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特開2022-103069コンベア装置用挟圧保持装置およびこれを備えるコンベア装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022103069
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】コンベア装置用挟圧保持装置およびこれを備えるコンベア装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 15/02 20060101AFI20220630BHJP
   B65G 15/08 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
B65G15/02
B65G15/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021188897
(22)【出願日】2021-11-19
(31)【優先権主張番号】P 2020217708
(32)【優先日】2020-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】505328085
【氏名又は名称】古河産機システムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】横幕 歩
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼杉 孔介
(72)【発明者】
【氏名】葛山 達夫
【テーマコード(参考)】
3F023
【Fターム(参考)】
3F023AA02
3F023AB02
3F023BA04
3F023BB01
3F023BC02
3F023DA03
(57)【要約】
【課題】荷の逆流若しくは逸走を防止または抑制できる、垂直方向での連続搬送用として好適なコンベア装置用挟圧保持装置およびこれを備えるコンベア装置を提供する。
【解決手段】このコンベア装置1は、搬送経路に沿って無限循環される無端状のコンベアベルト50と、コンベアベルト50で搬送される荷Vの逆流若しくは逸走を防止する挟圧保持装置80と、を備える。コンベアベルト50は、搬送経路の少なくとも一部において、自身幅方向に二つ折りされてその横断面視が紡錘形状とされた垂下姿勢で支持されるとともに紡錘形状の内側に荷Vを抱えた状態で荷Vを搬送可能に構成される。挟圧保持装置80は、紡錘形状とされた垂下姿勢のコンベアベルト50をその紡錘部50bの両側方から挟圧する挟圧機構81を有する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紡錘形状とされた垂下姿勢のコンベアベルトを該コンベアベルトの両側方からの挟圧およびその解除が可能に設けられた挟圧機構を有することを特徴とするコンベア装置用挟圧保持装置。
【請求項2】
前記コンベアベルトは、搬送経路に沿って無限循環される無端状をなすとともに、前記搬送経路の少なくとも一部において、前記コンベアベルトが、自身幅方向に二つ折りされてその横断面視が紡錘形状とされた垂下姿勢で支持されるとともに前記紡錘形状の内側に荷を抱えた状態で荷を搬送するコンベア装置に用いられ、
前記紡錘形状とされた垂下姿勢の前記コンベアベルトを該コンベアベルトの両側方からの挟圧およびその解除によって、前記紡錘形状の内側に抱えられた荷の逆流若しくは逸走を防止する請求項1に記載のコンベア装置用挟圧保持装置。
【請求項3】
前記挟圧機構は、
前記紡錘形状とされた垂下姿勢の前記コンベアベルトの両側方に対をなして配置された挟圧体と、
該対をなす挟圧体のそれぞれまたは少なくとも一つを前記コンベアベルトの側方から前記挟圧をする方向に進退させるアクチュエータと、
を有する請求項1または2に記載のコンベア装置用挟圧保持装置。
【請求項4】
搬送経路に沿って無限循環される無端状のコンベアベルトと、該コンベアベルトで搬送される荷の逆流若しくは逸走を防止する挟圧保持装置と、を備え、
前記コンベアベルトは、前記搬送経路の少なくとも一部において、自身幅方向に二つ折りされてその横断面視が紡錘形状とされた垂下姿勢で支持されるとともに前記紡錘形状の内側に荷を抱えた状態で荷を搬送可能に構成され、
前記挟圧保持装置として、請求項2または3に記載のコンベア装置用挟圧保持装置が装備されていることを特徴とするコンベア装置。
【請求項5】
当該コンベア装置が停止された情報を取得する停止情報取得部と、該停止情報取得部で取得される停止情報に基づいて前記挟圧保持装置を制御する挟圧保持処理部と、を有する制御部を更に備え、
前記挟圧保持処理部は、
前記停止情報が取得されたときには、前記挟圧保持装置を駆動して前記紡錘形状の内側に抱えた荷の逆流若しくは逸走を防止する挟圧保持処理を実行し、
前記停止情報が取得されていないときには、前記挟圧保持装置を駆動させない通常搬送制御を実行させる、
ことを特徴とする請求項4に記載のコンベア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベア装置で運ばれる荷の滑落を制御する滑落制御技術に係り、本発明の滑落制御技術は、搬送経路に沿って無限循環される無端状のコンベアベルトを備えるコンベア装置に好適であって、特に、低い位置から高い位置に向けて若しくは高い位置から低い位置に向けて荷を搬送する際に好適に用い得る。
【背景技術】
【0002】
例えば、シールド工法においては、所定深度の立坑を構築した後、この立坑を通じてシールド掘削機を導入し、この掘削機により地下地盤の掘削を行なう。この種の地下工事では、掘削によって生じた掘削土砂を荷として、トンネル内から立坑を通じて地上部に荷を揚土し、地上部の土砂排出位置からダンプトラック等により排出するのが一般的である。
【0003】
ここで、ベルトコンベアを用いて荷を搬送する場合、従来のベルトコンベアによっては、荷を搬送し得る傾斜角度に限界がある。そのため、従来、立坑もしくは斜坑を介して掘削土砂を荷として搬送する場合には、各種の揚重機器を別途に要していた。
【0004】
そこで、このような問題に対し、例えば特許文献1には、掘削現場からの掘削土砂を、立坑を通じて地上部に搬出する際に好適なコンベア装置が開示されている。
同文献に記載のコンベア装置では、コンベアベルトを幅方向で二つ折りされた屈曲状態とするとともに、その屈曲状態に移行したときに、その横断面視が紡錘形状とされた垂下姿勢で支持され、掘削土砂等の荷を囲繞して保持した状態で搬送可能に構成される。
【0005】
同文献に記載のコンベア装置では、駆動モータの駆動によりコンベアベルトが搬送経路に沿って無限循環し、搬送経路の下方側の折り返し位置近傍にて、展開状態のコンベアベルト上に掘削土砂を載置する。
搬送時のコンベアベルトは、幅方向で二つ折りされた屈曲状態に移行したとき、載置された掘削土砂を紡錘形状とされた垂下姿勢で囲繞するように保持することができる。さらに、その保持状態を維持したままで搬送経路に沿って搬送経路の低い位置から高い位置に向けて掘削土砂を搬送できる。
【0006】
