(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022103275
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】光学基板をコーティングするためのコーティングシステム、その方法、およびコーティングされた光学基板
(51)【国際特許分類】
B05C 5/00 20060101AFI20220630BHJP
B05C 9/10 20060101ALI20220630BHJP
B05C 9/12 20060101ALI20220630BHJP
B05C 9/14 20060101ALI20220630BHJP
B05C 11/00 20060101ALI20220630BHJP
B05C 11/08 20060101ALI20220630BHJP
B05C 13/02 20060101ALI20220630BHJP
B05D 1/26 20060101ALI20220630BHJP
B05D 1/40 20060101ALI20220630BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B05C9/10
B05C9/12
B05C9/14
B05C11/00
B05C11/08
B05C13/02
B05D1/26 Z
B05D1/40 A
B41J2/01
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022077372
(22)【出願日】2022-05-10
(62)【分割の表示】P 2020513808の分割
【原出願日】2017-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】316008983
【氏名又は名称】トランジションズ オプティカル リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Transitions Optical Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ジェリー リー ケーニッヒ ザ セカンド
(57)【要約】
【課題】好適な光学基板をコーティングするコーティングシステム、その方法、コーティングされた光学基板を提供すること。
【解決手段】光学基板をコーティングするためのコーティングシステム(10)は、光学基板の表面上の少なくとも1つのマークの配向を識別するために構成される識別装置(40)、霧化された液滴形態における少なくとも1つのコーティング材料の制御された堆積によって少なくとも1つのコーティング材料を光学基板の少なくとも一部上に所定のパターンで適用するよう構成されるコーティング装置(30)、光学基板を識別装置(40)からコーティング装置(30)に移動させ少なくとも1つのマークの配向に基づき光学基板を所定の配向でコーティング装置(30)に対して位置付けるよう構成されるロボット式設置用アーム(80)を有する。コーティングシステム(10)はスピンコーティング装置等の第2のコーティング装置を有し得る。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学基板をコーティングするためのコーティングシステムであって、前記コーティングシステムは、
識別装置であって、前記識別装置は、光学基板の上部表面または底部表面上の少なくとも1つのマークの配向を識別するために構成される、識別装置と、
第1のコーティング装置であって、前記第1のコーティング装置は、霧化された液滴形態における少なくとも1つのコーティング材料の制御された堆積によって、前記少なくとも1つのコーティング材料を前記光学基板の前記上部表面の少なくとも一部上に所定のパターンで適用するように構成される、第1のコーティング装置と、
第2のコーティング装置であって、前記第2のコーティング装置は、スピンコーティング装置である、第2のコーティング装置と、
設置用アームであって、前記設置用アームは、前記光学基板を前記識別装置から前記第1のコーティング装置に移動させ、前記少なくとも1つのマークの配向に基づいて、前記光学基板を所定の配向で前記コーティング装置に対して位置付けるように構成される、設置用アームと
を備え、
前記設置用アームは、前記光学基板を前記識別装置から前記第2のコーティング装置の回転可能チャックに移動させるようにさらに構成される、コーティングシステム。
【請求項2】
前記識別装置は、前記少なくとも1つのマークの配向を決定するための少なくとも1つのセンサを備える、請求項1に記載のコーティングシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つのセンサは、光学センサである、請求項2に記載のコーティングシステム。
【請求項4】
前記識別装置は、バックライト付きの台を備える、請求項1-3のいずれか1項に記載のコーティングシステム。
【請求項5】
前記設置用アームは、前記光学基板を前記所定の配向に移動させる、請求項1-4のいずれか1項に記載のコーティングシステム。
【請求項6】
前記識別装置は、前記光学基板を前記所定の配向に移動させる、請求項1-5のいずれか1項に記載のコーティングシステム。
【請求項7】
前記コーティング装置は、圧電インクジェットコーティング装置または熱インクジェット印刷装置である、請求項1-6のいずれか1項に記載のコーティングシステム。
【請求項8】
前記第1のコーティング装置は、前記少なくとも1つのコーティング材料で充填される1つ以上のカートリッジを備える、請求項1-7のいずれか1項に記載のコーティングシステム。
【請求項9】
少なくとも1つの硬化ステーションをさらに備え、各硬化ステーションは、独立して、少なくとも部分的に、前記光学基板に適用される少なくとも1つのコーティング材料を硬化させるように構成される、請求項1-8のいずれか1項に記載のコーティングシステム。
【請求項10】
各硬化ステーションは、独立して、(i)熱硬化ステーション、(ii)UV硬化ステーション、(iii)IR硬化ステーション、および(iv)(i)、(ii)、および(iii)のうちの少なくとも2つの組み合わせのうちの少なくとも1つを備える、請求項9に記載のコーティングシステム。
【請求項11】
洗浄および乾燥ステーションをさらに備え、前記洗浄および乾燥ステーションは、各光学基板を選択的に洗浄および乾燥させるように構成され、前記洗浄および乾燥ステーションは、前記設置用アームによってアクセス可能である、請求項1-10のいずれか1項に記載のコーティングシステム。
【請求項12】
前処理ステーションをさらに備え、前記前処理ステーションは、前記光学基板の湿潤性を上昇させ、前記少なくとも1つのコーティング材料と前記光学基板の接着力を助長するために構成され、前記前処理ステーションは、前記設置用アームによってアクセス可能である、請求項1-11のいずれか1項に記載のコーティングシステム。
【請求項13】
光学基板をコーティングするための方法であって、前記方法は、
識別装置を使用して、光学基板の上部表面または底部表面上の少なくとも1つのマークの配向を識別することと、
前記光学基板を第1のコーティング装置および第2のコーティング装置のうちの1つに移動させ、前記少なくとも1つのマークの配向に基づいて、前記光学基板を所定の配向で前記コーティング装置に対して位置付けることと、
前記コーティング装置を使用して、少なくとも1つのコーティング材料を前記光学基板の前記上部表面の少なくとも一部上に適用することであって、前記少なくとも1つのコーティング材料は、霧化された液滴形態における前記少なくとも1つのコーティング材料の制御された堆積によって、所定のパターンで適用される、ことと
を含み、前記第2のコーティング装置は、スピンコーティング装置である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学物品をコーティングするための装置および方法に関する。特に、本発明は、コーティングを光学物品に適用するインクジェットコーティング機と、インクジェットコーティング機を使用して、光学物品をコーティングする方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットコーティングプロセス、および、概して、インクジェットコーティング機と呼ばれる、関連付けられたインクジェットコーティング機械は、典型的には、均一コーティングを基板上に提供するために使用される。インクジェットコーティングプロセスは、光学レンズを含む、レンズ等のコーティングされた基板を形成するために使用されている。ある光学レンズについは、コーティング機械に対する光学レンズの配向に関して、特別に配慮されなければならない。例えば、勾配コーティングを、異なる焦点距離を伴う部品を有する、累進光学レンズに、または仕上げられた縁を有する、光学レンズに適用するとき、勾配コーティングが適用される方向に対するレンズの配向は、重要である。勾配コーティング効果は、光学レンズが、概して、改良された遠方視のためのレンズの上部におけるより高い色密度とともに、より少ない色密度をレンズの底部を有するという点における機能利点と、ファッションおよびスタイルのための美観的効果とを提供する。
【0003】
コーティングを光学レンズに適用するために、光学レンズを所定の位置に配向し得る、インクジェットコーティング機械を有する、新しいコーティングシステムを開発することが望ましいであろう。さらに、そのようなコーティングシステムを使用して光学レンズをコーティングする方法を開発することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によると、光学基板をコーティングするためのコーティングシステムが、提供されてもよい。コーティングシステムは、光学基板の表面上の少なくとも1つのマークの配向を識別するために構成される、識別装置と、霧化された液滴形態における少なくとも1つのコーティング材料の制御された堆積によって、少なくとも1つのコーティング材料を光学基板の少なくとも一部上に所定のパターンで適用するように構成される、コーティング装置と、光学基板を識別装置からコーティング装置に移動させ、少なくとも1つのマークの配向に基づいて、光学基板を所定の配向でコーティング装置に対して位置付けるように構成される、ロボット式設置用アームとを有してもよい。
【0005】
