(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022103145
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】高分子化合物、銀塩およびイオン性等張化剤を含有する水性点眼液
(51)【国際特許分類】
A61K 33/38 20060101AFI20220630BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20220630BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20220630BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20220630BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20220630BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20220630BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220630BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20220630BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
A61K33/38
A61K47/38
A61K47/36
A61K47/32
A61K47/04
A61K47/02
A61K45/00
A61P27/02
A61K9/08
【審査請求】有
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021210805
(22)【出願日】2021-12-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-05-13
(31)【優先権主張番号】P 2020215954
(32)【優先日】2020-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000177634
【氏名又は名称】参天製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100158414
【弁理士】
【氏名又は名称】秦野 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100191710
【弁理士】
【氏名又は名称】馬渡 洋介
(72)【発明者】
【氏名】桃川 雄介
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 洋子
(72)【発明者】
【氏名】浅田 博之
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076AA12
4C076BB24
4C076CC10
4C076DD22D
4C076DD23D
4C076DD26
4C076DD49
4C076EE16
4C076EE30
4C076EE31
4C076EE32
4C076EE33
4C076FF36
4C084AA19
4C084MA16
4C084MA17
4C084MA58
4C084NA03
4C084NA05
4C084ZA331
4C084ZA332
4C086AA01
4C086AA02
4C086HA01
4C086HA15
4C086HA16
4C086HA17
4C086HA20
4C086HA21
4C086HA24
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA58
4C086NA03
4C086NA05
4C086ZA33
(57)【要約】
【課題】銀塩とイオン性等張化剤とを含有する水性点眼液において、安定な水性点眼液を提供する。
【解決手段】セルロース系高分子化合物、ヒアルロン酸またはその塩およびポリビニルピロリドンの少なくとも1種の高分子化合物、銀塩およびイオン性等張化剤を含有する水性点眼液。銀塩およびイオン性等張化剤を含有する水性点眼液に、ポリビニルピロリドン、セルロース系高分子化合物、またはヒアルロン酸もしくはその塩を添加することを特徴とする、水性点眼液の安定化方法。銀塩およびイオン性等張化剤を含有する水性点眼液に、ポリビニルピロリドン、セルロース系高分子化合物、またはヒアルロン酸もしくはその塩を添加することを特徴とする、水性点眼液の白濁化を抑制する方法。銀塩およびイオン性等張化剤を含有する水性点眼液に、ポリビニルピロリドン、セルロース系高分子化合物、またはヒアルロン酸もしくはその塩を添加することを特徴とする、銀塩の安定化方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)セルロース系高分子化合物、ヒアルロン酸またはその塩およびポリビニルピロリドンからなる群より選択される少なくとも1種の高分子化合物、
(B)銀塩および
(C)イオン性等張化剤を含有する水性点眼液。
【請求項2】
上記(A)における成分が、セルロース系高分子化合物である、請求項1に記載の水性点眼液。
【請求項3】
セルロース系高分子化合物が、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、カルボキシメチルエチルセルロースおよび酢酸フタル酸セルロースからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1または2に記載の水性点眼液。
【請求項4】
セルロース系高分子化合物が、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1~3のいずれか1項に記載の水性点眼液。
【請求項5】
上記(A)における成分が、ヒアルロン酸またはその塩である、請求項1に記載の水性点眼液。
【請求項6】
上記(A)における成分が、ポリビニルピロリドンである、請求項1に記載の水性点眼液。
【請求項7】
ポリビニルピロリドン、銀塩およびイオン性等張化剤を含有する水性点眼液。
【請求項8】
銀塩が、硝酸銀、硫酸銀、塩化銀、臭化銀、酸化銀、酢酸銀、炭酸銀、クエン酸銀、乳酸銀、リン酸銀、シュウ酸銀、チオ硫酸銀およびプロテイン銀からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1または7に記載の水性点眼液。
【請求項9】
銀塩が硝酸銀である、請求項1、7または8に記載の水性点眼液。
【請求項10】
イオン性等張化剤が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、ホウ酸およびホウ砂からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1または7に記載の水性点眼液。
【請求項11】
イオン性等張化剤が塩化ナトリウムである、請求項1、7または10に記載の水性点眼液。
【請求項12】
水性点眼液のpHが6~8の範囲である、請求項1~11のいずれか1項に記載の水性点眼液。
【請求項13】
さらに有効成分を含有する、請求項1~12のいずれか1項に記載の水性点眼液。
【請求項14】
水性点眼液が安定化されていることを特徴とする、請求項1~13のいずれか1項に記載の水性点眼液。
【請求項15】
水性点眼液の白濁化が抑制されていることを特徴とする、請求項1~14のいずれか1項に記載の水性点眼液。
【請求項16】
