(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022103338
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】強さエンハンサー、および電子ベイパー装置で強さの強化を達成する方法
(51)【国際特許分類】
A24B 15/167 20200101AFI20220630BHJP
A24F 40/10 20200101ALI20220630BHJP
【FI】
A24B15/167
A24F40/10
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081415
(22)【出願日】2022-05-18
(62)【分割の表示】P 2018526861の分割
【原出願日】2016-12-16
(31)【優先権主張番号】14/974,211
(32)【優先日】2015-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン アダム
(72)【発明者】
【氏名】ケイン デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】リ ウェイリン
(72)【発明者】
【氏名】リポヴィッチ ペーター
(72)【発明者】
【氏名】オリヴェリ ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】ルシニアック マーク
(57)【要約】
【課題】eベイピング装置(60)のための予気化製剤を提供する。
【解決手段】この予気化製剤は、プロピレングリコールおよびグリセロールのうちの少なくとも一つを含むベイパー形成体と、カルバクロール、チモール、コハク酸モノメンチル、N-(2-ヒドロキシエチル)-2,3-ジメチル-2-イソプロピルブタンアミドのうちの少なくとも一つを含む添加物とを含む。予気化製剤を保持する貯蔵部(14)と、マウスエンドピースと、予気化製剤を加熱するように構成されたヒーター(19)とを含むカートマイザー(70)を備えるeベイピング装置(60)も提供される。eベイピング装置(60)は、カートマイザー(70)に接続され、かつマウスエンドピースで行われる吸煙を感知するように構成された吸煙センサー(16)と、ヒーター(19)に電力を供給するように構成された電力供給源とを含む電源セクションをさらに含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
eベイピング装置のための予気化製剤であって、前記予気化製剤が、
プロピレングリコールおよびグリセロールのうちの少なくとも一つを含むベイパー形成体と、
カルバクロール、チモール、コハク酸モノメンチル、N-(2-ヒドロキシエチル)-2,3-ジメチル-2-イソプロピルブタンアミドのうちの少なくとも一つを含む添加物とを含む、予気化製剤。
【請求項2】
ニコチンをさらに含む、請求項1に記載の予気化製剤。
【請求項3】
前記添加物がピペリン、イソチオシアン酸アリル、トウガラシ、イソオイゲノール、およびメントールのうちの少なくとも一つをさらに含む、請求項1または2に記載の予気化製剤。
【請求項4】
前記添加物がジンゲロン、ニンニク抽出物、オニオン油、タイム油、桂皮油、ウコン、コロハ、カルダモン、ローズマリー抽出物、グレープフルーツ油、およびアンドログラフィス抽出物のうちの少なくとも一つからの抽出物である、請求項1、2または3に記載の予気化製剤。
【請求項5】
前記添加物が桂皮アルデヒド、メントン、オイゲノール、ホースラディッシュ油、黒コショウ、赤唐辛子、およびジンジャー油のうちの少なくとも一つからの抽出物をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の予気化製剤。
【請求項6】
前記添加物の濃度が0.0001パーセント~1パーセントである、請求項1~5のいずれか一項に記載の予気化製剤。
【請求項7】
前記予気化製剤の中の複数の添加物の組み合わせの濃度が2パーセントより高い、請求項1~6のいずれか一項に記載の予気化製剤。
【請求項8】
前記予気化製剤の中の前記複数の添加物の前記組み合わせの前記濃度が2パーセント~5パーセントである、請求項7に記載の予気化製剤。
【請求項9】
前記ベイパー形成体のベイパー相の中のニコチンの濃度が1パーセント以下である、請求項2に記載の予気化製剤。
【請求項10】
ニコチンの濃度が0.5重量パーセント~2重量パーセントの範囲内である、請求項2または9に記載の予気化製剤。
【請求項11】
前記ベイパー形成体が、実質的に等しい濃度のプロピレングリコールおよびグリセリンを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の予気化製剤。
【請求項12】
濃度が10パーセント~20パーセントの水をさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の予気化製剤。
【請求項13】
濃度が0.1パーセント~5パーセントの酸をさらに含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の予気化製剤。
【請求項14】
前記酸がピルビン酸、ギ酸、シュウ酸、グリコール酸、酢酸、イソ吉草酸、吉草酸、プロピオン酸、オクタン酸、乳酸、ソルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、オレイン酸、アコニット酸、酪酸、ケイ皮酸、デカン酸、3、7-ジメチル-6-オクテン酸、1-グルタミン酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、3-ヘキサン酸、トランス-2-ヘキサン酸、イソブチル酸、ラウリン酸、2-メチル酪酸、2-メチル吉草酸、ミリスチン酸、ノナン酸、パルミチン酸、4-ペンテン酸、フェニル酢酸、3-フェニルプロピオン酸、塩酸、リン酸、および硫酸のうちの少なくとも一つを含む、請求項13に記載の予気化製剤。
【請求項15】
前記酸の蒸発効率が50パーセントより高い、請求項13または14に記載の予気化製剤。
【請求項16】
eベイピング装置であって、
予気化製剤を保持する貯蔵部、マウスエンドピース、および前記予気化製剤を加熱するように構成されたヒーターを含む、カートマイザーと、
前記カートマイザーに接続され、かつ前記マウスエンドピースで行われる吸煙を感知するように構成された吸煙センサー、および電力を前記ヒーターに供給するように構成された電力供給源を含む電源セクションと、を備え、
前記予気化製剤が、
プロピレングリコールおよびグリセロールの組み合わせを含むベイパー形成体と、
カルバクロール、チモール、コハク酸モノメンチル、N-(2-ヒドロキシエチル)-2,3-ジメチル-2-イソプロピルブタンアミドのうちの少なくとも一つを含む添加物とを含む、eベイピング装置。
【請求項17】