本発明によると、識別装置は、少なくとも1つのマークの配向を決定するための少なくとも1つのセンサを有してもよい。少なくとも1つのセンサは、光学センサであってもよい。識別装置は、バックライト付きの台を有してもよい。ロボット式設置用アームまたは識別ステーションは、光学基板を所定の配向に移動させてもよい。コーティング装置は、圧電インクジェットコーティング装置または熱インクジェット印刷装置であってもよい。コーティング装置は、少なくとも1つのコーティング材料で充填される1つ以上のカートリッジを有してもよい。コーティングシステムは、少なくとも1つの硬化ステーションを有してもよく、各硬化ステーションは、独立して、少なくとも部分的に、光学基板に適用される少なくとも1つのコーティング材料を硬化させるように構成される。各硬化ステーションは、独立して、(i)熱硬化ステーション、(ii)UV硬化ステーション、(iii)IR硬化ステーション、および(iv)(i)、(ii)、および(iii)のうちの少なくとも2つの組み合わせのうちの少なくとも1つを有してもよい。
【0006】
本発明によると、コーティングシステムは、洗浄および乾燥ステーションを有してもよい。洗浄および乾燥ステーションは、各光学基板を選択的に洗浄および乾燥させるように構成されてもよく、ロボット式設置用アームによってアクセス可能であってもよい。コーティングシステムはまた、光学基板の湿潤性を上昇させ、少なくとも1つのコーティング材料と光学基板の接着力を助長するために構成される、前処理ステーションを有してもよい。前処理ステーションは、ロボット式設置用アームによってアクセス可能であってもよい。前処理ステーションは、プラズマ放電デバイスまたはコロナ放電デバイスであってもよい。コーティングシステムは、第2のコーティング装置を有してもよく、第2のコーティング装置は、スピンコーティング装置である。
【0007】
本発明によると、光学基板をコーティングするための方法は、識別装置を使用して、光学基板の表面上の少なくとも1つのマークの配向を識別するステップと、光学基板をコーティング装置に移動させ、少なくとも1つのマークの配向に基づいて、光学基板を所定の配向でコーティング装置に対して位置付けるステップと、コーティング装置を使用して、少なくとも1つのコーティング材料を光学基板の少なくとも一部上に適用するステップとを含んでもよい。少なくとも1つのコーティング材料は、霧化された液滴形態における少なくとも1つのコーティング材料の制御された堆積によって、所定のパターンで適用されてもよい。コーティングされた光学基板は、本方法に従って少なくとも部分的に、少なくとも1つのコーティング材料でコーティングされる、少なくとも1つの表面を有してもよい。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
光学基板をコーティングするためのコーティングシステムであって、前記コーティングシステムは、
識別装置であって、前記識別装置は、光学基板の表面上の少なくとも1つのマークの配向を識別するために構成される、識別装置と、
コーティング装置であって、前記コーティング装置は、霧化された液滴形態における少なくとも1つのコーティング材料の制御された堆積によって、少なくとも1つのコーティング材料を前記光学基板の少なくとも一部上に所定のパターンで適用するように構成される、コーティング装置と、
設置用アームであって、前記設置用アームは、前記光学基板を前記識別装置から前記コーティング装置に移動させ、前記少なくとも1つのマークの配向に基づいて、前記光学基板を所定の配向で前記コーティング装置に対して位置付けるように構成される、設置用アームと
を備える、コーティングシステム。
(項目2)
前記識別装置は、前記少なくとも1つのマークの配向を決定するための少なくとも1つのセンサを備える、項目1に記載のコーティングシステム。
(項目3)
前記少なくとも1つのセンサは、光学センサである、項目2に記載のコーティングシステム。
(項目4)
前記識別装置は、バックライト付きの台を備える、項目1-3のいずれか1項に記載のコーティングシステム。
(項目5)
前記設置用アームは、前記光学基板を前記所定の配向に移動させる、項目1-4のいずれか1項に記載のコーティングシステム。
(項目6)
前記識別ステーションは、前記光学基板を前記所定の配向に移動させる、項目1-5のいずれか1項に記載のコーティングシステム。
(項目7)
前記コーティング装置は、圧電インクジェットコーティング装置または熱インクジェット印刷装置である、項目1-6のいずれか1項に記載のコーティングシステム。
(項目8)
前記コーティング装置は、前記少なくとも1つのコーティング材料で充填される1つ以上のカートリッジを備える、項目1-7のいずれか1項に記載のコーティングシステム。
(項目9)
少なくとも1つの硬化ステーションをさらに備え、各硬化ステーションは、独立して、少なくとも部分的に、前記光学基板に適用される少なくとも1つのコーティング材料を硬化させるように構成される、項目1-8のいずれか1項に記載のコーティングシステム。
(項目10)
各硬化ステーションは、独立して、(i)熱硬化ステーション、(ii)UV硬化ステーション、(iii)IR硬化ステーション、および(iv)(i)、(ii)、および(iii)のうちの少なくとも2つの組み合わせのうちの少なくとも1つを備える、項目9に記載のコーティングシステム。
(項目11)
洗浄および乾燥ステーションをさらに備え、前記洗浄および乾燥ステーションは、各光学基板を選択的に洗浄および乾燥させるように構成され、前記洗浄および乾燥ステーションは、前記設置用アームによってアクセス可能である、項目1-10のいずれか1項に記載のコーティングシステム。
(項目12)
前処理ステーションをさらに備え、前記前処理ステーションは、前記光学基板の湿潤性を上昇させ、前記少なくとも1つのコーティング材料と前記光学基板の接着力を助長するために構成され、前記前処理ステーションは、前記設置用アームによってアクセス可能である、項目1-11のいずれか1項に記載のコーティングシステム。
(項目13)
第2のコーティング装置をさらに備え、前記第2のコーティング装置は、スピンコーティング装置である、項目1に記載のコーティングシステム。
(項目14)
光学基板をコーティングするための方法であって、前記方法は、
識別装置を使用して、光学基板の表面上の少なくとも1つのマークの配向を識別することと、
前記光学基板をコーティング装置に移動させ、前記少なくとも1つのマークの配向に基づいて、前記光学基板を所定の配向で前記コーティング装置に対して位置付けることと、
前記コーティング装置を使用して、少なくとも1つのコーティング材料を前記光学基板の少なくとも一部上に適用することであって、前記少なくとも1つのコーティング材料は、霧化された液滴形態における前記少なくとも1つのコーティング材料の制御された堆積によって、所定のパターンで適用される、ことと
を含む、方法。
(項目15)
項目14に記載の方法に従って、少なくとも部分的に少なくとも1つのコーティング材料でコーティングされる少なくとも1つの表面を備える、コーティングされた光学基板。
【0008】
本発明を特徴付ける特徴は、本開示に添付され、その一部を形成する、請求項内で詳細に指摘される。本発明のこれらおよび他の特徴、その動作利点、およびその使用によって取得される具体的目的は、本発明の非限定的実施例が図示および説明される、以下の詳細な説明からより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明のいくつかの実施例による、光学物品の代表的底部斜視図である。
【0010】
【
図2】
図2は、本発明のいくつかの実施例による、コーティングシステムの代表的斜視図である。
【0011】
【
図3】
図3は、本発明のいくつかの実施例による、コーティングシステムの代表的基本構想図である。
【0012】
【
図4】
図4は、
図3の第2のコーティング装置の修正された実施例の代表的基本構想図である
【0013】
【
図5】
図5は、
図4の第2のコーティング装置の複数のコーティングリザーバおよび分注ユニットを含有する、送出式コーティングリザーバプラットフォームの代表的断面図である。
【0014】
【
図6】
図6は、
図4の第2のコーティング装置のコーティングリザーバの代表的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1-6では、同様の文字は、別様に記載されない限り、場合によって、同一構成要素および要素を指す。
【0016】
明細書および請求項において使用されるように、「a」、「an」、および「the」の単数形は、文脈によって明確に別様に示されない限り、複数参照を含む。
【0017】
「左」、「右」、「内側」、「外側」、「上方」、「下方」、および同等物等の空間または方向用語は、限定と見なされるべきではなく、本発明は、種々の代替配向をとることができる。
【0018】
明細書および請求項において使用される全ての数は、全ての事例において、用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。用語「約」は、述べられた値の±10パーセントの範囲を意味する。
【0019】
別様に示されない限り、本明細書に開示される全ての範囲または比率は、その中に包摂されるあらゆる下位範囲または下位比率を包含すると理解されるべきである。例えば、「1~10」の述べられた範囲または比率は、1の最小値と10の最大値との間の(およびそれらの値を包含する)あらゆる下位範囲、すなわち、限定ではないが、1~6.1、3.5~7.8、および5.5~10等、1の最小値以上の値から開始し、10の最大値またはそれ未満で終了する、全ての下位範囲または下位比率を含むと見なされるべきである。
【0020】
用語「第1」、「第2」、および同等物は、なんらかの特定の順序または時系列を指すものではなく、代わりに、異なる条件、性質、または要素を指すことを意図するものである。
【0021】
本明細書で参照される全ての文書は、その全体として「参照することによって組み込まれる」。
【0022】
用語「少なくとも~」は、「~を上回るまたはそれと等しい」ことを意味する。用語「~以下」は、「~未満またはそれと等しい」ことを意味する。
【0023】
用語「includes(~を含む)」は、「comprises(~を備える)」と同義語である。
【0024】
用語「光学」は、光および/または視覚に関する、またはそれと関連付けられることを意味する。例えば、本明細書に開示される種々の非限定的実施例によると、光学要素、物品、またはデバイスは、眼科要素、物品、およびデバイス、ディスプレイ要素、物品、およびデバイス、バイザ、窓、およびミラーから選定されることができる。
【0025】
用語「眼科」は、眼および視覚に関する、またはそれと関連付けられることを意味する。眼科物品または要素の非限定的実施例は、区画化または非区画化のいずれかのマルチビジョンレンズ(限定ではないが、二焦点レンズ、三焦点レンズ、および累進レンズ等)であり得る、シングルビジョンまたはマルチビジョンレンズを含む、矯正および非矯正レンズ、および限定ではないが、コンタクトレンズ、眼内レンズ、拡大レンズ、および保護レンズまたはバイザを含む、視覚を矯正する、保護する、または向上させる(審美的または別様に)ために使用される、他の要素を含む。
