(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022103404
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】太陽光を利用するシステム
(51)【国際特許分類】
F24S 10/80 20180101AFI20220630BHJP
【FI】
F24S10/80
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082790
(22)【出願日】2022-05-20
(62)【分割の表示】P 2019503636の分割
【原出願日】2017-04-07
(31)【優先権主張番号】62/319,721
(32)【優先日】2016-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518356280
【氏名又は名称】ゼロ マス ウォーター,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】特許業務法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フリーゼン,コーディー
(72)【発明者】
【氏名】ロビンソン,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】フリーセン,グラント
(72)【発明者】
【氏名】ローゼル,ヒース
(72)【発明者】
【氏名】ベッサント,ジャスティン,ザカリー
(57)【要約】
【課題】日射を熱エネルギーに変換するように構成された太陽熱ユニットを利用するシステムを提供する。
【解決手段】太陽熱ユニットと、日射を熱エネルギーに変換するための太陽熱ユニットの動作方法とが提供される。いくつかの実施例では、太陽熱ユニットは、入口と、第1の流体流路および第2の流体流路に沿った太陽熱ユニットの両側への熱吸収流体の分流とを有する。所望により、1つまたは複数の光起電力パネルは、日射を太陽熱ユニットに接続されたシステムによって使用され得る電力に変換できる太陽熱ユニットの一部として提供することができる。太陽熱ユニットは、空気から液体の水を生成するシステムの熱ユニットとして使用されてもよい。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光が透過する透明層と、
前記透明層の下方に設けられる第1の多孔質光吸収材料層と、
前記透明層と前記第1の多孔質光吸収材料層との間に設けられる第1の間隙層と、
再生流体を、前記透明層の内側表面および前記第1の間隙層の上部表面の間を通り、次に、前記第1の多孔質光吸収材料層を通るように導くように構成されている第1の流体流路とを備え、
前記再生流体が、前記透明層から熱を収集し、次に前記第1多孔質光吸収材料層から熱を収集する、システム。
【請求項2】
太陽光が透過する透明層と、
前記透明層の下方に設けられる第1の多孔質光吸収材料層と、
前記透明層と前記第1の多孔質光吸収材料層との間に設けられる第1の間隙層と、
再生流体を、前記透明層の内側表面に沿って、次に、前記第1の多孔質光吸収材料層を通るように導くように構成されている第1の流体流路と、
前記第1の流体流路と流体連通する吸湿性材料と、
前記第1の流体流路における前記再生流体の流量を調節するように構成されているサーキュレータと、
前記第1の流体流路から前記再生流体を受け取り、受け取った前記再生流体中の水蒸気を凝縮して液体の水を生成するように構成されている凝縮器とを備え、
前記再生流体は、前記凝縮器によって受け取られる前に、前記第1の多孔質光吸収材料層を通って流れる前に前記透明層の前記内側表面および前記第1の間隙層から熱を収集する、システム。
【請求項3】
日内変動に応じて前記再生流路内の前記再生流体に対する前記吸湿性材料の曝露を制御するように構成されたコントローラをさらに含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記吸湿性材料が、熱放射吸収材料と組み合わされている、請求項2または3に記載のシステム。
【請求項5】
前記透明層の下方に設けられる第2の多孔質光吸収材料層と、
前記透明層と前記第2の多孔質光吸収材料層との間に設けられる第2の間隙層と、
前記再生流体の一部を、前記透明層の前記内側表面および前記第2多孔質光吸収材料層の上部表面に沿って、その後に前記第2の多孔質光吸収材料層を通って流れるように導くように構成されている第2の流体流路とをさらに備え、