銀塩が安定化されていることを特徴とする、請求項1~15のいずれか1項に記載の水性点眼液。
【請求項17】
銀塩およびイオン性等張化剤を含有する水性点眼液に、ポリビニルピロリドンを添加することを特徴とする、水性点眼液の安定化方法。
【請求項18】
銀塩およびイオン性等張化剤を含有する水性点眼液に、ポリビニルピロリドンを添加することを特徴とする、水性点眼液の白濁化を抑制する方法。
【請求項19】
銀塩およびイオン性等張化剤を含有する水性点眼液に、ポリビニルピロリドンを添加することを特徴とする、銀塩の安定化方法。
【請求項20】
高分子化合物、銀塩およびイオン性等張化剤を含有する水性点眼液。
【請求項21】
銀塩およびイオン性等張化剤を含有する水性点眼液に、セルロース系高分子化合物を添加することを特徴とする、水性点眼液の安定化方法。
【請求項22】
銀塩およびイオン性等張化剤を含有する水性点眼液に、セルロース系高分子化合物を添加することを特徴とする、水性点眼液の白濁化を抑制する方法。
【請求項23】
銀塩およびイオン性等張化剤を含有する水性点眼液に、セルロース系高分子化合物を添加することを特徴とする、銀塩の安定化方法。
【請求項24】
銀塩およびイオン性等張化剤を含有する水性点眼液に、ヒアルロン酸またはその塩を添加することを特徴とする、水性点眼液の安定化方法。
【請求項25】
銀塩およびイオン性等張化剤を含有する水性点眼液に、ヒアルロン酸またはその塩を添加することを特徴とする、水性点眼液の白濁化を抑制する方法。
【請求項26】
銀塩およびイオン性等張化剤を含有する水性点眼液に、ヒアルロン酸またはその塩を添加することを特徴とする、銀塩の安定化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロース系高分子化合物、ヒアルロン酸またはその塩およびポリビニルピロリドンからなる群より選択される少なくとも1種の高分子化合物、銀塩およびイオン性等張化剤を含有する水性点眼液に関する。本発明は、ポリビニルピロリドン、銀塩およびイオン性等張化剤を含有する水性点眼液にも関する。以下、これらの水性点眼液を「本点眼液」ともいう。また、本発明は、水性点眼液の安定化方法、水性点眼液の白濁化を抑制する方法、銀塩の安定化方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
点眼液には、開封後一定期間にわたり何回も使用するタイプ(マルチドーズ型点眼液)と1回使い切りタイプ(ユニットドーズ型点眼液)がある。特に、マルチドーズ型点眼液には、使用時の微生物汚染等による製品の腐敗を防止し、点眼液の保存安定性を確保するために、防腐剤が含まれることが一般的である。点眼液の防腐剤としては、塩化ベンザルコニウムやクロルヘキシジングルコン酸塩などが使用されている。また、点眼液の防腐剤は塩化ベンザルコニウムなどの他にも複数存在する。例えば、特表2016-507469号公報(特許文献1)には、ジフルプレドナートおよび抗菌性金属を含有するエマルション組成物が開示されており、抗菌性金属として銀塩が例示されている他、当該エマルション組成物を眼科用組成物とすることができることも記載されている。
【0003】
また、点眼液には有効成分や上述の防腐剤以外にも必要に応じて様々な添加剤が配合されている。例えば、涙液の生理的な状態に近い浸透圧に合わせるために等張化剤が用いられる。等張化剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどのイオン性等張化剤やマンニトール、濃グリセリンなどの非イオン性等張化剤が知られている。これら有効成分、添加剤を配合して点眼液は調製されるが、一般的に有効成分が水に溶けやすい場合は水性点眼液として調製され、有効成分が水に溶けにくい場合は懸濁性点眼液として調製されている。特に、水性点眼液においては、不溶性の異物を含まないことが要求され、溶液の白濁はたとえわずかなものであっても無視できない。よって、水性点眼液の調製にあたっては、溶液中に白濁を形成しないことが強く望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、銀塩とイオン性等張化剤とを含有する水性点眼液において、安定な水性点眼液を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、銀塩とイオン性等張化剤が共存すると水性点眼液の調製時において白濁が生じるという課題を見出した。また、水性点眼液における銀イオンの溶解濃度が低下するという課題も見出した。水性点眼液中の白濁化を抑制し、水性点眼液中に含有される銀塩を安定化させる方法を鋭意検討した結果、驚くべきことに、高分子化合物、特にセルロース系高分子化合物、ヒアルロン酸またはその塩およびポリビニルピロリドンからなる群より選択される少なくとも1種の高分子化合物が水性点眼液の白濁化を抑制し、また、水性点眼液中に含有される銀塩を安定化することも見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、以下を提供する。
【0008】
(1)(A)セルロース系高分子化合物、ヒアルロン酸またはその塩およびポリビニルピロリドンからなる群より選択される少なくとも1種の高分子化合物、
(B)銀塩および
(C)イオン性等張化剤を含有する水性点眼液。
【0009】
(2)上記(A)における成分が、セルロース系高分子化合物である、(1)に記載の水性点眼液。
【0010】
(3)セルロース系高分子化合物が、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、カルボキシメチルエチルセルロースおよび酢酸フタル酸セルロースからなる群より選択される少なくとも1種である、(1)または(2)に記載の水性点眼液。
【0011】
(4)セルロース系高分子化合物が、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群より選択される少なくとも1種である、(1)~(3)のいずれか1に記載の水性点眼液。
【0012】
(5)上記(A)における成分が、ヒアルロン酸またはその塩である、(1)に記載の水性点眼液。
【0013】
(6)上記(A)における成分が、ポリビニルピロリドンである、(1)に記載の水性点眼液。
【0014】
(7)ポリビニルピロリドン、銀塩およびイオン性等張化剤を含有する水性点眼液。
【0015】
(8)銀塩が、硝酸銀、硫酸銀、塩化銀、臭化銀、酸化銀、酢酸銀、炭酸銀、クエン酸銀、乳酸銀、リン酸銀、シュウ酸銀、チオ硫酸銀およびプロテイン銀からなる群から選択される少なくとも1種である、(1)または(7)に記載の水性点眼液。
【0016】
(9)銀塩が硝酸銀である、(1)、(7)または(8)に記載の水性点眼液。
【0017】
(10)イオン性等張化剤が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、ホウ酸およびホウ砂からなる群から選択される少なくとも1種である、(1)または(7)に記載の水性点眼液。
【0018】
(11)イオン性等張化剤が塩化ナトリウムである、(1)、(7)または(10)に記載の水性点眼液。
【0019】
(12)水性点眼液のpHが6~8の範囲である、(1)~(11)のいずれか1に記載の水性点眼液。
【0020】
(13)さらに有効成分を含有する、(1)~(12)のいずれか1に記載の水性点眼液。
【0021】
(14)水性点眼液が安定化されていることを特徴とする、(1)~(13)のいずれか(1)に記載の水性点眼液。
【0022】
(15)水性点眼液の白濁化が抑制されていることを特徴とする、(1)~(14)のいずれか1に記載の水性点眼液。