そのため、同文献に記載のコンベア装置によれば、従来のベルトコンベアに比べ、高揚程での搬送作業であっても、荷を搬送し得る傾斜角度を大きく設定可能である。また、搬送時に荷こぼれが生じることなく、垂直方向への連続搬送用のコンベア装置として好適である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2018-002404号公報(段落0009)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、同文献記載の技術であっても、紡錘形状とされた垂下姿勢での囲繞保持能力にも限界がある。そのため、より短い搬送経路によってより傾斜度の大きな揚程での搬送作業を実現する上では未だ検討の余地が残される。
【0009】
特に、紡錘形状とされた垂下姿勢での囲繞保持能力は、継続して搬送動作が実行されているときには問題なく搬送可能な量の荷であっても、傾斜度の大きな揚程で搬送を停止すると、搬送方向への惰性が失われることから、紡錘形状での囲繞保持力を超えて荷の落下(以下、コンベア装置を停止した際に搬送方向に対して重力により荷が逆方向に移動することを「逆流」ともいう)が生じる場合がある。
特に、揚程の上から下まで連鎖的に荷の逆流が続くと、逆流した荷のスタックによってコンベア装置の再起動が困難になったり、コンベアベルトやコンベア装置が損傷したりするおそれがある。
【0010】
また、高い位置から低い位置に向けて荷を搬送する際においても、コンベア装置を停止した際に、搬送方向に対して同方向に荷のずり落ち(以下、コンベア装置を停止した際に搬送方向に対して荷が同方向に移動することを「逸走」ともいう)が生じる場合がある。さらに、搬送方向にかかわらず、重力の影響によって荷の意図しない移動が生じることを「滑落」ともいう。
【0011】
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、コンベア装置で運ばれる荷の滑落を制御可能な滑落制御技術の提供を課題とし、特に、荷の逆流若しくは逸送の発生を防止または抑制可能とし、傾斜度の大きな揚程での連続搬送用として好適な、コンベア装置用挟圧保持装置およびこれを備えるコンベア装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るコンベア装置用挟圧保持装置は、紡錘形状とされた垂下姿勢のコンベアベルトを該コンベアベルトの両側方からの挟圧およびその解除が可能に設けられた挟圧機構を有することを特徴とする。
【0013】
ここで、本発明の一態様に係るコンベア装置用挟圧保持装置において、前記コンベアベルトは、搬送経路に沿って無限循環される無端状をなすとともに、前記搬送経路の少なくとも一部において、前記コンベアベルトが、自身幅方向に二つ折りされてその横断面視が紡錘形状とされた垂下姿勢で支持されるとともに前記紡錘形状の内側に荷を抱えた状態で荷を搬送するコンベア装置に用いられ、前記紡錘形状とされた垂下姿勢の前記コンベアベルトを該コンベアベルトの両側方からの挟圧およびその解除によって、前記紡錘形状の内側に抱えられた荷の逆流若しくは逸走を防止することは好ましい。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るコンベア装置は、搬送経路に沿って無限循環される無端状のコンベアベルトと、該コンベアベルトで搬送される荷の逆流若しくは逸走を防止する挟圧保持装置と、を備え、前記コンベアベルトは、前記搬送経路の少なくとも一部において、自身幅方向に二つ折りされてその横断面視が紡錘形状とされた垂下姿勢で支持されるとともに前記紡錘形状の内側に荷を抱えた状態で荷を搬送可能に構成され、前記挟圧保持装置として、本発明の一態様に係るコンベア装置用挟圧保持装置が装備されていることを特徴とする。
【0015】
本発明の一態様に係るコンベア装置用挟圧保持装置によれば、紡錘形状とされた垂下姿勢のコンベアベルトを該コンベアベルトの両側方からの挟圧およびその解除が可能に設けられた挟圧機構を有するので、搬送を停止するような場合に、紡錘形状での囲繞保持力にコンベアベルトの両側方からの挟圧力を加えるとともに、挟圧部での二つ折りされた部分の幅を狭くできる。そのため、コンベア装置で運ばれる荷の滑落を制御可能であり、これにより、紡錘形状の内側に抱えられた荷の逆流若しくは逸走を防止または抑制できる。
【発明の効果】
【0016】
上述したように、本発明によれば、コンベア装置で運ばれる荷の滑落を制御可能であり、荷の逆流若しくは逸走を防止または抑制できる。そのため、垂直方向での連続搬送用として好適な、コンベア装置用挟圧保持装置およびこれを備えるコンベア装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係るコンベア装置を備えるダム堤体の施工システムを示す模式的斜視図であり、同図は、千鳥状の搬送部が伸長された伸長状態のイメージを示している。
図2図1に示すコンベア装置の複数のコンベアフレームによって構成される千鳥搬送部を示す模式的斜視図である。
図3図1に示すコンベア装置の屈伸部を説明する図であり、(a)は図2でのX-X部分の模式的断面図、(b)は(a)でのA部拡大図である。
図4図1に示すコンベア装置の搬送案内部を説明する図であり、同図は図2でのY-Y部分の模式的断面図を示している。
図5図1に示すコンベア装置の、ヘッドの折り返し部(バッチャプラント内)を説明する模式的平面図である。
図6図1に示すコンベア装置の挟圧機構(挟圧保持装置)の第一態様を説明する図((a)は非挟圧状態、(b)は挟圧状態)であり、同図は図2でのW-W部分の模式的断面図を示している。
図7図1に示すコンベア装置の挟圧機構(挟圧保持装置)の第二態様を説明する図((a)は非挟圧状態、(b)は挟圧状態)であり、同図は図2でのW-W部分の模式的断面図を示している。
図8図1に示すコンベア装置の挟圧機構(挟圧保持装置)の第三態様を説明する図((a)は非挟圧状態、(b)は挟圧状態)であり、同図は図2でのW-W部分の模式的断面図を示している。
図9】本発明の一態様に係るコンベア装置の第二実施形態を説明する全体斜視図であり、同図では、伸縮可能な搬送部が全短縮された状態を示している。
図10図9の第二実施形態のコンベア装置の正面図である。
図11】第二実施形態での搬送部の千鳥状折返し部分の一部を拡大して示す斜視図である。
図12】第二実施形態での図10のA矢視での拡大図である。
図13】第二実施形態のコンベア装置を用いた延深工程の説明図であり、同図では、搬送部が全伸長された状態を示している。
図14】本発明に係るコンベア装置でのコンベアベルトの掛け回し形態の他の例を説明する模式図((a)は図9に示す第二実施形態での掛け回し形態の模式図、(b)は第二実施形態の他の例として示す早戻しの掛け回し形態の模式図)である。
図15】本発明の一態様に係るコンベア装置の制御部が実行する挟圧保持処理の一実施形態を説明するブロック図(a)およびフローチャート(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。なお、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
【0019】
[第一実施形態]
