(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022103081
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】固体撮像素子及び固体撮像素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20220630BHJP
H01L 31/0232 20140101ALI20220630BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20220630BHJP
G02B 5/00 20060101ALI20220630BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
H01L27/146 D
H01L31/02 D
G02B5/20
G02B5/00 B
G03F7/20 521
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021196225
(22)【出願日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】202011558164.8
(32)【優先日】2020-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】小谷 成望
(72)【発明者】
【氏名】藤田 慶
【テーマコード(参考)】
2H042
2H148
2H197
4M118
5F849
【Fターム(参考)】
2H042AA06
2H042AA09
2H042AA20
2H042AA22
2H042AA29
2H148AA18
2H148AA22
2H197EA25
2H197EB02
2H197EB10
2H197EB24
2H197EB25
2H197HA03
4M118AA05
4M118AB01
4M118EA01
4M118EA14
4M118FA06
4M118GA09
4M118GB03
4M118GB07
4M118GB09
4M118GB10
4M118GB13
4M118GB19
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4M118GD11
5F849BA04
5F849BA26
5F849BB03
5F849HA10
5F849JA12
5F849XB05
(57)【要約】
【課題】固体撮像画素においてノイズとなる光を低減することができ、高精度の固体撮像素子を実現することができる固体撮像素子及び固体撮像素子の製造方法を提供する。
【解決手段】固体撮像素子は、二次元的に配置された複数の光電変換素子を有する半導体基板と、第一の光路層と、第二の光路層と、第一の光路層と第二の光路層の間に設けられた遮光層と、第二の光路層の遮光層とは反対側の面上に二次元的に配置された複数のマイクロレンズとを備える。開口部の厚さ方向における高さ寸法をbとし、開口部の厚さ方向と直交する方向における開口寸法の最小値をaとし、開口寸法に対する高さ寸法の比b/aであるアスペクト比がαである場合、α≧1、かつa≧3μmであり、開口部において、光が透過可能なピラー構造が開口部と同じ形状で形成されており、ピラー構造を構成する感光性レジストがネガ型レジストである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次元的に配置された複数の光電変換素子を有する半導体基板と、
前記半導体基板の第一面側に設けられた第一の光路層と、
前記第一の光路層の前記半導体基板とは反対側の面上に設けられた第二の光路層と、
前記第一の光路層と前記第二の光路層の間に設けられた遮光層と、
前記第二の光路層の前記遮光層とは反対側の面上に二次元的に配置された複数のマイクロレンズとを備え、
前記遮光層は、前記光電変換素子に入射する光の光路を確保する開口部が前記光電変換素子と対応する位置に形成され、
前記遮光層の厚さ方向に沿い、且つ前記開口部を通る断面において、前記開口部の前記厚さ方向における高さ寸法をbとし、前記開口部の前記厚さ方向と直交する方向における開口寸法の最小値をaとし、前記開口寸法に対する前記高さ寸法の比b/aであるアスペクト比がαである場合、α≧1、かつa≧3μmであり、
前記開口部において、光が透過可能なピラー構造が前記開口部と同じ形状で形成されており、
前記ピラー構造を構成する感光性レジストがネガ型レジストである、固体撮像素子。
【請求項2】
前記ピラー構造は、前記第一の光路層、前記第二の光路層および前記遮光層の膜厚を合計した高さを有する、
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項3】
前記ピラー構造は、前記遮光層の膜厚と同じ高さを有する、
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項4】
前記固体撮像素子は、感光イメージングを行う複数の画素が配列された有効画素領域を含み、
前記有効画素領域の外周にアライメントマークが設けられ、
前記アライメントマークの高さは前記遮光層の上面より低くならないように形成される、
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項5】
前記アライメントマークは前記ピラー構造と同じ材料で形成される、
請求項4に記載の固体撮像素子。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の固体撮像素子の製造方法であって、
前記ピラー構造の幅寸法に対する高さ寸法の比であるアスペクト比が1以上、かつ前記幅寸法が3μm以上となるように、ネガ型の感光性レジストにより、光が透過可能な前記ピラー構造が形成されるピラー構造形成工程と、
前記ピラー構造形成工程の後、前記ピラー構造を充填物として含むように前記遮光層を形成する遮光層形成工程と、を含む、
