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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022103091
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/60 20060101AFI20220630BHJP
【FI】
E06B1/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021203100
(22)【出願日】2021-12-15
(31)【優先権主張番号】P 2020216489
(32)【優先日】2020-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 丈志
(72)【発明者】
【氏名】石塚 和之
【テーマコード(参考)】
2E011
【Fターム(参考)】
2E011KA03
2E011KB03
2E011KC01
2E011KD25
2E011KD26
2E011KD28
2E011KE04
2E011KE05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明の課題は、簡便な工法で建物の開口部に建具枠材を取付可能とする構造を有する建具を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、枠と、固定部材とを備え、固定部材は、枠の上枠と下枠と左右竪枠の少なくとも何れか一つに取り付けられるものであり、躯体の内周側に取り付けられる躯体側固定部材と、枠の外周側に取り付けられる枠側固定部材とを有し、躯体側固定部材と枠側固定部材の一方は雄係止部材であり、他方は雌係止部材であり、雄係止部材は、本体部と本体部から延びる突条を有しており、雌係止部材は、枠長手方向に沿って延びる溝を有し、突条が溝に対して枠長手方向の開口側から嵌まり込んでいる状態で、躯体側固定部材が枠側固定部材との干渉を避けるように躯体にネジ止めされていることを特徴とする建具とすることで課題を解決した。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠と、固定部材とを備え、
固定部材は、枠の上枠と下枠と左右竪枠の少なくとも何れか一つに取り付けられるものであり、躯体の内周側に取り付けられる躯体側固定部材と、枠の外周側に取り付けられる枠側固定部材とを有し、
躯体側固定部材と枠側固定部材の一方は雄係止部材であり、他方は雌係止部材であり、
雄係止部材は、本体部と本体部から延びる突条を有しており、
雌係止部材は、枠長手方向に沿って延びる溝を有し、
突条が溝に対して枠長手方向の開口側から嵌まり込んでいる状態で、躯体側固定部材が枠側固定部材との干渉を避けるように躯体にネジ止めされていることを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の開口部に設けられる建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の開口部に建具を設ける際には、開口部を形成する躯体及び建具枠材の完成形状に合わせた差し筋と型枠を形成し、コンクリートを打設し、次いで、建具枠材を取付けるために躯体に埋め込まれた差し筋とサッシアンカー等の接続部材とを溶接して接合することで、建具を開口部に固定するようにしていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような従来の建具の接続構造を前提とした工法では、建具工事以外に溶接や左官といった他業種にわたる工事が求められ、工事がどうしても長期化してしまう傾向にあった。
本発明は、従来の工法に依らずに簡便な工法で建物の開口部に建具枠材を取付可能とする構造を有する建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、枠と、固定部材とを備え、固定部材は、枠の上枠と下枠と左右竪枠の少なくとも何れか一つに取り付けられるものであり、躯体の内周側に取り付けられる躯体側固定部材と、枠の外周側に取り付けられる枠側固定部材とを有し、躯体側固定部材と枠側固定部材の一方は雄係止部材であり、他方は雌係止部材であり、雄係止部材は、本体部と本体部から延びる突条を有しており、雌係止部材は、枠長手方向に沿って延びる溝を有し、突条が溝に対して枠長手方向の開口側から嵌まり込んでいる状態で、躯体側固定部材が枠側固定部材との干渉を避けるように躯体にネジ止めされていることを特徴とする建具とすることで前述の課題を解決した。
