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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022103220
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】ミル刃の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B02C 7/08 20060101AFI20220630BHJP
   A47J 42/20 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
B02C7/08
A47J42/20
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074025
(22)【出願日】2022-04-28
(62)【分割の表示】P 2017249735の分割
【原出願日】2017-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000109325
【氏名又は名称】ツインバード工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】特許業務法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】長澤 拓栄
(57)【要約】
【課題】容易且つ安価に製造することができるミル刃の製造方法を提供する。
【解決手段】円盤状の円盤体150と、この円盤体150の一面側に一体化された円盤状の刃部151とを有するミル刃の製造方法であって、円盤体150に、外周側ほど細く且つ浅くなる複数の溝部153,153,153,153を形成し、刃部151に、溝部153,153,153,153に対応する溝開口部155,155,155,155を形成すると共に、一定厚さの金属板151Aをプレス加工で打ち抜くことで、溝開口部155を有する刃部151を形成した後、プレス加工により金属板151Aの縁に生じたバリ側の面を平坦に削ることで、溝開口部155の縁を鋭利なカッター刃157とすることができるので、ミル刃の粉砕性能を高めることができるばかりでなく、ミル刃を安価に製造することができる。
【選択図】図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円盤状の基部と、この基部の一面側に一体化された円盤状の刃部とを有するミル刃の製造方法であって、
前記基部に、外周側ほど細く且つ浅くなる複数の溝部を形成し、前記刃部に、前記溝部に対応する溝開口部を形成すると共に、
一定厚さの金属板をプレス加工で打ち抜くことで、前記溝開口部を有する前記刃部を形成した後、前記プレス加工により前記金属板の縁に生じたバリ側の面を平坦に削ることで、前記溝開口部の縁を鋭利なカッター刃とすることを特徴とするミル刃の製造方法。
【請求項2】
前記基部を型成形によって合成樹脂で形成することを特徴とする請求項1記載のミル刃の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一面側に刃部を設けた円盤状のミル刃の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のミル刃としては、回転刃である旋回臼盤及び固定刃である固定臼盤が、内周端から放射線方向に延びる導入凹部である凹溝を有し、この凹溝が、内周側から外周側に向かって徐々に浅くなる傾斜状をなし、途中で旋回臼盤の表面に達しており、また、旋回臼盤の上面に、複数列の鋸歯状凹凸が並んで形成され、周方向で一定範囲毎に、凹凸の列の並び方向が変化しているもの(例えば特許文献1)がある。
【0003】
上記ミル刃では、固定臼盤の中央空間に押し込まれた焙煎豆は、更に、固定臼盤及び旋回臼盤の凹溝間に押し込まれて剪断された後、旋回臼盤と固定臼盤との凹凸列に噛み込まれ、細かく砕かれ挽かれることになり、十分に細かく挽き砕かれたあと、粉砕臼の外周端から外にこぼれ出る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4523434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記ミル刃は、炭素鋼製の円盤状の臼盤に多数の細かい溝を形成するために、切削にて溝を刻む必要があり、臼盤が高価になるという問題があった。また、上述したように、ミル刃全体が炭素鋼製であるので、被粉砕物の微細な粉や油分が付着したミル刃を手入れするために、刷毛などで掃き取るのが一般的であった。洗剤を用いた水洗いによってミル刃を清浄にすることも可能ではあるが、溝内等の水を確実に拭き取ることが困難であるため、錆が発生してしまう虞があった。
【0006】
本発明は以上の問題点を解決し、容易且つ安価に製造することができるミル刃の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に記載のミル刃の製造方法は、円盤状の基部と、この基部の一面側に一体化された円盤状の刃部とを有するミル刃の製造方法であって、前記基部に、外周側ほど細く且つ浅くなる複数の溝部を形成し、前記刃部に、前記溝部に対応する溝開口部を形成すると共に、一定厚さの金属板をプレス加工で打ち抜くことで、前記溝開口部を有する前記刃部を形成した後、前記プレス加工により前記金属板の縁に生じたバリ側の面を平坦に削ることで、前記溝開口部の縁を鋭利なカッター刃とするものである。
【0008】
また、本発明の請求項2に記載のミル刃の製造方法は、請求項1において、前記基部を型成形によって合成樹脂で形成するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の請求項1に記載のミル刃の製造方法は、以上のようにすることにより、前記刃部のカッター刃を、プレス加工後の簡単なバリ取りによって前記溝開口部の縁部に形成することができるので、ミル刃を容易且つ安価に製造することができる。
【0010】
なお、前記基部を型成形によって合成樹脂で形成することで、基部を容易且つ安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例1を示すミル装置としての電動ミル付きコーヒーメーカーにおいて、ミル部を取り外した状態の斜視図である。
図2】同上、駆動ユニットの斜視図である。
図3】同上、全体斜視図である。
図4】同上、全体説明図である。
図5】同上、回転刃取付部周りの分解斜視図である。
図6】同上、固定刃取付部周りの分解斜視図である。
図7】同上、ミル部のミルケース周りの分解斜視図である。
図8】同上、ミル部の前後方向の縦断面図である。
図9】同上、ミル部の平断面図である。
図10】同上、ミル部の左右方向の縦断面図である。
図11】同上、駆動ユニットの分解斜視図である。
図12】同上、固定刃を露出した状態のミル部の分解斜視図である。
図13】同上、回転刃を露出した状態のミル部の分解斜視図である。
図14】同上、駆動歯車と従動歯車の噛み合いを説明する説明図である。
図15】同上、回転刃及び固定刃の分解斜視図である。
図16】同上、回転刃及び固定刃の斜視図である。
図17】同上、回転刃及び固定刃の平面図である。
図18】同上、回転刃及び固定刃の要部の断面図である。
図19】同上、回転刃及び固定刃の背面側の斜視図である。
図20】本発明の実施例2を示す回転刃及び固定刃の分解斜視図である。
図21】同上、回転刃及び固定刃の斜視図である。
図22】本発明の実施例3を示すミル装置としての電動ミルにおいて、ミル部を取り外した状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例0013】
以下、本発明の実施例1について、図1図19に基づいて説明する。1は、ミル装置としての電動ミル付きコーヒーメーカーであり、このコーヒーメーカー1の本体たるケース本体2は、後側の立設部3と、この立設部3の下部と一体的に形成された前側の載置部4と、前記立設部3の上部と一体的に形成された庇部5とを備える。そして、前記立設部3に貯水部6が設けられており、この貯水部6には、外部の水を供給することができ、この例では、前記貯水部6が前記ケース本体2に着脱可能に設けられ、前記貯水部6には貯水容器(図示せず)が内蔵される。
【0014】
前記貯水部6内には、図4に示すように、前記貯水容器内の水を加熱する加熱手段7が設けられる。また、ケース本体2には、前記加熱手段7により加熱して得られた湯を、ドリッパー8に送る送湯手段9が設けられる。なお、この送湯手段9としては、ポンプ等が例示される。
【0015】
前記載置部4は、上方が開口すると共に、この開口を塞ぐように、略平面状の加熱板11が設けられる。そして、この加熱板11の下面には、ヒーター12が熱的に接して設けられる。
【0016】