固体撮像素子の製造方法。
【請求項7】
前記遮光層を形成した後、前記ピラー構造を前記遮光層から露出させるように、前記遮光層の所定の厚さを除去し、前記ピラー構造を前記遮光層の膜厚と同じ高さに形成する、
請求項6に記載の固体撮像素子の製造方法。
【請求項8】
前記ピラー構造を充填物として含むように前記第一の光路層、前記遮光層及び前記第二の光路層を順に積層して形成する第一の光路層及び第二の光路層の形成工程をさらに含み、
前記第一の光路層、前記遮光層及び前記第二の光路層を順に積層して形成した後、前記ピラー構造を前記第二の光路層から露出させるように前記第二の光路層の所定の厚さを除去し、前記ピラー構造を前記第一の光路層、前記第二の光路層及び前記遮光層の膜厚を合計した高さに形成する、
請求項6に記載の固体撮像素子の製造方法。
【請求項9】
前記第一の光路層、前記遮光層及び前記第二の光路層を順に積層して形成する際に、前記ピラー構造を前記第一の光路層、前記遮光層及び前記第二の光路層の位置決め基準として用いる、
請求項8に記載の固体撮像素子の製造方法。
【請求項10】
前記固体撮像素子の有効画素領域の外周にアライメントマークを設けるアライメントマーク形成工程をさらに含み、
前記アライメントマークの高さを前記遮光層の上面より低くならないように形成する、請求項6に記載の固体撮像素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像素子及び固体撮像素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光学式指紋検出センサ等の認証装置において、固体撮像素子を用いて指紋画像を撮影して認証に用いる。固体撮像素子は、二次元的に配置された複数の光電変換素子を有する半導体基板と、複数の光電変換素子にそれぞれ対応して設けられており、外部からの光を集光した後、光電変換素子に入射する複数のマイクロレンズと、マイクロレンズから出射された光を光電変換素子に転送する光路層と、光電変換素子に入射する光を通過させる開口部が形成される遮光層とを備える(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような固体撮像素子の適合な箇所にはアライメントマークが形成されており、このアライメントマークは、例えば、遮光層の開口部を形成する際に用いられるフォトマスクの位置合わせに使用される。光源を用いて照射すると、アライメントマークが形成された箇所が透過または反射した光と、アライメントマークが形成されていない箇所が透過または反射した光との間に差異があり、この差異を光センサで検出することでアライメントマークの位置を識別する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
指紋検出センサは、光電変換素子における受光量の増加を実現するために大型化する必要があるが、それと同時に、所望の光路(指紋検出に有用な光の光路)以外からの光もノイズとして増加し、検出精度が低下してしまう。ノイズとなる光を低減するためには、遮光層の厚みを厚くしアライメント精度を向上することが求められている。しかしながら、遮光層に用いられる材料は遮光性能を求めており、アライメントに用いられる光源の光を遮る場合があり、アライメント精度が低下してしまう可能性がある。また、遮光性能を向上させるために遮光層を厚膜化した場合にも同様の問題がある。
【0006】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、固体撮像画素においてノイズとなる光を低減することができ、高精度の固体撮像素子を実現することができる固体撮像素子及び固体撮像素子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様に係る固体撮像素子は、二次元的に配置された複数の光電変換素子を有する半導体基板と、前記半導体基板の第一面側に設けられた第一の光路層と、前記第一の光路層の前記半導体基板とは反対側の面上に設けられた第二の光路層と、前記第一の光路層と前記第二の光路層の間に設けられた遮光層と、前記第二の光路層の前記遮光層とは反対側の面上に二次元的に配置された複数のマイクロレンズとを備える。前記遮光層は、前記光電変換素子に入射する光の光路を確保する開口部が前記光電変換素子と対応する位置に形成され、前記遮光層の厚さ方向に沿い、且つ前記開口部を通る断面において、前記開口部の前記厚さ方向における高さ寸法をbとし、前記開口部の前記厚さ方向と直交する方向における開口寸法の最小値をaとし、前記開口寸法に対する前記高さ寸法の比b/aであるアスペクト比がαである場合、α≧1、かつa≧3μmであり、前記開口部において、光が透過可能なピラー構造が前記開口部と同じ形状で形成されており、前記ピラー構造を構成する感光性レジストがネガ型レジストである。
【0008】
上述の固体撮像素子によれば、遮光層の開口部は、遮光層の厚さ方向に直交する方向に沿った開口寸法a≧3μm、すなわち最小寸法が3μmで、かつアスペクト比αが1以上に形成されるように構成されており、それにより、所定の開口寸法を有する開口部に対して、遮光板を厚膜化する。遮光層を厚膜化することで光を確実に遮光することができ、それにより、遮光層の非開口部の箇所からの光の透過を抑制することができ、固体撮像素子においてノイズとなる光を低減することができる。
【0009】
また、上述の固体撮像素子によれば、遮光層の開口部において、光が透過可能なピラー構造が前記開口部と同じ形状で形成されており、前記ピラー構造は、マイクロレンズから光電変換素子への光の光路を確保する開口部として機能する。ピラー構造は極めて微小又は細長く形成し易くすることができので、遮光層の厚みを厚くして開口部を細長いサイズにしても、開口部を容易に形成することができる。そして、本発明に係る固体撮像素子は、開口部においてピラー構造が形成されており、ピラー構造により開口部の寸法が規定されていることにより、遮光層の顔料レジストの解像性に依存することなく、開口部を形成することができる。
