(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022103102
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】シリカ部材及びLED装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/58 20100101AFI20220630BHJP
C03C 17/40 20060101ALI20220630BHJP
G02B 3/00 20060101ALI20220630BHJP
H01L 23/02 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
H01L33/58
C03C17/40
G02B3/00
G02B3/00 Z
H01L23/02 C
H01L23/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021206469
(22)【出願日】2021-12-20
(31)【優先権主張番号】P 2020217879
(32)【優先日】2020-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021172818
(32)【優先日】2021-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】507182807
【氏名又は名称】クアーズテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100194124
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 まゆみ
(74)【代理人】
【識別番号】100131026
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 博
(72)【発明者】
【氏名】宮本 真太郎
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレプ ラメッシュ
(72)【発明者】
【氏名】小林 弘明
(72)【発明者】
【氏名】横山 優
【テーマコード(参考)】
4G059
5F142
【Fターム(参考)】
4G059AA06
4G059AA11
4G059AB05
4G059AC30
4G059DA02
4G059DA06
4G059DA07
4G059DA08
4G059DB02
5F142AA67
5F142AA75
5F142BA32
5F142CD18
5F142DB03
5F142DB12
(57)【要約】
【課題】破損を抑制しつつ良好に接合することができるシリカ部材及びそれを用いたLED装置を提供する。
【解決手段】LED用レンズ10は、シリカガラスからなる本体部11を備えている。本体部11は、例えば、レンズ部11Aと、レンズ部11Aの平面側周縁部に設けられたフランジ部11Bとを有している。フランジ部11Bの底面には、フランジ部11Bの側から順に、下地層12、中間層13、及び、Auよりなる表面層14が設けられている。下地層12の空隙率は5%~10%の範囲内、中間層13の空隙率は4%~5%以下の範囲内とされ、下地層12の厚みは20nm~100nmの範囲内、中間層13の厚みは100nm~200nm以下の範囲内とされている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリカガラスからなる本体部を備え、
前記本体部は他部材に対する他部材接合部を有し、
前記他部材接合部には、前記本体部の側から順に、下地層、中間層、及び、Auよりなる表面層が設けられ、
前記下地層の空隙率が5%以上10%以下の範囲内であり、前記中間層の空隙率が4%以上5%以下の範囲内であり、かつ、前記下地層の厚みが20nm以上100nm以下の範囲内であり、前記中間層の厚みが100nm以上200nm以下の範囲内である
ことを特徴とするシリカ部材。
【請求項2】
前記下地層の空隙率が前記中間層の空隙率よりも大きいことを特徴とする請求項1記載のシリカ部材。
【請求項3】
前記表面層の空隙率は0.1%以上0.5%以下の範囲内であり、前記表面層の厚みが150nm以上500nm以下の範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のシリカ部材。
【請求項4】
前記下地層がCr層及びTi層のうちの少なくとも1層を含み、前記中間層がNi層及びTi層のうちの少なくとも1層を含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1に記載のシリカ部材。
【請求項5】
前記下地層のリニアインターセプト法による平均粒子径が40nm以上80nm以下の範囲内であり、前記中間層のリニアインターセプト法による平均粒子径が50nm以上70nm以下の範囲内であり、前記表面層のリニアインターセプト法による平均粒子径が50nm以上70nm以下の範囲内である
