製である。
図11及び
図12に示すように、ケース61は、第2周壁部63を有している。第2周壁部63は、ケース61において、冷媒の流通方向の上流側から下流側まで延びており、ケース61の外周面を構成している。
【0092】
第2周壁部63の内周側には、貫通孔61aと係合部61bとが形成されている。貫通孔61aは、第2周壁部63を冷媒の流通方向の上流側から下流側まで貫通している。逆止弁7における貫通孔31aと同様、貫通孔61aは、中心線Cと同軸をなしている。
【0093】
係合部61bは、貫通孔61aと同軸、ひいては中心線Cと同軸で貫通孔61aに延びている。係合部61bは、貫通孔61aよりも大径をなしており、貫通孔61aの外周側に位置して貫通孔61aと連通している。
【0094】
係合部61bは、対向部位611と、突出部位612とを有している。対向部位611は、貫通孔61aと同軸で冷媒の流通方向に延びており、貫通孔61aの外周側から貫通孔61aに臨んでいる。突出部位612は、対向部位611の下端と接続しており、ケース61の径方向で対向部位611から離隔するように直線状に延びている。つまり、対向部位611は、ケース61とスプール33とが組み付けられた際、スプール33の第1~4柱体43~46に向かって突出するように延びている。こうして、突出部位612は、係合部61bにおける冷媒の流通方向の下端部分を構成している。なお、ケース61とスプール33との組み付けについては後述する。
【0095】
また、
図11に示すように、第2周壁部63の外周側、すなわち、ケース61の外周面には、組付口65が形成されている。組付口65は、第2周壁部63の外周面を下端から上方に向かって凹形状に切り欠くことで形成されている。これにより、組付口65は、第2周壁部63の上端までは達していない。また、組付口65は、第2周壁部63の周方向に延びつつ、第2周壁部63を径方向に貫通している。これにより、組付口65は、第2周壁部63の径方向で係合部61b及び貫通孔61aと連通している。換言すれば、組付口65は、第2周壁部63を径方向に貫通することにより、対向部位611及び突出部位612と連通しつつ、対向部位611及び突出部位612をそれぞれ2つに分断している。
【0096】
より具体的には、組付口65は、第2周壁部63の下端から上方に向かって直線状に延びた後、さらに上方に向かうにつれて、第2周壁部63の周方向の長さが短くなる略台形をなしている。組付口65は、スプール33において、第1~4柱体43~46が押圧されている際には、第1、2延設部47a、47b及び第1~4柱体43~46が進入及び脱出可能となっている一方、第1~4柱体43~46、ひいてはスプール33が自然状態にある際には、第1、2延設部47a、47b及び第1~4柱体43~46が進入及び脱出不可能な大きさに設計されている。なお、組付口65は、第2周壁部63の外周側に形成されて対向部位611及び突出部位612と連通し、かつ、第1、2延設部47a、47b及び第1~4柱体43~46が進入可能であれば、他の形状に形成されても良い。
【0097】
また、ケース61の上端には、第1抜け止め部67a及び第2抜け止め部67bが形成されている。第1抜け止め部67aと第2抜け止め部67bとは、中心線Cを挟んで対向している。これらの第1抜け止め部67a及び第2抜け止め部67bが形成されることにより、貫通孔61aの上端は、貫通孔61aの下端に比べて開口面積が小さくなっている。なお、第1抜け止め部67a及び第2抜け止め部67bの形成を省略しても良い。
【0098】
さらに、図示を省略するものの、第2周壁部63に対しても、弁座部材35を吸入口15に圧入するに当たって、吸入口15と第2周壁部36との間に治具を進入させるための切欠き部が形成されている。
【0099】
逆止弁8において、ケース61と、スプール33と、弁座部材35と、コイルばね37と組み付けるに当たっては、逆止弁7と同様、スプール33の弁体41と、弁座部材35とを冷媒の流通方向で対向させつつ、弁孔35bに第1~4柱体43~46及び第1、2延設部47a、47bを挿通させる(
図10参照)。さらに、弁座部材35のばね室35c内にコイルばね37を配置する。
【0100】
この状態において、
図13に示すように、スプール33の上方、すなわち、スプール33に対して冷媒の流通方向の上流側にケース61を配置する。そして、
図13の白色矢印で示すように、弁体41の径方向で中心線Cに向かうように第1~4柱体43~46の各本体部401を押圧しつつ、第1延設部47aと第2延設部47bとを弁体41の径方向に接近させる。そして、各本体部401を押圧した状態を維持しつつ、