【0010】
前記ピラー構造は、前記第一の光路層、前記第二の光路層および前記遮光層の膜厚を合計した高さを有してもよい。
このように構成された複数のピラー構造を形成した後に、前記ピラー構造が形成された基板に、第一の光路層、遮光層及び第二の光路層をスプレーコートや印刷等により順に積層して形成することができ、各層を容易に形成することができる。また、各層を形成する際には、ピラー構造を位置決め基準として用いることができる。
【0011】
前記ピラー構造は、前記遮光層の膜厚と同じ高さを有してもよい。
【0012】
前記固体撮像素子は、感光イメージングを行う複数の画素が配列された有効画素領域を含み、前記有効画素領域の外周にアライメントマークが設けられ、前記アライメントマークの高さは前記遮光層の上面より低くならないように形成されていてもよい。
固体撮像素子はアライメントマークを備えることにより、各層を形成する際に正確なアライメントを行うことができ、特に開口を形成する際に用いられるフォトマスクをアライメントすることで、開口部の形成精度を向上させ、結像に有用な有効光のみを開口部に通過させることができ、ノイズとなる光を低減することができる。
【0013】
前記アライメントマークは前記ピラー構造と同じ材料で形成されていてもよい。
この構成により、ピラー構造を形成する工程においてアライメントマークを一括して形成することができ、工程を簡素化することができる。
【0014】
本発明の第二の態様に係る固体撮像素子の製造方法は、上述の固体撮像素子を製造する方法であって、前記ピラー構造の幅寸法に対する高さ寸法の比であるアスペクト比が1以上、かつ前記幅寸法が3μm以上となるように、ネガ型の感光性レジストにより、光が透過可能な前記ピラー構造が形成されるピラー構造形成工程と、前記ピラー構造形成工程の後、前記ピラー構造を充填物として含むように前記遮光層を形成する遮光層形成工程と、を含む。
【0015】
本発明の第二の態様に係る固体撮像素子の製造方法は、前記遮光層を形成した後、前記ピラー構造を前記遮光層から露出させるように、前記遮光層の所定の厚さを除去し、前記ピラー構造を前記遮光層の膜厚と同じ高さに形成してもよい。
【0016】
本発明の別の実施形態に係る固体撮像素子の製造方法は、前記ピラー構造の少なくとも一部を充填物として含むように前記第一の光路層、前記遮光層及び前記第二の光路層を順に積層して形成する第一の光路層及び第二の光路層の形成工程をさらに含み、前記第一の光路層、前記遮光層及び前記第二の光路層を順に積層して形成した後、前記ピラー構造を前記第二の光路層から露出させるように前記第二の光路層の所定の厚さを除去し、前記ピラー構造を前記第一の光路層、前記第二の光路層及び前記遮光層の膜厚を合計した高さに形成してもよい。
【0017】
前記第一の光路層、前記遮光層及び前記第二の光路層を順に積層して形成する際に、前記ピラー構造を前記第一の光路層、前記遮光層及び前記第二の光路層の位置決め基準として用いてもよい。
【0018】
固体撮像素子の有効画素領域の外周にアライメントマークを設けるアライメントマーク形成工程をさらに含み、前記アライメントマークの高さを前記遮光層の上面より低くならないように形成してもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の固体撮像素子及び固体撮像素子の製造方法によれば、固体撮像素子においてノイズとなる光を低減することができ、高精度の固体撮像素子を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態に係る固体撮像素子の構成を示す概略図である。
【
図2A】本発明の一実施形態に係る固体撮像素子における遮光層の開口部の断面形状を示す例の図である。
【
図2B】本発明の一実施形態に係る固体撮像素子における遮光層の開口部の断面形状を示す例の図である。
【
図2C】本発明の一実施形態に係る固体撮像素子における遮光層の開口部の断面形状を示す例の図である。
【
図2D】本発明の一実施形態に係る固体撮像素子における遮光層の開口部の断面形状を示す例の図である。
【
図3】本発明の上述の実施形態に係る固体撮像素子におけるアライメントマークの形成位置を示す平面図である。
【
図4】本発明の第2実施形態に係る固体撮像素子の構成を示す概略図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る固体撮像素子を製造する製造方法を示すフローチャートである。
【
図6A】本発明の第1実施形態に係る固体撮像素子を製造する過程を示す概略図である。
【
図6B】本発明の第1実施形態に係る固体撮像素子を製造する過程を示す概略図である。
【
図6C】本発明の第1実施形態に係る固体撮像素子を製造する過程を示す概略図である。
【
図6D】本発明の第1実施形態に係る固体撮像素子を製造する過程を示す概略図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る固体撮像素子を製造する製造方法を示すフローチャートである。
【
図8A】本発明の第2実施形態に係る固体撮像素子を製造する過程を示す概略図である。
【
図8B】本発明の第2実施形態に係る固体撮像素子を製造する過程を示す概略図である。
【
図8C】本発明の第2実施形態に係る固体撮像素子を製造する過程を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る固体撮像素子及びその製造方法について図面を参照しながら説明する。ここで説明する実施形態は、発明を実施するための最適な形態であり、本発明はこれらの実施形態で限定されない。
ここで、図面は模式的に示しており、各層の厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる可能性がある。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示しており、本発明の技術的思想はこれに限定されない。
