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特開2022-103083食品用錠剤、食品用錠剤の崩壊性向上方法、及び食品用錠剤の崩壊性向上剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022103083
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】食品用錠剤、食品用錠剤の崩壊性向上方法、及び食品用錠剤の崩壊性向上剤
(51)【国際特許分類】
   A23L 5/00 20160101AFI20220630BHJP
【FI】
A23L5/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021197843
(22)【出願日】2021-12-06
(31)【優先権主張番号】P 2020216063
(32)【優先日】2020-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】715011078
【氏名又は名称】アサヒグループ食品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】衛藤 良貴
(72)【発明者】
【氏名】小泉 創
(72)【発明者】
【氏名】湊 明義
【テーマコード(参考)】
4B035
【Fターム(参考)】
4B035LC04
4B035LC16
4B035LE05
4B035LE20
4B035LG01
4B035LG02
4B035LG07
4B035LG15
4B035LG16
4B035LG19
4B035LG20
4B035LG23
4B035LG25
4B035LG26
4B035LG27
4B035LG32
4B035LG37
4B035LG57
4B035LP21
4B035LP31
4B035LT20
(57)【要約】
【課題】錠剤に求められる硬度を維持しながらも崩壊性に優れた食品用錠剤、機能性成分を含む食品用錠剤の崩壊性向上方法、及び食品用錠剤の崩壊性向上剤の提供。
【解決手段】機能性成分と、崩壊性向上剤とを含み、前記崩壊性向上剤が、不溶性食物繊維である食品用錠剤、機能性成分と、崩壊性向上剤とを混合することを含み、前記崩壊性向上剤が、不溶性食物繊維である食品用錠剤の崩壊性向上方法、及び機能性成分を含む食品用錠剤の崩壊性を向上するために用いられ、不溶性食物繊維を含む食品用錠剤の崩壊性向上剤である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能性成分と、崩壊性向上剤とを含み、
前記崩壊性向上剤が、不溶性食物繊維であることを特徴とする食品用錠剤。
【請求項2】
前記不溶性食物繊維が、シトラス由来の食物繊維、アップル由来の食物繊維、ローカストビーンガム、ジェランガム、及びカラギナンからなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項1に記載の食品用錠剤。
【請求項3】
前記機能性成分が、難崩壊性成分を含む請求項1から2のいずれかに記載の食品用錠剤。
【請求項4】
前記機能性成分を5種以上含む請求項1から3のいずれかに記載の食品用錠剤。
【請求項5】
前記機能性成分を5質量%以上含む請求項1から4のいずれかに記載の食品用錠剤。
【請求項6】
前記難崩壊性成分を5質量%以上含む請求項3から5のいずれかに記載の食品用錠剤。
【請求項7】
機能性成分を含む食品用錠剤の崩壊性向上方法であって、
前記機能性成分と、崩壊性向上剤とを混合することを含み、
前記崩壊性向上剤が、不溶性食物繊維であることを特徴とする食品用錠剤の崩壊性向上方法。
【請求項8】
機能性成分を含む食品用錠剤の崩壊性を向上するために用いられ、
不溶性食物繊維を含むことを特徴とする食品用錠剤の崩壊性向上剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤に求められる硬度を維持しながらも崩壊性に優れた食品用錠剤、機能性成分を含む食品用錠剤の崩壊性向上方法、及び食品用錠剤の崩壊性向上剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、不規則な食生活や美容への意識の高まりなどに伴い、必要な栄養素を効率的に補給するため、アミノ酸、ビタミン、ミネラル等の栄養素や、様々な栄養素を含む植物や動物原料由来の抽出物などの機能性成分を含有する栄養補助食品やサプリメントといった食品用錠剤の需要が高まっている。
【0003】
前記食品用錠剤に使用できる崩壊剤としては、食品添加物であるデンプングリコール酸ナトリウムやクロスカルメロースナトリウムなどがある。これらの崩壊剤は、医薬品では使用基準がないものの、食品では食品中2質量%以下という使用基準が存在する。この使用基準2質量%以下の配合では、十分な崩壊性を示すことが難しい製品が存在するという問題がある。
【0004】
また、食品原料として、部分α化デンプンや寒天は使用基準なく使用することが可能であるものの、原料自体の結着性が乏しいため、配合量を増やすと錠剤硬度が低下することから、配合量を10質量%や20質量%と増やすことが難しいという問題がある。また、ある一定量の配合量になると、その機能はプラトーに達し、配合率に応じた効果は発揮できないという問題もある。
【0005】
