(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022103047
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】衝撃力がない角又は側辺で接触するダイボンディング方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/52 20060101AFI20220630BHJP
H01L 25/065 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
H01L21/52 C
H01L25/08 Z
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021165878
(22)【出願日】2021-10-08
(31)【優先権主張番号】63/130,617
(32)【優先日】2020-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515086986
【氏名又は名称】梭特科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】盧▲彦▼豪
【テーマコード(参考)】
5F047
【Fターム(参考)】
5F047FA08
5F047FA90
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ダイを基板に固定するための衝撃力がない角又は側辺で接触するダイボンディング方法を提供する。
【解決手段】方法は、ダイボンディング装置によって表面にはんだボール及び銅ピラーを有しないダイをピックアップする工程と、ダイを表面にはんだボール及び銅ピラーを有しない基板のダイ配置エリアの一側に移動させる工程と、正圧をダイの角又は側辺に吹き付けることにより、ダイの角又は側辺を撓み変形させてダイ配置エリアに接触させる工程と、ダイの角又は側辺がダイ配置エリアに接触した後、ダイの角からその対角又は側辺からその相対側に向かって拡大するボンディングウェーブを形成することで、ダイを徐々にダイボンディング装置から離脱させてダイ配置エリアに固定させる工程と、ダイを完全にダイ配置エリアに固定させる工程と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程(a)~(e)を含むことを特徴とする、衝撃力がない角又は側辺で接触するダイボンディング方法。
(a)ダイボンディング装置によって表面にはんだボール及び銅ピラーを有しないダイをピックアップする工程、
(b)前記ダイボンディング装置によって前記ダイを表面にはんだボール及び銅ピラーを有しない基板のダイ配置エリアの一側に移動させる工程と、
(c)前記ダイボンディング装置が正圧を前記ダイの1つの角又は1つの側辺に吹き付けることにより、前記ダイの前記角又は前記側辺を撓み変形させて前記ダイ配置エリアに接触させる工程、
(d)前記ダイの前記角又は前記側辺が前記ダイ配置エリアに接触した後、前記ダイの前記角からその対角又は前記側辺からその相対側に向かって拡大するボンディングウェーブを形成することで、前記ダイを徐々に前記ダイボンディング装置から離脱させて前記ダイ配置エリアに固定させる工程、
(e)前記ダイを完全に前記ダイ配置エリアに固定させる工程。
【請求項2】
前記工程(a)において、前記ダイボンディング装置の1つの角又は1つの側辺及びその他の部分が負圧によって前記ダイの前記角又は前記側辺及びその他の部分を吸着することにより、前記ダイを固定してピックアップし、
前記工程(b)において、前記ダイボンディング装置の前記角又は前記側辺及びその他の部分が続けて負圧によって前記ダイの前記角又は前記側辺及びその他の部分を吸着することにより、前記ダイを固定し、
前記工程(c)において、前記ダイボンディング装置の前記角又は前記側辺は、前記負圧によって前記ダイの前記角又は前記側辺を吸着することから、前記正圧を前記ダイの前記角又は前記側辺に吹き付けることに切り替えて、前記ダイボンディング装置の他の部分は、依然として前記負圧によって前記ダイの他の部分を吸着し、
前記工程(d)において、前記ダイボンディング装置の前記角からその対角までの順で、前記負圧によって前記ダイの前記角からその対角までの部分を吸着することから、前記正圧を前記ダイの前記角からその対角までの部分に吹き付けることに切り替えて、又は
前記ダイボンディング装置の前記側辺からその相対側までの順で、前記負圧によって前記ダイの前記側辺からその相対側までの部分を吸着することから、前記正圧を前記ダイの前記側辺からその相対側までの部分に吹き付けることに切り替えて、
それによって、前記正圧を前記ダイの前記角からその対角まで又は前記ダイの前記側辺からその相対側までに順に吹き付け、圧力差の波動を生じ、
前記圧力差の波動により、前記ダイの前記角又は前記側辺が前記ダイ配置エリアに接触した後、前記ボンディングウェーブが形成され、前記ダイの前記角からその対角又は前記側辺からその相対側に向かって拡大するように前記ボンディングウェーブを導く、前記ダイを徐々に前記ダイボンディング装置から離脱させて前記ダイ配置エリアに固定させることを特徴とする、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ダイボンディング装置は、複数の通気孔を有し、
前記複数の通気孔は、真空装置及び気体供給装置に接続され、