【発明の効果】
【0005】
簡便な工法で建物の開口部に建具枠材を取付可能とする構造を有する建具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】(o)建具全体の内観を示す正面図(姿図),(a)図1(o)のA-A’間断面図、(b)図1(o)のB-B’間断面図、(c)図1(o)のC-C’間断面図
図2図1(a)の拡大図
図3】(a)上枠部分の正面図、(b)下枠部分の正面図
図4図1(b)の下枠部分の拡大図
図5図1(c)の竪枠右部分の拡大図
図6】竪枠の正面図
図7】建具を据え付ける前の様子を示した建具の縦断面図
図8】躯体側固定部材の別実施例による固定態様を示した縦断面図
図9】躯体側固定部材と枠側固定部材についての別の実施例を示した上枠断面図
図10】(a)躯体側固定部材と枠側固定部材についてのさらに別の実施例を示した上枠断面図、(b)不陸が生じている状況で設置した様子を示す斜視図
図11図2の実施例についての別実施例を示す縦断面図
図12図8の実施例についての別実施例を示す縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0007】
(実施例)
以下、図面を使って説明するが、以下の図面は説明を目的に作成されたもので、分かりやすくするため、説明に不要な部材を意図的に図示していない場合がある。また、説明のため部材を意図的に大きくまたは小さく図示している場合があり、正確な縮尺を示す図面ではない。なお、以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0008】
建具1を有する建造物であれば、どのような建造物であってもよい。実施例では、コンクリート建物の開口部に納められる引き違い窓としての建具1について説明する。
【0009】
(建具全体の構造)
図1(o)は、コンクリート建物の建物内部から引き違い窓としての建具1を見た内観図(姿図)である。本実施形態において建具1には、コンクリート建物の開口部に設けられたアルミニウム製の枠11に対して、枠側固定部材3と躯体側固定部材2とを一対とする本発明の固定部材12が上下枠に3組ずつ、左右竪枠に2組ずつ、合計10組設けられている。また、建具1の自重を受ける構造としての自重受けボルト5が2つ設けられている。
なお、固定部材12の数については建具1のサイズに応じて適宜な数を設定することが可能である。また、全ての枠11に対して本発明の固定部材12を設ける必要はなく、例えば、上枠のみに本発明の固定部材12を用いて、下枠には既知の他の固定手段を設けるといった施工も行えるものである。
【0010】
図1(a)は、図1(o)のA-A’間断面図であり、上下枠それぞれについて、躯体側固定部材2と枠側固定部材3が設けられている。本実施形態において、躯体側固定部材2が雄係止部材とされ、枠側固定部材3が雌係止部材とされているが、この関係は逆であってもよく、躯体側固定部材2を雌係止部材とし、枠側固定部材3を雌係止部材とすることも可能である。
【0011】
図1(b)は、図1(o)のB-B’間断面図であり、下枠部分に枠11の自重を受ける自重受けボルト5が設けられている。図1(c)は、図1(o)のC-C’間断面図であり、左右竪枠それぞれについて、躯体側固定部材2と枠側固定部材3が設けられている。本実施形態において、躯体側固定部材2が雄係止部材とされ、枠側固定部材3が雌係止部材とされているが、この関係は逆であってもよく、躯体側固定部材2を雌係止部材とし、枠側固定部材3を雌係止部材とすることも可能である。
【0012】
(上下枠の固定部材の構造)
図2は、図1(a)の拡大図であって、本発明の固定部材12が適用される上下枠についての建具1の縦断面図に相当する。一方、図3は、建具1の姿図の一部を拡大したものであって、図3(a)は上枠部分の正面図、図3(b)は下枠部分の正面図となっている。