【0023】
(16)銀塩が安定化されていることを特徴とする、(1)~(15)のいずれか1に記載の水性点眼液。
【0024】
(17)銀塩およびイオン性等張化剤を含有する水性点眼液に、ポリビニルピロリドンを添加することを特徴とする、水性点眼液の安定化方法。
【0025】
(18)銀塩およびイオン性等張化剤を含有する水性点眼液に、ポリビニルピロリドンを添加することを特徴とする、水性点眼液の白濁化を抑制する方法。
【0026】
(19)銀塩およびイオン性等張化剤を含有する水性点眼液に、ポリビニルピロリドンを添加することを特徴とする、銀塩の安定化方法。
【0027】
(20)高分子化合物、銀塩およびイオン性等張化剤を含有する水性点眼液。
【0028】
(21)銀塩およびイオン性等張化剤を含有する水性点眼液に、セルロース系高分子化合物を添加することを特徴とする、水性点眼液の安定化方法。
【0029】
(22)銀塩およびイオン性等張化剤を含有する水性点眼液に、セルロース系高分子化合物を添加することを特徴とする、水性点眼液の白濁化を抑制する方法。
【0030】
(23)銀塩およびイオン性等張化剤を含有する水性点眼液に、セルロース系高分子化合物を添加することを特徴とする、銀塩の安定化方法。
【0031】
(24)銀塩およびイオン性等張化剤を含有する水性点眼液に、ヒアルロン酸またはその塩を添加することを特徴とする、水性点眼液の安定化方法。
【0032】
(25)銀塩およびイオン性等張化剤を含有する水性点眼液に、ヒアルロン酸またはその塩を添加することを特徴とする、水性点眼液の白濁化を抑制する方法。
【0033】
(26)銀塩およびイオン性等張化剤を含有する水性点眼液に、ヒアルロン酸またはその塩を添加することを特徴とする、銀塩の安定化方法。
【0034】
なお、前記(1)~(26)の各構成は、任意に2つ以上を選択して組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、銀塩およびイオン性等張化剤を含有する水性点眼液であっても白濁化せず、澄明な水性点眼液を得ることができる。また、水性点眼液中に含有される銀塩を安定化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下に、本発明に関してさらに詳しく説明する。
【0037】
本発明において、「水性点眼液」とは水を溶媒(基剤)とする点眼液を意味する。本発明における水性点眼液は水を溶媒(基剤)とする点眼液であれば、特に限定されない。例えば、溶解型の水性点眼液や懸濁型の水性点眼液などが挙げられる。溶解型の水性点眼液の外観は澄明であり、無色澄明であることが好ましい。本発明における水性点眼液の一態様は、溶解型の水性点眼液であり、懸濁型の水性点眼液を含まない。本発明における水性点眼液の他の態様は、懸濁型の水性点眼液であり、溶解型の水性点眼液を含まない。ここで点眼液とは点眼剤または点眼薬と同義であり、コンタクトレンズ用点眼液も点眼液の定義に含まれる。
【0038】
本明細書において、「%(w/v)」は、本発明の水性点眼液100mL中に含まれる対象成分の質量(g)を意味する。
【0039】
本点眼液は、高分子化合物を含有する。高分子化合物の例としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロースなどのセルロース系高分子化合物;ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマーなどのポリビニル系高分子化合物;キサンタンガム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアレインまたはその塩(具体的には、ヒアルロン酸ナトリウム)などの天然高分子化合物;ポリエチレングリコールなどの合成高分子化合物等が挙げられるが、ポリビニル系高分子化合物が好ましく、ポリビニルピロリドンが特に好ましい。なお、ポリビニルピロリドンとは、N-ビニル-2-ピロリドンが重合した高分子化合物を意味し、ポビドンとも呼ばれる。
【0040】
本点眼液に含有される高分子化合物は1種単独でもよく、また2種以上の高分子化合物を任意に組み合わせて使用してもよい。
【0041】
本点眼液に含有される高分子化合物の濃度は、特に限定されるものではないが、例えば、0.001~10%(w/v)が好ましく、0.01~10%(w/v)がより好ましく、0.05~10%(w/v)がさらに好ましく、0.1~10%(w/v)がよりさらに好ましく、0.1~5%(w/v)がことさら好ましく、0.1~1%(w/v)が特に好ましく、0.1~0.5%(w/v)がより特に好ましい。
【0042】
本点眼液に含有されるセルロース系高分子化合物の濃度は、特に限定されるものではないが、例えば、0.001~10%(w/v)が好ましく、0.01~10%(w/v)がより好ましく、0.05~10%(w/v)がさらに好ましく、0.1~10%(w/v)がよりさらに好ましく、0.1~5%(w/v)がことさら好ましく、0.1~1%(w/v)が特に好ましく、0.1~0.5%(w/v)がより特に好ましい。
【0043】
本点眼液に含有されるヒドロキシプロピルセルロースの濃度は、特に限定されるものではないが、例えば、0.001~10%(w/v)が好ましく、0.01~10%(w/v)がより好ましく、0.05~10%(w/v)がさらに好ましく、0.1~10%(w/v)がよりさらに好ましく、0.1~5%(w/v)がことさら好ましく、0.1~1%(w/v)が特に好ましく、0.1~0.5%(w/v)がより特に好ましい。
【0044】
本点眼液に含有されるポリビニルピロリドンのK値は17以上であることが好ましいが、17~120であることがより好ましく、25~120であることがさらに好ましく、30~120が特に好ましい。
【0045】
本発明において、「ポリビニルピロリドン」の例としては、ポリビニルピロリドンK15(PVP K15)、ポリビニルピロリドンK17(PVP K17)、ポリビニルピロリドンK25(PVP K25)、ポリビニルピロリドンK30(PVP K30)、ポリビニルピロリドンK40(PVP K40)、ポリビニルピロリドンK50(PVP K50)、ポリビニルピロリドンK60(PVP K60)、ポリビニルピロリドンK70(PVP K70)、ポリビニルピロリドンK80(PVP K80)、ポリビニルピロリドンK85(PVP K85)、ポリビニルピロリドンK90(PVP K90)、ポリビニルピロリドンK120(PVP K120)などが挙げられる。
【0046】
なお、ポリビニルピロリドンのK値は、分子量と相関する粘性特性値で、毛細管粘度計により測定される相対粘度値(25℃)を下記のFikentscherの式(1)に適用して計算される数値である。
【0047】
【0048】
式(1)中、ηrelは、ポリビニルピロリドン水溶液の水に対する相対粘度、cは、ポリビニルピロリドン水溶液中のポリビニルピロリドン濃度(%)である。
【0049】
ここで、K値は、第十七改正日本薬局方「ポビドン」のK値に関する記載に準じて、表示K値の90~108%であることから、例えば、「K30」とは、上記の式(1)を適用して算出される粘性特性値(K値)が27~32.4の範囲にあることをいい、「K90」とは、上記の式(1)を適用して算出される粘性特性値(K値)が81~97.2の範囲にあるものをいう。
【0050】
本点眼液に含有されるポリビニルピロリドンは1種単独でもよく、またK値の異なる2種以上のポリビニルピロリドンを任意に組み合わせて使用してもよい。
【0051】