前記加熱板11上には、飲料サーバー13が着脱可能に載置される。この飲料サーバー13は、上方が開口した耐熱ガラス製の容器本体14と、この容器本体14の側板に取り付けられた合成樹脂製の把持部15と、前記容器本体14の上部開口を覆う合成樹脂製の蓋体16とを備える。
【0017】
前記立設部3の側部には、前記載置部4の飲料サーバー13の上方に、上からミル部17と、湯供給部18と、抽出部たる前記ドリッパー8とが配置される。
【0018】
ミル装置20は、前記ケース本体2の上部に設けられ飲料原料であるコーヒー豆を細かくして排出する前記ミル部17と、前記ケース本体2に設けられ前記ミル部17を作動させる電動機21とを有する。なお、前記ケース本体2及びミル装置20において、前側が前後方向一側であり、後側が前後方向他側である。
【0019】
前記ミル部17は、前記ケース本体2の取付凹部19に対して着脱可能に取り付けられる。そして、図12及び図13に示すように、前記ミル部17は、円盤状の回転刃22を設けた回転刃取付部23と、円盤状の固定刃24を設けた固定刃取付部25と、に分解可能に構成される。なお、前記回転刃22及び固定刃24は、全体として円盤状である。
【0020】
図5等に示すように、前記回転刃取付部23は、前側から前記回転刃22と、この回転刃22を取り付ける回転ホルダー31と、カバー部材32と、従動側伝達機構たる従動歯車33とを備える。前記回転ホルダー31は、前記回転刃22を取り付ける円盤状の取付板34と、この取付板34の中心から前側に突設されたミルスクリュー35とを一体に備え、このミルスクリュー35の中心には貫通孔36が穿設される。また、前記取付板34の前面の周囲には、前記回転刃22の周囲を挟む一対の突起部37,37が前側に突設される。
【0021】
前記回転刃22の一面側である前面には刃部151が設けられ、また、回転刃22の中心には貫通孔152が穿設される。そして、前記取付板34には複数の透孔34Aが穿設され、図8に示すように、後側から透孔34Aに挿通させたビス38を前記回転刃22の後面の取付ボス186の下孔186Aに螺合させることにより、前記取付板34に前記回転刃22が取り付けられる。なお、前記ビス38は螺合式の固定手段である。また、このビス38は、防錆性を有する金属(本例ではステンレス鋼)で構成される。
【0022】
前記カバー部材32は、円板部41の中心に貫通孔42を設け、この貫通孔42の径より中心孔が大きな取付筒部43を、前記円板部41の前面に突設し、前記取付筒部43内に軸受部材44を固定している。また、前記円板部41の周囲に外筒部45が一体に設けられ、この外筒部45が前方に突設され、この外筒部45の内周に雌螺子部45Aが設けられる。また、前記外筒部45の外周には、複数の滑り止め用凹部45B,45Bを設けて滑り止め部を構成する。
【0023】
前記従動歯車33の中心のハブ部46には貫通孔47が穿設され、この貫通孔47の内周面には、回転軸係合部たる平面部(図示せず)が形成される。そして、金属棒等からなる回転軸48が、前記ミルスクリュー35の貫通孔36にインサート成形等により固定される。前記回転軸48は、その後側が前記軸受部材44に回動自在に挿通されると共に、その後端が前記従動歯車33の貫通孔47に回り止め状態で挿通される。そして、ビス49を前記回転軸48の後端に螺合させることにより、この回転軸48に前記従動歯車33が固定される。
【0024】
これにより、前記カバー部材32に対して、前記ミルスクリュー35を一体に設けた前記取付板34と従動歯車33とが回動自在に設けられ、これらミルスクリュー35が一体に設けられた取付板34,従動歯車33及び回転軸48により、従動側伝達構造50が構成される。
【0025】
前記固定刃取付部25は、図7等に示すように、ミルケース51と、このミルケース51の上部に取り付けられた上ケース52と、前記ミルケース51の下部に取り付けられた下ケース53とを備える。
【0026】
前記ミルケース51は、前記回転刃22と固定刃24を収納する筒状の収納筒部55を有し、この収納筒部55の前端に前壁部56を設け、この前壁部56の中央に貫通孔56Aを形成すると共に、この貫通孔56Aの後側に案内筒部57を突設する。また、この案内筒部57の位置に対応して、前記収納筒部55の前側には、他より径小な径小部55Bが形成される。前記固定刃24の一面側である後面には、前記刃部151が設けられ、また、前記固定刃24の中心には前記貫通孔152が穿設される。そして、前記固定刃24の貫通孔152に前記案内筒部57が挿入され、前記固定刃24の厚さ方向の一部が前記案内筒部57と径小部55Bとの間に収納される。
【0027】
また、前記固定刃取付部25は、前記貫通孔56Aの前側に断面略U字状の案内壁部58を有する。この案内壁部58の前端に、該案内壁部58の前側を塞ぐ縦壁部59が設けられ、この該縦壁部59に貫通孔59Aが設けられ、この貫通孔59Aの径より中心孔が大きな取付筒部60が、前記縦壁部59から前方に突設される。
【0028】
前記取付筒部60内には、軸受部材61が固定され、後側から前記軸受部材61内に前記回転軸48の前端が着脱可能に挿入される。また、前記収納筒部55の後部は開口し、該収納筒部55の外周に雄螺子部55Aが形成され、この収納筒部55の雄螺子部55Aに前記カバー部材32の雌螺子部45Aが着脱可能に螺合する。
【0029】
そして、前記回転軸48の先端側を、前記収納筒部55の貫通孔56Aと前記案内筒部57の貫通孔59Aに後側から挿通させ、前記収納筒部55の雄螺子部55Aに前記カバー部材32の雌螺子部45Aを螺合させると共に、前記回転軸48の先端を前記軸受部材61に挿入させることにより、前記回転ホルダー31の取付板34及び前記回転刃22が前記収納筒部55内に収納されると共に、前記固定刃取付部25に前記回転刃取付部23が取り付けられ、前記ミル部17内に前記回転ホルダー31が回動可能に取り付けられる。
【0030】
また、前記収納筒部55の下部には、筒形の落下口62が下方に向かって突設される。この落下口62は、円筒状をなし、前記収納筒部55内の底部と連通する。そして、コーヒー豆が、前記回転刃22と固定刃24との間で挽かれてコーヒー粉(挽き豆)となり、前記収納筒部55内の前記コーヒー粉が前記落下口62から前記ドリッパー8の中央に落下供給される。
【0031】
前記ミル部17には、図9等に示すように、コーヒー粉の粉砕度合(粒度)を調整する粒度調整手段65が設けられる。この粒度調整手段65は、前記回転刃22の前面と固定刃24の後面との間隔を調整することにより、コーヒー粉の粉砕度合を調整するものである。
【0032】
前記粒度調整手段65について、具体的に説明する。前記固定刃取付部25には、固定刃用ホルダー66が前後位置調整可能に設けられる。図6等に示すように、前記固定刃用ホルダー66は、前記取付筒部60の外側に配置される円筒状の前筒部67を有し、この前筒部67の前端に、内鍔部67Aが周設される。また、前記前筒部67の後側左右には、側壁部68,68が設けられる。これら左右の側壁部68,68は、前記案内壁部58の外周面に沿って配置される。そして、前記側壁部68,68の後端に取付部69,69がそれぞれ設けられ、これら取付部69,69側が前記収納筒部55の挿通開口部63,63に挿通された状態で、前記取付部69,69の後面に前記固定刃24の前面が固定される。
【0033】
図7に示すように、前記ミルケース51の前壁部56の左右には、左右の前記取付部69,69が遊挿される前記挿通開口部63,63が設けられる。左右の前記取付部69,69には、それぞれ透孔69A,69Aが穿設される。そして、図9に示すように、前記透孔69Aに挿通されたビス70を前記固定刃24の前面の取付ボス186の下孔186Aに螺合させることで、左右の前記取付部69,69に前記固定刃24が固定される。なお、前記ビス70は、防錆性を有する金属(本例ではステンレス鋼)で構成される。また、前記固定刃用ホルダー66の前記内鍔部67Aと前記ミルケース51の前記縦壁部59との間には、付勢手段たるコイルスプリング71が前記取付筒部60に外装して設けられる。このコイルスプリング71は、前記ミルケース51に対して前記固定刃用ホルダー66を前側に移動させるように付勢する。
【0034】
前記粒度調整手段65は、操作部である回転式のダイヤル72を有する。このダイヤル72は、押圧体73の前板部74の前に固定される。前記押圧体73は、前記前板部74の後部に押圧筒部75が一体に設けられ、この押圧筒部75に雌螺子部75Aが形成される。そして、前記取付筒部60には雄螺子部60Aが設けられ、この雄螺子部60Aに前記雌螺子部75Aが螺合する。この螺合により、前記ミルケース51に対して前記押圧体73が進退可能に設けられる。
【0035】
そして、前記ダイヤル72により前記押圧体73が捩じ込む方向に回されることにより、前記押圧筒部75が後退し、この押圧筒部75の後端75Bに前記固定刃用ホルダー66が押されて後退すると共に、前記コイルスプリング71が圧縮される。これによって、前記固定刃24と回転刃22の間隔が狭まる。一方、前記ダイヤル72を逆に回すと、前記コイルスプリング71の弾性復元力により前記固定刃用ホルダー66が前進する。これによって、前記固定刃24と回転刃22の間隔が開く。