【0022】
<固体撮像素子全体の構成>
本発明の固体撮像素子は、二次元的に配置された複数の光電変換素子を有する半導体基板と、半導体基板の一方の面側に形成された第一の光路層と、第一の光路層の半導体基板とは反対側の面上に形成された第二の光路層と、第一の光路層と第二の光路層の間に形成された遮光層と、第二の光路層の遮光層とは反対側の面上に二次元的に配置された複数のマイクロレンズとを備える。また、遮光層は、光電変換素子に入射する光の光路を確保するための開口部が光電変換素子と対応する位置に形成される。また、遮光層の厚さ方向に沿い、且つ開口部を通る断面において、開口部の厚さ方向における高さ寸法をbとし、開口部の厚さ方向と直交する方向における開口寸法の最小値をaとし、開口寸法に対する高さ寸法の比b/aであるアスペクト比がαである場合、α≧1、かつa≧3μmである。また、開口部において、光が透過可能なピラー構造が前記開口部と同じ形状で形成されており、ピラー構造を構成する感光性レジストがネガ型レジストである。
【0023】
本発明の固体撮像素子は、感光イメージングを行う複数の画素が配列された有効画素領域を含み、有効画素領域の外周にはアライメントマークが設けられ、アライメントマークの高さは遮光層の上面より低くならないように形成される。
【0024】
以下、本発明に係る固体撮像素子の具体的な形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
<第1実施形態の固体撮像素子>
本発明の第1実施形態に係る固体撮像素子について
図1~
図3を参照して説明する。
図1は本発明の第1実施形態に係る固体撮像素子の構成を示す概略図である。まず、本実施形態に係る固体撮像素子1の各構成要素について、概略的に説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る固体撮像素子1において、被写体Sに対して遠い側(図中の下側)から、半導体基板2と、第一の光路層3と、遮光層4と、第二の光路層5と、マイクロレンズ6とをこの順に備える。
【0025】
具体的には、本実施形態に係る固体撮像素子1において、半導体基板2の第一面2a(上面)側に第一の光路層3が設けられている。第一の光路層3の半導体基板2とは反対側の第一面3a(上面)上に遮光層4が設けられている。遮光層4の半導体基板2とは反対側の第一面4a(上面)上に第二の光路層5が設けられている。第二の光路層5の半導体基板2とは反対側の第一面5a(上面)上にマイクロレンズ6が設けられている。
【0026】
また、本実施形態に係る固体撮像素子1は、半導体基板2には複数の光電変換素子21が二次元的に配置されており、遮光層4において、複数の光電変換素子21それぞれに対応するように、微小な開口部41が形成されている。複数の開口部41は、
図2に示すように、遮光層4の厚さ方向において、第一面4aから第一面4aと反対の第二面4bまで、貫通して形成されている。
マイクロレンズ6は、上述の複数の光電変換素子21及び複数の開口部41それぞれに対応するように、二次元的に複数配置されている。開口部41には、光が透過可能かつネガ型の感光性レジストからなるピラー構造が形成されている。
【0027】
以下、固体撮像素子1の各構成要素について、具体的に説明する。
<半導体基板>
図1に示すように、本実施形態に係る固体撮像素子1の半導体基板2には、複数の光電変換素子21が二次元的に配置されている。複数の光電変換素子21は、入射した光を電気信号に変換する機能を有している。
光電変換素子21が形成されている半導体基板2は、可視光を透過して、少なくとも300°C程度の温度に耐えられる材料で形成されている。ここで、半導体基板2に用いられる材料としては、例えば、Si、SiO2等の酸化物及びSiN等の窒化物、並びにこれらの混合物等のSiを含む材料等が挙げられる。
【0028】
<第一の光路層及び第二の光路層>
第一の光路層3は、半導体基板2の第一面2a上に形成されている。第二の光路層5は、半導体基板2の上方に形成されている。第一の光路層3及び第二の光路層5は、マイクロレンズ6から入射した光を透過させることができる。第一の光路層3及び第二の光路層5の透過率は、好ましくは波長が400nm以上700nm以下の可視光に対して90%以上であり、より好ましくは95%以上となるように、第一の光路層3及び第二の光路層5が形成されている。
【0029】
<マイクロレンズ>
複数のマイクロレンズ6は、半導体基板2の上方において、複数の光電変換素子21にそれぞれ対応するように二次元的に配置されている。すなわち、マイクロレンズ6は、光電変換素子21のそれぞれに対応する位置に設けられている。マイクロレンズ6は、マイクロレンズ6に入射した入射光を光電変換素子21のそれぞれに集光させることにより、光電変換素子21の感度低下を補うことができる。
マイクロレンズ6は、例えばアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、フェノールノボラック系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、スチレン系樹脂及びケイ素系樹脂等のうち一又は複数を含んだ樹脂材料により形成される。またマイクロレンズ6は、有機化合物以外の物質で形成されてもよい。具体的には、マイクロレンズ6は、例えば珪素、炭素、酸素、水素、錫、亜鉛、インジウム、アルミニウム、ガリウム、チタン、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンタル、ハフニウム、銀及びフッ素のうち少なくとも1種類を含有する化合物、酸化物又は窒化物により形成されてもよい。これらの材料の化合物としては、例えばITOやZnO、TiO2及びHfO2等を用いることができる。
