(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022103098
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】自動取引装置および自動取引装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
G07G 1/00 20060101AFI20220630BHJP
G07G 1/12 20060101ALI20220630BHJP
G07D 11/60 20190101ALI20220630BHJP
G07G 1/01 20060101ALI20220630BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20220630BHJP
G06F 3/0488 20220101ALI20220630BHJP
【FI】
G07G1/00 311Z
G07G1/12 301D
G07G1/12 321E
G07D11/60
G07G1/12 361Z
G07G1/01 301C
G06F3/041 580
G06F3/041 620
G06F3/0488
G06F3/041 520
G06F3/041 662
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021205065
(22)【出願日】2021-12-17
(31)【優先権主張番号】P 2020217206
(32)【優先日】2020-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】藤永 翔大
(72)【発明者】
【氏名】畑井 宏之
【テーマコード(参考)】
3E141
3E142
5E555
【Fターム(参考)】
3E141BA12
3E141FH04
3E141FJ05
3E141FJ11
3E142AA10
3E142BA02
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3E142GA02
5E555AA10
5E555AA54
5E555AA74
5E555BA31
5E555BA32
5E555BB31
5E555BB32
5E555BC07
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5E555DB20
5E555DD07
5E555DD08
5E555EA05
5E555EA07
5E555EA11
5E555FA14
(57)【要約】
【課題】衛生面に配慮しつつ、利用者が円滑に入力を行うことが可能な自動取引装置および自動取引装置の制御方法を提供する。
【解決手段】自動取引装置10は、操作画面を表示するディスプレイ110と、操作画面に対する操作を検知する接触式センサ120と、操作画面に対する操作を検知する非接触式センサ130と、接触式センサ120および非接触式センサ130を選択的に用いて、操作画面に対する入力を受け付ける制御部301と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作画面を表示するディスプレイと、
前記操作画面に対する操作を検知する接触式センサと、
前記操作画面に対する操作を検知する非接触式センサと、
前記接触式センサおよび前記非接触式センサを選択的に用いて、前記操作画面に対する入力を受け付ける制御部と、を備える自動取引装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動取引装置において、
前記制御部は、前記接触式センサおよび前記非接触式センサの何れを用いるかを予め規定した切替条件に基づいて、前記操作画面に対する入力の受付に用いるセンサを、前記接触式センサおよび前記非接触式センサの間で切り替える、自動取引装置。
【請求項3】
請求項2に記載の自動取引装置において、
前記切替条件は、前記操作画面が一般利用者により操作される画面の場合は前記非接触式センサが用いられ、前記操作画面が管理者により操作される画面の場合は前記接触式センサが用いられるとの条件を含む、自動取引装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の自動取引装置において、
前記切替条件は、前記操作画面が第1画面である場合は前記接触式センサが用いられ、前記操作画面が、前記第1画面に含まれる操作ボタンのサイズよりサイズが大きい操作ボタンを含む第2画面である場合は前記非接触式センサが用いられるとの条件を含む、自動取引装置。
【請求項5】
請求項2または3に記載の自動取引装置において、
前記切替条件は、前記操作画面に含まれる操作ボタンのうち第1ボタンに対しては前記接触式センサが用いられ、前記操作画面に含まれる操作ボタンのうち前記第1ボタンのサイズよりサイズが大きい第2ボタンに対しては前記非接触式センサが用いられるとの条件を含む、自動取引装置。
【請求項6】
請求項2または3に記載の自動取引装置において、
前記切替条件は、前記操作画面が第1画面である場合は前記接触式センサが用いられ、前記操作画面が、前記第1画面に含まれる操作ボタンの数よりも少ない操作ボタンを含む第2画面である場合は前記非接触式センサが用いられるとの条件を含む、自動取引装置。
【請求項7】
請求項2または3に記載の自動取引装置において、
前記切替条件は、前記操作画面に含まれる操作ボタンのうち第1ボタンに対しては前記接触式センサが用いられ、前記操作画面に含まれる操作ボタンのうち隣の前記操作ボタンとの距離が前記第1ボタンより大きな第2ボタンに対しては前記非接触式センサが用いられるとの条件を含む、自動取引装置。
【請求項8】
請求項1ないし7の何れか一項に記載の自動取引装置において、
前記制御部は、前記操作画面が、前記接触式センサにより操作を受け付ける画面であるか、前記非接触式センサにより操作を受け付ける画面であるかを利用者に報知する、自動取引装置。
【請求項9】
請求項1ないし8の何れか一項に記載の自動取引装置において、
前記制御部は、前記接触式センサおよび前記非接触式センサの何れを用いて入力を行うかの設定を受け付ける、自動取引装置。
【請求項10】
請求項9に記載の自動取引装置において、
前記制御部は、
取引処理において、前記設定を受け付けた場合には、当該取引処理において前記設定を有効とする、自動取引装置。
【請求項11】
請求項1ないし10の何れか一項に記載の自動取引装置において、
前記操作画面に対する操作方向に関する情報を取得可能な検知器を備え、
前記制御部は、前記非接触式センサにより入力を受け付ける場合、前記非接触式センサにより検知された検知位置または前記操作画面に含まれる操作ボタンの位置を、前記検知器の検知結果から取得した前記情報に基づいて補正する、自動取引装置。
【請求項12】
請求項1ないし11の何れか一項に記載の自動取引装置において、
前記操作画面に対する操作方向に関する情報を取得可能な検知器と、
前記ディスプレイの傾き角を変化させる駆動機構と、を備え、
前記制御部は、前記非接触式センサにより入力を受け付ける場合、前記駆動機構を制御して、前記ディスプレイの傾き角を、前記検知器の検知結果から取得した前記情報に基づいて調整する、自動取引装置。
【請求項13】
請求項1ないし12の何れか一項に記載の自動取引装置において、
前記非接触式センサにより操作される操作ボタンは、前記操作画面において、横方向にのみ隣り合っている、自動取引装置。
【請求項14】
請求項1ないし13の何れか一項に記載の自動取引装置において、
前記接触式センサおよび前記非接触式センサの両方が有効化され、
前記制御部は、前記接触式センサおよび前記非接触式センサの検知結果を選択的に用いて、前記操作画面に対する入力を受け付ける、自動取引装置。
【請求項15】
請求項14に記載の自動取引装置において、
前記制御部は、前記操作画面への操作に対し、前記接触式センサおよび前記非接触式センサの両方により検知結果が得られた場合、前記接触式センサによる前記検知結果を用いて、前記操作画面に対する入力を受け付ける、自動取引装置。
【請求項16】
請求項14に記載の自動取引装置において、
前記制御部は、前記接触式センサおよび前記非接触式センサのうち先に得られた前記検知結果を用いて、前記操作画面に対する入力を受け付ける、自動取引装置。
【請求項17】
自動取引装置の制御方法であって、
操作画面を表示し、
接触式センサおよび非接触式センサを選択的に用いて、前記操作画面に対する入力を受け付ける、自動取引装置の制御方法。
【請求項18】
操作画面を表示するディスプレイと、
前記操作画面に対する操作を検知する非接触式センサと、
前記非接触式センサを用いて、前記操作画面に対する入力を受け付ける制御部と、
前記操作画面に対する操作方向に関する情報を取得可能な検知器と、を備え、
前記制御部は、前記非接触式センサにより検知された検知位置または前記操作画面に含まれる操作ボタンの位置を、前記検知器の検知結果から取得した前記情報に基づいて補正する、自動取引装置。
【請求項19】
自動取引装置の制御方法であって、
操作画面を表示し、
前記操作画面に対する操作方向に関する情報を取得し、
非接触式センサにより検知された前記操作画面に対する検知位置または前記操作画面に含まれる操作ボタンの位置を、前記情報に基づいて補正する、自動取引装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者との間で所定の取引を行う自動取引装置および当該自動取引装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、利用者との間で所定の取引を行う自動取引装置が、様々な場面で利用されている。たとえば、医療機関では、診察券を用いて診療費の支払いが行われる。また、駅や店舗には、自動取引装置が発券機として設置される。
【0003】
この種の自動取引装置では、利用者からの入力がタッチパネルにより受け付けられ得る。この場合、たとえば、液晶パネルの上側にタッチパネルが重ねられる。利用者が、液晶パネルに表示された選択項目にタッチすると、当該選択操作がタッチパネルにより検出される。以下の特許文献1には、このような構成を有する自動取引装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記構成の自動取引装置では、取引に際し、様々な利用者が自身の手指をタッチパネルに接触させる。このような利用状態は、衛生面上、好ましいものとは言いにくい。
【0006】
かかる課題に鑑み、本発明は、衛生面に配慮しつつ、利用者が円滑に入力を行うことが可能な自動取引装置および自動取引装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、自動取引装置に関する。この態様に係る自動取引装置は、操作画面を表示するディスプレイと、前記操作画面に対する操作を検知する接触式センサと、前記操作画面に対する操作を検知する非接触式センサと、前記接触式センサおよび前記非接触式センサを選択的に用いて、前記操作画面に対する入力を受け付ける制御部と、を備える。
【0008】
本態様に係る自動取引装置によれば、接触式センサの他、非接触式センサを用いて、操作画面に対する入力を行い得る。よって、利用者は、衛生上の問題を抑制しつつ円滑に、操作画面に対する操作を行うことができる。
【0009】
本態様に係る自動取引装置において、前記制御部は、前記接触式センサおよび前記非接触式センサの何れを用いるかを予め規定した切替条件に基づいて、前記操作画面に対する入力の受付に用いるセンサを、前記接触式センサおよび前記非接触式センサの間で切り替えるよう構成され得る。
【0010】
この場合、前記切替条件は、前記操作画面が一般利用者により操作される画面の場合は前記非接触式センサが用いられ、前記操作画面が管理者により操作される画面の場合は前記接触式センサが用いられるとの条件を含み得る。
【0011】
一般に、管理者が操作する操作画面は、多数の操作ボタンを含むため、個々の操作ボタンのサイズが小さく、また、操作ボタン間の間隔も狭い。他方、非接触式センサでは、操作画面に直接手指が振れず、操作画面と検知位置に間隔が生じるため、利用者が操作を行おうとする目標位置と、非接触式センサによって実際に手指が検知された検知位置との間にずれが生じ易い。このため、管理者が操作する操作画面に対し非接触式センサが用いられると、誤操作が生じやすくなる。