【0036】
また、前記粒度調整手段65は、図6及び図9に示すように、前記ダイヤル72の回転角度を規定するクリック手段77を備える。このクリック手段77は、筒体78を有する。この筒体78は、その前側外周に鍔部78Aが周設される。そして、前記筒体78は、前記固定刃用ホルダー66の前記前筒部67内に挿入配置されると共に、前記鍔部78Aが前記取付筒部60の前縁に当接する。この際、この取付筒部60の前縁に設けられた凸部60Bが、前記鍔部78Aに形成された切欠部78Bと係合することで、前記筒体78が前記取付筒部60に対し回り止め状態とされる。また、前記筒体78の中心から外れた位置で、この筒体78の前側に、取付筒部79が一体に突設される。この取付筒部79内にクリック杆80が前後スライド可能に挿入され、このクリック杆80の後で前記取付筒部79内に、付勢手段たるコイルスプリング81が配置される。そして、このコイルスプリング81により、前記クリック杆80が前側に付勢される。
【0037】
更に、前記押圧体73の前板部74には、前記クリック杆80が係入する複数のクリック凹部83,83・・・が形成される。これらのクリック凹部83,83・・・は、前記押圧体73の回転中心を中心として、円周方向に等間隔に配置される。そして、図9に示すように、前記クリック杆80の先端80Sは、凸状湾曲面に形成される。前記クリック凹部83は段付き孔に形成され、この段付き孔の径大部83Aに、前記先端80Sが係入する。
【0038】
従って、前記クリック杆80の先端80Sが前記クリック凹部83に係合している状態で、前記ダイヤル72を回すと、前記コイルスプリング81が収縮して、前記クリック凹部83から前記クリック杆80の先端80Sが外れ、この先端80Sが隣のクリック凹部83に係入する際、弾性復元力により前記コイルスプリング81が伸長し、所定のクリック感が得られる。そして、クリックの回数に応じて、前記固定刃24と回転刃22の間隔を調整することができる。このため、前記ダイヤル72には、前記クリック凹部83に対応して、粉砕度合を示す目盛りを設けるようにしてもよい。
【0039】
図7に示すように、前記上ケース52は、平面円形の上部開口85を有するホッパー86を有する。このホッパー86は、前記上ケース52の一部を構成する。また、前記ホッパー86の底面部86Aの左右には、下部開口87,87が設けられる。そして、これら下部開口87,87の下にシュート部88が設けられ、このシュート部88の下部が前記案内壁部58(図6)の上部の開口に連通する。また、前記上ケース52の上部開口85には、蓋体89が着脱可能に設けられる。
【0040】
前記ホッパー86の前側には、上前カバー部91が一体に設けられる。図8等に示すように、この上前カバー部91は、前記上ケース52の一部を構成し、前記ミルケース51の前側上部を覆う。そして、前記上前カバー部91の前面部92には、前記押圧筒部75が挿通される挿通孔93が穿設される。
【0041】
前記下ケース53は、前記ミルケース51の下部周囲を覆う下ケース本体95と、前記ミルケース51の前側下部を覆うU字状の下前カバー部96とを一体に有する。そして、この下前カバー部96の前縁部96Aは、前記上前カバー部91の前面部92の後面に当接する(図8)。また、前記下ケース53は前記ミルケース51の後側下部を覆って前記上ケース52に固定される。更に、前記下ケース本体95には切欠部97が形成され、この切欠部97から前記落下口62が下方に突設される。
【0042】
前記ミル部17には、着脱操作部101が設けられる。この着脱操作部101は、図7及び図10等に示すように、前記ホッパー86の左右の外側面に形成されたスライド凹部102,102に、スライダ103,103を左右方向移動可能に設けることで構成される。これらのスライダ103,103は、それぞれ左右方向に形成されるスライド板104の外側に、このスライド板104より幅広な係止爪部105が設けられ、この係止爪部105の外縁部105Aが斜めに形成される。前記係止爪部105の上部には、板状の縦部106が設けられる。この縦部106の上部には、横方向の摘み部107が外側に突設する。そして、前記縦部106と前記スライド凹部102の底面との間には、付勢手段たるコイルスプリング108が配置され、このコイルスプリング108により前記スライダ103が外側に付勢される。前記縦部106の前後両側縁には、当接縁部106A,106Aが突設され、これら当接縁部106A,106Aが当接する抜け止め縁部102A,102Aが、前記スライド凹部102の前後両側の縦縁の外端に内側向きに形成される。即ち、前記スライダ103の外側への移動範囲は、前記当接縁部106Aが前記抜け止め縁部102Aに当接する位置までに規制される。なお、図10では、前記スライダ103が後退した状態を実線で示し、前記摘み部107を押す前の状態を鎖線で示す。そして、前記着脱操作部101は、前記スライダ103が鎖線の位置にある状態で、その係止爪部105が後述する係止孔部119に係止する。
【0043】
前記ミルケース51の収納筒部55の上側左右には、腕部111,111が外向きに突設され、これらの腕部111,111の上面に、それぞれ前記スライド板104がスライドするスライド溝部112が形成される。また、前記下ケース本体95の上縁の左右には、前記腕部111,111に対応して外鍔部113,113が設けられる。これら左右の外鍔部113,113には、前記腕部111,111が嵌合状態で載置される。そして、この状態で前記外鍔部113の透孔114にビス115(図7)を挿通し、このビス115を前記上ケース52に固定することで、上,下ケース52,53が一体化される。
【0044】
前記取付凹部19は、前記ケース本体2の前面と上面に開口する略U字状の前側凹部116と、この前側凹部116の後側に位置し、ケース本体2の上面に開口する円形の後側凹部117を有する。前記前側凹部116には、前記上ケース52と下ケース53の前側が収納され、収納状態で前記前面部92が前記庇部5の前面と略面一となる。一方、前記後側凹部117には、前記上ケース52と下ケース53の後側が収納され、収納状態で前記上前カバー部91の上面が前記庇部5の上面と略面一となると共に、前記上ケース52の上部開口85が前記庇部5の上面から突出する。
【0045】
前記後側凹部117の左右には、左右の前記スライダ103,103に対応して、左右の操作用凹部118,118が形成される。これら左右の操作用凹部118,118の底面部118A,118Aの下部には、左右の側面部が垂設され、左右の側面部の上部に、係止部たる前記係止爪部105,105が係止可能なスリット状の係止受部たる前記係止孔部119,119が形成される。
【0046】
従って、前記取付凹部19に前記ミル部17を上方から挿入すると、前記係止爪部105の外縁部105Aが、前記係止孔部119の上方の前記底面部118Aの角部に当接する。ここから前記ミル部17を下に押し込むと、前記外縁部105Aの傾斜により、前記スライダ103が後退すると共に、前記コイルスプリング108が収縮する。これによって、前記係止爪部105が角部を通過する。前記係止爪部105が角部を通過した後、前記コイルスプリング108が伸長して、前記係止爪部105が前記係止孔部119に係止される。これによって、前記取付凹部19に前記ミル部17が固定される。
【0047】
逆に、左右の前記摘み部107,107を内側に押すと、前記係止孔部119から前記係止爪部105が抜け出し、前記取付凹部19から前記ミル部17を取り外すことができる。
【0048】
前記ケース本体2内には、駆動ユニット121が設けられる。この駆動ユニット121は、前記従動歯車33に噛合する駆動歯車122を有する。図2及び図11に示すように、前記駆動ユニット121は、前側ホルダー123と後側ホルダー124とを有する。前記前側ホルダー123と後側ホルダー124は、一体的に組み立てられる。また、前記後側ホルダー124には、前記電動機21が取り付けられる。そして、この電動機21の回転軸には、電動機側歯車126が設けられる。なお、前記前側ホルダー123は前収納部127を有し、後側ホルダー124は後収納部128を有する。これら前,後収納部127,128の内部には、減速歯車群129が配置される。
【0049】