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1に記載のシリカ部材。
【請求項6】
LED用レンズ又はLED用キャップであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1に記載のシリカ部材。
【請求項7】
LEDと、
前記LEDを支持する基本部材と、
前記LEDを覆うように前記基本部材に対して接合された請求項1から請求項6のいずれか1に記載のシリカ部材とを備え、
前記基本部材はシリカ部材に対するシリカ部材接合部を有し、
前記シリカ部材接合部には、Auよりなる第1層を表面に有するメタライズ層が形成されており、
前記基本部材の前記シリカ部材接合部と前記シリカ部材の前記他部材接合部とは、AuSnはんだよりなるはんだ層により接合されている
ことを特徴とするLED装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリカ部材及びLED装置に関し、特に紫外線LED(Light Emitting Diode)のキャップやレンズなどに適したシリカ部材及びそれを用いたLED装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線殺菌は、従来から広く水銀灯が使用されてきたが、「水銀に関する水俣条約」の発効により、2020年以降、水銀製品の製造や輸出入が制限されてきた。そのため、現在使用されている水銀灯の寿命が尽きた後の代替光源として、紫外線LED、特に波長280nm以下の深紫外線LEDが注目されている。LEDは、例えば、筐体の中に置かれ、ガラスレンズなどで密閉して用いられる。
【0003】
例えば、特許文献1には、窒化アルミニウム等のセラミックよりなるパッケージ基板と、石英ガラスよりなる窓部材とを、AuSn(金錫)やAgSn(銀錫)等の低融点の金属材料よりなる封止部により接合した発光モジュールが記載されている。窓部材のパッケージ基板に対する接合部には、接合部の側からTi(チタン)、Cu(銅)、Ni(ニッケル)、Au(金)を順に積層した多層膜が形成され、パッケージ基板の窓部材との接合部にはメタライズ処理が施されている。
【0004】
また、例えば、特許文献2には、レンズ部とフランジ部とを有するシリカガラス製の本体部と、窒化アルミニウム製の筐体とを、AuSnはんだで溶着したLED装置が記載されている。筐体との接合部であるフランジ部には、下地層としてCu層を0.5μmの厚みに湿式めっきで形成され、その表面に、Au層を0.5μmの厚みに湿式めっきで形成されており、筐体の本体部との接合部には、Ni層及びAu層をこの順に成膜した筐体メタライズ層が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-59716号公報
【特許文献2】特開2019-46826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の技術では、シリカガラス製の部材とセラミックス製の部材との接合部において、シリカガラス製の部材の表面にTi、Cu、Ni、Au等の金属を緻密に成膜しているので、セラミックス製の部材と接合する時に、シリカガラスと金属との熱膨張率が異なることから、熱による応力が発生してしまうという問題があった。そのため、シリカガラスに負荷がかかり、部材が破損してしまうおそれがあった。
【0007】
本発明は、このような問題に基づきなされたものであり、破損を抑制しつつ良好に接合することができるシリカ部材及びそれを用いたLED装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のシリカ部材は、シリカガラスからなる本体部を備え、本体部は他部材に対する他部材接合部を有し、他部材接合部には、本体部の側から順に、下地層、中間層、及び、Auよりなる表面層が設けられ、下地層の空隙率が5%以上10%以下の範囲内であり、中間層の空隙率が4%以上5%以下の範囲内であり、かつ、下地層の厚みが20nm以上100nm以下の範囲内であり、中間層の厚みが100nm以上200nm以下の範囲内のものである。
【0009】
本発明のLED装置は、LEDと、LEDを支持する基本部材と、LEDを覆うように基本部材に対して接合された本発明のシリカ部材とを備え、基本部材はシリカ部材に対するシリカ部材接合部を有し、シリカ部材接合部には、Auよりなる第1層を表面に有するメタライズ層が形成されており、基本部材のシリカ部材接合部とシリカ部材の他部材接合部とは、AuSnはんだよりなるはんだ層により接合されているものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のシリカ部材によれば、シリカガラスからなる本体部の他部材接合部に、下地層、中間層、及び、Auよりなる表面層を設け、下地層の空隙率を5%以上10%以下、中間層の空隙率を4%以上5%以下にしたので、空隙率を制御することにより、本体部と他部材との接合時に発生する応力を緩和し、本体部の破損を抑制しつつ、かつ、本体部と他部材とを強固に接合し、気密性を担保することができる。