【0030】
<遮光層>
遮光層4は顔料レジストにより構成されている。遮光層4に含まれる遮光性の色材は、可視光波長領域及び赤外線領域に吸収性を持ち、遮光機能を備える。また、本実施形態において、レジストとは、炭素又は顔料を含む着色組成物であり、遮光層は感光性を有する材料であってもよく、感光性を有しない材料であってもよい。
【0031】
遮光層4の色材として、例えば、カーボンブラック、酸化チタンなどを用いることができる。遮光層4に含めることが可能な染料としては、例えば、アゾ系染料、アントラキノン系染料、フタロシアニン系染料、キノンイミン系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、カルボニル系染料、メチン系染料などを用いることができる。これら遮光性の色材は、1種を用いてもよく、適切な比率で2種以上を組み合わせてもよい。
【0032】
図1に示すように、遮光層4は第一の光路層3と第二の光路層5との間に配置されている。さらに、遮光層4には、複数のマイクロレンズ6及び複数の光電変換素子21に対応する位置にそれぞれ微小な開口部41が形成されている。
【0033】
遮光層4には、開口部41が形成されることにより、光電変換素子21へ入射した光の光路を確保する。具体的には、
図1に示すように、被写体S側から入射した入射光Lはマイクロレンズ6に入射し、マイクロレンズ6により集光された後、第二の光路層5を通過し、遮光層4に形成される開口部41を経由した後に第一の光路層3に入射する。最終的に、入射光Lは、半導体基板2に形成された光電変換素子21に到達する。これにより、被写体Sの光学像は光電変換した後、電気信号となり、例えば指紋等の個人情報の認証として用いられている。一方、被写体S側から入射した入射光において、一部は不要な光であり、マイクロレンズ6に入射して集光され、第二の光路層5を通過した後、遮光層4の開口部41以外の領域(遮光領域)に到達する。遮光層4が遮光機能を有する顔料レジストで構成されるため、前記一部の光は、遮光層4で遮光され、光電変換素子21に入射しない。
【0034】
本実施形態に係る固体撮像素子1では、遮光層4の厚みが1.0μm以上である。
遮光層4の厚さ方向(図中の上下方向)に沿い、且つ開口部41を通る断面において、開口部41の前記厚さ方向における高さ寸法をbとし、開口部41の前記厚さ方向と直交する方向(幅方向、図中の左右方向)における開口寸法の最小値をaとし、開口寸法に対する高さ寸法の比b/aであるアスペクト比がαである。この場合、a≧3μmかつα≧1を満たしている。
【0035】
本実施形態に係る固体撮像素子1において、開口部41の断面形状であるピラー構造42の断面形状は、実際の要求に応じて任意に設定することができる。
以下、開口部41の断面形状のいくつかの形態を具体的に示す。
【0036】
図2Aから
図2Dは、固体撮像素子における遮光層の開口部の断面形状を示す一例である。
図2Aに示すように、開口部41は、幅方向の開口寸法が厚さ方向に亘って一定である筒形状に形成される。また、遮光層4の厚さ方向の高さ寸法は、ピラー構造42の厚さ方向の高さ寸法と同じである。
【0037】
なお、開口部41の形状は、
図2A示すように筒形状に限らない。例えば、
図2Bに示すように、開口部41aは錐台形状に形成されていてもよい。具体的には、開口部41aの幅方向の開口寸法(開口面積)が、厚さ方向において半導体基板2側の第二面4bから第一面4aに向かうにつれて大きくなるように形成されている。
図2Bに示すように、開口部41aは、開口部41aの開口寸法が厚さ方向において半導体基板2から離れるについて大きくなるように形成されてもよい。すなわち、
図2Bに示すように、開口部41aは逆さ錐台形状に形成されることが可能である。
【0038】
また、
図2Cに示すように、開口部41cは、第二面4bから第一面4aに向かって、逆さ錐台形状の開口部41c1と、筒形状の開口部41c2とをこの順に積層された構造であってもよい。開口部41c1の幅方向の開口寸法(開口面積)は、半導体基板2の第二面4bから第一面4aに向かうにつれて、厚さ方向の略中央まで大きくなるように形成されている。開口部41c2の開口寸法は、遮光層4の略中央から第一面4aに向かって、厚さ方向に亘って一定である。
図2Cに示すように、開口部41cを半導体基板2側から順に逆さ錐台形状の開口部41c1と、筒形状の開口部41c2とを積層した構造とし、光の入射側(被写体S側)に筒形状の開口部41c2に設けることにより、散乱光の入射を抑制することができる。
【0039】
また、
図2Dに示すように、開口部41dは、第二面4bから第一面4aに向かって、錐台形状の開口部41d1と、筒形状の開口部41d2とをこの順に積層された構造であってもよい。開口部41d1の幅方向の開口寸法は、半導体基板2の第二面4bから第一面4aに向かうにつれて、厚さ方向の略中央まで小さくなるように形成されている。開口部41d2の開口寸法は、遮光層4の略中央から第一面4aに向かって、厚さ方向に亘って一定である。
図2Dに示すように、開口部41dを半導体基板2側から順に錐台形状の開口部41d1と、筒形状の開口部41d2とを積層した構造とし、光の入射側(被写体S側)に筒形状の開口部41d2に設けることにより、散乱光の入射を抑制することができる。さらに、半導体基板2側に錐台形状の開口部41d1を設けることにより、入射光を増幅し、光の利用效率を高めることができる。
【0040】
<ピラー構造>
開口部41において、該開口部41と同じ形状で該開口部41とは別部材としてピラー構造42が形成されている。このピラー構造42は、光が透過可能な材料で形成され、ネガ型の感光性レジストからなる。ピラー構造42は、例えば、リニアフェノール樹脂やポリメチルメタクリレート等を用いることができる。
図1に示すように、本実施形態のピラー構造42は、遮光層4の膜厚と同じ高さを有している。
【0041】
<アライメントマーク>