一方、医薬品においては、D-マンニトール、糖アルコール、結晶セルロース、コーンスターチ、乳糖等を組合せた賦形剤原料が開発され、口腔内崩壊錠として崩壊性に優れた錠剤を提供されているが、錠剤硬度が低く食品の流通には不向きであるという問題がある。また、D-マンニトールのように、一般の食品では使用できない原料もある。さらに、前記賦形剤原料の製造のためには、特殊な造粒機を用いる必要があったり、何段階かに区分けした造粒工程を必要としたり、食品分野においては展開が難しい技術であるという問題もある。
【0006】
なお、舌苔除去効果と強い口臭除去効果を有し、携帯性に優れている口腔用固形組成物として、不溶性天然植物繊維を配合した口腔用固形組成物が提案されているが、食品用錠剤の崩壊性を向上する技術に関するものではない(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005-281230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
栄養補助食品やサプリメントといった食品用錠剤が市販されているが、当該錠剤に多数の機能性成分を配合したり、配合する機能性成分の量を多くしたりすることができれば、簡易に不足しがちな栄養成分を摂取することが可能となる。しかしながら機能性成分の中には錠剤の崩壊性を低下させる成分があること、また、機能性成分を複数配合したり、機能性成分の配合量を多くしたりした場合にも錠剤の崩壊性が低下してしまう問題があることを本発明者らは見出した。
【0009】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、錠剤に求められる硬度を維持しながらも崩壊性に優れた食品用錠剤、機能性成分を含む食品用錠剤の崩壊性向上方法、及び食品用錠剤の崩壊性向上剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、錠剤に不溶性食物繊維を配合することで、難崩壊性成分を含む場合や、機能性成分を多数配合したり、機能性成分の配合量を多くしたりした場合にも、錠剤硬度を維持しつつ、崩壊性が良好な錠剤とすることができることを知見した。
【0011】
本発明は、本発明者らの前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 機能性成分と、崩壊性向上剤とを含み、
前記崩壊性向上剤が、不溶性食物繊維であることを特徴とする食品用錠剤である。
<2> 前記不溶性食物繊維が、シトラス由来の食物繊維、アップル由来の食物繊維、ローカストビーンガム、ジェランガム、及びカラギナンからなる群から選択される少なくとも1種を含む前記<1>に記載の食品用錠剤である。
<3> 前記機能性成分が、難崩壊性成分を含む前記<1>から<2>のいずれかに記載の食品用錠剤である。
<4> 前記機能性成分を5種以上含む前記<1>から<3>のいずれかに記載の食品用錠剤である。
<5> 前記機能性成分を5質量%以上含む前記<1>から<4>のいずれかに記載の食品用錠剤である。
<6> 前記難崩壊性成分を5質量%以上含む前記<3>から<5>のいずれかに記載の食品用錠剤である。
<7> 機能性成分を含む食品用錠剤の崩壊性向上方法であって、
前記機能性成分と、崩壊性向上剤とを混合することを含み、
前記崩壊性向上剤が、不溶性食物繊維であることを特徴とする食品用錠剤の崩壊性向上方法である。
<8> 機能性成分を含む食品用錠剤の崩壊性を向上するために用いられ、
不溶性食物繊維を含むことを特徴とする食品用錠剤の崩壊性向上剤である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、錠剤に求められる硬度を維持しながらも崩壊性に優れた食品用錠剤、機能性成分を含む食品用錠剤の崩壊性向上方法、及び食品用錠剤の崩壊性向上剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(食品用錠剤)
本発明の食品用錠剤は、機能性成分と、崩壊性向上剤とを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
【0014】
<機能性成分>
前記機能性成分としては、特に制限はなく、栄養補助食品やサプリメントなどに用いられている成分を目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ヘスペリジン、イノシトール等のビタミン類;アミノ酸又はその塩;カゼイン分解物等の乳由来ペプチドを含有するペプチド含有物、鶏軟骨由来エキス等の動物由来ペプチドを含有するペプチド含有物、マカエキス、ゴマエキス等の植物由来ペプチドを含有するペプチド含有物、わかめエキス、こんぶエキス等の海藻由来ペプチドを含有するペプチド含有物、サメ軟骨抽出エキス、サケ鼻軟骨抽出エキス、マグロ抽出エキス等の魚類由来ペプチドを含有するペプチド含有物等のペプチド含有物;プラセンタ抽出物、コラーゲン含有抽出物等の動物抽出物;カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄、マンガン、銅、セレン、クロム、モリブデン等のミネラル;コエンザイムQ10、α-リポ酸、L-カルニチン、コラーゲン、ヒアルロン酸、エラスチン、ウコン、グルコサミン塩酸塩、コンドロイチン硫酸、シリマリン、ルテイン、発酵大豆胚芽エキス末、ザクロエキス末等;イチョウ葉由来、リンゴ由来、グァバ由来、茶由来、松由来、ブドウ由来、サラシア由来等の各種ポリフェノールを含有する成分;などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記機能性成分は、市販品を適宜使用することができる。