また、下地層の厚みを20nm以上100nm以下とすれば、密着性を確保しつつ、内部応力を緩和することができる。更に、中間層の厚みを100nm以上200nm以下とすれば、はんだのSn原子の拡散を防ぐバリア層としての効果を保持しつつ、内部応力を緩和することができる。
【0011】
また、下地層の空隙率を中間層の空隙率よりも大きくすれば、応力の負担を低減させつつ下地層と中間層との密着力を向上させることができ、より効果的に応力を緩和しつつ、気密性を担保することができる。
【0012】
更に、表面層の空隙率を0.1%以上0.5%以下とし、表面層の厚みを150nm以上500nm以下すれば、内部応力が大きくなることを抑制しつつ、本体部と他部材をはんだにより強固に接着することができる。
【0013】
加えて、下地層にCr(クロム)層及びTi層のうちの少なくとも1層を含むようにすれば、シリカガラスよりなる本体部との密着性を向上させることができる。また、中間層にNi層及びTi層のうちの少なくとも1層を含むようにすれば、はんだに含まれるSn原子が下地層に侵入することを抑制し、他部材接合部と下地層との密着力の劣化を抑制することができる。
【0014】
加えてまた、下地層のリニアインターセプト法による平均粒子径を好ましくは40nm以上80nm以下の範囲内とし、中間層のリニアインターセプト法による平均粒子径を好ましくは50nm以上70nm以下の範囲内とし、表面層のリニアインターセプト法による平均粒子径を好ましくは50nm以上70nm以下の範囲内とすることで、適度な空隙が入り、ヤング率を所定の範囲内に低下させることができるので、各層が変形しやすくなり、成膜時に発生した内部応力を緩和することができる。
【0015】
本発明のLED装置によれば、本発明のシリカ部材を用い、基本部材のシリカ部材接合部にAuよりなる第1層を表面に有するメタライズ層を形成し、基本部材のシリカ部材接合部とシリカ部材の他部材接合部とをAuSnはんだよりなるはんだ層により接合するようにしたので、良好に接合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係るシリカ部材であるLED用レンズの構成を表す図である。
【
図2】
図1に示したLED用レンズを用いたLED装置の構成を表す断面図である。
【
図3】本発明の第2の実施の形態に係るシリカ部材であるLED用キャップの構成を表す図である。
【
図4】実施例1における下地層の粒子状態を表す画像図である。
【
図5】実施例1における中間層の粒子状態を表す画像図である。
【
図6】実施例1における表面層の粒子状態を表す画像図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係るシリカ部材であるLED用レンズ10の構成を表すものであり、(A)は断面構成を表し、(B)は下側から見た構成を表している。
図2は、LED用レンズ10を用いたLED装置20の断面構造を表すものであり、(A)は全体構成を表し、(B)は(A)に示した破線の部分を拡大して表している。
【0019】
このLED用レンズ10は、シリカガラスからなる本体部11を備えている。本体部11は、例えば、半球体状のレンズ部11Aと、レンズ部11Aの平面側周縁部に設けられたフランジ部11Bとを有している。このLED用レンズ10は、例えば、LED装置20に用いられる。
【0020】
LED装置20は、例えば、LED用レンズ10と、LED21と、LED21を支持する基本部材22とを備え、LED用レンズ10はLED21を覆うように基本部材22に対して配設されている。基本部材22には、例えば、LED21を配設する凹部23が設けられており、凹部23の上部には、例えば、LED用レンズ10を配設するための段差部24が設けられている。LED用レンズ10は、例えば、フランジ部11Bを段差部24に当接させて配設され、フランジ部11Bの底面と段差部24の上面とが接合されている。すなわち、LED用レンズ10におけるフランジ部11Bの底面が、他部材である基本部材22に対する他部材接合部11Cであり、基本部材22における段差部24の上面が、シリカ部材であるLED用レンズ10に対するシリカ部材接合部となっている。
【0021】
LED用レンズ10のフランジ部11Bの底面と基本部材22の段差部24の上面とは、例えば、はんだ層25により溶着されて接合されている。気密性高く封止するためである。はんだ層25の材料としては、AuSnはんだが好ましい。また、段差部24の上面には、はんだとの濡れ性を向上させるためにメタライズ層26が形成されていることが好ましい。メタライズ層26は、例えば、Auよりなる第1層を表面に有していることが好ましく、第1層と段差部24との間にNi層を有していることが好ましい。
【0022】