前記システムが、前記再生流体を前記第1の流体流路と前記第2の流体流路とに分配するように構成されており、
前記第2の流体流路内の前記再生流体が、前記透明層から熱を収集し、次に、前記第2の多孔質光吸収材料層から熱を収集する、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1の間隙層は、前記システムに電力を供給する光起電力パネルを備え、前記第1流体流路が、前記再生流体を、前記光起電力パネルから熱を収集し、その後に前記第1多孔質光吸収材料層を通って流れるように導くように構成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記システムに電力を供給する光起電力パネルを有するプレナムをさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
日射の日内変動に応じて前記システムを制御するように構成されたコントローラをさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
電力を発生して前記システムの一つ以上の構成部品に電力を供給する光起電力パネルと、
前記光起電力パネルによって生成される電力の量に応じて、前記システムを制御するように構成されたコントローラと、をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記システムでの圧力低下のバランスをとるために、前記再生流路の複数の分流路の間に前記再生流体を分配するように構成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年4月7日に出願された米国仮出願第62/319,721号に基づき、その出願日の利益を享受する。この出願は、参照することによりその内容全体が本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0002】
本明細書は、太陽光を利用するシステムを開示する。また、本明細書は、太陽熱ユニットおよび太陽熱ユニットの動作方法の技術を提供する。本技術の太陽熱ユニットは、日射を熱エネルギーに変換するように構成される。
【0003】
例示および説明の目的で具体例が選択され、本明細書の一部を成す添付図面に示される。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】
図1は、本技術の太陽熱ユニットの一実施形態の斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1の太陽熱ユニットの側面断面図であり、熱吸収流体の流路を示す。
【
図4】
図4は、
図3の太陽熱ユニットの一部の側面断面図であり、熱吸収流体の流路を示す。
【
図5】
図5は、本技術の太陽熱ユニットの第2の実施形態の側面断面図である。
【
図6】
図6は、本技術の太陽熱ユニットの第3の実施形態の側面断面図である。
【
図7】
図7は、本技術の太陽熱ユニットの第4の実施形態の側面断面図である。
【
図8】
図8は、本技術の太陽熱ユニットの吸収体における非線形温度プロファイルのグラフである。
【
図9】
図9は、本技術の太陽熱ユニットの一実施形態を試験した結果を示す日射対時間のグラフである。
【
図10】
図10は、本技術の太陽熱ユニットが使用され得る、空気から液体の水を生成する第1のシステムの図である。
【
図11】
図11は、本技術の太陽熱ユニットが使用され得る、空気から液体の水を生成する第2のシステムの図である。
【
図12】
図12は、本技術の太陽熱ユニットの第5の実施形態の分解図である。
【
図14】
図14は、2つの異なる流速での太陽熱ユニットの第5の実施形態の効率対周囲温度を超える温度のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0005】
用語「備える(comprise)」(およびその任意の活用形、例えば「備える(comprises)」および「備える(comprising)」)、「有する(have)」(およびその任意の活用形、例えば「有する(has)」および「有する(having)」)、「含む、備える(include)」(およびその任意の活用形、例えば「含む、備える(includes)」および「含む、備える(including)」)、および「含む、包含する(contain)」(およびその任意の活用形、例えば「含む、包含する(contains)」および「含む、包含する(containing)」)は、非限定的連結動詞である。その結果、1つまたは複数の要素を「備える」、「有する」、「含む」、または「包含する」装置は、それら1つまたは複数の要素を保有するが、それらの要素のみを保有することに限定されない。同様に、1つまたは複数のステップを「備える」、「有する」、「含む」、または「包含する」方法は、それらの1つまたは複数のステップを保有するが、それら1つまたは複数のステップのみを保有することに限定されない。