第一実施形態は、荷の滑落制御の例として、逸送の発生防止を目的として、ダム堤体の施工システムに適用した例であって、バッチャプラントから堤体に至るインクライン斜面に沿って配置された、本発明の第一実施形態に係るコンベア装置を用いてダムの堤体を施工する例である。本実施形態では、CSG混合物を層状に積み上げて台形CSGダムの堤体を施工する。
【0020】
図1に示すように、本実施形態のダム堤体の施工システムは、インクライン斜面Sに対し、斜面上部から順に、バッチャプラントBと、第一実施形態のコンベア装置1と、スプレッダCと、が装備されたインクライン設備Lを備える。
インクライン斜面Sには、バッチャプラントBからダムの堤体Tに至る斜面に沿ってレールRが敷設され、不図示の駆動機器を駆動して、インクライン斜面Sに沿ってスプレッダCを昇降可能に構成されている。
【0021】
コンベア装置1は、インクライン斜面Sの上側に位置するヘッド部41と、インクライン斜面Sの下側に位置するテール部42と、ヘッド部41とテール部42との間に相互を繋ぐように設けられた千鳥搬送部40と、を有する。
千鳥搬送部40は、インクライン斜面Sに沿って複数(この例では6台)のコンベアフレーム10A~10Fが千鳥状に延在配置されることで構成される。つまり、本実施形態では、インクライン斜面Sがコンベア設置面になっている。インクライン斜面Sの上部に位置するヘッド部41は、コンベアフレーム10A~10Fによる千鳥状の搬送経路に対し、傾斜姿勢でバッチャプラントBのプラント内まで延設されている。
【0022】
複数のコンベアフレーム10A~10Fは、複数の折り返し点Q1~Q6の位置で折り返された千鳥姿勢Zで、バッチャプラントBから堤体Tに至るインクライン斜面Sに沿って配置される。
コンベアフレーム10A~10Fには、コンベアフレーム10A~10Fに沿ってCSG混合物を搬送可能に、図2に示すコンベアベルト50が掛け回される。コンベアベルト50は、コンベア装置1のヘッド部41およびテール部42と複数のコンベアフレーム10A~10Fとに掛け回される無端状ベルトである。
【0023】
本実施形態のコンベアベルト50は、図2および図3に示すように、自身幅方向で二つ折りされて横断面視が紡錘形状とされた屈曲状態で、上側の往路用プーリ75に自身上縁部52が支持されるように巻回されるとともに、下側の復路用プーリ76に自身上縁部52が支持されるように巻回されている。
【0024】
コンベアベルト50は、ヘッド部41およびテール部42では、インクライン斜面Sの斜面方向に延びる千鳥搬送部40における搬送方向の上方側及び下方側のそれぞれ折り返し位置で折り返される。
そして、コンベアベルト50は、それぞれの折り返し位置(またはその近傍)で自身幅方向に展開(または拡幅)された展開状態で循環するように掛け回される。また、図1に示すテール側折り返しプーリ42p及びヘッド側折り返しプーリ41pは、ヘッド部41およびテール部42それぞれの折り返し位置でコンベアベルト50を張設するように支持している。
【0025】
このコンベア装置1では、千鳥搬送部40において、千鳥状の搬送経路は、図2に示すように、折り返し点Q1~Q6を形成するための屈伸部70を有する。屈伸部70は、二基以上のコンベアフレーム10A~10Fのうち、隣接して配置されるコンベアフレーム相互を、相互の端部の位置で支軸まわりに回動可能に連結するように設けられている。
【0026】
本実施形態の屈伸部70は、各折り返し点Q1~Q6において同様な構成を有するので、以下、一の屈伸部70について、図2図4を参照しつつ説明する。また、複数のコンベアフレーム10A~10Fは、基本的には同様の構成を有するので、以下、特に区別しない場合には、代表符号「10」として説明する。
【0027】
屈伸部70は、図2に示すように、隣接して配置されるコンベアフレーム10の端部に設定され、本実施形態においては、各折り返し点Q1~Q6にて、斜面対向方向から見て千鳥形状に折り返される。屈伸部70は、インクライン斜面Sの高さ方向にて隣接して配置されるコンベアフレーム10相互を伸縮するように機能する。
【0028】
屈伸部70は、図3に要部断面図を示すように、軸線がインクライン斜面Sに対して直交方向に延びるように配置される回動支軸72を備える。回動支軸72は、その上端が隣り合うコンベアフレーム10の天板11に上部軸受73を介して一方が固定され他方が回転自在に支持され、下端が隣り合うコンベアフレーム10の底板12に一方が固定され他方が下部軸受74を介して回転自在に支持される。なお、天板11と底板12とは、相互に複数の支柱13によって連結されている。
【0029】
各屈伸部70には、回動支軸72のそれぞれに、上下で一対をなして配置される往路用プーリ75および復路用プーリ76が設けられている。また、各コンベアフレーム10の往路および復路の途中部分には、搬送方向に離隔して搬送案内部60が複数個所に設けられる。
【0030】
各屈伸部70には、図3(a)に示すように、天板11の上面に駆動モータ71が設けられる。駆動モータ71の出力軸は、カップリング77を介して回動支軸72の上端に連結されている。回動支軸72は、往路用プーリ75に対しては、往路用プーリ75の中心に設けられたキー結合ボス部78にキー結合されている。
【0031】
一方、復路用プーリ76に対しては、復路用プーリ76の中心に設けられた軸受介装ボス部79に軸受を介して回転自在に支持されている。これにより、本実施形態のコンベア装置1は、各回動支軸72に設けられた往路用プーリ75を駆動プーリとし、復路用プーリ76を連れ回りする従動プーリとして構成されるとともに、複数の駆動モータ71が分散配置され、分散型の駆動機構を構成している。
【0032】
本実施形態のコンベアベルト50は、幅方向で二つ折りされた屈曲状態で千鳥状の搬送経路に沿って各折り返し点Q1~Q6の往路用プーリ75の外周に順に上縁部52が支持されるように巻回される。
コンベアベルト50の上縁部52は、同図(b)に示すように、一方側の凸端部52aと他方側の凸端部52bとで構成され、幅方向に二つ折りされた屈曲状態において、両凸端部52a、52bの凸の側が同じ側を向いて並ぶように形成されている。両凸端部52a、52bの内部にはワイヤが埋入されている。
【0033】
また、往路用プーリ75すべての外周面にも、断面台形形状に形成されたコンベアベルト50の両凸端部52a、52bが嵌合される、断面台形形状に形成された凹部75a、75bが円環状に形成され嵌合される。
そのため、コンベアベルト50の上縁部52は、凹部75a、75bとの凹凸嵌合による適切な摩擦力によって往路用プーリ75の外周面で支持されながら駆動され、コンベアベルト50は確実に無限循環できる。なお、本実施形態では、復路用プーリ76は従動プーリであるため、その外周面は平滑な面とされたフラットプーリが採用されている。
【0034】
これにより、コンベアベルト50は、幅方向で二つ折りされた屈曲状態で千鳥状の搬送経路に沿って各折り返し点Q1~Q6の復路用プーリ76の外周に順に上縁部52の平坦側の面が支持されるように巻回される。また、コンベアベルト50は、搬送経路の上方側に位置するヘッド部41と搬送経路の下方側に位置するテール部42とのそれぞれの折り返し位置で折り返される。
【0035】
さらに、コンベアベルト50は、千鳥搬送部40において、幅方向に二つ折りされた屈曲状態のコンベアベルト50の上縁部52が、複数の搬送案内部60によって支持される。