LED用レンズ10のフランジ部11Bの底面、すなわち、他部材接合部11Cには、本体部11の側から順に、下地層12、中間層13、及び、Auよりなる表面層14が設けられている。シリカガラスははんだに濡れにくいので、表面をメタライズし、はんだとの相性を良くするためである。特に、AuはAuSnはんだと反応して合金化し、Au
5Sn、AuSn、AuSn
2、AuSn
4などの金属間化合物を形成するので、表面層14をAuにより構成することによりはんだとの相性を高くすることができる。なお、
図1(B)において、下地層12、中間層13、及び、表面層14が設けられている領域には梨地を付して示している。
【0023】
下地層12は、シリカガラスとの密着性を向上させ、剥離を抑制するためのものである。下地層12は、例えば、金属により構成され、1層により構成してもよく、積層した複数層により構成してもよい。下地層12は、Cr層及びTi層のうちの少なくとも1層を含むことが好ましく、例えば、Cr層、Ti層、又は、Cr層とTi層とを積層した複数層により構成することが好ましい。Cr及びTiはシリカガラスと良好な密着性を得ることができるからである。
【0024】
中間層13は、はんだ層25に含まれるSn原子が下地層12に侵入することを抑制し、他部材接合部11Cと下地層12との密着力の劣化を抑制するためのものである。中間層13は、例えば、金属により構成され、1層により構成してもよく、積層した複数層により構成してもよい。中間層13は、Ni層及びTi層のうちの少なくとも1層を含むことが好ましく、例えば、Ni層、Ti層、又は、Ni層とTi層とを積層した複数層により構成することが好ましい。Ni及びTiはSn原子が下地層12に侵入することを抑制する効果が高いからである。
【0025】
下地層12の空隙率は5%以上10%以下の範囲内、中間層13の空隙率は4%以上5%以下の範囲内とすることが好ましい。空隙率(膜密度)を制御することにより、シリカガラスと金属との熱膨張率の違いにより本体部11と基本部材22との接合時に発生する内部応力を低減するためである。下地層12の空隙率が5%未満であると、応力を十分に緩和することができず、本体部11の表面が破損しやすい。一方、下地層12の空隙率が10%を超えると、本体部11と基本部材22との密着力が不足し、接合時に剥離するため、気密性が担保できず、良好な接着を得ることが難しい。
【0026】
また、中間層13の空隙率が4%未満であると、応力を十分に緩和することができず、本体部11の破損に影響してしまう。中間層13の空隙率が5%を超えると、下地層12と中間層13の密着力不足により、本体部11と基本部材22とを接合した際に下地層12と中間層13の界面が剥離することがある。更に、はんだ付け時に、はんだのSn原子が中間層13及び下地層12に拡散しやすくなり、他部材接合部11Cと下地層12との接合界面の劣化を促進し、LED装置20の寿命が短くなることが考えられる。
【0027】
下地層12の厚みは20nm以上100nm以下の範囲内であることが好ましい。下地層12の厚みが20nm未満では、空隙率が多いことから、他部材接合部11Cとの密着性の不足により、基本部材22との接合時に剥離しやすくなるからである。また、下地層12の厚みが100nmを超えると内部応力が大きくなり本体部11が破損しやすくなるからである。中間層13の厚みは100nm以上200nm以下の範囲内であることが好ましい。中間層13の厚みが100nm未満では、はんだのSn原子の拡散を防ぐバリア層としての効果が低くなり、200nmを超えると内部応力が大きくなり本体部11が破損しやすくなるからである。また、中間層13の厚みが200nmを超えると成膜後の冷却時に中間層13が収縮し亀裂が発生しやすくなるからである。
【0028】
下地層12の空隙率は中間層13の空隙率よりも大きいことが好ましい。下地層12の空隙率を大きくすることで本体部11への応力の負担を低減させる効果が得られ、中間層13は下地層12より空隙率を小さくすることで、応力の負担を低減させつつ下地層12と中間層13との密着力を向上させることができるので、より効果的に応力を緩和しつつ、気密性を担保することができるからである。
【0029】
表面層14の空隙率は0.1%以上0.5%以下の範囲内であることが好ましい。段差部24に形成されたメタライズ層26と表面層14をはんだ層25により、より強固に接着することが可能となるからである。なお、下地層12、中間層13、及び、表面層14の空隙率は、例えば、真空蒸着法又はスパッタリング法等により成膜する際に、圧力又は投入パワーを調整して制御することができる。
【0030】
表面層14の厚みは150nm以上500nm以下の範囲内であることが好ましい。表面層14の厚さを150nm以上とすることにより、はんだ付け時にはんだのSn原子が表面層14に拡散して表面層14全体が合金化することで表面層14の接合強度が低下するのを防止することができる。その結果、本体部11と基本部材22との接合強度を高め、剥離を防ぎ、LED装置20の寿命を長くすることができる。また、表面層14の厚さを500nm以下とすることにより、内部応力を低減し、破断が発生するのを防止できる。これにより、前記破断部起因でのSn原子の拡散進行、はんだの濃度低下による融点上昇により、はんだが溶けづらくなり、接合が難しくなるのを防止することができる。なお、各層の厚みは、例えば、各層の断面組織をFE-SEM(電界放出型走査電子顕微鏡)装置で観察し測定することにより得ることができる。