図13の黒色矢印で示すように、第1、2延設部47a、47bを第2周壁部63の径方向から組付口65内に進入させるとともに、第1~4柱体43~46の一部、つまり、第1~4柱体43~46における冷媒の流通方向の上流側を第2周壁部63の径方向から組付口65内に進入させる。なお、
図13では、説明を容易にするため、コイルばね37の図示を省略している。後述する
図14についても同様である。
【0101】
そして、第1、2延設部47a、47bの全体が貫通孔61a内に進入することにより、各本体部401に対する押圧を解除し、第1~4柱体43~46を自然状態に復帰させる。これにより、第1延設部47aと第2延設部47bとが弁体41の径方向に遠ざかる。このため、
図10及び
図14に示すように、第1延設部47a及び第2延設部47bが弁体41の径方向、すなわち、第2周壁部63の径方向で係合部61bの対向部位611に接近して当接する。こうして、逆止弁8においても、延設部47の復元力によって、第1延設部47a及び第2延設部47bが第2周壁部63の径方向で係合部61bと係合する。ここで、このように第1、2延設部47a、47bと、係合部61bとが係合した状態において、組付口65は、第1、2延設部47a、47bの一部及び第1~4柱体43~46の一部をケース61の外部に露出させている。なお、この逆止弁8においても、第1、2延設部47a、47bと係合部61bとが係合した状態で、第1、2延設部47a、47bと係合部61bとを接合していない。
【0102】
このように、第1、2延設部47a、47bと係合部61bとが係合している間、対向部位611は、第1、2延設部47a、47bと当接し続けるため、延設部47の復元力を受け続けることになる。一方、突出部位612は、第1延設部47a及び第2延設部47bと冷媒の流通方向で対向しつつ当接する。
【0103】
さらに、
図14に示すように、第1抜け止め部67a及び第2抜け止め部67bが第1延設部47a及び第2延設部47bと冷媒の流通方向で対向しつつ、第1延設部47a及び第2延設部47bの一部を冷媒の流通方向の上流側から覆う状態となる。ここで、第1抜け止め部67a及び第2抜け止め部67bと、第1延設部47a及び第2延設部47bとの間には、冷媒の流通方向にクリアランスが設けられている。このため、保持面316が第1延設部47a及び第2延設部47bと冷媒の流通方向で当接した状態において、第1抜け止め部67a及び第2抜け止め部67bと、第1延設部47a及び第2延設部47bとの間には、冷媒の流通方向に僅かに隙間が生じている。
【0104】
このように、第1延設部47a及び第2延設部47b、つまり延設部47と、係合部61bとが係合することにより、弁部材60では、ケース61とスプール33とが冷媒の流通方向で一体化されている。また、
図10に示すように、弁座部材35は、ケース61と弁体41との間に配置されている。そして、コイルばね37は、ケース61とばね室35cとの間に配置されることにより、ケース61と弁座部材35とに当接している。こうして、弁部材60と、弁座部材35と、コイルばね37とが組み付けられて逆止弁8が完成する。ケース61を除いた逆止弁8における他の構成を含め、実施例2の圧縮機における他の構成は、実施例1の圧縮機と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0105】
逆止弁8についても、実施例1の圧縮機における逆止弁7と同様に、弁座部材35が吸入口15に圧入されることで、圧縮機に組み付けられる。これにより、吸入口15内で逆止弁8が逆止弁7と同様に作動する。こうして、この圧縮機においても、圧縮機構5の作動が停止している際に、吸入室19から蒸発器101への冷媒の逆流を防止することが可能となっている。
【0106】
ここで、逆止弁8では、ケース61において、第2周壁部63の外周側に組付口65が形成されている。そして、逆止弁8では、スプール33とケース61とを組み付けるに当たって、組付口65を通じて、第1、2延設部47a、47b及び第1~4柱体43~46における冷媒の流通方向の上流側を第2周壁部63の径方向から係合部61b内に進入させつつ、第1、2延設部47a、47bと、係合部61bとを係合させている。そして、係合部61bでは、突出部位612が第1~4柱体43~46に向かって突出している。
【0107】
これにより、逆止弁7のように、ケース31の下端から冷媒の流通方向で第1、2延設部47a、47bを貫通孔31a内に進入させる構成に比べて、ケース61では、冷媒の流通方向における下方側の肉厚を好適に確保することが可能となっている。このため、逆止弁8では、第2周壁部63に組付口65が形成されていても、ケース61の剛性を十分に高くすることが可能となっている。また、突出部位612は、第1、2延設部47a、47bの下方に位置しつつ、第1、2延設部47a、47bと冷媒の流通方向で当接する。これにより、突出部位612は、第1、2延設部47a、47bがケース61の下方から抜け落ちることを防止している。これらにより、逆止弁8では、第1、2延設部47a、47bと係合部61bとが係合した状態を好適に保持することが可能となっている。この結果、逆止弁8では、スプール33とケース61とを強固に組み付けることが可能となっている。