各搬送案内部60は、図4に要部断面を示すように、天板11の裏面に取り付けられたブラケット61と、ブラケット61外側の位置に取り付けられた円筒状の外側支持ローラ62と、外側支持ローラ62に対してブラケット61内側下方の位置に斜めに取り付けられた円筒状の内側支持ローラ63と、を有する。屈曲状態のコンベアベルト50の上縁部52は、外側支持ローラ62と内側支持ローラ63とで両側から挟持される。
【0036】
ヘッド部41の折り返し位置には、図5に模式図を示すように、ヘッド側折り返しプーリ41pが設けられている。ヘッド側折り返しプーリ41pは、不図示のプーリ支持部材にて回転可能に支持され、当該折り返し位置でコンベアベルト50を張設するように支持しつつ案内する。
ヘッド部41の搬送路の途中部分の適所は、上記搬送案内部60によって所定の離隔距離にて支持される。さらに、往路側におけるヘッド部41の近傍に、コンベアベルト50を幅方向に拡幅展開する投入部41nが設けられ、投入部41nの上方からCSG混合物を投入可能になっている。
【0037】
テール部42の折り返し位置には、図2に示すように、テール側折り返しプーリ42pが設けられている。テール側折り返しプーリ42pは、不図示のプーリ支持部材にて回転可能に支持され、当該折り返し位置でコンベアベルト50を張設するように支持しつつ案内する。そして、テール側折り返しプーリ42pによりコンベアベルト50が幅方向に拡幅展開され、CSG混合物をスプレッダCに向けて受け渡し可能になっている。
【0038】
さらに、テール部42の折り返し位置の復路側近傍には、不図示の反転装置が設けられ、この反転装置によって往路側での紡錘状垂下姿勢と同じ姿勢(但し、図3に示したように、内外の面の向きは逆方向)になるようにコンベアベルト50の天地が反転されて幅方向に二つ折りの屈曲状態とされ、復路側に送り出されるようになっている。このようにして、コンベアベルト50は、駆動モータ71が駆動している限り往路側と復路側を繰り返し無限循環される。
【0039】
さらに、このコンベア装置1は、図2に示すように、各屈伸部70に対して、隣接されたコンベアフレーム10相互を屈伸部70の位置で下方から支持する支持台車20、30を有する。複数のコンベアフレーム10A~10Fは、各屈伸部70の位置に、支持台車20、30がそれぞれ配置される。支持台車20、30は、図1に示すケーブルWの巻回によって斜面に沿って移動可能に構成されている。
【0040】
本実施形態では、図2に示すように、複数の支持台車20、30は、斜面に沿って千鳥状に折り返された千鳥姿勢に対して、斜面に沿って一方の側(同図右側)に並ぶ屈伸部70を支える第一の台車20と、斜面に沿って他方の側(同図左側)に並ぶ屈伸部を支える第二の台車30と、を有する。
【0041】
第一の台車20は、一方の側に並ぶ屈伸部70の下部にてコンベアフレーム10を載置する載置面21と、載置面21の下面に斜面勾配方向に離隔して設けられた二基の車台22と、各車台の左右に車軸回りに回転自在にそれぞれ設けられたホイル23とを有し、斜面の上下方向に形成された軌道TR上に沿って移動可能に設けられている。
【0042】
第二の台車30は、他方の側に並ぶ屈伸部70の下部にてコンベアフレーム10を載置する載置面31と、載置面31の下面に斜面勾配方向に離隔して設けられた二基の車台32と、各車台の左右に車軸回りに回転自在に且つ軌道TRの延在方向と直交する方向にも移動可能にそれぞれ設けられたオムニホイル33とを有する。
【0043】
ここで、このコンベア装置1は、千鳥搬送部40において、幅方向に二つ折りされた屈曲状態のコンベアベルト50には、図2および図3に示すように、複数の搬送案内部60の間の適当な位置(例えば中央の位置)に、コンベアベルトの両側方からの挟圧およびその解除が可能に設けられた挟圧保持装置80が複数の箇所に設けられている。
【0044】
詳しくは、各挟圧保持装置80は、図6に要部断面を示すように、天板11の裏面から垂下するように取り付けられた挟圧用ブラケット82と、挟圧用ブラケット82の内面側に装備された挟圧機構81と、を備えて構成されている。
挟圧機構81は、挟圧用ブラケット82の内面側に対向するように取り付けられて一対をなす円筒状の挟圧ローラ83と、一対の挟圧ローラ83に対して挟圧用ブラケット82の内面に、コンベアベルト50の両側方からの挟圧およびその解除が可能にそれぞれ設けられたアクチュエータ84と、を有する。なお、同図での符号Vは荷であるCSG混合物を示している。
【0045】
同図の例でのアクチュエータ84は、油圧シリンダである。また、一対の挟圧ローラ83は、それぞれの軸線が縦に配置されたピンチローラであり、相互の対向方向に前後することで挟圧体として機能する。
これにより、このコンベア装置1では、屈曲状態のコンベアベルト50の紡錘部50bは、各挟圧保持装置80に装備された挟圧機構81のアクチュエータ84の進退駆動によって一対の挟圧ローラ83が相互の対向方向に前後することにより、紡錘部50bの両側方からの挟圧およびその解除が可能になっている。
【0046】
ここで、本実施形態では、各挟圧保持装置80は、コンベア装置1に装備されたコントローラ若しくはシステム全体を監視する管理コンピュータ等の情報処理装置によって構成される制御部にて、挟圧保持処理のプログラムが実行されることで駆動される。
つまり、本実施形態のコンベア装置1では、図15(a)に示すように、制御部90は、当該コンベア装置1が停止された情報を取得する停止情報取得部91と、停止情報取得部91で取得される停止情報に基づいて各挟圧保持装置80の挟圧機構81を制御する挟圧保持処理部92と、を備える。本実施形態のコンベア装置1では、停止情報取得部91は、駆動モータ71における電流値を監視し、駆動モータ71の電流値から、コンベア装置1が稼働状態であるか停止状態であるかを判定する。
【0047】
そして、挟圧保持処理部92は、図15(b)にフローチャートを示すように、挟圧保持処理が実行されると、ステップS10に移行して、停止情報の取得状況を監視し、停止情報が取得されたときにはステップS20に移行し、そうでないときはステップS30に移行する。
ステップS20(停止情報が取得されたとき)は、各挟圧保持装置80の挟圧機構81を駆動して紡錘形状の内側に抱えた荷Vの逸送を防止する挟圧保持処理を実行する。また、ステップS30(停止情報が取得されていないとき)は、挟圧保持装置80を駆動させないでシステム全体を監視する管理コンピュータ等による通常搬送制御に処理を戻すように構成されている。
【0048】
次に、上述した第一実施形態のコンベア装置1を用いてダムの堤体を施工する方法について説明する。
第一実施形態のコンベア装置1によりCSG混合物を搬送する際は、コンベアベルト50の往路側におけるヘッド部41での折り返し位置近傍に設けられた投入部41nでコンベアベルト50が幅方向に展開状態となったところで、CSG混合物(つまり、図6での荷V)がバッチャプラントからコンベアベルト50上に載置される。
【0049】
次いで、コンベアベルト50が幅方向で二つ折りされた屈曲状態となったときに、載置されたCSG混合物は、コンベアベルト50により囲繞するように保持される。コンベアベルト50は、幅方向で二つ折りされた屈曲状態で、各折り返し点Q1~Q6の往路用プーリ75の各外周を順に案内されて、各折り返し点Q1~Q6で搬送経路の向きを屈伸部70の折り返し角に応じて変えつつ、複数のコンベアフレーム10A~10Fに沿って千鳥状に下降するようにCSG混合物が搬送される。