【0006】
装置、システムおよび方法のいずれかの任意の実施形態は、記述されるステップ、要素および/または特徴のいずれかを備え/含み/包含し/備えるというよりむしろ、記述されるステップ、要素および/または特徴のいずれかからなるか、または本質的になることができる。それゆえ、請求項のいずれにおいても、非限定的連結動詞を使用している所与の請求項の範囲を変えるために、上記の非限定的連結動詞のいずれかを「~からなる」、または「本質的に~からなる」という用語に置き換えることができる。
【0007】
一実施形態の1つまたは複数の特徴は、本開示または実施形態の性質によって明示的に禁止されていない限り、記述または図示されていなくても、他の実施形態にも適用してもよい。
【0008】
上述した実施形態などに関連するいくつかの詳細を以下に説明する。
【0009】
本技術の太陽熱ユニットは、太陽光から、太陽熱ユニットを通って流れる熱吸収流体へとエネルギーを伝達することによって、日射を熱エネルギーに変換する。少なくともいくつかの実施形態では、本技術の太陽熱ユニットは、熱吸収流体が入口から出口へといずれかの流路に沿って流れる方向に、太陽熱ユニットの深さに沿って温度勾配が増加するように構成されてもよい。これにより、周囲空気と接触しているグレージング層のようなシステムの上層から離れるように、熱が実質的に抽出されるかまたは導かれ、そのような層を比較的冷たく保つことができる。対照的に、従来の太陽熱ユニットは、非常に熱い外側表面を有する傾向がある。太陽熱ユニットの構成により、さらに、日射からの熱がユニットの最も断熱された領域に導かれて保持され、ユニットからの放射損失を低減させることができる。
【0010】
本開示は、一体化された太陽熱および光起電力変換デバイスを有する、エネルギーおよび/または水を生成するための装置および方法をさらに提供する。単なる一例として、本発明は、ソーラーモジュールおよび水生成デバイスに適用されているが、本発明ははるかに広い適用範囲を有することが認識されるであろう。
【0011】
図1~
図4は、本技術の太陽熱ユニット100の一実施形態を示す。太陽熱ユニット100は、2つの流体流路を有する分流設計を有する。
【0012】
太陽熱ユニット100の右側にある第1の流体流路に関して、外側表面104および内側表面106を有する第1のグレージング層102がある。第1のグレージング層102の外側表面104は、周囲空気に曝露されていてもよい。太陽熱ユニット100の第1の流体流路はまた、第1のグレージング層102の下にあり、第1のグレージング層102から離れている第1の多孔質光吸収材料層108を有する。第1の多孔質光吸収材料層108は、上部表面110、厚さ112および底部表面114を有する。熱吸収流体116またはその一部は、入口120から出口122へと第1の流体流路に沿って太陽熱ユニット100を通って流れてもよい。
【0013】
図示されるように、第1のグレージング層102および第1の多孔質光吸収材料層108はそれぞれ、同じ幅Wおよび長さL
1を有する。
図6および
図7に図示されるものを含む他の実施形態では、第1のグレージング層は、第1の多孔質光吸収材料層108の長さL
1よりも大きく、両方の流体流路の長さにわたって延びることができる長さLを有してもよい。
【0014】
入口120を通って太陽熱ユニット100に入るとき、熱吸収流体116は、用途に応じて、太陽熱ユニット100外部の周囲空気の温度と同じであっても、同じでなくてもよい初期温度を有してもよい。入口120を通って太陽熱ユニット100に入った後、熱吸収流体116の少なくとも一部は、入口120から第1のグレージング層102の内側表面106に沿って延びる第1の流体流路の第1の部分118に沿って流れてもよい。熱吸収流体116は、第1の流体流路の第1の部分118に沿って流れるときに、第1のグレージング層102の内側表面106の全長L1に沿って流れてもよい。
【0015】