図3は、本実施形態に係る固体撮像素子におけるアライメントマークの形成位置を示す平面図である。固体撮像素子を製造する際には、一枚の基板上に大量の固体撮像素子を並べて形成した後、その中から各固体撮像素子を分割する。
図3は、固体撮像素子1が製造された後に分割されていない状態を示しており、図中に2×2のマトリックスで合計四つの固体撮像素子1が配列されている。
【0042】
本実施形態において、
図3に示すように、固体撮像素子は、感光イメージングを行う複数の画素が配列された有効画素領域11と、この有効画素領域を囲む額縁領域12とを備え、この額縁領域12にアライメントマーク7が設けられている。
また、アライメントマーク7は、固体撮像素子の間の領域に設けられてもよい。いずれの場合も、アライメントマーク7は、有効画素領域11の外周に設けられており、アライメントの役割を果たすことができればよい。
【0043】
図3には、アライメントマーク7が額縁領域12に設けられることが示されている。
図1では、アライメントマーク7の高さは遮光層の上面とほぼ同一面にあることを示している。アライメントマーク7は、アライメントマーク7の高さが遮光層4の上面4aより低くしなければよく、遮光層4の上面4aよりも高くしても良い。これにより、製造過程で遮光層が形成されたとしても、アライメントマーク7が遮光層4から露出することを保証することができるので、アライメントマークが遮光層にマスクされることがなく、確実に識別されてアライメントの役割を果たすことができる。
【0044】
アライメントマーク7は、ピラー構造42と同じ材料を用いて形成されてもよいし、ピラー構造42とは異なる材料を用いて形成しされてもよい。ピラー構造42と同じ材料を用いる場合には、ピラー構造を形成する工程により一括して形成することができるため、工程を簡素化することができるので好ましい。
【0045】
<第2実施形態の固体撮像素子>
図4は、本発明の第2実施形態に係る固体撮像素子1Aの構成を示す概略図である。本実施形態は、上述の第1実施形態に比べてピラー構造の高さが異なり、アライメントマーク7A上に第二の光路層5が設けられている点で第1実施形態と異なり、その他の構成は同様であるため、重複する説明は省略する。
図4において、ピラー構造42は、第一の光路層3、遮光層4及び第二の光路層5の膜厚を合計した高さを有している。すなわち、ピラー構造42は、半導体基板2の上面2aから第二の光路層5の上面5aまで形成された構成である。
アライメントマーク7Aは、第一の光路層3と遮光層4とを合計した高さを有している。
以上は、第1実施形態及び第2実施形態を例として本発明の固体撮像素子1,1Aの構成を説明した。次に、このように構成された固体撮像素子1,1Aに基づいて得られる効果について説明する。
【0046】
<効果>
第1実施形態に係る固体撮像素子1は、上述のような構成要素を有することにより、以下の効果を得ることができる。
本発明に係る固体撮像素子1において、遮光層の開口部は、遮光層の厚さ方向と直交する方向における開口寸法a≧3μmであり、即ち最小寸法が3μmであり、かつアスペクト比αが1以上に形成されるように構成されていることにより、所定の開口寸法を有する開口部に対して、遮光層の厚みを厚くする。遮光層の厚みを厚くすることで光を確実に遮光することができ、それにより、遮光層の非開口部の箇所からの光の透過を抑制することができ、固体撮像素子においてノイズとなる光を低減することができる。
【0047】
本発明に係る固体撮像素子1において、遮光層4の開口部41において、開口部41と同じ形状であり、光が透過可能であるピラー構造が形成されており、ピラー構造42は、マイクロレンズ6から光電変換素子21への光の光路を確保する開口部41として機能する。ピラー構造42は極めて微小又は細長く形成し易くすることができので、遮光層4の厚みを厚くして開口部41を細長いサイズにしても、開口部41を容易に形成することができる。そして、本発明に係る固体撮像素子1は、開口部41においてピラー構造42が形成されており、ピラー構造42により開口部41の寸法が規定されていることにより、遮光層4の顔料レジストの解像性に依存することなく、開口部41を形成することができる。
【0048】
本発明に係る固体撮像素子1において、ピラー構造はネガ型の感光性レジストで形成されているため、付着力が強く、感度が高く、現像条件に対する要求が厳しくない利点を有している。
本発明に係る固体撮像素子1において、アライメントマーク7を備えることにより、各層を形成する際に正確なアライメントを行うことができる。特に開口を形成する際に用いられるフォトマスクをアライメントすることで、開口部の形成精度を向上させ、結像に有用な有効光のみを開口部に通過させることができ、ノイズとなる光を低減することができる。
【0049】
本発明に係る固体撮像素子1において、ピラー構造42と同じ材料でアライメントマーク7を形成するため、ピラー構造42を構成する工程においてアライメントマーク7を一括して形成することができ、工程を簡素化することができる。
本発明に係る固体撮像素子1において、開口部41の開口寸法を、厚さ方向に亘って一定であるように設けると、開口部41の形成を容易に行うことができる。
本発明に係る固体撮像素子1において、開口部41aの開口寸法を、厚さ方向において半導体基板から離れるにつれて大きくなるように設けると、光の入射側で散乱光の入射を抑制することができる。
本発明に係る固体撮像素子1において、開口部41aを錐台形状に形成すると、入射光を増幅し、光の利用效率を高めることができる。
本発明に係る固体撮像素子1において、開口部41cを半導体基板2側から順に逆さの錐台形状、筒形状を積層した構造に設けると、光の入射側に開口部を筒形状に設ける場合、散乱光の入射を抑制することができ、そして、半導体層側に開口部を錐台形状に設ける場合、入射光を増幅し、光の利用效率を高めることができる。
【0050】
第2実施形態に係る固体撮像素子1Aは、上述の効果に加え、以下の効果を得ることができる。