本点眼液に含有されるポリビニルピロリドンの濃度は、特に限定されるものではないが、例えば、0.001~10%(w/v)が好ましく、0.01~10%(w/v)がより好ましく、0.05~10%(w/v)がさらに好ましく、0.1~10%(w/v)がよりさらに好ましく、0.1~5%(w/v)がことさら好ましく、1~5%(w/v)が特に好ましい。
【0052】
本点眼液に含有されるヒアレイン酸またはその塩の濃度は、特に限定されるものではないが、例えば、0.001~1%(w/v)が好ましく、0.01~1%(w/v)がより好ましく、0.05~0.5%(w/v)がさらに好ましく、0.1~0.5%(w/v)が特に好ましい。
【0053】
本発明において、銀塩としては、例えば、硝酸銀、硫酸銀、塩化銀、臭化銀、酸化銀、酢酸銀、炭酸銀、クエン酸銀、乳酸銀、リン酸銀、シュウ酸銀、チオ硫酸銀、プロテイン銀などが挙げられるが、好ましくは硝酸銀が挙げられる。
【0054】
本点眼液に含有される銀塩の濃度は、特に限定されるものではないが、その下限値としては、例えば、0.00000001%(w/v)以上、0.0000001%(w/v)以上、0.000001%(w/v)以上、0.0000025%(w/v)以上、0.000004%(w/v)以上、0.000005%(w/v)以上、0.000008%(w/v)以上、0.00001%(w/v)以上、0.000016%(w/v)以上、0.000025%(w/v)以上、0.00004%(w/v)以上、0.00005%(w/v)以上、0.00008%(w/v)以上、または0.0001%(w/v)以上が好ましい。また、その上限値としては、例えば、1%(w/v)以下、0.5%(w/v)以下、0.1%(w/v)以下、0.05%(w/v)以下、0.01%(w/v)以下、0.005%(w/v)以下、または0.001%(w/v)以下が好ましい。
【0055】
本点眼液に含有される銀塩の濃度範囲は、特に限定されるものではないが、例えば、0.00000001~1%(w/v)であり、0.0000001~0.01%(w/v)であることが好ましく、0.000001~0.001%(w/v)であることがより好ましく、0.000003~0.0003%(w/v)であることがさらに好ましく、0.00001~0.0001%(w/v)であることがことさら好ましく、0.0001~0.001%(w/v)であることが特に好ましい。
【0056】
本発明において、イオン性等張化剤としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、ホウ酸、ホウ砂などが挙げられるが、好ましくは塩化ナトリウム、塩化カリウム、より好ましくは塩化ナトリウムが挙げられる。
【0057】
本点眼液に含有されるイオン性等張化剤の濃度は、本点眼液を等張化する量であれば特に制限はないが、例えば、0.1~0.9%(w/v)のイオン性等張化剤を本点眼液に添加することができる。
【0058】
本点眼液には、上記に挙げた成分の他にも必要に応じて製薬学的に許容される添加剤を汎用されている技術を用いて適宜添加することができる。例えば、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素ナトリウム水和物、リン酸二水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、イプシロン-アミノカプロン酸などの緩衝化剤;濃グリセリン、マンニトールなどの非イオン性等張化剤;ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ステアリン酸ポリオキシル40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などの界面活性剤;クエン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム水和物、エデト酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム水和物などの安定化剤;塩化ベンザルコニウム、クロルヘキシジングルコン酸塩などの防腐剤等を必要に応じて選択し、添加することができる。
【0059】
本点眼液のpHは眼科製剤に許容される範囲内にあればよいが、通常pH4~8の範囲内が好ましく、pH6~8の範囲がより好ましく、pH7付近が特に好ましい。より具体的には、例えば、pH6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、および8.0が好ましい。本点眼液には、適宜、塩酸や水酸化ナトリウムなどのpH調節剤を添加することができる。
【0060】
本点眼液は、気密容器、具体的には、点眼容器に充填されて保存することができる。本組成物が充填される点眼容器としては、例えば、「マルチドーズ型点眼容器」が挙げられる。
【0061】
本発明において、「マルチドーズ型点眼容器」とは、容器本体と当該容器本体に装着可能なキャップを備えた点眼容器であって、キャップの開封、再封を自由に行うことができる点眼容器のことをいう。当該マルチドーズ型点眼容器には、通常一定期間使用するために複数回分の点眼液が収容されている。また、マルチドーズ型点眼容器に充填される本点眼液の充填量は、例えば、1~20mLが好ましく、1~15mLがより好ましく、1~10mLがさらに好ましく、2.5~10mLがよりさらに好ましく、5mLが特に好ましい。
【0062】
本発明において、「眼科医薬用製品」とは、本点眼液が点眼容器に充填された眼科医薬用の製品のことをいう。ここで、「眼科医薬用製品」としては、例えば、点眼剤の製品が挙げられる。なお、本発明の「眼科医薬用製品」における各用語の定義は、本点眼液における各用語の定義と同様である。
【0063】
本点眼液には、有効成分を含有させることができる。本点眼液に含有される有効成分(以下、単に「本有効成分」ともいう)の例としては、ドライアイ・角膜疾患治療薬、抗アレルギー薬、ステロイド系抗炎症薬、非ステロイド性抗炎症薬、眼圧下降薬、抗ウイルス薬、抗菌薬などが挙げられる。
【0064】
本有効成分の塩としては、医薬として許容される塩であれば特に制限はなく、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などの無機酸との塩、酢酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、アジピン酸、グルコン酸、グルコヘプト酸、グルクロン酸、テレフタル酸、メタンスルホン酸、乳酸、馬尿酸、1,2-エタンジスルホン酸、イセチオン酸、ラクトビオン酸、オレイン酸、パモ酸、ポリガラクツロン酸、ステアリン酸、タンニン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、硫酸ラウリルエステル、硫酸メチル、ナフタレンスルホン酸、スルホサリチル酸などの有機酸との塩;臭化メチル、ヨウ化メチルなどとの四級アンモニウム塩;臭素イオン、塩素イオン、ヨウ素イオンなどのハロゲンイオンとの塩;リチウム、ナトリ
ウム、カリウムなどのアルカリ金属との塩;カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属との塩;鉄、亜鉛などとの金属塩;アンモニアとの塩;トリエチレンジアミン、2-アミノエタノール、2,2-イミノビス(エタノール)、1-デオキシ-1-(メチルアミノ)-2-D-ソルビトール、2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール、プロカイン、N,N-ビス(フェニルメチル)-1,2-エタンジアミンなどの有機アミンとの塩などが挙げられる。