【0031】
また、本発明における空隙率とは、下地層12、中間層13、又は、表面層14の上面を撮影し、得られた画像に基づき、空隙部分の総面積を全体面積で除した二次元上の空隙率を意味している。具体的には、例えば、(株)日立ハイテク製のFE-SEM装置(S-4800)により下地層12、中間層13、又は、表面層14の上面を撮影し、撮影した画像をプログラミング言語のPythonを用いて、画像処理モジュールのOpenCVにより空隙部分の2値化を行うことにより、空隙率を算出することができる。その際、画像においてコントラストが大きく変化する部分を気孔として判断する。下地層12又は中間層13の上面は、例えば、表面層14及び中間層13又は表面層14をエッチング等により除去し、下地層12及び中間層13を表面に露出させて撮影する。
【0032】
下地層12のリニアインターセプト法による平均粒子径は40nm以上80nm以下の範囲内であることが好ましく、中間層13のリニアインターセプト法による平均粒子径は50nm以上70nm以下の範囲内であることが好ましく、表面層14のリニアインターセプト法による平均粒子径は50nm以上70nm以下の範囲内であることが好ましい。平均粒子径をこの範囲内とすることにより、各層に適度な空隙が入り、ヤング率を所定の範囲内に低下させることができるので、各層が変形しやすくなり、成膜時に発生した内部応力を緩和することができる。
また、下地層12のヤング率は下地層12を構成する材料のバルクにおけるヤング率の30%以上70%以下の範囲内であることが好ましく、中間層13のヤング率は中間層13を構成する材料のバルクにおけるヤング率の40%以上80%以下の範囲内であることが好ましく、表面層14のヤング率は20Gpa以上60GPa以下の範囲内であることが好ましい。
【0033】
なお、本発明においてリニアインターセプト法による平均粒子径とは、下地層12、中間層13、又は、表面層14の上面で観察されるISO13383-1:2012に準拠するリニアインターセプト法で測定される平均粒子径を意味している。具体的には、例えば、(株)日立ハイテク製のFE-SEM装置(S-4800)により下地層12、中間層13、又は、表面層14の上面を撮影し、撮影した画像中に10本直線を引き、直線上の粒子をカウントして、個数から直線の長さを除して粒径を算出する。下地層12又は中間層13の上面は、例えば、表面層14及び中間層13又は表面層14をエッチング等により除去し、下地層12及び中間層13を表面に露出させて観察する。
【0034】
下地層12、中間層13、又は、表面層14のヤング率は、例えば、試料にパルスレーザー(波長337nm)を照射して励起された表面弾性波を圧電素子で測定し、分散曲線からヤング率を計算する表面弾性波法(DIN(ドイツ規格協会)規格50992-1に準拠)を用いた。下地層12又は中間層13は、表面層14及び中間層13又は表面層14をエッチング等により除去し、下地層12及び中間層13を表面に露出させてから測定を行う。
【0035】
なお、下地層12又は中間層13が複数層により構成されている場合、下地層12又は中間層13のヤング率は、下地層12又は中間層13を構成する層毎に判断する。すなわち、下地層12であれば、下地層12を構成する各層のヤング率がその層を構成する材料のバルクにおけるヤング率の30%以上70%以下の範囲内であることが好ましく、中間層13であれば、中間層13を構成する各層のヤング率がその層を構成する材料のバルクにおけるヤング率の40%以上80%以下の範囲内であることが好ましい。
【0036】
このLED用レンズ10は、例えば、次のようにして製造することができる。まず、シリカガラスにより本体部11を形成する。例えば、シリカ粉をゲルキャスト法により成形し、焼結して本体部11を形成する。次いで、フランジ部11Bの底面の少なくとも一部、すなわち、他部材接合部11Cに、下地層12、中間層13、及び、表面層14をこの順に積層する。下地層12、中間層13、及び、表面層14の成膜には、例えば、真空蒸着法又はスパッタリング法を用い、圧力を例えば0.5Paから3.0Paの範囲内、投入パワーを例えば50Wから200Wの範囲内で適宜調整することにより、各層の空隙率を調整する。
【0037】
また、このLED用レンズ10は、例えば、はんだ層25により、基本部材22に対して接合される。例えば、基本部材22のメタライズ層26が形成された段差部24の上にテープ状のはんだを配置し、その上に、フランジ部11Bの下地層12、中間層13及び表面層14が形成された他部材接合部11Cを当接させてLED用レンズ10を配設し、無酸素雰囲気下で加熱溶融させて溶着させる。
【0038】
