(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022103262
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】車両内装システム
(51)【国際特許分類】
C03B 23/023 20060101AFI20220630BHJP
【FI】
C03B23/023
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076556
(22)【出願日】2022-05-06
(62)【分割の表示】P 2018568288の分割
【原出願日】2017-07-05
(31)【優先権主張番号】62/358,278
(32)【優先日】2016-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/458,692
(32)【優先日】2017-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】アトゥル クマール
(72)【発明者】
【氏名】チェン-チュン リ
(72)【発明者】
【氏名】ウイリアム マイケル セイダーマン
(72)【発明者】
【氏名】ヤウェイ サン
(57)【要約】
【課題】湾曲した冷間成形ガラス基板を備える車両内装システムを提供する。
【解決手段】
フレームと、第1の主面及び該第1の主面に対向する第2の主面を有するガラス基板と、 前記ガラス基板の元の形状を変えないように前記ガラス基板の前記第2の主面に取り付けられた1つ又は複数の機械的保持具とを備える車両内装システムであって、前記1つ又は複数の機械的保持具のうちの1つは前記フレームに係合することによって、前記ガラス基板を元の形状とは異なる湾曲形状に冷間成形して冷間成形ガラス基板とし、前記冷間成形ガラス基板は前記フレームに対して曲げ力を加えることを特徴とする。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内装システムであって、
フレームと、
第1の主面及び該第1の主面に対向する第2の主面を有するガラス基板と、
前記ガラス基板の元の形状を変えないように前記ガラス基板の前記第2の主面に取り付けられた1つ又は複数の機械的保持具と、
を備え、
前記1つ又は複数の機械的保持具のうちの1つは前記フレームに係合することによって、前記ガラス基板を元の形状とは異なる湾曲形状に冷間成形して冷間成形ガラス基板とし、前記冷間成形ガラス基板は前記フレームに対して曲げ力を加えることを特徴とする車両内装システム。
【請求項2】
前記機械的保持具が、前記ガラス基板の寸法の少なくとも95%に沿って延びるフレキシブル細片を備えた、請求項1記載の車両内装システム。
【請求項3】
前記フレキシブル細片は、前記ガラス基板の寸法の100%に沿って延びる、請求項2記載の車両内装システム。
【請求項4】
湾曲面を有する基部をさらに備え、
前記フレームが、前記湾曲面上に配置された、請求項1記載の車両内装システム。
【請求項5】
前記冷間成形ガラス基板は、熱的強化ガラスの単一シートガラスである、請求項1記載の車両内装システム。
【請求項6】
前記第2の主面上に装飾コーティングを含む、請求項1記載の車両内装システム。
【請求項7】
前記冷間成形ガラス基板は、前記第1の主面と前記第2の主面との間に延びる複数の副面を有し、前記副面は露出しており前記機械的保持具と接していない、請求項1記載の車両内装システム。
【請求項8】
前記フレームは、前記ガラス基板を湾曲形状に下支えする1つまたは複数の剛性部材を備える、請求項1記載の車両内装システム。
【発明の詳細な説明】
【関連技術の相互参照】
【0001】
本願は、その内容に依拠し、参照により、全内容が本明細書に組み込まれる、2016年7月5日出願の米国仮特許出願第62/358,278号、及び2017年2月14日出願の米国仮特許出願第62/458,692号の米国特許法第119条に基づく優先権を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本開示は湾曲した冷間成形ガラス基板、かかる基板を備えた物品、関連する方法、及びかかる基板を備えた車両内装システムに関するものである。
【背景技術】
【0003】
湾曲ガラス基板は、多くの状況において望ましい。かかる状況の1つは、電化製品、建築要素(例えば、壁、窓、モジュラー家具、シャワー扉、鏡等)、車両(例えば、自動車、航空機、船舶等)又は他の用途に組み込むことができる、湾曲ディスプレイのカバーガラスとしての利用である。かかる湾曲ガラス基板を形成する熱成形等の既存の方法は、高コスト、光学歪み、表面模様を含む欠点を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、熱成形された湾曲ガラス基板に一般的に見られる、光学歪み及び表面模様を示さない湾曲ガラス基板が必要とされている。従って、優れた表示品質を維持しつつ、熱成形された湾曲ガラス基板に一般的に見られる光学歪み及び表面模様を示さない、湾曲ガラス基板が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、湾曲した冷間成形ガラス基板と、冷間成形ガラス基板に取り付けられた複数の独立した機械的保持具とを備えた物品、及びかかる物品の製造方法に関わるものである。
【0006】
本開示の第1の態様は、湾曲形状を有する冷間成形ガラス基板と、複数の独立した機械的保持具と、フレームとを備えた物品に関している。冷間成形ガラス基板は、第1の主面及び第1の主面に対向する第2の主面を有している。冷間成形ガラス基板は、第1の主面及び第2の主面に直交し、領域を有する副面も有している。
【0007】
一部の実施形態において、複数の独立した機械的保持具が冷間成形ガラス基板の第2の主面に取り付けられている。一部の実施形態において、機械的保持具は、機械的保持具及びフレームの一方又は両方が、冷間成形ガラス基体の湾曲形状を維持するように、フレームに取り付けられている。一部の実施形態において、機械的保持具は、フレームが存在しない場合、冷間成形ガラス基板の湾曲形状を画成又は維持しない。一部の実施形態において、複数の機械的保持具の少なくとも一部は、金属又はプラスチックを含んでいる。1つ以上の実施形態において、物品は、冷間成形ガラス基板の第2の主面に複数の機械的保持具を取り付けるための接着剤、又は機械的締め具(即ち、ボルトとナット、クリップ等)を有している。1つ以上の実施形態において、物品は、複数の機械的保持具をフレームに固定するための接着剤も備えている。
【0008】
1つ以上の実施形態において、副面の表面領域の少なくとも一部が露出している(即ち、副面の少なくとも一部が見え、フレーム又は周囲の構成要素によって覆われていない)。一部の実施形態において、冷間成形ガラス基板の副面領域の少なくとも80%が露出している。例えば、冷間成形ガラス基板の副面領域の少なくとも85%、90%、95%、又は100%を露出させることができる。一部の実施形態において、冷間成形ガラス基板のすべての副面領域が露出している。一部の実施形態において、第1の主面全体がフレームに対して露出している。
【0009】
1つ以上の実施形態において、機械的保持具が、冷間成形ガラス基板の第2の主面に固定的に取り付けられている。一部の実施形態において、機械的保持具がフレームに着脱自在に取り付けられている。一部の実施形態において、機械的保持具が、フレームの少なくとも1つの凹部に挿入されている。
【0010】
一部の実施形態において、複数の機械的保持具の各々が、冷間成形ガラス基板の第2の主面に取付けられたガイドブロック、及びガイドブロックから突出したガイドピンを備えている。1つ以上の実施形態において、フレームが、複数の機械的保持具、例えば、ガイドピンの少なくとも一部を係合させる対応する構造を有している。かかる構造には、フレームにおける溝又は凹部が含まれる。1つ以上の実施形態において、ガイドピンの少なくとも一部が、フレームの少なくとも1つの溝又は少なくとも1つの凹部に挿入される。
【0011】
一部の実施形態において、複数の機械的保持具の少なくとも一部又はそれぞれが、各々冷間成形ガラス基板の第2の主面に取り付けられた、第1のガイドブロック、及び第2のガイドブロック、並びに第1及び第2のガイドブロックを貫通してガイドブロック間に延びるガイドレールを備えている。ガイドレールは、第1及び第2のガイドブロックの各々から、2つの方向に突出した。ガイドレールの第1の端部が、フレームの第1の溝に挿入され、ガイドレールの第2の端部が、フレームの第2の溝に挿入される。
【0012】
1つ以上の実施形態において、複数の機械的保持具の少なくとも一部又は各々が、冷間成形ガラス基板の寸法(即ち、長さ又は幅)の少なくとも80%、例えば、80%、85%、90%、95%、又は100%に沿って延びるフレキシブル細片を備えている。一部の実施形態において、複数の機械的保持具の少なくとも一部又は各々が、冷間成形ガラス基板の寸法の少なくとも95%、例えば、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%に沿ったフレキシブル細片を備えている。
【0013】
一部の実施形態において、物品は、冷間成形ガラス基板の第1及び第2の主面の少なくとも一方に配置された、少なくとも1つのコーティング、少なくとも1つの表面処理、又はコーティングと表面処理との組み合わせを更に備えている。一部の実施形態において、少なくとも1つのコーティングは、インクコーティング、反射防止コーティング、防眩コーティング、イージーツークリーンコーティング、導電性コーティング、及び触覚コーティングから成る群から選択される。表面処理は、防眩表面、触知フィードバックを与える触覚表面、証印を示す隆起部及び凹部を含むことができる。
【0014】
一部の実施形態において、少なくとも1つのコーティングの厚さが、コーティング領域全体にわたり5%を超えて変化せず、例えば、コーティング領域全体にわたり5%、4%、3%、2%、又は1%を超えて変化することはない。
【0015】
1つ以上の実施形態において、物品は、冷間成形ガラス基板の第2の主面に取り付けられたディスプレイを更に備えている。1つ以上の実施形態において、物品は、第2の主面とディスプレイとの間に空隙を有している。1つ以上の実施形態において、ディスプレイは第2の主面に直接接触している。
【0016】
1つ以上の実施形態において、冷間成形ガラス基板を通してフレームを見ることはできない。
【0017】
1つ以上の実施形態において、冷間成形ガラス基板は強化ガラス基板である。強化ガラス基板は、化学強化ガラス、熱強化ガラス、機械的強化ガラス、又は化学強化、熱強化、及び機械的強化のうちの任意の1つ以上を用いて強化したガラスを含むことができる。
【0018】
本開示の別の態様は、フレキシブルガラス基板、及び複数の独立した機械的保持具を備えた物品に関している。フレキシブルガラス基板は、第1の主面、及び第1の主面に対向する第2の主面を有している。一部の実施形態において、複数の機械的保持具の少なくとも1つが、フレキシブルガラス基板の第2の主面に、ガラス基板の柔軟性が維持されるように取り付けられている。
【0019】
一部の実施形態において、物品は、フレキシブルガラス基板の第2の主面に取り付けられたディスプレイを更に備えている。1つ以上の実施形態において、ディスプレイがフレキシブルであり、第2の主面に取り付けられたとき、ディスプレイの柔軟性が維持される。一部の実施形態において、物品はフレームを更に備えている。1つ以上の実施形態において、複数の機械的保持具の少なくとも1つがフレームに取り付けられて、フレキシブルガラス基板が、湾曲形状に冷間成形される。
【0020】
本開示の別の態様は、フレキシブルガラス基板に、基板の柔軟性が維持されるように、複数の独立した機械的保持具を取り付けるステップと、複数の独立した機械的保持具の少なくとも1つをフレームに取り付けて、フレキシブルガラス基板を湾曲形状に冷間成形するステップとを備えた方法に関している。一部の実施形態において、本方法は、ガラス基板の対向する主面の一方に、複数の独立した機械的保持具の少なくとも1つを取り付けるステップを更に備えている。
【0021】
一部の実施形態において、本方法は、複数の独立した機械的保持具の少なくとも1つをフレームに着脱自在に取り付けて、フレキシブルカラス基板を湾曲形状に冷間成形するステップを含んでいる。
【0022】
一部の実施形態において、本方法は、複数の独立した機械的保持具の少なくとも1つをフレームに取り付ける前に、ガラス基板の対向する主面の少なくとも一方に、少なくとも1つのコーティング又は表面処理を施すステップを更に備えている。1つ以上の実施形態において、本方法は、複数の独立した機械的保持具の少なくとも1つを、ガラス基板の対向する主面の少なくとも一方に取り付ける前に、ガラス基板の対向する主面の少なくとも一方に、少なくとも1つのコーティング又は表面処理を施すステップを含んでいる。
【0023】
一部の実施形態において、本方法は、複数の独立した機械的保持具の少なくとも1つをフレームに取り付ける前に、ガラス基板の対向する主面の一方に、ディスプレイを取り付けるステップを更に備えている。1つ以上の実施形態において、本方法は、ガラス基板の対向する主面の一方に、ディスプレイを取り付けてから、複数の独立した機械的保持具の少なくとも1つをガラス基板に取り付けるステップを含んでいる。一部の実施例において、本方法は、ガラス基板の対向する主面の一方にディスプレイを取り付けてから、複数の独立した機械的保持具の少なくとも1つをガラス基板に取り付けられたディスプレイに取り付けるステップを含んでいる。