第1の流体流路の第1の部分118に沿った熱吸収流体116の流路は、入口120および/または太陽熱ユニット100全体の構造幾何形状によって制御されてもよい。例えば、入口120は、熱吸収流体116が太陽熱ユニット100内に流れて通る1つまたは複数のノズルを備えていてもよい。1つまたは複数のノズルは、熱吸収流体116が第1の流体流路の第1の部分118に沿って流れるときに熱吸収流体116の速度および方向を制御してもよい。あるいは、太陽熱ユニット100は、後述するように、少なくとも1つの間隙層を備えてもよい。
【0016】
さらに、第1の流体流路の第1の部分118内で、熱吸収流体116は、第1のグレージング層102の内側表面106の全幅Wにわたって均一に分布してもよい。第1の流体流路の第1の部分118に沿って移動するときに、熱吸収流体116は、第1のグレージング層102の内側表面106に沿って熱を収集してもよい。したがって、第1の流体流路の第1の部分118端部における熱吸収流体116の温度は、入口120における熱吸収流体116の初期温度よりも高い可能性がある。温度上昇の量は、日射のレベル、周囲温度、および入口温度をはじめとするいくつかの要因に依存し得る。
【0017】
第1の流体流路の第1の部分118を通って流れた後、熱吸収流体116は、第1の流体流路の第1の移行部138を通り、次に第2の部分140に沿って流れてもよい。第1の流体流路の第2の部分140は、多孔質光吸収材料層108の上部表面110に沿って延びている。熱吸収流体116の少なくとも一部は、第1の流体流路の第2の部分140に沿って流れるときに、多孔質光吸収材料層108の上部表面110の全長L1に沿って流れてもよい。さらに、第1の流体流路の第2の部分140内で、熱吸収流体116は、多孔質光吸収材料層108の上部表面110の全幅Wにわたって均一に分布してもよい。第1の流体流路の第2の部分140に沿って移動するときに、熱吸収流体116は、多孔質光吸収材料層108の上部表面110に沿って熱を収集してもよい。したがって、第1の流体流路の第2の部分140端部における熱吸収流体116の温度は、入口120における熱吸収流体116の初期温度よりも高いだけでなく、第1の流体流路の第1の部分118の端部における熱吸収流体116の温度よりも高い可能性がある。
【0018】
第1の流体流路の第2の部分140を通って流れた後、熱吸収流体116は、多孔質光吸収材料層108の厚さ112を通って、第1の流体流路の第3の部分142に沿って流れてもよい。第1の流体経路の第3の部分142に沿って流れるときに、熱吸収流体116は、第1の多孔質光吸収材料層108内から熱を収集してもよい。したがって、第1の流体流路の第3の部分142の端部における熱吸収流体116の温度は、入口120における熱吸収流体116の初期温度よりも高いだけでなく、第1の流体流路の第2の部分140の端部における熱吸収流体116の温度よりも高い可能性がある。
【0019】
第1の流体流路の第3の部分142を通って流れた後、熱吸収流体116は、多孔質光吸収材料層108の底部表面114に沿って、熱吸収流体が太陽熱ユニット100を出ることができる出口122まで、第1の流体経路の第4の部分144に沿って流れてもよい。熱吸収流体116は、多孔質光吸収材料層108の底部表面114から熱を収集してもよい。熱吸収流体116は、第1の多孔質光吸収材料層108の底部表面114から、また第1の流体経路の第4の部分144に沿って流れるときに接触する断熱層130などの任意の他の構成部品から熱を収集してもよい。したがって、第1の流体流路の第4の部分144端部における熱吸収流体116の温度は、入口120における熱吸収流体116の初期温度よりも高いだけでなく、第1の流体流路の第3の部分142の端部における熱吸収流体116の温度よりも高い可能性がある。
【0020】
太陽熱ユニット100はまた、少なくとも底部132および側壁134を有することができる断熱層130を有してもよい。側壁134は、太陽熱ユニット100の外辺部全体の周りに延びてもよい。断熱層130は、第1の多孔質光吸収材料層108の下にあり、第1の多孔質光吸収材料層108から離れていてもよい。断熱層130は、第1の流体経路の第4の部分144の一部を形成する第1の流れチャネル136を提供するように構成されてもよい。第1の流体経路の第4の部分144は、多孔質光吸収材料層108の下の第1の流れチャネル136に沿って、出口122へと流れてもよい。
【0021】