前記予気化製剤がニコチンをさらに含む、請求項16に記載のeベイピング装置。
【請求項18】
前記添加物がジンゲロン、ニンニク抽出物、オニオン油、タイム油、桂皮油、ウコン、コロハ、カルダモン、ローズマリー抽出物、グレープフルーツ油、およびアンドログラフィス抽出物のうちの少なくとも一つからの抽出物である、請求項16または17に記載のeベイピング装置。
【請求項19】
前記添加物の濃度が0.0001パーセント~1パーセントの範囲内であること、および
前記予気化製剤の中の複数の添加物の組み合わせの濃度が2パーセントより高いことのうちの少なくとも一つである、請求項16、17または18に記載のeベイピング装置。
【請求項20】
前記ベイパー形成体のベイパー相の中のニコチンの濃度が2パーセント以下であること、
前記予気化製剤が10パーセント~20パーセントの濃度の水をさらに含むこと、および
前記予気化製剤が、0.1パーセント~5パーセントの濃度の酸をさらに含み、前記酸の蒸発効率が50パーセントより高いことのうちの少なくとも一つである、請求項16~19のいずれか一項に記載のeベイピング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概してeベイピング装置のための予気化製剤に関する。より具体的には、本発明は予気化製剤の強さエンハンサーに関する。
【背景技術】
【0002】
電子ベイピング装置(またはeベイピング装置)は、成人ベイパー吸引者がベイパーを吸入するために、例えば液体材料などの予気化製剤をベイパーへと気化させるために使用される。eベイピング装置は一般に、予気化製剤を気化してベイパーを生成するヒーターを含む。eベイピング装置は、電源と、カートリッジまたはeベイピングタンク(ヒーターを含む)と、予気化製剤を保持する貯蔵部とを含む、いくつかのeベイピング要素を含んでもよい。
【0003】
たばこベースの喫煙物品は、喉の低度~中程度のとげとげしい刺激、および成人喫煙者の胸部に知覚される暖かさまたは強さを含む、成人喫煙者に所望の感覚的経験を作り出すことが知られているベイパーを生成する。
【0004】
eベイピング装置に関連して、一般に成人ベイパー吸引者の喉で経験される感覚として理解されるベイパーのとげとげしさ、および一般に成人ベイパー吸引者の胸部で経験される感覚として理解されるベイパーの強さは、成人ベイパー吸引者によってベイピング中に吸入されるベイパーを形成するために使用される予気化製剤の含有量および濃度に基づき変化する場合がある。一般に、予気化製剤内の類似の量のニコチンについて、eベイピング装置は、たばこベースの製品よりとげとげしいが、たばこベースの製品より強さが弱い。eベイピング装置によって生成されたベイパーの気相内のニコチンの量が増えると、eベイピング装置のとげとげしさも増大する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
第一の態様によると、本発明は、強さととげとげしさの所望のバランスを達成するように構成され、とげとげしさを増大することなく、強さを増大するeベイピング装置に関する。
【0006】
第二の態様によると、本発明は、たばこベースの紙巻たばこを喫煙中に楽しまれる感覚的経験と類似する感覚的経験を成人ベイパー吸引者に提供するように構成されたeベイピング装置に関する。
【0007】
第三の態様によると、本発明は、たばこベースの製品を喫煙する時に経験されるものと類似の、喉のとげとげしさのレベルと胸部で知覚される強さまたは暖かさのレベルを含む感覚的経験を提供するように構成されたeベイピング装置に関する。強さととげとげしさとの所望のバランスを達成するにあたり、そのとげとげしさを増大することなく、eベイピング製品の強さを増大しうる。
【0008】
本発明の第四の態様によると、eベイピング装置のための予気化製剤は、ベイパー形成体と、一つ以上の強さエンハンサーまたは添加物との混合物を含む。
【0009】
予気化製剤は、水、一つ以上の酸、または水および一つ以上の酸の両方を含んでもよい。
予気化製剤は液体製剤であってもよい。
【0010】
予気化製剤はニコチンを含んでもよい。
【0011】
一つ以上の強さエンハンサーまたは添加物は、カルバクロール、チモール、コハク酸モノメンチル、N-(2-ヒドロキシエチル)-2,3-ジメチル-2-イソプロピルブタンアミドのうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0012】
少なくとも一つの実施形態において、一つ以上の強さエンハンサーまたは添加物は、桂皮アルデヒド、メントン、オイゲノール、ジンゲロンまたはバニリルアセトン、およびギンゲロールのうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0013】
一つ以上の強さエンハンサーまたは添加物は、トウガラシ、イソチオシアン酸アリル、ピペリン、イソオイゲノール、カルバクロール、チモール、メントール、コハク酸モノメンチル、およびN-(2-ヒドロキシエチル)-2,3-ジメチル-2-イソプロピルブタンアミドのうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0014】
少なくとも一つの実施形態において、上記の化合物ならびに他のものを抽出物の中に見いだすことができ、そのような抽出物には例えば、ホースラディッシュ油、ニンニク抽出物、オニオン油、黒コショウ、赤唐辛子、ジンジャー油、タイム油、桂皮油、ウコン、コロハ、カルダモン、ローズマリー抽出物、グレープフルーツ油、およびアンドログラフィス抽出物などがある。一つ以上の強さエンハンサーまたは添加物は、これらの抽出物のうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0015】
一つ以上の強さエンハンサーまたは添加物は、一過性受容器電位カチオンチャネル、サブファミリーA、メンバー1(TRPA1)、一過性受容器電位カチオンチャネル、サブファミリーV、メンバー1(TPRV1)、または成人ベイパー吸引者内のニコチン性アセチルコリン受容体など、成人ベイパー吸引者の呼吸器系内の受容体を活性化する一つ以上の化合物を含んでもよく、アンタゴニストはベイパーの一部となり、かつベイピング中に成人ベイパー吸引者の気道内で運ばれる。
【0016】
少なくとも一つの実施形態において、一つ以上の強さエンハンサーまたは添加物は、とりわけ上記に列挙した化合物のうちの一つ以上を、約0.0001パーセント~約1パーセントの組成範囲で、または最高約2パーセントの濃度で含んでもよい。随意に、いくつかの強さエンハンサーが組み合わせで使用される時、一つ以上の強さエンハンサーまたは添加物の濃度は、約2パーセントより高くてもよい。例えば、強さエンハンサーの総濃度は、最高約5パーセントであってもよい。
【0017】
少なくとも一つの実施形態において、eベイピング装置内で強さを増大し、およびとげとげしさを低減した所望のバランスを達成するために、酸などのとげとげしさを低減する化合物を予気化製剤内に含めることができる。