【0024】
1つ以上の実施形態において、フレームは、複数の独立した機械的保持具の少なくとも1つに係合する、1つ以上の凹部、1つ以上の溝、又は他の構造を有している。1つ以上の実施形態において、本方法は、複数の独立した機械的保持具の少なくとも1つをフレームの少なくとも1つの凹部に挿入することによって、複数の独立した機械的保持具の少なくとも1つを取り付けるステップを含んでいる。
【0025】
一部の実施形態において、複数の独立した機械的保持具の少なくとも1つ又は各々が、ガラス基板の対向する主面の一方に取り付けられたガイドブロック、及びガイドブロックから突出したガイドピンを備えている。一部の実施形態において、本方法は、少なくとも1つのガイドピンをフレームの少なくとも1つの溝の1つに位置合わせして、少なくとも1つのガイドピンを溝に滑入させることによって、複数の独立した機械的保持具の少なくとも1つをフレームに取り付けるステップを含んでいる。
【0026】
1つ以上の実施形態において、複数の独立した機械的保持具の少なくとも1つ又は各々が、それぞれガラス基板の対向する主面の一方に取り付けられた、第1のガイドブロック及び第2のガイドブロック、並びに第1及び第2のガイドブロックを貫通してブロック間に延びるガイドレールを備えている。ガイドレールは、第1及び第2のガイドブロックの各々から2つの方向に突出している。一部の実施形態において、本方法は、ガイドレールの第1の端部をフレームの第1の溝に位置合わせし、ガイドレールの第2の端部をフレームの第2の溝に位置合わせして、ガイドレールの第1及び第2の端部を、それぞれ第1及び第2の溝に滑込させることによって、機械的保持具の少なくとも1つをフレームに取り付けるステップを含んでいる。
【0027】
本開示の別の態様は、第1の主面、及び第1の主面に対向する第2の主面を有するフレキシブルガラス基板と、フレキシブルガラス基板の第2の主面に、ガラス基板の柔軟性が維持されるように取り付けられた複数の機械的保持具と、複数の機械的保持具の少なくとも1つを係合させる溝又は凹部を備えたフレームとを含むキットに関している。
【0028】
1つ以上の実施形態において、キットはディスプレイを含んでいる。1つ以上の実施形態において、ディスプレイは第2の主面に取り付けられている。一部の実施形態において、ディスプレイはフレキシブルであり、フレキシブルガラス基板及びフレキシブルディスプレイの柔軟性が維持されている。1つ以上の実施形態において、ディスプレイは湾曲している。1つ以上の実施形態において、ディスプレイは液晶ディスプレイ(LCD)又は有機発光ディスプレイ(OLED)である。キットの1つ以上の実施形態において、フレームがディスプレイに取り付けられている。1つ以上の実施形態において、複数の機械的保持具の少なくとも1つがフレームに係合すると、ディスプレイと第2の主面との間に空隙が設けられる。1つ以上の実施形態において、複数の機械的保持具の少なくとも1つがフレームに係合すると、フレキシブルガラス基板が湾曲形状に冷間成形される。
【0029】
1つ以上の実施形態において、キットは、第1の主面、及び第1の主面に対向する第2の主面を有するフレキシブルガラス基板、フレキシブルガラス基板の第2の主面に、ガラス基板の柔軟性が維持されるように取り付けられた複数の機械的保持具、複数の機械的保持具の少なくとも1つを係合させる溝又は凹部を有するフレーム、及びディスプレイを含み、複数の機械的保持具の少なくとも1つがフレームに係合し、フレキシブルガラス基板が、湾曲形状を有する冷間成形フレキシブルガラス基板である。かかる実施形態において、ディスプレイは、フレキシブルガラス基板又はフレームに取り付けられていない。1つ以上の実施形態において、ディスプレイはフレキシブルである。1つ以上の実施形態において、ディスプレイは湾曲している。1つ以上の実施形態において、ディスプレイは液晶ディスプレイ(LCD)又は有機発光ディスプレイ(OLED)である。1つ以上の実施形態において、ディスプレイが第2の主面に取り付けられると、ディスプレイは、冷間成形フレキシブルガラス基板の湾曲形状を有する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本明細書に組み込まれる添付図面は、本明細書の一部を構成し、本開示の実施形態を例示するものである。説明と併せ、図面は本開示の実施形態の原理を説明すると共に、当業者が開示された実施形態の製造及び使用を可能にするのに役立つものである。これ等の図面は例示であって、限定するものではない。本開示は、概してこれ等の実施形態の文脈で説明されているが、本開示の範囲が、これ等の特定の実施形態に限定されることを意図するものではないことを理解されたい。図面において、類似の参照番号は、同一又は機能的に類似の要素を示す。
【
図1】1つ以上の実施形態による、フレキシブルガラス基板を示す図。
【
図2】1つ以上の実施形態による、湾曲形状を有するフレームを示す図である
図2Aおよび、
図2Aにおけるフレームの溝の拡大図を示す
図2Bからなる説明図。
【
図3】1つ以上の実施形態による、
図2A及び2Bのフレームに冷間成形した、
図1のフレキシブルガラス基板を含む物品を示す図。
【
図4】1つ以上の実施形態による、フレキシブルガラス基板、及びフレキシブルガラス基板に取り付けられた複数の独立した機械的保持具を示す図である
図4Aと、ガイドブロック、及びガイドブロックから突出したガイドピンを有する、
図4Aの機械的保持具の拡大図である
図4Bからなる説明図。
【
図5】1つ以上の実施形態による、第1の主面、第1の主面に対向する第2の主面、及び副面を有するフレキシブルガラス基板の斜視図。
【
図6】1つ以上の実施形態による、
図2Aのフレームに冷間成形した、
図4Aのフレキシブルガラス基板を含む物品を示す図。
【
図7】1つ以上の実施形態による、第1のガイドブロック、第2のガイドブロック、及び第1及び第2のガイドブロックを貫通してブロック間に延び、第1及び第2のガイドブロックの各々から、2方向に突出したガイドレールを有する機械的保持具を示す図。
【
図8】1つ以上の実施形態による、フレキシブルガラス基板及び基板表面に取り付けられた、機械的保持具としての2つのフレキシブル片を示す図。
【
図9A】1つ以上の実施形態による、溝を有するフレーム部分の斜視図。
【
図9B】1つ以上の実施形態による、2つの溝を有するフレーム部分の斜視図。
【
図10】表面にコーティングを有する、湾曲ガラス基板の冷間成形方法の例示的な実施形態を示す図である
図10A,10B,10C,10Dからなる説明図。
【
図11】
図10A~10Dに示す方法に対応する方法のフローチャートを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本明細書に上限値と下限値を含む数値の範囲が記載されている場合、特定の状況において、別段の定めがない限り、当該範囲はその端点を含むと共に、当該範囲内のすべての整数及び分数を含むことを意図している。範囲の定義において、特許請求の範囲は、記載した特定の値に限定されることを意図するものではない。更に、量、濃度、又は他の値若しくはパラメータが、ある範囲、1つ以上の好ましい範囲、又は好ましい上限値と好ましい下限値の一覧として与えられた場合、かかる対が別々に開示されているか否かを問わず、任意の上限範囲又は好ましい値、及び任意の下限範囲又は好ましい値の任意の対から形成される、すべての範囲を具体的に開示するものとして理解されたい。最後に、値又は範囲の端点の記述に「約」が使用されている場合、本開示は言及した具体的な値又は端点を含むと解釈されたい。ある数値又はある範囲の端点に「約」が記述されているか否かに関わらず、当該の値又は範囲の端点は、1つは「約」によって修飾された実施形態、もう1つは「約」によって修飾されていない実施形態の2つを含むことを意図している。
【0032】
本明細書において、「約」という用語は量、大きさ、式、パラメータ、及び他の量及び特性が正確又は正確である必要がなく、許容範囲、変換係数、四捨五入、測定誤差等、並びに当業者周知の他の要因を考慮して、必要に応じ、概算及び/又はより大きくても小さくてもよいことを意味する。
【0033】
本明細書において「又は」という用語は非排他的であって、より具体的には、「A又はB」は「A、B、又はAとBの両方」を意味する。排他的の「又は」は、本明細書では、例えば、「A又はBのいずれか」及び「A又はBの一方」等によって示される。
【0034】
要素又はコンポーネントを記述する不定冠詞「a」及び「an」は、これ等の要素又はコンポーネントの1つ又は少なくとも1つが存在していることを意味する。これ等の冠詞は慣例的に修飾される名詞が単数名詞であることを意味するために使用されるが、本明細書で使用される冠詞「a」及び「an」は、また、特定の状況において、別段の定めがない限り複数形も含む。同様に、本明細書において、定冠詞「the」は、特定の状況において、別段の定めがない限り、修飾された名詞が単数又は複数であってよいことを示す。
【0035】
「wherein」という用語は、開放移行句であって、構造の一連の特徴の列挙に使用される。
【0036】
本明細書において、「comprising」は開放移行句である。開放移行句「comprising」に続く要素のリストは、非排他的リストであって、これ等の具体的に列挙されたもの以外の要素も存在することができる。
【0037】
自動車製造業者は、今日の運転手と乗客をよりよく結び付け、保護し、安全に情報を与える内装を開発している。加えて、業界がコネクテッドカー、そして最終的には自律運転へと移行するに従って、大型で魅力的なフォーマットのディスプレイを生み出す必要がある。幾つかのOEMからの新しいモデルにおいて、タッチ機能を備えた大型ディスプレイへの傾向が既に存在している。かかる傾向は、電化製品、建築要素(例えば、壁、窓、モジュラー家具、シャワー扉、鏡等)、及び他の車両(例えば、航空機、船舶等)にも浸透しつつある。しかし、これ等のディスプレイの大半は、二次元のプラスチックカバーレンズから成っている。
【0038】
車両内装業界及び関連業界において、これ等の新たな傾向があるため、三次元の透明な表面を製造する低コストの技術を開発する必要がある。特に、ガラス基板がディスプレイ用の湾曲したカバーガラスとして使用される場合、かかる表面に化学強化、熱強化、及び/又は機械的強化ガラス材料等の強化ガラス材料を使用することが望ましい。
【0039】
湾曲ガラス表面を形成する多くの方法は、ガラス基板をガラスの転移温度より高い温度に加熱することを含む熱成形処理等、熱成形処理をガラス基板に施すことを含んでいる。かかる処理は、高い温度を必要とするため、エネルギー集約的であり、かかる処理は製品にかなりのコストを付加する可能性がある。更に、熱成形処理は、強度を低下させたり、ガラス基板上に存在するコーティングを損なったりする可能性がある。更に、熱成形処理は、歪みや模様等、ガラスそのものに望ましくない特性を与える可能性がある。
【0040】
自動車の内装及び家電業界では、ガラス製品に装飾及び/又は機能コーティング、及び/又は表面処理を施す必要もある。装飾コーティングは、パターン、デザイン、商標、スローガン、又は任意の単語やフレーズを形成するインクコーティングを含むことができる。機能コーティングは、防眩、反射防止、イージーツークリーン、装飾インク、導電性コーティング(タッチセンサー、銀ナノワイヤ、カーボンナノチューブ、グラフェン、及びニッケル、チタン、クロムの任意の1つ以上を含むことができる薄膜(即ち、Ni、Ti、及び/又はCr含有薄膜)等に使用される酸化インジウムスズ又はITOコーティング)、及び触覚コーティングを含むが、これに限定されるものではない。1つ以上の実施形態において、表面処理は、防眩表面、触知フィードバックを与える触覚表面、証印等を示す陥凹部及び/又は隆起部を含むことができる。
【0041】
かかるコーティング又は表面処理を三次元表面に均一に施すことは、困難であるだけでなく、場合により法外な費用を要する。例えば、二次元の平坦な表面にコーティング及び/又は表面処理を施すことの方がより簡単かつ安価である。例えば、反射防止コーティングは、蒸着技術を利用して、湾曲表面に蒸着するのではなく、平坦な表面に蒸着することができる。蒸着技術を利用して、三次元表面にかかるコーティングを均一に施すことは困難であり、更に処理コストを増大させる。もう1つの例は、インクを用いて装飾を施すことである。従来のスクリーン印刷(又は小さな部品に対するパッド印刷)は、二次元の平坦な自動車内装部品の装飾に最も広く利用されている方法である。この方法は三次元部品に対して厳しい制限を有している。若干の修正を加えたスクリーン印刷は、緩やかな曲線を有する三次元部品に利用することはできるが、平坦な表面にスクリーン印刷を施すより費用がかる。従って、本明細書に記載の問題に対処する三次元ガラス表面を構成する必要がある。
【0042】
本開示の様々な態様は、ユーザーの視界から(即ち、第1の主面から)大部分が隠れている機械的保持具を使用して、湾曲形状を維持する冷間成形ガラス基板を含む物品に関している。例えば、機械的保持具の少なくとも1つは、ガラス基板の対向する主面(即ち、第2の主面)に取り付けられ、次にフレキシブルガラス基板をフレームに取り付けるガイドピン又は細片を含むことができる。フレームは、機械的保持具に係合する対応構造(例えば、1つ以上の凹部、1つ以上の溝、又は他のかかる構造)を有している。かかる構成において、冷間成形ガラス基板の副面(又は縁部)をフリーにすることができ、ベゼルによって保持又は覆われていない。かかる実施形態において、機械的保持具は見えないが、副面の少なくとも一部が露出又はユーザーに対し見えるようにすることができる。得られた物品は、消費者にとってより魅力的であり、かつ自動車の内装設計者により広い設計空間を与えることができる。