このように本実施の形態によれば、シリカガラスからなる本体部11の他部材接合部11Cに、下地層12、中間層13、及び、Auよりなる表面層14を設け、下地層12の空隙率を5%以上10%以下、中間層13の空隙率を4%以上5%以下にしたので、本体部11と基本部材22との接合時に発生する応力を緩和し、本体部11の破損を抑制しつつ、かつ、本体部11と基本部材22とを強固に接合し、気密性を担保することができる。
また、下地層12の厚みを20nm以上100nm以下とすれば、密着性を確保しつつ、内部応力を緩和することができる。更に、中間層13の厚みを100nm以上200nm以下とすれば、はんだのSn原子の拡散を防ぐバリア層としての効果を保持しつつ、内部応力を緩和することができる。
【0039】
また、下地層12の空隙率を中間層13の空隙率よりも大きくすれば、応力の負担を低減させつつ下地層12と中間層13との密着力を向上させることができ、より効果的に応力を緩和しつつ、気密性を担保することができる。
【0040】
更に、表面層14の空隙率を0.1%以上0.5%以下とし、表面層14の厚みを150nm以上500nm以下すれば、内部応力が大きくなることを抑制しつつ、本体部11と基本部材22をはんだにより強固に接着することができる。
【0041】
加えて、下地層12にCr層及びTi層のうちの少なくとも1層を含むようにすれば、シリカガラスよりなる本体部11との密着性を向上させることができる。また、中間層13にNi層及びTi層のうちの少なくとも1層を含むようにすれば、はんだに含まれるSn原子が下地層12に侵入することを抑制し、他部材接合部11Cと下地層12との密着力の劣化を抑制することができる。
【0042】
加えてまた、下地層12のリニアインターセプト法による平均粒子径を好ましくは40nm以上80nm以下の範囲内とし、中間層13のリニアインターセプト法による平均粒子径を好ましくは50nm以上70nm以下の範囲内とし、表面層14のリニアインターセプト法による平均粒子径を好ましくは50nm以上70nm以下の範囲内とすることで、適度な空隙が入り、ヤング率を所定の範囲内に低下させることができるので、各層が変形しやすくなり、成膜時に発生した内部応力を緩和することができる。
【0043】
(第2の実施の形態)
図3は、第2の実施の形態に係るシリカ部材であるLED用キャップ30の構成を表すものであり、(A)は断面構成を表し、(B)は下側から見た構成を表している。このLED用キャップ30は、第1の実施の形態において説明したLED用レンズ10とは本体部31の形状が異なることを除き、他は同一の構成を有している。よって、同一の構成要素には同一の符号を付すと共に、対応する構成要素には十の位を“3”に変えた符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0044】
本体部31は、シリカガラスからなり、例えば、一端封止円筒状のキャップ部31Aと、キャップ部31Aの開口端部に設けられたフランジ部31Bとを有している。このフランジ部31Bは、第1の実施の形態におけるフランジ部11Bに対応するものであり、第1の実施の形態と同様に、基本部材22の段差部24に配設され、フランジ部31Bの底面と段差部24の上面とが接合される(
図2参照)。すなわち、このLED用キャップ30では、フランジ部31Bの底面が、他部材である基本部材22に対する他部材接合部31Cとなっている。LED用キャップ30のフランジ部31Bの底面、すなわち、他部材接合部31Cには、第1の実施の形態と同様に、本体部31の側から順に、下地層12、中間層13、及び、Auよりなる表面層14が設けられている。
図3(B)において、下地層12、中間層13、及び、表面層14が設けられている領域には梨地を付して示している。
【0045】
このLED用キャップ30は、第1の実施の形態において説明したLED用レンズ10と同様にして製造することができ、同様にして用いられる。また、同様の効果を得ることができる。
【実施例0046】
(実施例1)
図1に示したようなLED用レンズ10を作製した。まず、シリカ粉をゲルキャスト法により成形して焼成し、レンズ径φ3mm、レンズ高さ1.5mmの半球体状のレンズ部11Aと、フランジ径3.5×3.5mm、フランジ厚0.5mmの四角形のフランジ部11Bとを有するシリカガラス製の本体部11を作製した。次いで、フランジ部11Bの底面に、下地層12として厚み50nmのCr層、中間層13として厚み150nmのNi層、表面層14として厚み300nmのAu層をこの順に成膜した。下地層12、中間層13、及び、表面層14の成膜は、スパッタリング装置により、圧力条件を1Pa~3Pa、投入パワーを120W~160Wの範囲から適宜設定し行った。続いて、フランジ部11Bの底面に成膜した下地層12、中間層13、及び、表面層14の上に感光性レジストを塗布し、フォトリソ法にて、外径3.3mm×3.3mm、内径2.7mm×2.7mmの枠状のパターンに成形した。
【0047】