【0026】
本明細書で使用されるように、用語「レンズ」および「複数のレンズ」は、少なくとも、個々のレンズ、レンズ対、部分的に形成された(または半分仕上げられた)レンズ、完全に形成された(または仕上げられた)レンズ、およびレンズ未加工材を意味し、それらを包含する。
【0027】
本明細書で使用されるように、用語「マーク」は、1つ以上のマークを意味する。
【0028】
本明細書で使用されるように、用語「フォトクロミック」および「フォトクロミック化合物」等の類似用語は、少なくとも化学線の吸収に応答して変動する、少なくとも可視放射のための吸収スペクトルを有することを意味する。さらに、本明細書で使用されるように、用語「フォトクロミック材料」は、フォトクロミック性質を示すように適合される(すなわち、少なくとも化学線の吸収に応答して変動する、少なくとも可視放射のための吸収スペクトルを有するように適合される)、任意の物質を意味し、これは、少なくとも1つのフォトクロミック化合物を含む。
【0029】
本明細書で使用されるように、基板、フィルム、材料、および/またはコーティングに関連に関連して使用されるような用語「透明」は、示される基板(コーティング、フィルムおよび/または材料等)が、それを越えて置かれる物体が視覚的に観察可能であるように、感知できるほどの散乱を伴わずに光を透過させる性質を有することを意味する。
【0030】
本明細書で使用されるように、用語「コーティング」は、随意に、均一厚さを有し得、具体的には、ポリマーシートを除外する、流動性コーティング材料から導出される、支持フィルムを意味する。本明細書で使用されるように、用語「層」および「フィルム」はそれぞれ、コーティング(コーティング層またはコーティングフィルム等)およびシートの両方を包含し、層は、下位層および/または上位層を含む、別個の層の組み合わせを含むことができる。いくつかの実施例によると、本明細書で使用されるように、用語「コーティング」は、適切な文脈内において、コーティング材料(または複数の材料)を基板に適用し、コーティング(またはコーティング層)を形成するプロセスを意味する。
【0031】
本明細書で使用されるように、用語「硬化させる」、「硬化された」、および関連用語は、硬化性組成物を形成する、重合可能および/または架橋結合可能成分の少なくとも一部が、少なくとも部分的に、重合および/または架橋結合されることを意味する。いくつかの実施例によると、架橋結合の程度は、完全な架橋結合の5%~100%に及び得る。いくつかのさらなる実施例によると、架橋結合の程度は、完全な架橋結合の35%~95%、または50%~95%、または50%~85%等の30%~95%に及び得る。架橋結合の程度は、列挙される値を含め、これらの列挙される下限および上限値の任意の組み合わせ間に及び得る。
【0032】
本明細書で使用されるように、用語「IR」は、赤外線放射等の赤外線を意味する。
【0033】
本明細書で使用されるように、用語「UV」は、紫外線放射等の紫外線を意味する。
【0034】
本発明の議論は、ある限界内において「特に」または「好ましくは」(例えば、ある限界内において「好ましくは」、「より好ましくは」、または「さらにより好ましくは」)であるものとしてある特徴を説明し得る。本発明は、これらの特定または好ましい限界に限定されず、本開示の範囲全体を包含することを理解されたい。
【0035】
本発明は、任意の組み合わせにおいて、本発明の以下の実施例を備える、それから成る、またはそれから本質的に成る。本発明の種々の実施例は、別個に議論され得る。しかしながら、これは、単に、例証および議論を容易にするためのものであることを理解されたい。本発明の実践では、一実施例において説明される1つ以上の本発明の側面は、他の実施例のうちの1つ以上のものに説明される、本発明の1つ以上の側面と組み合わせられることができる。
(コーティングシステム)
【0036】
図2-3を参照すると、本発明のいくつかの実施例による、コーティングシステム10が、示される。コーティングシステム10は、本明細書に説明されるように、いくつかの実施例によると、清浄およびコーティング(複数のコーティングおよびコーティングの組み合わせのうちの1つ以上のものを利用する)し、いくつかの異なる硬化方法(UV、IR、および/または熱硬化装置等)のうちの1つ以上のものまたはそれらの組み合わせを利用する、表面前処理ステーション(限定ではないが、プラズマ前処理ステーション等)を含み得る、低コストかつ小規模(1時間あたり最大100のコーティングされた基板を生産する等)の上部側インクジェットコーティング機械を提供する。本発明のコーティングシステム10は、いくつかの実施例では、最小限の廃棄物流および/または廃棄物材料の形成を伴って動作されることができる。
【0037】
本発明のコーティングシステム10は、いくつかの実施例では、それぞれ、独立して、その上に適用される同一または異なるコーティング材料を有する、光学基板の生産のために使用されることができる。いくつかの実施例では、本発明のコーティングシステム10は、少なくとも部分的に、自動化され、随意に、当該技術分野において承認されている生成物追跡および制御システムの中に組み込まれることができる。
【0038】
図2-3を参照すると、コーティングシステム10は、概して、コーティングシステム10を画定する、種々のステーションを支持するための筐体20を有する。筐体20は、少なくとも部分的に、封入または開放されてもよい。いくつかの実施例によると、コーティングシステム10は、基板をコーティングするためのコーティング装置30と、基板の配向を決定するための識別ステーション40とを有する。硬化ステーション50は、コーティングされた基板を硬化させるために提供される。随意に、コーティングシステム10は、前処理ステーション60および/または洗浄および乾燥ステーション70を有する。ロボット式設置用アーム80等の設置用アームが、光学基板をコーティングシステム10の種々のステーション間で移動させるために提供される。
(光学基板)
【0039】
コーティングシステム10は、いくつかの実施例では、限定ではないが、光学基板等の種々の基板をコーティングするために使用されることができる。本発明のコーティングシステム10でコーティングされ得る、光学基板の実施例として、限定ではないが、いずれの場合も、仕上げられたレンズ、未仕上げレンズ、またはレンズ未加工材であり得る、光学レンズ、処方箋レンズが挙げられる。いくつかのさらなる実施例によると、本発明のコーティングシステム10でコーティングされた光学レンズは、可変裏面曲率(基底の1/2ベースから最大で基底の10まで等)を伴う、50~85mmの直径を有する。参照のために、仕上げられたレンズは、所望の輪郭に形成される(一般に、研削および研磨することによって)レンズの正面および背面表面を有するであろうものである一方、半分仕上げられたレンズは、1つのみの(例えば、上部)表面が仕上げされているであろう。仕上げられたおよび未仕上げレンズは両方とも、多くの場合、フォトクロミック材料を用いたコーティング、ハードコーティング、層の着色、層の平坦化(概して、光学、美観的、または保護性質を提供するコーティング層としてカテゴリ化される)、および所望の形状に適合させるための鋳ばり取り、またはフレームまたは支持構造に結合するための他の処理等のさらなる処理を受ける。
【0040】
図1を参照すると、光学基板100は、前部または上部表面102と、後部または底部表面104と、上部表面102と底部表面104との間に延在する、側面表面106とを有する。光学基板100が、眼科レンズであるとき、底部表面104は、光学基板100を装着している個人の眼に対向し、側面表面106は、典型的には、支持フレーム内に常駐し、上部表面102は、入射光(図示せず)に面し、その少なくとも一部は、光学基板100を通して、個人の眼の中に通過する。いくつかの側面では、上部表面102、底部表面104、および側面表面106のうちの少なくとも1つは、凸面、凹面、または平面であってもよい。
【0041】
本発明の方法でコーティングされる、光学基板100は、いくつかの実施例では、有機材料、無機材料、またはそれらの組み合わせ(例えば、複合材料)から形成され、対応して、それらを含むことができる。
【0042】
本発明の種々の実施例による、光学基板100として使用され得る、有機材料の実施例は、第15欄第28行目から第16欄第17行目において米国特許第5,962,617号および米国特許第5,658,501号に開示されるモノマーおよびモノマーの混合物から調製される、ホモポリマーおよびコポリマー等のポリマー材料を含む。例えば、そのようなポリマー材料は、熱可塑性または熱硬化性ポリマー材料であることができ、透明または光学的にクリアであることができ、要求される任意の屈折率を有することができる。そのようなモノマーおよびポリマーの実施例は、ポリオール(アリルカーボネート)モノマー、例えば、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)等のアリルジグリコールカーボネート(そのモノマーは、PPG Industries, Inc.によって商標名CR-39下で販売されている)、例えば、ポリウレタンプレポリマーおよびジアミン硬化剤の反応によって調製される、ポリ尿素-ポリウレタン(ポリ尿素-ウレタン)ポリマー(1つのそのようなポリマーのための組成物は、PPG Industries, Inc.によって、商標名TRIVEX下で販売されている)、ポリオール(メタ)アクリロイル末端炭酸モノマー、ジエチレングリコールジメタクリレートモノマー、エトキシ化フェノールメタクリレートモノマー、ジイソプロピルベンゼンモノマー、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレートモノマー、エチレングリコールビスマスアクリレートモノマー、ポリ(エチレングリコール)ビスマスアクリレートモノマー、ウレタンアクリレートモノマー、ポリ(エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリチオウレタン、ビスフェノールAおよびホスゲンから導出される炭素結合樹脂等の熱可塑性ポリカーボネート、(1つのそのような材料は、商標名LEXAN下で販売されている)、商標名MYLAR下で販売されている材料等のポリエステル、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリビニルブチラール、商標名PLEXIGLAS下で販売されている材料等のポリ(メチルメタクリレート)、およびポリチオールまたはポリエピスルフィドモノマーと多官能イソシアネートを反応させることによって調製されるポリマーであって、ポリチオール、ポリイソチオシアネート、およびポリイソチオシアネートおよび随意にエチレン性不飽和モノマーまたはハロゲン化芳香族含有ビニルモノマーと単重合または共重合および/または三重合のいずれかが行われる、ポリマーを含む。また、例えば、ブロックコポリマーまたは相互貫入ネットワーク生成物を形成するために、そのようなモノマーのコポリマーおよび説明されるポリマーおよびコポリマーと他のポリマーの混成物も、検討される。