【0012】
上記条件によれば、操作画面が管理者により操作される画面の場合は接触式センサが用いられるため、上記のような誤操作が抑制される。他方、操作画面が一般利用者により操作される画面の場合は非接触式センサが用いられるため、衛生上の問題が回避される。このように、上記条件によれば、管理者が操作画面を操作する際の誤操作を抑制しつつ、一般利用者が操作画面を操作する際の衛生上の問題を回避できる。
【0013】
また、前記切替条件は、前記操作画面が第1画面である場合は前記接触式センサが用いられ、前記操作画面が、前記第1画面に含まれる操作ボタンのサイズよりもサイズが大きい操作ボタンを含む第2画面である場合は前記非接触式センサが用いられるとの条件を含み得る。
【0014】
上記のように、操作画面に含まれる操作ボタンのサイズが小さい場合に非接触式センサが用いられると、非接触センサによる検知位置が操作の目標位置からずれて、操作目標の操作ボタンが適正に操作されないことが起こり得る。他方、操作ボタンのサイズが大きい場合は、非接触センサによる検知位置が操作の目標位置から多少ずれても、操作目標の操作ボタンが適正に操作され得る。
【0015】
上記条件によれば、小さな操作ボタンを含む操作画面には接触式センサが用いられるため、上記のような問題が回避され、目標の操作ボタンが適正に操作され得る。また、大きな操作ボタンを含む操作画面には、非接触式センサが用いられるため、衛生上の問題を回避しつつ適正に、目標の操作ボタンが操作され得る。これにより、利用者は、衛生上の問題を回避しつつ、各操作画面に対して円滑に操作を進めることができる。
【0016】
また、前記切替条件は、前記操作画面に含まれる操作ボタンのうち第1ボタンに対しては前記接触式センサが用いられ、前記操作画面に含まれる操作ボタンのうち前記第1ボタンのサイズよりサイズが大きい第2ボタンに対しては前記非接触式センサが用いられるとの条件を含み得る。
【0017】
この条件によれば、小さな操作ボタンには接触式センサが用いられるため、目標の操作ボタンが適正に操作され得る。また、大きな操作ボタンには、非接触式センサが用いられるため、衛生上の問題を回避しつつ適正に、目標の操作ボタンが操作され得る。よって、利用者は、衛生上の問題を回避しつつ、各操作ボタンに対して円滑に操作を進めることができる。
【0018】
また、前記切替条件は、前記操作画面が第1画面である場合は前記接触式センサが用いられ、前記操作画面が、前記第1画面に含まれる操作ボタンの数よりも少ない操作ボタンを含む第2画面である場合は前記非接触式センサが用いられるとの条件を含み得る。
【0019】
一般に、一定サイズの操作画面に含まれる操作ボタンの数が増加すると、操作ボタンのサイズが小さくなり、また、操作ボタン間の間隔が狭くなる。このため、非接触センサが用いられる場合、操作画面に含まれる操作ボタンの数が増加するほど、操作ボタンの操作に誤操作が生じやすい。
【0020】
これに対し、上記条件によれば、操作ボタンの数が多い操作画面には、誤操作が生じにくい接触式センサが用いられ、操作ボタンの数が少ない操作画面には、衛生上の問題を回避可能な非接触式センサが用いられる。よって、利用者は、衛生上の問題を回避しつつ、各画面に対して円滑に操作を進めることができる。
【0021】
また、前記切替条件は、前記操作画面に含まれる操作ボタンのうち第1ボタンに対しては前記接触式センサが用いられ、前記操作画面に含まれる操作ボタンのうち隣の前記操作ボタンとの距離が前記第1ボタンより大きな第2ボタンに対しては前記非接触式センサが用いられるとの条件を含み得る。
【0022】
一般に、隣り合う操作ボタン間の距離が小さい場合、目標の操作ボタンの隣の操作ボタンを誤操作することが起こりやすい。これに対し、上記条件によれば、隣りの操作ボタンとの距離が小さい操作ボタンには、誤操作が生じにくい接触式センサが用いられ、隣りの操作ボタンとの距離が大きい操作ボタンには衛生上の問題を回避可能な非接触式センサが用いられる。よって、利用者は、衛生上の問題を回避しつつ、各操作ボタンに対して円滑に操作を進めることができる。
【0023】
本態様に係る自動取引装置において、前記制御部は、前記操作画面が、前記接触式センサにより操作を受け付ける画面であるか、前記非接触式センサにより操作を受け付ける画面であるかを利用者に報知するよう構成され得る。
【0024】
この構成によれば、利用者は、自身が操作しようとする操作画面に対する操作が接触式センサおよび非接触式センサの何れによって受け付けられるかを把握できる。よって、利用者は、操作画面に対する操作を円滑に行うことができる。
【0025】
本態様に係る自動取引装置において、前記制御部は、前記接触式センサおよび前記非接触式センサの何れを用いて入力を行うかの設定を受け付けるよう構成され得る。
【0026】
たとえば、前記制御部は、取引処理において、前記設定を受け付けた場合には、当該取引処理において前記設定を有効とするよう構成され得る。
【0027】
この構成によれば、利用者は、取引処理の際に、自身が望む方式のセンサを指定できる。たとえば、利用者は、衛生面を優先したい場合は非接触式センサを指定でき、確実な操作を優先したい場合は接触式センサを指定できる。これにより、利用者は、自身が望む方式のセンサを用いて操作画面に対する操作を行うことができる。
【0028】
なお、上記設定は、自動取引装置の設置時やその後の運用等に応じて受け付けられてもよい。これにより、自動取引装置が設置される施設の状況に応じて、操作画面に対する入力方法を、接触式と非接触式との間で設定することができる。
【0029】
本態様に係る自動取引装置は、前記操作画面に対する操作方向に関する情報を取得可能な検知器を備え得る。この場合、前記制御部は、前記非接触式センサにより入力を受け付ける場合、前記非接触式センサにより検知された検知位置または前記操作画面に含まれる操作ボタンの位置を、前記検知器の検知結果から取得した前記情報に基づいて補正するよう構成され得る。
【0030】
一般に、非接触式センサでは、操作画面から所定の距離だけ離れた位置に手指が位置づけられと、その直下の画面の位置が、検知位置として検知される。しかしながら、たとえば、利用者の手指が操作画面に対して斜め方向に進められて操作が行われる場合、手指が向かう操作画面上の目標位置と、非接触式センサによって検知される検知位置との間にずれが生じる。このずれは、操作画面に対する手指の進行方向の角度が鋭角になるほど顕著になる。ここで、操作画面に対する手指の進行方向の角度は、たとえば、利用者の身長や立ち位置に応じて変化する。したがって、目標位置と検知位置との間の上下方向の位置ずれは、利用者の身長による上下の操作方向に応じて変化し、目標位置と検知位置との間の左右方向の位置ずれは、操作画面に対する利用者の左右方向の位置による左右の操作方向に応じて変化する。
【0031】
上記構成によれば、操作画面に対する操作方向に関する情報が検知器の検知結果から取得され、取得された情報に基づいて、非接触式センサにより検知された検知位置または操作画面に含まれる操作ボタンの位置が補正される。これにより、補正後の検知位置と目標位置との位置ずれが抑制され、また、操作画面上の操作対象の操作ボタンの位置に検知位置が適正に含まれやすくなる。よって、利用者は、操作画面に対する操作方向(たとえば、自身の手指を操作画面に進める方向)に拘わらず、適正に、目標の操作ボタンを操作することができる。
【0032】
本態様に係る自動取引装置は、前記操作画面に対する操作方向に関する情報を取得可能な検知器と、前記ディスプレイの傾き角を変化させる駆動機構と、を備え得る。この場合、前記制御部は、前記非接触式センサにより入力を受け付ける場合、前記駆動機構を制御して、前記ディスプレイの傾き角を、前記検知器の検知結果から取得した前記情報に基づいて調整するよう構成され得る。
【0033】
この構成によれば、利用者の手指がより垂直に操作画面に進むように、操作画面の傾き角が調整される。これにより、非接触式センサにより検知される検知位置と利用者の手指が進む目標位置との位置ずれを抑制できる。よって、利用者は、操作画面に対する操作方向(たとえば、自身の手指を操作画面に進める方向)に拘わらず、適正に、操作画面に対する操作を行うことができる。
【0034】
本態様に係る自動取引装置において、前記非接触式センサにより入力を受け付ける操作ボタンは、前記操作画面において、横方向にのみ隣り合っていることが好ましい。
【0035】
通常、利用者は、操作画面の略正面に立って操作画面に対する操作を行うことが多い。この場合、非接触式センサによる検知位置は、利用者の手指が進む目標位置に対して左右方向よりも上下方向に大きくずれることが多い。これに対し、上記構成によれば、非接触式センサにより入力を受け付ける操作ボタンが横方向のみに隣り合っているため、検知位置と目標位置とが上下方向にずれても、操作目標以外の操作ボタンが誤操作されることが起こりにくい。よって、利用者は、非接触式センサによる操作ボタンへの操作を円滑に行うことができる。
【0036】
本態様に係る自動取引装置において、前記接触式センサおよび前記非接触式センサの両方が有効化され、前記制御部は、前記接触式センサおよび前記非接触式センサの検知結果を選択的に用いて、前記操作画面に対する入力を受け付けるよう構成され得る。
【0037】
たとえば、前記制御部は、前記操作画面への操作に対し、前記接触式センサおよび前記非接触式センサの両方により検知結果が得られた場合、前記接触式センサによる前記検知結果を用いて、前記操作画面に対する入力を受け付けるよう構成され得る。
【0038】
このように、接触式センサおよび非接触式センサの両方により検知結果が得られた場合に、より正確な接触式センサの検知結果を優先的に用いることにより、誤操作を効果的に抑制できる。
【0039】
あるいは、前記制御部は、前記接触式センサおよび前記非接触式センサのうち先に得られた前記検知結果を用いて、前記操作画面に対する入力を受け付けるよう構成され得る。
【0040】
この構成によれば、操作画面に対する操作の処理をより迅速かつ円滑に行うことができる。
【0041】
本発明の第2の態様は、自動取引装置の制御方法に関する。この制御方法は、操作画面を表示し、接触式センサおよび非接触式センサを選択的に用いて、前記操作画面に対する入力を受け付ける。
【0042】
本態様に係る自動取引装置の制御方法によれば、上記第1の態様に係る自動取引装置と同様の効果が奏され得る。
【0043】
本発明の第3の態様は、自動取引装置に関する。この態様に係る自動取引装置は、操作画面を表示するディスプレイと、前記操作画面に対する操作を検知する非接触式センサと、前記非接触式センサを用いて、前記操作画面に対する入力を受け付ける制御部と、前記操作画面に対する操作方向に関する情報を取得可能な検知器と、を備える。ここで、前記制御部は、前記非接触式センサにより検知された検知位置または前記操作画面に含まれる操作ボタンの位置を、前記検知器の検知結果から取得した前記情報に基づいて補正する。
【0044】
本態様に係る自動取引装置によれば、上記のように、利用者は、操作画面に対する操作方向(たとえば、自身の手指を操作画面に進める方向)に拘わらず、適正に、目標の操作ボタンを操作することができる。
【0045】
本発明の第4の態様は、自動取引装置の制御方法に関する。この制御方法は、操作画面を表示し、前記操作画面に対する操作方向に関する情報を取得し、非接触式センサにより検知された前記操作画面に対する検知位置または前記操作画面に含まれる操作ボタンの位置を、前記情報に基づいて補正する。
【0046】
本態様に係る自動取引装置の制御方法によれば、上記第3の態様と同様、利用者は、操作画面に対する操作方向(たとえば、自身の手指を操作画面に進める方向)に拘わらず、適正に、目標の操作ボタンを操作することができる。
【0047】
なお、上記において、「操作画面に対する入力」とは、操作ボタンに手指を接近させる形態の入力の他、スワイプやフリック等の他の形態による入力を広く含むものである。また、「操作ボタン」とは、指示入力を行うボタンや選択候補の何れかを選択するためのボタンの他、アイコンや、画面を他の画面へと遷移させるためのボタン等を広く含むものである。
【発明の効果】
【0048】
上記のように、本発明によれば、衛生面に配慮しつつ、利用者が円滑に入力を行うことが可能な自動取引装置および自動取引装置の制御方法を提供することができる。