【0015】
前記食品用錠剤は、前記機能性成分として、難崩壊性成分を含むものに好適に用いることができる。
本発明において、難崩壊性とは、錠剤の崩壊時間が長いことをいう。例えば、直径8mm、曲率半径(R)6.5mm、200mg/錠の錠剤の場合には、錠剤硬度を70Nとした際の崩壊時間が10分間以上である場合に、難崩壊性であるということができる。
前記難崩壊性成分は、当該成分を含む錠剤とした場合に、崩壊時間が長くなる成分のことをいう。
【0016】
前記難崩壊性成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イチョウ葉エキス、ビルベリーエキス、ブルーベリーエキス、サラシアエキス、りんごポリフェノール等のポリフェノールを含有する成分、ウコンエキス、シリマリン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ルテイン、ヘム鉄、コラーゲン、ビタミン類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0017】
前記機能性成分は、市販品を適宜使用することができる。
【0018】
前記食品用錠剤における前記機能性成分の種類の数としては、1種であってもよいし、2種以上であってもよいが、本発明の食品用錠剤によれば、2種以上の機能性成分を含む場合でも崩壊時間が優れることから、多数の種類の機能性成分を配合することができ、例えば、5種以上とすることができる。
【0019】
前記機能性成分は、難崩壊性成分を含むものであってもよいし、含まないものであってもよい。前記機能性成分が2種以上含まれる場合の各機能性成分の含有割合としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0020】
前記機能性成分の前記食品用錠剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%~80質量%が更に好ましく、30質量%~70質量%が特に好ましい。本発明の食品用錠剤によれば、機能性成分の配合量が多い場合でも崩壊時間が優れた錠剤とすることができる。
【0021】
前記難崩壊性成分の前記食品用錠剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%~80質量%が更に好ましく、30質量%~70質量%が特に好ましい。本発明の食品用錠剤によれば、難崩壊性成分の配合量が多い場合でも崩壊時間が優れた錠剤とすることができる。
【0022】
<崩壊性向上剤>
前記崩壊性向上剤は、不溶性食物繊維である。
本発明において、崩壊性向上とは、錠剤の崩壊時間を短くすることをいう。前記崩壊性向上剤は、公知の崩壊剤の補助又は代替として用いることができる。
【0023】
本発明において、前記不溶性食物繊維は、不溶性食物繊維のみからなるものであってもよいし、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維とが混在しているものであってもよい。前記不溶性食物繊維と水溶性食物繊維とが混在しているものである場合には、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維との合計量に対する、不溶性食物繊維の含有量が50質量%以上であるものを不溶性食物繊維という。
前記不溶性食物繊維は、37℃の水に不溶な食物繊維のことをいう。
【0024】
前記不溶性食物繊維としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シトラス由来の食物繊維、アップル由来の食物繊維、サトウキビ由来の食物繊維、ローカストビーンガム、ジェランガム、カラギナン、酵母由来の食物繊維などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記不溶性食物繊維の中でも、錠剤硬度及び崩壊性がより優れる点で、シトラス由来の食物繊維、アップル由来の食物繊維、ローカストビーンガム、ジェランガム、及びカラギナンからなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、シトラス由来の食物繊維がより好ましい。
【0025】
前記シトラスとは、ミカン科植物のことをいい、前記ミカン科植物としては、レモン、ライム、オレンジ、イヨカン、ウチムラサキ、ウンシュウミカン、オオベニミカン、カボス、キシュウミカン、グレープフルーツ、サンボウカン、シーカーシャー、シトロン、スダチ、タチバナ、ダイダイ、ナツミカン、ネーブル、ハッサク、ヒュウガナツ、ベルガモット、ポンカン、ユズ、キンカンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、錠剤硬度及び崩壊性がより優れる点で、レモン、ライム、オレンジが好ましい。
【0026】
前記アップルとは、バラ科リンゴ属植物のことをいい、前記バラ科リンゴ属植物としては、セイヨウリンゴ、オオウラジロノキ、エゾノリンゴなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0027】
前記不溶性食物繊維は、市販品を適宜使用することができる。
【0028】