【0018】
少なくとも一つの実施形態において、一つ以上の強さエンハンサーまたは添加物はニコチンを含まない予気化製剤で使用されてもよく、この一つ以上の強さエンハンサーまたは添加物は、ニコチンを含有するベイピング装置またはたばこベースの物品をベイピングする時に成人ベイパー吸引者によって経験される強さと類似のレベルの強さを提供する。例えば、かかる強さエンハンサーまたは添加物は、禁煙吸入装置内に含まれてもよい。
【0019】
少なくとも一つの実施形態において、一つ以上の強さエンハンサーまたは添加物は、ニコチンの送達を増大することなく、またeベイピング物品のとげとげしさを増大することなく、eベイピング装置の強さを増大する。
【0020】
予気化製剤は、約0.5重量パーセント~約2重量パーセント以上、または約0.5パーセント~約5パーセント以上の量のニコチンを含んでもよい。少なくとも一つの実施形態において、ベイパー形成体によって形成されるベイパーは、気相および粒子相を含み、またベイパー相内のニコチンの濃度は約1パーセント以下である。
【0021】
本発明の第五の態様によると、eベイピング装置の予気化製剤は、ベイパー形成体の混合物と、約0.5重量パーセント~約2重量パーセント以上または約0.5パーセント~約5パーセント以上の量のニコチンと、一つ以上の強さエンハンサーまたは添加物とを含む。少なくとも一つの実施形態において、ベイパー形成体によって形成されるベイパーは、気相および粒子相を含み、またベイパー相内のニコチンの濃度は約1パーセント以下である。予気化製剤は、水、一つ以上の酸、または水および一つ以上の酸の両方を含んでもよい。予気化製剤は液体製剤であってもよい。一つ以上の強さエンハンサーまたは添加物は、本発明の第四の態様による随意のもしくは好ましい強さエンハンサーまたは添加物のうちの一つ以上を含んでもよい。
【0022】
本発明の第四の態様または第五の態様による予気化製剤は、一つ以上の酸を含んでもよい。予気化製剤は、一つ以上の酸を約0.1パーセント~約5パーセントの濃度で含んでもよい。
【0023】
一つ以上の酸の沸点は、少なくとも約100℃であってもよく、eベイピング装置内のヒーターによって加熱された時に揮発するように構成されてもよい。予気化製剤は、eベイピング装置内でヒーターによって加熱された時に粒子相と気相とを有するベイパーを形成するように構成されてもよく、粒子相はプロトン化ニコチンを含有し、また気相は非プロトン化ニコチン非プロトン化ニコチンを含有する。実施形態において、ベイパーのニコチンの量はプロトン化ニコチンが大半を占め、非プロトン化ニコチンの量は少ない。
【0024】
少なくとも一つの実施形態において、予気化製剤は、eベイピング装置の動作時にニコチン気相構成成分を有するベイパーを形成するように構成される。酸は、ニコチン気相構成成分を約70パーセント以上低減するのに十分な量で含まれてもよい。他の実施形態において、一つ以上の酸の添加は、気相ニコチン含有量を約40重量パーセント~約70重量パーセントの範囲内または約40重量パーセント~約90重量パーセントの範囲内の量だけ低減しうる。
【0025】
少なくとも一つの実施形態において、酸は蒸発効率が約50パーセント以上になるように選択されてもよい。酸はニコチン気相構成成分を低減するのに十分な量で存在してもよい。
【0026】
少なくとも一つの実施形態において、酸はピルビン酸、ギ酸、シュウ酸、グリコール酸、酢酸、イソ吉草酸、吉草酸、プロピオン酸、オクタン酸、乳酸、ソルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、オレイン酸、アコニット酸、酪酸、ケイ皮酸、デカン酸、3、7-ジメチル-6-オクテン酸、1-グルタミン酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、3-ヘキサン酸、トランス-2-ヘキサン酸、イソブチル酸、ラウリン酸、2-メチル酪酸、2-メチル吉草酸、ミリスチン酸、ノナン酸、パルミチン酸、4-ペンテン酸、フェニル酢酸、3-フェニルプロピオン酸、塩酸、リン酸、および硫酸のうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0027】
少なくとも一つの実施形態において、酸はピルビン酸、乳酸、安息香酸、および酢酸を含む。
【0028】
ベイパー形成体は、プロピレングリコールおよびグリセロールまたはグリセリンを含んでもよい。ベイパー形成体は、実質的に等しい濃度のプロピレングリコールおよびグリセロールまたはグリセリンを含んでもよい。
【0029】
予気化製剤は、水を約10パーセント~約20パーセントの濃度で含んでもよい。
【0030】
本発明の第六の態様によると、eベイピング装置は第一のセクションと第二のセクションを含む。第一のセクションは、予気化製剤(例えば、液体材料など)と、ヒーターと、予気化製剤貯蔵部と連通しヒーターと連通する芯と、マウスエンドピースと、第一のセクションの遠位端にあるコネクターとを含む予気化製剤貯蔵部を含む。第二のセクションは、電源と、第一のセクションのコネクターと嵌合可能に接続するように構成された第二のセクションの近位端にあるコネクターとを含む。
【0031】
本発明の第七の態様によると、eベイピング装置は第一のセクションと第二のセクションを含む。第一のセクションはカートマイザーであってもよい。第一のセクションは、予気化製剤を含む予気化製剤貯蔵部と、ヒーターと、マウスエンドピースとを含む。ヒーターは予気化製剤を加熱するように構成される。第二のセクションは電源セクションであってもよい。第二のセクションは、ヒーターに電力を供給するように構成された電源を含む。予気化製剤は、本明細書に説明される実施形態のうちのいずれかによる、本発明の第四の態様または第五の態様による予気化製剤であってもよい。
【0032】
第一のセクションは、予気化製剤貯蔵部と連通し、かつヒーターと連通する芯を含んでもよい。第一のセクションは、第一のセクションの遠位端でコネクターを備えてもよい。
【0033】
第二のセクションは、マウスエンドピースで行われる吸煙を感知するように構成された吸煙センサーを含んでもよい。第二のセクションは、第一のセクションのコネクターと嵌合可能に接続するように構成された第二のセクションの近位端でコネクターを備えてもよい。
【0034】
例示的な実施形態の上記およびその他の特徴および利点は、例示的な実施形態を添付の図面を参照しながら詳細に説明することによってさらに明らかとなる。添付の図面は、例示的な実施形態を描写することを意図したものであり、意図された特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。添付の図面は、明示的に注記されていない限り、実寸に比例して描かれていると考えられるべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】