【0049】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】
図1(a)は、実施形態1に係る、自動取引装置の外観を示す斜視図である。
図1(b)は、実施形態1に係る、操作表示部の構成を模式的に示す側面図である。
図1(c)は、実施形態1に係る、非接触式センサの構成例を模式的に示す平面図である。
【
図2】
図2(a)は、実施形態1に係る、接触式センサによる操作位置の検知方法を示す側面図である。
図2(b)は、実施形態1に係る、非接触式センサによる操作位置の検知方法を示す側面図である。
【
図3】
図3は、実施形態1に係る、自動取引装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4(a)、(b)は、実施形態1に係る、操作画面に対する入力を非接触式センサにより検知する場合の検知位置を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態1に係る、接触式センサと非接触式センサの切替制御を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施形態1に係る、一般利用者が利用する操作画面の表示例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態1に係る、一般利用者が利用する操作画面の表示例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態1に係る、管理者が利用する操作画面の表示例を示す図である。
【
図9】
図9(a)、(b)は、実施形態1に係る、利用者の身長が低い場合と高い場合とで、非接触センサによる検知位置が目標位置に対してどのようにずれるかを示す図である。
【
図10】
図10(a)は、実施形態1に係る、検知位置の補正制御を示すフローチャートである。
図10(b)、(c)は、実施形態1に係る、検知位置の補正制御に用いるテーブルの構成を示す図である。
【
図11】
図11(a)は、実施形態1に係る、他の補正制御を示すフローチャートである。
図11(b)は、実施形態1に係る、上下方向における操作ボタンの表示位置の補正方法を示す側面図である。
【
図12】
図12(a)は、実施形態1に係る、さらに他の補正制御を示すフローチャートである。
図12(b)は、実施形態1に係る、上下方向における操作ボタンの応答位置の補正方法を示す側面図である。
【
図13】
図13(a)は、実施形態1に係る、さらに他の補正制御を示すフローチャートである。
図13(b)は、実施形態1に係る、操作表示部(非接触センサ)の上下方向の傾き角の補正方法を示す図である。
【
図14】
図14は、変更例1に係る、検知手段の切り替え制御を示すフローチャートである。
【
図15】
図15は、変更例1に係る、一般利用者が利用する操作画面の表示例を示す図である。
【
図16】
図16は、変更例1に係る、管理者が利用する操作画面の表示例を示す図である。
【
図17】
図17は、変更例2に係る、検知手段の切り替え制御を示すフローチャートである。
【
図18】
図18は、変更例2に係る、検知手段の選択を受け付けるための操作画面の表示例を示す図である。
【
図19】
図19は、変更例3に係る、検知手段の切り替え制御を示すフローチャートである。
【
図20】
図20(a)、(b)は、変更例3に係る、操作画面の構成例を示す図である。
図20(c)は、変更例3に係る、操作画面に用いる検知手段の設定に用いるテーブルの構成を示す図である。
【
図21】
図21は、変更例4に係る、検知手段の切り替え制御を示すフローチャートである。
【
図22】
図22(a)、(b)は、変更例4に係る、操作画面の構成例を示す図である。
図22(c)、(d)は、変更例4に係る、操作ボタンに用いる検知手段の設定に用いるテーブルの構成を示す図である。
【
図23】
図23は、実施形態2に係る、操作画面に対するに入力の受付処理を示すフローチャートである。
【
図24】
図24は、実施形態3に係る、操作画面に対するに入力の受付処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。以下には、自動取引装置の一例として、医療機関に設置され、利用者が診療費の清算を行うための自動取引装置が記載されている。
【0052】
<実施形態1>
実施形態1では、カメラ21が、特許請求の範囲に記載の「検知器」に対応する。ただし、上記記載は、あくまで、特許請求の範囲の構成と実施形態1の構成とを対応付けることを目的とするものであって、上記対応付けによって特許請求の範囲に記載の発明が実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
【0053】
図1(a)は、実施形態1に係る、自動取引装置10の外観を示す斜視図である。
【0054】
自動取引装置10は、医療機関に設置される。自動取引装置10は、中継器および内部通信網(LAN)を介して、医療機関内に設置された医事システムに接続される。また、自動取引装置10は、中継器および外部通信網を介して、クレジットカードに関する支払いを管理するカード情報処理センター(サーバ)に接続される。外部通信網による接続は、たとえば、専用線によるインライン接続である。あるいは、外部通信網による接続が、インターネット接続であってもよい。
【0055】
自動取引装置10は、診療費の精算の際に、診察券を受け付けて、患者のID情報を含む診察券情報を医事システムに送信する。これにより、医事システムから、当該ID情報に対応付けられている診療費情報が、自動取引装置10に送信されて、自動取引装置10における精算処理が行われる。
【0056】
また、自動取引装置10は、当該精算処理の際に、クレジットカードを受け付けて、クレジットカード番号を含む支払い情報をカード情報処理センターに送信する。支払い情報は、暗号化されてカード情報処理センターに送信される。支払い情報は、クレジットカード番号の他に、セキュリティコード、カード所持者のアルファベットの名称およびクレジットカードの有効期限が含まれていてもよい。支払い情報の送信により、クレジットカードを用いて、診療費等の支払い処理が行われる。この他、自動取引装置10は、支払い処理の際に、現金での支払いを受け付けて、紙幣および硬貨の処理を行う。
【0057】
自動取引装置10は、大人の身長程度の高さの直方体形状を有する。自動取引装置10は、操作表示部11と、テンキー12と、バーコードリーダ13と、第1印刷部14と、第2印刷部15と、カード挿入口16と、紙幣入金部17と、紙幣出金部18と、硬貨入出金部19と、異物返却部20と、カメラ21と、を備える。
【0058】
操作表示部11は、所定の情報を表示するとともに、利用者からの操作を受け付ける。テンキー12は、暗証番号の入力等に用いられる。たとえば、クレジットカードによる支払いの際に、利用者は、テンキー12を用いてクレジットカードの暗証番号を入力する。
【0059】
バーコードリーダ13は、医療費を精算するための用紙に印字されたバーコードを読み取る。たとえば、診察を受け付けるための受付機で発行された整理券に、精算のためのバーコードが印字される。利用者は、このバーコードを用いて、医療費の精算を行える。第1印刷部14は、クレジットカード等による決済が行われた場合に、利用者控えを送出する。第2印刷部15は、診療費の支払いが行われた場合に領収書を送出し、また、操作表示部11に対して診療明細書の発行操作がなされた場合に、診療明細書を送出する。
【0060】
カード挿入口16は、診察券およびクレジットカードの挿入口である。実施形態1では、診察券およびクレジットカードの両方に対して共通のカード挿入口16が設けられている。
【0061】
紙幣入金部17は、現金による診療費の支払いの際に、紙幣の投入を受け付ける。紙幣出金部18は、現金による診療費の支払いの際に、返金すべき紙幣を搬出する。硬貨入出金部19は、現金による診療費の支払いの際に、硬貨の投入を受け付け、また、返却すべき硬貨を搬出する。異物返却部20は、硬貨入出金部19に硬貨以外の異物が投入された場合に、当該異物を搬出する。
【0062】
カメラ21は、自動取引装置10を操作する利用者を撮像する。カメラ21は、操作表示部11の直上位置で、且つ、操作表示部11の幅の中央に配置される。カメラ21は、利用者の身長に拘わらず、利用者の上半身を略撮像可能に視野角およびアングルが設定される。カメラ21の撮像画像により、利用者の身長と、操作表示部11に対する利用者の左右方向の立ち位置が検知可能である。
【0063】
利用者は、操作表示部11に表示された画面に従って、診療費の支払い等の操作を操作表示部11に対して行う。診療費の支払いは、カード挿入口16に診察券を挿入するか、精算のための用紙に印字されたバーコードをバーコードリーダ13に読み取らせることによって行われる。
【0064】
カード挿入口16に診察券が挿入されると、診察券から読み取られた診察券情報が医事システムに送信され、当該診察券情報に紐付けられている診療費情報が、医事システムから自動取引装置10に送信される。あるいは、精算のための用紙に印字されたバーコードがバーコードリーダ13に向けられると、バーコードリーダ13によって読み取られたバーコード情報が医事システムに送信され、当該バーコード情報に紐付けられている診療費情報が、医事システムから自動取引装置10に送信される。
【0065】
自動取引装置10は、受信した診療費情報に応じた金額を精算するための画面を操作表示部11に表示させ、現金またはクレジットカードによる支払いの選択を利用者に促す。さらに、デビットカードによる支払いの選択が可能であってもよい。自動取引装置10は、操作表示部11に対する操作に応じて、クレジットカードを用いた支払い処理、および、現金による支払い処理を実行する。クレジットカードを用いた支払いが選択された場合、自動取引装置10は、カード挿入口16を介してクレジットカードの挿入を受け付ける。支払い処理の開始時に、カード挿入口16を介して診察券が搬入されている場合、自動取引装置10は、診察券を排出した後、クレジットカードの挿入を受け付ける。これにより、クレジットカードによる精算が行われる。
【0066】
図1(b)は、操作表示部11の構成を模式的に示す側面図である。
【0067】
図1(b)に示すように、操作表示部11は、ディスプレイ110と、接触式センサ120と、非接触式センサ130と、を備える。
【0068】
ディスプレイ110は、液晶表示器等の画像を表示する表示器である。平面視において、ディスプレイ110は、長方形の表示領域を有する。ディスプレイ110の表示領域は、長方形に限らず、正方形等の他の形状であってもよい。
【0069】
接触式センサ120は、表面に利用者の手指が接触することにより接触位置を検知するセンサである。接触式センサ120は、たとえば、感圧式または静電容量式のタッチパネルである。接触式センサ120は、ディスプレイ110の表示領域と略同サイズの検知領域を有する。接触式センサ120は、検知領域が表示領域に重なるように、ディスプレイ110の上側に配置される。
【0070】
非接触式センサ130は、表面から所定の高さの範囲内に利用者の手指が進入すると、その進入位置を検知するセンサである。非接触式センサ130は、たとえば、赤外線の発光部と受光部とを備えるセンサパネルから構成される。非接触式センサ130は、ディスプレイ110の表示領域と略同サイズの検知領域を有する。非接触式センサ130は、検知領域が表示領域に重なるように、接触式センサ120の上側に配置される。
【0071】
図1(c)は、非接触式センサ130の構成例を模式的に示す平面図である。
【0072】
図1(c)に示すように、非接触式センサ130は、発光部131と受光部132との組が縦横に複数並んだ構成を有する。発光部131は、直線状に進む赤外線を出射し、当該発光部131に対向する受光部132がこの赤外線を受光する。検知領域に指が進入すると、指により赤外線が遮光され、受光部132に赤外線が届かなくなる。このとき、縦方向に進む赤外線と横方向に進む赤外線の両方が、指により遮光される。遮光された縦横の赤外線が交差する位置が、指の位置として検知される。遮光された赤外線は、出力が立ち下がった受光部132に入射する赤外線である。したがって、各受光部132の出力の立下りを監視することにより、指の進入位置、すなわち、ディスプレイ110の画面に対する操作位置が検知される。