【0065】
本発明において、本有効成分の水和物などの溶媒和物は、本有効成分の塩に含まれる。
【0066】
本発明において、本有効成分またはそれらの塩に幾何異性体または光学異性体が存在する場合は、当該異性体またはそれらの塩も本発明の範囲に含まれる。また、本有効成分またはそれらの塩にプロトン互変異性が存在する場合には、当該互変異性体またはそれらの塩も本発明の範囲に含まれる。
【0067】
本発明において、本有効成分またはそれらの塩に結晶多形および結晶多形群(結晶多形システム)が存在する場合には、それらの結晶多形体および結晶多形群(結晶多形システム)も本発明の範囲に含まれる。ここで、結晶多形群(結晶多形システム)とは、それら結晶の製造、晶出、保存などの条件および状態(なお、本状態には製剤化した状態も含む)により、結晶形が変化する場合の各段階における個々の結晶形およびその過程全体を意味する。
【0068】
本有効成分であるドライアイ・角膜疾患治療薬の具体例としては、ジクアホソル、レバミピドまたはそれらの塩が挙げられる。
【0069】
本有効成分であって、上記に列挙されたもの以外の例としては、シロリムスまたはその塩などが挙げられる。
【0070】
ジクアホソルは、下記化学構造式で示される化合物である。
【0071】
【0072】
「ジクアホソルの塩」としては、医薬として許容される塩であれば特に制限はなく、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛などとの金属塩;塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などの無機酸との塩;酢酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、アジピン酸、グルコン酸、グルコヘプト酸、グルクロン酸、テレフタル酸、メタンスルホン酸、乳酸、馬尿酸、1,2-エタンジスルホン酸、イセチオン酸、ラクトビオン酸、オレイン酸、パモ酸、ポリガラクツロン酸、ステアリン酸、タンニン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、硫酸ラウリルエステル、硫酸メチル、ナフタレンスルホン酸、スルホサリチル酸などの有機酸との塩;臭化メチル、ヨウ化メチルなどとの四級アンモニウム塩;臭素イオン、塩素イオン、ヨウ素イオンなどのハロゲンイオンとの塩;アンモニアとの塩;トリエチレンジアミン、2-アミノエタノール、2,2-イミノビス(エタノール)、1-デオキシ-1-(メチルアミノ)-2-D-ソルビトール、2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール、プロカイン、N,N-ビス(フェニルメチル)-1,2-エタンジアミンなどの有機アミンとの塩などが挙げられる。
【0073】
本発明において、「ジクアホソルまたはその塩」には、ジクアホソル(フリー体)またはその塩の水和物および有機溶媒和物も含まれる。
【0074】
ジクアホソルまたはその塩に、結晶多形および結晶多形群(結晶多形システム)が存在する場合には、それらの結晶多形体および結晶多形群(結晶多形システム)も本発明の範囲に含まれる。ここで、結晶多形群(結晶多形システム)とは、それらの結晶の製造、晶出、保存などの条件および状態により、結晶形が変化する場合の各段階における個々の結晶形およびその過程全体を意味する。
【0075】
本発明の「ジクアホソルまたはその塩」として好ましいのはジクアホソルのナトリウム塩であり、下記化学構造式で示されるジクアホソル四ナトリウム塩(以下、単に「ジクアホソルナトリウム」ともいう)が特に好ましい。
【0076】
【0077】
ジクアホソルまたはその塩については、特表2001-510484号公報に開示された方法などにより製造することができる。
【0078】
本点眼液はジクアホソルまたはその塩以外の有効成分を含有することもできるが、好ましくは、ジクアホソルまたはその塩を唯一の有効成分として含有することもできる。また、本点眼液の他の態様としては、有効成分としてジクアホソルまたはその塩を含まなくてもよい。
【0079】
本点眼液中のジクアホソルまたはその塩の濃度は、例えば、0.1~10%(w/v)であり、1~10%(w/v)であることが好ましく、1~5%(w/v)であることがより好ましく、3%(w/v)であることが特に好ましい。
【0080】
レバミピドは下記化学構造式で示される化合物である。
【0081】
【0082】
本発明において、「レバミピドまたはその塩」として好ましいのは、レバミピド(フリー体)である。
【0083】
本点眼液の一態様は、有効成分としてレバミピドまたはその塩を含んでもよいが、本点眼液の他の態様としては、有効成分としてレバミピドまたはその塩を含まなくてもよい。
【0084】
シロリムスは下記化学構造式で示される化合物である。
【0085】
【0086】
本発明において、「シロリムスまたはその塩」として好ましいのは、シロリムス(フリー体)である。
【0087】
本点眼液の一態様は、有効成分としてシロリムスまたはその塩を含んでもよいが、本点眼液の他の態様としては、有効成分としてシロリムスまたはその塩を含まなくてもよい。
【0088】
本点眼液の用法は、剤形、投与すべき患者の症状の軽重、年令、体重、医師の判断などに応じて適宜変えることができるが、例えば、剤形として点眼剤を選択した場合には、1日1~10回、好ましくは1日2~8回、より好ましくは1日3~6回に分けて眼局所に投与することができる。
【0089】
本点眼液は、ソフトコンタクトレンズ用として、ソフトコンタクトレンズ装着時にも使用することができる。ソフトコンタクトレンズとしては、例えば、ヒドロキシエチルメタクリレートを主成分とするコンタクトレンズまたはシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズなどが挙げられる。
【0090】
本点眼液の適用対象となるソフトコンタクトレンズの種類については特に制限されるものでなく、また、イオン性または非イオン性、含水性または非含水性の別を問わない。例えば、繰り返し使用されるレンズの他、1日使い捨て用レンズ、1週間使い捨て用レンズ、2週間使い捨て用レンズなどの現在市販されているまたは将来市販されるすべてのソフトコンタクトレンズに適用可能である。
【0091】
本発明の一態様は、銀塩およびイオン性等張化剤を含有する水性点眼液に、ポリビニルピロリドンを添加することを特徴とする、水性点眼液の安定化方法である。なお、上記本発明の水性点眼液の詳細な説明は、本発明の水性点眼液の安定化方法にも適用される。
【0092】
本発明の一態様は、銀塩およびイオン性等張化剤を含有する水性点眼液に、ポリビニルピロリドンを添加することを特徴とする、水性点眼液の白濁化を抑制する方法である。なお、上記本発明の水性点眼液の詳細な説明は、本発明の水性点眼液の白濁化を抑制する方法にも適用される。
【0093】
本発明の一態様は、銀塩およびイオン性等張化剤を含有する水性点眼液に、ポリビニルピロリドンを添加することを特徴とする、銀塩の安定化方法である。なお、上記本発明の水性点眼液の詳細な説明は、本発明の銀塩の安定化方法にも適用される。
【0094】
本発明の一態様は、銀塩およびイオン性等張化剤を含有する水性点眼液に、セルロース系高分子化合物を添加することを特徴とする、水性点眼液の安定化方法である。なお、上記本発明の水性点眼液の詳細な説明は、本発明の水性点眼液の安定化方法にも適用される。
【0095】