前記真空装置は、前記複数の通気孔を吸引することによって真空状態にして前記負圧を生じ、前記負圧が前記複数の通気孔を介して前記ダイを吸着し、
前記気体供給装置が前記通気孔に気体を供給することにより、気流を生じて前記正圧を生じ、前記正圧を前記複数の通気孔を介して前記ダイに吹き付けることを特徴とする、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ダイボンディング装置は、2つの通気孔を有し、
前記2つの通気孔は、それぞれ前記ダイボンディング装置の底面の対角となる2つの角を貫通することを特徴とする、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ダイボンディング装置は、4つの通気孔を有し、
前記4つの通気孔は、それぞれ前記ダイボンディング装置の底面の4つの角を貫通することを特徴とする、
請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記ダイボンディング装置は、6つの通気孔を有し、
前記6つの通気孔の4つは、それぞれ前記ダイボンディング装置の底面の4つの角を貫通し、
前記6つの通気孔の他の2つは、それぞれ前記ダイボンディング装置の底面の対面する2つの側辺を貫通し、前記底面の4つの角の中の2つの角の間に位置することを特徴とする、
請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記ダイボンディング装置は、9つの通気孔を有し、
前記9つの通気孔の4つは、それぞれ前記ダイボンディング装置の底面の4つの角を貫通し、
前記9つの通気孔の他の4つは、それぞれ前記ダイボンディング装置の底面の4つの側辺を貫通し、かつ、前記底面の4つの角の間に位置し、
前記9つの通気孔の残りの1つは、前記ダイボンディング装置の底面の中心を貫通することを特徴とする、
請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記ダイボンディング装置の底面には、凹溝が形成されており、
前記凹溝は、面積が前記ダイの面積より小さく、前記複数の通気孔に連通することを特徴とする、
請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記ダイボンディング装置の底面には、凹溝が形成されており、かつ、複数のバンプが突設されており、
前記複数のバンプは、前記凹溝に位置し、かつ前記ダイボンディング装置の底面と同じ平面に位置することを特徴とする、
請求項3に記載の方法。
【請求項10】
前記工程(a)において、載置装置の第1表面には、複数のダイを有し、前記ダイボンディング装置が前記載置装置から前記複数のダイの1つをピックアップし、
前記工程(b)において、前記ダイボンディング装置が前記載置装置の一側から前記基板の一側に移動して第1の位置に位置し、さらに前記第1の位置から前記基板に移動して第2の位置に止まり、
前記ダイボンディング装置が前記第2の位置に位置する時に、前記ダイと前記基板との間には、前記ダイが前記基板に接触した後にボンディングウェーブを生成するための間隔があることを特徴とする、
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
以下の工程(a)~(e)を有することを特徴とする、衝撃力がない角又は側辺で接触するダイボンディング方法。
(a)ダイボンディング装置によって表面にはんだボール及び銅ピラーを有しないダイをピックアップする工程、
(b)前記ダイボンディング装置によって前記ダイを表面にはんだボール及び銅ピラーを有しない基板のダイ配置エリアの一側に移動させる工程、
(c)前記ダイボンディング装置が正圧を前記ダイの1つの角又は1つの側辺に吹き付けることにより、前記ダイの前記角又は前記側辺を撓み変形させて前記ダイ配置エリアに接触させる工程、
(d)前記ダイの前記角又は前記側辺が前記ダイ配置エリアに接触した後、前記ダイの前記角からその対角又は前記側辺からその相対側に向かって拡大するボンディングウェーブを形成し、そして、前記正圧を徐々に弱くしていき、さらに負圧に切り替えることで、前記ダイを徐々に前記ダイボンディング装置から離脱させて前記ダイ配置エリアに固定させる工程、
(e)前記ダイを完全に前記ダイ配置エリアに固定させる工程。
【請求項12】
前記工程(a)において、前記ダイボンディング装置の1つの角又は1つの側辺及びその他の部分が負圧によって前記ダイの前記角又は前記側辺及びその他の部分を吸着することにより、前記ダイを固定してピックアップし、
前記工程(b)において、前記ダイボンディング装置の前記角又は前記側辺及びその他の部分が続けて負圧によって前記ダイの前記角又は前記側辺及びその他の部分を吸着することにより、前記ダイを固定し、
前記工程(c)において、前記ダイボンディング装置の前記角又は前記側辺は、前記負圧によって前記ダイの前記角又は前記側辺を吸着することから、前記正圧を前記ダイの前記角又は前記側辺に吹き付けることに切り替えて、前記ダイボンディング装置の他の部分は、依然として前記負圧によって前記ダイの他の部分を吸着し、
前記工程(d)において、前記ダイボンディング装置の前記角からその対角までの順で、前記負圧によって前記ダイの前記角からその対角までの部分を吸着することから、前記正圧を前記ダイの前記角からその対角までの部分に吹き付けることに切り替えて、又は