【0073】
なお、非接触式センサ130は、必ずしも、
図1(c)の構成でなくてもよく、たとえば、赤外線を走査する方式の構成であってもよい。
【0074】
図2(a)は、接触式センサ120による操作位置の検知方法を示す側面図であり、
図2(b)は、非接触式センサ130による操作位置の検知方法を示す側面図である。
【0075】
図2(a)に示すように、接触式センサ120では、利用者の指F1が接触式センサ120の表面に接触した位置が検知位置P10として検知される。一方、非接触式センサ130では、
図2(b)に示すように、発光部131および受光部132の位置(赤外線の位置)が、高さH0だけ接触式センサ120から離れているため、高さH0の位置の検知面S0に指F1が進入したときに、進入位置の直下位置が、検知位置P20として検知される。したがって、非接触式センサ130が用いられる場合、利用者は、非接触な状態で、ディスプレイ110上の画面に対する操作を行うことができる。
【0076】
図3は、自動取引装置10の構成を示すブロック図である。
【0077】
自動取引装置10は、
図1(a)に示した操作表示部11、テンキー12、バーコードリーダ13、第1印刷部14および第2印刷部15の他に、制御部301と、紙幣処理部302と、硬貨処理部303と、カード処理部304と、音声出力部305と、通信部306と、傾き調整機構307と、を備える。
【0078】
制御部301は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理回路と、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリとを備え、メモリに記憶されたプログラムに従って各部を制御する。制御部301が、FPGA(Field Programmable Gate Array)を含んでいてもよい。
【0079】
紙幣処理部302は、各金種の紙幣を収容するための紙幣収容部および紙幣を搬送する搬送部を備え、制御部301からの制御により、紙幣収容部と紙幣入金部17および紙幣出金部18との間で紙幣を搬送する。硬貨処理部303は、各金種の硬貨を収容するための硬貨収容部および硬貨を搬送する搬送部を備え、制御部301からの制御により、硬貨収容部と硬貨入出金部19との間で硬貨を搬送する。
【0080】
カード処理部304は、
図1(a)のカード挿入口16から挿入されたカード(診察券、クレジットカード)を処理する。音声出力部305は、スピーカ等の音声出力手段を備え、制御部301からの制御に応じて、所定の音声を出力する。通信部306は、上述の医事システムおよびカード情報処理センターと通信を行うための通信インタフェースである。
【0081】
傾き調整機構307は、操作表示部11の鉛直方向および水平方向の傾き角を調整する。傾き調整機構307は、互いに垂直な2つの軸(第1軸、第2軸)について回動可能に操作表示部11を支持する支持機構と、各回動方向に操作表示部11を駆動する駆動機構とを有する。たとえば、第1軸は水平方向に平行で、第2軸は第1軸に垂直である。
【0082】
支持機構は、たとえば、操作表示部11を支持する内枠と、内枠を第1軸について回動可能に支持する外枠と、外枠を第2軸について回動可能に支持する固定枠とを有する。第1軸は内枠に固定され、第2軸は外枠に固定される。駆動機構は、外枠に配置され第1軸を回動させる第1ギアおよび第1モータと、固定枠に配置され第2軸を回動させる第2ギアおよび第2モータとを有する。第1モータおよび第2モータは、たとえば、ステッピングモータである。
【0083】
第1モータを駆動すると、内枠とともに操作表示部11が第1軸について回動し、第2モータを駆動すると、内枠および外枠とともに操作表示部11が第2軸について回動する。これにより、操作表示部11の鉛直方向および水平方向の傾き角が変化する。第1モータおよび第2モータの駆動量(ステップ数)により、各方向の傾き角が設定される。
【0084】
自動取引装置10は、さらに、回路部の構成として、駆動部311、315と、駆動処理部312、313、314とを備える。
【0085】
駆動部311は、制御部301からの制御に応じてディスプレイ110を駆動する。これにより、ディスプレイ110に所定の操作画面が表示される。駆動部315は、制御部301からの制御に応じて傾き調整機構307を駆動する。これにより、上記のように、操作表示部11の傾き角が調整される。
【0086】
駆動処理部312は、制御部301からの制御に応じて、接触式センサ120を駆動する。また、駆動処理部312は、接触式センサ120の検出信号を処理して操作位置を検知し、検知結果を制御部301に出力する。
【0087】
駆動処理部313は、制御部301からの制御に応じて、非接触式センサ130を駆動する。また、駆動処理部313は、非接触式センサ130の検出信号(各受光部132からの出力信号)を処理して操作位置を検知し、検知結果を制御部301に出力する。
【0088】
駆動処理部314は、制御部301からの制御に応じて、カメラ21を駆動する。また、駆動処理部314は、カメラ21の撮像信号を処理して撮像画像を生成し、生成した撮像画像を制御部301に出力する。
【0089】
ところで、上記のように、実施形態1では、操作画面に対する入力手段として、接触式センサ120の他、非接触式センサ130が配置されている。非接触式センサ130では、非接触で入力が可能なため、衛生面に優れた入力形態を提供できる。しかし、非接触式センサ130では、
図2(b)のように、操作画面から離れた高さH0において入力が検知されるため、視差等によって、検知位置が操作の目標位置からずれることが起こり得る。
【0090】
図4(a)、(b)は、操作画面に対する入力を非接触式センサ130により検知する場合の検知位置P20を示す図である。
【0091】
図4(a)は、操作ボタンB0のサイズが大きい場合の操作例を示し、
図4(b)は、操作ボタンB0のサイズが小さい場合の操作例を示している。ここでは、たとえば、利用者の身長が低いために、利用者の指F1が水平よりやや上向きの方向D0に向かって、操作ボタンB0へと進められている。また、ディスプレイ110は、表示面の向きが水平よりやや上向きに傾いた状態にある。
【0092】
この場合、指F1は、操作ボタンB0中央の目標位置P0に進められているにも拘わらず、実際の検知位置P20は、目標位置P0からギャップG0だけ下方にずれた位置となってしまう。このため、
図4(a)のように操作ボタンB0のサイズ(面積)が大きい場合は、検知位置P20が操作ボタンB0の範囲に含まれるものの、
図4(b)のように操作ボタンB0のサイズ(面積)が小さい場合は、検知位置P20が操作ボタンB0の範囲から外れてしまう。よって、操作ボタンB0のサイズが小さい場合に非接触式センサ130が用いられると、所望の操作ボタンに対する操作を適正に行えない結果ともなり得る。
【0093】
そこで、実施形態1では、一般利用者が利用する操作画面には非接触式センサ130を用い、係員等の管理者が利用する操作画面には接触式センサ120を用いて入力が行われる。
【0094】
通常、一般利用者が利用する操作画面は、画面に含まれる操作ボタンの数が少ないため、操作ボタンのサイズが大きく、且つ、操作ボタン間の間隔も広い。このため、一般利用者が利用する操作画面に対して非接触式センサ130を用いても、適切に入力を行うことができる。これに対し、管理者が利用する操作画面は、画面に含まれる操作ボタンの数が多いため、操作ボタンのサイズが小さく、且つ、操作ボタン間の間隔も狭い。このため、管理者が利用する操作画面に対して非接触式センサ130を用いると、上記のように、所望の操作ボタンに対する操作を適正に行えなくなる。
【0095】
この点に鑑み、実施形態1では、上記のように、一般利用者が利用する操作画面には非接触式センサ130を用い、係員等の管理者が利用する操作画面には接触式センサ120を用いて入力が行われる。
【0096】
図5は、接触式センサ120と非接触式センサ130の切替制御を示すフローチャートである。
【0097】
制御部301は、表示対象の操作画面が、一般利用者が利用する操作画面と管理者が利用する操作画面の何れであるかを判定する(S101)。表示対象の操作画面が、一般利用者が利用する操作画面である場合(S102:YES)、制御部301は、非接触式センサ130を有効化し(S103)、接触式センサ120を無効化する(S104)。具体的には、制御部301は、非接触式センサ130を動作状態に設定し、接触式センサ120を非動作状態に設定する。
【0098】
他方、表示対象の操作画面が、管理者が利用する操作画面である場合(S102:NO)、制御部301は、接触式センサ120を有効化し(S105)、非接触式センサ130を無効化する(S106)。具体的には、制御部301は、接触式センサ120を動作状態に設定し、非接触式センサ130を非動作状態に設定する。
【0099】
さらに、制御部301は、接触式センサ120と非接触式センサ130の何れを検知手段として用いるかを利用者に報知する処理を行う(S107)。たとえば、制御部301は、検知手段として用いるセンサを報知する画像を操作画面に表示させる。なお、報知方法は、これに限られるものではなく、音声出力部305から報知音声を出力させる方法であってもよい。また、検出手段として非接触式センサ130を用いる場合のみ、その旨を利用者に報知し、接触式センサ120を用いる場合は、その旨を利用者に報知しないように、ステップS107の制御が行われてもよい。
【0100】
しかる後、制御部301は、操作画面を用いた受付処理を行う(S108)。そして、当該操作画面を用いた処理が終了すると(S109:YES)、制御部301は、当該操作画面に対する処理を終了する。
【0101】
図6および
図7は、一般利用者が利用する操作画面の表示例を示す図である。
【0102】
図6は、診療費を清算する場合に最初に表示される操作画面400を示す。この操作画面400は、清算のために行うべき所定の作業を利用者に促すメッセージ401と、この作業の対象部位を示す画像402とを含んでいる。ここでは、診察券をカード挿入口16に挿入する作業または整理券等に印刷されたバーコードをバーコードリーダ13に読み取らせる作業が、利用者に促される。利用者は、メッセージ401および画像402を参照して、これらの作業の何れかを実行する。
【0103】
操作画面400には、さらに、操作画面400に対する操作が非接触により行われることを報知する画像403と、操作ボタン404、405が含まれている。操作ボタン404は、係員を呼び出すためのボタンであり、5つの操作ボタン405は、操作画面400に使用される言語を切り替えるためのボタンである。利用者は、画像403を参照することにより、操作ボタン404、405に対する操作を非接触により行い得ることを把握する。そして、利用者は、適宜、非接触により、操作ボタン404、405に対する操作を行う。
【0104】
図6の操作画面400において、利用者が、メッセージ401により促された作業を行うと、
図7の操作画面410が表示される。
【0105】
操作画面410には、支払い方法の選択を利用者に促すメッセージ411と、請求金額を利用者に報知する画像412が含まれている。さらに、操作画面410には、操作画面410に対する操作が非接触により行われることを報知する画像413と、操作ボタン414、415、416、417、418a、418bが含まれている。操作ボタン414は、係員を呼び出すためのボタンであり、3つの操作ボタン415は、支払い方法を選択するためのボタンである。また、操作ボタン416は、操作を取り消すためのボタンであり、操作ボタン417は、診療費の内訳を表示させるためのボタンである。さらに、操作ボタン418a、418bは、診療明細書を発行するか否かを選択するためのボタンである。
【0106】
利用者は、画像413を参照することにより、操作ボタン414~417、418a、418bに対する操作を非接触により行い得ることを把握する。そして、利用者は、3つの操作ボタン415のうち所望の操作ボタンを非接触により操作する。これにより、操作画面410が、選択された支払い方法に応じた画面に切り替わる。利用者は、切り替わった画面に従って診療費の支払いを行う。
【0107】