躯体の内周側に設けられる固定部材12である躯体側固定部材2は、本実施形態においては雄係止部材として構成されている。雄係止部材としての躯体側固定部材2は、本体部21から突条22が延びる一体成形物である。躯体側固定部材2は、窓の所定の出入り位置に応じた位置であって、枠側固定部材3に対応する位置において、建物内部の正面の斜め下方向からコンクリート鋲4を捻じ込むことによって躯体に固定されている。
図2及び3から理解されるように、本体部21は見付け方向の長さが見込み方向の長さよりもやや長い矩形の形状とされているのに対して、突条22は見込み寸法よりも見付け寸法が圧倒的に長い文字通り条形態を有している。
【0013】
枠11の外周側に設けられる固定部材12である枠側固定部材3は、本実施形態においては雌係止部材として構成されている。枠側固定部材3は、躯体側固定部材2に対応する位置において、枠外周端にネジ32等の適宜の手段で取り付けられている。雌係止部材としての枠側固定部材3は、躯体側固定部材2の突条22を飲み込む溝31を枠長手方向に亘って有している。
【0014】
図2に示されるように、溝31の深さは建具1の開口部における適正な上下設置位置に応じて調節できるだけの余裕を持った飲み込み深さ代を有しており、この溝深さの存在によって突条22の嵌り込み寸法が吸収されている。一方、突条22の先端部の断面形状は円を押し潰したような略楕円形状となっているが、これは、躯体開口部の内周面に必然的に生じてしまう不陸に対して適切に対応できるためのものであって、この形状によって、躯体側固定部材2が水平から少々外れた角度で固定されていても、突条22の先端の溝31への当たりが適切なものとされるようになっている。
【0015】
(下枠自重受け部の構造)
図4は、図1(b)の下枠部分のみの拡大図であって、建具1の自重を受ける構造としての自重受けボルト5の周辺を示している。本実施形態において、自重受けボルト5の数は2つであるが、この数は建具1の重量に応じて適宜の数が設定されるものである。
建具1全体の開口部に対しての高さ位置が適正となるように回転調整された状態で自重受けボルト5が躯体に設置されている。
従来のように、据え付けの高さ調節をしつつ溶接する場合には、熟練工による作業が必要であり、また、危険も伴うものであるが、本発明実施形態において高さ調節は、自重受けボルト5を回転させるだけで済むので、作業は著しく容易である。それにも関わらず、建具1の高さの位置決めを高精度にすることができる。
【0016】
(左右竪枠の固定部材の構造)
図5は、図1(c)の右竪枠部分のみの拡大図であって、本発明の固定部材12が適用される右竪枠についての建具1の横断面図の一部に相当する。一方、図6は、建具1の姿図の一部を拡大したものであって、右竪枠部分の正面図となっている。
躯体の内周側に設けられる固定部材12である躯体側固定部材2は、本実施形態においては雄係止部材として構成されている。雄係止部材としての躯体側固定部材2は、本体部21から突条22が延びる一体成形物である。躯体側固定部材2は、窓の所定の出入り位置に応じた位置であって、枠側固定部材3に対応する位置において、建物内部の正面の斜め左方向からコンクリート鋲4を捻じ込むことによって躯体に固定されている。
図5及び6から理解されるように、本体部21は枠長手方向の長さが見込み方向の長さよりもやや長い矩形の形状とされているのに対して、突条22は見込み寸法よりも見付け寸法が圧倒的に長い文字通り条形態を有している。
【0017】
枠11の外周側に設けられる固定部材12である枠側固定部材3は、本実施形態においては雌係止部材として構成されている。枠側固定部材3は、躯体側固定部材2に対応する位置において、枠外周端にネジ32等の適宜の手段で取り付けられている。雌係止部材としての枠側固定部材3は、躯体側固定部材2の突条22を飲み込む溝31を枠長手方向に亘って有している。
【0018】
図5に示されるように、溝31の深さは建具1の開口部における適正な左右設置位置に応じて調節できるだけの余裕を持った飲み込み深さ代を有しており、この溝深さの存在によって突条22の嵌り込み寸法が吸収されている。一方、突条22の先端部の断面形状は円を押し潰したような略楕円形状となっているが、これは、躯体開口部の内周面に必然的に生じてしまう不陸に対して適切に対応できるためのものであって、この形状によって、躯体側固定部材2が鉛直から少々外れた角度で固定されていても、突条22の先端の溝31への当たりが適切なものとされるようになっている。