前記崩壊性向上剤の前記食品用錠剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%~50質量%が好ましく、3質量%~30質量%がより好ましく、5質量%~20質量%が特に好ましい。前記崩壊性向上剤の含有量が好ましい範囲内であると、錠剤硬度の低下を抑えつつ、崩壊性がより優れた錠剤とすることができる。
【0029】
前記食品用錠剤に前記崩壊性向上剤が2種以上含まれる場合の各崩壊性向上剤の含有割合としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0030】
前記崩壊性向上剤の態様としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粉末、顆粒(造粒物と称することもある)などが挙げられる。これらの中でも、崩壊性をより向上することができる点で、顆粒が好ましい。
【0031】
前記不溶性食物繊維の粒子径(D50)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10μm~300μmが好ましい。前記好ましい範囲内であると、他の原料との混合均一性が良好であり、また、錠剤加工を行う際の圧縮工程で原料が潰れることがなく、崩壊性に優れる点で、有利である。
【0032】
前記機能性成分と、前記崩壊性向上剤との質量比(崩壊性向上剤/機能性成分)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01以上が好ましく、0.05以上がより好ましく、0.1以上が特に好ましい。前記質量比が好ましい範囲内であると、崩壊性がより優れる点で、有利である。
【0033】
<その他の成分>
前記食品用錠剤におけるその他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、タルク、植物油脂、硬化油等の滑沢剤;部分α化デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム等の崩壊剤;デンプン、乳糖、ビール酵母、デキストリン、コーンスターチ等の賦形剤;粉末セルロース;結晶セルロース;ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等の水溶性ポリマー;還元麦芽糖水あめ、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール等の糖アルコール;トレハロース、パラチノース、イソマルト等の二糖類;大豆多糖類;とうもろこしタンパク等の結合剤;無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、二酸化ケイ素等のケイ素、又はその塩、又は酸化物;固着剤;酸化チタン、酸化鉄等の着色剤;フィチン酸、クエン酸、コハク酸、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、DL-リンゴ酸、リン酸、リン酸二ナトリウム等のpH調整剤又は緩衝剤;酸化防止剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記その他の成分は、市販品を適宜使用することができる。
前記食品用錠剤におけるその他の成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0034】
前記食品用錠剤の形状、構造、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0035】
前記食品用錠剤は、栄養補助食品やサプリメントとして好適に用いることができる。
【0036】
<食品用錠剤の製造方法>
前記食品用錠剤の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、混合工程を少なくとも含み、必要に応じて更にその他の工程を含む方法により製造することが好ましい。
【0037】
<<混合工程>>
前記混合工程は、機能性成分と、崩壊性向上剤とを混合する工程である。前記混合工程では、必要に応じて更にその他の成分を混合してもよい。
【0038】
前記混合工程における、前記機能性成分、前記崩壊性向上剤、及び前記その他の成分は、上記した本発明の(食品用錠剤)の項目に記載したものと同様であり、好ましい態様も同様である。
【0039】
前記混合工程は、前記機能性成分と、前記崩壊性向上剤と、必要に応じて前記その他の成分とを1回でまとめて混合してもよいし、任意の成分ごとに複数回に分けて混合してもよい。
【0040】
前記混合工程で得られる混合物は、粉末であってもよいし、造粒した顆粒であってもよい。
【0041】
前記混合は公知の装置を用いて行うことができ、該装置としては、例えば、コンテナタンブラー、V型混合機、ボーレーコンテナミキサーなどが挙げられる。
前記混合の温度、時間等の条件としては、特に制限はなく、適宜選択することができる。
【0042】
前記造粒の方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができ、例えば、流動層造粒法、攪拌造粒法、乾式造粒法、噴霧乾燥法などが挙げられる。
前記造粒の方法の具体例としては、前記各成分を混合、練合、捏和、及び/又は攪拌し、適宜選択した結合剤を噴霧及び/又は添加する方法が挙げられる。
【0043】