図1は、例示的な実施形態によるeベイピング装置の側面図である。
【
図2】
図2は、例示的な実施形態によるeベイピング装置の断面図である。
【
図3】
図3は、eベイピング装置の別の例示的な実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
いくつかの詳細な例示的な実施形態が本明細書で開示されている。しかしながら、本明細書に開示されている特定の構造面および機能面の詳細は、例示的な実施形態を説明することを目的とした単なる典型である。しかしながら、例示的な実施形態は、数多くの代替的な形態で具体化されることができ、本明細書に記載の実施形態のみに限定されるものと解釈されるべきではない。
【0037】
従って、例示的な実施形態は、様々な修正および代替的形態が可能である一方で、その実施形態は例として図面に示されており、本明細書で詳細に説明する。ところが、当然のことながら、開示された特定の形態に対する例示的な実施形態に限定する意図はなく、反対に、例示的な実施形態は、例示的な実施形態の範囲の中に収まるあらゆる修正、均等物、代替物が網羅される。同様の数字は、図の説明の全体で同様の要素を意味する。
【0038】
要素または層が別の要素もしくは層「の上にある」、「に接続される」、「に結合される」、または「を覆う」と言及される時、これはもう一方の要素もしくは層の上に直接ある、それに直接的に接続される、それに直接的に結合される、またはそれを直接的に覆う、あるいは介在する要素もしくは層が存在してもよいことが理解されるべきである。対照的に、要素が別の要素もしくは層「の上に直接ある」、「に直接的に接続される」、または「に直接的に結合される」と言及される時、介在する要素もしくは層は存在しない。同様の数字は、明細書の全体で同様の要素を指す。
【0039】
当然のことながら、第一の、第二の、第三のなどという用語は、様々な要素、構成要素、領域、層、またはセクションを記述するために本明細書で使用されてもよいが、これらの要素、構成要素、領域、層、またはセクションはこれらの用語によって限定されない。これらの用語は、ある一つの要素、構成要素、領域、層、またはセクションを別の構成要素、領域、層、またはセクションと区別するためにのみ使用される。従って、下記で考察される第一の要素、構成要素、領域、層、またはセクションは、例示的な実施形態の教示内容から逸脱することなく、第二の要素、構成要素、領域、層、またはセクションと呼ぶこともできる。
【0040】
空間的関係の用語(例えば、「下に」、「下方に」、「下部」、「上方に」、「上部」、およびこれに類するもの)は、図中で図示する際に、一つの要素または特徴と他の要素または特徴との間の関係を説明しやすくするために本明細書で使用されてもよい。空間的関係の用語は、図に図示されている方向に加えて、使用時または動作時に装置の異なる方向を包含することが意図されていることを理解するべきである。例えば、図中の装置をひっくり返した場合、他の要素または特徴の「下方に」または「下に」と説明されている要素は、その後は他の要素または特徴の「上方に」方向付けられることになる。従って、用語「下方に」は上方および下方の両方の方向を包含する場合がある。装置は、その他の方法で(90度回転して、または他の方向で)方向付けられる場合があり、本明細書で使用される空間的関係の記述語は適宜に解釈される。
【0041】
本明細書で使用される用語は、様々な実施形態を説明する目的のみのものであり、例示的な実施形態の制限を意図しない。単数形「一つの(a)」、「一つの(an)」、および「その(the)」は本明細書で使用される場合、複数形も含むことが意図されているが、文脈によって明らかにそうではないことが示される場合はその限りではない。「含む(includes)」、「含む(including)」「備える(comprises)」、および「備える(comprising)」という用語は本明細書で使用される時、述べられた特徴、整数、工程、動作、要素、または構成要素の存在を特定するが、一つ以上の他の特徴、整数、工程、動作、要素、構成要素、またはこれらの群の存在または追加を除外しないことがさらに理解されるであろう。
【0042】
例示的な実施形態は、例示的な実施形態の理想的な実施形態の概略図(および中間構造)である断面図を参照して本明細書で説明される。このように、例えば製造技法または許容差の結果として得られた図の形状からの変化が予想される。従って、例示的な実施形態は、本明細書に図示された領域の形状を限定するものとして解釈されるべきでなく、例えば製造に起因する形状の逸脱を含む。従って、図に図示された領域は、事実上概略的なものであり、それらの形状は、装置の領域の実際の形状を図示する意図はなく、例示的な実施形態の範囲を限定する意図はない。
【0043】
その他の方法で定義されない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術的用語および科学的用語を含む)は、例示的な実施形態が属する当該技術分野の当業者が通常理解しているものと同じ意味を有する。用語(一般的に使用されている辞書で定義された用語を含む)は、関連する技術分野の文脈でのそれらの用語の意味と一致する意味を有するものと解釈されるべきであり、理想的なまたは過度に正式な意味で解釈されないが、本明細書で明示的にそのように定義されている場合はその限りではないことがさらに理解されるであろう。
【0044】
本明細書において「約」または「実質的に」という用語を数値と組み合わせて使用する場合、それに伴う数値が、明示した数値の前後±10%の許容度を含むということを意図する。さらに、本明細書において百分率に言及する場合、それら百分率は、重さ、すなわち重量百分率に基づくことを意図している。「最大~まで」という表現は、ゼロから、その表現した上限までの量およびその間にあるすべての値を含む。範囲を明記する場合、範囲はその範囲に収まるすべての値(例えば0.1%ずつに異なる値)を含む。
【0045】
本明細書で使用される「ベイパー形成体」という用語は、使用時にベイパーの形成を促進し、かつeベイピング装置の動作温度にて熱分解に対して実質的に抵抗性である任意の適切な周知の化合物または化合物の混合物を説明する。適切なベイパー形成体は、例えばプロピレングリコール、およびグリセロールまたはグリセリンのうちの少なくとも一つを含む多価アルコールなどの様々な化合物から成る。少なくとも一つの実施形態において、ベイパー形成体はプロピレングリコールである。
【0046】
図1は、例示的な実施形態によるeベイピング装置60の側面図である。
図1では、eベイピング装置60は、ねじ接合部74で、または滑り嵌め、スナップ嵌め、戻り止め、クランプ、もしくは留め金、またはこれに類するもののうちの一つ以上などのその他の接続構造によって一緒に結合された、第一のセクションまたはカートマイザー70および第二のセクション72を含む。一つの実施形態において、第一のセクションまたはカートマイザー70は、交換可能なカートリッジでもよく、また第二のセクション72は再使用可能なセクションでもよい。別の方法として、第一のセクションまたはカートマイザー70および第二のセクション72は、一つの部品として一体的に形成されてもよい。