前記減速歯車群129は、第1の回転板130及び第2の回転板130Aを有する。前記第1の回転板130の後部には、4本の軸部131,131,131,131が突設され、これらの軸部131,131,131,131に減速歯車132,132,132,132が回動可能に設けられる。そして、これら減速歯車132,132,132,132の中央で、前記電動機側歯車126が各減速歯車132,132,132,132に噛合する。一方、これら減速歯車132,132,132,132の外周側は、前記前収納部127の内面に形成された図示しない内歯車に噛合する。また、前記第1の回転板130の前側中央には、伝達歯車133が一体に設けられる。そして、前記第1の回転板130の前側には、前記第2の回転板130Aが配置される。この第2の回転板130Aの後部には、4本の軸部131A,131A,131A,131Aが突設され、これらの軸部131A,131A,131A,131Aに減速歯車132A,132A,132A,132Aが回動可能に設けられる。そして、これら減速歯車132A,132A,132A,132Aの中央で、前記伝達歯車133が各減速歯車132A,132A,132A,132Aに噛合する。一方、これら減速歯車132A,132A,132A,132Aの外周側は、前記前収納部127の内面に形成された図示しない内歯車に噛合する。また、前記第2の回転板130Aの前側中央には、前記駆動歯車122が一体に設けられる。前記第1の回転板130の後側には、前記軸部131の後端に近接する歯車ホルダー134が設けられる。また、前記第2の回転板130Aの軸部131の後端は第1の回転板130の前面に近接する。前記歯車ホルダー134は、前記軸部131の後端が近接する円板状の前面部134Aと、この前面部134Aの後部に一体に設けられた筒部134Bとを有する。そして、前記前面部134Aの中央部には、中心貫通孔134Cが貫通して形成される。そして、前記電動機側歯車126は、前記中心貫通孔134Cに挿通され、前記前面部134Aの前側において、前記電動機側歯車126が減速歯車132,132,132,132に噛合する。なお、前記第1の回転板130の軸部131から前記歯車ホルダー134の前面部134Aまでの距離は、前記減速歯車132の軸方向長さよりも短い。同様に、前記第2の回転板130Aの軸部131Aから前記第1の回転板130の前面までの距離も、前記減速歯車132Aの軸方向長さよりも短い。そして、前記電動機側歯車126と減速歯車132と図示しない内歯車とで、遊星歯車機構による減速機構が構成される。この部位において、前記電動機側歯車126が太陽歯車、前記減速歯車132が遊星歯車となる。同様に、前記伝達歯車133と減速歯車132Aと図示しない内歯車とで、遊星歯車機構による減速機構が構成される。この部位において、前記伝達歯車133が太陽歯車、前記減速歯車132Aが遊星歯車となる。
【0050】
前記前側ホルダー123の前記前収納部127の前側には、前面部135が一体に設けられる。この前面部135の前面には、左右一側である右側に側部開口部136を有する切欠筒部137が設けられる。また、この切欠筒部137の右側には、正面視で略U字状の縦凹部138が設けられる。
【0051】
前記切欠筒部137内に後側から前記駆動歯車122が挿入配置された状態で、前記ケース本体2内に前記駆動ユニット121が固定され、前記側部開口部136から前記駆動歯車122の側部が、前記前側ホルダー123の前面部135の前側に露出する。また、前記縦凹部138には、その上部開口138Aから前記従動歯車33のハブ部46の後端が遊挿される。
【0052】
前記駆動歯車122と従動歯車33は、何れも平歯車であり、それぞれの回転中心軸122J,33Jの軸方向が水平且つ平行である。そして、前記ケース本体2に前記ミル部17を取り付けた状態で、前記駆動歯車122と従動歯車33の回転中心軸122J,33Jは、水平方向にずれて並ぶ。また、前記回転中心軸122J,33Jは同じ高さで並ぶことが望ましく、本実施例では、図14に示すように、取付状態で、前記回転中心軸122J,33Jが同一高さで噛合する。なお、この例では、前記従動歯車33の回転中心軸33Jは、前記回転軸48の中心軸である。
【0053】
これによって、上述したように、前記ミル部17を前記ケース本体2の取付凹部19に取り付ける際に、前記従動歯車33が回転しながら前記駆動歯車122と噛み合うので、この駆動歯車122と従動歯車33を確実に噛み合わせることができる。また、図14に示すように、前記駆動歯車122は、従動歯車33との噛み合い側が下方に移動するように右回りに回転する。これによって、有負荷時に前記従動歯車33、ひいては前記ミル部17が下方に押し付けられるように力が働く。即ち、前記ミル部17が前記ケース本体2から外れる方向とは逆の方向に力が働く。
【0054】
図4に示すように、前記湯供給部18のケース141の中央には、前記落下口62が着脱自在に挿入接続される挿通孔142が縦設される。そして、前記ミル部17を前記取付凹部19に取り付けることにより、前記挿通孔142に前記落下口62が接続される。また、前記挿通孔142の下部には、この挿通孔142を開閉するシャッター143が設けられる。
【0055】
前記ケース141には接続部144が設けられ、この接続部144に、前記送湯手段9から送液路9Aを通して湯が送られる。そして、前記ケース141には、前記湯を前記ドリッパー8に供給するノズル145が複数設けられる。また、前記ドリッパー8内には、ペーパーフィルター146が交換可能に配置される。更に、前記ドリッパー8の底部には、止液弁147が設けられる。なお、10は、ミル装置としてのコーヒーメーカー1を使用する際に操作されるスイッチである。
【0056】
以下、本発明の前記回転刃22と前記固定刃24の構成について説明する。なお、前記回転刃22と前記固定刃24は取付位置及び回転の有無以外は同一構成である。
【0057】
図15図19に示すように、前記回転刃22と前記固定刃24は、円盤状の基部たる円盤体150と、この円盤体150の一側面に一体に設けられると共に前記円盤体150より薄い円盤状の前記刃部151とを有する。前記円盤体150は、中央に円形の前記貫通孔152を有する。そして、前記円盤体150の一面側には、4本の溝部153,153,153,153が回転対称に設けられる。これらの溝部153,153,153,153は、外周側ほど相対回転方向に対し遅れるように形成される。前記刃部151は、一定厚さの板材からなる金属板151Aからなり、前記円盤体150と同径の円盤状に形成される。そして、前記刃部151は、その両面が平坦面に形成される。また、前記刃部151には、中央の貫通孔152Hと、この貫通孔152Hから外側に弧状に形成された4つの溝開口部155,155,155,155とが設けられる。そして、これら貫通孔152Hと溝開口部155,155,155,155により、孔部が構成される。前記刃部151は、母材となる金属板をプレス等で打ち抜くことにより、円盤状に形成されると共に、前記貫通孔152H及び4つの溝開口部155,155,155,155が形成される。なお、前記貫通孔152Hは、前記貫通孔152に対応する。また、前記溝開口部155,155,155,155は、前記溝部153,153,153,153に対応する。即ち、前記貫通孔152Hは、前記貫通孔152と略同径である。また、前記溝開口部155は、前記円盤体150の一側面における前記溝部153と同一形状である。また、前記刃部151は、前記円盤体150に比べて硬度が高く、且つ防錆性を有するステンレス鋼やチタン等の金属から形成される。なお、本例ではステンレス鋼を採用する。一方、前記円盤体150は、エンジニアリングプラスチック等の合成樹脂、アルミニウム合金等の防錆性を有する金属から形成される。即ち、前記円盤体150は、射出成形やダイキャスト成形等、型成形によって容易且つ安価に製造することができる。なお、本例では、耐油性を有するPOMやPBT等のエンジニアリングプラスチックを採用する。
【0058】
図17において、白抜き矢印で示す方向が前記回転刃22の回転方向である。前記溝開口部155,155,155,155は、正面視で、その回転方向前側に前側湾曲縁部156を有すると共に、その回転方向後側の後側湾曲縁部により構成されるカッター刃157を有する。これら前側湾曲縁部156及びカッター刃157が、前記刃部151に形成された縁部である。そして、組立状態で、前側湾曲縁部156及びカッター刃157が、前記円盤体150の溝部153に沿って設けられる。
【0059】
また、正面視で、前記各前側湾曲縁部156及びカッター刃157は、回転方向前側が凸となるように湾曲する。即ち、前記溝開口部155,155,155,155は、内端側である前記貫通孔152の円弧内縁部170から外端側の交点部158に向かって、回転方向後側に湾曲する。なお、前記前側湾曲縁部156とカッター刃157は、何れも円弧状であり、前記前側湾曲縁部156に比べて前記カッター刃157の曲率半径が僅かに小さい。そして、前側湾曲縁部156の外端と前記カッター刃157の外端は、前記円盤体150の外周近傍位置において、前記交点部158で交わる。また、前記カッター刃157の内端は、内側交点部159で前記円弧内縁部170と交わる。一方、前記前側湾曲縁部156の内端は、内側交点部159Aで前記円弧内縁部170と交わる。
【0060】
前記交点部158と前記刃部151の外周面151Gとの間には、接続部165が設けられる。即ち、前記前側湾曲縁部156の外端とカッター刃157の外端は、前記外周面151Gに達しない。このように、前記刃部151に前記接続部165を設けることにより、飲料原料の破砕時に前記回転刃22が前記固定刃24に対し相対的に傾斜したとしても、前記接続部165同士が接触することになる。このため、前記回転刃22のカッター刃157と前記固定刃24のカッター刃157が接触して破損することが防止される。
