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  • 特開-ガス処理システム、及び船舶 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022103048
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】ガス処理システム、及び船舶
(51)【国際特許分類】
   B63B 25/16 20060101AFI20220630BHJP
   B63H 21/38 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
B63B25/16 D
B63H21/38 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021167519
(22)【出願日】2021-10-12
(31)【優先権主張番号】P 2020216811
(32)【優先日】2020-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】503218067
【氏名又は名称】住友重機械マリンエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】角田 勇人
(72)【発明者】
【氏名】溝越 貴章
(57)【要約】
【課題】船舶上の限られたスペースでも、アンモニアのガスを適切に処理することができるガス処理システム、及び船舶を提供する。
【解決手段】ガス処理システム100は、アンモニアをガスの状態で供給対象部34へ供給する供給部30を備えている。そのため、供給部30がアンモニアのガスを供給対象部34へ供給することで、当該供給対象部34にてガスの状態のアンモニアを有効活用することができる。このとき、供給対象部34へは、ガスの状態で供給を行うことができるため、再液化装置のようにコストが増大する装置を導入しなくともよい。更に、供給部30は、アンモニアのガスを大気へ放出することなく供給対象部34へ供給する。また、船舶は、限られたスペースにてアンモニアのガスを大気へ放出することを抑制できるため、煙突を高くする必要性を無くすことができる。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶に設けられるガス処理システムであって、
アンモニアの液体を貯留するタンクと、
前記アンモニアの供給対象となる供給対象部と、
前記アンモニアをガスの状態で前記供給対象部へ供給する供給部と、を備え、
前記供給部は、前記アンモニアのガスを大気へ放出することなく前記供給対象部へ供給する、ガス処理システム。
【請求項2】
前記供給部は、前記タンク内で気化したアンモニアをガスの状態で前記供給対象部へ供給する、請求項1に記載のガス処理システム。
【請求項3】
前記供給対象部は、前記アンモニアのガスをその場で利用するガス利用部である、請求項1又は2に記載のガス処理システム。
【請求項4】
前記供給部は、前記タンクで気化した前記アンモニアのガスを前記供給対象部へ供給する第1の供給ラインを有する、請求項1~3の何れか一項に記載のガス処理システム。
【請求項5】
前記供給部は、前記タンクから液体の前記アンモニアを取り出して、気化して前記アンモニアのガスを前記供給対象部へ供給する第2の供給ラインを有する、請求項1~4の何れか一項に記載のガス処理システム。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載のガス処理システムを備える船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス処理システム、及び船舶に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、船舶として、液体のアンモニアを貯留するタンクを備えるものが知られている。例えば、特許文献1に記載の船舶は、船体中に、アンモニアのタンクが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-121509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、陸地でガス処理システムがアンモニアのBOG(ボイルオフガス)を大気放出する場合、スペースの問題やアンモニアを処理する煙突の高さなどに関わらず、十分に安全な場所までアンモニアBOGを導いて放出することが容易である。