【0047】
図2は、eベイピング装置の例示的実施形態の断面図である。
図2に図示するように、第一のセクションまたはカートマイザー70は、口側端インサート20と、毛細管18を含む毛細ベイパー発生装置と、毛細管18の少なくとも一部分を加熱するためのヒーター19と、貯蔵部14とを収容することができる。
【0048】
第二のセクション72は、電源12と、電源12を制御するように構成された制御回路11と、吸煙センサー16とを収容することができる。吸煙センサーは、成人ベイパー吸引者がeベイピング装置60で吸煙する時に感知するように構成されており、これによって制御回路11を介して電源12の動作を引き起こしてヒーター19を起動し、貯蔵部14内に収容された予気化製剤を加熱してベイパーを形成する。第二のセクション72のねじ付き部分74は、第一のセクションまたはカートマイザー70に接続されていない時に、電池充電器に接続して電池または電源12を充電することができる。
【0049】
図3に示すように、他の例示的な実施形態において、弁40は二方弁とすることができ、貯蔵部14は加圧することができる。例えば、貯蔵部14は、貯蔵部14に一定の圧力を印加するように構成された加圧機構405を用いて加圧することができる。そのため、貯蔵部14内に収容されている予気化製剤の加熱によって形成されたベイパーの排出が促進される。
【0050】
例示的な実施形態において、毛細管18は、導電性材料から形成され、または導電性材料を含み、従って管を通して電流を流すことによって独自のヒーター19として作用する。毛細管18は、毛細管18が経験する動作温度において必要な構造的完全性を維持しながらも抵抗加熱が可能であり、予気化製剤とは反応しない導電性材料であってもよい。毛細管18を形成するために適切な材料は、ステンレス鋼、銅、銅合金、フィルム抵抗性材料で覆われた多孔性のセラミック材料、ニッケル・クロム合金、およびその組み合わせのうちの一つ以上である。例えば、毛細管18はステンレス鋼毛細管18であり、毛細管18の長さに沿った直流電流または交流電流の通過のためにそれらに取り付けられる電気リード26を介してヒーター19として機能する。従って、ステンレス鋼毛細管18は、抵抗加熱によって加熱される。別の方法として、毛細管18は、例えばガラス管などの非金属管でもよい。こうした実施形態において、ヒーター19は、例えばガラス管に沿って配置されるステンレス鋼、ニクロームまたはプラチナワイヤなどの、抵抗加熱可能な導電材料で形成されるか、これを含む。ガラス管に沿って配置されるヒーターが加熱されると、毛細管18内の予気化製剤は、毛細管18内の予気化製剤を少なくとも部分的に揮発させるのに十分な温度まで加熱される。
【0051】
少なくとも一つの実施形態において、少なくとも2本の電気リード26が金属毛細管18に結合される。少なくとも一つの実施形態において、1本の電気リード26が毛細管18の第一の上流部分101に結合され、第二の電気リード26が毛細管18の下流の端部102に結合される。
【0052】
動作時、成人ベイパー吸引者がeベイピング装置を吸煙する時、吸煙センサー16は、成人ベイパー吸引者の吸煙により生じた圧力勾配を検出し、制御回路11はヒーター19を起動して、貯蔵部14内に位置する予気化製剤を加熱する。毛細管18が加熱されると、毛細管18の加熱部分内に含まれる予気化製剤が揮発されて出口63から現れ、ここで予気化製剤が拡張し、空気と混合されて、混合チャンバー240内でベイパーを形成する。
【0053】
例示的な実施形態の電源12は、eベイピング装置60の第二のセクション72内に配置された電池を含むことができる。電源12は、ヒーター19の両端に電圧をかけるように構成され、ヒーター19は貯蔵部14内に収容された予気化製剤を揮発させる。
【0054】
少なくとも一つの実施形態において、ヒーター19と電気リード26との間の電気接点または接続は実質的に導電性、かつ温度抵抗性であり、一方でヒーター19は実質的に抵抗性があるので、発熱は接点ではなく主にヒーター19に沿って生じる。
【0055】
電源または電池12は再充電可能であってもよく、外部充電装置による電池の充電を可能にする回路を含んでもよい。その場合、回路は、充電される時に、所定の吸煙回数分の電力を提供し、その後、回路を外部充電装置に再接続される必要があるようにしてもよい。
【0056】
少なくとも一つの実施形態において、eベイピング装置60は、プリント基板11上に搭載することができる制御回路を含んでもよい。制御回路11は、ヒーター19が起動された時に発光するように構成されたヒーター作動灯27も含んでもよい。少なくとも一つの実施形態において、ヒーター作動灯27は、少なくとも一つのLEDを含み、eベイピング装置60の遠位端28にあって、ヒーター作動灯27が吸煙中に燃焼する石炭の外観をしたキャップを照らすようにする。さらに、ヒーター作動灯27は、成人ベイパー吸引者から見えるように構成されうる。灯27はまた、所望に応じて、成人ベイパー吸引者が灯27を有効化する、無効化する、または有効化と無効化の両方を行うことができるように構成されることができ、それによって灯27は所望に応じてベイピング中に有効化しないようになる。
【0057】
少なくとも一つの実施形態において、eベイピング装置60は、少なくとも二つの軸から離れた分岐出口21を有する口側端インサート20をさらに含む。少なくとも一つの実施形態において、口側端インサート20は、少なくとも二つの分岐する出口21(例えば、3~8個以上の出口)を含む。少なくとも一つの実施形態において、口側端インサート20の出口21は、軸から離れた通路23の端部に位置し、eベイピング装置60の長軸方向に対して外向きの角度を有する(すなわち、分岐状)。本明細書で使用される「軸から離れた」という用語は、eベイピング装置の長軸方向に対してある角度を有することを意味する。また、口側端インサート(または流れガイド)20は、使用中にベイパーを成人ベイパー吸引者の口に実質的に均一に分配するように、口側端インサート20の周りに均一に分布された出口を含んでもよい。
【0058】
少なくとも一つの実施形態において、eベイピング装置60は従来の紙巻たばことほぼ同じサイズである。一部の実施形態において、eベイピング装置60は、約80ミリメートル~約110ミリメートルの長さ、例えば、約80ミリメートル~約100ミリメートルの長さで、かつ約7ミリメートル~約10ミリメートルの直径であってもよい。
【0059】
eベイピング装置60の外側円筒形ハウジング22は、適切な任意の材料または材料の組み合わせから形成されるか、これを含んでもよい。少なくとも一つの実施形態において、外側円筒形ハウジング22は、少なくとも部分的に金属で形成され、制御回路11と、電源12と、吸煙センサー16と、ヒーター19とを接続する電気回路の一部である。