【0061】
前記円盤体150の一側面において、前記溝部153には、前記前側湾曲縁部156及びカッター刃157に対応して、これらと同一形状の前側湾曲縁部156K及び後側湾曲縁部157Kが形成される。即ち、前記溝部153,153,153,153は、内端側である前記貫通孔152の円弧内面部170Kから外端側の交点部158Kに向かって、回転方向後側に湾曲する。また、前側湾曲縁部156K及び後側湾曲縁部157Kの外端は、交点部158Kで連結される。
【0062】
前記溝部153の一番低い部分である底部160が、前記貫通孔152の一側縁である。また、前記溝部153は、前記前側湾曲縁部156Kから深さ方向に形成された前側溝内面部161と、前記後側湾曲縁部157Kから深さ方向に形成された後側溝内面部162とを有する。そして、これら前側溝内面部161と後側溝内面部162とが、底部側の底縁部163で交差する。この底縁部163は、前記底部160の回転方向後端160Aから前記交点部158Kまで形成される。そして、前記底縁部163は、平面視で湾曲状をなす。また、前記底縁部163は、前記底部160の後端160Aから前記交点部158Kに向かって高くなるように傾斜して形成される。なお、この場合の平面視は、図17のように見た場合である。
【0063】
また、前記後側溝内面部162は、略垂直に起立して形成される。即ち、前記後側溝内面部162は、平面視で前記カッター刃157と同一形状の湾曲状をなす。そして、前記後側溝内面部162の下端に、前記底縁部163が位置する。一方、前記前側溝内面部161は、凹状の湾曲面により形成される。この前側溝内面部161の回転方向後端が前記底縁部163であると共に、前記前側溝内面部161の内端が前記底部160である。
【0064】
図15等に示すように、前記溝部153,153,153,153の前側溝内面部161は、前記円盤体150の回転方向(周方向)において、前記底縁部163から前記前側湾曲縁部156Kに向かって高くなるように傾斜する。そして、この前側湾曲縁部156Kにおいて、前記前側溝内面部161が前記円盤体150の一面側の平面部164と同一高さになる。そして、前記溝部153及び溝開口部155は、中央側から外周側に向かって幅が狭くなるように形成される。また、前記溝部153は、中央側から外周側に向かって浅くなるように形成される。
【0065】
更に、前記後側溝内面部162は、垂直であることが望ましいが、金型の抜き勾配として、前記後側溝内面部162の上方ほど回転方向後側に向かって、ごく僅かに傾斜するようにしても良い。前記後側溝内面部162の傾斜角度は、垂直を基準として1度未満、本例では0.5度である。なお、前記後側溝内面部162の高さが、前記溝部153,153,153,153の深さである。また、前記溝部153,153,153,153の前記円盤体150中央側により、溝導入部153A,153A,153A,153Aが構成される。そして、前記溝導入部153Aは、前記貫通孔152に連続して設けられる。
【0066】
また、前記後側溝内面部162の内端は、内側縦縁部159Kで前記円弧内面部170Kと交わる。一方、前記前側溝内面部161の内端は、内側交点部159B及び底部160で前記円弧内面部170Kと交わる。そして、前記内側縦縁部159K及び円弧内面部170Kは、前記内側交点部159及び円弧内縁部170の位置に設けられる。
【0067】
前記円盤体150は、前記刃部151を固定するための固定構造を備える。この固定構造は、前記円盤体150の一側面に形成された複数(本例では4個)の下孔171と、前記円盤体150の一側面に突設された複数(本例では2個)の位置決め突起172とを有する。そして、回転方向において隣り合う前記溝部153同士の間に、前記下孔171が設けられる。また、これらの下孔171の一部に隣接して、その回転方向後側に、前記位置決め突起172が設けられる。前記下孔171同士は、円周方向に等間隔(本例では90度間隔)で設けられる。同様に、前記位置決め突起172同士も、円周方向に等間隔(本例では180度間隔)で設けられる。一方、前記刃部151には、前記下孔171に対応するテーパー孔173と、前記位置決め突起172に対応する位置決め孔部174とが穿設される。そして、前記下孔171の上部には、前記テーパー孔173の円錐面が延長するように、前記テーパー孔部171Aが形成される。また、前記位置決め孔部174には、前記位置決め突起172が係入する。これら位置決め突起172と位置決め孔部174により、位置決め手段が構成される。なお、前記テーパー孔173は、前記位置決め突起172に比べて径が大きい。従って、誤って前記テーパー孔173に前記位置決め突起172が挿入されても、位置が定まらない。
【0068】
図18に示すように、前記位置決め突起172を前記位置決め孔部174に係入することにより、前記円盤体150に前記刃部151が位置決めされる。そして、前記テーパー孔173に挿通した皿螺子175を前記下孔171に螺合させることにより、前記円盤体150に前記刃部151が固定される。この固定状態で、前記皿螺子175の頭部175Aは、前記テーパー孔173内に収納されるので、前記刃部151の一側面から突出することがない。また、前記位置決め突起172は、その高さが前記刃部151の厚さよりも低い。このため、前記位置決め突起172は、前記位置決め孔部174に係入した状態で、前記刃部151の一側面から突出しない。また、前記皿螺子175は、固定手段である。そして、前記皿螺子175は、防錆性を有する金属(本例ではステンレス鋼)で構成される。なお、前記下孔171は、単なる円筒状の孔であってもよく、また、円筒状の孔の内面に雌螺子を形成してもよい。但し、本例では、前記円盤体150をPOMやPBT等で形成するので、雌螺子を形成するのは現実的ではない。このため、本例では、前記下孔171を単なる円筒状の孔とし、前記皿螺子175をタッピング螺子とする。
【0069】
図19に示すように、前記円盤体150の他側面には肉抜き部181が設けられる。具体的には、板状をなす前記平面部164の周囲に外周筒部182を設け、前記平面部164の中央に中央筒部184を設け、更に、曲面板状の溝形成部185を形成することにより、他側が凹んだ前記肉抜き部181が形成される。前記外周面150Gは、前記外周筒部182に形成される。また、前記中央筒部184は、前記平面部164の中央に形成される。そして、前記中央筒部184の内面に、前記貫通孔152を構成する前記円弧内面部170Kが設けられる。更に、前記溝形成部185には、前記溝部153が形成される。そして、前記平面部164には、取付ボス183が他側に突設して形成される。この取付ボス183には、前記刃部151を取り付けるための前記下孔171が形成される。なお、前記取付ボス183は、前記平面部164の平坦な他側面に突設される。
【0070】
また、前記円盤体150の他側面には、対向する一対の取付ボス183,183に近接して、ミル刃用取付部たる一対の前記取付ボス186,186が突設される。更に、前記取付ボス183と前記取付ボス186は、それぞれ略円柱状をなす。そして、隣り合う前記取付ボス183と前記取付ボス186は、それらの一部が一体成形される。また、前記取付ボス186,186と螺合するビス38,70は、防錆性を有する金属(本例ではステンレス鋼)で構成される。なお、前記下孔186Aは、単なる円筒状の孔であってもよく、また、円筒状の孔の内面に雌螺子を形成してもよい。但し、本例では、前記円盤体150をPOMやPBT等で形成するので、雌螺子を形成するのは現実的ではない。このため、本例では、前記下孔186Aを単なる円筒状の孔とし、前記ビス38,70をタッピング螺子とする。
【0071】
次に、前記回転刃22及び固定刃24の製造工程について説明する。まず、前記刃部151の製造工程について説明する。この刃部151は、一定の厚さのステンレス鋼板をプレス加工により打ち抜いて形成する。このプレス加工により、前記ステンレス鋼板から円盤状の刃部151が打ち抜かれる。同時に、この刃部151に、前記貫通孔152Hと、前記溝開口部155と、前記テーパー孔173と、前記位置決め孔部174とが形成される。なお、前記テーパー孔173は、この段階では単なる貫通孔である。このように、上面側から雄型により前記金属板151Aを打ち抜くと、塑性変形により、前記金属板151Aの上面側の縁は略R状に成形される。一方、前記金属板151Aの下面側の縁には、バリが下方に突出するように生じる。そして、前記金属板151Aの下面側が平坦になるように削ることにより、バリが除去される。このようにバリを除去することによって、前記溝開口部155に、前記カッター刃157を構成する略直角で且つ鋭利な縁が形成される。そして、前記金属板151Aの下面を一側面に配置することにより、ミル刃の一側面に鋭いカッター刃157を設けることができる。なお、前記テーパー孔173は、プレス後に皿取り加工される。このように、プレス加工による孔開け加工及びその後の簡単なバリ取り等により、前記カッター刃157を備えた前記刃部151を安価に且つ容易に製造することができる。また、前記刃部151にステンレス鋼を用いたことで、錆が発生せず、水洗い等に適したものとなる。