【0019】
(建具の施工手順)
本発明の建具1の施工手順を説明する。
先ず、窓枠四周に予め組み込まれた枠側固定部材3と共に窓枠を所定の位置(高さ・より・出入り)に据付ける。
窓枠を据付けた後、下枠の下辺に予め設けられている自重受けボルト5を回し適正な高さ位置を与える回転位置を決めた後、窓枠全体を躯体に接地させて窓枠の自重を躯体にあずけるようにする。
枠側固定部材3をかわした位置から突条22の先端が枠側固定部材3の溝31の開口側から嵌まり込むようにスライド移動させるようにして、躯体側固定部材2を、窓の所定の出入り位置に配置した後、躯体側固定部材2に対してコンクリート鋲4を斜めに捻じ込むようにして、躯体側固定部材2を開口部躯体に固定する。コンクリート鋲4の捻じ込みは、居室内内側から行うことができるため、便利である。この時点での状態が、図1(o)の姿図である。
最後に、窓枠内に図示しない外障子と内障子を収め、躯体開口部と枠11の隙間を断熱材等の適宜の充填剤で埋めた後、化粧板で目隠しをして建具1が完成する。
【0020】
このように、本発明の建具1における枠11の設置工程は、現場での溶接作業が不要であるため、作業上の危険を伴わず、また、熟練も必要とされず、施工期間の短縮や施工の容易化が図られており、省施工と評価できるものである。このことは全て、本発明の建具1の構造的特徴から導かれるものである。COVID-19といった各種の感染症が蔓延する場面で、益々の作業の省力化・効率化が求めれる昨今の施工現場の状況において、本発明が寄与するところの貢献は大きい。さらに、本実施形態においては、殆ど全ての作業を建物内部から行うことができるため、高所階での作業にも適したものとなっている。
【0021】
なお、図7に示されるように、枠側固定部材3の溝31には、予め突条22を嵌め込んでおくようにして、窓枠を据え付けることも可能である。このように施工する場合、窓枠を据え付けた後、溝31から突条22を引き出し、躯体側固定部材2が窓の所定の出入り位置に配置されていることを確認して、躯体側固定部材2をコンクリート鋲4で躯体に固定する。溝31と突条22は、一定長さの見付け寸法を有するため、上枠の溝31から躯体側固定部材2が容易に脱落することはないが、下枠や左右竪枠については容易に脱落してしまうので、躯体側固定部材2を養生テープT等で仮に留めておくとよい。
このようにすることで、更なる作業の省力化・効率化を図ることができる。
【0022】
(別実施例)
本発明の最初の実施形態において、本体部21は、窓の所定の出入り位置に応じた位置であって、枠側固定部材3に対応する位置において、建物内部の正面からコンクリート鋲4を捻じ込むことによって躯体に固定されていたが、固定の態様はこれに限られるものではない。
作業環境に応じて、建物外部からの作業が許容できるのであれば、図8に示すように、躯体側固定部材2を建物外部の正面からコンクリート鋲4を捻じ込むことによって躯体に固定させるようにすることも可能である。躯体開口部のコンクリートの抱きは外面側の方が余裕をもっていることが多い。図2図8を見比べれば容易に理解されるように、建物の外側からコンクリート鋲4を捻じ込むことによって、枠側固定部材への干渉を余裕をもって避けることができるため、建物内部からコンクリート鋲4を捻じ込む場合と比較して、作業がより容易となる利点がある。
【0023】
図9は、さらなる別の実施例についての上枠部分の様子を示した図である。本発明の最初の実施形態は、躯体側固定部材2が雄係止部材とされ、枠側固定部材3が雌係止部材とされているものであったが、図9が示す変形例は、この関係が逆であるものである。すなわち、躯体側固定部材2を雌係止部材とし、枠側固定部材3を雄係止部材としたものである。この変形例を、図8に示される建物外部の正面からコンクリート鋲4を捻じ込む態様に適用することも、勿論可能である。
【0024】
図10は、さらなる別の実施例についての上枠部分の様子を示した図である。(a)の断面図に示されるように、躯体側固定部材2を上下2つの部材から成るように分割して、これらをリベット23により固定したものである。躯体へのコンクリート鋲の捻じ込みは居室内から行うが、斜めに捻じ込むのではなく、正対して捻じ込みを行うことができるので、作業がさらに容易になる。