一方、船舶でアンモニアBOGを大気放出する場合、陸地と比べて制約が生じる。具体的には、船舶上の限られたスペースでアンモニアBOGを放出しなければならないし、煙突の高さもそれほど高くできないという制約が生じる。すなわち、船舶が港に入る際、橋の下をくぐらなければならないため、船舶に設ける煙突の高さを高くできないという制約が生じる。このような制約下でアンモニアBOGが大気開放されると、船舶の外(例えば上甲板上)の船員に影響を及ぼすアンモニアガスが、当該船員に近い位置にて排出される可能性がある。従って、船舶上の限られたスペースでも、アンモニアのガスを効果的に処理することが求められている。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、船舶上の限られたスペースでも、アンモニアのガスを適切に処理することができるガス処理システム、及び船舶を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のガス処理システムは、船舶に設けられるガス処理システムであって、アンモニアの液体を貯留するタンクと、アンモニアの供給対象となる供給対象部と、アンモニアをガスの状態で供給対象部へ供給する供給部と、を備え、供給部は、アンモニアのガスを大気へ放出することなく供給対象部へ供給する。
【0007】
ガス処理システムは、アンモニアの液体を貯留するタンクを備える。従って、液体のアンモニアが気化することで、ガスが発生することがある。これに対し、ガス処理システムは、アンモニアをガスの状態で供給対象部へ供給する供給部を備えている。そのため、供給部がアンモニアのガスを供給対象部へ供給することで、当該供給対象部にてガスの状態のアンモニアを有効活用することができる。このとき、供給対象部へは、ガスの状態で供給を行うことができるため、再液化装置のようにコストが増大する装置を導入しなくともよい。更に、供給部は、アンモニアのガスを大気へ放出することなく供給対象部へ供給する。従って、環境の保全を行いながら、アンモニアのガスを有効活用することができる。また、船舶は、限られたスペースにてアンモニアのガスを大気へ放出することを抑制できるため、煙突を高くする必要性を無くすことができる。以上より、船舶上の限られたスペースでも、アンモニアのガスを適切に処理することができる。
【0008】
供給部は、タンク内で気化したアンモニアをガスの状態で供給対象部へ供給してよい。この場合、タンク内で気化したアンモニアのガスを大気へ放出することなく有効活用できる。
【0009】
供給対象部は、アンモニアのガスをその場で利用するガス利用部であってよい。この場合、供給対象部のガス利用部にて、速やかにアンモニアのガスを有効利用することができる。
【0010】
供給部は、タンクで気化したアンモニアのガスを供給対象部へ供給する第1の供給ラインを有してよい。この場合、第1の供給ラインは、タンクで発生したBOGを大気へ放出せずに供給対象部へ供給して、有効活用することができる。
【0011】
供給部は、タンクから液体のアンモニアを取り出して、気化してアンモニアのガスを供給対象部へ供給してよい。この場合、活用するアンモニアのガスの量が供給対象部で不足する場合などに、液体のアンモニアを気化させることでアンモニアのガスを補うことができる。
【0012】
本発明に係る船舶は、上述のガス処理システムを備える。
【0013】
この船舶によれば、上述のガス処理システムと同趣旨の作用・効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、船舶上の限られたスペースでも、アンモニアのガスを適切に処理することができるガス処理システム、及び船舶を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係るガス処理システムが適用される船舶の一例を示す概略断面図である。
図2】本発明の実施形態に係るガス処理システムを示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のガス処理システムの好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、「前」「後」の語は船体の進行方向に対応するものであり、「横」の語は船体の左右(幅)方向に対応するものであり、「上」「下」の語は船体の上下方向に対応するものである。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係るガス処理システムが適用される船舶の一例を示す概略断面図である。船舶1は、例えば原油や液体ガス等の石油系液体貨物を運搬する船舶であり、例えば、オイルタンカーである。なお、船舶は、オイルタンカーに限定されず、例えば、バルクキャリア、その他、様々な種類の船舶であってよい。