【0072】
また、円盤体150は、POMやPBT等のエンジニアリングプラスチック、即ち合成樹脂製の場合、射出成型等の型成形により成形される。一方、アルミニウム合金等の防錆性を有する金属製の場合は、ダイキャストやシェルモールド鋳造等、型を用いた鋳造により成形される。このように、前記円盤体150を合成樹脂や防錆性を有する金属で構成したことで、錆が発生せず、水洗い等に適したものとなる。
【0073】
そして、上述したように、前記刃部151と円盤体150とを前記皿螺子175により固定して一体化する。そして、前記皿螺子175をステンレス鋼としたことで、錆が発生せず、水洗い等に適したものとなる。
【0074】
このように、前記回転刃22及び前記固定刃24は、前記刃部151のみに硬い材質を用い、この刃部151のホルダーとなる前記円盤体150に、成形が容易で安価な合成樹脂等の材質を用いたから、成形が容易で、全体として安価なものとなる。
【0075】
次に、前記コーヒーメーカー1の使用方法の一例について説明する。まず使用者は、前記ドリッパー8を前記庇部5の下方から水平に引き出して、前記ドリッパー8内に前記ペーパーフィルター146をセットした後、前記ドリッパー8を前記庇部5の下方へ水平に押し込む。そして、前記飲料サーバー13を前記載置部4の加熱板11上に載置する。なお、前記飲料サーバー13が前記加熱板11上にセットされると、前記飲料サーバー13の蓋体16に設けられた湾曲面状の凸部16Aが、前記止液弁147に当接することによって、前記止液弁147が押し上げられて開く。そして、前記貯水部6内に、抽出するコーヒー液の杯数に応じた量の水を入れる。更に、前記ミル部17の前記蓋体89を外し、投入口である前記上部開口85から前記ホッパー86内に所定量のコーヒー豆を入れる。なお、この段階では、前記シャッター143が前記落下口62を塞いだ状態であり、前記ミル部17とドリッパー8内とが連通していない。
【0076】
そして、使用者が前記スイッチ10を操作すると、四つの動作が同時に行われる。一つ目は、シャッター進退手段(図示せず)が、前記落下口62を開く方向に、前記シャッター143を移動させることである。これによって、前記落下口62が開き、前記ミル部17が前記ドリッパー8内と連通する。二つ目は、前記ミル装置20を動作させることである。これによって、前記ミル装置20によりコーヒー豆が挽かれてコーヒー粉が得られ、このコーヒー粉が前記落下口62から前記ドリッパー8のペーパーフィルター146内に落下供給される。三つ目が、前記加熱手段7への通電を開始することである。これによって、前記貯水部6内の水が加熱されて湯となる。更に、四つ目が、前記ヒーター12への通電を開始することである。これによって、前記加熱板11に載置された前記飲料サーバー13が温められる。
【0077】
前記ミル装置20においては、コーヒー豆を投入する前に前記ダイヤル72を操作し、好みの粒度に調整しておく。そして、前記ミル装置20を動作させるために、前記電動機21を作動させると、この電動機21の回転が前記減速歯車群129により減速され、前記駆動歯車122に伝達され、この駆動歯車122に噛合した従動歯車33が回転する。
【0078】
この場合、図14に示すように、前記駆動歯車122は、前記従動歯車33との噛み合い側が下方に移動するように回転する。これによって、有負荷時に前記従動歯車33、ひいては前記ミル部17が下方に押し付けられるように力が働く。即ち、前記ミル部17が前記ケース本体2から外れる方向とは逆の方向に力が働くため、前記ミル部17を安定して駆動させることができる。
【0079】
コーヒー豆は前記ホッパー86の下部開口87,87から前記シュート部88に落下し、回転する前記ミルスクリュー35により前記収納筒部55内に送られる。そして、この収納筒部55内において、コーヒー豆は、前記固定刃24と回転する前記回転刃22により粉砕される。
【0080】
具体的には、コーヒー豆は、回転する前記ミルスクリュー35により、前記固定刃24の貫通孔152から、前記回転刃22と固定刃24の溝導入部153A,153A,153A,153Aに送り込まれる。そして、前記回転刃22の回転運動により送り込まれたコーヒー豆が、対向した前記刃部151,151のカッター刃157,157,157,157により粉砕される。即ち、前記各溝導入部153A,153A,153A,153Aに送られたコーヒー豆は、まず前記カッター刃157によって剪断される。この際、コーヒー豆は二つに切断される訳ではなく、粗く粉砕される。前記カッター刃157によって粗く粉砕されたコーヒー豆は、前記カッター刃157よりも回転方向後側の前記各溝部153に送られる。そして、前記回転刃22の溝部153と固定刃24の溝部153が協働して、粉砕されたコーヒー豆が前記回転刃22及び固定刃24の遠心方向に送られると共に、前記回転刃22のカッター刃157,157,157,157と前記固定刃24のカッター刃157,157,157,157が協働して、粉砕されたコーヒー豆が更に剪断され、細かく粉砕される。そして、前記カッター刃157,157,157,157によって粉砕されたコーヒー豆は、更に回転方向後側の溝部153,153,153,153に送られた後、これらの溝部153,153,153,153にて同様に遠心方向に送られると共に、更に細かく粉砕される。このようなコーヒー豆の移動及び粉砕が繰り返されることで、コーヒー豆は細かく粉砕され、前記回転刃22と固定刃24の外周から排出される。
【0081】
なお、前記円盤体150は外周側ほど細く且つ浅くなるように形成された複数の溝部153,153,153,153からなる溝部群154を有する。このため、前記溝導入部153Aに送られたコーヒー豆は、前記各溝部153,153,153,153の深さの変化に応じて徐々に細かくなるように粉砕される。従って、コーヒー豆を一気に細かく粉砕することにならないので、小出力の前記電動機21でも効率よくコーヒー豆を挽くことができる。更に、小出力の前記電動機21でも前記減速機構を用いて低速で良好にコーヒー豆を挽くことができるので、粉砕時にコーヒー豆の温度があまり上昇しない。このため、コーヒー豆の風味が損なわれにくい。
【0082】
更に、前記回転刃22と固定刃24の一面側は、前記溝開口部155及び貫通孔152Hが同一形状に形成されると共に、前記刃部151,151がそれぞれ回転対称に形成される。このため、前記回転刃22と固定刃24とを合わせて間でコーヒー豆を粉砕することにより、前記回転軸48を中心として対称となる位置でコーヒー豆が粉砕される。従って、コーヒー豆を粉砕する際の負荷をほぼ均等にして、コーヒー豆を良好に粉砕することができる。
【0083】
なお、前記ミル装置20は、所定量のコーヒー豆を全て挽くのに十分な時間が経過すると、停止する。
【0084】
そして、前記ミル装置20の動作が停止すると、前記シャッター進退手段(図示せず)が前記シャッター143を動かすことで、このシャッター143が前記落下口62を塞ぐ。そして、前記シャッター143が前記落下口62を塞いだ後、前記貯水部6内の水は、前記加熱手段7によって、所定の温度(85~90℃)の湯となる。この貯水部6内の湯が所定の温度に達したことが温度センサ(図示せず)により検知されると、前記加熱手段7への通電を停止した後、前記貯水部6内の湯が前記送湯手段9により前記送液路9Aを介して前記湯供給部18に送られ、複数の前記ノズル145から、湯が斜め下方に向かって噴射される。この噴射による給湯が、所定時間、例えば8秒間連続して行われた後、所定蒸らし時間である20秒間給湯が停止し、この間、コーヒー粉が蒸らされる。
【0085】
蒸らし時間が経過したら、前記貯水部6内の湯を全て連続給湯する。なお、前述した通り、前記貯水部6内の水の量が、抽出するコーヒー液の杯数に応じた量であるので、前記貯水部6内の全ての湯を前記ドリッパー8に供給すれば、所定の杯数のコーヒー液が得られることになると共に、前記貯水部6内が空になる。
【0086】
前記ドリッパー8において抽出されたコーヒー液は、前記止液弁147を通過した後、前記蓋体16の透孔を通過して、前記飲料サーバー13内に溜まる。そして、この飲料サーバー13を前記載置部4から取り外すと、コイルスプリング等の付勢手段(図示せず)によって前記止液弁147が押し下げられて閉じ、前記ドリッパー8からコーヒー液が滴下するのを防止することができる。
【0087】
使用後、前記ミル装置20を清掃するには、前記スライダ103,103の摘み部107,107の間隔を狭めるように持って前記係止爪部105を前記係止孔部119から外し、前記ミル部17を持ち上げて前記取付凹部19から取り外す。前記ミル部17を取り外した後、前記回転刃取付部23のカバー部材32を回して、前記固定刃取付部25のミルケース51との螺合を解除し、前記固定刃取付部25から前記回転刃取付部23を引き抜くようにして取り外す。
【0088】