また、(b)の概念的な斜視図から理解されるように、不可避的に生じてしまう不陸に起因して、建具1を躯体に対して非平行に設置しなければならない状況においても柔軟に対応することができる。
【0025】
図11は、図2で示される実施例の変形例である。図2で示される実施例では、自重受けボルト5で高さ位置が適正高さとなるように調整されるため、突条22の先端の溝31への飲み込み後に両者を固定する手段を特に備えないものであったが、図11は、突条22と溝31を固定する手段としてのネジ33を具備させるようにしたものである。以下、図面に沿って説明する。
図11に示されるように、溝31の深さは建具1の開口部における適正な上下設置位置に応じて調節できるだけの余裕を持った飲み込み深さ代を有しており、この溝深さの存在によって突条22の嵌り込み寸法が吸収されている。一方、突条22の先端部の断面形状は円を押し潰したような略楕円形状となっているが、これは、躯体開口部の内周面に必然的に生じてしまう不陸に対して適切に対応できるためのものであって、この形状によって、本体部21が水平から少々外れた角度で固定されていても、突条22の先端の溝31への当たりが適切なものとされるようになっている。このような形状についての特徴によって、上下位置や仰角についての適正ポジションが調整された上で、突条22と溝31とは、ずれが生じないように、ネジ33によって固定されている。
【0026】
図11実施例の施工手順)
先ず、窓枠四周に予め組み込まれた枠側固定部材3と共に窓枠を所定の位置(高さ・より・出入り)に据付ける。
窓枠を据付けた後、下枠の下辺に予め設けられている自重受けボルト5を回し適正な高さ位置を与える回転位置を決めた後、窓枠全体を躯体に接地させて窓枠の自重を躯体にあずけるようにする。
枠側固定部材3をかわした位置から突条22の先端が枠側固定部材3の溝31の開口側から嵌まり込むようにスライド移動させるようにして、躯体側固定部材2を、窓の所定の出入り位置に配置した後、躯体側固定部材2に対してコンクリート鋲4を斜めに捻じ込むようにして、躯体側固定部材2を開口部躯体に固定する。コンクリート鋲4の捻じ込みは、居室内内側から行うことができるため、便利である。
その後、突条22が溝31内に適正な位置で飲み込まれていることを確認して、突条22と溝31とがずれないようにネジ33で両者を固定する。
最後に、窓枠内に図示しない外障子と内障子を収め、躯体開口部と枠11の隙間を断熱材等の適宜の充填剤で埋めた後、化粧板で目隠しをして建具1が完成する。
【0027】
図12は、図8で示される実施例の変形例である。図8で示される実施例では、自重受けボルト5で高さ位置が適正高さとなるように調整されるため、突条22の先端の溝31への飲み込み後に両者を固定する手段を特に備えないものであったが、図12は、突条22と溝31を固定する手段としてのネジ33を具備させるようにしたものである。この構造や施工手順については、図11実施例と同様であるので、説明は省略する。
【0028】
以上、本発明に係る実施例の建具1について、図面を参照して詳述し、その構造及び施工手順について説明してきたが、具体的な構成は、これらの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、建具1は、引き違い窓でなく1枚の大きなパネル窓であってもよい。また、建具1が据え付けらえる開口部は、コンクリート建物の開口部でなくとも、木造建築物の開口部に対しても、本発明が適用できることは言うまでもない。既に述べてきた、躯体側固定部材2と枠側固定部材3との関係については、どちらが雄係止部材と雌係止部材の何れを担うかということは任意に変更できるものであり、上下枠について躯体側固定部材2が雄係止部材とされ、枠側固定部材3が雌係止部材とされるものの、左右竪枠については躯体側固定部材2が雌係止部材とされ、枠側固定部材3が雄係止部材とされるような変形例であっても本願発明の範囲に含まれるものである。
【0029】
また、前述の実施例は、その目的および構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 建具
11 枠
2 躯体側固定部材
21 本体部
22 突条
23 リベット
3 枠側固定部材
31 溝
32 ネジ
33 ネジ
4 コンクリート鋲
5 自重受けボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12