【0043】
本発明のいくつかの実施例では、光学基板100は、眼科基板であることができる。眼科基板を形成する際に使用するために好適な有機材料の実施例は、眼科レンズ等の光学用途のための光学的にクリアな鋳造物を調製するために使用される、有機光学樹脂等の眼科基板として有用な当該技術分野において承認されている、ポリマーを含む。
【0044】
本発明のいくつかの実施例において、光学基板100として使用され得る、無機材料の実施例は、ガラス、鉱物、セラミック、および金属を含む。いくつかの実施例では、光学基板100は、ガラスを含むことができる。他の実施例では、光学基板100は、反射性表面、例えば、研磨されたセラミック基板、金属基板、または鉱物基板を有することができる。他の実施例では、反射性コーティングまたは層(例えば、銀層等の金属層)が、無機または有機基板の表面に堆積され、または別様に適用され、それを反射性にする、またはその反射率を向上させることができる。
【0045】
本発明のいくつかの実施例による方法と併用され得る、光学基板100はまた、非着色、着色、線形偏光、円偏光、楕円偏光、フォトクロミック、または着色されたフォトクロミック基板を含むことができる。光学基板100を参照して本明細書で使用されるように、用語「非着色」は、本質的に、着色剤(従来の色素等)が添加されておらず、化学線に応答して有意に変動しない、可視放射のための吸収スペクトルを有する、光学基板を意味する。さらに、光学基板100を参照すると、用語「着色」は、着色剤(従来の色素等)が添加されており、化学線に応答して有意に変動しない、可視放射のための吸収スペクトルを有する、基板を意味する。
(マーク)
【0046】
図1を継続して参照すると、少なくとも1つのマーク110等の少なくとも1つの印が、光学基板100上に提供されてもよい。いくつかの実施例では、少なくとも1つのマーク110は、医師が、光学基板100の屈折力を装着者の処方箋に合致させる際、基準点として使用し得る、光学基準マークを画定するように成形されてもよい。他の実施例では、少なくとも1つのマーク110は、ロゴ等の印であってもよい。いくつかの実施例では、少なくとも1つのマーク110は、コーティングシステム10によって、光学基板100の配向をコーティングシステム10の少なくとも1つの構成要素に対して決定するために使用されてもよい。いくつかの実施例では、少なくとも1つのマーク110は、光学基板100の累進度(すなわち、異なる焦点距離を伴う光学基板100の部品間の平滑遷移の場所)等の光学基板100の少なくとも1つの特性の場所/配向を識別するために使用される、一対のマーク110であってもよい。勾配コーティングが、累進光学基板100に適用されるとき、勾配コーティングを光学基板100の異なる焦点距離の場所に対して配向するために、特別に配慮されなければならない。光学基板100は、少なくとも1つのマーク110の配向に基づいて、コーティングシステム10の少なくとも1つの構成要素に対して所望の配向に位置付けられてもよい。
【0047】
少なくとも1つのマーク110は、上部表面102、底部表面104、および/または側面表面106等の光学基板100の表面上に提供されてもよい。いくつかの実施例では、少なくとも1つのマーク110は、光学基板100の外部表面から突出し得る、トポグラフィ特徴、または光学基板100の外部表面の中に陥凹される、トポグラフィ特徴として形成される。いくつかの実施例では、少なくとも1つのマーク110は、例えば、成型等によって、光学基板100上にモノリシックに形成されてもよい。他の実施例では、少なくとも1つのマーク110は、エッチング、刻設によって、または所望の少なくとも1つのマーク110を光学基板100上に転写するための当業者に公知の他の方法に従って、光学基板100上に形成されてもよい。
【0048】
いくつかの実施例では、少なくとも1つのマーク110は、光学基板100の少なくとも1つの表面に適用されてもよい。例えば、少なくとも1つのマーク110は、光学基板100の少なくとも1つの表面に接着適用される、印刷される、書き込まれる、または別様に適用されてもよい。
【0049】
いくつかの実施例では、少なくとも1つのマーク110は、光学基板100と別個の担体120上に提供されてもよい。担体は、光学基板100の少なくとも1つの表面に除去可能または非除去可能に適用されてもよい。例えば、担体120は、光学基板100の上部表面102、底部表面104、および/または側面表面106のうちの1つ以上のものに除去可能に適用される、接着テープであってもよい。担体120は、コーティングプロセスの間、光学基板100の少なくとも1つの表面に適用されてもよい。光学基板100が、コーティングされた後、担体120は、除去されてもよい。担体120は、少なくとも1つのマーク110が容易に識別され得るように、透明または半透明であってもよい。
【0050】
少なくとも1つのマーク110は、総合的に、マーク110の境界を画定する、複数の個々のマーク110のアレイとして形成されてもよい。複数のマーク110が、光学基板100の外部表面上に提供される場合、複数のマーク110は、同一平面または異なる平面を提供されてもよい。少なくとも1つのマーク110は、パターンおよび設計の形態であってもよい。パターンおよび設計の実施例として、限定ではないが、1つ以上の言語からの文字および数が挙げられる。いくつかの実施例では、少なくとも1つのマーク110は、1次元バーコードおよび/または2次元バーコードの形態である。
(ロボット式設置用アーム)
【0051】
図3を参照すると、コーティングシステム10の種々のステーション間の光学基板100の移動は、ロボット式設置用アーム80を用いて自動化されてもよい。いくつかの実施例では、複数のロボット式設置用アーム80が、提供されてもよい。ロボット式設置用アーム80は、光学基板100の既知の中心位置を約2mm以内等に維持する様式において、光学基板100に係合し、光学基板100をコーティングシステム10の異なるステーション間で移動させるように構成される。光学基板100の既知の中心位置は、ロボット式設置用アーム80の正確度と、光学基板100上の少なくとも1つのマーク110の配向に基づく光学基板100の位置付け等の光学基板100の適切な初期位置付けの組み合わせの結果として、そのように維持されることができる。
【0052】
ロボット式設置用アーム80は、独立して、ロボット式設置用アーム80の基部82に対して移動可能である、1つ以上の区分80a、80bを有してもよい。1つ以上の区分80a、80bは、基部82に対して回転可能または平行移動可能であってもよい。ロボット式設置用アーム80の1つ以上の区分80a、80bは、ロボット式設置用アーム80が光学基板100をエンベロープ内の任意の場所に設置するように動作する、エンベロープを画定する。望ましくは、ロボット式設置用アーム80は、コーティングシステム10のステーションの全てがロボット式設置用アーム80のエンベロープ内にあるように構成される。ロボット式設置用アーム80の使用は、コーティングシステム10がロボット式設置用アーム80のエンベロープ内で完全に自動化されることを可能にし、完全手動プロセス等の手動プロセスと比較して、光学基板100の表面のマーキング等への損傷を最小限にする。
【0053】
光学基板100は、ロボット式設置用アーム80によって取り上げられるとき、湿潤または乾燥状態であることができる。いくつかの実施例では、湿潤状態であるとき、光学基板100は、粘性および/または未硬化等の硬質ではない1つ以上の湿潤コーティング層をその上に含む。いくつかのさらなる実施例では、乾燥状態であるとき、光学基板100は、コーティング層がない、または硬化された状態等の硬質である(かつ粘性ではない)、1つ以上の乾燥コーティング層を含む。種々の実施例では、ロボット式設置用アーム80は、光学基板の少なくとも1つの表面に接触することによって、光学基板100を取り上げるために構成される。
【0054】
いくつかの実施例によると、ロボット式設置用アーム80のグリッパ要素84の下側および/または側面部分が、その湿潤取上の間(光学基板100が湿潤状態であるとき)、光学基板100の底部表面104および/または側面表面106に係合および固着する。いくつかのさらなる実施例では、ロボット式設置用アーム80のグリッパ要素84の上側および/または側面部分が、その乾燥取上の間(光学基板100が乾燥状態にあるとき)、光学基板100の上部表面102および/または側面表面106に係合および固着する。さらなる実施例では、ロボット式設置用アーム80のグリッパ要素84の下側および/または側面部分が、その湿潤または乾燥取上の間、光学基板100の底部表面104および/または側面表面106に係合および固着する。光学基板100の底部表面104は、光学基板100をロボット式設置用アーム80の把持要素84に固着するために構成される、接着要素112を有してもよい。接着要素112は、光学基板100の底部表面104に除去可能に接着されてもよい。例えば、接着要素112は、コーティングシステム10内での光学基板100の処理の間、光学基板100に接着接続されてもよい。最終処理ステップ後、接着要素112は、光学基板100の底部表面104から除去されてもよい。
【0055】
いくつかの実施例によると、ロボット式設置用アーム80は、光学基板100をそこに除去可能に固着するために構成される、担体86に係合および固着するために構成されてもよい。例えば、ロボット式設置用アーム80のグリッパ要素84は、担体86をコーティングシステム10の種々のステーションで移送するために、担体86に係合および固着する。担体86は、光学基板100の少なくとも1つの表面に係合するために、少なくとも1つの搬送表面88を有してもよい。
(識別ステーション)
【0056】