【0043】
本明細書で説明するように、一部の実施形態において、ガラス基板が平坦な二次元構成にある間に、基板にコーティング及び/又は表面処理を施すことができ、次いでガラス基板が湾曲にされる。
【0044】
得られる物品は、車両製造業、及び家電業界等(湾曲した電話機、テレビ、モニター等)、他の業界に適用することができる。
【0045】
本開示の第1の態様は、第1の主面、及び第1の主面に対向する第2の主面を有するフレキシブルガラス基板と、フレキシブルガラス基板の第2の主面に、ガラス基板の柔軟性が維持されるように取り付けられた、複数の独立した機械的保持具とを備えた物品に関している。
【0046】
図1はフレキシブルガラス基板100の実施形態を示す図である。フレキシブルガラス基板100は、十分な柔軟性を有し、ガラス基板100の高品質を維持する冷間成形方法を用いて三次元形状に湾曲させることができる。「冷間成形」は、ガラスの転移温度より低い温度でガラス基板を曲げることを意味すると言う点で、熱成形プロセスと区別することができる。一部の実施形態において、冷間成形は、700°F(約371℃)、600°F(約316℃)、500°F(約260℃)、400°F(約204℃)、310°F(約154℃)、300°F(約149℃)、280°F(約138℃)、200°F(約93℃)、100°F(約38℃)、50°F(約10℃)、又はこれ等の値の1つを下回る範囲若しくはこれ等の値のいずれか2つによって規定される範囲等、800°F(約427℃)未満の温度で行われる。
【0047】
図5において、フレキシブルガラス基板100は、元の平面(平坦な)形状、又は冷間成形された湾曲形状のいずれにおいても、第1の主面102、第1の主面102に対向する第2の主面104、及び複数の副面110を有している。ガラス基板100が固定具に取り付けられたとき、第1の主面102が、ガラス基板100の上面(頂面又は前面)であり、第2の主面104が、ガラス基板100の下面(底面又は背面)であってよい。副面110は、第1と第2の主面102、104との間に直交して存在している。副面は縁部と記述することができる。
【0048】
図示の実施形態において、フレキシブルガラス基板は、対向する主面102、104間の距離として定義される、実質的に一定の厚さ(t)を有している。本明細書において、厚さ(t)はフレキシブルガラス基板の最大の厚さを意味する。1つ以上の実施形態において、フレキシブルガラス基板は、約1.5mm以下の厚さ(t)を有している。例えば、厚さは約0.1mm~約1.5mm、約0.15mm~約1.5mm、約0.2~約1.5mm、約0.25~約1.5mm、約0.3~約1.5mm、約0.35~約1.5mm、約0.4~約1.5mm、約0.45~約1.5mm、約0.5mm~約1.5mm、約0.55mm~約1.5mm、約0.6mm~約1.5mm、約0.65mm~約1.5mm、約0.7mm~約1.5mm、約0.1mm~約1.4mm、約0.1mm~約1.3mm、約0.1mm~約1.2mm、約0.1mm~約1.1mm、約0.1mm~約1.05mm、約0.1mm~約1mm、約0.1mm~約0.95mm、約0.1mm~約0.9mm、約0.1mm~約0.85mm、約0.1mm~約0.8mm、約0.1mm~約0.75mm、約0.1mm~約0.7mm、約0.1mm~約0.65mm、約0.1mm~約0.6mm、約0.1mm~約0.55mm、約0.1mm~約0.5mm、約0.1mm~約0.4mm、又は約0.3mm~約0.7mmであってよい。
【0049】
1つ以上の実施形態において、フレキシブルガラス基板は、約5cm~約250cm、約10cm~約250cm、約15cm~約250cm、約20cm~約250cm、約25cm~約250cm、約30cm~約250cm、約35cm~約250cm、約40cm~約250cm、約45cm~約250cm、約50cm~約250cm、約55cm~約250cm、約60cm~約250cm、約65cm~約250cm、約70cm~約250cm、約75cm~約250cm、約80cm~約250cm、約85cm~約250cm、約90cm~約250cm、約95cm~約250cm、約100cm~約250cm、約110cm~約250cm、約120cm~約250cm、約130cm~約250cm、約140cm~約250cm、約150cm~約250cm、約5cm~約240cm、約5cm~約230cm、約5cm~約220cm、約5cm~約210cm、約5cm~約200cm、約5cm~約190cm、約5cm~約180cm、約5cm~約170cm、約5cm~約160cm、約5cm~約150cm、約5cm~約140cm、約5cm~約130cm、約5cm~約120cm、約5cm~約110cm、約5cm~約110cm、約5cm~約100cm、約5cm~約90cm、約5cm~約80cm、又は約5cm~約75cmの幅を有している。
【0050】
1つ以上の実施形態において、フレキシブルガラス基板は、約5cm~約250cm、約10cm~約250cm、約15cm~約250cm、約20cm~約250cm、約25cm~約250cm、約30cm~約250cm、約35cm~約250cm、約40cm~約250cm、約45cm~約250cm、約50cm~約250cm、約55cmから約250cm、約60cm~約250cm、約65cm~約250cm、約70cm~約250cm、約75cm~約250cm、約80cm~約250cm、約85cm~約250cm、約90cm~約250cm、約95cm~約250cm、約100cm~約250cm、約110cm~約250cm、約120cm~約250cm、約130cm~約250cm、約140cm~約250cm、約150cm~約250cm、約5cm~約240cm、約5cm~約230cm、約5cm~約220cm、約5cm~約210cm、約5cm~約200cm、約5cm~約190cm、約5cm~約180cm、約5cm~約170cm、約5cm~約160cm、約5cm~約150cm、約5cm~約140cm、約5cm~約130cm、約5cm~約120cm、約5cm~約110cm、約5cm~約110cm、約5cm~約100cm、約5cm~約90cm、約5cm~約80cm、又は約5cm~約75cmの長さを有している。
【0051】
一部の実施形態において、フレキシブルガラス基板は、シートとして提供される。1つ以上の実施形態において、フレキシブルガラス基板を(本明細書に記載の物品の一部の実施形態に成形する前に)強化することができる。例えば、フレキシブルガラス基板は、熱強化、化学強化、機械的強化、又はこれ等の組み合わせのうちの任意の1つ以上によって強化することができる。一部の実施形態において、強化フレキシブルガラス基板は、基板表面から圧縮応力深さ(又は、圧縮応力層深さ若しくはDOL)まで延びる、圧縮応力(CS)層を有することができる。圧縮深さは、圧縮応力が引張応力に切り替わる深さである。ガラス基板内の引張応力を示す領域は、しばしば中心張力又はCT層と呼ばれている。
【0052】
本明細書において、「熱強化された」とは、熱処理を施して強度を向上させたガラス基板を意味する。熱強化されたガラス基板において、CS層は、ガラス転移温度を超える高温(すなわち、ガラス軟化点付近またはそれに近い温度)に基板を加熱し、次いでガラス表面領域をガラスの内部領域より急速に冷却することによって形成される。表面領域と内部領域との間の異なる冷却速度によって、表面に残留CS層が生成される。
【0053】
熱強化処理によって生成される表面圧縮の程度に影響を与える要因には、空気冷却温度、体積、及び少なくとも10,000ポンド/平方インチ(psi)(約6.895×107パスカル)の表面圧縮を生み出すその他の変数が含まれる。化学強化ガラス基板において、ガラスネットワークが緩和することができる温度より低い温度で、より小さいイオンをより大きいイオンで置換すると、ガラスの表面全体にイオン分布が生じ、その結果、応力プロファイルが生成される。より大きい体積の入来イオンが、表面から延びるCS層、及びガラス中央部にCT層を生成する。化学強化は、ガラス基板を溶融塩浴に所定の時間浸漬して、ガラス基板の表面又は表面付近のイオンを、より大きい金属イオンと交換することができるイオン交換処理によって達成することができる。一部の実施形態において、溶融塩浴の温度は約375℃~約450℃であり、所定の時間は約4時間~約8時間である。1つの実施例において、ガラス基板中のナトリウムイオンが、硝酸カリウム塩浴等の溶融浴からのカリウムイオンによって置換されるが、ルビジウム又はセシウム等のより大きい原子半径を有する他のアルカリ金属イオンも、ガラス中のより小さいアルカリ金属イオンを置換することができる。別の実施例において、ガラス基板中のリチウムイオンが、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、又はこれ等の組み合わせを含むことができる溶融浴からのカリウム及び/又はナトリウムイオンによって置換されるが、ルビジウム又はセシウム等のより大きい原子半径を有する他のアルカリ金属イオンも、ガラス中のより小さいアルカリ金属イオンを置換することができる。一部の実施形態において、ガラス基板中のより小さいアルカリ金属イオンを銀イオンで置換することができる。同様に、硫酸塩、リン酸塩、ハロゲン化物等を含みこれに限定されない、他のアルカリ金属塩をイオン交換処理に使用することができる。ガラス基板は、単一浴、又は互いに同じ若しくは異なる組成及び/又は温度を有することができる複数の連続浴に浸漬することができる。一部の実施形態において、かかる複数浴に対し互いに異なる時間浸漬することができる。
【0054】
機械的強化ガラス基板では、ガラス基板の部分間の熱膨張係数の不整合によってCS層が生成される。
【0055】
強化ガラス基板において、DOLは、以下の近似関係(式1)によってCT値と関係している。
【0056】
【0057】
ここで、厚さは、強化フレキシブルガラス基板の全厚さである。別段の定めがない限り、CT及びCSは、本明細書ではメガパスカル(MPa)で表され、厚さ及びDOLは、ミリメートル又はマイクロメートルで示される。別段の定めがない限り、CS値は表面で測定した値であり、CT値は(式1によって決定される)引張応力値である。
【0058】
一部の実施形態において、強化フレキシブルガラス基板(又は本明細書に記載の冷間成形ガラス基板)は、400MPa以上、450MPa以上、500MPa以上、550MPa以上、600MPa以上、650MPa以上、700MPa以上、750MPa以上、又は800MPa以上等、300MPa以上の表面CSを有することができる。一部の実施形態において、表面CSはガラス基板における最大のCSである。強化ガラス基板(又は本明細書に記載の冷間成形ガラス基板)は、15マイクロメートル以上、20マイクロメートル以上(例えば、25、30、35、40、45、50マイクロメートル以上)のDOL、及び/又は10MPa以上、20MPa以上、30MPa以上、40MPa以上(例えば、42MPa、45MPa、または50MPa以上)、100MPa未満(例えば、95、90、85、80、75、70、65、60、55MPa以下)の最大CT値を有することができる。1つ以上の特定の実施形態において、強化フレキシブルガラス基板(又は本明細書に記載の冷間成形ガラス基板)は、500MPaを超える表面CS、15マイクロメートルを超えるDOL、及び18MPaを超える最大CTのうちの1つ以上を有することができる。
【0059】
CS及びDOLは、折原製作所(日本国、東京)が製造している市販のFSM-6000機器等の表面応力計によって測定することができる。表面応力の測定は、ガラスの複屈折に関連する応力光学係数(SOC)の正確な測定に依存している。SOCは、参照により全内容が本明細書に組み込まれる「Standard Test Method for Measurement of Glass Stress-Optical Coefficient」と題する、ASTM規格C770-98(2013)にいずれも記載されているファイバー及び四点曲げ試験、並びにバルクシリンダー法等、当技術分野で公知の方法によって測定される。
【0060】
ガラス基板の材料は様々であってよい。本明細書に記載の物品の形成に使用されるガラス基板は、非晶質又は結晶質であってよい。この関連で、「ガラス」という用語の使用は一般的なものであって、厳密に非晶質の材料以外のものも含むことを意図している。一部の実施形態による非晶質ガラス基板は、ソーダライムガラス、アルカリアルミノシリケートガラス、アルカリ含有ホウケイ酸ガラス、及びアルカリアルミノホウケイ酸ガラスから選択することができる。結晶質ガラス基板の例には、Li2O-Al2O3-SiO2系(即ち、LAS系)ガラスセラミック、MgO-Al2O3-SiO2系(即ち、MAS系)ガラスセラミック、ムライト、スピネル、α-石英、β-石英固溶体、ペタライト、二ケイ酸リチウム、β-スポジュメン、ネフェリン、アルミナのうちのいずれか1つ以上の結晶相を含むガラスセラミックが含まれる。
【0061】
ガラス基板は、様々な方法によって形成することができる。例えば、例示的なガラス基板の形成方法には、フロートガラス法、及びフュージョンドロー、スロットドロー等のダウンドロー法が含まれる。フロートガラス法によるガラス基板は、滑らかな表面を特徴とすることができ、均一な厚さは、通常はスズである溶融金属床の上に溶融ガラスを浮遊させることによって得られる。例示的な方法において、溶融スズ床の表面上に供給された溶融ガラスによって、浮遊ガラスリボンが形成される。ガラスリボンがスズ浴に沿って流れるにつれ、温度が徐々に低下して、ガラスリボンが固体ガラスリボンに固化し、スズ浴からローラーに引き上げることができる。スズ浴から引き上げた後、ガラス基板を更に冷却し、アニールして内部応力を低減することができる。