前記ダイボンディング装置の前記側辺からその相対側までの順で、前記負圧によって前記ダイの前記側辺からその相対側までの部分を吸着することから、前記正圧を前記ダイの前記側辺からその相対側までの部分に吹き付けることに切り替えて、
それによって、前記正圧を前記ダイの前記角からその対角まで又は前記ダイの前記側辺からその相対側までに順に吹き付け、圧力差の波動を生じ、
前記圧力差の波動により、前記ダイの前記角又は前記側辺が前記ダイ配置エリアに接触した後、前記ボンディングウェーブが形成され、前記ダイの前記角からその対角又は前記側辺からその相対側に向かって拡大するように前記ボンディングウェーブを導く、
そして、前記ダイボンディング装置の前記角からその対角までの部分に生じた前記正圧を、前記ダイの前記角からその対角までの順に徐々に弱くしていき、さらに前記負圧に切り替えること、又は、前記ダイボンディング装置の前記側辺からその相対側までの部分に生じた前記正圧を、前記ダイの前記側辺からその相対側までの順に徐々に弱くしていき、さらに前記負圧に切り替えることにより、前記ダイを徐々に前記ダイボンディング装置から離脱させて前記ダイ配置エリアに固定させることを特徴とする、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ダイボンディング装置は、複数の通気孔を有し、
前記複数の通気孔は、真空装置及び気体供給装置に接続され、
前記真空装置は、前記複数の通気孔を吸引することによって真空状態にして前記負圧を生じ、前記負圧が前記複数の通気孔を介して前記ダイを吸着し、
前記気体供給装置が前記複数の通気孔に気体を供給することにより、気流を生じて前記正圧を生じ、前記正圧を前記複数の通気孔を介して前記ダイに吹き付けることを特徴とする、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ダイボンディング装置は、2つの通気孔を有し、
前記2つの通気孔は、それぞれ前記ダイボンディング装置の底面の対角となる2つの角を貫通することを特徴とする、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ダイボンディング装置は、4つの通気孔を有し、
前記4つの通気孔は、それぞれ前記ダイボンディング装置の底面の4つの角を貫通することを特徴とする、
請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記ダイボンディング装置は、6つの通気孔を有し、
前記6つの通気孔の4つは、それぞれ前記ダイボンディング装置の底面の4つの角を貫通し、
前記6つの通気孔の他の2つは、それぞれ前記ダイボンディング装置の底面の対面する2つの側辺を貫通し、前記底面の4つの角の中の2つの角の間に位置することを特徴とする、
請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記ダイボンディング装置は、9つの通気孔を有し、
前記9つの通気孔の4つは、それぞれ前記ダイボンディング装置の底面の4つの角を貫通し、
前記9つの通気孔の他の4つは、それぞれ前記ダイボンディング装置の底面の4つの側辺を貫通し、かつ、前記底面の4つの角の間に位置し、
前記9つの通気孔の残りの1つは、前記ダイボンディング装置の底面の中心を貫通することを特徴とする、
請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記ダイボンディング装置の底面には、凹溝が形成されており、
前記凹溝は、面積が前記ダイの面積より小さく、前記複数の通気孔に連通することを特徴とする、
請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記ダイボンディング装置の底面には、凹溝が形成されており、かつ、複数のバンプが突設されており、
前記複数のバンプは、前記凹溝に位置し、かつ前記ダイボンディング装置の底面と同じ平面に位置することを特徴とする、
請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記工程(a)において、載置装置の第1表面には、複数のダイを有し、前記ダイボンディング装置が前記載置装置から前記複数のダイの1つをピックアップし、
前記工程(b)において、前記ダイボンディング装置が前記載置装置の一側から前記基板の一側に移動して第1の位置に位置し、さらに前記第1の位置から前記基板に移動して第2の位置に止まり、
前記ダイボンディング装置が前記第2の位置に位置する時に、前記ダイと前記基板との間には、前記ダイが前記基板に接触した後にボンディングウェーブを生成するための間隔があることを特徴とする、
請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイボンディング方法に関し、特に、ダイを基板に固定するための衝撃力がない角又は側辺で接触するダイボンディング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路は、多数の方法で多くの工程を行うことによって半導体ウェーハの上に製造される。さらに、その半導体ウェーハは複数のダイに分割される。言い換えると、ダイは、半導体材料で製造され、かつパッケージされていない集積回路本体の小片である。分割された複数のダイを載置装置にきちんと貼り付けて、続いて、載置フレームを介して載置装置を搬送し、そして、前記複数のダイを順に基板の複数のダイ配置エリアに移って、後の加工工程を行う。