図3を継続して参照すると、コーティングシステム10は、光学基板100上の少なくとも1つのマーク110を識別するために構成される、検査装置またはステーション40を有する。本明細書に議論されるように、少なくとも1つのマーク110は、直接、光学基板100の表面上に形成されてもよい、または光学基板100の少なくとも1つの表面に除去可能または非除去可能に接続される、担体120上に形成されてもよい。検査ステーション40は、光学基板100上の少なくとも1つのマーク110の配向を識別するために使用されてもよい。光学基板100上の少なくとも1つのマーク110の配向に基づいて、光学基板100は、1つ以上のステーション40内にコーティングシステム10の1つ以上のステーション40に対して所定の配向で位置付けられることができる。
【0057】
いくつかの実施例では、識別ステーション40は、光学基板100上の少なくとも1つのマーク110を識別するための少なくとも1つのセンサ42を有する。例えば、少なくとも1つのセンサ42は、カメラ等の光学センサであってもよい。光学センサ42は、光学基板100を撮像するように構成されてもよい。識別アルゴリズムが、少なくとも1つのマーク110を少なくとも1つのセンサ42によって撮影された光学基板100の画像から識別するために使用されてもよい。識別アルゴリズムは、例えば、検査ステーション40上の既知のマーク45の配向に対する少なくとも1つのマーク110の配向を識別するために使用されてもよい。少なくとも1つのセンサ42は、光学基板100に対して移動可能であってもよい。例えば、少なくとも1つのセンサ42は、デカルト座標系(X、Y、Z軸)の軸のうちの1つ以上のものに沿った方向における平行移動、またはデカルト座標系の1つ以上の軸を中心とした回転等によって、光学基板100に対して移動され、光学基板100を、少なくとも1つのマーク110が少なくとも1つのセンサ42によって明確に検出され得る、少なくとも1つのセンサ42の視野内に位置付けてもよい。
【0058】
いくつかの実施例では、識別ステーション40は、少なくとも1つのマーク110の識別の間、光学基板100を支持するための支持表面44を有してもよい。支持表面44は、光源46によって後方照明される、透明または半透明支持表面であってもよい。支持表面44の背景を後方照明することは、光学基板100と周囲環境との間のコントラストを増加させ、マーク110をより容易に識別することに役立つ。支持表面44は、少なくとも1つのセンサ42に対して移動可能であってもよい。例えば、その上に位置付けられる光学基板100を有する、支持表面44は、デカルト座標系の軸のうちの1つ以上のものに沿った方向における平行移動、またはデカルト座標系の1つ以上の軸を中心とした回転等によって、少なくとも1つのセンサ42に対して移動され、光学基板100を、少なくとも1つのマーク110が少なくとも1つのセンサ42によって明確に検出され得る、少なくとも1つのセンサ42の視野内に位置付けてもよい。いくつかの実施例では、支持表面44および少なくとも1つのセンサ42は両方とも、光学基板100を、少なくとも1つのマーク110が少なくとも1つのセンサ42によって明確に検出され得る、少なくとも1つのセンサ42の視野内に位置付けるように移動可能であってもよい。
【0059】
光学物品100の表面上の少なくとも1つのマーク110の配向を決定することに基づいて、ロボット式位置付け用アーム80は、光学物品100を1つ以上のステーション40にコーティングシステム10の1つ以上のステーションに対して所定の配向で移動させるために使用されることができる。ロボット式設置用アーム80は、光学基板100の既知の配向を維持する様式において、光学基板100に係合し、本既知の配向に基づいて、光学基板100を識別ステーション40とコーティングシステム10の少なくとも別のステーションとの間で移動させるように構成される。光学基板100の既知の配向は、ロボット式設置用アーム80の正確度と、光学基板100上の少なくとも1つのマーク110の配向に基づく光学基板100の位置付け等の光学基板100の適切な初期位置付けの組み合わせの結果として、そのように維持されることができる。いくつかの実施例では、ロボット式設置用アーム80は、把持要素84を回転させ、それ自体を配向させ、少なくとも1つのマーク110の位置に基づいて、光学基板100をロボット式設置用アーム80に対して光学基板100の所定の位置で取り上げてもよい。他の実施例では、回転プラットフォーム48等の識別ステーション40の少なくとも一部が、回転し、少なくとも1つのマーク110の配向に基づいて、光学基板100をロボット式設置用アーム80に対して所定の位置に配向してもよい。他の実施例では、ロボット式設置用アーム80および回転プラットフォーム48の両方が、回転し、少なくとも1つのマーク110の配向に基づいて、光学基板100をロボット式設置用アーム80に対して所定の位置に配向してもよい。
(前処理ステーション)
【0060】
図3を継続して参照すると、コーティングシステム10は、プラズマチャンバ62等の前処理ステーション60を有する。識別ステーション40内での光学基板100の検査に続いて、ロボット式設置用アーム80は、光学基板100に係合し、それを前処理ステーション60に移動させる。ロボット式設置用アーム80は、随意に、光学基板100上の少なくとも1つのマーク110の配向に基づいて、光学基板100を前処理ステーション60内に前処理ステーション60に対して所定の配向で位置付けてもよい。
【0061】
チャンバ62内で行われるプラズマ表面処理は、限定ではないが、コロナ処理、雰囲気プラズマ処理、雰囲気圧処理、火炎プラズマ処理、および/または化学プラズマ処理を含む、1つ以上の当該技術分野において承認されているプラズマ表面処理方法から選択されることができる。いくつかの実施例では、チャンバ62内で行われる表面処理は、酸素プラズマ処理である。表面処理プロセスは、いくつかの実施例では、光学基板100の表面を処理し、湿潤性を助長し、続いて、その上に適用および形成されるコーティングの接着力を向上させるステップを伴う。チャンバ62は、いくつかの実施例では、光学基板ホルダに係合し、チャンバ62内の光学基板100の最大表面処理を可能にする、一連の縁を含む。チャンバ62は、いくつかの実施例では、低減された雰囲気の条件下で動作され、対応して、表面処理は、バッチプロセスとして行われてもよい。
【0062】
コロナ処理を含む、プラズマ処理は、光学基板100のバルク性質を改変せずに、その1つ以上の表面を粗面化および/または化学的に改変する等、光学基板100の表面性質を改変する清浄かつ効率的方法を提供する。いくつかの実施例では、1つ以上の不活性ガス(限定ではないが、アルゴンおよび/または窒素等)および/または1つまたはそれを上回る反応性ガス(限定ではないが、酸素、CO、および/またはCO2等)が、そこからプラズマが形成される、チャンバ62内のガスとして使用されることができる。不活性ガスは、いくつかの実施例では、光学基板100の表面を粗面化する。酸素等の反応性ガスは、いくつかの実施例では、例えば、ヒドロキシルおよび/またはカルボキシル基を処理される表面上に形成することによって、プラズマに暴露される表面の粗面化および化学的改変の両方を行うことができる。
【0063】
いくつかの実施例では、プラズマ表面処理プロセスにおける酸素の使用は、光学基板100の表面の効果的程度の物理的粗面化および化学修正を提供することができ、これは、光学基板100の光学性質等の他の性質に悪影響を及ぼさずに、接着力を改良することができる。雰囲気空気もまた、プラズマガスを形成するために使用されることができ、いくつかの実施例では、反応性ガスである。表面粗面化および/または化学修正の範囲は、いくつかの実施例では、プラズマガスと、表面処理の時間の長さを含む、チャンバ62の動作条件との関数である。いくつかの実施例では、光学基板100は、1~5分にわたって、チャンバ62等内において、プラズマ表面処理に暴露され、これは、コーティング装置30内でさらに処理される、表面処理された光学基板100の形成をもたらす。チャンバ62内での光学基板100の表面処理はまた、その表面上に存在する異物汚染物質を除去することができる。ある表面汚染物質の存在は、いくつかの実施例では、望ましくないことに、光学基板100の表面の表面エネルギーを低減させ得る。表面汚染物質の除去後に生じ得る、高表面エネルギーは、いくつかの実施例では、コーティング湿潤性を助長する。
【0064】
チャンバ62内でのプラズマ表面処理に続いて、表面処理された光学基板100は、除去され、随意に、装填ユニット64上への設置に先立って、視覚的および/または自動化された検査を受けることができる。光学基板100は、装填ユニット64上の進行経路66に沿って回送され、これは、コンベヤベルト等のコンベヤを用いて達成されることができる。光学基板100は、それらが位置付けポケット68に係合するまで、進行経路66に沿って回送される。装填ユニット64は、光学基板100を待ち行列に入れ、各個々の光学基板100を連続して提示し、位置付けポケット68の中に導入しながら、光学基板100が(相互に係合/擦過/強打すること等によって)相互に損傷することを防止する。位置付けポケット68の縁は、角度付けられる等、各個々の光学基板100を事前に選択された位置(中心位置または場所等)に位置付けポケット68の幅に対して位置付けるように構成される。位置付けポケット68はまた、いくつかの実施例では、各個々の光学基板100の前縁および/または後縁を識別し、光学基板100が位置付けポケット68内に適切に位置付けられた(中心合わせされた等)と感知および決定されると、進行経路66を停止させる、少なくとも1つ(少なくとも2つ等)の近接度センサ(ビーム中断センサ69等)を含む。
(洗浄および乾燥ステーション)
【0065】
図3を継続して参照すると、コーティングシステム10は、随意に、洗浄および乾燥ステーション70を有する。前処理ステーション60内での光学基板100の表面処理に続いて、ロボット式設置用アーム80は、光学基板100に係合し、それを洗浄および乾燥ステーション70に移動させる。ロボット式設置用アーム80は、随意に、光学基板100上の少なくとも1つのマーク110の配向に基づいて、光学基板100を洗浄および乾燥ステーション70内に洗浄および乾燥ステーション70に対して所定の配向で位置付けてもよい。
【0066】
いくつかの実施例では、洗浄および乾燥ステーション70は、いくつかの実施例では、回転可能真空チャックであり得る、回転可能チャック72を、洗浄および乾燥ステーション70の筐体74内に有する。回転可能チャック72は、いくつかの実施例では、最大4,000rpm等の高速で回転することができる。光学基板100を回転可能チャック72上に固着させた後、カバー76が、閉鎖位置に移動され、高圧水噴霧ノズル78が、光学基板100が回転チャック72上に保持された状態でアクティブ化される。いくつかの実施例では、高圧水噴霧ノズル78は、光学基板100の表面に対して角度付けられてもよい。このように、光学基板100の上側面表面および縁全体が、いくつかの実施例では、約1,000psi等の高圧の条件下で、脱イオン水等を用いて清浄されることができる。回転可能チャック72は、噴霧洗浄の間、回転し、光学基板100の均一清掃を保証することができる。液体圧力、洗浄時間、および回転速度等の洗浄パラメータは、プログラム可能であることができ、光学基板100、プラズマ処理、および/または後続コーティングプロセスのタイプおよび/またはサイズ等のパラメータに基づいて変動し得る。