前記結合剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体、プルラン、グアガム等の増粘多糖類、イソマルトース、キシリトール、マルチトール、ソルビトール等の糖アルコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記結合剤は、市販品を適宜使用することができる。
【0044】
前記結合剤は、噴霧するために、溶解液乃至分散液(以下、「噴霧液」と称することがある。)としてもよい。
前記結合剤を溶解乃至分散するために用いる溶媒としては、特に制限はなく、使用する結合剤の種類などに応じて適宜選択することができ、例えば、水、エタノール、これらの混合溶媒などが挙げられる。
【0045】
前記噴霧液の粘度、噴霧液中の結合剤の濃度(固形分濃度)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記噴霧液を噴霧する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、使用する造粒装置に設けられた噴霧手段、例えば、スプレーガン、噴霧ノズル等から噴霧する方法などが挙げられる。
前記噴霧の条件(噴霧量、噴霧する霧粒子(ミスト)の大きさ、噴霧時間、噴霧間隔等)としては、特に制限はなく、公知の条件を適宜選択することができる。
【0046】
前記造粒は公知の装置を用いて行うことができ、該装置としては、例えば、噴霧造粒装置、流動層造粒装置、撹拌造粒装置などが挙げられる。
前記造粒の温度、時間等の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0047】
<<その他の工程>>
前記その他の工程としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、打錠工程などが挙げられる。
【0048】
前記打錠工程は、前記混合工程で得られた粉末又は顆粒と、必要に応じて前記その他の成分とを混合した打錠末を打錠する工程であり、これにより、錠剤とすることができる。
【0049】
前記打錠は公知の装置を用いて行うことができ、該装置としては、例えば、打錠機(例えば、HT-APSS型、HT-AP-MS型、HT-X-SS型、HT-X-MS型(以上、株式会社畑鉄工所製);VEL5、VIRGO、AQUARIUS、LIBRA(以上、株式会社菊水製作所製))などが挙げられる。
【0050】
前記打錠における打錠圧等の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0051】
本発明の食品用錠剤は、錠剤に求められる硬度を維持しつつ、崩壊性も良好なものである。また、本発明の食品用錠剤は、簡易な方法で効率良く製造することができるので、製造コストの面でも優れる。
【0052】
(機能性成分を含む食品用錠剤の崩壊性向上方法)
本発明の機能性成分を含む食品用錠剤の崩壊性向上方法(以下、「崩壊性向上方法」と称することがある。)は、混合工程を少なくとも含み、必要に応じて更にその他の工程を含む。
【0053】
<混合工程>
前記混合工程は、機能性成分と、崩壊性向上剤とを混合する工程であり、上記した本発明の(食品用錠剤)の<食品用錠剤の製造方法>の<<混合工程>>の項目に記載したものと同様にして行うことができ、好ましい態様も同様とすることができる。
【0054】
<その他の工程>
前記その他の工程としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した本発明の(食品用錠剤)の<食品用錠剤の製造方法>の<<その他の工程>>の項目に記載したものと同様のものが挙げられる。
【0055】
本発明の崩壊性向上方法によれば、錠剤に求められる硬度を維持しながらも崩壊性を良好なものとすることができる。
【0056】
(食品用錠剤の崩壊性向上剤)
本発明の食品用錠剤の崩壊性向上剤は、機能性成分を含む食品用錠剤の崩壊性を向上するために用いられ、不溶性食物繊維を少なくとも含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
【0057】
<不溶性食物繊維>
前記不溶性食物繊維は、上記した本発明の(食品用錠剤)の<崩壊性向上剤>の項目に記載したものと同様であり、好ましい態様も同様である。
【0058】
前記不溶性食物繊維の前記崩壊性向上剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記崩壊性向上剤は、前記不溶性食物繊維のみからなるものであってもよい。
【0059】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した本発明の(食品用錠剤)の<その他の成分>の項目に記載したものと同様のものが挙げられる。
【0060】
前記食品用錠剤の崩壊性向上剤によれば、錠剤に求められる硬度を維持しながらも崩壊性を良好なものとすることができる。
【実施例0061】
以下に試験例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの試験例に何ら限定されるものではない。
【0062】
(試験例1:機能性成分の違いによる崩壊性への影響の確認)