【0003】
長年実施されているウェーハ・トゥ・ウェーハ(wafer to wafer)という直接ボンディング技術は、フロントエンド処理に属し、清浄度及び精度を容易に制御することができる。さらに、ウェーハが一般的に6~12インチの大きいサイズであるため、そのボンディングウェーブの形成を比較的に容易に制御することができる。ウェーハ・トゥ・ウェーハの直接ボンディングの問題点としては、SoC(system on a chip)に適用しにくいことである。その原因としては、SoCが、通常、異なるメーカー製のチップを組み合わせてなるものであるため、同じフォトマスクを介して異なる論理回路を製作するにはコストが非常に高くなる。
【0004】
ダイ・トゥ・ウェーハ(die to wafer)ボンディング技術は、異なるメーカー製のチップレット(chiplet)を統合するために開発され、開発コストを節約することができ、かつ、SoC製造工程において、そのまま他のメーカー製のチップレットソリューション(chiplet solution)を利用することができるため、別で専用論理回路を開発する必要がない。そのため、現在、ダイ・トゥ・ウェーハのボンディング技術は開発トレンドとなっている。
【0005】
従来のはんだボンディング技術の発展が限界あるため、ダイ及び接点の大きさを減少するために、ダイ・トゥ・ウェーハのボンディング技術において、銅接点直接ボンディング技術(即ち、ハイブリッドボンディング技術)は好ましいソリューションである。
【0006】
しかしながら、ウェーハ・トゥ・ウェーハの直接ボンディング技術と比べて、ダイ・トゥ・ウェーハのボンディング技術は、ダイがより小さいため、ボンディングウェーブの制御が非常に困難となる。そのため、今までダイ・トゥ・ウェーハに適したハイブリッドボンディング技術が開発されていない。以下、現在よく使用される3つのダイ・トゥ・ウェーハのボンディング技術について説明する。
【0007】
1つ目のダイ・トゥ・ウェーハのボンディング技術は、まず、ダイボンディング装置が載置装置からダイを吸着し、そして、ダイを基板に移動させて直接接触させ、最後に、ダイをダイボンディング装置から離脱させて基板に固定させる。この技術の問題点としては、ダイと基板との間に気泡が入ってボイド(void)を生じやすいため、ダイと基板との間が密着されていなく、それにより、後のダイの加工工程において、気泡の影響を受けやすくなり、製造した製品の歩留まりが低くなることである。
【0008】
2つ目のダイ・トゥ・ウェーハのボンディング技術は、ダイボンディング装置によってダイを落下して基板に移る。この技術の問題点としては、ダイは一定の質量を有するため、重力の影響で加速されてダイ配置エリアに落ちた時に大きいな衝撃力を生じ、基板との接触による損傷が発生しやすいこと、また、ダイを高精度にダイ配置エリアに配置することができないことである。
【0009】
3つ目のダイ・トゥ・ウェーハのボンディング技術は、ダイボンディング装置の内部に固定用表面の対向側に位置する3つの弾性部材が設けられており、外側の2つの弾性部材のK値(ばね定数)が真ん中の弾性部材のK値より小さい。ダイボンディング装置が基板の方向に移動する時に、異なるK値を有する弾性部材が慣性で変形することにより、先にダイの中央を基板に接触させ、その後、ボンディングウェーブを生成し、それにより、ダイを高精度にダイ配置エリアに移ることができる。この技術の問題点としては、ダイボンディング装置が基板の方向に移動する時に、前記3つの弾性部材からダイに大きい質量慣性を与えるため、ダイが基板との接触による衝撃力が大きく損傷が発生しやすいこと、また、ダイボンディング装置自体の体積が小さいため、前記弾性部材が非常に小さくなり、組み立てが難しくなり、製造コストが高くなることである。
【0010】
なお、上記の3つのダイボンディング方法によってダイを基板にボンディングする時に、ダイのボンディング速度が早すぎるため、ダイの損傷、歪み、又は曲がりを招く恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の主な目的は、衝撃力がない角又は側辺で接触するダイボンディング方法を提供する。このダイボンディング方法は、衝撃力がない正圧によってダイの角又は側辺を制御してダイ配置エリアに接触させることができる。また、使用する力が非常に小さいため、ダイに損傷を与えることがない。さらに、弾性部材を設ける必要がないため、製造コストがより低い。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の目的を達成するために、本発明は、以下の工程(a)~(e)を含む、衝撃力がない角又は側辺で接触するダイボンディング方法を提供する。
(a)ダイボンディング装置によって表面にはんだボール及び銅ピラーを有しないダイをピックアップする工程、
(b)ダイボンディング装置によってダイを表面にはんだボール及び銅ピラーを有しない基板のダイ配置エリアの一側に移動させる工程、
(c)ダイボンディング装置が正圧をダイの1つの角又は1つの側辺に吹き付けることにより、ダイの前記角又は前記側辺を撓み変形させてダイ配置エリアに接触させる工程、
(d)ダイの角又は側辺がダイ配置エリアに接触した後、ダイの角からその対角又は側辺からその相対側に向かって拡大するボンディングウェーブを形成することで、ダイを徐々にダイボンディング装置から離脱させてダイ配置エリアに固定させる工程、