【0067】
洗浄に続いて、光学基板100は、いくつかの実施例では、洗浄および乾燥ステーション70において、限定ではないが、回転可能チャック72の高速回転および/または濾過された空気ノズル79であり得る高速空気ノズル79を含む、1つ以上の乾燥方法によって、乾燥されることができる。乾燥パラメータは、いくつかの実施例では、洗浄パラメータと関連付けられたものに類似する様式においてプログラムされることができる。
(コーティング装置)
【0068】
図3を継続して参照すると、インクジェット印刷装置等のコーティング装置30が、極度に微細な液滴の形態におけるコーティング材料を光学基板100の1つ以上の表面等の印刷表面上に適用するように構成される。光学基板100の洗浄および乾燥に続いて、ロボット式設置用アーム80は、光学基板100に再係合し、それをコーティング装置30に移動させる。ロボット式設置用アーム80は、光学基板100上の少なくとも1つのマーク110の配向に基づいて、光学基板100をコーティング装置30内にコーティング装置30に対して所定の配向で位置付けてもよい。このように、光学基板100は、コーティング装置30に対して所望の配向に整合されることができる。ロボット式設置用アーム80は、光学基板100が、少なくとも1つのマーク110の配向に基づいて、コーティング装置30に対して所定の配向で位置付けられ得るように、光学基板100の表面上の少なくとも1つのマーク110の配向を決定するために、光学基板100をコーティング装置30内に位置付けることに先立って、光学基板100を識別ステーション40に移動させてもよい。例えば、光学基板100は、少なくとも1つのマーク110が、コーティング材料がコーティング装置30を使用して光学基板100に適用される方向に対して、略平行、垂直、または任意の他の配向に配列されるように配列されてもよい。
【0069】
1つ以上の印刷ヘッド等のコーティング装置30と関連付けられた放出装置は、それと関連付けられた1つ以上のノズル78を有する。ノズル78はそれぞれ、持続的または要求に応じてのいずれかにおいて、コーティング材料の単一液滴を制御可能に放出させるように構成される。要求に応じたシステムでは、液滴の放出は、所定の液滴放出プロファイルを有する、コントローラ39によって制御される。例えば、コントローラは、滴のサイズ(コーティング材料の体積)および滴が形成および送達される速度を制御してもよい。いくつかの側面では、1つ以上の印刷ヘッドは、液滴を形成し、1つ以上の印刷ヘッドから放出させるための機構を提供する、1つ以上の圧電要素を具備してもよい。コントローラ39によって決定された制御電圧等の1つ以上の圧電要素に印加される電圧は、1つ以上の圧電要素の形状を変化させ、それによって、圧力パルスをコーティング材料内に発生させ、これは、コーティング材料の液滴をノズル78から押進させる。他の側面では、1つ以上の印刷ヘッドは、加熱器を含む、少なくとも1つのチャンバ62を有してもよい。液滴は、電圧のパルスがコントローラ39によって決定された制御電圧等の加熱器を横断して通過されると、チャンバから吐出される。そのような電圧差は、チャンバ62内のコーティング材料の高速水蒸気化を生じさせ、泡を形成する。泡の形成は、圧力差をチャンバ62内に生じさせ、それによって、コーティング材料の液滴をコーティング表面上に推進する。コントローラ39は、1つ以上の印刷ヘッドに、要求に応じて液滴を発生させるように指示する。このように、印刷表面のエリアの単位あたりで送達されるコーティング材料のタイミング、位置、および体積は、制御されることができる。
【0070】
印刷ヘッドのノズル78から放出される各液滴は、単一ドットの形態において、光学基板100の表面上に堆積される。したがって、堆積される液滴の集合体は、パターンを形成されることを可能にする、アレイを作成する。このように、印刷表面の全部または一部が、コーティングされてもよい。印刷表面の1つ以上の部分が、印刷されると、文字、数、画像、または同等物等の種々の設計が、印刷表面上に形成されてもよい。印刷表面全体が、印刷されると、堆積された液滴の集合体は、コーティング材料の層を光学基板100等の印刷表面上に形成する。
【0071】
図3を継続して参照すると、コーティング装置30は、基板ホルダ32と、1つ以上の印刷ヘッド34とを有する。いくつかの実施例では、基板ホルダ32は、印刷動作の間、光学基板100を固着して保定するように構成されてもよい。いくつかの実施例では、基板ホルダ32は、光学基板100がその中に搭載される眼鏡フレーム等のフレームを保定するように構成されてもよい。
【0072】
基板ホルダ32は、基板ホルダ32を、そこに固着される光学基板100とともに、1つ以上の印刷ヘッド34に対して移動させる、移動可能な基部36に取り付けられてもよい。移動可能な基部36は、1つ、2つ、または3つの軸において、線形方向に移動可能であってもよい。加えて、または代替として、移動可能な基部36は、1つ、2つ、または3つの軸を中心として、回転可能であってもよい。このように、移動可能な基部36は、最大6自由度を有し、光学基板100を所定の位置に1つ以上の印刷ヘッド34に対して位置付けるために、基板ホルダ32を1つ以上の印刷ヘッド34に対して移動させてもよい。移動可能な基部36は、手動で移動されてもよい、またはその移動は、1つ以上のモータによって制御されてもよい。
【0073】
他の実施例では、基板ホルダ32は、定常であってもよい一方、1つ以上の印刷ヘッド34は、移動可能な基部36を具備し、1つ以上の印刷ヘッド34を基板ホルダ32に対して移動させてもよい。各印刷ヘッド34は、任意の他の印刷ヘッド34から独立して移動可能であってもよい。基板ホルダ32と同様に、1つ以上の印刷ヘッド34は、最大6つの方向に移動可能であってもよい(3つの軸における平行移動および3つの軸を中心とする回転)。さらなる実施例では、基板ホルダ32および1つ以上の印刷ヘッド34は両方とも、移動可能な基部36上で移動可能であってもよい。さらなる実施例では、基板ホルダ32および1つ以上の印刷ヘッド34は両方とも、定常であってもよい。
【0074】
コーティングされていない光学基板100は、1つ以上の印刷ヘッド34を使用して光学基板100の表面をコーティングすることに先立って、ロボット式設置用アーム80を使用して、基板ホルダ32の中に装填されてもよい。コーティングされた光学基板100は、次いで、ロボット式設置用アーム80を使用して、基板ホルダ32から除去され、後続のコーティングされていない光学基板100が装填されることを可能にしてもよい。いくつかの実施例では、複数の基板ホルダ32(図示せず)が、複数の光学基板100が連続プロセスにおいてコーティングされ得るように、持続的に移動する移動可能な基部36上に提供されてもよい。
【0075】
各印刷ヘッド34は、貯蔵リザーバ38と流体連通する。コーティング装置30が、1つを上回る印刷ヘッド34を有するとき、個々の貯蔵リザーバ38は、印刷ヘッド34毎に提供されてもよい。各貯蔵リザーバ38は、1つ以上の印刷ヘッド34に送達されるためのコーティング材料を貯蔵するように構成される。このように、複数の印刷ヘッド34を使用して、種々のコーティングまたは異なるコーティング材料の混合物を発生させることによって、複数の異なるコーティング材料を同時に印刷することが可能である。加熱器、ミキサ、または同等物等の種々の付加的デバイスが、1つ以上の印刷ヘッド34への送達に先立って、コーティング材料を調製するために、各貯蔵リザーバ38と関連付けられてもよい。いくつかの実施例では、コーティング材料の粘度は、コーティング材料を貯蔵リザーバ38の中に装填することに先立って、コーティング材料の粘度を増加または低減させること等によって、制御されてもよい。いくつかの実施例では、印刷ヘッドマニホールドまたはリザーバ38内のコーティング材料の加熱もまた、コーティング材料を1つ以上の印刷ヘッド34に送達することに先立って、コーティング粘度を制御するために使用されてもよい。
【0076】
図3を継続して参照すると、複数の印刷ヘッド34は、アレイ内に配列されてもよい。複数の印刷ヘッド34は、光学基板100が印刷ヘッド34に対して移動される方向に対して角度付けられた方向に、相互に平行に配列されてもよい。印刷ヘッド34を光学基板100が印刷ヘッド34に対して移動される方向に対してある角度でオフセットさせることは、種々の形状およびサイズの光学基板100の完全な被覆を可能にする。いくつかの実施例では、印刷ヘッド34は、光学基板100が印刷ヘッド34に対して移動される方向と略平行または垂直な方向に、相互の隣に線形に配列されてもよい。
【0077】
コーティングプロセスの間、コーティング材料は、光学基板100が定常に保持され、1つ以上の印刷ヘッド34が移動される、または光学基板100が移動され、1つ以上の印刷ヘッド34が定常に保持される、または光学基板100および1つ以上の印刷ヘッド34の両方が、移動されるかまたは定常に保持される、単一通過において、光学基板100上に適用されてもよい。単一通過は、単一印刷ヘッド34または複数の印刷ヘッド34を使用して実施されてもよい。いくつかの実施例では、コーティング材料は、光学基板100が定常に保持され、1つ以上の印刷ヘッド34が移動される、または光学基板100が移動され、1つ以上の印刷ヘッド34が定常に保持される、または光学基板100および1つ以上の印刷ヘッド34の両方が移動されるかまたは定常に保持される、2回以上の通過において、光学基板100上に適用されてもよい。2回以上の通過は、単一印刷ヘッド34または複数の印刷ヘッド34を使用して実施されてもよい。
【0078】
種々の実施例では、1つ以上の印刷ヘッド34は、霧化された液滴形態における少なくとも1つのコーティング材料の制御された堆積によって、所定のパターンを適用するように制御されてもよい。例えば、1つ以上の印刷ヘッド34は、少なくとも1つの光影響ゾーンを光学基板100上に形成し、それによって、勾配パターンを画定するように制御されてもよい。本明細書で使用されるように、用語「光影響ゾーン」は、光が、光学基板100に接触する、またはそれを通して横断すると、1つ以上の光学性質を呈する能力を有する、光学基板100の部分を指す。光影響性質の非限定的実施例は、フォトクロミックおよび/またはフォトクロミック-ダイクロイックの可逆的変化、色/色合い、偏光、またはそれらの組み合わせを含む。1つ以上の印刷ヘッド34は、コーティング組成物を光学基板100にわたって適用し、勾配色/色合いを伴う少なくとも1つの光影響ゾーンを形成することができる。本明細書で使用されるように、「勾配色/色合い」は、少なくとも1つの光影響ゾーン全体を通した色/色合いの規模または程度の増減を指す。光学基板100は、前述の非限定的光影響ゾーンおよび性質の任意の組み合わせを用いて、形成されることができる。さらに、光学基板100は、限定ではないが、2つ以上の、3つ以上の、または4つ以上の光影響ゾーンを含む、任意の所望の数の光影響ゾーンを備えることができる。光影響ゾーンの数およびタイプは、光学基板100の所望の使用に基づいて、選択されることができる。