本発明の一態様は、銀塩およびイオン性等張化剤を含有する水性点眼液に、セルロース系高分子化合物を添加することを特徴とする、水性点眼液の白濁化を抑制する方法である。なお、上記本発明の水性点眼液の詳細な説明は、本発明の水性点眼液の白濁化を抑制する方法にも適用される。
【0096】
本発明の一態様は、銀塩およびイオン性等張化剤を含有する水性点眼液に、セルロース系高分子化合物を添加することを特徴とする、銀塩の安定化方法である。なお、上記本発明の水性点眼液の詳細な説明は、本発明の銀塩の安定化方法にも適用される。
【0097】
本発明の一態様は、銀塩およびイオン性等張化剤を含有する水性点眼液に、ヒアルロン酸またはその塩を添加することを特徴とする、水性点眼液の安定化方法である。なお、上記本発明の水性点眼液の詳細な説明は、本発明の水性点眼液の安定化方法にも適用される。
【0098】
本発明の一態様は、銀塩およびイオン性等張化剤を含有する水性点眼液に、ヒアルロン酸またはその塩を添加することを特徴とする、水性点眼液の白濁化を抑制する方法である。なお、上記本発明の水性点眼液の詳細な説明は、本発明の水性点眼液の白濁化を抑制する方法にも適用される。
【0099】
本発明の一態様は、銀塩およびイオン性等張化剤を含有する水性点眼液に、ヒアルロン酸またはその塩を添加することを特徴とする、銀塩の安定化方法である。なお、上記本発明の水性点眼液の詳細な説明は、本発明の銀塩の安定化方法にも適用される。
【0100】
本発明において、水性点眼液の安定化とは、水性点眼液が安定化されていることをいい、具体的には、後述の実施例でも示されるように、(1)水性点眼液の白濁化が抑制されていること、および/または(2)水性点眼液に含まれる銀塩が安定化されていることをいうが、好ましくは、(1)水性点眼液の白濁化が抑制されていること、かつ(2)水性点眼液に含まれる銀塩が安定化されていることをいう。なお、懸濁型の水性点眼液の場合、(2)水性点眼液に含まれる銀塩が安定化されている状態であっても水性点眼液が安定化されていることを指す。
【実施例0101】
以下に、試験例および製剤例を挙げて本発明を詳細に説明するが、これらの例は本発明をよりよく理解するためのものであり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【0102】
[試験例1]
(試料調製)
試料1:表1に示す処方表に従い、試料1を調製した。すなわち、硝酸銀3.2mgおよび塩化ナトリウム4.5gを水に溶解して1000mLとし試料1を調製した。
【0103】
試料2~4:試料1と同様にして、表1に示す処方表に従い、試料2~4を調製した。
【0104】
なお、pH調節剤が含まれる試料はpH7.5となるようにpHを調整し、pH調節剤が含まれない処方はpHを成り行きとした。
【0105】
【0106】
(試験方法)
試料1~4について、調製直後の溶液中の析出物の有無を目視で確認した。
【0107】
また、試料1~4について、低密度ポリエチレン(LDPE:Low Density Polyethylene)製点眼容器に5mLを充填し、1か月間遮光冷所下で保管した。保存後の試料をポリプロピレン製遠沈管に全量を回収し、遠心分離機を用いて15,000rpmで30分間の遠心処理を行った。その後、試料上清の銀イオン含有量を高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP-AES:Inductively Coupled Plasma Atomic Emission Spectroscopy)を用いて定量し、各試料中の銀イオン溶解濃度を測定した。
【0108】
(試験結果)
調製直後の溶液中の析出物の有無を目視で確認した結果を表2に示す。
【0109】
【0110】
試料中の銀イオン溶解濃度(ppb)を表3に示す。
【0111】
【0112】
表2から明らかなように、硝酸銀および塩化ナトリウムを含有する試料には白濁が認められた。さらに、EDTAまたはリン酸水素ナトリウムを含有していても白濁は認められた。一方、硝酸銀および塩化ナトリウムを含有する試料にポリビニルピロリドンを添加したところ、白濁は認められなかった。すなわち、驚くべきことに、硝酸銀および塩化ナトリウムによって生じる白濁をポリビニルピロリドンが抑制することが見いだされた。
【0113】
また、表3から明らかなように、銀イオンの溶解度に差異が認められた。すなわち、硝酸銀および塩化ナトリウムを含有する試料にポリビニルピロリドンを添加したところ(試料4)、試料1~3と比較して高い銀イオンが溶解していることが認められた。
【0114】
以上より、ポリビニルピロリドンが硝酸銀および塩化ナトリウムによって生じる白濁を抑制するとともに、添加された銀塩を安定化させることが示された。
【0115】
[試験例2]
(試料調製)
試料5:表4に示す処方表に従い、試料5を調製した。すなわち、硝酸銀3.2mg、塩化ナトリウム4.5gおよびヒドロキシプロピルセルロース5gを水に溶解して1000mLとし試料5を調製した。
【0116】
試料6~8:試料5と同様にして、表4に示す処方表に従い、試料6~8を調製した。
【0117】
なお、pH調節剤が含まれる試料はpH7.5となるようにpHを調整し、pH調節剤が含まれない処方はpHを成り行きとした。
【0118】
【0119】
(試験方法)
試料5~8について、低密度ポリエチレン(LDPE:Low Density Polyethylene)製点眼容器に5mLを充填し、1か月間遮光冷所下で保管した。保存後の試料をポリプロピレン製遠沈管に全量を回収し、遠心分離機を用いて15,000rpmで30分間の遠心処理を行った。その後、試料上清の銀イオン含有量を高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP-AES:Inductively Coupled Plasma Atomic Emission Spectroscopy)を用いて定量し、各試料中の銀イオン溶解濃度を測定した。
【0120】
(試験結果)
試料中の銀イオン溶解濃度(ppb)を表5に示す。
【0121】
【0122】
表5から明らかなように、銀イオンの溶解度に差異が認められた。すなわち、硝酸銀および塩化ナトリウムを含有する試料にヒドロキシプロピルセルロースやヒアルロン酸ナトリウムを添加したところ(試料5~7)、試料8と比較して高い銀イオンが溶解していることが認められた。
【0123】
以上より、ヒドロキシプロピルセルロースやヒアルロン酸ナトリウムが、添加された銀塩を安定化させることが示された。
【0124】
[製剤例]
以下に製剤例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの製剤例にのみ限定されるものではない。なお、下記製剤例において各成分の配合量は製剤100mL中の含量である。
【0125】
(製剤例1:点眼剤)
100mL中
ポリビニルピロリドン K90 0.0001~10g
リン酸水素ナトリウム水和物 0.1~0.5g
塩化ナトリウム 0.01~1g
塩化カリウム 0.01~1g
エデト酸ナトリウム水和物 0.0001~0.1g
硝酸銀 0.00001~0.01g
pH調節剤 適量
滅菌精製水 適量
滅菌精製水に上記成分を加え、これらを十分に撹拌し、pH調節することで上記点眼剤を調製できる。
【0126】
(製剤例2:点眼剤)
100mL中
ポリビニルピロリドン K90 0.0001~10g
リン酸水素ナトリウム水和物 0.1~0.5g
塩化ナトリウム 0.01~1g
塩化カリウム 0.01~1g
硝酸銀 0.00001~0.01g
pH調節剤 適量
滅菌精製水 適量
滅菌精製水に上記成分を加え、これらを十分に撹拌し、pH調節することで上記点眼剤を調製できる。
【0127】
(製剤例3:点眼剤)