作製したLED用レンズ10について、下地層12、中間層13、及び、表面層14の空隙率を測定した。測定には、(株)日立ハイテク製のFE-SEM装置(S-4800)を用い、印圧5kV、10万倍の拡大率で各層の表面の画像を撮影した。空隙率(%)は、撮影した画像をプログラミング言語のPythonを用いて、画像処理モジュールのOpenCVにより空隙部分の2値化を行い、空隙部分の総面積を全体面積で割り100を掛けて算出した。その際、コントラストが大きく変化する部分を気孔として判断した。また、中間層13の表面を撮影する時には、表面層14を薬液がAURUM-314(関東化学(株)製)、温度は常温、時間5分間の条件でエッチングして、中間層13が最表面になるようにしてから撮影した。下地層12の表面を撮影する時には、表面層14を上述したようにエッチング除去したのち、中間層13を薬液が混酸Cu-02(関東化学(株)製)、温度は常温、時間10分間の条件でエッチングして下地層12が最表面になるようにしてから撮影した。
【0048】
図4に、下地層12の(A)SEM画像、(B)処理画像、(C)空隙部分の画像を示す。
図5に、中間層13の(A)SEM画像、(B)処理画像、(C)空隙部分の画像を示す。
図6に、表面層14の(A)SEM画像、(B)処理画像、(C)空隙部分の画像を示す。
図4から
図6に示したように、下地層12、中間層13、及び、表面層14には、それぞれ空隙があることが確認された。また、空隙率は、下地層12が9.5%、中間層13が4.6%、表面層14が0.2%であった。
【0049】
また、下地層12、中間層13、及び、表面層14のリニアインターセプト法による平均粒子径を測定した。測定には、(株)日立ハイテク製のFE-SEM装置(S-4800)を用い、各層の上面を撮影して、ISO13383-1:2012に準拠して算出した。その結果、リニアインターセプト法による平均粒子径は、下地層12が63nm、中間層13が58nm、表面層14が62nmであった。
【0050】
更に、下地層12、中間層13、及び、表面層14のヤング率を測定した。測定は、各層の上面にパルスレーザー(波長337nm)を照射して励起された表面弾性波を圧電素子で測定し、分散曲線からヤング率を計算する表面弾性波法(DIN(ドイツ規格協会)規格50992-1に準拠)により行った。その結果、下地層12のヤング率は下地層12を構成する材料であるCrのバルクにおけるヤング率の50%であり、中間層13のヤング率は中間層13を構成する材料であるNiのバルクにおけるヤング率の60%であり、表面層14のヤング率は40Gpaであった。
【0051】
次に、
図2に示したような窒化アルミニウム製の基本部材22を用意した。基本部材22の段差部24には、Auよりなる第1層を表面に有し、第1層と段差部24との間にNi層を有するメタライズ層26が形成されている。その後、外径3.2mm×3.2mm、内径2.8mm×2.8mm、厚み20μmの枠状のAuSnはんだを、本体部11のフランジ部11Bと基本部材22の段差部24との間に挿入し、温度300℃、圧力0.5MPa、30秒間のプレス条件下で接合し、LED装置20を得た。LED装置20を10個作製したところ、10個全てについてLED用レンズ10に破損は見られなかった。また、LED装置20の気密性、すなわち、本体部11と基本部材22との密着性を確認するために、フロリナート試験(一般的には、グロスリーク試験)をしたところ、10個全てについてリークは見られずに気密性が保たれていることを確認した。
なお、前記フロリナート試験とは、MIL規格(MIL-STD-883)に規定された気密性の試験方法に準じるものであり、容器中に、沸点が高く粘性の低いフロリナート(FLORINERT:米国スリーエム社商標)と称するフロン系液体を貯留し、125℃に加熱したフロリナート中に試料を1分間浸漬し試料から発生する気泡リークの有無を観察することで前記気密性を評価するものである。
【0052】
(比較例1)
実施例1と同様にして本体部11を作製したのち、フランジ部11Bの底面に、真空蒸着装置にて、下地層12として空隙率が0.1%のCr層、中間層13として空隙率が0.1%のNi層、表面層14として空隙率が0.05%のAu層をこの順に成膜し、実施例1と同様にして枠状のパターンに成形した。各層の厚みは実施例1と同一とし、各層の空隙率は実施例1と同様にして測定した。次いで、実施例1と同様にして、作製したLED用レンズ10と窒化アルミニウム製の基本部材22とを接合し、LED装置20を作製した。LED装置20を10個作製したところ、10個中8個についてフランジ部11Bの外径から亀裂が入っており、破損が見られた。
【0053】
(比較例2)