(e)ダイを完全にダイ配置エリアに固定させる工程。
【0013】
前記の目的を達成するために、本発明は、以下の工程(a)~(e)を含む、衝撃力がない角又は側辺で接触するダイボンディング方法を提供する。
(a)ダイボンディング装置によって表面にはんだボール及び銅ピラーを有しないダイをピックアップする工程、
(b)ダイボンディング装置によってダイを表面にはんだボール及び銅ピラーを有しない基板のダイ配置エリアの一側に移動させる工程、
(c)ダイボンディング装置が正圧をダイの1つの角又は1つの側辺に吹き付けることにより、ダイの前記角又は前記側辺を撓み変形させてダイ配置エリアに接触させる工程、
(d)ダイの角又は側辺がダイ配置エリアに接触した後、ダイの角からその対角又は側辺からその相対側に向かって拡大するボンディングウェーブを形成し、そして、正圧を徐々に弱くしていき、さらに負圧に切り替えることで、ダイを徐々にダイボンディング装置から離脱させてダイ配置エリアに固定させる工程、
(e)ダイを完全にダイ配置エリアに固定させる工程。
【発明の効果】
【0014】
本発明の効果としては、衝撃力がない正圧によってダイの角又は側辺を制御してダイ配置エリアに接触させる。ダイと基板との接触による力は、ダイの質量による非常に小さな力であるため、ダイに損傷を与えることがない。また、弾性部材を設ける必要がないため、製造コストがより低い。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る衝撃力がない角又は側辺で接触するダイボンディング方法のフローチャートである。
【
図2】本発明に係るダイボンディング装置と、真空装置と、気体供給装置とを示す模式図である。
【
図3】本発明に係るダイボンディング装置の第1の実施例の斜視図である。
【
図4】本発明の工程S1の第1の実施例を示す模式図である。
【
図5】本発明の工程S2の第1の実施例を示す模式図である。
【
図6】本発明の工程S2の第1の実施例を示す模式図である。
【
図7】本発明の工程S3の第1の実施例の第1の実施形態を示す模式図である。
【
図8】本発明の工程S3の第1の実施例の第2の実施形態を示す模式図である。
【
図9】本発明の工程S4の第1の実施例を示す模式図である。
【
図10】本発明の工程S5の第1の実施例を示す模式図である。
【
図11】本発明に係るダイボンディング装置の第2の実施例の平面図である。
【
図12】本発明に係るダイボンディング装置の第2の実施例の側面図である。
【
図13】本発明の工程S3の第2の実施例の第1の実施形態を示す模式図である。
【
図14】本発明の工程S3の第2の実施例の第2の実施形態を示す模式図である。
【
図15】本発明に係るダイボンディング装置の第3の実施例の平面図である。
【
図16】本発明に係るダイボンディング装置の第3の実施例の側面図である。
【
図17】本発明の工程S3の第3の実施例の第1の実施形態を示す模式図である。
【
図18】本発明の工程S3の第3の実施例の第2の実施形態を示す模式図である。
【
図19】本発明に係るダイボンディング装置の第4の実施例の平面図である。
【
図20】本発明に係るダイボンディング装置の第4の実施例の側面図である。
【
図21】本発明の工程S3の第4の実施例の実施形態を示す模式図である。
【
図22】本発明の工程S4の第5の実施例を示す模式図である。
【
図23】本発明の工程S5の第5の実施例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
当業者が本明細書の開示によって実施することができるように、以下、図面及び符号を参照しながら本発明の実施形態を詳しく説明する。
【0017】
図1~
図10に示すように、本発明に係る衝撃力がない角又は側辺で接触するダイボンディング方法は、以下の工程を含む。
【0018】
図1~
図4に示すように、工程S1は、ダイボンディング装置10によって表面にはんだボール(solder)及び銅ピラー(bump)を有しないダイ20をピックアップする工程である。より明確に言うと、載置装置30の第1の表面31には、複数のダイ20を有する。ダイボンディング装置10の1つの角141又は1つの側辺151及びその他の部分が負圧41によってダイ20の1つの角211又は1つの側辺221及びその他の部分を吸着することにより、ダイ20を固定し、かつ、ダイ20を載置装置30からピックアップする。前記載置装置30は、例えば、載置フィルム、載置トレイ、又は真空トレイが挙げられる。
【0019】
図2及び
図3に示すように、第1の実施例において、ダイボンディング装置10は、4つの通気孔111~114を有する。前記4つの通気孔111~114は、それぞれダイボンディング装置10の底面の4つの角141~144を貫通し、かつ、真空装置40及び気体供給装置50に接続される。ダイボンディング装置10の底面には、凹溝12が形成されており、かつ、複数のバンプ13が突設されている。凹溝12の面積がダイ20の面積より小さい。前記複数のバンプ13は、凹溝12の中に位置し、かつ、ダイボンディング装置10の底面と同じ平面に位置する。前記4つの通気孔111~114は、凹溝12に連通する。
【0020】