機能性成分として、下記の成分を選択し、下記の表1-1~1-4に記載の配合率で錠剤を製造し、崩壊時間を確認した。なお、結晶セルロースと、ステアリン酸カルシウムとからなる錠剤をコントロール(崩壊性が良好な錠剤)とした。また、試験例1-3(シリマリン末)、試験例1-4(ヒアルロン酸)については、流動性を考慮して配合率を他の機能性成分よりも少なくした。
〔機能性成分〕
・ イチョウ葉エキス末(Dr.Willmar Schwabe GmbH & Co.KG社製)
・ ウコンエキス末(日本スタンゲ株式会社製)
・ シリマリン末(Indena S.p.A.社製)
・ ヒアルロン酸(日本新薬株式会社製)
・ コンドロイチン硫酸(上海輝文生物技術有限公司社製)
・ ビルベリーエキス末(Ningbo Green-Health Pharmaceutical Co.,Ltd社製)
・ ルテイン末(DSMニュートリションジャパン株式会社製)
・ ヘム鉄(ILS株式会社製)
・ サラシア末(株式会社タカマ製)
・ ビタミン混合物(ビタミンA、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンE、ビオチン、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビタミンP、及びイノシトールの混合物)
・ ビタミンB混合物(ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB12、ビオチン、ナイアシン、パントテン酸、及び葉酸の混合物)
・ L-アスコルビン酸(Northeast Pharmaceutical Group Co.、Ltd.社製)
・ コラーゲン(Rousselot Angouleme SAS社製)
・ カルシウム(ホタテ末)(株式会社エヌ・シー・コーポレーション製)
・ グルコサミン塩酸塩(揚州科恩生物科技有限公司社製)
【0063】
<錠剤の製造>
-打錠末の調製-
下記表1-1~1-4に記載の各成分を混合し、各打錠末とした。
【0064】
-打錠-
ロータリー式打錠機(VEL5、株式会社菊水製作所製)を用い、前記打錠末を7kN、11kN、又は14kNの圧力(打錠圧)で充填加圧して打錠加工し、直径8mm、曲率半径(R)6.5mm、200mg/錠の錠剤を得た。
【0065】
<評価>
-錠剤硬度-
前記錠剤の硬度(N)を、全自動錠剤測定Multicheck5.1(ERWEKA社製)を用いて測定した。結果を表1-1~1-4に示す。
【0066】
-崩壊時間-
前記錠剤の崩壊時間を、全自動式崩壊試験器ZT322(ERWEKA社製)を用い、溶媒を水、水温37℃にて測定した。結果を表1-1~1-4に示す。
【0067】
【表1-1】
【0068】
【表1-2】
【0069】
【表1-3】
【0070】
【表1-4】
【0071】
錠剤重量200mgの錠剤は小ぶりであることから、錠剤硬度70Nとした場合に崩壊時間が10分以上かかる原料が、難崩壊性成分であるといえる。
表1-1~1-4に示したように、コントロールの錠剤は、錠剤硬度は高いが、崩壊時間は5分程度であり、結晶セルロースは崩壊性良好な原料であることが確認された。また、L-アスコルビン酸、カルシウム(ホタテ末)、グルコサミン塩酸塩も崩壊性良好な原料であることが確認された。
一方、残りの原料は崩壊時間が長く、難崩壊性成分であるといえると考えられた。なお、ヘム鉄を配合した錠剤は錠剤硬度が出にくい傾向にあるため硬度が低く、崩壊時間は見かけ上早く見えるが、錠剤硬度を70N、100Nと外挿した場合、70Nで約30分、100Nで約48分となり、崩壊時間は長くなる傾向を示した。また、ウコンエキス末を配合した錠剤は錠剤硬度高く崩壊時間長いが、錠剤硬度100Nを外挿した場合で約17分となり、崩壊時間は長い傾向といえる。
【0072】
(試験例2)
崩壊性向上剤の候補として、下記の成分を選択し、検討した。
〔崩壊性向上剤の候補〕
・ シトラス由来の食物繊維A(ヘルバセル、ヘルバフード社製)
・ シトラス由来の食物繊維B(シトリファイ、ファイバースター社製)
・ グアガム(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)
・ サトウキビ由来の食物繊維(JRS Pharma Gmbh & Co. KG社製)
・ ローカストビーンガム(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)
【0073】
<顆粒の製造>
下記の表2-1~2-2に記載の配合率となるように、各成分を混練し、造粒した。次いで、60℃で12~18時間乾燥し、顆粒2A~2Fとした。
【0074】
【表2-1】
【0075】
【表2-2】
【0076】
<錠剤の製造>
-打錠末の調製-
下記表2-3~2-4に記載の各成分を混合し、各打錠末とした。
【0077】
-打錠-
ロータリー式打錠機(VEL5、株式会社菊水製作所製)を用い、前記打錠末を7kN、11kN、又は14kNの圧力(打錠圧)で充填加圧して打錠加工し、直径8mm、曲率半径(R)6.5mm、200mg/錠の錠剤を得た。
【0078】
<評価>
試験例1と同様にして、各錠剤の硬度及び崩壊時間を評価した。結果を表2-3~2-4に示す。
【0079】
【表2-3】
【0080】
【表2-4】
【0081】
表2-3~2-4に示したように、シトラス由来の食物繊維、ローカストビーンガムは、デンプングリコール酸ナトリウムと同等以上の崩壊性を有し、錠剤硬度も維持されていた。また、シトラス由来の食物繊維、ローカストビーンガムは、水溶性食物繊維であるグアガムよりも優れた崩壊性を示した。