【0018】
船舶1は、図1に示すように、船体11と、推進器12と、を備えている。船体11は、船首部2と、船尾部3と、機関室4と、ポンプ室5と、貨物室6と、を有している。船体11の上部には(または船内には)甲板19が設けられている。船首部2は、船体11の前方側に位置している。船尾部3は、船体11の後方側に位置している。船首部2は、例えば満載喫水状態における造波抵抗の低減が図られた形状を有している。推進器12は、船体11を推進させるものであり、例えばスクリューシャフトが用いられている。推進器12は、船尾部3における喫水線(海Wの水面)よりも下方に設置されている。また、船尾部3における喫水線よりも下方には、推進方向を調整するための舵15が設置されている。
【0019】
機関室4は、船尾部3の船首側に隣り合う位置に設けられている。機関室4は、推進器12に駆動力を付与するための機器16を配置するための区画である。ポンプ室5は、機関室4の船首側に隣り合う位置に設けられている。ポンプ室5は、ポンプ17等が配置される区画である。貨物室6は、船首部2とポンプ室5との間に設けられている。貨物室6は、石油系貨物を収容するための区画である。貨物室6は、外板20と内底板21の二重船殻構造を採用することによって、カーゴオイルタンク26とバラストタンク27とに区画されている。カーゴオイルタンク26は、船舶1によって運搬される石油系貨物を積載する。バラストタンク27は、船の大きさ等に応じた量のバラスト水を収容する。
【0020】
甲板19には、アンモニアを貯留するアンモニアタンク31が設けられている。アンモニアタンクには、液体の状態のアンモニアが貯留されている。また、甲板19には、ガス処理システム100の各種構成要素を収容するための収容室32が設けられている。
【0021】
図2は、本発明の実施形態に係るガス処理システム100の構成を示す概略構成図である。ガス処理システム100は、アンモニアタンク31に貯留されているアンモニアのガスを処理するための装置である。ガス処理システム100は、船舶1に設けられる。ガス処理システム100は、アンモニアのBOG(ボイルオフガス)を処理することができるシステムである。ガス処理システム100は、低圧でアンモニアのBOGを有効に利用することができるシステムである。図2に示すように、ガス処理システム100は、アンモニアタンク31と、供給対象部34と、供給部30と、を備える。なお、供給対象部34の各機器は、例えば機関室4(図1参照)内などに設置されてよい。
【0022】
供給対象部34は、アンモニアの供給対象となる部分である。供給対象部34は、アンモニアのガスをその場で利用するガス利用部であってよい。ガス利用部は、供給されたアンモニアのガスを反応のための原料や、燃焼のための原料として、その場で利用する。ガス利用部として、例えば、SCR(Selective Catalytic Reduction)、燃料電池、またはアンモニアをガス状態で燃焼可能なエンジンまたはボイラなどが挙げられる。また、供給対象部34は、その場でアンモニアのガスを利用するものでなくともよい。例えば、供給対象部34は、アンモニアのガスを一時的に貯留しておくガスタンクなどでもよい。ガスタンクは、所定のタイミングに、他のガス利用部へガスを供給することができる。
【0023】
供給部30は、アンモニアをガスの状態で供給対象部34へ供給する部分である。供給部30は、アンモニアのガスを大気へ放出することなく供給対象部34へ供給する。アンモニアのガスを大気へ放出することなく供給対象部34へ供給する状況とは、アンモニアのガスが、供給対象部34へ至るまでの間に、外部へ大気開放されていない、外部に対して密閉された管、及び密閉された機器を通過して、供給対象部34へ供給される状況である。
【0024】
供給部30は、第1の供給ライン36と、第2の供給ライン37と、を有する。第1の供給ライン36は、アンモニアタンク31で気化したアンモニアのBOG、すなわちガス(図2においてG1で示す)を供給対象部34へ供給するラインである。第1の供給ライン36は、BOGヒータ41と、BOGコンプレッサ42と、ラインL1,L2,L3と、を有する。
【0025】