実施例1と同様にして本体部11を作製したのち、フランジ部11Bの底面に、スパッタリング装置にて、下地層12としてCr層、中間層13としてNi層、表面層14としてAu層をこの順に実施例1と同一の厚みで成膜し、実施例1と同様にして枠状のパターンに成形した。その際、スパッタリング装置の圧力を上げると共に、出力を下げることにより、各層の空隙率を高くした。各層の空隙率を実施例1と同様にして測定したところ、下地層12が25%、中間層13が25%、表面層14が5%であった。次いで、実施例1と同様にして、作製したLED用レンズ10と窒化アルミニウム製の基本部材22とを接合し、LED装置20を作製した。LED装置20を10個作製したところ、10個全てについてLED用レンズ10に破損は見られなかった。また、LED装置20の気密性、すなわち、本体部11と基本部材22との密着性をフロリナート試験で確認したところ、10個中6個についてリークが見られた。リークが見られたLED装置20について手で引っ張ったところ、LED用レンズ10と基本部材22とが容易に剥離した。また、残りの4個のLED装置20についても使用試験を行ったところ、使用中にLED用レンズ10が基本部材22から剥離した。すなわち、接合状態が悪いことが分かった。
【0054】
(実施例1と比較例1,2との比較)
実施例1、比較例1、比較例2の結果から、下地層12及び中間層13の空隙率が小さいと、応力を十分に緩和することができず、LED用レンズ10が破損してしまうことが分かった。また、下地層12及び中間層13の空隙率が大きいと、LED用レンズ10と基本部材22とを高い気密性で良好に接合することができないことが分かった。
【0055】
(比較例3)
実施例1と同様にして、本体部11を作製し、フランジ部11Bの底面に下地層12、中間層13、及び、表面層14を成膜し、枠状のパターンに成形した。その際、下地層12の厚みを300nm、中間層13の厚みを500nm、表面層14の厚みを800nmとした。各層の空隙率は実施例1と同様である。次いで、実施例1と同様にして、作製したLED用レンズ10と窒化アルミニウム製の基本部材22とを接合し、LED装置20を作製した。LED装置20を10個作製したところ、10個中7個についてフランジ部11Bの外径から亀裂が入っており、破損が見られた。
【0056】
(比較例4)
実施例1と同様にして、本体部11を作製し、フランジ部11Bの底面に下地層12、中間層13、及び、表面層14を成膜し、枠状のパターンに成形した。その際、下地層12の厚みを10nm、中間層13の厚みを50nm、表面層14の厚みを100nmとした。各層の空隙率は実施例1と同様である。次いで、実施例1と同様にして、作製したLED用レンズ10と窒化アルミニウム製の基本部材22とを接合し、LED装置20を作製した。LED装置20を10個作製したところ、10個全てについてLED用レンズ10に破損は見られなかった。また、LED装置20の気密性、すなわち、本体部11と基本部材22との密着性をフロリナート試験で確認したところ、10個中10個についてリークが見られた。リークが見られたLED装置20について手で引っ張ったところ、LED用レンズ10と基本部材22とが容易に剥離し、接合状態が悪いことが分かった。
【0057】
(実施例1と比較例3,4との比較)
実施例1および比較例3、比較例4の結果から、下地層12、中間層13、及び、表面層14の厚みが厚いと、応力を十分に緩和することができず、LED用レンズ10が破損してしまうことが分かった。また、下地層12、中間層13、及び、表面層14の厚みが薄いと、LED用レンズ10と基本部材22とを高い気密性で良好に接合することができないことが分かった。
【0058】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態では、シリカ部材として、光源用部材であるLED用レンズ10及びLED用キャップ30を挙げて説明したが、他の光源用部材についても適用することができる。また、光源用部材に限らず、光学機器用の光学窓や水晶振動子のリッドなどの他のシリカ部材についても適用することができる。
【0059】
更に、上記実施の形態では、LED用レンズ10及びLED用キャップ30の構成について具体的に説明したが、他の構成を有していてもよい。例えば、上記実施の形態及び実施例では、フランジ部11B,31Bの外周形状が正方形の場合について説明したが、円形でもよく、正方形以外の多角形でもよい。また、フランジ部11B,31Bは設けられていなくてもよい。その場合には、例えば、レンズ部11Aの平面部の周縁部や、キャップ部31Aの開口端部を他部材接合部11C,31Cとすることができる。更に、上記実施の形態及び実施例では、レンズ部11の形状が半球状の場合について説明したが、非球面や半長球状等、半球(球面)以外の形状であってもよい。
【0060】
加えて、上記実施の形態及び実施例では、基本部材22の構成について具体的に説明したが、他の構成を有していてもよい。例えば、上記実施の形態及び実施例では、平板の一面にLED21を配設する凹部23が設けられた場合について説明したが、凹部23が形成されていない平板の上にLED21を配設するようにしてもよく、また、筐体状としてもよい。
10…LED用レンズ、11…本体部、11A…レンズ部、11B…フランジ部、11C…他部材接合部、12…下地層、13…中間層、14…表面層、20…LED装置、21…LED、22…基本部材、23…凹部、24…段差部、25…はんだ層、26…メタライズ層、30…LED用キャップ、31…本体部、31A…キャップ部、31B…フランジ部、31C…他部材接合部