【0079】
種々の実施例では、1つ以上の印刷ヘッド34は、コーティングされる層の均一または非均一厚さを適用するように制御されてもよい。例えば、1つ以上の印刷ヘッド34は、実質的に均一厚さを有するコーティングを光学基板100のコーティングされる表面全体にわたって適用してもよい。いくつかの実施例では、コーティング材料の適用量は、光学基板100の湾曲表面上におけるコーティング材料の移動を考慮するために、光学基板100の種々の領域において制御されてもよい。例えば、凸面光学基板100上では、光学基板100の半径方向内側部分上へのコーティング材料の適用量は、均一厚さを有するコーティング層を形成するために、光学基板100の半径方向外側部分上へのコーティング材料の適用量より多くてもよい。他の実施例では、コーティング層は、非均一厚さを光学基板100の種々の部分上に有してもよい。
【0080】
図3を継続して参照すると、コーティング装置30は、コーティング装置30の動作を制御するためのコントローラ39を有してもよい。コントローラ39は、1つ以上の印刷ヘッド34の印刷動作および/または光学基板10および/または1つ以上の印刷ヘッド34の移動動作を制御するために構成されてもよい。加えて、コントローラ39は、1つ以上の貯蔵リザーバ38内のコーティング材料の充填および送達動作を制御するように構成されてもよい。
(第2のコーティング装置)
【0081】
いくつかの実施例では、コーティング装置30は、複数のコーティング装置30であってもよい。複数のコーティング装置30は、限定ではないが、インクジェットコーティング装置、スピンコーティング装置、および浸漬コーティング装置等の同一タイプのコーティング装置(すなわち、インクジェット)または異なるタイプのコーティング装置であってもよい。
図3を参照すると、米国特許出願公開第2016/0243579号に説明される、スピンコーティング装置等の第2のコーティング装置200が、コーティング材料を以前にコーティングされたまたはコーティングされていない光学基板100上に適用するために構成されてもよい。洗浄および乾燥ステーション70またはコーティング装置30等のコーティングシステム10の1つ以上のステーションにおける光学基板100の処理に続いて、ロボット式設置用アーム80は、光学基板100に再係合し、それを第2のコーティング装置200に移動させる。ロボット式設置用アーム80は、光学基板100上の少なくとも1つのマーク110の配向に基づいて、光学基板100を第2のコーティング装置200内に第2のコーティング装置200に対して所定の配向で位置付け得るが、そのような動作は、第2のコーティング装置200がスピンコーティング装置であるとき、必要ではない場合がある。
【0082】
図4を参照すると、第2のコーティング装置200は、いくつかの実施形態では、回転可能真空チャック204であり得る、コーティング機ボウル202を有する、スピンコーティング装置であってもよい。回転可能チャック204は、光学基板100をコーティング機ボウル202内に受容するように構成され、コーティングの間、光学基板100を回転させるように構成され、その速度およびタイミングは、限定ではないが、コーティングおよび光学基板100を含む、パラメータに応じて変動し得る。
【0083】
コーティング機ボウル202は、コーティングされた光学基板100から排出される、および/またはさらに本明細書に議論されるリザーバ206のパージの間に排出される、過剰コーティング材料を、および/またはコーティング機ボウル202を清浄するために周期的に(1週間、または1日、またはシフトの終わり等に)利用される、清掃材料を収集するように構成される。本発明の第2のコーティング装置200は、いくつかの実施形態では、小規模生産のためのワンススルー式システムとして効果的である。ワンススルー式システムは、収集された材料が再循環される必要がなく、したがって、コーティング機ボウル202から収集された材料が、示されないドレインを通して除去されることができ、再使用のために隔離または処理される必要はないことを意味する。ワンススルー式システムは、いくつかの実施形態では、明確に異なるコーティング材料からの効率的変更を可能にする。
【0084】
本発明の第2のコーティング装置200は、いくつかの実施形態では、複数のコーティングリザーバ206を含有する、送出式コーティングリザーバプラットフォーム208を含む。送出式コーティングリザーバプラットフォーム208は、選択されたコーティングリザーバ206をコーティング機ボウル202の上方の分注位置に送り出すように構成され、したがって、コーティングリザーバ206は、
図5に示されるような分注位置において、分注ユニット210を用いて分注されることができる。分注ユニット210は、分注位置において選択されたコーティングリザーバ206と係合可能であって、選択(または所定の)量のコーティング材料を係合および選択されたコーティングリザーバ206から分注する。
【0085】
送出式コーティングリザーバプラットフォーム208は、各明確に異なる円周方向位置が複数の使い捨てコーティングリザーバ206のうちの1つを可逆的に受容する、明確に異なる円周方向位置を有する、回転可能カルーセルである。カルーセルは、いくつかの実施形態では、8つまたは10のステーションを含むことができる。カルーセルは、いくつかのさらなる実施形態では、限定ではないが、18または20のステーション等、リザーバ206のための他の数の位置を有することができる。示されるような回転カルーセルは、送出式コーティングリザーバプラットフォーム208を形成および動作させるための効率的実施形態を表す。しかしながら、他の送出配列も、本発明のスピンコーティング機に従って使用されることができる。非限定的例証の目的のために、リザーバ206の線形に移動するラックまたはラインが、そのような配列内に存在し得る明確に異なるリザーバ206の数に関する限界を伴わずに、プラットフォーム208を形成するために使用されることができる。プラットフォーム208を回転させるモータは、ばね荷重式戻り止め係止機構等の種々の当該技術分野において承認されている整合機構を利用して、リザーバ206が、分注ユニット210の下方にあって、かつそれと整合される、分注位置にあるように、保持されるリザーバ206が精密かつ所定の送り出された位置に移動されることを保証することができる。
【0086】
図6は、可撓性の第2のコーティング装置200の個々のコーティングリザーバ206の代表的断面図である。各コーティングリザーバ206は、コーティング材料をコーティングリザーバ206から分注するためのものであって、分注位置において選択されたコーティングリザーバ206の移動可能ピストン214の前進が、コーティング材料を選択されたコーティングリザーバ206から分注する、移動可能ピストン214を含有する、伸長バレル212を含む。いくつかの実施形態では、
図6をさらに参照すると、各コーティングリザーバ206は、使い捨てプラスチックシリンジとして形成され、したがって、各コーティングリザーバ206は、コーティングをバレルの遠位端における無弁分注オリフィス216を通して分注する。プラスチックシリンジは、市販されており、特に、それと関連付けられた精密な分注特性に起因して、リザーバ206を形成するために非常に好適である。背面表面上およびオリフィス86を横断したキャップ(図示せず)が、いくつかの実施形態では、充填されたリザーバ206の発送のために使用されることができる。キャップはまた、いくつかのさらなる実施形態では、リザーバ206の除去および貯蔵のために再適用されることができる。
【0087】
リザーバ206の狭いオリフィス216(いくつかの実施形態では、移動可能なピストン214と組み合わせて)は、コーティング材料が、リザーバ206内に保持され、弁の不在下で分注されることを可能にする。いくつかの実施形態では、リザーバ206の無弁分注器は、他のスピンコーティング機分注器では必要である、プライミングを実質的に排除し(単一パージ滴下/滴を除く)、第2のコーティング装置200の動作の間に形成される廃棄物の量を大幅に低減させる。
【0088】
分注ユニット210は、分注位置において選択されたリザーバ206と整合され、分注位置における選択されたコーティングリザーバ206の移動可能ピストン214を選択的に前進させ、選択(または事前に決定された)単位量のコーティング材料を、係合され、選択されたコーティングリザーバ206から分注するように構成される、ロッド218を含む。いくつかの実施形態では、ロッド218は、伸長ねじ等のねじである。いくつかの実施形態では、分注される選択(または事前に決定された)単位量のコーティング材料は、0.2ml~4ml、または0.2~1ml、または0.2ml~0.6mlである。単位量は、コーティング量およびパージ量(滴等)を含み、限定ではないが、コーティング材料、基板特性、所望のコーティング厚さ、およびコーティングプロトコルを含む、パラメータに応じて変動し得る。
【0089】
いくつかの実施形態では、選択されたコーティングリザーバ206は、その中に、2つの光学基板100をコーティングするために要求されるもの未満であるが、単一光学基板100をコーティングするために要求されるものを上回る、コーティング材料の量(すなわち、2単位量未満)を有する。コーティング材料の本残量(すなわち、2単位量未満)は、いくつかの実施形態では、(i)コーティングリザーバ206から、廃棄のために、廃棄レセプタクルまたはドレインの中等に排出される、または(ii)コーティングリザーバ206から単一光学基板100上に分注されることができる。コーティング材料の残量を排出または分注した後、リザーバ206は、空であって、コーティング材料が実質的になく、いくつかの実施形態では、固体廃棄物として廃棄されることができる。
【0090】