BOGヒータ41は、気化したアンモニアのガスG1を加熱する加熱部である。BOGヒータ41は、低温状態にあるアンモニアのガスG1を、供給対象部34のガス利用部にて利用するのに適切な温度になるように加熱する。具体的に、BOGヒータ41に入る前のアンモニアのガスG1は、-33~45℃程度であるのに対し、BOGヒータ41で加熱されたアンモニアのガスG1は、0~45℃程度になる。BOGコンプレッサ42は、BOGヒータ41で加熱されたアンモニアのガスG1を圧縮して供給対象部34へ圧送する機器である。BOGコンプレッサ42は、アンモニアのガスG1を高圧状態にする必要はなく、低圧状態にてアンモニアのガスG1を供給対象部34へ圧送することができる。具体的に、BOGコンプレッサ42は、アンモニアのガスG1を所定の圧力で圧送することができる。また、条件としてタンク圧が高い場合のみの利用を考える場合、BOGコンプレッサ42を省略するパターンも考えられる。BOGコンプレッサ42にバイパスラインを設けることによりタンク圧が高い場合はBOGコンプレッサを利用しないということも可能である。
【0026】
ラインL1は、アンモニアタンク31とBOGヒータ41とを接続する配管である。ラインL2は、BOGヒータ41とBOGコンプレッサ42とを接続する配管である。ラインL3は、BOGコンプレッサ42と供給対象部34とを接続する配管である。ラインL1は、アンモニアタンク31内で気化したガスG1(BOG)を回収するために、アンモニアタンク31の上端側に接続されている。これにより、ラインL1は、アンモニアタンク31内で気化して、タンク上部に貯まったガスG1を回収することができる。ラインL1には、バルブ51が設けられている。バルブ51を開とすることで、アンモニアタンク31からアンモニアのガスG1を回収して、BOGヒータ41へ供給することができる。BOGヒータ41で加熱されたアンモニアのガスG1は、ラインL2を介してBOGコンプレッサ42に供給され、BOGコンプレッサ42っgの圧力により、ラインL3を介して供給対象部34へ供給される。
【0027】
第2の供給ライン37は、アンモニアタンク31から液体のアンモニア(図2においてLQで示す)を取り出して、気化してアンモニアのガス(図2においてG2で示す)を供給対象部34へ供給する。第2の供給ライン37は、低圧ポンプ43と、気化器44と、ラインL4,L6,L7と、ラインL3(下流部分L3a)と、を備える。
【0028】
低圧ポンプ43は、アンモニアタンク31のアンモニアの液体LQを圧縮して気化器44へ圧送する機器である。低圧ポンプ43は、アンモニアの液体LQを高圧状態にする必要はなく、低圧状態にてアンモニアの液体LQを気化器44へ圧送することができる。具体的に、低圧ポンプ43は、アンモニアの液体LQを所定の圧力で圧送することができる。なお、低圧ポンプ43は、ラインL8を介して、アンモニアの液体LQを気化器44をバイパスさせて供給対象部34へ供給してもよい。低圧ポンプ43は、図示されない切替弁などによって、液体LQの供給先をラインL6とラインL8との間で切り替えることができる。
【0029】
気化器44は、アンモニアの液体LQを気化させてアンモニアのガスG2を生成する機器である。気化器44は、アンモニアの液体LQを加熱することによって気化させる。気化器44としては、液体を気体に気化させる公知の気化器を用いることができる。気化器44は、ヒータで発生させた熱を用いて加熱を行ってよいし、船舶内で発生した熱を利用して加熱を行ってもよい。
【0030】
ラインL4は、アンモニアタンク31と低圧ポンプ43とを接続する配管である。ラインL6は、低圧ポンプ43と気化器44とを接続する配管である。ラインL7は、気化器44とラインL3とを接続する配管である。ラインL3の下流部分L3aは、ラインL3のうち、ラインL7との合流部と供給対象部34との間の領域である。ラインL4は、アンモニアタンク31内の液体LQを取り出すために、アンモニアタンク31の下端側に接続されている。これにより、ラインL4は、アンモニアタンク31内に貯められたアンモニアの液体LQを取り出すことができる。ラインL4には、バルブ52が設けられている。バルブ52を開とすることで、アンモニアタンク31からアンモニアの液体LQを回収して、低圧ポンプ43の圧力により、気化器44へ供給することができる。気化器44で生成されたアンモニアのガスG2は、ラインL7及びラインL3の下流部分L3aを介して供給対象部34へ供給される。
【0031】
アンモニアのガスG1又はガスG2が通過するBOGヒータ41、BOGコンプレッサ42、気化器44、ラインL1,L2,L3,L7は、いずれも大気開放されていない。従って、これらの機器及びラインは、密閉された状態でガスG1又はガスG2を供給対象部34へ供給可能である。ただし、緊急時などにアンモニアのガスG1,G2を大気開放する必要が生じた場合のために、所望のタイミングで大気開放することができる大気開放機構を追加で設けてもよい。