【0062】
ダウンドロー法は、均一な厚さを有し、比較的清浄無垢な表面を有するガラス基板を生成する。ダウンドローしたガラス基板は、約2mm未満の厚さに延伸することができる。加えて、ダウンドローしたガラス基板は、高価な研削及び研磨を必要とせずに、最終用途に使用できる非常に平坦かつ滑らかな表面を有している。
【0063】
フュージョンドロー法は、例えば、溶融ガラス原料を受け取るためのチャネルを有する延伸タンクを使用する。チャネルは、チャネルの両側に、チャネルの長さに沿って上に開放した堰を有している。溶融ガラスでチャネルが満たされると、溶融ガラスは堰をオーバーフローする。重力によって、溶融ガラスは、2つの流動ガラス膜として、延伸タンクの外面を流れ下る。延伸タンクのこれ等の外面は、下方かつに内側に延びて延伸タンクの下方の縁部で接合している。2つの流動するガラス膜は、この縁部で合流して1つの流動するガラスシートを形成する。フュージョンドロー法は、チャネルを越えて流れる2つのガラス膜が互いに融合するため、得られるガラス基板のいずれの外面も、装置の部品に全く触れないという利点を有している。従って、フュージョンドローしたガラス基板の表面特性は、かかる接触に影響されない。
【0064】
スロットドロー法は、溶融ドロー法とは明確に異なる。スロットドロー法では、溶融原料ガラスが、延伸タンクに供給される。延伸タンクの底部に開放スロットが設けられ、開放スロットは、スロットの長さに沿って延びるノズルを有している。溶融ガラスはスロット/ノズルを通して流れ、連続シートとして下方に延伸され、アニーリング領域に入る。
【0065】
ここで、フレキシブルガラス基板又は冷間成形ガラス基板に使用される例示的な組成について説明する。1つの例示的なガラス組成は、SiO2、B2O3、及びNa2Oを含み、(SiO2+B2O3)≧66モル%、Na2O≧9モル%である。一部の実施形態において、適切なガラス組成は、K2O、MgO、及びCaOのうちの少なくとも1種を更に含んでいる。一部の実施形態において、ガラス組成は、61~75モル%のSiO2、7~15モル%のAl2O3、0~12モル%のB2O3、9~21モル%のNa2O、0~4モル%のK2O、0~7モル%のMgO、及び0~3モル%のCaOを含むことができる。
【0066】
別の例示的なガラス組成は、60~70モル%のSiO2、6~14モル%のAl2O3、0~15モル%のB2O3、0~15モル%のLi2O、0~20モル%のNa2O、0~10モル%のK2O、0~8モル%のMgO、0~10モル%のCaO、0~5モル%のZrO2、0~1モル%のSnO2、0~1モル%のCeO2、50ppm未満のAs2O3、及び50ppm未満のSb2O3を含み、12モル%≦(Li2O+Na2O+K2O)≦20モル%、及び0モル%≦(MgO+CaO)≦10モル%である。
【0067】
更に別の例示的なガラス組成は、63.5~66.5モル%のSiO2、8~12モル%のAl2O3、0~3モル%のB2O3、0~5モル%のLi2O、8~18モル%のNa2O、0~5モル%のK2O、1~7モル%のMgO、0~2.5モル%のCaO、0~3モル%のZrO2、0.05~0.25モル%のSnO2、0.05~0.5モル%のCeO2、50ppm未満のAs2O3、及び50ppm未満のSb2O3を含み、14モル%≦(Li2O+Na2O+K2O)≦18モル%、及び2モル%≦(MgO+CaO)≦7モル%である。
【0068】
一部の実施形態において、アルカリアルミノシリケートガラス組成は、アルミナ、少なくとも1種のアルカリ金属、及び一部の実施形態においては、50モル%より大きいSiO2、別の実施形態においては、少なくとも58モル%のSiO2、更に別の形態においては、少なくとも60モル%のSiO2を含み、比((Al2O3+B2O3)/Σ改質剤)>1であり、この比において、成分はモル%で表され、改質剤はアルカリ金属酸化物である。特定の実施形態において、このガラス組成は58~72モル%のSiO2、9~17モル%のAl2O3、2~12モル%のB2O3、8~16モル%のNa2O、及び0~4モル%のK2Oを含み、比((Al2O3+B2O3)/Σ改質剤)>1である。
【0069】
一部の実施形態において、ガラス基板は、64~68モル%のSiO2、12~16モル%のNa2O、8~12モル%のAl2O3、0~3モル%のB2O3、2~5モル%のK2O、4~6モル%のMgO、及び0~5モル%のCaOを含み、66モル%≦SiO2+B2O3+CaO≦69モル%、Na2O+K2O+B2O3+MgO+CaO+SrO>10モル%、5モル%≦MgO+CaO+SrO≦8モル%、(Na2O+B2O3)≧Al2O3≧2モル%、2モル%≦Na2O≦Al2O3≦6モル%、及び4モル%≦(Na2O+K2O)≦Al2O3≦10モル%である、アルカリアルミノシリケートガラス組成を含むことができる。
【0070】
一部の実施形態において、ガラス基板は、2モル%以上のAl2O3及び/又はZrO2、又は4モル%以上のAl2O3及び/又はZrO2を含む、アルカリアルミノシリケートガラス組成を含むことができる。
【0071】
一部の実施形態において、ガラス基板に使用される組成は、Na2SO4、NaCl、NaF、NaBr、K2SO4、KCl、KF、KBr、及びSnO2から成る群から選択される、少なくとも1種の0~2モル%の清澄剤を含むバッチにすることができる。
【0072】
具体的な様々なガラスが本明細書に記載されているが、一部の実施形態において、任意の冷間成形可能なガラスを使用することができる。
【0073】
物品は、単一シートガラス又はガラスラミネートを含むことができる。一部の実施形態において、ラミネートは、本明細書に記載の基板等、対向するガラス基板を意味する。一部の実施形態において、ガラス基板は、ポリ(ビニルブチラール)(PVB)、エチレンビニルアセテート(EVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、アイオノマー、及び熱可塑性ポリウレタン(TPU)等の中間層によって分離することができる。ラミネートの一部を構成するガラス基板は、前述のように(化学的、熱的、及び/又は機械的に)強化することができる。本明細書に開示の物品の一部の実施形態は、かかる物品が湾曲ディスプレイに対応することができる湾曲カバーを提供することができるため、自動車の内装に有用である。湾曲ディスプレイに対応するためには、カバーは、湾曲ディスプレイの形状とぴったり一致して最適な適合性を保証し、高品質の表示を可能にする必要がある。高い光学的品質及び費用効果の高いカバーを提供することも望ましい。カバーを正確な形状に熱成形することは、望ましい形状を達成する上において課題がある。加えて、ガラスを使用する場合、カバーを軟化点まで加熱することによるマイナスの影響(例えば、歪み及び模様)を抑制することが困難である。冷間成形の概念は、これ等の問題に対処してガラスの使用を可能にするが、冷間成形形状の維持に十分な支持を与えると共に、剛性を提供するための新たな課題を生み出している。薄いガラス基板を所定の形状に冷間成形する能力は、高品質で費用効果の高い解決策の機会を提供する。
【0074】
1つ以上の実施形態において、フレキシブルガラス基板100は、第2の主面104に取り付けられたディスプレイを含むことができる。ディスプレイは、液晶ディスプレイ(LCD)又は有機発光ダイオードディスプレイ(OLED)であってよい。1つ以上の実施形態において、ディスプレイは柔軟であり、第2の主面に取り付けられたとき、ディスプレイの柔軟性が維持される。1つ以上の実施形態において、物品は、フレームを備え、機械的保持具がフレームに取り付けられ、フレキシブルガラス基板が湾曲形状に冷間成形される。
【0075】
本開示の第2の態様は、湾曲形状に冷間成形されたガラス基板であって、第1の主面、及び第1の主面に対向する第2の主面を有する基板と、冷間成形されたガラス基板の第2の主面に取り付けられた、複数の独立した機械的保持具と、フレームとを備えた物品であって、機械的保持具がフレームに取り付けられ、機械的保持具及びフレームの一方又は両方が、冷間成形ガラス基板の湾曲形状を維持している、物品に関している。
【0076】
1つ以上の実施形態において、フレキシブルガラス基板100が、
図3、6、及び10Dに示すように、冷間成形ガラス基板に冷間成形されたとき、対向する主面102、104は、冷間成形中に生じた互いに異なる表面応力を示す。これ等の応力には、冷間成形処理によって生成された表面圧縮応力が含まれている。ガラス基板が、ガラス転移温度より十分低い温度に維持されるため、この応力は熱的に緩和されることはない。
【0077】
一部の実施形態において、冷間成形ガラス基板は、第1及び第2の主面の1つ以上の非平面点、その近く、又は近傍において、互いに異なる圧縮応力を示す。
図6に示すように、第1及び第2の主面102、104は、湾曲の方向に応じて張力又は圧縮状態になる。位置103における第1の主面102は張力状態にあり、同じ位置103における第2の主面104は圧縮状態にある。従って、位置103における第1の主面102は、位置103における第2の主面104より大きい表面応力を示す。ガラス基板100が、本明細書に記載のように強化された場合であっても、この非対称の表面圧縮応力を示し、冷間成形される前に表面圧縮応力を示す。
【0078】
一部の実施形態において、冷間成形ガラス基板は「展開可能」表面を形成する。展開可能表面は、ガウス曲率がゼロの表面を有している。1つ以上の実施形態において、展開可能な表面は、冷間成形ガラス基板表面のすべての点が、ゼロに等しいガウス曲率(GC)を有することを意味し(ここで、GCは、Kmax*Kminであり、Kmax及びKminは、Kmax=1/R’及びKmin=1/R”で定義される主曲率)、Kmax及びKminの一方がゼロではない。R’は最大曲率半径であり、R”は最小曲率半径である。1つ以上の実施形態において、冷間成形ガラス基板の表面は、その表面の平面内において伸張又は圧縮なしで、平面に平坦化することができる。展開可能な表面の例には、円錐、円柱、オロイド、接線可展面、及びこれ等の一部が含まれる。単一の曲線に投影される面は、展開可能な面である。球は「展開不能」形状の一例である。
【0079】
冷間成形ガラス基板は、湾曲形状に冷間成形され、フレームに係合することによって湾曲形状を維持する。
【0080】
図2Aは、湾曲形状を有するか、又はガラス基板を湾曲形状に冷間成形することができる、フレーム210を備えた固定具200を示す図である。本例における固定具200は、一部の実施形態において構成することができる、モニターを有するインストルメントクラスター、コンソールディスプレイ、又はセンタースタックディスプレイを含みこれに限定されない、自動車内装ディスプレイの部品、部分である。一部の実施形態において、固定具200は、ガラス基板100を取り付けることができる任意の構造体であってよい。フレーム210は、ガラス基板100を冷間成形湾曲形状に取り囲む、包囲する、下支えする、又は支持する1つ以上の剛性部材を備えている。
図2Aにおいて、フレーム210の2つの側部材が、湾曲形状を成す縁部を有している。フレーム210は、金属又はプラスチック材料で構成することができる。
図2Bは、
図2Aのフレーム210の溝220の拡大図である。溝220は、フレーム210の側部材の湾曲した縁部に沿って形成されている。一部の実施形態において、溝は、2つの側部材、上端部材、及び下端部材を含む、フレーム210の各々の部材に形成することができる。一部の実施形態において、フレーム210に穴等の別の形態の凹部を形成することができる。
【0081】
図3は、
図1の冷間成形フレキシブルガラス基板100を備えた物品であって、
図2A及び2Bのフレーム210の溝220に挿入後のフレキシブルガラス基板を示している。かかる実施形態において、物品は機械的保持具を有していない。フレーム210(特に、溝200)が、フレキシブルガラス基板を湾曲形状に冷間成形し、ガラス基板100を冷間成形湾曲形状に維持する。この構成において、フレーム210の全体又はフレーム210の少なくとも外側部分(ベゼル)が、物品300の外部から見える。換言すれば、ガラス基板100の副面110は、溝220に挿入されているため露出せず、フレーム210、即ち、2つの側部材、上端部材、及び下端部材によって覆われている。一部の実施形態において、副面110の少なくとも一部が、フレーム210によって覆われている。例えば、ガラス基板100の4つの副面110のうちの3つが、フレーム210の2つの側部材及び下端部材によって覆うことができる一方、残りの副表面は露出しており、フレーム210の上端部材によって覆われていない。にもかかわらず、
図3において、ガラス基板100は、フレーム210を完全に覆っておらず、自動車内装設計者の設計の柔軟性を制限している。そして、第1の主面102が外側に向くように、ガラス基板100が溝220に挿入された場合、主面102の一部が、フレーム210の一部によって覆われてベゼルが形成される。
【0082】
図4Aは、フレキシブルガラス基板100、及び基板に取り付けられた複数の独立した機械的保持具410を示す図である。物品400は、ガラス基板100、及びガラス基板100の第2の主面104に取り付けられた、機械的保持具410を備えている。一部の実施形態において、機械的保持具410の各々は、金属又はプラスチック材料で構成することができ、剛性又は柔軟性であってよい。機械的保持具410は、様々な技術によって製造することができる。例えば、プラスチック材料で構成される機械的保持具については、射出成形、ホットエンボス加工、コンピューター数値制御(CNC)加工、又は三次元印刷を使用することができる。