分注ユニット210は、いくつかの実施形態では、選択されたコーティングリザーバの移動可能ピストン214を精密に前進させ、そこから、所定の量のコーティング材料を分注するために、線形ステッパモータまたは同等物等のモータ220を含む。分注ユニット210はまた、いくつかの実施形態では、各具体的リザーバ206内に常駐するコーティング材料の量が、第2のコーティング装置200によって計算および追跡され得るように、使用の前後の両方において、ロッド218または他のデバイスを介して、ピストン214の位置を感知する。分注ユニット210は、いくつかの実施形態では、ロッド218をバレル212から持ち上げ、プラットフォーム208のカルーセルの送り出しを可能にし、明確に異なるリザーバ206を選択する。分注位置から外に移動するリザーバ206は、いくつかの実施形態では、空ではなく、選択的な後の使用のために、コーティング材料をその中に残しているであろう。
【0091】
本発明のいくつかの実施形態によると、ロッド218は、定常ロッドであって、モータは、ロッド218に沿って垂直に移動可能等、移動可能である。モータは、ピストン214と当接係合する、延在部(図示せず)を含むことができる。定常ロッドに沿った垂直下向き等のモータの制御可能移動は、ピストン214をリザーバ206の中に駆動する役割を果たし、これは、いくつかの実施形態では、オリフィス216からの選択(または事前に決定された)量のコーティング材料の分注をもたらす。
【0092】
動作時、送出式コーティングリザーバプラットフォーム208、リザーバ206、およびユニット210は、222に図式的に示されるユニットとして、少なくとも、(i)分注位置における選択されたコーティングリザーバ206が、コーティング機ボウル202の上方にあるが、光学基板100の上方ではない、パージ位置と、(ii)コーティング機ボウルの上方の分注位置における選択されたコーティングリザーバが、光学基板100の上方にある、少なくとも1つの分注位置との間で移動可能である。コーティング機ボウル202は、パージ位置と整合される点まで延在する、トラフまたは延在部を含むように構築されることができる。パージ位置では、移動可能なピストン214は、ユニット210のロッド218によって前進され、コーティング材料の最小限のパージ滴を分注し、無弁リザーバ206のオリフィス216におけるコーティング材料のメニスカスの外側表面を一掃する。メニスカスの外側表面は、所与のリザーバ206内のコーティング材料の非使用の間、空気に暴露され得、これは、メニスカスの酸化および/または汚損をもたらし、したがって、そのパージを要求し得る。単一滴のみが、いくつかの実施形態では、コーティング材料の可能性として非均質である部分をオリフィス216からパージすることによって、コーティング材料分散システムをプライミングするために要求される。初期パージ滴に続き、送出式コーティングリザーバプラットフォーム208、リザーバ206、およびユニット210は、222に図式的に示される単一ユニットとして、コーティング機ボウル202の上方の分注位置における選択されたコーティングリザーバ206が、光学基板100の上方にある、少なくとも1つの分注位置に移動可能である。
【0093】
選択された分注リザーバ206の移動222は、第2のコーティング装置200が、コーティング機ボウル202内の回転可能チャック204上の光学基板100をコーティングするために、種々の分注プロトコルに適応することを可能にする。いくつかの実施形態では、選択された分注リザーバ206からのコーティング材料は、光学基板100の表面の中心および/またはそれを横断した1つまたはそれを上回る選択位置において、光学基板100上に分注されることができ(線、渦巻、および/または同心円において、光学基板100の上側表面を横断して/その上に等)、次いで、回転可能チャック204が、係合され、適用されるコーティング材料をスピンさせ、実質的に均一厚さを有する、コーティング層を形成する。いくつかのさらなる実施形態によると、回転可能チャック204のスピンと並行して、選択された分注リザーバ206からのコーティング材料は、光学基板100の表面の中心および/またはそれを横断して1つ以上の選択位置において、光学基板100上に分注され、均一コーティングを形成する。これらの分注およびスピンプロトコルの任意の所望の組み合わせが、第2のコーティング装置200と併用されることができる。加えて、分注率およびスピン速度もまた、いくつかの実施形態では、プロセス全体を通して変動されることができる。断続分注および/または真空チャック204のスピンも、いくつかの実施形態では、使用されることができる。分注プロトコルは、いくつかの実施形態では、限定ではないが、基板組成物および/またはその表面処理、適用されるコーティング材料、および/または所望の最終コーティングパラメータを含む、パラメータに基づく。
【0094】
送出式プラットフォーム208は、第2のコーティング装置200が、レンズを回転可能チャック204から除去せずに、単一または複数のコーティング層を光学基板100上に適用することを可能にする。いくつかの実施形態では、非限定的例証の目的のために、第1の段階では、第1のコーティング層が、1つの選択されたリザーバ206を使用して適用され、次いで、カルーセルが、第2の段階において、第2のコーティング材料が、第1のコーティング層にわたって明確に異なる/別個のリザーバ206から適用されるように送り出される。カルーセルの送り出しは、プラットフォーム208がリザーバ206と光学基板100の整合から離れるように移動された状態で行われることができ、したがって、中間リザーバ206からの流れ滴下は、所望のコーティングプロトコルに干渉せず、したがって、第2の段階では、第2のコーティング材料は、光学基板100にわたって分注する前に適切にパージされることができる。2つ以上のコーティング段階を有することは、本発明のスピンコーティング機が、その各コーティング層が、隣接する(または当接する)コーティング層に対して同一または異なる組成物および/または同一または異なる厚さを有する、スタックされたコーティング層の多数の組み合わせを適用するおよび形成することを可能にする。
(硬化ステーション)
【0095】
図3を参照すると、コーティングシステム10は、選択的かつ独立して、光学基板100に適用される各コーティングを硬化させる(少なくとも部分的に硬化させる等)ために、それと統合された少なくとも1つの明確に異なる硬化ステーション50を含む、または有する。光学基板100の少なくとも1つの表面への所望のコーティング材料の適用に続いて、ロボット式設置用アーム80は、コーティングされた光学基板100に再係合し、それを硬化ステーション50に移動させる。ロボット式設置用アーム80は、随意に、光学基板100上の少なくとも1つのマーク110の配向に基づいて、コーティングされた光学基板100を硬化ステーション50内に硬化ステーション50に対して所定の配向で位置付けてもよい。
【0096】
図3に示されるいくつかの実施例では、硬化ステーション50は、(i)熱硬化ステーション50a、(ii)UV硬化ステーション50b、(iii)IR硬化ステーション50c、および(iv)(i)、(ii)、および(iii)のうちの少なくとも2つの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施例では、コーティングシステム10のUV硬化ステーション50bは、硬化されるべき所望の光学基板100の選択的受容のための回転可能真空チャック等の回転可能チャック52を保持する、作業部片を伴う、摺動式引き出しを有してもよい。凹面または角度付けられた反射性ミラーが、回転可能チャック52を囲繞し、縁硬化を補助または改良してもよい。コーティングされた光学基板100がUV硬化ステーション50bの回転可能チャック52上にある状態では、引き出しは、閉鎖され、シャッタが、開放され、コーティングされた光学基板100を水銀または金属ハロゲン灯から等のUV光に暴露させる。回転可能チャック52は、種々の速度で回転し、均一硬化を保証することができる。UV硬化ステーション50b内の硬化時間は、例えば、特定のコーティングに応じて変動し得る。IR硬化ステーション50cは、UV硬化ステーション50bと類似構造を有するが、適切なIR源を含むことができる。IR硬化ステーション50c内の硬化時間もまた、例えば、特定のコーティングに応じて変動し得る。各硬化ステーション50は、いくつかの実施例では、不活性雰囲気(限定ではないが、アルゴンおよび/または窒素等)および/または反応性雰囲気(限定ではないが、酸素、CO、および/またはCO
2等)から選択された雰囲気をその中に含むことができる。
【0097】
熱硬化ステーション50aは、いくつかの実施例では、スループットコンベヤ54および放出または蓄積エリア56を伴う。熱硬化ステーション50では、熱的に硬化されるべき光学基板100は、コンベヤ54上に隣り合わせて等、入力コンベヤ54上に設置される。コンベヤ54の速度は、コーティングされた光学基板100が熱硬化ステーション50a内に所望の温度暴露を有するように選択される。熱硬化ステーション50aのオーブンは、いくつかの実施例では、電気オーブンおよび/またはガス燃焼オーブン(天然ガス燃焼オーブン等)であることができる。硬化時間および温度プロファイルは、例えば、硬化されるべきコーティングに応じて変動し得る。いくつかの実施例では、コーティングされた光学基板100は、熱硬化ステーション50a内において、125℃で30分等、20~40分にわたって115°~135℃の温度で暴露される。少なくとも部分的硬化に続いて、コーティングされた光学基板100は、縁がその間で触れない状態で、所望の数(限定ではないが、最大30のコーティングされた光学基板100等)の光学基板100を収容するように設計される、蓄積エリア56に回送される。
【0098】
いくつかの実施例では、ロボット式設置用アーム80と連動する、コンベヤ54が、IR硬化ステーション50cおよび/またはUV硬化ステーション50bからの少なくとも部分的に硬化されたコーティングされた光学基板100の退出のために使用される。いくつかの実施例では、別個の退出コンベヤ54(図示せず)が、コーティングされた光学基板100を蓄積エリア56に送達する目的のために、熱硬化ステーション50aをバイパスするために使用される。
【0099】
いくつかの付加的実施例では、コーティングおよび硬化された光学基板100は、硬化ステーション50から、(i)洗浄および乾燥ステーション70および/または(ii)後続コーティング材料のそこへの適用のためのコーティング装置30に戻されることができる。硬化された光学基板100は、いくつかの実施例では、蓄積エリア56から最終検査エリアまたはパッキングエリア(図示せず)に移動されることができる。
【0100】
本発明は、その特定の実施例の具体的詳細を参照して説明された。そのような詳細は、それらが付随の請求項内に含まれない限り、そしてその範囲を除いて、本発明の範囲に関する限定と見なされることを意図するものではない。
【外国語明細書】