100mL中
ポリビニルピロリドン K90 0.0001~10g
リン酸水素ナトリウム水和物 0.1~0.5g
塩化ナトリウム 0.01~1g
硝酸銀 0.00001~0.01g
pH調節剤 適量
滅菌精製水 適量
滅菌精製水に上記成分を加え、これらを十分に撹拌し、pH調節することで上記点眼剤を調製できる。
【0128】
(製剤例4:点眼剤)
100mL中
ポリビニルピロリドン K90 0.0001~10g
リン酸水素ナトリウム水和物 0.1~0.5g
塩化カリウム 0.01~1g
硝酸銀 0.00001~0.01g
pH調節剤 適量
滅菌精製水 適量
滅菌精製水に上記成分を加え、これらを十分に撹拌し、pH調節することで上記点眼剤を調製できる。
【0129】
(製剤例5:点眼剤(3%(w/v)))
100mL中
ジクアホソルナトリウム 3g
リン酸水素ナトリウム水和物 0.01~0.5g
塩化ナトリウム 0.01~1g
エデト酸ナトリウム水和物 0.0001~0.1g
ポリビニルピロリドン K90 0.0001~10g
硝酸銀 0.00000001~1g
pH調節剤 適量
滅菌精製水 適量
滅菌精製水にジクアホソルナトリウムおよびそれ以外の上記成分を加え、これらを十分に混合することで上記点眼剤を調製できる。
【0130】
(製剤例6:点眼剤(3%(w/v)))
100mL中
ジクアホソルナトリウム 3g
リン酸水素ナトリウム水和物 0.01~0.5g
塩化ナトリウム 0.01~1g
エデト酸ナトリウム水和物 0.0001~0.1g
ポリビニルピロリドン K60 0.0001~10g
硝酸銀 0.00000001~1g
pH調節剤 適量
滅菌精製水 適量
滅菌精製水にジクアホソルナトリウムおよびそれ以外の上記成分を加え、これらを十分に混合することで上記点眼剤を調製できる。
【0131】
(製剤例7:点眼剤(3%(w/v)))
100mL中
ジクアホソルナトリウム 3g
リン酸水素ナトリウム水和物 0.01~0.5g
塩化ナトリウム 0.01~1g
エデト酸ナトリウム水和物 0.0001~0.1g
ポリビニルピロリドン K30 0.0001~10g
硝酸銀 0.00000001~1g
pH調節剤 適量
滅菌精製水 適量
滅菌精製水にジクアホソルナトリウムおよびそれ以外の上記成分を加え、これらを十分に混合することで上記点眼剤を調製できる。
【0132】
(製剤例8:点眼剤(3%(w/v)))
100mL中
ジクアホソルナトリウム 3g
リン酸水素ナトリウム水和物 0.01~0.5g
塩化ナトリウム 0.01~1g
ポリビニルピロリドン K90 0.0001~10g
硝酸銀 0.00000001~1g
pH調節剤 適量
滅菌精製水 適量
滅菌精製水にジクアホソルナトリウムおよびそれ以外の上記成分を加え、これらを十分に混合することで上記点眼剤を調製できる。
【0133】
(製剤例9:点眼剤(3%(w/v)))
100mL中
ジクアホソルナトリウム 3g
リン酸水素ナトリウム水和物 0.01~0.5g
塩化ナトリウム 0.01~1g
ポリビニルピロリドン K60 0.0001~10g
硝酸銀 0.00000001~1g
pH調節剤 適量
滅菌精製水 適量
滅菌精製水にジクアホソルナトリウムおよびそれ以外の上記成分を加え、これらを十分に混合することで上記点眼剤を調製できる。
【0134】
(製剤例10:点眼剤(3%(w/v)))
100mL中
ジクアホソルナトリウム 3g
リン酸水素ナトリウム水和物 0.01~0.5g
塩化ナトリウム 0.01~1g
ポリビニルピロリドン K30 0.0001~10g
硝酸銀 0.00000001~1g
pH調節剤 適量
滅菌精製水 適量
滅菌精製水にジクアホソルナトリウムおよびそれ以外の上記成分を加え、これらを十分に混合することで上記点眼剤を調製できる。
【0135】
(製剤例11:点眼剤(3%(w/v)))
100mL中
ジクアホソルナトリウム 3g
リン酸水素ナトリウム水和物 0.01~0.5g
塩化ナトリウム 0.01~1g
クエン酸水和物 0.0001~0.1g
ポリビニルピロリドン K90 0.0001~10g
硝酸銀 0.00000001~1g
pH調節剤 適量
滅菌精製水 適量
滅菌精製水にジクアホソルナトリウムおよびそれ以外の上記成分を加え、これらを十分に混合することで上記点眼剤を調製できる。
【0136】
(製剤例12:点眼剤)
100mL中
ポリビニルピロリドン K60 0.0001~10g
リン酸水素ナトリウム水和物 0.1~0.5g
塩化ナトリウム 0.01~1g
塩化カリウム 0.01~1g
エデト酸ナトリウム水和物 0.0001~0.1g
硝酸銀 0.00001~0.01g
pH調節剤 適量
滅菌精製水 適量
滅菌精製水に上記成分を加え、これらを十分に撹拌し、pH調節することで上記点眼剤を調製できる。
【0137】
(製剤例13:点眼剤)
100mL中
ポリビニルピロリドン K60 0.0001~10g
リン酸水素ナトリウム水和物 0.1~0.5g
塩化ナトリウム 0.01~1g
塩化カリウム 0.01~1g
硝酸銀 0.00001~0.01g
pH調節剤 適量
滅菌精製水 適量
滅菌精製水に上記成分を加え、これらを十分に撹拌し、pH調節することで上記点眼剤を調製できる。
【0138】
(製剤例14:点眼剤)
100mL中
ポリビニルピロリドン K60 0.0001~10g
リン酸水素ナトリウム水和物 0.1~0.5g
塩化ナトリウム 0.01~1g
硝酸銀 0.00001~0.01g
pH調節剤 適量
滅菌精製水 適量
滅菌精製水に上記成分を加え、これらを十分に撹拌し、pH調節することで上記点眼剤を調製できる。
【0139】
(製剤例15:点眼剤)
100mL中
ポリビニルピロリドン K60 0.0001~10g
リン酸水素ナトリウム水和物 0.1~0.5g
塩化カリウム 0.01~1g
硝酸銀 0.00001~0.01g
pH調節剤 適量
滅菌精製水 適量
滅菌精製水に上記成分を加え、これらを十分に撹拌し、pH調節することで上記点眼剤を調製できる。
【0140】
(製剤例16:点眼剤)
100mL中
ポリビニルピロリドン K30 0.0001~10g
リン酸水素ナトリウム水和物 0.1~0.5g
塩化ナトリウム 0.01~1g
塩化カリウム 0.01~1g
エデト酸ナトリウム水和物 0.0001~0.1g
硝酸銀 0.00001~0.01g
pH調節剤 適量
滅菌精製水 適量
滅菌精製水に上記成分を加え、これらを十分に撹拌し、pH調節することで上記点眼剤を調製できる。
【0141】
(製剤例17:点眼剤)
100mL中
ポリビニルピロリドン K30 0.0001~10g
リン酸水素ナトリウム水和物 0.1~0.5g
塩化ナトリウム 0.01~1g
塩化カリウム 0.01~1g
硝酸銀 0.00001~0.01g
pH調節剤 適量
滅菌精製水 適量
滅菌精製水に上記成分を加え、これらを十分に撹拌し、pH調節することで上記点眼剤を調製できる。
【0142】
(製剤例18:点眼剤)
100mL中
ポリビニルピロリドン K30 0.0001~10g
リン酸水素ナトリウム水和物 0.1~0.5g
塩化ナトリウム 0.01~1g
硝酸銀 0.00001~0.01g
pH調節剤 適量
滅菌精製水 適量
滅菌精製水に上記成分を加え、これらを十分に撹拌し、pH調節することで上記点眼剤を調製できる。
【0143】
(製剤例19:点眼剤)
100mL中
ポリビニルピロリドン K30 0.0001~10g
リン酸水素ナトリウム水和物 0.1~0.5g
塩化カリウム 0.01~1g
硝酸銀 0.00001~0.01g
pH調節剤 適量
滅菌精製水 適量