【0082】
(試験例3)
試験例2では崩壊性向上剤の候補を顆粒として試験を行ったが、本試験では造粒を行わずに試験を行った。崩壊性向上剤の候補として、下記の成分を選択し、検討した。
〔崩壊性向上剤の候補〕
・ シトラス由来の食物繊維A(ヘルバセル、ヘルバフード社製)
・ シトラス由来の食物繊維B(シトリファイ、ファイバースター社製)
・ グアガム(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)
・ ローカストビーンガム(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)
【0083】
<錠剤の製造>
-打錠末の調製-
下記表3-1~3-2に記載の各成分を混合し、各打錠末とした。
【0084】
-打錠-
ロータリー式打錠機(VEL5、株式会社菊水製作所製)を用い、前記打錠末を7kN、11kN、又は14kNの圧力(打錠圧)で充填加圧して打錠加工し、直径8mm、曲率半径(R)6.5mm、200mg/錠の錠剤を得た。
【0085】
<評価>
試験例1と同様にして、各錠剤の硬度及び崩壊時間を評価した。結果を表3-1~3-2に示す。
【0086】
【表3-1】
【0087】
【表3-2】
【0088】
表3-1~3-2に示したように、造粒した場合(試験例2)と比較するとやや崩壊性は劣るものの、造粒せずに配合した場合であっても、本発明の崩壊性向上剤によれば、錠剤の崩壊性が向上することが確認された。
【0089】
(試験例4)
崩壊性向上剤の配合割合を変えた場合の効果について検討した。
〔崩壊性向上剤〕
・ シトラス由来の食物繊維A(ヘルバセル、ヘルバフード社製)
・ シトラス由来の食物繊維B(シトリファイ、ファイバースター社製)
【0090】
<顆粒の製造>
下記の表4-1に記載の配合率となるように、各成分を混練し、造粒した。次いで、60℃で12~18時間乾燥し、顆粒4A~4Bとした。
【0091】
【表4-1】
【0092】
<錠剤の製造>
-打錠末の調製-
下記表4-2~4-3に記載の各成分を混合し、各打錠末とした。
【0093】
-打錠-
ロータリー式打錠機(VEL5、株式会社菊水製作所製)を用い、前記打錠末を7kN、11kN、又は14kNの圧力(打錠圧)で充填加圧して打錠加工し、直径8mm、曲率半径(R)6.5mm、200mg/錠の錠剤を得た。
【0094】
<評価>
試験例1と同様にして、各錠剤の硬度及び崩壊時間を評価した。結果を表4-2~4-3に示す。
【0095】
【表4-2】
【0096】
【表4-3】
【0097】
表4-2~4-3に示したように、崩壊性向上剤の配合割合を増やすことで、崩壊性が向上することが確認された。また、造粒した場合では配合割合が50質量%まで、造粒しない場合でも配合割合が25質量%までは錠剤硬度の大幅な低下はなく、製品として十分許容できるものであることが確認された。
【0098】
(試験例5)
顆粒における崩壊性向上剤の配合割合を変えた場合、及び顆粒における増粘剤を変えた場合の効果について検討した。
〔崩壊性向上剤〕
・ シトラス由来の食物繊維A(ヘルバセル、ヘルバフード社製)
【0099】
<顆粒の製造>
下記の表5-1~5-2に記載の配合率となるように、各成分を混練し、造粒した。次いで、60℃で12~18時間乾燥し、顆粒5A~5Fとした。
【0100】
【表5-1】
【0101】
【表5-2】
【0102】
<錠剤の製造>
-打錠末の調製-
下記表5-3~5-7に記載の各成分を混合し、各打錠末とした。
【0103】
-打錠-
ロータリー式打錠機(VEL5、株式会社菊水製作所製)を用い、前記打錠末を11kN、又は14kNの圧力(打錠圧)で充填加圧して打錠加工し、直径8mm、曲率半径(R)6.5mm、200mg/錠の錠剤を得た。
【0104】
<評価>
試験例1と同様にして、各錠剤の硬度及び崩壊時間を評価した。なお、崩壊時間の測定は、打錠圧14kNで得られた錠剤について行った。結果を表5-3~5-7に示す。
【0105】
【表5-3】
【0106】
【表5-4】
【0107】
【表5-5】
【0108】
【表5-6】
【0109】
【表5-7】
【0110】
表5-3~5-7に示したように、崩壊性向上剤の配合割合に応じて崩壊性が向上する傾向が確認された。また、造粒時の増粘剤を変更しても崩壊性向上への影響は小さいことが確認された。
【0111】
(試験例6)
機能性成分を含む錠剤の崩壊性について検討した。
〔機能性成分〕
・ コンドロイチン硫酸(サメ軟骨由来食品用コンドロイチン-70 造粒品、上海輝文生物技術有限公司社製)
・ ヒアルロン酸(ヒアルロン酸ST、日本新薬株式会社製)
〔崩壊性向上剤〕
・ シトラス由来の食物繊維A(ヘルバセル、ヘルバフード社製)
【0112】
<錠剤の製造>
-打錠末の調製-
下記表6に記載の各成分を混合し、各打錠末とした。
【0113】
-打錠-
ロータリー式打錠機(VEL5、株式会社菊水製作所製)を用い、前記打錠末を充填加圧して打錠加工し、錠剤硬度が240~260Nの直径8mm、曲率半径(R)6.5mm、200mg/錠の錠剤を得た。
【0114】
<評価>
試験例1と同様にして、各錠剤の崩壊時間を評価した。結果を表6に示す。
【0115】
【表6】
【0116】
表6に示したように、実際に機能性成分を配合した錠剤においても、本発明の崩壊性向上剤を用いることで、錠剤硬度を維持しつつ、崩壊時間を短くすることができることが確認された。
【0117】