【0060】
図3は、例示的な実施形態によるeベイピング装置の断面図である。
図3に示すように、eベイピング装置60は、液体の予気化製剤貯蔵部14およびヒーター19を収容することができる中間セクション(第三のセクション)73も含んでもよい。中間セクション73は、第一のセクションまたはカートマイザー70の上流端でねじ接合部74’に嵌合されるように、および第二のセクション72の下流端でねじ接合部74に嵌合されるように構成することができる。この例示的な実施形態において、第一のセクションまたはカートマイザー70は口側端インサート20を収容し、一方で第二のセクション72は電源12と、電源12を制御するように構成された制御回路11とを収容する。
【0061】
少なくとも一つの実施形態において、第一のセクションまたはカートマイザー70、第二のセクション72、および第三のセクション73は、eベイピング装置60の長さに沿って長軸方向に延びる共通の外側円筒形ハウジング22を含む。さらに、少なくとも一つの実施形態において、中間セクション73は使い捨てであり、第一のセクションまたはカートマイザー70および第二のセクション72の一方または両方は再利用できる。セクション70、72、73はねじ接続またはコネクター74および74’によって取り付けることができ、これによって、貯蔵部14を使い切った時に中間セクション73を交換することができる。別の実施形態において、毛細管18とヒーター19の一方または両方をクリーニングする必要性を回避するように、第一のセクションまたはカートマイザー70は交換可能である。少なくとも一つの実施形態において、第一のセクションまたはカートマイザー70と第二のセクション72および第三のセクション73は、ねじ接続なしで一体として形成されて使い捨て可能なeベイピング装置を形成してもよい。
【0062】
図3に図示する例示的な実施形態において、貯蔵部14は、エラストマー材料から成る、またはエラストマー材料を含む、管状の細長い本体であって、圧迫された時に可撓性であるか圧縮可能であるか、あるいはその両方である。少なくとも一つの実施形態において、エラストマー材料は、シリコーン、プラスチック、ゴム、ラテックス、およびその組み合わせのうちの一つとすることができる。
【0063】
少なくとも一つの実施形態において、貯蔵部14が圧迫された時に、ある体積の予気化製剤(液体材料など)を毛細管18に送達できるように、貯蔵部14は毛細管18と流体連通する。予気化製剤を毛細管に送達するのと同時に、貯蔵部14に手動で圧力がかけられると電源12が起動し、毛細管18が加熱されて、予気化製剤が揮発する加熱されたセクションを形成する。加熱された毛細管18から放出されると、揮発した材料が膨張して、空気と混合してベイパーを形成する。
【0064】
図3に示す通り、貯蔵部14は、液体の予気化製剤を貯蔵部14内に維持するように、また貯蔵部14が圧迫され、かつ貯蔵部14に圧力がかけられた時に開くように構成された弁40を含む。少なくとも一つの実施形態において、臨界の最小圧力に達した時に弁40が開き、予気化製剤が貯蔵部14から不注意に分与されること、またはヒーター19を起動することが回避される。少なくとも一つの実施形態において、圧力スイッチ44を押すのに必要な圧力は、意図しない加熱を回避するように、十分に高い。こうした構成は、毛細管を通して送られる予気化製剤がない時にヒーター19が起動することを回避する。
【0065】
貯蔵部14に対する圧力が軽減されると弁40は閉じ、加熱された毛細管18は、弁40の下流に残留している予気化製剤があれば放出する。
【0066】
少なくとも一つの実施形態において、強さエンハンサーまたは添加物は、桂皮アルデヒド、メントン、オイゲノール、ジンゲロン、またはバニリルアセトン、およびギンゲロールを含んでもよい。強さエンハンサーはまた、トウガラシ、イソチオシアン酸アリル、ピペリン、イソオイゲノール、カルバクロール、チモール、メントール、コハク酸モノメンチル、およびN-(2-ヒドロキシエチル)-2,3-ジメチル-2-イソプロピルブタンアミドも含んでもよい。強さエンハンサーは、成人ベイパー吸引者内の一過性受容器電位カチオンチャネル、サブファミリーA、メンバー1(TRPA1)、一過性受容器電位カチオンチャネル、サブファミリーV、メンバー1(TPRV1)、またはニコチン性アセチルコリン受容体など、成人ベイパー吸引者の呼吸器系内の受容体を活性化する一つ以上の化合物を含み、受容体は粒子相の一部になり、かつベイピング中に成人ベイパー吸引者の気道内で粒子相とともに運ばれる。
【0067】
少なくとも一つの実施形態において、上記の化合物ならびに他のものを抽出物の中に見いだすことができ、そのような抽出物には例えば、ホースラディッシュ油、ニンニク抽出物、オニオン油、黒コショウ、赤唐辛子、ジンジャー油、タイム油、桂皮油、ウコン、コロハ、カルダモン、ローズマリー抽出物、グレープフルーツ油、およびアンドログラフィス抽出物などがある。
【0068】
少なくとも一つの実施形態において、予気化製剤は一つ以上の強さエンハンサーを約0.0001パーセント~約1パーセントの組成範囲で、最高約2パーセントの濃度で含んでもよく、または強さエンハンサーが複数の強さエンハンサーの組み合わせである時、約2パーセント超および約5パーセント未満の濃度で含んでもよい。これらの強さエンハンサーは、成人ベイパー吸引者の呼吸器系内の受容体を活性化してもよい。
【0069】
少なくとも一つの実施形態において、eベイピング装置の予気化製剤(例えば、液体製剤など)は、ベイパー形成体、一つ以上の強さエンハンサー、ニコチン、一つ以上の酸、および水のうちの一つ以上の混合物を含む。
【0070】
予気化製剤は随意的に水を含む。水は、予気化製剤の重量に基づいて約5重量%~約40重量%の範囲の量で含まれてもよい。例えば、水は、予気化製剤の重量に基づいて約20重量%含まれてもよい。
【0071】
以下の実施例は、強さエンハンサーの様々な組み合わせおよび対応する濃度を説明する。様々な製剤におけるニコチンの量は、約0.5%~約1.5%または約0.5%~約2%であってもよい。様々な強さエンハンサーが上記で考察された。以下で考察される酸としては、ピルビン酸、ギ酸、シュウ酸、グリコール酸、酢酸、イソ吉草酸、吉草酸、プロピオン酸、オクタン酸、乳酸、ソルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、オレイン酸、アコニット酸、酪酸、ケイ皮酸、デカン酸、3、7-ジメチル-6-オクテン酸、1-グルタミン酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、3-ヘキサン酸、トランス-2-ヘキサン酸、イソブチル酸、ラウリン酸、2-メチル酪酸、2-メチル吉草酸、ミリスチン酸、ノナン酸、パルミチン酸、4-ペンテン酸、フェニル酢酸、3-フェニルプロピオン酸、塩酸、リン酸、および硫酸のうちの少なくとも一つが挙げられる。予気化製剤の以下の実施例が考察される。