【0050】
各コンベアフレーム10の途中部分では、往路側において、幅方向で二つ折りされた屈曲状態のコンベアベルト50の上縁部52は、複数の搬送案内部60で支持されているため、コンベアベルト50の屈曲状態は確実に維持される。
そして、CSG混合物は、コンベアベルト50によって保持状態が維持されたまま千鳥搬送部40を各折り返し点Q1~Q6で搬送経路の向きを屈伸部70の折り返し角に応じて変えつつ、千鳥搬送部40を千鳥状に下降してテール部42まで搬送される。
【0051】
テール部42では、CSG混合物は、折り返し位置でコンベアベルト50が幅方向に展開状態となったときに、コンベアベルト50からスプレッダCへと取り出される。CSG混合物が取り出されたコンベアベルト50は、テール側折り返しプーリ42pで展開状態のまま折り返されて方向転換する。その後、復路側近傍に設けられた反転装置によって往路側での紡錘状垂下姿勢と同じ姿勢になるように天地が反転されて幅方向に二つ折りの屈曲状態とされて千鳥搬送部40の往路側に送り出される。
【0052】
更に、千鳥搬送部40では各折り返し点Q1~Q6で搬送経路の向きを屈伸部70での屈伸角に応じて変えつつ千鳥状に上昇し、ヘッド部41に搬送されて元の位置に戻る。これにより連続的にCSG混合物を搬送できる。
【0053】
第一実施形態のコンベア装置1によれば、コンベアベルト50が、往路側及び復路側とも(折り返し位置とその近傍を除く)、搬送中において幅方向に二つ折りの屈曲状態となっており、CSG混合物は、屈曲状態のコンベアベルト50により囲繞するように保持されるので、インクライン斜面Sでの荷こぼれを防止又は抑制できる。
特に、CSG混合物を連続搬送する際に、急こう配での搬送に際しても荷こぼれを確実に防止できる。そのため、ダム堤体の施工に適用するときに、バッチャプラントBからインクライン斜面Sを利用してCSG混合物を搬送する際に好適である。
【0054】
また、第一実施形態のコンベア装置1によれば、CSG混合物が屈曲状態のコンベアベルト50により囲繞するように保持されるので、CSG混合物を搬送中に緊急停止したとしても荷こぼれのおそれはない。
【0055】
さらに、本実施形態のコンベア装置1によれば、CSG混合物を搬送中にコンベア装置1を緊急停止したとしても、コンベアベルト50で搬送される荷Vの逸送を防止する挟圧保持装置80が適所に装備されており、各挟圧保持装置80は、紡錘形状とされた垂下姿勢のコンベアベルト50の紡錘部50bをその両側方から挟圧する挟圧機構81を有するので、荷であるCSG混合物の逸送を防止または抑制でき、垂直方向での連続搬送用として優れている。
【0056】
特に、本実施形態のコンベア装置1では、制御部90が、停止情報取得部91にて、駆動モータ71における電流値からコンベア装置1が稼働状態であるか停止状態であるかを判定するための停止情報を取得することができる。また、挟圧保持処理部92が取得される停止情報の有無を監視して、コンベア装置1が稼働状態であるか停止状態であるかを判定できる。
そして、挟圧保持処理部92は、コンベア装置1が停止状態であることを示す停止情報が取得されたときには、各挟圧保持装置80の挟圧機構81を駆動して、コンベアベルト50の紡錘部50bの内側に抱えた荷Vの逸送を防止する挟圧保持処理を実行するので、迅速に、荷であるCSG混合物の逸送を防止または抑制できる。
【0057】
なお、本発明に係る挟圧保持装置およびこれを備えるコンベア装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能であることは勿論である。
例えば、上記実施形態では、コンベア装置1が挟圧保持処理を実行可能な制御部90を備えており、この制御部90が、駆動モータ71における電流値を監視して、駆動モータ71の電流値から、コンベア装置1が稼働状態であるか停止状態であるかを判定することで、各挟圧保持装置80を自動的に作動させる例を示したが、これに限定されない。
例えば、コンベア装置1のオペレータが、コンベア装置1を停止させるときに、これと同時に若しくは僅かに前後して、手動操作によって各挟圧保持装置80を作動させるように構成することができる。
【0058】
また、例えば上記第一実施形態では、荷の滑落制御の例として、逸送の発生防止を目的とし、高い位置から低い位置に向けて荷Vを搬送する例として、ダムの堤体施工現場への適用例について示したが、これに限定されるものではない。例えば、荷として、石炭などの貯蔵物を貯蔵するサイロへの貯蔵物の搬送にも用いることができる。
【0059】
また、例えば上記実施形態では、各挟圧保持装置80の挟圧機構81は、図6に示した第一態様のように、挟圧体として、一対の挟圧ローラ83をピンチローラとして用いるとともに、アクチュエータ84として油圧シリンダを用い、屈曲状態のコンベアベルト50の紡錘部50bを一対の挟圧ローラ83で両側から挟持する例を示したが、これに限定されない。
【0060】
例えば、一対の挟圧ローラ83は、搬送方向とは直交する方向で互いに向かい合うように対向配置された例を示したが、これに限定されず、紡錘部50bを両側から挟持可能な範囲であれば、搬送方向に前後して配置してもよい。また、挟圧体はピンチローラに限定されないし、また、アクチュエータについても、油圧シリンダに限定されず、空圧シリンダを採用してもよい。
【0061】
例えば、図7に挟圧保持装置80の第二態様を示す。
同図に示す例では、各挟圧保持装置80は、天板11の裏面から垂下するように取り付けられた挟圧用ブラケット82と、紡錘部50bをその両側方から挟圧する挟圧機構81と、を備える。挟圧機構81は、挟圧用ブラケット82の内面側に対向するように取り付けられて一対をなす円筒状の挟圧ローラ83と、一対の挟圧ローラ83に対して挟圧用ブラケット82の内面に、コンベアベルト50の紡錘部50bをその両側方からの挟圧およびその解除が可能に設けられた電磁ソレノイド式のアクチュエータ84と、を有する。
同図の例では、アクチュエータ84が電磁ソレノイド駆動で進退するイメージをばね様の図で示している。挟圧機構81がこのような構成であっても、屈曲状態のコンベアベルト50の紡錘部50bを一対の挟圧ローラ83で両側から挟持およびその解除が可能である。
【0062】
また、例えば、図8に挟圧保持装置80の第三態様を示す。
同図に示す例では、各挟圧保持装置80は、天板11の裏面から垂下するように取り付けられた挟圧用ブラケット82と、紡錘部50bをその両側方から挟圧する挟圧機構81と、を備える。
挟圧機構81は、挟圧用ブラケット82の内面側に対向するように取り付けられて対向配置されて膨張および収縮可能な一対をなす挟圧体であるゴムチューブ83と、一対のゴムチューブ83を膨張および収縮可能に配設された切換え弁85および圧縮空気供給装置86と、を有する。
挟圧機構81がこのような構成であっても、切換え弁85の切換動作により、一対のゴムチューブ83を膨張および収縮させることで、屈曲状態のコンベアベルト50の紡錘部50bを、一対のゴムチューブ83で両側から挟持およびその解除が可能となる。
【0063】