図4に示すように、第1の実施例において、真空装置40は、前記4つの通気孔111~114を吸引し、さらに前記4つの通気孔111~114を介して凹溝12を吸引することによって真空状態にして負圧41を生じ、負圧41が前記4つの通気孔111~114及び凹溝12を介してダイ20の4つの角211~214を吸着し、それにより、ダイ20の周囲をダイボンディング装置10の底面の周囲に密着させ、かつダイ20の内側を前記複数のバンプ13の底面に密着させる。
【0021】
ダイ20の周囲がダイボンディング装置10の底面の周囲に密着しているため、ダイ20の周囲とダイボンディング装置10の底面の周囲との間には隙間が全くない。それにより、外部の空気が入って負圧41による吸着に影響することが避けられる。前記複数のバンプ13は、ダイ20を平らに保って、負圧41によってダイ20が凹溝12に凹むことを防ぐことができる。
【0022】
図1、
図5、及び
図6に示すように、工程S2は、ダイボンディング装置10によってダイ20を表面にはんだボール(solder)及び銅ピラー(bump)を有しない基板60のダイ配置エリア61の一側に移動させる工程である。より詳しく言うと、ダイボンディング装置10の角141又は側辺151及びその他の部分が続けて負圧41によってダイ20の角211又は側辺221及びその他の部分を吸着することにより、ダイ20を固定し、ダイ20がダイボンディング装置10から離脱することを避ける。
【0023】
好ましくは、
図5及び
図6に示すように、第1の実施例において、ダイボンディング装置10が載置装置30の一側から基板60の一側に移動して第1の位置に位置し、さらに第1の位置から基板60に移動して第2の位置に止まる。ダイボンディング装置10が第2の位置に位置する時に、ダイ20と基板60との間には、ダイ20が基板60に接触した後にボンディングウェーブ(bond wave、
図9参照)を生成するための間隔がある。
【0024】
図1、
図7、及び
図8を示すように、工程S3は、ダイボンディング装置10が正圧51をダイ20の角211又は側辺221に吹き付けることにより、ダイ20の角211又は側辺221を撓み変形させてダイ配置エリア61に接触させる工程である。
【0025】
より明確に言うと、ダイボンディング装置10の角141又は側辺151は、負圧41によってダイ20の角211又は側辺221を吸着することから、正圧51をダイ20の角211又は側辺221に吹き付けることに切り替えて、ダイボンディング装置10の角142~144又は側辺152~154等の他の部分は、依然として負圧41によってダイ20の角212~214又は側辺222~224等の他の部分を吸着する。
【0026】
そのため、ダイ20は、ダイボンディング装置10に固定されるだけでなく、角211又は側辺221のみが撓み変形され、最も突出した部分となる。それにより、ダイ20の角211が点接触で、又はダイ20の側辺221が線接触で、ダイ配置エリア61に接触することができる。
【0027】
図2及び
図7に示すように、第1の実施例の第1の実施形態において、ダイボンディング装置10の角141の通気孔111に対する真空装置40の吸引を止めて、ダイボンディング装置10の角141の通気孔111を介してダイ20の角211を吸着する負圧41を停止させる。その後、気体供給装置50がダイボンディング装置10の角141の通気孔111に気体を供給することにより、気流を生じて正圧51を生じる。
【0028】
正圧51をダイボンディング装置10の角141の通気孔111を介してダイ20の角211に吹き付ける。そのため、ダイボンディング装置10の角141は、負圧41によってダイ20の角211を吸着することから、正圧51をダイ20の角211に吹き付けることに切り替えて、ダイ20の角211を撓み変形させてダイ配置エリア61に接触させる。真空装置40が続けてダイボンディング装置10の通気孔112~114を吸引することにより、ダイボンディング装置10の角142~144の通気孔112~114は、依然として負圧41によってダイ20の角212~214等の他の部分を吸着する。
【0029】
図2及び
図8に示すように、第1の実施例の第2の実施形態において、ダイボンディング装置10の側辺151の2つの通気孔111、112に対する真空装置40の吸引を止めて、ダイボンディング装置10の側辺151の2つの通気孔111、112を介してダイ20の側辺221を吸着する負圧41を停止させる。その後、気体供給装置50がダイボンディング装置10の側辺151の2つの通気孔111、112に気体を供給することにより、気流を生じて正圧51を生じる。正圧51をダイボンディング装置10の側辺151の2つの通気孔111、112を介してダイ20の側辺221に吹き付ける。
【0030】
そのため、ダイボンディング装置10の側辺151は、負圧41によってダイ20の側辺221を吸着することから、正圧51をダイ20の側辺221に吹き付けることに切り替えて、ダイ20の側辺221を撓み変形させてダイ配置エリア61に接触させる。真空装置40が続けてダイボンディング装置10の側辺152~154の通気孔113、114を吸引することにより、ダイボンディング装置10の側辺152~154の通気孔113、114は、依然として負圧41によってダイ20の側辺222~224等の他の部分を吸着する。
【0031】
図1及び
図9に示すように、工程S4は、ダイ20の角211又は側辺221がダイ配置エリア61に接触した後、ダイ20の角211からその対角又は側辺221からその相対側に向かって拡大するボンディングウェーブ71を形成することにより、ダイ20を徐々にダイボンディング装置10から離脱させてダイ配置エリア61に固定させる工程である。