【0072】
実施例1:予気化製剤溶液は、およそ数ppmまたは約0.001パーセント~約0.1パーセントの強さエンハンサーまたは添加物と、約60パーセント~約80パーセントのベイパー形成体(例えば、実質的に等しい濃度のプロピレングリコールおよびグリセロール)と、約10パーセント~約20パーセントの水と、約0.5パーセント~約2パーセントの重量基準のニコチン(NBW)と、最高約5パーセントの酸とを含む。
【0073】
実施例2:予気化製剤溶液は、約1パーセントの強さエンハンサーまたは添加物と、約60パーセント~約80パーセントのベイパー形成体(例えば、プロピレングリコールおよびグリセロール)と、約15パーセント~約20パーセントの水と、約1パーセント~約2パーセントの重量基準のニコチン(NBW)と、最高約3パーセントの酸とを含む。
【0074】
実施例3:予気化製剤溶液は、約1.5パーセントの強さエンハンサーまたは添加物と、約60パーセント~約80パーセントのベイパー形成体(例えば、プロピレングリコールおよびグリセロール)と、約15パーセント~約20パーセントの水と、約0.5パーセント~約1.5パーセントの重量基準のニコチン(NBW)と、最高約1パーセントの酸とを含む。
【0075】
実施例4:予気化製剤溶液は、約2パーセントの強さエンハンサーまたは添加物と、約60パーセント~約80パーセントのベイパー形成体(例えば、プロピレングリコールおよびグリセロール)と、約15パーセント~約20パーセントの水と、約0.5パーセント~約2パーセントの重量基準のニコチン(NBW)と、実質的に0パーセントの酸または約0.1パーセントの酸とを含む。
【0076】
実施例5:予気化製剤溶液は、約2パーセント~約5パーセントの複数の強さエンハンサーまたは添加物の組み合わせと、約60パーセント~約80パーセントのベイパー形成体(例えば、プロピレングリコールおよびグリセロール)と、約15パーセント~約20パーセントの水と、約0.5パーセント~約2パーセントの重量基準のニコチン(NBW)と、実質的に0パーセントの酸または約0.1パーセントの酸とを含む。
【0077】
実施例6:予気化製剤溶液は約0.1パーセントの桂皮アルデヒド、メントン、オイゲノール、ジンゲロンまたはバニリルアセトン、およびギンゲロールのうちの一つと、約60パーセント~約80パーセントのベイパー形成体(例えば、プロピレングリコールおよびグリセロール)と、約15パーセント~約20パーセントの水と、約0.5パーセント~約2パーセントの重量基準のニコチン(NBW)と、最高約5パーセントの酸とを含む。
【0078】
実施例7:予気化製剤溶液は、約1パーセントの桂皮アルデヒド、メントン、オイゲノール、ジンゲロンまたはバニリルアセトン、およびギンゲロールのうちの一つ以上と、約60パーセント~約80パーセントのベイパー形成体(例えば、プロピレングリコールおよびグリセロール)と、約15パーセント~約20パーセントの水と、約0.5パーセント~約2パーセントの重量基準のニコチン(NBW)と、最高約3パーセントの酸とを含む。
【0079】
実施例8:予気化製剤溶液は、約1.5パーセントの桂皮アルデヒド、メントン、オイゲノール、ジンゲロンまたはバニリルアセトン、およびギンゲロールのうちの一つ以上と、約60パーセント~約80パーセントのベイパー形成体(例えば、プロピレングリコールおよびグリセロール)と、約15パーセント~約20パーセントの水と、約0.5パーセント~約2パーセントの重量基準のニコチン(NBW)と、最高約1パーセントの酸とを含む。別の方法として、予気化製剤は、約1.5パーセントの桂皮アルデヒド、メントン、オイゲノール、ジンゲロンまたはバニリルアセトン、およびギンゲロールのうちの二つ以上の組み合わせを含む。
【0080】
実施例9:予気化製剤溶液は、約2パーセントの桂皮アルデヒド、メントン、オイゲノール、ジンゲロンまたはバニリルアセトン、およびギンゲロールの組み合わせと、約60パーセント~約80パーセントのベイパー形成体(例えば、プロピレングリコールおよびグリセロール)と、約15パーセント~約20パーセントの水と、約0.5パーセント~約2パーセントの重量基準のニコチン(NBW)と、実質的に0パーセントの酸とを含む。
【0081】
実施例10:予気化製剤溶液は、約2パーセントを超える桂皮アルデヒド、メントン、オイゲノール、ジンゲロンまたはバニリルアセトン、およびギンゲロールのうちの二つ以上と、約60パーセント~約80パーセントのベイパー形成体(例えば、プロピレングリコールおよびグリセロール)と、約15パーセント~約20パーセントの水と、約0.5パーセント~約2パーセントの重量基準のニコチン(NBW)と、実質的に0パーセントの酸とを含む。別の方法として、予気化製剤は、約2パーセントを超える桂皮アルデヒド、メントン、オイゲノール、ジンゲロンまたはバニリルアセトン、およびギンゲロールのうちの二つ以上の組み合わせを含む。
【0082】
実施例11:予気化製剤溶液は、約0.1パーセント~約2.5パーセントのホースラディッシュ油、ニンニク抽出物、オニオン油、黒コショウ、赤唐辛子、ジンジャー油、タイム油、桂皮油、ウコン、コロハ、カルダモン、ローズマリー抽出物、グレープフルーツ油およびアンドログラフィス抽出物の組み合わせと、約60パーセント~約80パーセントのベイパー形成体(例えば、プロピレングリコールおよびグリセロール)と、約15パーセント~約20パーセントの水と、約0.5パーセント~約2パーセントの重量基準のニコチン(NBW)と、最高約5パーセントの随意の量の酸とを含む。
【0083】
実施例12:禁煙装置のための予気化製剤溶液は、約0.1パーセント~約2パーセントの強さエンハンサーまたは添加物と、約60パーセント~約80パーセントベイパー形成体(例えば、プロピレングリコールおよびグリセロール)と、約10パーセント~約20パーセントの水と、約0.5パーセント~約2パーセントの重量基準のニコチン(NBW)と、約0.1パーセント~約5パーセントの酸とを含む。
【0084】
少なくとも一つの実施形態において、eベイピング装置の動作に伴い予気化製剤からベイパーが生成される際に、酸は知覚される喉のとげとげしさの量を低減するように動作し、一方でベイパーの知覚される強さをベイパーが増大する際に強さエンハンサーは動作する。
【0085】
少なくとも一つの例示的な実施形態によると、酸は気化された製剤へと変換する能力を有する。酸の蒸発効率は、予気化製剤中の酸の質量分率に対する気化された製剤中の酸の質量分率の比である。少なくとも一つの実施形態において、酸は約50パーセント以上の、例えば約60パーセント以上の蒸発効率のような予気化製剤を持つ。例えば、ピルビン酸、乳酸、シュウ酸、酢酸、およびグリコール酸の蒸発効率は約50パーセント以上である。少なくとも一つの実施形態において、予気化製剤は、蒸発効率が約50パーセント以上である酸を含む。別の実施形態において、予気化製剤には、蒸発効率が約25パーセント以下のいかなる酸も含まれない。