このように、前記ミル部17を前記固定刃取付部25と回転刃取付部23に分解することにより、図12及び図13に示すように、前記固定刃24と回転刃22が露出する。これによって、前記回転刃22及び前記回転刃取付部23内に残ったコーヒー粉や、前記固定刃24及び前記固定刃取付部25の内部に残ったコーヒー粉を簡便に掃除することができる。なお、前述したように、前記刃部151及び皿螺子175が防錆性を有するステンレス鋼からなり、また、円盤体150も防錆性を有する合成樹脂等の材質からなる。このため、前記回転刃22及び前記固定刃24を水洗いにより清浄にすることができる。更に、前述したように、前記22及び前記固定刃24を固定するためのビス38,70も、防錆性を有するステンレス鋼からなる。このため、前記回転刃取付部23及び前記固定刃取付部25、即ち前記ミル部17を、水洗いにより清浄にすることができる。
【0089】
前記ミル部17を清掃した後、前記ミルスクリュー35を前記固定刃取付部25内に挿入し、前記回転軸48の先端を前記軸受部材61に挿入すると共に、前記収納筒部55の雄螺子部55Aに前記カバー部材32の雌螺子部45Aを螺合して、前記ミル部17を組み立てることができるから、組立も容易である。
【0090】
前記ミル部17の組立後、このミル部17を上方から前記取付凹部19に挿入すると、前記係止爪部105の外縁部105Aが前記底面部118Aの角部に当接する。ここから前記ミル部17を下方に押し込むと、前記コイルスプリング108が収縮し、前記係止爪部105が前記底面部118Aの角部を通過して前記係止孔部119に係止する。これによって、前記取付凹部19に前記ミル部17を取り付けることができる。このように前記ミル部17を前記取付凹部19に取り付ける際に、降下する前記従動歯車33は、回転しながら前記取付凹部19内の駆動歯車122と噛み合うので、この駆動歯車122と前記従動歯車33を確実に噛み合わせることができる。なお、図14では、前記従動歯車33は、右回りに回動しながら前記駆動歯車122と噛み合う。そして、前記ミル部17を前記取付凹部19に取り付けると、前記駆動歯車122と従動歯車33の回転中心軸122J,33Jは、水平方向にずれて、同じ高さで並ぶ。
【0091】
以上のように本実施例は、円盤状の基部たる円盤体150と、この円盤体150の一面側に一体化された円盤状の刃部151とを有し、前記円盤体150が、外周側ほど細く且つ浅くなるように形成された複数の溝部153,153,153,153からなる溝部群154を有し、前記刃部151が、前記溝部153の後側溝内面部162と同一形状で且つこの後側溝内面部162に沿って形成された縁部たるカッター刃157を有すると共に、前記刃部151が、一定厚さの板材たる金属板151Aで且つ前記円盤体150を構成する材質よりも硬度が高い材質によって構成され、刃部151のみを硬い材質とし、円盤体150を加工の容易な材質で構成することが可能となるので、安価に構成することができる。
【0092】
なお、前記刃部151が前記溝部153と同一形状の溝開口部155を有する有孔金属板からなり、前記刃部151の縁部たる前側湾曲縁部156及びカッター刃157が前記金属板151Aの溝開口部155に形成されるから、例えばプレス加工等によって、前記刃部151を容易且つ安価に製造することができる。
【0093】
また、前記刃部151が、防錆性を有する金属板151Aからなるから、ミル刃を水洗いして清浄にすることができる。
【0094】
また、前記刃部151がステンレス鋼からなるから、ミル刃を水洗いして清浄にすることができるばかりでなく、ミル刃を安価に製造することができる。
【0095】
しかも、円盤状の基部たる円盤体150と、この円盤体150の一面側に一体化された円盤状の刃部151とを有するミル刃の製造方法であって、前記円盤体150に、外周側ほど細く且つ浅くなる複数の溝部153,153,153,153を形成し、前記刃部151に、前記溝部153,153,153,153に対応する溝開口部155,155,155,155を形成すると共に、一定厚さの金属板151Aをプレス加工で打ち抜くことで、前記溝開口部155を有する前記刃部151を形成した後、前記プレス加工により前記金属板151Aの縁に生じたバリ側の面を平坦に削ることで、前記溝開口部155の縁を鋭利なカッター刃157とすることができるので、ミル刃の粉砕性能を高めることができるばかりでなく、前記ミル刃を安価に製造することができる。
【0096】
また、前記基部たる円盤体150を型成形によって合成樹脂で形成するから、円盤体150を容易且つ安価に製造することができる。
【0097】
また、基部たる前記円盤体150が、防錆性を有し且つ型成形可能な材質からなるから、例えばインジェクション成型や鋳型成型等により安価に円盤体150を製造することができるばかりでなく、ミル刃を水洗いして清浄にすることができる。
【0098】
また、基部たる前記円盤体150が合成樹脂からなるから、前記円盤体150を安価に製造することができるばかりでなく、ミル刃を水洗いして清浄にすることができる。
【0099】
更に、対のミル刃が、それらの刃部151,151同士が対向するように設置され、一方が固定刃24、他方が回転刃22とされることで、ミル装置20を安価に構成することができる。
【0100】
以下、実施例上の効果として、前記溝導入部153A及び前記溝開口部155の組が複数(本例では4組)形成されると共に、これらの組が回転対称に形成されることで、前記回転刃22の回転軸48を中心として対称となる位置でコーヒー豆が粉砕されるので、コーヒー豆を粉砕する際の負荷をほぼ均等にして、コーヒー豆を良好に粉砕することができる。また、同一のミル刃である回転刃22と固定刃24が、それらの刃部151,151同士が対向するように設置され、一方が回転刃22、他方が固定刃24とされるから、前記回転刃22の回転軸48を中心として対称となる位置でコーヒー豆が粉砕されるので、コーヒー豆を粉砕する際の負荷をほぼ均等にして、コーヒー豆を良好に粉砕することができる。更に、前記カッター刃157,157,157,157及び前記溝部153,153,153,153が前記円盤体150の中央側から外周側に向かって回転方向に対し遅れるように湾曲形成されるから、粉砕されたコーヒー粉は円滑に外周面150G側へと排出される。また、前記溝導入部153A,153A,153A,153Aは、前記円弧内面部170Kを除いて、略全面的に前記貫通孔152に連通しているから、前記貫通孔152から前記溝導入部153A内に送られたコーヒー豆が、前記溝部153により前記カッター刃157に案内され、このカッター刃157により粗粉砕された後、回転方向後側の前記カッター刃157により徐々に所望の粒度に粉砕される。
【0101】
また、螺合固定手段たる前記皿螺子175により前記刃部151を前記円盤体150に固定したから、前記刃部151と前記円盤体150の一方を交換することができる。更に、前記円盤体150の他側面に前記肉抜き部181を形成したから、前記円盤体150の材料費を削減し、同時に軽量化を図ることができる。また、前記溝導入部153A,153A,153A,153Aは、円弧内面部170Kを除いて、略全面的に前記貫通孔152に連通しているから、この貫通孔152から送られてきたコーヒー豆等を前記溝部153に円滑に導くことができる。更に、前記位置決め突起172と前記位置決め孔部174からなる位置決め手段を備えるから、前記刃部151と前記円盤体150との組立作業を容易且つ確実に行うことができる。また、取付状態で、前記皿螺子175の頭部175Aの上面及び前記位置決め突起172の上面が前記刃部151の一側面より下に収納されるから、前記皿螺子175の頭部175A及び前記位置決め突起172が、他方の前記刃部151に干渉することがない。更に、前記皿螺子175の頭部175Aが、前記円盤体150のテーパー孔部171Aと前記刃部151のテーパー孔173に係止するから、前記円盤体150と前記刃部151との位置決め効果が得られる。また、隣り合う溝部153,153を仕切る仕切り部たる前記円弧内面部170Kが、前記貫通孔152に連続して略垂直に縦設されているから、複数の前記溝部153内に略均等にコーヒー豆等を供給することができる。更に、隣り合う前記取付ボス183と前記取付ボス186は、一部が一体成形されているから、前記円盤体150に対する前記刃部151の取付強度及びミル刃自体の取付強度を向上することができる。また、ステンレス製で一定厚さの前記金属板151Aに、プレス加工により前記貫通孔152H及び前記溝開口部155となる孔部を打ち抜いて形成し、この孔部の縁の下面側に突出したバリを削り、前記カッター刃157を構成する直角な縁を形成する前記カッター刃157の加工方法であるから、前記金属板151Aの下面を一側面に配置することにより、ミル刃の一側面に鋭い前記カッター刃157を設けることができ、簡単なバリ取りによって前記カッター刃157を鋭くすることができるので、ミル刃の粉砕性能を高めることができるばかりでなく、前記ミル刃を安価に製造することができる。
【0102】