また、本発明に係る挟圧保持装置およびこれを備えるコンベア装置は、荷の滑落制御の例として、上述した第一実施形態のように、逸送の発生防止を目的として、高い位置から低い位置に向けて荷を搬送する場合に限らず、逆流の発生防止を目的として、低い位置から高い位置に向けて荷を搬送する用途にも適用できる。
以下、第二実施形態では、荷の滑落制御の他の例として、逆流の発生防止を目的として、低い位置から高い位置に向けて荷を搬送する例として、トンネル工事において、立坑もしくは斜坑を介して地下掘削現場から掘削した土砂を、立坑もしくは斜坑を通じて地上部に搬出する例を示す。
【0064】
[第二実施形態]
以下、本発明の第二実施形態について図面を適宜参照しつつ説明する。第二実施形態は、低い位置から高い位置に向けて荷を搬送する例であって、地下の施工現場から地上部まで配置されたコンベア装置を用いる例である。
【0065】
図9に示すように、第二実施形態のコンベア装置1は、地下の施工現場Uに、投入ステーションが配置される。この例では、コンベア装置1を支持する支持梁Nは建設される建物本体の地下躯体である。
地下の施工現場Uには、第二実施形態のコンベア装置1が地上から降下されて設置されるが、その準備として、予め、コンベア装置1の基台となる枠状のベースフレーム181が支持梁Nを用いて装備され、このベースフレーム181に、案内部となるガイドレールRが、地上部Gから地下躯体の施工現場Uに至る延深方向に沿って垂直に付設される。
【0066】
詳しくは、第二実施形態のコンベア装置1は、同図に示すように、地下の施工現場Uの最上部の位置で地上部Gに延設される排出ステーションを含むテール部42と、施工現場Uの下側に位置する投入ステーションを含むヘッド部41と、ヘッド部41とテール部42との間に相互を繋ぐように設けられる搬送部40と、を備える。
【0067】
搬送部40は、複数の折り返しフレーム170を有する。本実施形態では、図13に示す複数の折り返し点P1~P5を形成するように、5基の折り返しフレーム170が装備される(図10図13参照)。複数の折り返しフレーム170の間には、後述するように、複数のコンベアフレーム10が所定の千鳥姿勢に配置される。
【0068】
複数の折り返しフレーム170は、図11に搬送部40の千鳥状折返し部分を拡大図示するように、下部に位置する折り返しフレーム170が、ワイヤロープ55によって垂下され、ウインチ56を含む駆動機器を地上部Gで駆動することにより、ワイヤロープ55の巻回によってガイドレールRに沿った垂直な方向を伸縮方向としてスライド移動し、地下の施工現場Uに向けて、垂直な延深方向に沿って展開移動および格納移動(以下、本実施形態では「昇降」ともいう)可能に構成される。
【0069】
複数の折り返しフレーム170は、図11に示すように、幅方向の一方側と他方側とに対向して隣接して配置されるコンベアフレーム10の端部の位置に設置される。本実施形態においては、各折り返し点P1~P5にて、延深方向での延深動作に必要な伸縮量に応じた数(本実施形態の例では5基)が延深方向に積層して配置される。
【0070】
そして、第二実施形態のコンベア装置1は、搬送部40において、複数のコンベアフレーム10が、複数の折り返しフレーム170相互間に、延深方向とは交差する幅方向の一方側と他方側とで互い違いの千鳥姿勢になるように、延深方向に積層して配置された複数の折り返しフレーム170の順に前後して架け渡される。
【0071】
複数のコンベアフレーム10は、千鳥姿勢に配置された複数の折り返しフレーム170に、後述するコンベアベルト50が、螺旋姿勢となるように折り返された状態で順に掛け回され、地上部Gから地下躯体の施工現場Uに延深方向に沿って配置される。本実施形態の搬送部40においては、コンベアベルト50の往路および復路それぞれが螺旋状に形成されるように、往路および復路それぞれに対し、コンベアフレーム10が架け渡される。
【0072】
本実施形態の例では、複数のコンベアフレーム10は、複数の折り返しフレーム170相互間に、各折り返しフレーム170の上下の二段に架け渡されることで、一の折り返しフレーム170に対して幅方向に二基のコンベアフレーム10が往路および復路それぞれに設けられ、各折り返しフレーム170において、4基のコンベアフレーム10が支持された構成になっている。上段のコンベアフレーム10が、螺旋状に掛け回された無端状のコンベアベルトの往路を構成し、下段のコンベアフレーム10が、螺旋状に掛け回された無端状のコンベアベルトの復路を構成している。
【0073】
5基の折り返しフレーム170の位置には、それぞれの折り返しフレーム170に対して、図示を省略する回動支持部が設けられる。各回動支持部は、複数のコンベアフレーム10を、その端部の位置にて延深方向に対して直交する水平な軸まわりで、それぞれの折り返しフレーム170に対して回動可能に支持する。
また、折り返しフレーム170の位置には、回動支持部に加え、各コンベアフレーム10の少なくとも一方の端部の支持位置を、延深動作に応じた前後方向での長さの変化を吸収するようにスライド移動させる、図示を省略する幅員補正部が設けられる。
【0074】
なお、本実施形態の5基の折り返しフレーム170は、配置位置と配置姿勢以外、同様な構成を有するので、各折り返し点P1~P5における特定をする場合を除き、一の折り返しフレームについて説明する。また、複数のコンベアフレーム10についても、配置位置と配置姿勢以外、基本的には同様の構成を有する。
【0075】
各折り返しフレーム170は、図11に示すように、枠体状に構成されており、上下に配置される往路用コンベアフレーム10および復路用コンベアフレーム10が所定の位置に支持されてそれぞれ架け渡されるようになっている。また、各コンベアフレーム10の往路および復路の途中部分には、搬送方向に離隔して複数の搬送案内部60が適所に設けられる。
【0076】
各コンベアフレーム10は、長尺な一条のコンベアアーム111と、コンベアアーム111の両端にそれぞれ装着される一対のプーリフレーム120、130と、を有する。各折り返しフレーム170の位置に、一対のプーリフレーム120、130がそれぞれ配置される。
一対のプーリフレーム120、130は、各コンベアフレーム10が延深方向に沿って順に折り返すように配置された千鳥姿勢に対して、延深方向に沿って前後方向での一方の側(図11の右側)に並ぶ折り返しフレーム170に架け渡されるコンベアアーム111の端部と、延深方向に沿って前後方向での他方の側(図11の左側)に並ぶ折り返しフレーム170に架け渡されるコンベアアーム111の端部と、を交互に支えるように配置される。
【0077】
従動プーリフレーム120の下部側面には、水平方向に張り出す支軸122が設けられる。また、駆動プーリフレーム130の下部側面には、水平方向に張り出す支軸132が設けられる。各プーリフレーム120、130の支軸122、132は、折り返しフレーム170に設けられた支軸受板176に形成された支軸部に回転自在に嵌め込まれる。
【0078】
一対のプーリフレーム120、130は、各折り返しフレーム170の位置でコンベアアーム111の両端を回動可能に支持した状態で、コンベアアーム111が一対のプーリフレーム120、130を介して各折り返しフレーム170に架け渡される。これにより、本実施形態のコンベア装置1には、複数のコンベアフレーム10をその端部の位置にて伸縮方向に対して直交する軸まわりで回動可能に支持する回動支持部が各折り返しフレーム170の位置に構成される。