【0083】
機械的保持具410の数、形状、大きさ、剛性、及び材料に関わらず、フレーム210又は別の剛性支持体がない場合、機械的保持具410は、ガラス基板100の湾曲形状を画成しない。換言すれば、ガラス基板100の柔軟性が維持される。ガラス基板100は、機械的な力が加わらない限り、元の形状、例えば、平面形状を保持する傾向がある。1つ以上の実施形態において、機械的保持具410は互いに分離しているため、ガラス基板100に対して冷間成形湾曲形状を画成することはない。1つ以上の実施形態において、機械的保持具が、フレームに係合したとき又は取り付けられたとき、冷間成形ガラス基板は、係合した又は取り付けられた機械的保持具をフレームに保持するのに要する力の少なくとも一部を加える曲げ力を有している。1つ以上の実施形態において、必要に応じて接着剤を使用し、複数の機械的保持具の1つ以上又は2つ以上とフレームとの間の係合又は取付けを強化することができる。
【0084】
以下に詳細に説明するように、冷間成形処理において、機械的保持具410をフレーム210に取り付けて、ガラス基板100を湾曲形状に冷間成形することができる。一部の実施形態において、各々の機械的保持具410の少なくとも一部を、フレーム210の少なくとも1つの凹部、例えば、溝又は穴に挿入して、各々の機械的保持具410の位置を規定することができる。
【0085】
一部の実施形態において、ガラス基板100の第2の主面104に機械的保持具410を固定的に取り付けることができる。即ち、機械的保持具410は、移動しない、緩まない、又は失われないように、ガラス基板100に固定される。例えば、エポキシ、ウレタン、又はアクリル系接着剤等の接着剤を、機械的保持具410とガラス基板100の第2の主面104との界面に沿って塗布することによって、機械的保持具410を、ガラス基板100の第2の主面104に接着することができる。一部の実施形態において、必要に応じ、機械的保持器410をガラス基板100から取り外すことができるように、機械的保持器410を、ガラス基板100の第2の主面104に着脱自在に取り付けることができる。例えば、吸盤、リムーバブルテープ等を介して、機械的保持器410を、ガラス基板100の第2の主面104に取り付けることができる。
【0086】
以下に詳細に説明するように、機械的保持具410の数、大きさ、及び/又は形状は実施形態によって異なり得る。一部の実施形態において、ガラス基板100は、第2の主面に取り付けられる、ディスプレイ(図示せず)のカバーガラスであり得るため、ガラス基板100に取り付けられるディスプレイ又は他の構造体用として、特定の領域を確保する必要がある。従って、1つの実施例において、機械的保持具410は、全体として、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、0%以下、又はこれ等の値の任意の2つによって規定される任意の範囲内等、ガラス基板100の第2の主面の50%以下の領域に取り付けられている。一部の実施形態において、機械的保持具410を第2の主面104の周縁部に取り付けて、ガラス基板100の第2の主面104の中央領域に取り付けられる、ディスプレイ又は他の構造体の妨害を回避することができる。
【0087】
一部の実施形態において、
図4Bは、ガイドブロック412及びガイドブロック412から突出したガイドピン414を有する、
図4Aの機械的保持具410の拡大図である。ガイドブロック412の1つの面415が、ガラス基板100の第2の主面104に取り付けられている。一部の実施形態において、ガイドピン414の少なくとも一部(例えば、先端、又はガイドピン414全体)をフレーム210の溝220に挿入することができる。例えば、各々のガイドピン414は、フレーム210の側部材の対応する溝220に位置合わせして、溝220に滑込させることができる。その結果得られた、機械的保持具410を介してフレーム210に取り付けられた物品400含む、物品600を
図6に示す。
【0088】
図6に示すように、機械的保持具410がフレーム210に取り付けられ、機械的保持具410によって、冷間成形ガラス基板100の湾曲形状が画成されるように、各々の機械的保持具410の位置が規定されている。一部の実施形態において、冷間成形状態において、ガラス基板100の第1及び第2の主面102、104は、異なる表面応力を有している。ガラス基板100の縁部が溝220に滑入されている、
図3の物品300と比較して、
図6のフレーム210は、ガラス基板100によって完全に覆われている。ガイドピン414が溝220に滑入し、ガラス基板100の副面が露出している。ガラス基板100に不透明インクコーティングが施されている場合、及び/又はガラス基板100にディスプレイが取り付けられている場合、フレーム210は、ガラス基板100の背後で視界から完全に隠れることができる。ガラス基板100は、第2の主面104に取り付けられた機械的保持具410を介して、フレーム210に対し、ガラス基板100の第1の主表面102の全体が露出するように、フレーム210に取り付けることができる。このようにして、冷間成形ガラス基板100は、少なくとも一部の領域が露出した、即ち溝220に挿入されていない副面110を有している。一部の実施形態において、少なくとも85%、90%、95%、100%、又はこれ等の値の任意の2つによって規定される任意の範囲内等、冷間成形ガラス基板の副面110の少なくとも80%の領域が露出している。一部の実施形態において、例えば、
図6に示すように、冷間成形ガラス基板の副面110のすべての領域が露出している。有益なことに、かかる構成では、ガラスの縁部が自由でありベゼルによって保持されていない。その結果得られる製品設計コンセプトは、消費者により多くの魅力を提供すると共に、自動車内装設計者の設計空間を広げる。
【0089】
機械的保持具410及び対応する溝220の構成は、前述の例に限定されるものではないことを理解されたい。一部の実施形態において、
図7は第1のガイドブロック702、第2のガイドブロック704、並びに第1及び第2のガイドブロック702、704を貫通してブロック間に延び、第1及び第2のガイドブロック702、704の各々から2方向に突出したガイドレール710を有する、機械的保持具410を示す図である。ガイドレール710の各々の端部712、714は、フレーム210の2つの溝220の一方に挿入することができる。例えば、ガイドレール710の第1の端部712を第1の溝220に位置合わせし、ガイドレール710の第2の端部714を第2の溝220に位置合わせすることができ、ガイドレール710の第1及び第2の端部712、714を、それぞれ第1及び第2の溝220に滑込させることができる。
【0090】
一部の実施形態において、
図8はガラス基板100、及び2つの機械的保持具410として基板に取り付けられた、フレキシブル細片800を示す図である。細片800は、少なくとも85%、90%、95%、又はこれ等の値の任意の2つによって規定される任意の範囲内等、ガラス基板100の寸法(例えば、長さ、幅、または対角線)の少なくとも80%に沿って延びることができる。一部の実施形態において、細片800は、少なくとも96%、97%、98%、99%、100%、又はこれ等の値の任意の2つによって規定される任意の範囲内等、ガラス基板100の寸法(例えば、長さ、幅、または対角線)の少なくとも95%に沿って延びることができる。一部の実施形態において、細片800は、例えば複数のガイドピン又は小細片等、溝220に対応し、溝220に挿入することができる突出部(図示せず)を有することができる。細片800は、ガラス基板100が非冷間成形状態において、ガラス基板の柔軟性が維持できるように、柔軟な材料で構成される。
【0091】
一部の実施形態において、
図9Aは内部に溝912を有するフレーム910の一部の斜視図である。一部の実施形態において、
図9Bは内部に2つの溝922、924を有するフレーム920の一部の斜視図である。溝912、922、又は924に対応する構造を有する、任意の機械的保持具410をフレーム910又は920に取り付けることができる。
【0092】
一部の実施形態において、前述のようにフレーム210、910、920に着脱自在に取り付ける代わりに、機械的保持具410は、締結具、接着剤等によってフレームに固定的に取り付けることができる。一部の実施形態において、機械的保持器410を混合方式でフレームに取り付けることができる。例えば、機械的保持具410をまずフレームの凹部に挿入し、次いで、締結具、接着剤等によって取付けを強化することができる。
【0093】
一部の実施形態において、本明細書に記載のフレキシブルガラス基板又は冷間成形ガラス基板は、様々なコーティング、表面処理、及びこれ等の組み合わせを含むことができる。一部の実施形態において、第1の主面及び第2の主面の一方又は両方が、コーティング、表面処理、又はこれ等の組み合わせを含むことができる。かかるコーティングの例には、反射防止(AR)、防眩(AG)、及び装飾及び/又は機能コーティングが含まれる。表面処理の例には、AG表面、触知フィードバックを与える触覚表面、証印等を示す凹部及び/又は隆起部が含まれる。
【0094】
本開示の別の態様は、本明細書に記載の物品を形成する方法に関連している。1つ以上の実施形態において、本方法は、複数の独立した機械的保持具を、フレキシブルガラス基板に、ガラス基板の柔軟性が維持されるように、取り付けるステップと、複数の独立した機械的保持具の少なくとも1つを(本明細書に記載の1つ以上の実施形態による)フレームに取り付けて、フレキシブルガラス基板を湾曲形状に冷間成形するステップとを備えている。
【0095】
1つ以上の実施形態において、フレームは凹部を有し、本方法は、複数の独立した機械的保持具の少なくとも1つを凹部に挿入することによって、複数の独立した機械的保持具の少なくとも1つを取り付けるステップを含んでいる。
【0096】
1つ以上の実施形態において、フレームが溝を有し、複数の機械的保持具の各々が、ガラス基板の2つの対向する主面の一方に取り付けられたガイドブロック、及びガイドブロックから突出したガイドピンを有し、複数の独立した機械的保持具の少なくとも1つをフレームに取り付けるステップが、少なくとも1つのガイドピンを溝に位置合わせして、少なくとも1つのガイドピンを溝に滑込させるステップを含んでいる。
【0097】
1つ以上の実施形態において、フレームが第1の溝及び第2の溝を有し、複数の独立した機械的保持具の少なくとも1つが、各々がガラス基板の2つの対向する主面の一方に取り付けられた、第1のガイドブロック及び第2のガイドブロック、並びに第1及び第2のガイドブロックを貫通してブロック間に延び、第1及び第2のガイドブロックの各々から2方向に突出したガイドレールを有している。かかる実施形態において、複数の独立した機械的保持具の少なくとも1つをフレームに取り付けるステップが、ガイドレールの第1の端部を第1の溝に位置合わせし、ガイドレールの第2の端部を第2の溝に位置合わせして、ガイドレールの第1及び第2の端部を、それぞれ第1及び第2の溝に滑込させるステップを含んでいる。
【0098】
1つ以上の実施形態において、本方法は、複数の独立した機械的保持具の少なくとも1つをガラスリボンの対向する主面の一方に取り付けてから、機械的保持具をフレームに取り付けるステップを含んでいる。複数の独立した機械的保持具の少なくとも1つは、着脱自在にフレームに取り付けることができる。
【0099】
1つ以上の実施形態において、複数の独立した機械的保持具の少なくとも1つをフレームに取り付けるステップの前に、ガラス基板の対向する主面の少なくとも一方に、少なくとも1つのコーティング又は表面改質を施すステップを含んでいる。1つ以上の実施形態において、複数の独立した機械的保持具の少なくとも1つをフレームに取り付けるステップの前に、ガラス基板の対向する主面の一方に、ディスプレイを取り付けるステップを含んでいる。一部の実施形態において、
図10A~10Dは、表面にコーティングを有する湾曲ガラス基板100を冷間成形する方法の例示的な実施形態を示す図である。
図10Aにおいて、冷間成形する前の平面形状を成す、ガラス基板100の第1及び第2の主面102、104の少なくとも一方に、少なくとも1つのコーティング又は表面改質が施される。曲面に対するコーティングと比較して、平面にはより均一なコーディングを実現することができる。一部の実施形態において、少なくとも1つのコーティングの厚さは、コーティング領域全体にわたり5%を超えて変化せず、例えば、コーティング領域全体にわたり5%、4%、3%、2%、又は1%を超えて変化することはない(エッジ効果を除いて測定)。少なくとも1つのコーティングは、装飾的又は機能的なものであってよい。一部の実施形態において、少なくとも1つのコーティングは、インクコーティング、ARコーティング、AGコーティング、イージーツークリーンコーティング、導電性コーティング、及び触覚コーティングから成る群から選択される。導電性コーティングの例には、タッチセンサー、銀ナノワイヤ、カーボンナノチューブ、グラフェン、及びニッケル、チタン、クロムの任意1つ以上を含むことができる薄膜(即ち、Ni、Ti、及び/又はCr含有薄膜)等に使用される、酸化インジウムスズ又はITOコーティングが含まれる。一部の実施形態において、AGコーティングを施してガラス基板100の光学特性を向上させることができる。一部の実施形態において、スクリーン印刷、パッド印刷、インクジェット印刷等の方法によって、ガラス基板100の第2の主面104にインクコーティングを施すことができる。インクコーティングの種類に応じて、熱又は紫外線硬化ステップを実施することができる。一部の実施形態において、物理蒸着法等の方法によって、ガラス基板100の第1の主面102に、ARコーティングを施すことができる。更に、第1の主面又は第2の主面の一方又は両方に対し、表面処理を施す(通常、エッチング処理によって形成する)ことができる。