また、利用者は、操作を取り消す場合は、操作ボタン416を操作し、診療費の内訳を見る場合は、操作ボタン417を操作する。さらに、利用者は、診療明細書を発行するか否かに応じて、操作ボタン418a、418bの何れか一方を操作する。利用者は、これらの操作ボタンについても非接触で操作を行う。これにより、各操作ボタンに対応する画面が表示される。
【0108】
図8は、管理者が利用する操作画面500の表示例を示す図である。
【0109】
操作画面500は、管理者が行うべき設定を選択するためのタブ501を含んでいる。
図8の例では、「タイマー動作設定」のタブが選択されており、そのことを示す標記502が表示されている。タブ501の下方の領域には、タイマー動作設定を行うための各種ボタンが含まれている。また、これらのボタンに対する操作が、操作画面500に対する接触操作により受け付けられることを報知する画像503が表示される。管理者は、画像503を参照することにより、各種ボタンに対する操作が接触操作により受け付けられることを把握する。
【0110】
タブ501の下方の領域には、さらに、設定を選択するためのタブ504が含まれる。ここでは、最上段の「タイマー運転設定」が選択されている。また、選択された設定を行うための各種ボタンが、タブ504の右側の領域に表示される。タブ504の右側の領域には、設定対象の曜日を表示する項目505と、各曜日にタイマー運転を行うか否かを選択するための操作ボタン506と、各曜日の電源オン/オフ時刻を設定するための操作ボタン507と、各曜日の稼働開始終了時刻および再起動終了時刻を設定するための操作ボタン508とが含まれている。さらに、右端の領域に、24時間運転をするか否かを選択するための操作ボタン509と、曜日ごとに設定したタイマー運転を行うか否かを選択するための操作ボタン510と、操作した内容に設定を更新するための操作ボタン511と、操作を取り消すための操作ボタン512とが含まれている。
【0111】
図8に示すように、管理者が利用する操作画面500は、操作ボタンの数が多いため、操作ボタン(タブを含む)のサイズが小さく、且つ、操作ボタン間の間隔も狭い。このため、操作画面が管理者用の操作画面である場合は、
図5の制御により、接触式センサ120を用いて入力の検知が行われる。これにより、管理者は、正確に操作を行い得る。
【0112】
これに対し、
図6および
図7に示すように、一般利用者が利用する操作画面400、410は、操作ボタンの数が少ないため、操作ボタン(タブを含む)のサイズが大きく、且つ、操作ボタン間の間隔も広い。このため、操作画面が一般利用者用の操作画面である場合は、
図5の制御により、非接触式センサ130を用いて入力の検知が行われる。これにより、一般利用者は、衛生面を高めつつ、適正に操作ボタンの操作を行い得る。
【0113】
<その他の制御>
図4(a)、(b)を参照して説明したとおり、非接触式センサ130による検知位置P20は、利用者が操作を行おうとする目標位置P0からギャップG0だけずれるため、非接触式センサ130を用いる場合には、誤操作が生じる可能性が想定され得る。よって、非接触式センサ130を用いる場合には、このような誤操作を抑制するための制御がさらに行われることが好ましいと言える。以下、この制御について、説明する。
【0114】
図9(a)、(b)は、利用者の身長が低い場合と高い場合とで、非接触式センサ130による検知位置P20が目標位置P0に対してどのようにずれるかを示す図である。
【0115】
図9(a)は、身長が低い利用者が操作を行う場合を例示している。この場合の検知位置P20と目標位置P0との間のギャップG1は、
図4(a)、(b)におけるギャップG0と同様である。
【0116】
これに対し、身長が高い利用者が操作を行う場合は、
図9(b)に示すように、利用者の目の位置が高いため、指F1が向かう方向D0が下向きになる。このため、目標位置P0に対して検知位置P20がずれる方向が
図9(a)の場合と逆になり、また、ギャップG2の大きさも
図9(a)の場合と異なる。
【0117】
このように、検知位置P20と目標位置P0との間の上下方向のずれ方向およびずれ量は、利用者の身長による上下の操作方向に応じて変化する。このため、利用者の身長ごとに、上下方向のずれ方向およびずれ量を取得し、取得したずれ方向およびずれ量に応じて検知位置P20を補正することにより、補正後の検知位置P20’を目標位置P0に近づけることができる。
【0118】
なお、
図9(a)、(b)には、身長と上下方向の位置ずれとの関係を示したが、利用者の左右方向の立ち位置と左右方向の位置ずれとの間にも同様の関係がある。
【0119】
すなわち、利用者が操作画面の右側から操作を行う場合、利用者が右側に離れるほど検知位置P20と目標位置P0との間の左右方向のずれ量(ギャップ)は大きくなる。また、利用者が操作画面の左側から操作を行う場合、利用者が左側に離れるほど検知位置P20と目標位置P0との間の左右方向のずれ量(ギャップ)は大きくなる。さらに、利用者が操作画面の右側から操作を行う場合と左側から操作を行う場合とでは、目標位置P0に対する検知位置P20の左右方向のずれ方向が逆転する。よって、利用者の左右方向の立ち位置(左右方向の操作方向)ごとに、左右方向のずれ方向およびずれ量を取得し、取得したずれ方向およびずれ量に応じて検知位置P20を補正することによって、補正後の検知位置P20’を目標位置P0に近づけることができる。
【0120】
図10(a)は、検知位置P20の補正制御を示すフローチャートである。
【0121】
非接触式センサ130を用いて操作画面に対する入力を検知する場合、制御部301は、カメラ21により取得された撮像画像により、利用者の身長を検出し(S201)、身長に応じた上下方向の補正値を取得する(S202)。また、制御部301は、カメラ21により取得された撮像画像により、操作画面の正面位置に対する利用者の左右方向の立ち位置を検出し(S203)、立ち位置に応じた左右方向の補正値を取得する(S204)。
【0122】
たとえば、制御部301は、予め、
図10(b)、(c)に示すテーブルを保持している。
【0123】
図10(b)のテーブルには、身長の範囲と上下方向に補正値とが互いに対応付けられて保持されている。たとえば、身長がV1以上V2未満の範囲には補正値Cv1が対応付けられ、身長がV2以上V3未満の範囲には補正値Cv2が対応付けられている。また、
図10(c)のテーブルには、左右の立ち位置の範囲と左右方向に補正値とが互いに対応付けられて保持されている。たとえば、左右の立ち位置がH1以上H2未満の範囲には補正値Ch1が対応付けられ、左右の立ち位置がH2以上H3未満の範囲には補正値Ch2が対応付けられている。各補正値には、ずれの大きさに応じた補正量とともに、ずれの方向、すなわち補正の方向を示す正負の符号が付されている。
【0124】
その後、制御部301は、操作画面に対する入力が検知されたか否かを判定する(S205)。入力が検知されると(S205:YES)、制御部301は、非接触式センサ130による検知位置P20を、ステップS202、S204で取得した補正値で上下方向および左右方向に補正して、補正後の検知位置P20’を取得する(S206)。そして、制御部301は、補正後の検知位置P20’と、操作画面中の各操作ボタンの応答位置とを比較し(S207)、比較結果に応じて、操作された操作ボタンを決定する(S208)。
【0125】
ここで、応答位置は、たとえば、各操作ボタンの中心位置に設定され、応答位置から各操作ボタンのサイズに応じた領域内に補正後の検知位置P20’が含まれる場合に、当該操作ボタンが操作されたと判定される。何れの操作ボタンの領域にも補正後の検知位置P20’が含まれない場合、ステップS208では、操作されたボタンは存在しないと決定される。
【0126】
ステップS205~S208は、当該利用者が一連の処理を終了するまで繰り返し実行される。
【0127】
なお、上記では、
図10(b)、(c)のテーブル用いて上下方向および左右方向の補正値が取得されたが、所定の演算式を用いて、身長および左右位置から、上下方向および左右方向の補正値が算出されてもよい。
【0128】
図11(a)は、他の補正制御を示すフローチャートである。
【0129】
図10(a)の補正制御では、利用者の身長および左右の立ち位置により検知位置P20が補正されたが、
図11(a)の補正制御では、利用者の身長および左右の立ち位置により操作ボタンの表示位置が補正される。この場合、操作ボタンの応答位置は補正されず、操作ボタンの表示位置のみが補正される。
【0130】
ステップS201~S204の処理は、
図10(a)の場合と同様である。制御部301は、ステップS202、S204で取得した補正値に基づいて操作ボタンの表示位置を補正する(S211)。
【0131】
図11(b)は、上下方向における操作ボタンB0の表示位置の補正方法を示す側面図である。
【0132】
図11(b)に破線で示された操作ボタンB0の表示位置が、身長に応じて上方向に移動される。このとき、操作ボタンB0の応答位置は、破線で示された操作ボタンB0の応答位置P30に維持される。利用者が、操作ボタンB0の移動後の表示位置に向けて指F1を進めると、非接触式センサ130による検知位置P20は、
図11(b)に破線矢印で示すように、移動前の操作ボタンB0の上下方向の中心位置付近となる。これにより、応答位置P30と検知位置P20とが上下方向に接近し、操作ボタンに対する操作がより適正に検知される。操作ボタンB0の左右方向の表示位置も、利用者の立ち位置に応じて同様に補正される。
【0133】
図11(a)に戻り、上記のように各操作ボタンの表示位置を補正した後、制御部301は、操作画面に対する入力が検知されたか否かを判定する(S212)。入力が検知されると(S212:YES)、制御部301は、非接触式センサ130による検知位置P20を、操作画面中の各操作ボタンの応答位置と比較し(S213)、比較結果に応じて、操作された操作ボタンを決定する(S214)。操作ボタンの決定方法は、
図10(a)の場合と同様である。この制御においても、制御部301は、当該利用者が一連の処理を終了するまで、ステップS211~S214の処理を繰り返し実行する。
【0134】
図12(a)は、さらに他の補正制御を示すフローチャートである。
【0135】
図10(a)の補正制御では、利用者の身長および左右の立ち位置により検知位置P20が補正されたが、
図12(a)の補正制御では、利用者の身長および左右の立ち位置により操作ボタンの応答位置が補正される。
【0136】
ステップS201~S204の処理は、
図10(a)の場合と同様である。制御部301は、ステップS202、S204で取得した補正値に基づいて操作ボタンの応答位置を補正する(S221)。
【0137】
図12(b)は、上下方向における操作ボタンB0の応答位置P30の補正方法を示す側面図である。
【0138】
図12(b)に示された操作ボタンB0の応答位置P30が、身長に応じて下方向に移動されて、応答位置P30’に補正される。このとき、操作ボタンB0の表示位置は移動されずにそのまま維持される。利用者が、操作ボタンB0の表示位置に向けて指F1を進めると、非接触式センサ130による上下方向の検知位置P20は、補正後の応答位置P30’付近となる。これにより、補正後の応答位置P30’と検知位置P20とが上下方向に接近し、操作ボタンに対する操作がより適正に検知される。操作ボタンB0の左右方向の応答位置も、利用者の立ち位置に応じて同様に補正される。
【0139】
図12(a)に戻り、上記のように各操作ボタンの応答位置P30を補正した後、制御部301は、操作画面に対する入力が検知されたか否かを判定する(S222)。入力が検知されると(S222:YES)、制御部301は、非接触式センサ130による検知位置P20を、操作画面中の各操作ボタンの補正後の応答位置P30’と比較し(S223)、比較結果に応じて、操作された操作ボタンを決定する(S224)。操作ボタンの決定方法は、
図10(a)の場合と同様である。この制御においても、制御部301は、当該利用者が一連の処理を終了するまで、ステップS221~S224の処理を繰り返し実行する。
【0140】
図13(a)は、さらに他の補正制御を示すフローチャートである。
【0141】
図13(a)の制御方法では、利用者の身長および左右方向の立ち位置に応じて、操作表示部11の傾き角が補正される。
【0142】
ステップS201、S203の処理は、