【0079】
また、各折り返しフレーム170の位置には、駆動プーリフレーム130の上部に駆動モータ35が設けられている。駆動モータ35の出力軸は駆動プーリ34に連結されている。一方、従動プーリフレーム120に対しては、復路の従動プーリ24の中心に設けられた従動プーリ軸25に軸受を介して回転自在に支持されている。
これにより、第二実施形態のコンベア装置1は、一対のプーリフレーム120、130のうち、駆動プーリフレーム130に設けられた駆動プーリ34と、これと連れ回りするように従動プーリフレーム120に設けられた従動プーリ24とが、各折り返しフレーム170の幅方向の位置で対をなして構成され、各対において、複数の駆動モータ35が分散配置され、分散型の駆動機構を構成している。
【0080】
コンベアベルト50は、搬送部40においては、第一実施形態同様に、自身幅方向で二つ折りされて横断面視が紡錘形状とされた屈曲状態とされ、往路においては、複数のプーリ24,34に自身上縁部が支持されるように巻回されるとともに、復路においては駆動部を設けておらず、複数のフラットプーリに自身上縁部が支持されるように巻回される。
【0081】
また、コンベアベルト50は、ヘッド部41およびテール部42においては、地下躯体の施工現場Uの延深方向に延びる搬送部40における搬送方向の上方側及び下方側のそれぞれの折り返し位置で折り返されるとともに、それぞれの折り返し位置(またはその近傍)で自身幅方向に展開(または拡幅)された展開状態で循環するように掛け回される。
コンベアベルト50の基本的な掛け回し構造は、第一実施形態同様なので細部の説明は省略する。なお、第二実施形態では、テール側折り返しプーリ42pは、折り返し位置でコンベアベルト50を張設するように支持しつつコンベアベルト50を幅方向に拡幅展開して、地上部Gの位置で掘削土砂をトラックDに向けて受け渡し可能になっている。また、テール部42の折り返し位置の復路側近傍には、不図示の反転装置が設けられる。コンベアベルト50は、各駆動モータ35が駆動している限り、往路側と復路側を繰り返し無限循環される。
【0082】
また、コンベアベルト50は、ベルト幅方向で二つ折りされた屈曲状態で、往路では、螺旋状の搬出経路に沿って、各折り返し点P1~P5の一対のプーリフレーム120、130の駆動プーリ34および従動プーリ24の外周に、順に上縁部52が支持されるように巻回される。コンベアベルト50の上縁部の支持構造についても、第一実施形態同様なので説明を省略する。
【0083】
往路側におけるヘッド部41の近傍には、図13に示すように、コンベアベルト50を幅方向に拡幅展開する投入部41nに投入ホッパJが設けられ、投入部41nの上方から、図13に示すような建機M等により掘削土砂を投入ホッパJに投入可能になっている。なお、本実施形態のヘッド部41は、最下部の折り返しフレーム170Zに対して水平な姿勢で固定される。
【0084】
第二実施形態のヘッド部41は、全体の伸縮姿勢に応じたコンベアベルト50の張設状態を調整するルーパ機能を第二の幅員補正部(図示略)として備え、ヘッド側折り返しプーリ41pの前後方向での位置を、延深動作に応じた幅員の変化を吸収するようにスライド移動可能になっている。なお、ルーパ機能を配備する位置は、ヘッド部41に限定されず、テール部42に設けてもよい。
【0085】
ヘッド部41の搬出路の途中部分の適所は、上記搬送案内部60によって所定の離隔距離にて支持される。搬送案内部60についても第一実施形態同様の構成である。さらに、第二実施形態では、図9図11に示すように、コンベアアーム111には、その途中部分のいくつかの搬送案内部60に替えて、途中部分の適所に、第一実施形態同様の挟圧保持装置80が配置されている。
【0086】
次に、上述した第二実施形態のコンベア装置1を用いる工法例について説明する。
例えば逆打ち工法の採用に際しては、地下部分の掘削に伴って発生する掘削土砂の地上部への搬出をどのように行うかが工期短縮に大きく影響する。
これに対し、第二実施形態のコンベア装置1を用いる場合、建物本体による支持梁Nに対してベースフレーム181を設ける。次いで、地上部Gにおいて、搬送部40の全体を短縮状態として、ベースフレーム181の上方から、不図示のクレーン等の機器によって、ワイヤロープで支持しつつガイドレールRに沿って搬送部40の全体を降下させて初期位置に配置する。
【0087】
搬送部40では、各折り返し点P1~P5で搬出経路の傾きを折り返しフレーム170に対して架け渡される複数のコンベアフレーム10の屈伸角に応じて変えつつ螺旋状に下降する。ヘッド部41および搬送部40の最下部が接地したら、ワイヤロープを僅かに牽引して、ヘッド部41および搬送部40をワイヤロープで支持して接地姿勢が保持される。
【0088】
次いで、コンベア装置1により、コンベアベルト50の往路側におけるヘッド部41での折り返し位置近傍に設けられた投入部41nでコンベアベルト50が幅方向に拡幅展開された展開状態となった位置で、地下から掘削土砂が建機M等によりコンベアベルト50上に載置される。
【0089】
コンベアベルト50は、コンベアベルト50が幅方向で二つ折りされた屈曲状態となったときに、載置された掘削土砂がコンベアベルト50により囲繞するように保持する。コンベアベルト50は、幅方向で二つ折りされた屈曲状態で、各折り返し点P1~P5の往路用プーリ75の各外周を順に案内され、各折り返し点P1~P5で搬出経路の向きを各折り返しフレーム170に対して架け渡される複数のコンベアフレーム10の折り返し角に応じて変えつつ、複数のコンベアフレーム10に沿って螺旋状に上昇するようにして掘削土砂が地上部Gへと搬出される。
【0090】
各コンベアフレーム10の途中部分では、往路側において、幅方向で二つ折りされた屈曲状態のコンベアベルト50の上縁部52は、複数の搬送案内部60で支持されているため、コンベアベルト50の屈曲状態は確実に維持される。
そして、掘削土砂は、コンベアベルト50によって保持状態が維持されたまま搬送部40を各折り返し点P1~P5で搬出経路の向きを折り返しフレーム170に対して架け渡される複数のコンベアフレーム10の折り返し角に応じて変えつつ、搬送部40を螺旋状に上昇して地上部Gのテール部42に搬出される。
【0091】
テール部42では、掘削土砂は、折り返し位置でコンベアベルト50が展開状態となったときにトラックDへと取り出される。掘削土砂が取り出されたコンベアベルト50は、テール側折り返しプーリ42pで展開状態のまま折り返されて方向転換する。
【0092】
その後、コンベアベルト50は、折り返し位置の復路側近傍に設けられた反転装置によって往路側での紡錘状垂下姿勢と同じ姿勢になるように天地が反転されて幅方向に二つ折りの屈曲状態とされ、再び搬送部40の往路側に向けて送り出され、これにより、連続的に掘削土砂を地下から地上へと垂直方向に搬出できる。
【0093】
第二実施形態のコンベア装置1によれば、各折り返しフレーム170の昇降によって、幅方向および積層方向に隣接して配置されるコンベアフレーム10相互の配置姿勢を屈伸できる。よって、ヘッド部41またはテール部42の配置位置を所定に位置させつつ、低い位置から高い位置に向けて荷を効率良く垂直方向に搬出できる。