【0100】
10Bに示す実施の形態において、本方法は、ガラス基板100の第2の主面104にディスプレイを取り付けるステップを含んでいる。一部の実施形態において、ディスプレイが取り付けられる第2の主面の領域は、インクコーティングのない領域である。感圧性アクリル接着剤又はシリコーン接着剤等の光学的に透明な接着剤を用い、必要に応じて熱、湿気、又は紫外線硬化を利用して、ディスプレイの上にガラス基板100を接着することができる。一部の実施形態において、ディスプレイの裏側が構造部材で支持されている。
【0101】
図10Cの実施形態において、詳述したように、ガラス基板100のコーティングされた第2の主面104に、機械的保持具410が取り付けられる。冷間成形前において、コーティングを有するガラス基板100の柔軟性が維持されている。
図10Dにおいて、詳述したように、フレーム210に機械的保持具410が取り付けられる。フレーム210に取り付けられた機械的保持410によって、コーティングを有するガラス基板100の冷間成形湾曲形状が画成される。
【0102】
図11は、
図10A~10Dの方法に対応する方法のフローチャートを示す図である。本方法は、更なるステップを含むことも、別の実施例に示されているすべてのステップより少ないステップを含むこともできる。図示のように、本方法は、平面形状を成すフレキシブルガラス基板100にコーティングを施す、ステップ1110から開始する。ガラス基板100の2つの対向する主面102、104の一方又は両方に、1つ以上のコーティングを施すことができる。本明細書に別途記載されているように、コーティングには、インクコーティング、反射防止コーティング、防眩コーティング、イージーツークリーンコーティング、導電性コーティング、及び触覚コーティングを含むが、これに限定されるものではない。加えて、コーティングの代わりに又はコーティング加えて、表面処理を施すことができる。コーティング終了後、ステップ1120において、ガラス基板100の第2の主面104にディスプレイが取り付けられる。例えば、感圧性アクリル接着剤又はシリコーン接着剤等の光学的に透明な接着剤を用いて、ディスプレイの上にガラス基板を接着することができる。光学的に透明な接着剤を(例えば、熱、湿気、又はUV)硬化させる必要があり得る。一部の実施形態において、ディスプレイの裏側を構造部材で支持することができる。
【0103】
ステップ1130に移り、機械的保持具410がガラス基板100の第2の面104に取り付けられる。機械的保持器410は、ガラス基板100の第2の主面104に、永久接着等によって、固定的に取り付けることができる。一部の実施形態において、機械的保持器410は、金属又はプラスチック材料で構成することができる。ステップ1140において、機械的保持具410をフレーム210に取り付ける前は、機械的保持具410はフレキシブルガラス基板100の湾曲形状を画成しない。即ち、機械的保持具410を取り付けることによって、フレキシブルガラス基板100の元の形状が変化することはない、即ち、ガラス基板100の柔軟性が維持される。
【0104】
ステップ1140において、フレキシブルガラス基板100の冷間成形湾曲形状が画成されるように、機械的保持具410がフレーム210に取り付けられる。一部の実施形態において、機械的保持具410は、各々の機械的保持具410の少なくとも一部をフレームの少なくとも1つの凹部に挿入する等によって、フレーム210に着脱自在に取り付けられる。1つの実施例において、各々の機械的保持具410は、ガラス基板100の第2の主面104に取り付けられたガイドブロック412、及びガイドブロック412から突出したガイドピン414を有している。この実施例において、少なくとも1つのガイドピン414が、溝220の1つに位置合わせされ、次いで溝220に滑込される。別の実施例において、各々の機械的保持具410は、各々がガラス基板100の第2の主面104に取り付けられた、第1のガイドブロック702及び第2のガイドブロック704を有している。各々の機械的保持具410は、第1及び第2のガイドブロック702、704を貫通してブロック間に延び、第1及び第2のガイドブロック702、704の各々から、2方向に突出したガイドレール710も有している。本実施例において、ガイドレール710の第1の端部712が、フレーム210の第1の溝220に位置合わせされ、ガイドレール710の第2の端部714が、フレーム210の第2の溝220に位置合わせされる。次いで、ガイドレール710の第1及び第2の端部は、それぞれ第1及び第2の溝220に滑入される。
【0105】
本開示の別の態様は、本明細書に記載の物品の様々な実施形態を組み込んだ車両内装システムに関している。1つ以上の実施形態において、車両内装システムは、湾曲形状を有する基部、湾曲形状を有する冷間成形ガラス基板(又は本明細示に記載の冷間成形基板を含むラミネート)、冷間成形ガラス基板(又は本明細示に記載の冷間成形基板を含むラミネート)の第2の主面に取り付けられた複数の独立した機械的保持具、及び湾曲面に配置されたフレームを備え、機械的保持具によって湾曲形状が画成されるように、複数の機械的保持具の各々位置が規定されるように、機械的保持具がフレームに取り付けられる。1つ以上の実施形態において、フレームは、接着剤又は機械的締結具によって、湾曲面に固定することができる。1つ以上の実施形態において、複数の機械的保持具の各々の位置を規定する基部に、機械的保持具を直接取り付けることができる。
【0106】
1つ以上の実施形態において、かかる車両内層システムに使用される冷間成形ガラス基板(又は本明細示に記載の冷間成形基板を含むラミネート)はガラス面を有し、ガラス面のすべての点が、ゼロに等しいガウス曲率(GC)を有し、(GC=Kmax*Kminであり、Kmax及びKminは、Kmax=1/R’及びKmin=1/R”で定義される主曲率)、Kmax及びKminの一方がゼロではなく、R’は最大曲率半径であり、R”は最小曲率半径である。一部の実施形態において、ガラス基板は、約1.5mm以下(又は約0.4mm~約1.3mm)の厚さを有している。
【0107】
1つ以上の実施形態において、ガラス面の一部が凹形状を有し、凸形状のR’は約37.5mm~約500mmである。凸面を有する一部の実施形態において、基板の厚さは0.4mmであってよく、R’は約100mm~約200mm、約125mm~約200mm、約150mm~約200mm、約175mm~約200mm、約100mm~約175mm、約100mm~約150mm、又は約100mm~約125mmであってよい。凸面を有する一部の実施形態において、基板の厚さは0.55mmであってよく、R’は約150mm~約250mm、約175mm~約250mm、約200mm~約250mm、約225mm~約250mm、約150mm~約225mm、約150mm~約200mm、又は約150mm~約175mmであってよい。凸面を有する一部の実施形態において、基板の厚さは0.7mmであってよく、R’は約200mm~約300mm、約225mm~約300mm、約250mm~約300mm、約275mm~約300mm、約200mm~約275mm、約200mm~約250mm、又は約200mm~約225mmであってよい。凸面を有する一部の実施形態において、基板の厚さは1.1mmであってよく、R’は約350mm~約450mm、約375mm~約450mm、約300mm~約450mm、約325mm~約450mm、約350mm~約425mm、約350mm~約400mm、又は約350mm~約375mmであってよい。凸面を有する一部の実施形態において、基板の厚さは1.3mmであってよく、R’は約450mm~約550mm、約475mm~約550mm、約400mm~約550mm、約425mm~約550mm、約450mm~約525mm、約450mm~約500mm、又は約450mm~約475mmであってよい。
【0108】
1つ以上の実施形態において、ガラス面の一部が凹形状を有し、凹形状のR’は約15mm~約300mmである。凹形状を有する一部の実施形態において、基板の厚さは0.4mmであってよく、R’は約15mm~約100mm、約30mm~約100mm、約50mm~約100mm、約75mm~約100mm、約15mm~約75mm、約15mm~約50mm、又は約15mm~約30mmであってよい。凹形状を有する一部の実施形態において、基板の厚さは0.55mmであってよく、R’は約20mm~約150mm、約40mm~約150mm、約50mm~約150mm、約75mm~約150mm、約20mm~約125mm、約20mm~約100mm、又は約20mm~約75mmであってよい。凹形状を有する一部の実施形態において、基板の厚さは0.7mmであってよく、R’は約25mm~約175mm、約50mm~約175mm、約75mm~約175mm、約100mm~約175mm、約150mm~約175mm、約25mm~約150mm、約25mm~約125mm、約25mm~約100mm、又は約25mm~約75mmであってよい。凹形状を有する一部の実施形態において、基板の厚さは1.1mmであってよく、R’は約40mm~約225mm、約50mm~約225mm、約75mm~約225mm、約100mm~約225mm、約150mm~約225mm、約40mm~約200mm、約40mm~約175mm、約40mm~約150mm、又は約40mm~約100mmであってよい。凹形状を有する一部の実施形態において、基板の厚さは1.3mmであってよく、R’は約150mm~約250mm、約175mm~約250mm、約200mm~約250mm、約225mm~約250mm、約150mm~約225mm、約150mm~約200mm、又は約150mm~約175mmであってよい。
【0109】
1つ以上の実施形態において、車両内装システムはディスプレイを備えている。ディスプレイは、基部とガラス基板との間に配置することができる。一部の実施例において、ディスプレイは湾曲している。
【0110】
本開示の別の態様は、本明細書に記載の物品を車両内部に取り付けるためのキット、又は本明細書に記載の車両内装システムを提供することに関している。1つ以上の実施形態において、キットは、第1の主面及び第1の主面に対向する第2の主面を有するフレキシブルガラス基板、フレキシブルガラス基板の第2の主面に、ガラス基板の柔軟性が維持されるように取り付けられた複数の機械的保持具、及び複数の機械的保持具の少なくとも1つを係合させるための構造を有するフレームを含んでいる。1つ以上の実施形態において、フレームは、複数の機械的保持具の少なくとも1つがフレームに係合すると、互いに連結して、ガラス基板を冷間成形湾曲形状に取り囲む、包囲する、下支えする、又は支持する剛性部材を有している。1つ以上の実施形態において、フレームは、湾曲形状を成す縁部を有する2つの側部材を含んでいる。フレームは金属又はプラスチック材料で構成することができる。1つ以上の実施形態において、複数の機械的保持具の少なくとも1つを係合させる構造が、1つ以上の溝又は1つ以上の凹部を含んでいる。1つ以上の実施形態において、フレキシブルガラス基板は、実質的に平坦又は平面形状を成し、複数の機械的保持具は、それ自体ではフレキシブルガラス基板を湾曲形状に冷間成形することはない。1つ以上の実施形態において、複数の機械的保持具のいずれもフレームに係合しない又は取り付けられていない。1つ以上の実施形態において、複数の機械的保持具の1つ以上又は2つ以上が、フレームに係合されるか又は取り付けられると、フレキシブルガラス基板が湾曲形状に冷間成形される。1つ以上の実施形態において、複数の機械的保持具の1つ以上又は2つ以上が、フレームに係合したとき又は取り付けられたとき、冷間成形ガラス基板は、係合した又は取り付けられた機械的保持具をフレームに保持するのに要する力の少なくとも一部を(即ち、適宜、溝又は凹部内において)加える曲げ力を有している。1つ以上の実施形態において、キットは、必要に応じ、複数の機械的保持具の1つ以上、又は2つ以上とフレームとの間の係合又は取り付けを強化するための接着剤を含むことができる。
【0111】
1つ以上の実施形態において、キットはディスプレイを含んでいる。1つ以上の実施形態において、本明細に記載のように、ディスプレイは第2の主面に取り付けることができる。かかる実施形態において、ディスプレイはフレームには取り付けられない。1つ以上の実施形態において、ディスプレイは柔軟であってよく、フレキシブルガラス基板及びフレキシブルディスプレイは、相互接続された後、柔軟性を維持する(即ち、フレキシブルガラス基板及びフレキシブルディスプレイは、実質的に平坦又は平面形状を成し、複数の機械的保持具は、それ自体ではフレキシブルガラス基板又はディスプレイを湾曲形状に冷間成形することはない)。1つ以上のかかる実施形態において、複数の機械的保持具はいずれもフレームに係合しない又はフレームに取り付けられていない。1つ以上の実施形態において、複数の機械的保持器の少なくとも1つがフレームに係合すると、フレキシブルガラス基板が湾曲形状に冷間成形される。
【0112】