【0032】
より詳しく言うと、ダイ20の角211が点接触で、又はダイ20の側辺221が線接触でダイ配置エリア61に接触するため、ダイ20の角211又は側辺221及びそれらの近傍に接合力を生じ、この接合力によってボンディングウェーブ71を形成する。ボンディングウェーブ71は、ダイ20の角211からその対角又は側辺221からその相対側に向かって徐々に拡大する。
【0033】
好ましくは、ダイボンディング装置10の角141からその対角までの順で、負圧41によってダイ20の角211からその対角までの部分を吸着することから、正圧51をダイ20の角211からその対角までの部分に吹き付けることに切り替えて、又は、ダイボンディング装置10の側辺151からその相対側までの順で、負圧41によってダイ20の側辺221からその相対側までの部分を吸着することから、正圧51をダイ20の側辺221からその相対側までの部分に吹き付けることに切り替えて、それによって、正圧51をダイ20の角211からその対角まで又はダイ20の側辺221からその相対側までに順に吹き付け、圧力差の波動72を生じる。
【0034】
圧力差の波動72により、ダイ20の角211又は側辺221がダイ配置エリア61に接触した後、ボンディングウェーブ71が形成され、ダイ20の角211からその対角又は側辺221からその相対側に向かって拡大するようにボンディングウェーブ71を導く、そして、ダイ20を徐々にダイボンディング装置10から離脱させてダイ配置エリア61に固定させる。
【0035】
第1の実施例の第1の実施形態において、ダイボンディング装置10の角141からその対角までの順で、通気孔112~114に対する真空装置40の吸引を止めて、ダイボンディング装置10の角141からその対角までの通気孔112~114を介してダイ20の角211からその対角までの部分を吸着する負圧41を順に停止させる。気体供給装置50がダイボンディング装置10の角141からその対角までの通気孔112~114に順に気体を供給することにより、気流を生じて正圧51を生じる。正圧51をダイボンディング装置10の角141からその対角までの通気孔112~114を介してダイ20の角211からその対角までの部分に順に吹き付ける。
【0036】
そのため、ダイボンディング装置10の角141からその対角までの順で、負圧41によってダイ20の角211からその対角までの部分を吸着することから、正圧51をダイ20の角211からその対角までの部分に吹き付けることに切り替える。それによって、圧力差の波動72を生じる。圧力差の波動72により、ダイ20の角211がダイ配置エリア61に接触した後、ボンディングウェーブ71が形成される。ダイ20の角211からその対角に向かって拡大するようにボンディングウェーブ71を導く、それにより、ダイ20を徐々にダイボンディング装置10から離脱させてダイ配置エリア61に固定させる。
【0037】
第1の実施例の第2の実施形態において、ダイボンディング装置10の側辺151からその相対側までの順で、通気孔112~114に対する真空装置40の吸引を止めて、ダイボンディング装置10の側辺151からその相対側までの通気孔112~114を介してダイ20の側辺221からその相対側までの部分を吸着する負圧41を順に停止させる。気体供給装置50がダイボンディング装置10の側辺151からその相対側までの通気孔112~114に気体を供給することにより、気流を生じて正圧51を生じる。
【0038】
正圧51をダイボンディング装置10の側辺151からその相対側までの通気孔112~114を介してダイ20の側辺221からその相対側までの部分に吹き付ける。そのため、ダイボンディング装置10の側辺151からその相対側までの順で、負圧41によってダイ20の側辺221からその相対側までの部分を吸着することから、正圧51をダイ20の側辺221からその相対側までの部分に吹き付けることに切り替える。
【0039】
それによって、圧力差の波動72を生じる。圧力差の波動72により、ダイ20の側辺221がダイ配置エリア61に接触した後、ボンディングウェーブ71が形成される。ダイ20の側辺221からその相対側に向かって拡大するようにボンディングウェーブ71を導く、ダイ20を徐々にダイボンディング装置10から離脱させてダイ配置エリア61に固定させる。
【0040】
図1及び
図10に示すように、工程S5は、ダイ20を完全にダイ配置エリア61に固定させる工程である。具体的には、負圧41を完全に停止させ、ダイ20がダイボンディング装置10によって固定されず、正圧51を続けてダイ20に吹き付けることで、ダイ20を完全にダイ配置エリア61に固定させる。
【0041】
図11及び
図12に示すように、第1の実施例との相違点としては、第2の実施例において、ダイボンディング装置10Aは、6つの通気孔111~116を有することである。前記4つの通気孔111~114は、それぞれダイボンディング装置10Aの底面の4つの角141~144を貫通する。前記2つの通気孔115、116は、それぞれダイボンディング装置10Aの底面の対面する2つの側辺152、154を貫通し、底面の4つの角の中の2つの角141~144の間に位置する。それ以外、第2の実施例の技術的な特徴は第1の実施例と同じである。
【0042】
図13及び
図14に示すように、工程S3については、第2の実施例の2つの実施形態が第1の実施例と同じである。
【0043】