また、本体たるケース本体2と、このケース本体2の上部に設けられて飲料原料たるコーヒー豆を細かくして排出するミル部17と、前記ケース本体2に設けられて前記ミル部17を作動させるための電動機21と、を有するミル装置20において、前記ミル部17が前記ケース本体2に対し着脱可能に取り付けられ、前記ミル部17が、従動側伝達機構たる従動歯車33と、この従動歯車33に接続されて前記ミル部17に対し着脱可能に取り付けられた円盤状の回転刃22と、この回転刃22と対向して設けられて前記ミル部17に固定された円盤状の固定刃24とを有すると共に、前記ケース本体2に、前記電動機21によって回転させられて前記従動歯車33と着脱可能に結合する駆動側伝達機構たる駆動歯車122とを有するから、前記ケース本体2から前記ミル部17全体を取り外した後、このミル部17から前記従動歯車33ごと前記回転刃22を取り外すことで、前記回転刃22の手入れを容易に行うことができるばかりでなく、前記ミル部17を持って前記固定刃24の手入れを容易に行うことができる。
【0103】
なお、前記駆動側伝達機構が前記駆動歯車122であり、前記従動側伝達機構が前記従動歯車33であるから、前記ミル部17のケース本体2に対する着脱構造の自由度を高めることができる。
【0104】
また、前記駆動歯車122の回転中心軸122Jが水平に設けられると共に、前記ミル部17が前記ケース本体2に対し前記回転中心軸122Jと交差する上方から着脱可能であり、前記回転中心軸122Jの方向と平行に係脱するものでないから、前記ミル部17をケース本体2に対し容易に着脱させることができるばかりでなく、前記歯車33,122同士を容易に噛み合わせることができる。
【0105】
また、前記ミルスクリュー35を前記回転刃取付部23に設けたから、前記固定刃取付部25から前記回転刃取付部23を外すことにより、前記案内壁部58内から前記ミルスクリュー35を引き抜き、前記ミルケース51内を掃除し易くなる。また、前記ミル部17が組み立てられた状態で、前記収納筒部55内に前記固定刃24と回転刃22が収納されるから、この回転刃22と前記カバー部材32との間に、コーヒー粉が侵入し難く、手入れが容易となる。また、前記粒度調整手段65を前記固定刃取付部25に組み込み、前記固定刃用ホルダー66を収納筒部55の前壁部56に挿通して前記固定刃用ホルダー66の後側を収納筒部55内に配置し、前記固定刃用ホルダー66を前後位置調整可能に構成し、前記固定刃24の位置を調整するから、飲料原料の粒度の調整を安定して行うことができる。更に、前記後側凹部117の左右には、左右の前記スライダ103,103に対応して、左右の前記操作用凹部118,118が形成されているから、前記ミル部17を取り外し易い。また、前記縦凹部138には、その上部開口138Aから前記従動歯車33のハブ部46の後端が遊挿されるから、前記ミル部17の取り付けの際、前記従動歯車33のハブ部46が前記縦凹部138に案内されて取付作業を安定して行うことができる。更に、前記取付板34の前面の周囲には、前記回転刃22の周囲を挟む一対の前記突起部37,37が前側に突設されており、前記回転刃22と共に前記突起部37,37が前記収納筒部55の内周に近接して回転することにより、前記収納筒部55の内周に溜まるコーヒー粉を除去することができる。
【0106】
更に、前記減速歯車群129は、第1の回転板130の後部に4本の軸部131,131,131,131を突設し、各軸部131,131,131,131に遊星歯車である減速歯車132,132,132,132を回動可能に設け、これら減速歯車132,132,132,132の中央で太陽歯車である前記電動機側歯車126が各減速歯車132,132,132,132に噛合し、第1の回転板130の一側面である前側中央に太陽歯車である前記伝達歯車133が一体に設けられており、前記第2の回転板130Aの他側面である後側に前記伝達歯車133より歯数の少ない複数の遊星歯車である減速歯車132A,132A,132A,132Aを回動可能に設け、このように、減速機構を遊星歯車機構で構成したから、小さいスペースで高い減速効果が得られる。
【0107】
また、複数の前記ノズル145の中央に、前記ミル部17の落下口62を設けたから、コーヒー粉を前記ドリッパー8の中央に落下供給することができる。また、前記落下口62を開閉手段たる前記シャッター143により開閉することができる。更に、前記取付凹部19に対する前記ミル部17の着脱により、前記落下口62を前記湯供給部18の接続受け部たる前記挿通孔142に接続及び接続解除することができる。
【実施例0108】
図20及び図21は本発明の実施例2を示し、上記実施例1と同一部分に同一符号を付し、その説明を省略して詳述する。同図は回転刃22及び固定刃24の変形例を示す。
【0109】
この例では、円盤体150に前記下孔171及び位置決め突起172は設けられない。このため、刃部151に前記テーパー孔173及び位置決め孔部174は設けられない。そして、製造においては、インサート成形を行う。即ち、成形型(図示せず)内に前記刃部151を配置した状態で、該成形型内に溶融樹脂を充填し、樹脂が固化して前記円盤体150が形成されると共に、この円盤体150と前記刃部151が一体化される。
【0110】
このように、本実施例では、上記実施例1と同様な作用・効果を奏する。また、この例では、インサート成形により前記円盤体150と前記刃部151を一体化するから、固定構造及び固定作業が不要となる。
【実施例0111】
図22は本発明の実施例3を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その説明を省略して詳述する。同図は電動式のミル装置200であり、そのケース本体201には、ミル部17と駆動ユニット121とが設けられる。
【0112】
同図に示すように、前記ケース本体201は略直方体形状をなす。このケース本体201の上部に取付凹部19が設けられ、この取付凹部19に前記ミル部17が着脱自在に設けられる。また、前記ケース本体201の上部後側に、前記駆動ユニット121が内蔵される。
【0113】
前記ケース本体201の下部前側に、前記ミル部17の落下口62から落下したコーヒー粉を収納する収納ケース202が内蔵される。この収納ケース202は、前記ケース本体201の前面下部に設けられた開口部203から引出し可能に構成されると共に、その前面に取っ手部204が設けられる。
【0114】
以上のように本実施例は、ミル刃たる回転刃22と固定刃24と、これら回転刃22と固定刃24とを備えたミル装置200であるから、上記実施例1と同様な作用・効果を奏する。
【0115】
また、本体たるケース本体201と、このケース本体201の上部に設けられて飲料原料たるコーヒー豆を細かくして排出するミル部17と、前記ケース本体201に設けられて前記ミル部17を作動させるための電動機21と、を有するミル装置200において、前記ミル部17が前記ケース本体201に対し着脱可能に取り付けられ、前記ミル部17が、従動側伝達機構たる従動歯車33と、この従動歯車33に接続されて前記ミル部17に対し着脱可能に取り付けられた円盤状の回転刃22と、この回転刃22と対向して設けられて前記ミル部17に固定された円盤状の固定刃24とを有すると共に、前記ケース本体201に、前記電動機21によって回転させられて前記従動歯車33と着脱可能に結合する駆動側伝達機構たる駆動歯車122とを有するから、上記実施例1と同様な作用・効果を奏する。
【0116】
なお、本発明は以上の実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変実施が可能である。例えば、上記実施例では、カッター刃及び溝部が4個のものを例示したが、カッター刃及び溝部は2個、3個或いは5個以上の複数でも良い。また、上記実施例では、湾曲状の溝開口部及び溝部を示したが、溝開口部及び溝部は略三角形状のものでもよく、略三角形状の溝開口部及び溝部の場合も、外側の交点部が内側交点部より回転方向後側に位置するように斜めに溝開口部及び溝部を配置することが好ましい。更に、従動歯車と駆動歯車の回転中心軸は同一高さとすることが好ましいが、従動歯車の回転中心軸を駆動歯車の回転中心軸より高い位置にして従動歯車と駆動歯車が咬合するようにしても良い。この場合、回転中心軸同士が真上に位置しないように回転中心軸の平面位置をずらすようにすることが好ましい。また、本発明のミル装置は、コーヒー豆を粉砕するのに好適なものであるが、コーヒー豆以外でも例えばお茶等を粉砕するものでもよい。
【符号の説明】
【0117】
20 ミル装置
22 回転刃(ミル刃)
24 固定刃(ミル刃)
150 円盤体(基部)
150G 外周面
151 刃部
151A 金属板(板材)
152 貫通孔
152H 貫通孔(孔部)
153 溝部
154 溝部群
155 溝開口部(孔部)
156 前側湾曲縁部(縁部)
157 カッター刃(縁部)
162 後側溝内面部
図1
図2
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