1つ以上の実施形態において、ディスプレイは湾曲している。1つ以上の実施形態において、ディスプレイは、フレキシブルガラス基板又はフレームに取り付けられていない。かかる実施形態において、複数の機械的保持具の少なくとも1つがフレームに取り付けられた後に、湾曲したディスプレイを取り付けることができ、フレキシブルガラス基板が湾曲形状に冷間成形される。1つ以上の実施形態において、冷間成形ガラス基板は、湾曲ディスプレイの曲率半径の10%以内(即ち、約10%以下、約9%以下、約8%以下、約7%以下、約6%以下、約5%以下、約4%以下、約3%以下、又は約2%以下)の曲率半径を有している。
【0113】
1つ以上の実施形態において、フレームがディスプレイに取り付けられている。必要に応じ、フレームに取り付けた後に、ディスプレイを湾曲させる。1つ以上のかかる実施形態において、複数の機械的保持具の少なくとも1つがフレームに係合すると、ディスプレイと第2の主面との間に空隙が設けられる。1つ以上のかかる実施形態において、複数の機械的保持具の少なくとも1つがフレームに係合すると、ディスプレイが第2の主面に接触する。
【0114】
1つ以上の実施形態において、キットは、第1の主面、第1の主面に対向する第2の主面を有するフレキシブルガラス基板、フレキシブルガラス基板の第2の主面に取り付けられた複数の機械的保持具、ディスプレイ、及び複数の機械的保持具の少なくとも1つを係合させる構造を有するフレームを含み、複数の機械的保持具の少なくとも1つがフレームに係合され、フレキシブルガラス基板は、湾曲形状を有する冷間成形フレキシブルガラス基板である。1つ以上の実施形態において、構造は複数の機械的保持具の少なくとも1つを係合させる溝又は凹部を含んでいる。かかる実施形態において、フレキシブルガラス基板は、複数の機械的保持具の少なくとも1つとフレームとの係合を介して、湾曲形状に冷間成形される。冷間成形ガラス基板は、係合した又は取り付けられた機械的保持具をフレームに保持するのに要する力の少なくとも一部を(即ち、適宜、溝又は凹部内において)加える曲げ力を有している。1つ以上の実施形態において、キットは、複数の機械的保持具の1つ以上、又は2つ以上とフレームとの間の係合又は取り付けを強化するための接着剤を含むことができる。キットの1つ以上の実施形態において、ディスプレイは、ガラス基板又はフレームに取り付けられていない。キットの1つ以上の実施形態において、ディスプレイはフレキシブルであり(かつ実質的に平坦又は平面状態で存在することができる)。1つ以上の実施形態において、ディスプレイは湾曲している。1つ以上の実施形態において、ディスプレイが第2の主面に取り付けられると、ディスプレイは冷間成形ガラス基板の湾曲形状を有する。1つ以上の実施形態において、冷間成形ガラス基板は、湾曲ディスプレイの曲率半径の10%以内(即ち、約10%以下、約9%以下、約8%以下、約7%以下、約6%以下、約5%以下、約4%以下、約3%以下、又は約2%以下)の曲率半径を有している。
【0115】
本開示の態様(1)は、湾曲形状を成す冷間成形ガラス基板であって、第1の主面及び第1の主面に対向する第2の主面を有する基板と、冷間成形ガラス基板の第2の主面に取り付けられた、複数の独立した機械的保持具と、フレームとを備えた物品であるであって、機械的保持具がフレームに取り付けられ、機械的保持具及びフレームの一方又は両方が、冷間成形ガラス基板の湾曲形状を維持している物品に関するものである。
【0116】
本開示の態様(2)は、冷間成形ガラス基板が、第1の主面及び第2の主面に直交する副面を備え、副面が副面領域を有し、副面領域の少なくとも一部が露出している、態様(1)に係る物品である。
【0117】
本開示の態様(3)は、副面領域の少なくとも80%が露出している、態様(2)に係る物品である。
【0118】
本開示の態様(4)は、冷間成形ガラス基板の副面領域のすべてが露出している、態様(3)に係る物品である。
【0119】
本開示の態様(5)は、第1の主面の全体が、フレームに対して露出している、態様(1)~(4)いずれか1つに係る物品である。
【0120】
本開示の態様(6)は、機械的保持具が冷間成形ガラス基板の第2の主面に固定的に取り付けられている、態様(1)~(5)いずれか1つに係る物品である。
【0121】
本開示の態様(7)は、機械的保持具がフレームに着脱自在に取り付けられている、態様(1)~(6)いずれか1つに係る物品である。
【0122】
本開示の態様(8)は、フレームが少なくとも1つの凹部を備え、機械的保持具が少なくとも1つの凹部に挿入されている、態様(7)に係る物品である。
【0123】
本開示の態様(9)は、機械的保持具は、フレームが存在しない場合、冷間成形ガラス基板の湾曲形状を画成しない、態様(1)~(8)いずれか1つに係る物品である。
【0124】
本開示の態様(10)は、フレームが少なくとも1つの溝を備え、複数の機械的保持具の少なくとも1つが、冷間成形ガラス基板の第2の主面に取付けられたガイドブロック、及びガイドブロックから突出したガイドピンを備え、ガイドピンの少なくとも一部が少なくとも1つの溝に挿入される、態様(1)~(9)いずれか1つに係る物品である。
【0125】
本開示の態様(11)は、フレームが第1の溝及び第2の溝を備え、複数の機械的保持具の少なくとも1つが、各々冷間成形ガラス基板の第2の主面に取り付けられた、第1のガイドブロック及び第2のガイドブロック、並びに第1及び第2のガイドブロックを貫通してガイドブロック間に延び、第1及び第2のガイドブロックの各々から、2つの方向に突出したガイドレールを備え、ガイドレールの第1の端部が、第1の溝に挿入され、ガイドレールの第2の端部が、第2の溝に挿入されている、態様(1)~(10)いずれか1つに係る物品である。
【0126】
本開示の態様(12)は、複数の機械的保持具が、全体として、冷間成形ガラス基板の第2の主面の50%未満の領域に取り付けられている、態様(10)又は(11)に係る物品である。
【0127】
本開示の態様(13)は、フレームが、少なくとも1つの溝を備え、複数の機械的保持具の少なくとも1つが、冷間成形ガラス基板の寸法の少なくとも80%に沿って延びるフレキシブル細片を備えた、態様(1)~(12)いずれか1つに係る物品である。
【0128】
本開示の態様(14)は、複数の機械的保持具の少なくとも1つが、金属又はプラスチック材料で構成された、態様(1)~(13)いずれか1つに係る物品である。
【0129】
本開示の態様(15)は、複数の機械的保持具の少なくとも1つが、接着剤を用いて第2の主面に取り付けられている、態様(1)~(14)いずれか1つに係る物品である。
【0130】
本開示の態様(16)は、冷間成形ガラス基板の第1及び第2の主面の少なくとも一方に配置された、少なくとも1つのコーティング又は表面処理を更に備えた、態様(1)~(15)いずれか1つに係る物品である。
【0131】
本開示の態様(17)は、少なくとも1つのコーティングが、インクコーティング、反射防止コーティング、防眩コーティング、イージーツークリーンコーティング、導電性コーティング、及び触覚コーティングから成る群から選択されたものであり、少なくとも1つの表面処理が、防眩表面、触覚表面、並びに隆起及び陥凹証印から成る群より選択されたものである、態様(16)に係る物品である。
【0132】
本開示の態様(18)は、少なくとも1つのコーティングの厚さが、コーティングの領域全体にわたり、5%を超えて変化していない、態様(16)に係る物品である。
【0133】
本開示の態様(19)は、冷間成形ガラス基板の第2の主面に取り付けられたディスプレイを更に備えた、態様(1)~(18)いずれか1つに係る物品である。
【0134】
本開示の態様(20)は、冷間成形ガラス基板を通してフレームが見えない、態様(1)~(19)いずれか1つに係る物品である。
【0135】
本開示の態様(21)は、冷間成形ガラス基板が、強化ガラス基板である、態様(1)~(20)いずれか1つに係る物品である。
【0136】
本開示の態様(22)は、第1及び第2の主面の各々が表面応力を有し、表面応力が互いに異なっている、態様(1)~(21)いずれか1つに係る物品である。
【0137】
本開示の態様(23)は、第1の主面、及び第1の主面に対向する第2の主面を有するフレキシブルガラス基板と、フレキシブルガラス基板の第2の主面に、ガラス基板の柔軟性が維持されるように取り付けられた、複数の独立した機械的保持具とを備えた物品に関するものである。
【0138】
本開示の態様(24)は、フレキシブルガラス基板の第2の主面に取り付けられたディスプレイを更に備えた、態様(23)に係る物品である。
【0139】
本開示の態様(25)は、ディスプレイが柔軟であり、第2の主面に取り付けられたとき、ディスプレイの柔軟性が維持される、態様(23)に係る物品である。
【0140】
本開示の態様(26)は、フレームを更に備え、複数の独立した機械的保持具の少なくとも一部が、フレームに取り付けられ、フレキシブルガラス基板が、湾曲形状に冷間成形される、態様(23)~(25)のいずれか1つに係る物品である。
【0141】
本開示の態様(27)は、フレキシブルガラス基板に、基板の柔軟性が維持されるように、複数の独立した機械的保持具を取り付けるステップと、複数の独立した機械的保持具の少なくとも1つをフレームに取り付けて、フレキシブルガラス基板を湾曲形状に冷間成形するステップとを備えた方法に関するものである。
【0142】
本開示の態様(28)は、複数の独立した機械的保持具の少なくとも1つをフレームに取り付ける前に、ガラス基板の対向する主面の少なくとも一方に、少なくとも1つのコーティングを施すステップを更に備えた、態様(27)に係る方法である。
【0143】
本開示の態様(29)は、複数の独立した機械的保持具の少なくとも1つをフレームに取り付ける前に、ガラス基板の対向する主面の一方に、ディスプレイを取り付けるステップを更に備えた、態様(27)又は(28)に係る方法である。
【0144】
本開示の態様(30)は、機械的保持具をフレームに取り付ける前に、複数の独立した機械的保持具の少なくとも1つを、ガラス基板の対向する主面の一方に取り付けるステップを更に備えた、態様(27)~(29)いずれか1つに係る方法である。
【0145】
本開示の態様(31)は、複数の独立した機械的保持具の少なくとも1つが、フレームに着脱自在に取り付けられている、態様(27)~(30)いずれか1つに係る方法である。
【0146】
本開示の態様(32)は、フレームが凹部を備え、複数の独立した機械的保持具の少なくとも1つをフレームに取り付けるステップが、複数の独立した機械的保持具の少なくとも1つを凹部に挿入するステップを含む、態様(27)~(31)いずれか1つに係る方法である。
【0147】
本開示の態様(33)は、フレームが溝を備え、複数の機械的保持具の各々が、ガラス基板の2つの対向する主面の一方に取り付けられたガイドブロック、及びガイドブロックから突出したガイドピンを備え、複数の独立した機械的保持具の少なくとも1つをフレームに取り付けるステップが、少なくとも1つのガイドピンを溝に位置合わせするステップ、及び少なくとも1つのガイドピンを溝に滑入させるステップを含む、態様(27)~(32)いずれか1つに係る方法である。
【0148】
本開示の態様(34)は、フレームが第1の溝及び第2の溝を備え、複数の独立した機械的保持具の少なくとも1つが、いずれもガラス基板の対向する2つの主面の一方に取り付けられた、第1のガイドブロック及び第2のガイドブロック、並びに第1及び第2のガイドブロックを貫通してブロック間に延び、第1及び第2のガイドブロックの各々から、2つの方向に突出したガイドレールを備え、複数の独立した機械的保持具の少なくとも1つをフレームに取り付けるステップが、ガイドレールの第1の端部を第1の溝に位置合わせし、ガイドレールの第2の端部を第2の溝に位置合わせして、ガイドレールの第1及び第2の端部を、それぞれ第1及び第2の溝に滑入させるステップを含む、態様(27)~(33)いずれか1つに係る方法である。
【0149】
本開示の態様(35)は、第1の主面、及び第1の主面に対向する第2の主面を有するフレキシブルガラス基板と、フレキシブルガラス基板の第2の主面に、ガラス基板の柔軟性が維持されるように取り付けられた、複数の機械的保持具と、複数の機械的保持具の少なくとも1つを係合させる溝又は凹部を備えたフレームとを含むキットに関するものである。
【0150】
本開示の態様(36)は、ディスプレイを更に含む、態様(35)に係るキットである。
【0151】
本開示の態様(37)は、ディスプレイが第2の主面に取り付けられている、態様(36)に係るキットである。
【0152】
本開示の態様(38)は、ディスプレイが柔軟であり、取り付け後において、フレキシブルガラス基板及びフレキシブルディスプレイの柔軟性が維持される、態様(37)に係るキットである。
【0153】
本開示の態様(39)は、ディスプレイが湾曲している、態様(36)に係るキットである。
【0154】
本開示の態様(40)は、フレームが、ディスプレイに取り付けられている、態様(36)~(39)に係るキットである。
【0155】
本開示の態様(41)は、複数の機械的保持具の少なくとも1つがフレームに係合すると、ディスプレイと第2の主面との間に空隙が設けられる、態様(40)に係るキットである。
【0156】
本開示の態様(42)は、複数の機械的保持具の少なくとも1つがフレームに係合すると、フレキシブルガラス基板が湾曲形状に冷間成形される、態様(35)~(41)に係るキットである。
【0157】
本開示の態様(43)は、ディスプレイを更に備え、複数の機械的保持具の少なくとも1つが、フレームに係合し、フレキシブルガラス基板が、湾曲形状を有する冷間成形フレキシブルガラス基板である、態様(35)に係るキットである。
【0158】
本開示の態様(44)は、ディスプレイが柔軟である、態様(43)に係るキットである。
【0159】