【0086】
少なくとも一つの例示的な実施形態によると、酸は少なくとも約100℃の沸点を有し、予気化製剤のpHを約3~約8の範囲に調節するのに十分な量で予気化製剤に含まれうる。
【0087】
少なくとも一つの例示的な実施形態によると、予気化製剤は、ピルビン酸、ギ酸、シュウ酸、グルコール酸、酢酸、イソ吉草酸、吉草酸、プロピオン酸、オクタン酸、乳酸、ソルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、オレイン酸、アコニット酸、酪酸、ケイ皮酸、デカン酸、3、7-ジメチル-6-オクテン酸、1-グルタミン酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、3-ヘキサン酸、トランス-2-ヘキサン酸、イソブチル酸、ラウリン酸、2-メチル酪酸、2-メチル吉草酸、ミリスチン酸、ノナン酸、パルミチン酸、4-ペンテン酸、フェニル酢酸、3-フェニルプロピオン酸、塩酸、リン酸、硫酸、およびその組み合わせのうちの一つ以上を含む。酸はまた、塩の形態で組み込まれてもよい。予気化製剤はまた、ベイパー形成体、随意的に水、ニコチン、および風味剤を含む。
【0088】
従って、例示的な実施形態を説明しており、これらは多くの方法で変形されうることが明らかであろう。こうした変形は、例示的な実施形態の意図する範囲から逸脱するものとして見なされるべきではなく、当業者であれば明らかであるようなこうした修正のすべては、以下の特許請求の範囲の範囲内に含めるべきであることを意図している。
【手続補正書】
【提出日】2022-06-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
eベイピング装置のための予気化製剤であって、前記予気化製剤が、
プロピレングリコールおよびグリセロールのうちの少なくとも一つを含むベイパー形成体と、
ニコチンと、
濃度が0.1重量パーセント~5重量パーセントの一つ以上の酸と、
コハク酸モノメンチルおよびN-(2-ヒドロキシエチル)-2,3-ジメチル-2-イソプロピルブタンアミドのうちの少なくとも一つを含む添加物とを含む、予気化製剤。
【請求項2】
前記ベイパー形成体が、実質的に等しい重量ベースの濃度のプロピレングリコールおよびグリセリンを含む、請求項1に記載の予気化製剤。
【請求項3】
前記添加物がピペリン、イソチオシアン酸アリル、トウガラシ、イソオイゲノール、およびメントールのうちの少なくとも一つをさらに含む、請求項1または2に記載の予気化製剤。
【請求項4】
前記添加物がジンゲロン、ニンニク抽出物、オニオン油、タイム油、桂皮油、ウコン、コロハ、カルダモン、ローズマリー抽出物、グレープフルーツ油、およびアンドログラフィス抽出物のうちの少なくとも一つからの抽出物である、請求項1~3のいずれか一項に記載の予気化製剤。
【請求項5】
前記添加物が桂皮アルデヒド、メントン、オイゲノール、ホースラディッシュ油、黒コショウ、赤唐辛子、およびジンジャー油のうちの少なくとも一つからの抽出物をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の予気化製剤。
【請求項6】
前記添加物の濃度が0.0001重量パーセント~1重量パーセントである、請求項1~5のいずれか一項に記載の予気化製剤。
【請求項7】
前記予気化製剤の中の複数の添加物の組み合わせの濃度が2重量パーセントより高い、請求項1~6のいずれか一項に記載の予気化製剤。
【請求項8】
前記予気化製剤の中の前記複数の添加物の前記組み合わせの前記濃度が2重量パーセント~5重量パーセントである、請求項7に記載の予気化製剤。
【請求項9】
前記ベイパー形成体のベイパー相の中のニコチンの濃度が1重量パーセント以下である、請求項1に記載の予気化製剤。
【請求項10】
ニコチンの濃度が0.5重量パーセント~2重量パーセントの範囲内である、請求項1または9に記載の予気化製剤。
【請求項11】
濃度が10重量パーセント~20重量パーセントの水をさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の予気化製剤。
【請求項12】
前記一つ以上の酸がピルビン酸、ギ酸、シュウ酸、グリコール酸、酢酸、イソ吉草酸、吉草酸、プロピオン酸、オクタン酸、乳酸、ソルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、オレイン酸、アコニット酸、酪酸、ケイ皮酸、デカン酸、3、7-ジメチル-6-オクテン酸、1-グルタミン酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、3-ヘキサン酸、トランス-2-ヘキサン酸、イソブチル酸、ラウリン酸、2-メチル酪酸、2-メチル吉草酸、ミリスチン酸、ノナン酸、パルミチン酸、4-ペンテン酸、フェニル酢酸、3-フェニルプロピオン酸、塩酸、リン酸、および硫酸のうちの少なくとも一つを含む、請求項1に記載の予気化製剤。
【請求項13】
前記一つ以上の酸の蒸発効率が50重量パーセントより高い、請求項11または12に記載の予気化製剤。
【請求項14】
eベイピング装置であって、
予気化製剤を保持する貯蔵部、マウスエンドピース、および前記予気化製剤を加熱するように構成されたヒーターを含む、カートマイザーと、
前記カートマイザーに接続され、かつ前記マウスエンドピースで行われる吸煙を感知するように構成された吸煙センサー、および電力を前記ヒーターに供給するように構成された電力供給源を含む電源セクションと、を備え、
前記予気化製剤が、
プロピレングリコールおよびグリセロールの組み合わせを含むベイパー形成体と、
ニコチンと、
濃度が0.1重量パーセント~5重量パーセントの一つ以上の酸と、
コハク酸モノメンチルおよびN-(2-ヒドロキシエチル)-2,3-ジメチル-2-イソプロピルブタンアミドのうちの少なくとも一つを含む添加物とを含む、eベイピング装置。
【請求項15】
前記添加物がジンゲロン、ニンニク抽出物、オニオン油、タイム油、桂皮油、ウコン、コロハ、カルダモン、ローズマリー抽出物、グレープフルーツ油、およびアンドログラフィス抽出物のうちの少なくとも一つからの抽出物である、請求項14に記載のeベイピング装置。
【請求項16】
前記添加物の濃度が0.0001重量パーセント~1重量パーセントの範囲内であること、および
前記予気化製剤の中の複数の添加物の組み合わせの濃度が2重量パーセントより高いことのうちの少なくとも一つである、請求項14または15に記載のeベイピング装置。
【請求項17】
前記ベイパー形成体のベイパー相の中のニコチンの濃度が2重量パーセント以下であること、
前記予気化製剤が10重量パーセント~20重量パーセントの濃度の水をさらに含むこと、および
前記一つ以上の酸の蒸発効率が50重量パーセントより高い、請求項14~16のいずれか一項に記載のeベイピング装置。