滅菌精製水に上記成分を加え、これらを十分に撹拌し、pH調節することで上記点眼剤を調製できる。
【0144】
(製剤例20:点眼剤)
100mL中
ヒアルロン酸ナトリウム 0.0001~1g
リン酸水素ナトリウム水和物 0.1~0.5g
塩化ナトリウム 0.01~1g
塩化カリウム 0.01~1g
エデト酸ナトリウム水和物 0.0001~0.1g
硝酸銀 0.00001~0.01g
pH調節剤 適量
滅菌精製水 適量
滅菌精製水に上記成分を加え、これらを十分に撹拌し、pH調節することで上記点眼剤を調製できる。
【0145】
(製剤例21:点眼剤)
100mL中
ヒアルロン酸ナトリウム 0.0001~1g
リン酸水素ナトリウム水和物 0.1~0.5g
塩化ナトリウム 0.01~1g
塩化カリウム 0.01~1g
硝酸銀 0.00001~0.01g
pH調節剤 適量
滅菌精製水 適量
滅菌精製水に上記成分を加え、これらを十分に撹拌し、pH調節することで上記点眼剤を調製できる。
【0146】
(製剤例22:点眼剤)
100mL中
ヒアルロン酸ナトリウム 0.0001~1g
リン酸水素ナトリウム水和物 0.1~0.5g
塩化ナトリウム 0.01~1g
硝酸銀 0.00001~0.01g
pH調節剤 適量
滅菌精製水 適量
滅菌精製水に上記成分を加え、これらを十分に撹拌し、pH調節することで上記点眼剤を調製できる。
【0147】
(製剤例23:点眼剤)
100mL中
ヒアルロン酸ナトリウム 0.0001~1g
リン酸水素ナトリウム水和物 0.1~0.5g
塩化カリウム 0.01~1g
硝酸銀 0.00001~0.01g
pH調節剤 適量
滅菌精製水 適量
滅菌精製水に上記成分を加え、これらを十分に撹拌し、pH調節することで上記点眼剤を調製できる。
【0148】
(製剤例24:点眼剤(3%(w/v)))
100mL中
ジクアホソルナトリウム 3g
リン酸水素ナトリウム水和物 0.01~0.5g
塩化ナトリウム 0.01~1g
エデト酸ナトリウム水和物 0.0001~0.1g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.0001~1g
硝酸銀 0.00000001~1g
pH調節剤 適量
滅菌精製水 適量
滅菌精製水にジクアホソルナトリウムおよびそれ以外の上記成分を加え、これらを十分に混合することで上記点眼剤を調製できる。
【0149】
(製剤例25:点眼剤)
100mL中
ヒドロキシプロピルセルロース 0.0001~1g
リン酸水素ナトリウム水和物 0.1~0.5g
塩化ナトリウム 0.01~1g
塩化カリウム 0.01~1g
エデト酸ナトリウム水和物 0.0001~0.1g
硝酸銀 0.00001~0.01g
pH調節剤 適量
滅菌精製水 適量
滅菌精製水に上記成分を加え、これらを十分に撹拌し、pH調節することで上記点眼剤を調製できる。
【0150】
(製剤例26:点眼剤)
100mL中
ヒドロキシプロピルセルロース 0.0001~1g
リン酸水素ナトリウム水和物 0.1~0.5g
塩化ナトリウム 0.01~1g
塩化カリウム 0.01~1g
硝酸銀 0.00001~0.01g
pH調節剤 適量
滅菌精製水 適量
滅菌精製水に上記成分を加え、これらを十分に撹拌し、pH調節することで上記点眼剤を調製できる。
【0151】
(製剤例27:点眼剤)
100mL中
ヒドロキシプロピルセルロース 0.0001~1g
リン酸水素ナトリウム水和物 0.1~0.5g
塩化ナトリウム 0.01~1g
硝酸銀 0.00001~0.01g
pH調節剤 適量
滅菌精製水 適量
滅菌精製水に上記成分を加え、これらを十分に撹拌し、pH調節することで上記点眼剤を調製できる。
【0152】
(製剤例28:点眼剤)
100mL中
ヒドロキシプロピルセルロース 0.0001~1g
リン酸水素ナトリウム水和物 0.1~0.5g
塩化カリウム 0.01~1g
硝酸銀 0.00001~0.01g
pH調節剤 適量
滅菌精製水 適量
滅菌精製水に上記成分を加え、これらを十分に撹拌し、pH調節することで上記点眼剤を調製できる。
【0153】
(製剤例29:点眼剤(3%(w/v)))
100mL中
ジクアホソルナトリウム 3g
リン酸水素ナトリウム水和物 0.01~0.5g
塩化ナトリウム 0.01~1g
エデト酸ナトリウム水和物 0.0001~0.1g
ヒドロキシプロピルセルロース 0.0001~1g
硝酸銀 0.00000001~1g
pH調節剤 適量
滅菌精製水 適量
滅菌精製水にジクアホソルナトリウムおよびそれ以外の上記成分を加え、これらを十分に混合することで上記点眼剤を調製できる。
【0154】
(製剤例30:点眼剤)
100mL中
ヒドロキシエチルセルロース 0.0001~1g
リン酸水素ナトリウム水和物 0.1~0.5g
塩化ナトリウム 0.01~1g
塩化カリウム 0.01~1g
エデト酸ナトリウム水和物 0.0001~0.1g
硝酸銀 0.00001~0.01g
pH調節剤 適量
滅菌精製水 適量
滅菌精製水に上記成分を加え、これらを十分に撹拌し、pH調節することで上記点眼剤を調製できる。
【0155】
(製剤例31:点眼剤)
100mL中
ヒドロキシエチルセルロース 0.0001~1g
リン酸水素ナトリウム水和物 0.1~0.5g
塩化ナトリウム 0.01~1g
塩化カリウム 0.01~1g
硝酸銀 0.00001~0.01g
pH調節剤 適量
滅菌精製水 適量
滅菌精製水に上記成分を加え、これらを十分に撹拌し、pH調節することで上記点眼剤を調製できる。
【0156】
(製剤例32:点眼剤)
100mL中
ヒドロキシエチルセルロース 0.0001~1g
リン酸水素ナトリウム水和物 0.1~0.5g
塩化ナトリウム 0.01~1g
硝酸銀 0.00001~0.01g
pH調節剤 適量
滅菌精製水 適量
滅菌精製水に上記成分を加え、これらを十分に撹拌し、pH調節することで上記点眼剤を調製できる。
【0157】
(製剤例33:点眼剤)
100mL中
ヒドロキシエチルセルロース 0.0001~1g
リン酸水素ナトリウム水和物 0.1~0.5g
塩化カリウム 0.01~1g
硝酸銀 0.00001~0.01g
pH調節剤 適量
滅菌精製水 適量
滅菌精製水に上記成分を加え、これらを十分に撹拌し、pH調節することで上記点眼剤を調製できる。
【0158】
(製剤例34:点眼剤(3%(w/v)))
100mL中
ジクアホソルナトリウム 3g
リン酸水素ナトリウム水和物 0.01~0.5g
塩化ナトリウム 0.01~1g
エデト酸ナトリウム水和物 0.0001~0.1g
ヒドロキシエチルセルロース 0.0001~1g
硝酸銀 0.00000001~1g
pH調節剤 適量
滅菌精製水 適量
滅菌精製水にジクアホソルナトリウムおよびそれ以外の上記成分を加え、これらを十分に混合することで上記点眼剤を調製できる。
本発明は、銀塩とイオン性等張化剤とを含有する水性点眼液において、白濁の発生を抑制するとともに、水性点眼液中に含有される銀塩を安定化させ、安定な水性点眼液を提供することができる。
銀塩が、硝酸銀、硫酸銀、塩化銀、臭化銀、酸化銀、酢酸銀、炭酸銀、クエン酸銀、乳酸銀、リン酸銀、シュウ酸銀、チオ硫酸銀およびプロテイン銀からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1または5に記載の水性点眼液。
イオン性等張化剤が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、ホウ酸およびホウ砂からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1または5に記載の水性点眼液。