【0094】
そして、第二実施形態のコンベア装置1によれば、コンベアベルト50が、往路側及び復路側とも(折り返し位置とその近傍を除く)、搬出中において幅方向に二つ折りの屈曲状態となっており、掘削土砂は、屈曲状態のコンベアベルト50により囲繞するように保持されるので、地下躯体の施工現場Uでの荷こぼれを防止又は抑制できる。また、掘削土砂が屈曲状態のコンベアベルト50により囲繞するように保持されるので、掘削土砂を搬出中に緊急停止したとしても荷こぼれのおそれはない。
【0095】
また、第二実施形態のコンベア装置1によれば、コンベアベルト50は、自身幅方向で二つ折りされて横断面視が紡錘形状とされた屈曲状態で自身上縁部52が支持されるので、荷Vである掘削土砂を連続的に搬出する際に、垂直搬送のような、急こう配での搬出に際しても荷こぼれを確実に防止できる。そのため、地下躯体の施工に適用するときに、地下躯体の施工現場Uから地上部Gに掘削土砂を搬出する際に好適である。
【0096】
特に、第二実施形態においても複数の挟圧保持装置80をコンベアアーム111の適所に備えており、紡錘形状とされた垂下姿勢のコンベアベルト50の紡錘部50bを、紡錘部50bの両側方から挟圧機構81によって挟圧できる。
そのため、搬送を停止するような場合に、紡錘形状での囲繞保持力に紡錘部50bの両側方からの挟圧力を加えるとともに、一対の挟圧ローラ83等の挟圧体により、紡錘部50bでの二つ折りされた部分の幅を狭くできる。よって、第二実施形態においても、紡錘部50bの内側に抱えられた荷Vの逆流を防止または抑制できる。
【0097】
なお、本発明は、第二実施形態においても、上述した構成に限定されるものではない。
例えば、上記第二実施形態では、複数のコンベアフレーム10は、複数の折り返しフレーム170相互間に、各折り返しフレーム170の上下二段に架け渡され、図14(a)に模式図を示すように、上段のコンベアアーム111が、螺旋状に掛け回されて無端状のコンベアベルト50の往路を構成し、下段のコンベアアーム111が、螺旋状に掛け回されて無端状のコンベアベルト50の復路を構成している例を示したが、これに限定されない。
【0098】
例えば、複数のコンベアフレーム10は、複数の折り返しフレーム170相互間に、各折り返しフレーム170には一段が架け渡され、該一段のコンベアフレーム10により、図14(b)に示すように、螺旋状に掛け回された無端状のコンベアベルト50の往路が構成され、復路にあっては、当該コンベア装置のテール部とヘッド部との間にコンベアベルト50が直線的に接続されていてもよい。
【0099】
このような構成であれば、使用する無端状ベルトの長さを短くできるとともに、必要なコンベアアーム111の数もほぼ半減することができる。そのため、駆動可能な条件下であれば、よりコンパクトな構成にできるため、コストを低減させる上で好適である。
【0100】
また、上記第二実施形態では、逆打ち工法による地上部から地下部に至る地下躯体の施工現場に適用した例で説明したが、これに限定されず、本発明に係るコンベア装置は、鉛直または斜め方向への搬送における種々の用途に適用できることも勿論である。
【0101】
また、本明細書では、コンベア装置で運ばれる荷の滑落制御の例として、上記第一実施形態では、荷の逸送の発生防止を目的として、ダム堤体の施工システムへの適用例を示し、また、上記第二実施形態では、荷の逆流の発生防止を目的として、トンネル工事において、地下掘削現場から掘削した土砂を立坑もしくは斜坑を通じて地上部に搬出する例にて、荷の逆流若しくは逸走を防止または抑制できることを示したが、本発明に係るコンベア装置用挟圧保持装置およびこれを備えるコンベア装置の構成や適用用途は、これに限定されるものではない。
【0102】
つまり、本発明に係るコンベア装置用挟圧保持装置は、紡錘形状とされた垂下姿勢のコンベアベルトをその両側方からの挟圧およびその解除が可能に設けられた挟圧機構を有することで、種々のコンベア装置に適用可能であるし、また、荷の逆流若しくは逸走を防止または抑制する用途に限らず、コンベア装置で運ばれる荷の滑落制御のための種々の用途に適用できる。
【0103】
例えば、挟圧保持装置の挟圧機構を所期のタイミングにて挟圧およびその解除を行うことによって、荷の切り出し装置として用いることができるし、間欠制御によって切り出し量を調整することも可能である。
【0104】
また、例えばコンベア装置を構成するコンベアベルトについても、必ずしも無限循環する構成に限定されず、例えば、コンベアベルトを傾斜させたスロープとして固定状態で配置し、その途中部分に多数の挟圧保持装置を離隔して配置することで、各挟圧保持装置の挟圧機構を所期のタイミングにて順に挟圧およびその解除を行うことによって、送り装置としても用いることができる。
【0105】
この際、コンベアベルトを傾斜させたスロープの傾斜角は、搬送する荷の固有の安息角などを考慮して、荷が滑り出す限界の角度で設定すれば、可及的に大きな揚程下での安定した搬送を行うための装置として用いることも考えられる。また、本発明に係るコンベア装置用挟圧保持装置に適用する挟圧保持処理のプログラム等についても同様に、種々の制御態様に応じて変更可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0106】
1 コンベア装置
10A~10F(10) コンベアフレーム
11 天板
12 底板
20 第一の支持台車
21 載置面
22 車台
23 ホイル
24 従動プーリ
25 従動プーリ軸
30 第二の支持台車
31 載置面
32 車台
33 オムニホイル
34 駆動プーリ
35 駆動モータ
40 千鳥搬送部
41 ヘッド部
41n 投入部
41p ヘッド側折り返しプーリ
42 テール部
42p 側折り返しプーリ
50 コンベアベルト
50b 紡錘部
52 上縁部
52a 凸端部
52b 凸端部
55 ワイヤロープ
56 ウインチ
60 搬送案内部
61 ブラケット
62 外側支持ローラ
63 内側支持ローラ
70 屈伸部
71 駆動モータ
72 回動支軸
73 上部軸受
74 下部軸受
75 往路用プーリ
75a,75b 支軸部
76 復路用プーリ
76a,76b 支軸部
77 カップリング
78 キー結合ボス部
79 軸受介装ボス部
80 挟圧保持装置
81 挟圧機構
82 挟圧用ブラケット
83 挟圧ローラ
84 アクチュエータ
85 切換え弁
86 圧縮空気供給装置
90 制御部
91 停止情報取得部
92 挟圧保持処理部
111 コンベアアーム
112 ガイド溝
113 ガイド溝
120 従動プーリフレーム
122 支軸
123 ガイド軸
130 駆動プーリフレーム
132 支軸
170 折り返しフレーム
170A~170E 折り返しフレーム
181 ベースフレーム
B バッチャプラント
C スプレッダ
D トラック
G 地上部
H 補助コンベア
J 投入ホッパ
L インクライン設備
M 建機
N 支持梁
P1~P5 折り返し点
Q1~Q6 折り返し点
R ガイドレール
S インクライン斜面
S 施工現場
T 堤体
TR 軌道
U 施工現場
V 荷
W ケーブル
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