【0108】
さらに、組付口65を通じて、第1、2延設部47a、47b及び第1~4柱体43~46における冷媒の流通方向の上流側を貫通孔61a内に進入させることにより、第1、2延設部47a、47bを係合部61bに進入させ易くなっている。このため、この逆止弁8では、第1、2延設部47a、47bと係合部61bとの係合も容易となっている。逆止弁8における他の作用は、逆止弁7と同様である。
【0109】
以上において、本発明を実施例1、2 に即して説明したが、本発明は上記実施例1、2に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0110】
例えば、実施例1の圧縮機では、吸入口15の内部に逆止弁7を設けているが、これに限らず、吐出口17の内部に逆止弁7を設けても良い。この場合、吐出口17の内部において逆止弁7は、吐出室側にケース31を向けるとともに、配管22側に弁体41を向けた状態で配置される。また、吸入口15の内部及び吐出口17の内部にそれぞれ逆止弁7を設けても良い。実施例2の圧縮機についても同様である。
【0111】
また、逆止弁7では、延設部47と環状溝31bとを弁体41の径方向、つまり、冷媒の流通方向に直交する方向で係合させている。しかし、これに限らず、延設部47と環状溝31bとが係合する方向は、冷媒の流通方向に交差する方向であれば良い。逆止弁8についても同様である。
【0112】
さらに、逆止弁7では、スプール33が第1~4柱体43~46の4本の柱体を有しているが、これに限らず、柱体の本数は適宜設計可能である。逆止弁8についても同様である。
【0113】
また、逆止弁7において、第1、2延設部47a、47bと環状溝31bとを弁体41の径方向に係合させつつ、第1、2延設部47a、47b及び環状溝31bを接合しても良い。逆止弁8についても同様である。
【0114】
さらに、逆止弁7、8において、第1延設部47aと第2延設部47bとは、弁体41の周方向における長さが異なっていても良い。
【0115】
また、逆止弁7、8では、スプール33が第1、2延設部47a、47bを有しているが、これに限らず、スプール33は、第1、2延設部47a、47bに加えて他の延設部を有していても良い。
【0116】
さらに、逆止弁7、8において、第1延設部47aのみが第1~4柱体43~46に接続される構成、つまり、延設部47が1つである構成としても良い。この場合、第1延設部47aは、空間部470と第1離隔部51aとによって、上面視で略C字状となる形状に形成することができる他、上面視で略O字状となる形状に形成することができる。
【0117】
また、逆止弁7、8では、弁体41が円盤状に形成されているが、これに限らず、弁体41は、吸入口15内で弁座部材35の弁孔35bを開閉可能であれば、他の形状であっても良い。
【0118】
さらに、逆止弁7では、第2周壁部36の周方向に一周する環状溝31bを本発明における「係合部」としている。しかし、これに限らず、第2周壁部36の内周側を第2周壁部36の周方向一周することなく円弧状に延びる溝を形成し、この溝を本発明における「係合部」としても良い。
【0119】
また、逆止弁8では、ケース61において、組付口65を第2周壁部63の径方向に貫通させて形成している。しかし、これに限らず、組付口65を第2周壁部63の径方向に貫通させずに形成しても良い。
【0120】
さらに、実施例1、2では、本発明における流体として冷媒を挙げているが、これに限らず、流体は、燃料電池へ圧送するための空気や水素等であっても良い。つまり、本発明の逆止弁は、燃料電池の水素ポンプ等に採用されても良い。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明は圧縮機及び水素ポンプ等に利用可能である。
【符号の説明】
【0122】
7…逆止弁
8…逆止弁
30…弁部材
31…ケース(頭部)
31a…貫通孔
31b…環状溝(係合部)
35…弁座部材
36…第2周壁部
37…コイルばね(付勢部材)
41…弁体
43~46…第1~4柱体(柱状部)
47…延設部
47a…第1延設部
47b…第2延設部
60…弁部材
61…ケース(頭部)
61a…貫通孔
61b…係合部
63…第2周壁部
65…組付口
611…対向部位
612…突出部位