図15及び
図16に示すように、第1の実施例との相違点としては、第3の実施例において、ダイボンディング装置10Bは、9つの通気孔111~119を有し、前記4つの通気孔111~114は、それぞれダイボンディング装置10Bの底面の4つの角141~144を貫通し、前記4つの通気孔115~118は、それぞれダイボンディング装置10Bの底面の4つの側辺151~154を貫通して前記角141~144の間に位置し、前記通気孔119は、ダイボンディング装置10Bの底面の中心を貫通すること、また、ダイボンディング装置10Bの底面には、凹溝12及びバンプ13を有しないことである。それ以外、第3の実施例の技術的な特徴は第1の実施例と同じである。
【0044】
図17及び
図18に示すように、工程S3については、第3の実施例の2つの実施形態が第1の実施例と同じである。
【0045】
図19、
図20に示すように、第1の実施例との相違点としては、第4の実施例において、ダイボンディング装置10Cは、2つの通気孔111、114を有し、前記2つの通気孔111、114は、それぞれダイボンディング装置10Cの底面の対角となる2つの角141、144を貫通することである。それ以外、第4の実施例の技術的な特徴は第1の実施例と同じである。
【0046】
図21に示すように、工程S3については、第4の実施例の実施形態が第1の実施例の第1の実施形態と同じである。第4の実施例は、第1の実施例の第2の実施形態を有しない。
【0047】
図22及び
図23に示すように、第1の実施例との相違点としては、第5の実施例において、工程S4において、ボンディングウェーブ71は、ダイ20の角211からその対角又は側辺221からその相対側に向かって拡大する。
【0048】
そして、ダイボンディング装置10の角141からその対角までの部分に生じた正圧51を、ダイ20の角211からその対角までの順に徐々に弱くしていき、さらに負圧41に切り替えること、又は、ダイボンディング装置10の側辺151からその相対側までの部分に生じた正圧51を、ダイ20の側辺221からその相対側までの順に徐々に弱くしていき、さらに負圧41に切り替えることにより、ダイ20を徐々にダイボンディング装置10から離脱させてダイ配置エリア61に固定させる。
【0049】
上記をまとめると、本発明において、衝撃力がない正圧51によってダイ20の角211又は側辺221を制御してダイ配置エリア61に接触させる。ダイ20と基板60との接触による力は、ダイ20の質量による非常に小さな力であるため、ダイ20に損傷を与えることがない。また、弾性部材を設ける必要がないため、製造コストがより低い。
【0050】
さらに、本発明において、ボンディングウェーブ71によってダイ20を完全にダイ配置エリア61に固定させることができるため、ダイ20を高精度にダイ配置エリア61に配置することができる。
【0051】
なお、本発明において、負圧41及び正圧51の切り替えを制御することで圧力差の波動72を生じる。圧力差の波動72により、ボンディングウェーブ71が形成される。さらに、圧力差の波動72によってボンディングウェーブ71の拡散を導く。それにより、ダイ20が基板60に密着され、ダイ20と基板60との間に気泡が入る状況を完全に避ける。そのため、ダイ20と基板60との間には、ボイド(void)が存在せず、ダイ20から製造した製品の歩留まりを向上させることができる。
【0052】
また、本発明において、正圧51を徐々に弱くしていき、さらに負圧41に切り替えることで、ダイ20を適切なボンディング速度でダイ配置エリア61にボンディングさせる。それにより、ダイの損傷、歪み、又は曲がりを防ぐことができる。
【0053】
なお、本発明の衝撃力がない角又は側辺で接触するダイボンディング方法は、ハイブリッドボンディング技術(hybrid bonding)のために開発されるものであり、かつ、ハイブリッドボンディング技術がスズフリーボンディングであるため、本発明において、ハイブリッドボンディング技術に限定的に用いられることを強調するために、はんだボール及び銅ピラーを有しないダイ20及び基板60を使用する。
【0054】
留意すべきことは、スズフリーパッケージを行う場合に、ダイ20及び基板60の表面が相当重要となる。ダイ及び基板の表面は、化学機械研磨工程を経てから互いにそのまま接触するため、鏡面に近い表面にする必要がある。その原因としては、表面粗さのわずかな変化であっても、ダイ20と基板60とのボンディング失敗を招く可能性がある。化学機械研磨工程を経た後、材質が異なるために研磨の程度も異なる。一般的には、研磨の程度の誤差の許容範囲は±10nm以内である。10nmを超えると、銅接点が過度に研磨されるか、又は銅接点が多すぎて基板60のベースが過度に研磨される等の不良を生じやすい。
【0055】
上記の内容は、本発明を説明するための好ましい実施例に過ぎず、本発明を形式上で何ら制限もしない。本発明の精神に基づいてなされた変更、改良は、いずれも本発明の範囲内に属する。
【符号の説明】
【0056】
10、10A、10B、10C ダイボンディング装置
111~119 通気孔
12 凹溝
13 バンプ
141~144 角
151~154 側辺
20 ダイ
211~214 角
221~224 側辺
30 載置装置
31 第1表面
40 真空装置
41 負圧
50 気体供給装置
51 正圧
60 基板
61 ダイ配置エリア
71 ボンディングウェーブ
72 圧力差の波動
S1~S5 工程