図10(a)と同様である。制御部301は、ステップS201において取得した利用者の身長に応じて、操作表示部11(非接触式センサ130)の上下方向の傾き角の補正値を取得する(S231)。また、制御部301は、ステップS203において取得した利用者の左右方向の立ち位置に応じて、操作表示部11(非接触式センサ130)の左右方向の傾き角の補正値を取得する(S232)。そして、制御部301は、取得した各方向の傾き角の補正値に応じて、操作表示部11(非接触式センサ130)の上下方向および左右方向の傾き角を補正する(S233)。
【0143】
図13(b)は、操作表示部11(非接触式センサ130)の上下方向の傾き角の補正方法を示す図である。
【0144】
図13(b)に示すように、制御部301は、利用者の指F1が移動する方向D0が操作画面に対して垂直に近づくように、操作表示部11(非接触式センサ130)の上下方向の傾き角を、利用者の身長に応じて変化させる。これにより、非接触式センサ130による指F1の検知位置P20が操作目標の位置からずれにくくなり、検知位置P20と操作対象の操作ボタンB0の応答位置P30とが上下方向において接近する。操作表示部11(非接触式センサ130)の左右方向の傾き角も、同様に、利用者の指F1が移動する方向D0が操作画面に対して垂直に近づくように、利用者の左右方向の立ち位置に応じて変化させる。
【0145】
図13(a)の補正制御においても、
図10(b)、(c)の場合と同様、身長と上下方向の傾き角の補正値とを対応付けたテーブル、および、左右方向の立ち位置と左右方向の傾き角とを対応付けたテーブルが用いられ得る。この場合も、
図10(a)の場合と同様、所定の演算式を用いて、利用者の身長および左右位置から、上下方向および左右方向の傾き角の補正値が算出されてもよい。
【0146】
図13(a)の補正制御によれば、検知位置P20が操作ボタンの応答位置P30に接近するため、操作対象の操作ボタンが操作されたことを、より精度良く判定できる。
【0147】
なお、
図13(a)の補正制御は、
図10(a)、
図11(a)または
図12(a)の補正制御と同時に用いられてもよい。これにより、操作ボタンに対する操作をより正確に検出できる。
【0148】
なお、
図10(a)~
図13(b)に示した制御例では、操作画面に対する操作方向、すなわち、利用者の指F1が操作画面に進む方向D0が、利用者の身長および左右の立ち位置から間接的に推定され、身長および左右方向の立ち位置が、上下の操作方向および左右の操作方向に関する情報としてそれぞれ取得された。しかし、操作方向に関する情報はこれらに限られるものではなく、たとえば、制御部301は、カメラ21の撮像画像を画像解析して、操作画面に対する操作方向、すなわち、利用者の指F1が操作画面に進む方向D0が直接検出し、この検出結果を操作方向に関する情報として取得してもよい。
【0149】
この場合、上記各テーブルは、たとえば、上下および左右の操作方向の範囲と、各補正値とが対応付けられる。また、この場合、操作画面に対する利用者の操作動作に応じて操作方向が動的に検知されるため、
図13(a)、(b)の制御では、利用者の操作に応じて操作表示部11が傾けられることになる。
【0150】
このように、操作画面に対する操作方向、すなわち、利用者の指F1が操作画面に進む方向D0を直接検知することにより、各補正をより精度よく行うことができる。よって、利用者は、非接触式センサ130による操作ボタンに対する操作を、より良好に行うことができる。
【0151】
<実施形態1の効果>
制御部301は、接触式センサ120および非接触式センサ130を選択的に用いて、操作画面に対する入力を受け付ける。これにより、利用者は、接触式センサ120の他、非接触式センサ130を用いて、操作画面に対する入力を行い得る。よって、利用者は、衛生上の問題を抑制しつつ円滑に、操作画面に対する操作を行うことができる。
【0152】
図5に示したように、制御部301は、接触式センサ120および非接触式センサ130の何れを用いるかを予め規定した切替条件(S102)に基づいて、操作画面に対する入力の受付に用いるセンサを、接触式センサ120および非接触式センサ130の間で切り替える(S103~S106)。
【0153】
ここで、切替条件(S102)は、操作画面が一般利用者により操作される画面の場合は(S102:YES)、非接触式センサ130が用いられ(S103、S104)、操作画面が管理者により操作される画面の場合は(S102:NO)、接触式センサ120が用いられる(S105、S106)との条件である。
【0154】
一般に、管理者が操作する操作画面(
図8)は、多数の操作ボタンを含むため、個々の操作ボタンのサイズが小さく、また、操作ボタン間の間隔も狭い。他方、非接触式センサ130では、操作画面に直接手指が振れないため、
図4(a)、(b)に示したように、利用者が操作を行おうとする目標位置P0と、非接触式センサ130によって実際に手指が検知された検知位置P20との間にずれ(ギャップG0)が生じ易い。このため、管理者が操作する操作画面に対し非接触式センサ130が用いられると、誤操作が生じやすくなる。
【0155】
上記条件(S102)によれば、操作画面が管理者により操作される操作画面の場合は接触式センサ120が用いられるため、上記のような誤操作が抑制される。他方、操作画面が一般利用者により操作される操作画面の場合は非接触式センサ130が用いられるため、衛生上の問題が回避される。このように、上記条件によれば、管理者が操作画面を操作する際の誤操作を抑制しつつ、一般利用者が操作画面を操作する際の衛生上の問題を回避できる。
【0156】
また、
図5のステップS107において、制御部301は、操作画面が、接触式センサ120により操作を受け付ける画面であるか、非接触式センサ130により操作を受け付ける画面であるかを利用者に報知する(
図6、
図7、
図8の画像403、413、503)。これにより、利用者は、自身が操作しようとする操作画面に対する操作が接触式センサ120および非接触式センサ130の何れによって受け付けられるかを把握できる。よって、利用者は、操作画面に対する操作を円滑に行うことができる。
【0157】
また、自動取引装置10は、利用者の身長および左右方向における利用者の位置の少なくとも一方を検知する検知器(カメラ21)を備える。そして、制御部301は、非接触式センサ130により入力を受け付ける場合、非接触式センサ130により検知された検知位置または操作画面に含まれる操作ボタンの位置を、検知器(カメラ21)の検知結果に基づいて補正する(
図10(a):ステップS206、
図11(a):ステップS211)。
【0158】
一般に、非接触式センサ130では、
図9(a)、(b)に示したように、操作画面から所定の距離だけ離れた位置に手指F1が位置づけられると、その直下の画面の位置が、検知位置P20として検知される。しかしながら、たとえば、利用者の手指F1が操作画面に対して斜め方向に進められて操作が行われる場合、手指F1が向かう操作画面上の目標位置P0と、非接触式センサ130によって検知される検知位置P20との間にずれ(ギャップG1、G2)が生じる。このずれ(ギャップG1、G2)は、操作画面に対する手指F1の進行方向D0の角度が鋭角になるほど顕著になる。ここで、操作画面に対する手指F1の進行方向の角度は、利用者の身長や立ち位置に応じて変化する。すなわち、目標位置P0と検知位置P20との間の上下方向の位置ずれは、利用者の身長に応じて変化し、目標位置P0と検知位置P20との間の左右方向の位置ずれは、操作画面に対する利用者の左右方向の位置に応じて変化する。
【0159】
図10(a)および
図11(a)の補正制御によれば、利用者の身長および左右方向の位置が検知器(カメラ21)により検知され(S201)、その検知結果に基づいて、非接触式センサ130により検知された検知位置P20または操作画面に含まれる操作ボタンの位置が補正される。これにより、補正後の検知位置P20と目標位置P0との位置ずれが抑制され、また、操作画面上の操作対象の操作ボタンの位置に検知位置P20が適正に含まれやすくなる。よって、利用者は、自身の身長および立ち位置に拘わらず、適正に、目標の操作ボタンを操作することができる。
【0160】
また、
図13(a)の補正制御において、制御部301は、非接触式センサ130により入力を受け付ける場合、利用者の身長および左右方向における利用者の位置の検知結果に基づいて、操作画面の傾き角を調整する(S233)。この制御では、
図13(b)に示すように、利用者の身長や立ち位置に応じて、利用者の手指F1がより垂直に操作画面に進むように、操作画面の傾き角が調整される。これにより、非接触式センサ130により検知される検知位置P20と利用者の手指が進む目標位置P0との位置ずれを抑制できる。よって、利用者は、自身の身長および立ち位置に拘わらず、適正に、操作画面に対する操作を行うことができる。
【0161】
なお、
図6および
図7に示すように、非接触式センサ130により入力を受け付ける操作ボタンは、操作画面において、横方向にのみ隣り合っていることが好ましい。
【0162】
通常、利用者は、操作画面の略正面方向に立って操作画面に対する操作を行うことが多い。この場合、非接触式センサによる検知位置は、利用者の手指が進む目標位置に対して左右方向よりも上下方向に大きくずれることが多い。これに対し、上記構成によれば、
図6および
図7に示すように、非接触式センサ130により入力を受け付ける操作ボタンが横方向のみに隣り合っているため、
図4(a)、(b)に示したように検知位置P20と目標位置P0とが上下方向にずれても、操作目標以外の操作ボタンが誤操作されることが起こりにくい。よって、利用者は、非接触式センサ130による操作ボタンへの操作を円滑に行うことができる。
【0163】
<変更例1>
上記実施形態1では、操作画面が一般利用者により利用されるか管理者により利用されるかによって、検知手段が非接触式センサ130と接触式センサ120との間で切り替え設定された。これに対し、変更例1では、当該設定の後に、利用者が任意に、検知手段を非接触式センサ130と接触式センサ120との間で切り替え可能となっている。
【0164】
図14は、変更例1に係る、検知手段の切り替え制御を示すフローチャートである。
【0165】
制御部301は、検知手段を切り替えるための操作が行われたか否かを判定する(S111)。たとえば、
図15に示すように、一般利用者が操作する操作画面400には、検知手段を切り替えるための操作ボタン406が含まれる。また、
図16に示すように、管理者が操作する操作画面500には、検知手段を切り替えるための操作ボタン513a、513bが含まれる。各利用者は、これらの操作ボタンを操作することにより、現在使用中の検知手段を他方の検知手段に切り替えることができる。
図14のステップS111では、これらの操作ボタンが操作されたか否かが判定される。
【0166】
検知手段を切り替える操作が行われると(S111:YES)、制御部301は、現在、非接触式センサ130を使用中であれば(S112:YES)、接触式センサ120を有効化するとともに非接触式センサ130を無効化し(S113、S114)、現在、接触式センサ120を使用中である場合は(S112:NO)、非接触式センサ130を有効化するとともに接触式センサ120を無効化する(S115、S116)。そして、制御部301は、検知手段を他方の検知手段に切り替えたことを報知する(S117)。たとえば、制御部301は、
図15または
図16の画像403、503の内容を、他方の検知手段の内容に切り替える。このとき同時に、音声にて、検知手段の切り替えが報知されてもよい。
【0167】
しかる後、制御部301は、操作画面を用いた受付処理を行う(S118)。そして、当該操作画面を用いた処理が終了すると(S119:YES)、制御部301は、当該操作画面に対する処理を終了する。
【0168】
図14の制御によれば、利用者は、取引処理または設定処理の際に、自身が望む方式のセンサ(検知手段)を指定できる。たとえば、利用者は、衛生面を優先したい場合は非接触式センサ130を指定でき、確実な操作を優先したい場合は接触式センサ120を指定できる。これにより、利用者は、自身が望む方式のセンサを用いて操作画面に対する操作を行うことができる。
【0169】
<変更例2>
上記変更例1では、取引操作または設定操作の途中で、検知手段の切り替えが受け付けられた。これに対し、変更例2では、取引開始時に検知手段の切り替えが受け付けられる。