複数のピラー構造42Aを形成した後、ピラー構造42Aが形成された基板に、第一の光路層3、遮光層4及び第二の光路層5をスプレーコートや印刷等により順に積層して形成する場合、ピラー構造を位置決め基準として用いることができる。
【0051】
<固体撮像素子の製造方法>
図5は、本発明の第1実施形態に係る固体撮像素子1を製造する製造方法を示すフローチャートであり、
図6は本発明の第1実施形態に係る固体撮像素子1を製造する過程を示す概略図である。
以下、第1実施形態に係る固体撮像素子1の製造方法について、
図5及び
図6を参照しながら説明する。
【0052】
第1実施形態に係る固体撮像素子1の製造方法において、半導体基板2、第一の光路層3、第二の光路層5及びマイクロレンズ6の製造方法について、公知の方法を用いることができるため、以下、その詳細な説明を省略し、製造方法における従来技術に対して特徴点を有する部分のみについて説明する。
【0053】
図5に示すように、第1実施形態に係る固体撮像素子の製造方法は、ネガ型の感光性レジスト、例えばリニアフェノール樹脂やポリメチルメタクリレート等を用い、幅寸法に対する高さ寸法の比であるアスペクト比αが1以上、開口寸法aが3μm以上となるように、光が透過可能なピラー構造を形成するピラー構造形成工程と、ピラー構造形成工程の後、前記ピラー構造を充填物として含むように遮光層を形成する遮光層形成工程S2とを主に含んでいる。また、ピラー構造形成工程S1と同時にアライメントマーク形成工程S3を実行し、ピラー構造と同様の材料及び方法でアライメントマークを形成する。
【0054】
次に、ピラー構造形成工程S1について、具体的に説明する。
図6は、ピラー構造形成工程S1及び遮光層形成工程S2を示す概略図である。
ピラー構造形成工程S1において、ネガ型の感光性レジスト層を形成する工程S11(
図6A)と、感光性レジスト層の所定の箇所を除去してピラー構造のみを残す工程S12(
図6B)とを主に含む。
【0055】
次に、ピラー構造形成工程S1の一例について、具体的に説明する。本発明の固体撮像素子1の製造方法では、感光性レジストとしてネガ型レズストを用いる。
ピラー構造形成工程S1は、例えば工程S11において、基板45にネガ型の感光性レジストを塗布する塗布工程と、基板45を回転させることにより、塗布された感光性レジストを乾燥させ、感光性レジスト膜46を形成する乾燥工程と、感光性レジスト膜46をプレベークするプレベーク工程と、を含み、工程S12において、プレベークを行った感光性レジスト膜46を、所定のパターンを有するマスクで露光する露光工程と、感光性レジスト膜46を現像液で現像し、所定の箇所のみをピラー構造として残させる(ここで、塗布されたのはネガ型の感光性レジストであるため、マスクを介して光に照射される箇所は、ピラー構造として残される)現像工程と、ピラー構造が残留される基板45を洗浄する洗浄工程と、基板45を回転させて乾燥を行う乾燥工程と、ピラー構造をハードベークするようにポストベークを行うハードベーク工程と、を含む。
本発明の固体撮像素子1の製造方法では、マスクを用いて感光性レジスト膜46の露光を行い、筒形状の感光性レジスト膜46aが、ピラー構造として、筒形状の感光性レジスト膜46bが、アライメントマーク7として残されている。
【0056】
工程S12における前記露光工程では、マスクを介して感光性レジスト膜の外周の所定位置にも光を照射し、上述の現像工程を経た後、光が照射された感光性レジスト膜46bがアライメントマークとして残されることにより、ピラー構造形成工程S1と同様の工程で、ピラー構造42と同じ材料を利用してピラー構造42よりも外側にアライメントマーク(感光性レジスト膜46b)も形成された(アライメントマーク形成工程S3)。ここで、アライメントマークの形成位置は、形成しようとする固体撮像素子の仕様に応じて設定され、固体撮像素子の有効画素領域の外周に位置するように設定されている。
【0057】
ピラー構造形成工程S1において、グレースケールマスクを用いて感光性レジストの露光を行う。このようにして、ピラー構造を、遮光層4の高さ方向において半導体基板2から離れるにつれて幅寸法が大きくなる逆さ錐台形状に形成する。これにより、
図2Bに示すように、断面形状が錐台形状であるピラー構造42を形成することができる。
【0058】
ピラー構造形成工程S1において、第一の層を形成する第一ピラー構造形成工程と、第一の層硬化後に、第二の層を前記第一の層に重なるように形成する第二ピラー構造形成工程を含む、ように構成されてもよい。このように形成されたピラー構造は第一の層、第二の層を少なくとも含む積層構成である。この場合、例えば、第一の層がグレースケールマスクを用いて形成した
図2Bに示した構成であり、第二の層が
図2Aに示した構成であり、
図2Cに示す断面形状を有するピラー構造を形成することができる。また、第一の層が
図2Bに示した構成の逆さ錐台形状(即ち、開口寸法(開口面積)が、第二面4bから第一面4aに向かって小さくなる錐台形状)であり、第二の層が
図2Bに示した構成であり、
図2Dに示す断面形状を有するピラー構造を形成することもできる。
【0059】
次に、遮光層形成工程S2の一例について、具体的に説明する。
遮光層形成工程S2において、ピラー構造42を埋め込むように遮光材料膜47を形成する遮光材料膜形成工程S21(
図6C)と、ピラー構造42及びアライメントマーク7を遮光材料膜47から露出させるように遮光材料膜47の所定の厚さを除去する遮光材料膜除去工程S22(
図6D)と、を主に含む。
遮光層形成工程S2は、具体的に、ピラー構造42を埋め込むように遮光材料を塗布する塗布工程と、塗布された遮光材料を乾燥し、遮光材料膜47を形成する乾燥工程と、遮光材料膜47をプレベークするプレベーク工程と、ピラー構造42及びアライメントマーク7を遮光材料膜47から露出させるように遮光材料膜47の所定の厚さを除去して遮光層4を形成する遮光材料膜除去工程とを含む。また、ピラー構造を遮光層の膜厚と同じ高さに形成し、アライメントマーク7の高さを遮光層4の上面4aより低くならないように形成させる。