さらに、第1の流体流路118に関して、太陽熱ユニット100は、第1のグレージング層102と第1の多孔質光吸収材料層108との間に、第1の間隙層124のような1つまたは複数の間隙層を有することができる。間隙層124は、第1のグレージング層102との流れ相互作用を促進でき、結果として第1のグレージング層102からの熱抽出を増加させられる。図示されているように、第1の間隙層124は、グレージングであってもよく、第1のグレージング層102と同じ材料もしくは異なる材料で製造されていてもよく、および/または1つもしくは複数の光起電力(PV)パネルを備えてもよい。第1の間隙層124は、上部表面126および底部表面128を有してもよい。第1の間隙層124の上部表面126は、第1のグレージング層102の内側表面106の下にあり、内側表面106から離れており、第1の間隙層124の底部表面128は、第1の多孔質光吸収材料層108の上部表面110の上にあり、上部表面110から離れている。
【0022】
太陽熱ユニット100が第1の間隙層124を備える実施形態では、第1の移行部138は、第1の間隙層124の端部192周りに第1の流体経路の曲がり角を備えてもよい。
図3および
図4に図示されるように、第1のグレージング層102は長さL
1を有し、第1の間隙層124は、第1のグレージング層102の長さよりも短い長さを有する。第1の間隙層124の短い長さは、第1の間隙層124の端部192と断熱層130の側壁134との間の第1のギャップ194を形成する。第1の移行部138の曲がり角は、約90°~約180°などの最大約180°の角度であってよい角度で熱吸収流体116の向きを変えることができる。第1の間隙層124は、第1のグレージング層102の幅Wに等しい幅を有してもよい。このような実施形態では、第1の流体経路の第1の部分118は、入口120から、第1のグレージング層102の内側表面106と第1の間隙層124の上部表面126との間の、第1のグレージング層102の内側表面106に沿って延び、第1の流体経路の第2の部分140は、第1の間隙層124の底部表面128と第1の多孔質光吸収材料層108の上部表面110との間に延びている。第1の流体経路の第2の部分140は、第1の間隙層124の底部表面128と接触し、それによって第1の間隙層124から熱を収集してもよい。
【0023】
太陽熱ユニット100が第1の間隙層124を備える実施形態では、熱吸収流体はさらに、第1の流体流路に沿って流れるときに間隙層124から熱を抽出してもよい。例えば、熱吸収流体116が第1の流体流路の第1の部分118に沿って移動するときに、熱吸収流体116は、第1のグレージング層102の内側表面106に沿って、また第1の間隙層124の上部表面126から熱を収集してもよい。さらに、第1の流体流路の第2の部分140に沿って移動するときに、熱吸収流体116は、第1の間隙層124の底部表面128に沿って、また多孔質光吸収材料層108の上部表面110に沿って熱を収集してもよい。上述したように、熱吸収流体116の温度勾配は、熱吸収流体が第1の流体流路に沿って入口120から出口122に流れるにつれて増大し得るため、出口122における熱吸収流体の温度は、入口120における熱吸収流体116の温度より高い可能性がある。
【0024】
太陽熱ユニット100の左側の第2の流体流路は、第1の流体流路と同じ構成部品のセットを有していてもよく、第1の流体流路と左右対称であってもよい。図示されているように、太陽熱ユニット100の左側は、外側表面148および内側表面150を有する第2のグレージング層146を備える。第2のグレージング層146の外側表面148は、周囲空気に曝露されていてもよい。太陽熱ユニット100の左側はまた、第2のグレージング層146の下にあり、第2のグレージング層146から離れている第2の多孔質光吸収材料層152を有する。第2の多孔質光吸収材料層152は、上部表面154、厚さ156および底部表面158を有する。熱吸収流体116またはその一部は、入口120から出口122へと第2の流体流路に沿って太陽熱ユニット100を通って流れてもよい。図示されるように、第2のグレージング層146および第2の多孔質光吸収材料層152はそれぞれ、同じ幅Wおよび長さL2を有する。
【0025】