【0170】
図17は、変更例2に係る、検知手段の切り替え制御を示すフローチャートである。
【0171】
制御部301は、取引開始時に、検知手段を設定するための操作を受け付ける(S121)。たとえば、制御部301は、取引開始の初期画面として、
図18に示す操作画面420をディスプレイ110に表示させる。
【0172】
操作画面420には、画面の操作方法の選択を利用者に促すメッセージ421と、操作方法を選択するための操作ボタン422、423と、各操作方法を説明する報知文424とが含まれている。利用者は、メッセージ421および報知文424を参照することにより、操作方法として接触式と非接触式を選択可能であることを把握する。そして、利用者は、操作ボタン422、423の何れか一方を選択することにより、自身が望む操作方法を設定する。
【0173】
この他、操作画面420は、現在の操作方法を報知するための画像425と、操作画面に用いる言語を選択するための操作ボタン426と、係員を呼び出すための操作ボタン427とを含んでいる。
【0174】
図17に戻り、制御部301は、利用者により接触式操作と非接触式操作の何れが選択されたかを判定する(S122)。非接触式操作が選択された場合(S122:YES)、制御部301は、ステップS103以降の処理を実行し、接触式操作が選択された場合(S122:NO)、制御部301は、ステップS105以降の処理を実行する。ステップS103、S105以降の処理は、
図5と同様である。
【0175】
変更例2によれば、利用者は、取引開始時に、自身が望む操作方法(接触式/非接触式)を選択できる。これにより、利用者の利便性を高めることができる。
【0176】
図18の操作画面420に対する操作が行われた後、制御部301は、
図6または
図15の操作画面400を表示させて、清算処理を行う。この場合、画像403には、操作画面420において利用者が選択した操作方法に対応する操作方法が表示される。
【0177】
なお、この場合も、
図15に示すように、操作方法を取引の途中で切り替えるための操作ボタン406が、各操作画面に含まれてもよい。これにより、利用者は、それぞれの操作画面において、自身が望む操作方法を選択できる。よって、利用者の利便性をさらに高めることができる。
【0178】
また、上記変更例1、2では、取引操作または設定操作において、操作の検知に用いる検知手段(接触式/非接触式)が切り替え可能であったが、自動取引装置10の設置時やその後の運用等に応じて、検知手段の設定が受け付けられてもよい。これにより、自動取引装置10が設置される施設の状況に応じて、操作画面に対する入力方法を、接触式と非接触式との間で任意に設定することができる。
【0179】
<変更例3>
上記実施形態1では、接触式センサ120と非接触式センサ130とを切り替える切替条件が、操作画面が一般利用者により利用される画面であるか管理者により利用する画面であるかであったが、変更例3では、操作画面に含まれる操作ボタンの状況により、操作画面ごとに、接触式センサ120と非接触式センサ130の何れかが設定される。
【0180】
図19は、変更例3に係る、検知手段の切り替え制御を示すフローチャートである。
【0181】
制御部301は、操作画面の表示時に、表示対象の操作画面が第1画面と第2画面の何れであるかを判定する(S131)。
【0182】
図20(a)、(b)は、操作画面の構成例を示す図である。
【0183】
図20(a)の操作画面S1に含まれる操作ボタンB11、B12、B13の数は、
図20(b)の操作画面S2に含まれる操作ボタンB21、B23の数よりも多い。このため、操作画面S1では、操作ボタンB11、B12、B13のサイズが小さく、且つ、操作ボタン間の間隔が狭い。特に、操作ボタンB11は、サイズがかなり小さく、且つ、隣り合う操作ボタンB11との間隔もかなり狭い。このため、操作画面S1について非接触式センサ130を用いると、操作ボタンに対する誤操作が生じやすい。
【0184】
他方、操作画面S2では、操作ボタンB21、B22、B23の数が少ないため、操作ボタンのサイズが大きく、且つ、操作ボタン間の間隔も広い。最も小さい操作ボタンB23についても、比較的サイズが大きく、且つ、操作ボタン間の間隔も広い。このため、操作画面S2について非接触式センサ130を用いても、操作ボタンに対する誤操作が生じにくい。
【0185】
このような観点から、変更例3では、予め、操作画面ごとに、接触式センサ120と非接触式センサ130の何れを用いるかが設定されている。具体的には、
図20(c)に示すように、各操作画面に接触式と非接触式の何れかを示す情報を対応付けたテーブルが構成され、このテーブルが制御部301に保持されている。このテーブルにおいて、接触式センサ120を用いる操作画面は第1画面であり、非接触式センサ130を用いる操作画面は第2画面である。制御部301は、このテーブルを参照して、表示対象の操作画面が第1画面および第2画面の何れであるかを判定する。
【0186】
図19に戻り、制御部301は、表示対象の操作画面が第2画面である場合(S132:YES)、ステップS103以降の処理を実行し、表示対象の操作画面が第1画面である場合(S132:NO)、ステップS105以降の処理を実行する。ステップS103、S105以降の処理は、
図5と同様である。
【0187】
変更例3によれば、
図19に示すように、表示対象の操作画面が第1画面と第2画面の何れであるかが、接触式センサ120と非接触式センサ130の切替条件に設定される(S131、S132)。
図20(a)、(b)に例示したように、第2画面(操作画面S2)は、第1画面(操作画面S1)よりも操作ボタンの数が少なく、また、操作ボタンのサイズおよび間隔が大きい。
図19の制御では、表示対象の操作画面が第1画面である場合は接触式センサ120が用いられ、表示対象の操作画面が、第1画面よりも操作ボタンの数が少なく、操作ボタンのサイズおよび間隔が大きい第2画面である場合は非接触式センサ130が用いられる。すなわち、非接触式センサ130を用いると操作ボタンに対する誤操作が生じやすい第1画面には接触式センサ120が用いられ、非接触式センサ130を用いても操作ボタンに対する誤操作が生じにくい第2画面には非接触式センサ130が用いられる。よって、利用者は、衛生上の問題を回避しつつ、各操作画面に対して円滑に操作を進めることができる。
【0188】
なお、
図20(c)のテーブルでは、たとえば、操作画面に含まれる操作ボタンの数が所定の閾値を超えるか否か、あるいは、操作画面に含まれる操作ボタンの最小サイズまたは最小間隔が所定の閾値を超えるか否かによって、各操作画面に対応付けられる操作方式が決定され得る。
【0189】
たとえば、操作画面に含まれる操作ボタンの数が所定の閾値を超えず、且つ、操作ボタンの最小サイズ、最小間隔の何れもが所定の閾値を超える場合、当該操作画面に非接触式センサ130(第2画面)が対応付けられ、操作画面に含まれる操作ボタンの数が所定の閾値を超え、あるいは、操作ボタンの最小サイズ、最小間隔の何れかが所定の閾値を超えない場合、当該操作画面に接触式センサ120(第1画面)が対応付けられる。
【0190】
この場合、各閾値は、非接触式センサ130を用いた場合に操作ボタンへの操作が適正に行われ得るか否かによって設定されればよい。たとえば、操作ボタンのサイズに対する閾値は、操作画面に対して垂直な方向の操作ボタンのサイズに対して規定され得る。一般に、利用者は、指先から指の第1関節までの部分で操作画面を操作しようとする。このため、非接触式センサ130による検知では、
図4(a)、(b)に示した誤差(ギャップG)の他、指先から第1関節までの長さ分だけ、利用者の意図する操作位置から実際の検知位置がずれる可能性がある。たとえば、利用者が手指の腹で操作しようと意図したにも関わらず、先に指先が検知面S0に到達して非接触式センサ130に検知されることが起こり得る。この場合、利用者の意図する操作位置と実際の検知位置との間には、
図4(a)、(b)に示した誤差とともに、指先と指の腹との間の距離に応じた誤差が生じる。このような観点から、操作ボタンのサイズに対する閾値は、指先から第1関節までの平均的な長さ(たとえば、20mm)を加味して設定され得る。たとえば、指先から第1関節までの平均的な長さ(たとえば、20mm)が、操作ボタンのサイズに対する閾値として設定されてよい。
【0191】
<変更例4>
上記変更例3では、操作画面ごとに、接触式センサ120と非接触式センサ130の何れかが設定された。これに対し、変更例4では、操作ボタンごとに、接触式センサ120と非接触式センサ130の何れかが設定される。
【0192】
図21は、変更例4に係る、検知手段の切り替え制御を示すフローチャートである。
【0193】
制御部301は、操作画面の表示時に、表示対象の操作画面に含まれる操作ボタンが第1ボタンと第2ボタンの何れであるかを判定する(S141)。
【0194】
図22(a)、(b)は、操作画面の構成例を示す図である。
図22(a)、(b)の操作画面S1、S2は、
図20(a)、(b)に示した操作画面S1、S2と同様である。
【0195】
操作画面S1において、操作ボタンB11は、サイズが小さく、且つ、隣の操作ボタンB11との間隔が狭い。このため、操作ボタンB11について非接触式センサ130を用いると、誤操作が生じやすい。これに対し、同じ操作画面S1でも、操作ボタンB12は、サイズが大きく、且つ、隣の操作ボタンB12との間隔も広い。この点は、操作ボタンB13についても同様である。このため、同じ操作画面S1であっても、操作ボタンB12、B13については、非接触式センサ130を用いても、誤操作が生じにくい。
【0196】
また、操作画面S2では、操作ボタンB21、B22、B23は、何れも、サイズが大きく、且つ、隣の操作ボタンとの間隔も広い。よって、操作画面S2では、何れの操作ボタンに非接触式センサ130を用いても、誤操作が生じにく。
【0197】
このような観点から、変更例4では、予め、各操作画面において、操作ボタンごとに、接触式センサ120と非接触式センサ130の何れを用いるかが設定されている。具体的には、
図22(c)、(d)に示すように、各操作画面に含まれる各操作ボタンに接触式と非接触式の何れかを示す情報を対応付けたテーブルが構成され、このテーブルが制御部301に保持されている。このテーブルにおいて、接触式センサ120を用いる操作ボタンは第1ボタンであり、非接触式センサ130を用いる操作ボタンは第2ボタンである。制御部301は、このテーブルを参照して、表示対象の操作画面に含まれる各操作ボタンが第1ボタンおよび第2ボタンの何れであるかを判定する。
【0198】
図21に戻り、制御部301は、表示対象の操作画面に含まれる操作ボタンのうち、第1ボタンには接触式センサ120を設定し、第2ボタンには非接触式センサ130を設定する(S142)。そして、制御部301は、接触式センサ120および非接触式センサ130の両方を有効化し(S143)、操作画面に対する入力を待つ。
【0199】
操作画面に対する操作が非接触式センサ130により検知されると(S144:YES)、制御部301は、検知結果から操作対象の操作ボタンを特定し、当該操作ボタンが第2ボタンであるか否かを判定する(S145)。当該操作ボタンが第2ボタンである場合(S145:YES)、制御部301は、当該操作ボタンに対する操作がなされたと判定し(S146)、当該操作ボタンに応じた処理を実行する。
【0200】
他方、操作対象の操作ボタンが第1ボタンである場合(S145:NO)、制御部301は、さらに、当該操作ボタンに対する操作が接触式センサ120により一連の操作として検知されたか否かを判定する(S147)。そして、当該操作ボタンに対する操作が接触式センサ120により検知されると(S147:YES)、制御部301は、当該操作ボタンに対する操作がなされたと判定し(S148)、当該操作ボタンに応じた処理を実行する。
【0201】
こうして、操作対象の操作ボタンに応じた処理を行った後、制御部301は、当該処理に応じて、表示対象の操作画面が他の操作画面に遷移するか否かを判定する(S149)。画面が他の操作画面へと遷移しない場合、制御部301は、処理をステップS144に戻して、同様の処理を実行する。他方、画面が他の操作画面へと遷移する場合、制御部301は、