【0060】
遮光材料膜47が感光性を有する材料である場合、遮光材料膜除去工程は、所定のパターンを有するマスクを用いて遮光材料膜47を露光する露光工程と、現像液を用いて遮光材料膜47を現像し、ピラー構造42を遮光材料膜47から露出させるように遮光材料膜47の所定の厚さを除去する現像工程とを含む。
遮光材料膜47が感光性を有しない材料である場合、遮光材料膜除去工程において、ドライエッチングにより遮光材料膜47の所定の厚さを除去するドライエッチング工程を含む。
工程S22の後、固体撮像素子1を形成するためには、第一の光路層3、第二の光路層5、マイクロレンズ6等をさらに配置する必要があり、この時にはアライメントマーク7を用いてアライメントを行うことができる。
【0061】
以上、固体撮像素子1の製造方法として、ピラー構造形成工程S1及び遮光層形成工程S2の一例をそれぞれ説明した。これらの工程は、一例であり、ピラー構造42を、幅寸法に対する高さ寸法の比であるアスペクト比が1以上かつ幅寸法が3μm以上となるように形成し、固体撮像素子1の有効画素領域の外周にアライメントマーク7を形成すればよく、具体的な工程は、これに限定されない。
【0062】
以下、第2実施形態に係る固体撮像素子の製造方法について
図7及び
図8Aから
図8Cを参照しながら説明する。
図7は本発明の第2実施形態に係る固体撮像素子を製造する製造方法を示すフローチャートであり、
図8は本発明の第2実施形態に係る固体撮像素子を製造する過程を示す概略図である。
【0063】
第2実施形態に係る固体撮像素子の製造方法におけるピラー構造形成工程S1A、アライメントマーク形成工程S3Aは第1実施形態に係るピラー構造形成工程S1、アライメントマーク形成工程S3とそれぞれ同じであるため、重複する説明は省略する。また、第1実施形態と比較して、ピラー構造がより高く形成される。
図7に示すように、積層工程S2Aにおいて、ピラー構造の少なくとも一部を充填物として含むように第一の光路層3、遮光層4及び第二の光路層5積層工程(工程S21A)を順に積層して形成し、この時、遮光層4を、アライメントマーク7Aの高さが遮光層4の上面4aより低くならないように、即ちアライメントマークが遮光層から露出して識別可能であるように形成する。その後、第二の光路層の所定の厚さを除去し、ピラー構造を第一の光路層、遮光層及び第二の光路層の膜厚を合計した厚さに形成する(S22A)。
【0064】
図8Aから
図8Cに示すように、工程S21Aにおいて、ピラー構造51a(42A)及びアライメントマーク51b(7A)を形成する。その後、
図8Cにおいて、アライメントマーク7に基づいてマスクを位置決めし、マスクを介して、ピラー構造が形成された基板50に第一の光路層3及び遮光層4を順に塗布し、この時、好ましくは遮光層4を、アライメントマーク7を露出可能な厚さに塗布する。次に、アライメントマーク7及びピラー構造42Aをアライメント基准として、第二の光路層5をさらに塗布し、最終的に第一の光路層3、遮光層4及び第二の光路層5の3つの層の積層構造が形成された。
【0065】
次に、工程S22Aにおいて、図示していないが、第二の光路層5の所定の厚さを除去し、ピラー構造42Aを、第一の光路層3、遮光層4及び第二の光路層5の膜厚を合計した厚さに形成する。ここで、ピラー構造42Aを、第二の光路層5の上面5aから露出するように形成する。あるいは、ピラー構造42A及び第二の光路層5を視覚的に区別可能な異なる材料で形成する。
【0066】
工程S22Aの後に、固体撮像素子1を形成するために、第二の光路層5の上にマイクロレンズ6をさらに配置したり、エッチングにより電極開口を実施したりする必要がある。この時、アライメントマーク7を用いてアライメントを行うことができる以外に、ピラー構造42Aをマイクロレンズ6と遮光層4との位置合わせ基準とすることもでき、ピラー構造42Aを、電極開口を実施する際の位置合わせ基準とすることができる。
また、上述の第1及び第2実施形態に係る固体撮像素子1,1Aの製造方法において、ピラー構造形成工程と同じ工程にピラー構造と同じ材料でアライメントマークを形成することを説明したが、アライメントマークは、ピラー構造とは異なる材料を用い、別の工程に形成されてもよい。
【0067】
上述の説明した第2実施形態に係る固体撮像素子の製造方法において、ピラー構造はアライメントの役割を果たすことができるため、アライメントマークの形成を省略することもできる。
【0068】
上述の第1実施形態及び第2実施形態に係る固体撮像素子1,1Aの製造方法は、上述の固体撮像素子1,1Aの効果に加え、以下の効果を得ることもできる。
ピラー構造形成工程と同じ工程において、ピラー構造42,42Aと同じ材料でアライメントマーク7,7Aを形成し、工程の簡素化を実現することができる。
ピラー構造42Aを第二の光路層5の上面5aから露出するように形成する、又はピラー構造42A及び第二の光路層5を視覚的に区別可能な異なる材料で形成するように形成することにより、ピラー構造42Aはアライメントの役割を果たすことができ、この時、アライメントマーク7の形成は省略できる。
【0069】
以上、本発明に係る固体撮像素子及びその製造方法の具体的な実施形態について説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。その新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換及び変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
1,1A…固体撮像素子
2…半導体基板
3…第一の光路層
4…遮光層
5…第二の光路層
6…マイクロレンズ
7,7A…アライメントマーク
11…有効画素領域
21…光電変換素子
41…開口部
42,42A…ピラー構造