本開示の態様(45)は、ディスプレイが湾曲している、態様(43)又は(44)に係るキットである。
【0160】
本開示の態様(46)は、ディスプレイが第2の主面に取り付けられると、ディスプレイが冷間成形フレキシブルガラス基板の湾曲形状を有する、態様(43)~(45)に係るキットである。
【0161】
発明の概要及び要約書のセクションではなく、発明を実施するための形態のセクションは、特許請求項の解釈に用いられることを意図していることを理解されたい。発明の概要及び要約書のセクションは、1つ以上であるが、発明者が考えているすべての例示的な実施形態を記述したものではなく、従って、本開示及び添付の特許請求の範囲をいささかも限定することを意図するものではない。
【0162】
特定の機能の実装及びこれ等の関係を示す機能的構成要素を用いて、本開示を説明してきた。これらの機能的構成要素の境界は、説明の便宜上、本明細書において任意に規定されている。特定の機能及びこれ等の関係が適切に果たされる限り、別の境界を規定することができる。
【0163】
具体的な実施形態の前述の説明は、本開示の一般的な性質を完全に明らかにしているため、他の者が、当技術分野の知識を適用することによって、必要以上の実験を要せず、本開示の一般的な概念を逸脱せずに、かかる具体的な実施形態を様々な用途に容易に改良及び/又は適応させることができる。従って、かかる適応及び改良は、本明細書に記載の教示及び助言に基づき、開示された実施形態の均等物の目的及び範囲に属すると意図するものである。本明細書における表現又は用語は説明を目的としており、本明細書の用語又は表現は、教示及び助言に照らして当業者によって解釈されるべきであって、限定を目的とするものではないことを理解されたい。
【0164】
本開示の広さ及び範囲は、前述の例示的な実施形態のいずれによっても限定されものではなく、添付の特許請求の範囲及びその均等物のみによって決定されるべきものである。
【0165】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0166】
実施形態1
物品であって、
湾曲形状を成す冷間成形ガラス基板であって、第1の主面及び該第1の主面に対向する第2の主面を有する基板と、
前記冷間成形ガラス基板の前記第2の主面に取り付けられた複数の独立した機械的保持具と、
フレームと、
を備え、
前記機械的保持具が前記フレームに取り付けられ、
前記機械的保持具及び前記フレームの一方又は両方が、前記冷間成形ガラス基板の前記湾曲形状を維持している物品。
【0167】
実施形態2
前記冷間成形ガラス基板が、前記第1の主面及び前記第2の主面に直交する副面を備え、前記副面が副面領域を有し、前記副面領域の少なくとも一部が露出している、実施形態1に記載の物品。
【0168】
実施形態3
前記副面領域の少なくとも80%が露出している、実施形態2に記載の物品。
【0169】
実施形態4
前記冷間成形ガラス基板の前記副面領域のすべてが露出している、実施形態3に記載の物品。
【0170】
実施形態5
前記第1の主面の全体が、フレームに対して露出している、実施形態1~4いずれか1つに記載の物品。
【0171】
実施形態6
前記機械的保持具が、前記冷間成形ガラス基板の前記第2の主面に固定的に取り付けられている、実施形態1~5いずれか1つに記載の物品。
【0172】
実施形態7
前記機械的保持具が、前記フレームに着脱自在に取り付けられている、実施形態1~6いずれか1つに記載の物品。
【0173】
実施形態8
前記フレームが、少なくとも1つの凹部を備え、前記機械的保持具が前記少なくとも1つの凹部に挿入されている、実施形態7に記載の物品。
【0174】
実施形態9
前記機械的保持具が、前記フレームが存在しない場合、前記冷間成形ガラス基板の前記湾曲形状を画成しない、実施形態1~8いずれか1つに記載の物品。
【0175】
実施形態10
前記フレームが、少なくとも1つの溝を備え、
前記複数の機械的保持具の少なくとも1つが、前記冷間成形ガラス基板の前記第2の主面に取付けられたガイドブロック、及び前記ガイドブロックから突出したガイドピンを備え、
前記ガイドピンの少なくとも一部が、前記少なくとも1つの溝に挿入されている、
実施形態1~9いずれか1つに記載の物品。
【0176】
実施形態11
前記フレームが、第1の溝及び第2の溝を備え、
前記複数の機械的保持具の少なくとも1つが、各々前記冷間成形ガラス基板の前記第2の主面に取り付けられた、第1のガイドブロック及び第2のガイドブロック、並びに前記第1及び第2のガイドブロックを貫通して該ガイドブロック間に延び、前記第1及び第2のガイドブロックの各々から、2つの方向に突出したガイドレールを備え、
前記ガイドレールの第1の端部が、前記第1の溝に挿入され、
前記ガイドレールの第2の端部が、前記第2の溝に挿入されている、
実施形態1~10いずれか1つに記載の物品。
【0177】
実施形態12
前記複数の機械的保持具が、全体として、前記冷間成形ガラス基板の前記第2の主面の50%未満の領域に取り付けられている、実施形態10又は11に記載の物品。
【0178】
実施形態13
前記フレームが、少なくとも1つの溝を備え、
前記複数の機械的保持具の少なくとも1つが、前記冷間成形ガラス基板の寸法の少なくとも80%に沿って延びるフレキシブル細片を備えた、実施形態1~12いずれか1つに記載の物品。
【0179】
実施形態14
前記複数の機械的保持具の少なくとも1つが、金属又はプラスチック材料で構成された、実施形態1~13いずれか1つに記載の物品。
【0180】
実施形態15
前記複数の機械的保持具が、接着剤を用いて前記第2の主面に取り付けられている、実施形態1~14いずれか1つに記載の物品。
【0181】
実施形態16
前記冷間成形ガラス基板の前記第1及び第2の主面の少なくとも一方に配置された、少なくとも1つのコーティング又は表面処理を更に備えた、実施形態1~15いずれか1つに記載の物品。
【0182】
実施形態17
前記少なくとも1つのコーティングが、インクコーティング、反射防止コーティング、防眩コーティング、イージーツークリーンコーティング、導電性コーティング、及び触覚コーティングから成る群から選択されたものであり、前記少なくとも1つの表面処理が、防眩表面、触覚表面、並びに隆起及び陥凹証印から成る群より選択されたものである、実施形態16に記載の物品。
【0183】
実施形態18
前記少なくとも1つのコーティングの厚さが、該コーティングの領域全体にわたり、5%を超えて変化していない、実施形態16に記載の物品。
【0184】
実施形態19
前記冷間成形ガラス基板の前記第2の主面に取り付けられたディスプレイを更に備えた、実施形態1~18いずれか1つに記載の物品。
【0185】
実施形態20
前記冷間成形ガラス基板を通して前記フレームが見えない、実施形態1~19いずれか1つに記載の物品。
【0186】
実施形態21
前記冷間成形ガラス基板が、強化ガラス基板である、実施形態1~20いずれか1つに記載の物品。
【0187】
実施形態22
前記第1及び第2の主面の各々が表面応力を有し、前記表面応力が互いに異なっている、実施形態1~21いずれか1つに記載の物品。
【0188】
実施形態23
物品であって、
第1の主面、及び前記第1の主面に対向する第2の主面を有するフレキシブルガラス基板と、
前記フレキシブルガラス基板の前記第2の主面に、前記ガラス基板の柔軟性が維持されるように取り付けられた、複数の独立した機械的保持具と、
を備えた物品。
【0189】
実施形態24
前記フレキシブルガラス基板の前記第2の主面に取り付けられたディスプレイを更に備えた、実施形態23に記載の物品。
【0190】
実施形態25
前記ディスプレイが柔軟であり、前記第2の主面に取り付けられたとき、前記ディスプレイの柔軟性が維持される、実施形態23に記載の物品。
【0191】
実施形態26
フレームを更に備え、前記複数の独立した機械的保持具の少なくとも一部が、前記フレームに取り付けられ、前記フレキシブルガラス基板が、湾曲形状に冷間成形される、実施形態23~25いずれか1つに記載の物品。
【0192】
実施形態27
フレキシブルガラス基板に、該基板の柔軟性が維持されるように、複数の独立した機械的保持具を取り付けるステップと、
前記複数の独立した機械的保持具の少なくとも1つをフレームに取り付けて、前記フレキシブルガラス基板を湾曲形状に冷間成形するステップと、
を備えた方法。
【0193】
実施形態28
前記複数の独立した機械的保持具の少なくとも1つを前記フレームに取り付ける前に、前記ガラス基板の前記対向する主面の少なくとも一方に、少なくとも1つのコーティングを施すステップを更に備えた、実施形態27に記載の方法。
【0194】
実施形態29
前記複数の独立した機械的保持具の少なくとも1つを前記フレームに取り付ける前に、前記ガラス基板の前記対向する主面の一方に、ディスプレイを取り付けるステップを更に備えた、実施形態27又は28記載の方法。
【0195】
実施形態30
前記機械的保持具を前記フレームに取り付ける前に、前記複数の独立した機械的保持具の少なくとも1つを、前記ガラス基板の前記対向する主面の一方に取り付けるステップを更に備えた、実施形態27~29いずれか1つに記載の方法。
【0196】
実施形態31
前記複数の独立した機械的保持具の少なくとも1つが、前記フレームに着脱自在に取り付けられている、実施形態27~30いずれか1つに記載の方法。
【0197】
実施形態32
前記フレームが凹部を備え、前記複数の独立した機械的保持具の少なくとも1つを前記フレームに取り付けるステップが、前記複数の独立した機械的保持具の少なくとも1つを前記凹部に挿入するステップを含む、実施形態27~31いずれか1つに記載の方法。
【0198】
実施形態33
前記フレームが溝を備え、
前記複数の機械的保持具の各々が、前記ガラス基板の2つの対向する主面の一方に取り付けられたガイドブロック、及びガイドブロックから突出したガイドピンを備え、
前記複数の独立した機械的保持具の少なくとも1つをフレームに取り付けるステップが、
少なくとも1つのガイドピンを溝に位置合わせするステップ、及び
少なくとも1つのガイドピンを溝に滑入させるステップ
を含む、実施形態27~32いずれか1つに記載の方法。
【0199】
実施形態34
前記フレームが、第1の溝及び第2の溝を備え、
前記複数の独立した機械的保持具の少なくとも1つが、いずれも前記ガラス基板の対向する2つ主面の一方に取り付けられた、第1のガイドブロック及び第2のガイドブロック、並びに前記第1及び第2のガイドブロックを貫通して該ブロック間に延び、前記第1及び第2のガイドブロックの各々から、2つの方向に突出したガイドレールを備え、
前記複数の独立した機械的保持具の少なくとも1つを前記フレームに取り付けるステップが、
前記ガイドレールの第1の端部を前記第1の溝に位置合わせし、前記ガイドレールの第2の端部を前記第2の溝に位置合わせするステップ、及び
前記ガイドレールの前記第1及び第2の端部を、それぞれ前記第1及び第2の溝に滑入させるステップ
を含む実施形態27~33いずれか1つに記載の方法。
【0200】
実施形態35
第1の主面、及び第1の主面に対向する第2の主面を有するフレキシブルガラス基板と、
前記フレキシブルガラス基板の前記第2の主面に、該ガラス基板の柔軟性が維持されるように取り付けられた、複数の機械的保持具と、
前記複数の機械的保持具の少なくとも1つを係合させる溝又は凹部を備えたフレームと、を含むキット。
【0201】
実施形態36
ディスプレイを更に含む、実施形態35に記載のキット。
【0202】
実施形態37
前記ディスプレイが、前記第2の主面に取り付けられている、実施形態36に記載のキット。
【0203】
実施形態38
前記ディスプレイが柔軟であり、取り付け後において、前記フレキシブルガラス基板及び前記フレキシブルディスプレイの柔軟性が維持される、実施形態37に記載のキット。
【0204】
実施形態39
前記ディスプレイが湾曲している、実施形態36に記載のキット。
【0205】
実施形態40
前記フレームが、前記ディスプレイに取り付けられている、実施形態36~39いずれか1つに記載のキット。
【0206】
実施形態41
前記複数の機械的保持具の少なくとも1つが前記フレームに係合すると、前記ディスプレイと前記第2の主面との間に空隙が設けられる、実施形態40に記載のキット。
【0207】
実施形態42
前記複数の機械的保持具の少なくとも1つが前記フレームに係合すると、前記フレキシブルガラス基板が湾曲形状に冷間成形される、実施形態35~41に記載のキット。
【0208】
実施形態43
ディスプレイを更に備え、前記複数の機械的保持具の少なくとも1つが、前記フレームに係合し、前記フレキシブルガラス基板が、湾曲形状を有する冷間成形フレキシブルガラス基板である、実施形態35に記載のキット。
【0209】
実施形態44
前記ディスプレイが柔軟である、実施形態43に記載のキット。
【0210】
実施形態45
前記ディスプレイが湾曲している、実施形態43又は44に記載のキット。
【0211】
実施形態46
前記ディスプレイが前記第2の主面に取り付けられると、前記ディスプレイが前記冷間成形フレキシブルガラス基板の前記湾曲形状を有する、実施形態43~45いずれか1つに記載のキット。
【符号の説明】
【0212】
100 フレキシブルガラス基板
102 第1の主面
104 第2の主面
110 副面
200 固定具
210、910、920 フレーム
220、912、922、924 溝
300、400、600 物品
410 機械的保持具
412 ガイドブロック
414 ガイドピン
702 第1のガイドブロック
704 第2のガイドブロック
710 ガイドレール
800 フレキシブル細片