図21の処理を終了する。この場合、制御部301は、遷移後の操作画面に対して、ステップS141以降の処理を実行する。
【0202】
変更例4によれば、
図21に示すように、表示対象の操作画面に含まれる操作ボタンが第1ボタンと第2ボタンの何れであるかが、接触式センサ120と非接触式センサ130の切替条件に設定される(S141、S142)。
図22(a)、(b)に例示したように、第2ボタン(操作ボタンB12、B13)は、第1ボタン(操作ボタンB11)よりもサイズが大きく、隣の操作ボタンとの間隔が広い。
図21の制御では、操作ボタンが第1ボタンである場合は接触式センサが用いられ、操作ボタンが第1ボタンよりもサイズおよび間隔が大きい第2ボタンである場合は非接触式センサ130が用いられる。すなわち、非接触式センサ130を用いると誤操作が生じやすい第1ボタンには接触式センサ120が用いられ、非接触式センサ130を用いても誤操作が生じにくい第2ボタンには非接触式センサ130が用いられる。よって、利用者は、衛生上の問題を回避しつつ、各操作ボタンに対して円滑に操作を進めることができる。
【0203】
なお、
図22(c)、(d)のテーブルでは、たとえば、各操作ボタンのサイズまたは間隔が所定の閾値を超えるか否かによって、各操作ボタンに対応付けられる操作方式が決定され得る。たとえば、操作ボタンのサイズおよび間隔の両方が所定の閾値を超える場合、当該操作ボタンに非接触式センサ130(第1画面)が対応付けられ、操作ボタンのサイズおよび間隔の何れかが所定の閾値を超えない場合、当該操作ボタンに接触式センサ120(第2画面)が対応付けられる。この場合、各閾値は、非接触式センサ130を用いた場合に操作ボタンへの操作が適正に行われ得るか否かによって設定されればよい。
【0204】
<実施形態2>
上記実施形態1および変更例1~4では、所定の切替条件に従って、操作画面または操作ボタンに対する入力の検知手段が、接触式センサ120と非接触式センサ130との間で切り替えられた。これに対し、実施形態2では、非接触式センサ130のみで入力が検知された場合は、当該検知結果が採用され、非接触式センサ130および接触式センサ120の両方で入力が検知された場合は、接触式センサ120の検知結果が採用される。
【0205】
図23は、実施形態2に係る、操作画面に対するに入力の受付処理を示すフローチャートである。
【0206】
制御部301は、操作対象の操作画面に対する受け付け処理において、接触式センサ120および非接触式センサ130の両方を有効化する(S301、S302)。そして、制御部301は、非接触式センサ130により入力が検知されたか否かを判定する(S303)。
図2(a)、(b)に示したように、非接触式センサ130の検知面S0は接触式センサ120の検知面(センサ120の表面)よりも操作画面から離れているため、操作画面に対する操作は、通常、接触式センサ120よりも先に非接触式センサ130によって検知される。
【0207】
非接触式センサ130により入力が検知されると(S303:YES)、制御部301は、さらに、一連の操作動作として、接触式センサ120により入力が検知されたか否かを判定する(S304)。一連の操作動作とは、非接触式センサ130により出射されている赤外線が指F1で遮られている期間、すなわち、一部の受光部132の出力が立ち下がっている期間に、接触式センサ120により入力が検知されることを意味する。
【0208】
一連の操作動作として、接触式センサ120により入力が検知された場合(S304:YES)、制御部301は、接触式センサ120の検知結果を採用する(S305)。他方、一連の操作動作として、接触式センサ120により入力が検知されなかった場合(S304:NO)、制御部301は、非接触式センサ130の検知結果を採用する(S306)。制御部301は、採用した検知結果に基づいて、操作画面に対する入力を受け付けて、当該入力に対応する処理を実行する。
【0209】
その後、制御部301は、当該受付処理を終了したか否かを判定する(S307)。当該受付処理を終了していない場合(S307:NO)、制御部301は、処理をステップS303に戻して、同様の処理を実行する。この場合、適宜、操作画面が他の操作画面に切り替えられる。他方、当該受付処理を終了した場合(S307:YES)、制御部301は、処理を終了する。
【0210】
<実施形態2の効果>
図23に示したように、制御部301は、操作画面への操作に対し、接触式センサ120および非接触式センサ130の両方により検知結果が得られた場合(S304:YES、S304:YES)、接触式センサ120による検知結果を用いて、操作画面に対する入力を受け付ける。これにより、非接触式センサ130を用いた衛生的な入力形態を維持しながら、より正確な接触式センサの検知結果を優先的に用いて誤操作を効果的に抑制できる。
【0211】
なお、上記実施形態1および変更例1~3では、操作画面に対する入力の検知に非接触式センサ130を用いる場合、制御部301は、接触式センサ120を無効化したが、操作画面に対する入力の検知に非接触式センサ130を用いる場合に、非接触センサ130とともに接触式センサ120をさらに有効化してもよい。この場合、制御部301は、非接触式センサ130を用いるモードにおいて、利用者が、手指F1を操作画面にタッチすると、上記実施形態2と同様、非接触式センサ130の検知結果ではなく、接触式センサ120の検知結果を採用して、処理を進めてもよい。これにより、非接触式センサ130を用いた衛生的な入力形態を維持しながら、より正確な接触式センサの検知結果を用いることができる。
【0212】
<実施形態3>
上記実施形態2では、接触式センサ120と非接触式センサ130の両方で入力が検知された場合、接触式センサ120の検知結果が採用されたが、実施形態3では、接触式センサ120と非接触式センサ130のうち先に得られた検知結果が採用される。
【0213】
図24は、実施形態3に係る、操作画面に対するに入力の受付処理を示すフローチャートである。
【0214】
図24のフローチャートでは、
図23のフローチャートの各ステップのうち、ステップS303、S304が、ステップS311、S312に置き換えられている。
図24のその他のステップの処理は、
図23の対応するステップの処理と同様である。
【0215】
制御部301は、操作対象の操作画面に対する受け付け処理において、接触式センサ120および非接触式センサ130の両方を有効化する(S301、S302)。そして、制御部301は、接触式センサ120と非接触式センサ130の何れかにより検知結果が得られると、先に得られた検知結果を採用する(S311、S312、S305、S306)。すなわち、非接触式センサ130により先に検知結果が得られると(S311:YES)、制御部301は、非接触式センサ130により得られた検知結果を採用し(S306)、接触式センサ120により先に検知結果が得られると(S311:NO、S312:YES)、制御部301は、接触式センサ120により得られた検知結果を採用する(S305)。
【0216】
図2(a)、(b)に示した検知方法では、上記のように、非接触式センサ130の検知面S0が接触式センサ120の検知面(接触式センサ120の表面)よりも操作画面から離れているため、通常、操作画面に対する操作は、接触式センサ120よりも先に非接触式センサ130によって検知される。このため、
図24の制御では、通常、ステップS311の判定がYESとなって、非接触式センサ130の検知結果が採用される。しかし、非接触式センサ130に故障や一時的な不具合等が生じた場合、非接触式センサ130により検知結果が得られないことも起こり得る。このような場合、
図24の制御では、ステップS311の判定がNO、ステップS312の判定がYESとなって、接触式センサ120の検知結果が採用される。これにより、円滑に、操作を検知することができる。
【0217】
<実施形態3の効果>
以上のように、
図24の制御では、接触式センサ120および非接触式センサ130のうち先に得られた検知結果を用いて、操作画面に対する入力が受け付けられる。これにより、操作画面に対する操作の処理をより迅速かつ円滑に行うことができる。
【0218】
<その他の変更例>
以上、本発明の実施形態1~3および変更例1~4について説明したが、本発明は、上記実施形態1~3および各変更例によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0219】
たとえば、上記実施形態1では、カメラ21によって、利用者の身長および左右方向の立ち位置が検出されたが、カメラ21以外の検知器によって、利用者の身長および左右方向の立ち位置が検知されてもよい。たとえば、身長範囲ごとあるいは左右の範囲ごとに個別に人感センサを配置して、利用者の身長あるいは左右方向の立ち位置を検知してもよい。また、カメラ21の撮像画像を解析して操作画面に対する操作方向(指が進む方向)を取得する場合、カメラ21は、操作画面の付近の領域を撮像可能にアングルと視野角が設定されてもよい。
【0220】
また、
図10(a)~
図13(b)の制御では、利用者の身長および左右方向の立ち位置の両方を用いて、検知位置P20、操作ボタンB0の表示位置、操作ボタンB0の応答位置P30または操作画像の傾き角が、上下方向および左右方向に補正されたが、利用者の身長のみを用いて、検知位置P20、操作ボタンB0の表示位置、操作ボタンB0の応答位置P30または操作画像の傾き角が上下方向に補正されてもよく、あるいは、利用者の左右方向の立ち位置のみを用いて、検知位置P20、操作ボタンB0の表示位置、操作ボタンB0の応答位置P30または操作画像の傾き角が、左右方向に補正されてもよい。
【0221】
また、上記各実施形態および各変更例では、操作画面の一例が示されたが、これらの操作画面は一例であって、操作画面の構成および操作ボタンの数、大きさ、間隔、形状はこれらに限られるものではない。
【0222】
たとえば、操作ボタンは、アイコン等の他の操作項目であってもよい。また、
図6の操作画面400において、非接触式センサ130が用いられていることを報知する画像403は、操作画面400中の他の位置に配置されてもよく、あるいは、ポップアップ画面で表示されてもよい。また、
図16の操作画面500において画像503が省略され、操作ボタン513a、513bのうち、現在使用中の操作方法に対応する操作ボタンがハイライト表示されてもよい。
【0223】
また、上記各実施形態および各変更例では、操作画面に対する操作が操作ボタンを押す操作であったが、接触式センサ120および非接触式センサ130によって検知される操作画面への操作は、これに限られるものではない。たとえば、操作画面に対するスワイプやフリック等が、接触式センサ120および非接触式センサ130により検知されてもよい。
【0224】
また、自動取引装置10の構成は、
図1(a)に示した構成に限られるものではなく、種々変更が可能である。たとえば、自動取引装置10に利用者の到来を検知するための人感センサが配置され、利用者の到来に応じて自動取引装置10が取引動作を開始する構成であってもよい。また、自動取引装置10が、精算のための機能以外の機能を持っていてもよい。たとえば、自動取引装置10が、診察券により診察を受け付けて医事システムに登録する機能を持っていてもよい。
【0225】
また、上記各実施形態および各変更例では、医療機関に設置され、診療費の清算を行うための自動取引装置10が例示されたが、本発明が適用され得る自動取引装置はこれに限られるものではない。たとえば、駅や食堂等に設置される券売機や精算機、あるいは、現金自動預け払い機(ATM:Automatic Teller Machine)や出納機等の自動取引装置に本発明が適用されてもよい。
【0226】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0227】
10 自動取引装置
21 カメラ
110 ディスプレイ
120 接触式センサ
130 非接触式センサ
301 制御部
400、410、420、500 操作画面
404、405、406、414~417、418a、418b 操作ボタン
501、504 タブ(操作ボタン)
506~512、513a、513b 操作ボタン
S1 操作画面(第1画面)
S2 操作画面(第2画面)
B11 操作ボタン(第1ボタン)
B12、B13、B21、B22、B23 操作ボタン(第2ボタン)