(試験例7)
機能性成分を含む錠剤の崩壊性について検討した。
【0118】
<顆粒の製造>
下記の表7-1に記載の配合率となるように、各成分を混練し、造粒した。次いで、60℃で12~18時間乾燥し、顆粒7Aとした。
〔崩壊性向上剤〕
・ シトラス由来の食物繊維A(ヘルバセル、ヘルバフード社製)
【0119】
【表7-1】
【0120】
<錠剤の製造>
-打錠末の調製-
下記表7-2に記載の各成分を混合し、各打錠末とした。
〔機能性成分〕
・ ビルベリーエキス末(Ningbo Green-Health Pharmaceutical Co.,Ltd社製)
・ マリーゴールド(Kemin Health,L.C.社製)
・ カシスエキス末(陝西源邦生物技術有限公司社製)
【0121】
-打錠-
ロータリー式打錠機(VEL5、株式会社菊水製作所製)を用い、前記打錠末を充填加圧して打錠加工し、錠剤硬度が140~160Nの直径8mm、曲率半径(R)6.5mm、200mg/錠の錠剤を得た。
【0122】
<評価>
試験例1と同様にして、各錠剤の崩壊時間を評価した。結果を表7-2に示す。
【0123】
【表7-2】
【0124】
表7-2に示したように、試験例6とは異なる機能性成分を配合した錠剤においても、本発明の崩壊性向上剤を用いることで、錠剤硬度を維持しつつ、崩壊時間を短くすることができることが確認された。
【0125】
(試験例8)
機能性成分を含む錠剤の崩壊性について検討した。
【0126】
<錠剤の製造>
-打錠末の調製-
下記表8に記載の各成分を混合し、各打錠末とした。
〔機能性成分〕
・ サラシアエキス末(株式会社タカマ製)
〔崩壊性向上剤〕
・ シトラス由来の食物繊維A(ヘルバセル、ヘルバフード社製)
・ シトラス由来の食物繊維B(シトリファイ、ファイバースター社製)
【0127】
-打錠-
ロータリー式打錠機(VEL5、株式会社菊水製作所製)を用い、前記打錠末を8kN、又は11kNの圧力(打錠圧)で充填加圧して打錠加工し、直径8mm、曲率半径(R)6.5mm、200mg/錠の錠剤を得た。
【0128】
<評価>
製造直後の錠剤の硬度を試験例1と同様にして測定した。また、評価対象として、製造直後(イニシャル)の錠剤と50℃で60日間保管した錠剤を用いた以外は、試験例1と同様にして、各錠剤の崩壊時間を評価した。結果を表8に示す。
【0129】
【表8】
【0130】
表8に示したように、本発明の崩壊性向上剤を用いることで、製造直後のみならず、経時での崩壊性も向上することが確認された。
【0131】
(試験例9:機能性成分の違いによる崩壊性への影響の確認-2)
機能性成分として、下記の成分を選択し、下記の表9に記載の配合率で錠剤を製造し、崩壊時間を確認した。なお、結晶セルロースと、ステアリン酸カルシウムとからなる錠剤をコントロール(崩壊性が良好な錠剤)とした。
〔機能性成分〕
・ ビタミンD製剤(輸入者:上海フリーマンジャパン株式会社)
【0132】
<錠剤の製造>
-打錠末の調製-
下記表9に記載の各成分を混合し、各打錠末とした。
【0133】
-打錠-
単発打錠機(フルオート粉末成形装置 AutoTab-200、市橋精機株式会社製)を用い、前記打錠末を5kN、8kN、又は11kNの圧力(打錠圧)で充填加圧して打錠加工し、直径8mm、曲率半径(R)6.5mm、200mg/錠の錠剤を得た。
【0134】
<評価>
-錠剤硬度-
前記錠剤の硬度(N)を、全自動錠剤測定Multicheck5.1(ERWEKA社製)を用いて測定した。結果を表9に示す。
【0135】
-崩壊時間-
前記錠剤の崩壊時間を、全自動式崩壊試験器ZT322(ERWEKA社製)を用い、溶媒を水、水温37℃にて測定した。結果を表9に示す。
【0136】
【表9】
【0137】
上記したように、錠剤重量200mgの錠剤は小ぶりであることから、錠剤硬度70Nとした場合に崩壊時間が10分以上かかる原料が、難崩壊性成分であるといえる。
表9に示したように、コントロールの錠剤は、錠剤硬度は高いが、崩壊時間は5分程度であり、結晶セルロースは崩壊性良好な原料であることが確認された。
一方、ビタミンDを配合した試験例9の錠剤は、錠剤硬度を70N、100Nと外挿した場合、70Nで約27分、100Nで約33分となり、崩壊時間は長くなる傾向を示し、ビタミンDは難崩壊性成分であるといえると考えられた。
【0138】
(試験例10)
難崩壊性成分としてビタミンD製剤(試験例9で用いたものと同様)を用い、崩壊性向上剤としてシトラス由来の食物繊維A(ヘルバセル、ヘルバフード社製)を用いた場合の効果について検討した。
【0139】
<錠剤の製造>
下記表10-1~10-2に記載の各成分を混合し、各打錠末とした。
【0140】
-打錠-
単発打錠機(フルオート粉末成形装置 AutoTab-200、市橋精機株式会社製)を用い、錠剤硬度が平均で155N~160Nの範囲になるように調整した圧力(打錠圧)で、前記打錠末を充填加圧して打錠加工し、直径8mm、曲率半径(R)6.5mm、200mg/錠の錠剤を得た。
【0141】
<評価>
試験例9と同様にして、各錠剤の硬度及び崩壊時間を評価した。結果を表10-1~10-2に示す。
【0142】
【表10-1】
【0143】
【表10-2】
【0144】
表10-1~10-2に示したように、本発明の崩壊性向上剤を配合することで、ビタミンDを配合した錠剤でもデンプングリコール酸ナトリウムと同等の崩壊性が示され、錠剤の崩壊性が向上することが確認された。