【0032】
次に、本実施形態に係るガス処理システム100、及び船舶1の作用・効果について説明する。
【0033】
ガス処理システム100は、アンモニアの液体を貯留するアンモニアタンク31を備える。従って、アンモニアタンク31内でアンモニアのガスが発生することがある。これに対し、ガス処理システム100は、アンモニアをガスの状態で供給対象部34へ供給する供給部30を備えている。そのため、供給部30がアンモニアのガスを供給対象部34へ供給することで、当該供給対象部34にてガスの状態のアンモニアを有効活用することができる。このとき、供給対象部34へは、ガスの状態で供給を行うことができるため、再液化装置のようにコストが増大する装置を導入しなくともよい。更に、供給部30は、アンモニアのガスを大気へ放出することなく供給対象部34へ供給する。従って、環境の保全を行いながら、アンモニアのガスを有効活用することができる。以上より、アンモニアのガスを効率的に処理することができる。また、船舶は、限られたスペースにてアンモニアのガスを大気へ放出することを抑制できるため、煙突を高くする必要性を無くすことができる。以上より、船舶上の限られたスペースでも、アンモニアのガスを適切に処理することができる。
【0034】
ここで、アンモニアの沸点は常圧化で-33℃であって、LNGの沸点の-161℃に比して高く、LNGよりも潜熱が3倍程度大きいため、LNGに比してBOGの量は小さいものの、ガス処理システム100を設けることによって、アンモニアタンク31が高圧となることを防ぐことができる。ここで、アンモニア用の再液化装置を導入することもLNG用の再液化装置を導入するよりは容易と考えられる。しかし、本実施形態に係るガス処理システム100を採用することで、供給部30では低圧状態でアンモニアのガスを取り扱うことができ、コストが増大するような装置の導入を回避できるため、CAPEX(資本的支出)、OPEX(事業運営費)共に、低くBOGを処理することができる。また、アンモニアタンク31が高圧になることを許容してBOG処理を不要にする構造も考えられるが、アンモニアタンク31の許容圧力を1.4MPa程度にすることが必要であり、構造の強化が必要となる。本実施形態に係るガス処理システム100では、そのような構造の強化を不要とすることができるため、有効である。
【0035】
供給部30は、アンモニアタンク31内で気化したアンモニアをガスの状態で供給対象部34へ供給してよい。この場合、アンモニアタンク31内で気化したアンモニアのガスを大気へ放出することなく有効活用できる。
【0036】
供給対象部34は、アンモニアのガスをその場で利用するガス利用部であってよい。この場合、供給対象部34のガス利用部にて、速やかにアンモニアのガスを有効利用することができる。この場合、一時的にアンモニアのガスを貯めておく必要無く、直ちにガスの処理をすることができる。
【0037】
供給部30は、アンモニアタンク31で気化したアンモニアのガスを供給対象部34へ供給する第1の供給ライン36を有してよい。この場合、第1の供給ライン36は、アンモニアタンク31で発生したBOGを大気へ放出せずに供給対象部34へ供給して、有効活用することができる。
【0038】
供給部30は、アンモニアタンク31から液体のアンモニアを取り出して、気化してアンモニアのガスを供給対象部34へ供給してよい。この場合、利用するアンモニアのガスの量が供給対象部34にて不足する場合などに、液体のアンモニアを気化させることでアンモニアのガスを補うことができる。
【0039】
本実施形態に係る船舶1は、上述のガス処理システム100を備える。
【0040】
この船舶1によれば、上述のガス処理システム100と同趣旨の作用・効果を得ることができる。
【0041】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0042】
例えば、第1の供給ライン36及び第2の供給ライン37の構造は一例に過ぎず、各機器を変更、追加してもよい。また、供給部30は、第1の供給ライン36、及び第2の供給ライン37の少なくとも一方を有していればよく、他方を省略してもよい。
【符号の説明】
【0043】
1…船舶、30…供給部、31…アンモニアタンク(タンク)、34…供給対象部、36…第1の供給ライン、37…第2の供給ライン、100…ガス処理システム。
図1
図2