上述のように、入口120を通って太陽熱ユニット100に入るとき、熱吸収流体116は、初期温度を有してもよい。入口120を通って太陽熱ユニット100に入った後、熱吸収流体116の少なくとも一部は、入口120から第2のグレージング層146の内側表面150に沿って延びる第2の流体流路の第1の部分160に沿って流れてもよい。熱吸収流体116は、第2の流体流路の第1の部分160に沿って流れるときに、第2のグレージング層146の内側表面150の全長L2に沿って流れてもよい。さらに、第2の流体流路の第1の部分160内で、熱吸収流体116は、第2のグレージング層146の内側表面150の全幅Wにわたって均一に分布してもよい。第2の流体流路の第1の部分160に沿って移動するときに、熱吸収流体116は、第2のグレージング層146の内側表面150に沿って熱を収集してもよい。したがって、第2の流体流路の第1の部分160の端部における熱吸収流体116の温度は、入口120における熱吸収流体116の初期温度よりも高い可能性がある。
【0026】
第2の流体流路の第1の部分160を通って流れた後、熱吸収流体116は、第2の流体流路の第2の移行部162を通り、次に第2の部分164に沿って流れてもよい。第2の流体流路の第2の部分164は、第2の多孔質光吸収材料層152の上部表面154に沿って延びている。熱吸収流体116の少なくとも一部は、第2の流体流路の第2の部分164に沿って流れるときに、第2の多孔質光吸収材料層152の上部表面154の全長L1に沿って流れてもよい。さらに、第2の流体流路の第2の部分164内で、熱吸収流
体116は、多孔質光吸収材料層152の上部表面154の全幅Wにわたって均一に分布してもよい。第2の流体流路の第2の部分164に沿って移動するときに、熱吸収流体116は、多孔質光吸収材料層152の上部表面154に沿って熱を収集してもよい。したがって、第2の流体流路の第2の部分164端部における熱吸収流体116の温度は、入口120における熱吸収流体116の初期温度よりも高いだけでなく、第2の流体流路の第1の部分160の端部における熱吸収流体116の温度よりも高い可能性がある。
【0027】
第2の流体流路の第2の部分164を通って流れた後、熱吸収流体116は、第2の多孔質光吸収材料層152の厚さ156を通って、第2の流体経路の第3の部分166に沿って流れてもよい。第2の流体経路の第3の部分166に沿って流れるときに、熱吸収流体116は、第2の多孔質光吸収材料層152内から熱を収集してもよい。したがって、第2の流体流路の第3の部分166端部における熱吸収流体116の温度は、入口120における熱吸収流体116の初期温度よりも高いだけでなく、第2の流体流路の第2の部分164の端部における熱吸収流体116の温度よりも高い可能性がある。
【0028】
第2の流体流路の第3の部分142を通って流れた後、熱吸収流体116は、第2の多孔質光吸収材料層152の底部表面158に沿って、熱吸収流体116が太陽熱ユニット100を出ることができる出口122まで、第2の流体経路の第4の部分168に沿って流れてもよい。熱吸収流体116は、第2の多孔質光吸収材料層152の底部表面158から、また第2の流体経路の第4の部分168に沿って流れるときに接触する断熱層130などの任意の他の構成部品から熱を収集してもよい。したがって、第2の流体流路の第4の部分168の端部における熱吸収流体116の温度は、入口120における熱吸収流体116の初期温度よりも高いだけでなく、第2の流体流路の第3の部分166の端部における熱吸収流体116の温度よりも高い可能性がある。
【0029】
断熱層130は、第2の多孔質光吸収材料層152の下にあり、第2の多孔質光吸収材料層152から離れていてもよい。断熱層130は、第2の流体経路の第4の部分168の一部を形成する第2の流れチャネル176を提供するように構成されてもよい。第2の流体経路の第4の部分168は、第2の多孔質光吸収材料層152の下の第2の流れチャネル176に沿って、出口122へと流れてもよい。
【0030】
さらに、第2の流体流路に関して、太陽熱ユニット100は、第2のグレージング層146と第2の多孔質光吸収材料層152との間に、第2の間隙層170のような1つまたは複数の間隙層を有してもよい。図示されているように、第2の間隙層170は、グレージングであってもまたは異なる適切な材料であってもよく、第2のグレージング層146と同じ材料もしくは異なる材料で製造されていてもよく、および/または1つもしくは複数の光起電力(PV)パネルを備えてもよい。第2の間隙層170は、上部表面172および底部表面174を有してもよい。第2の間隙層170の上部表面172は、第2のグレージング層146の内側表面150の下にあり、内側表面150から離れており、第2の間隙層170の底部表面174は、第2の多孔質光吸収材料層152の上部表面154の上にあり、上部表面154から離れている。
【0031】
太陽熱ユニット100が第2の間隙層170を備える実施形態では、第2の移行部162は、第2の間隙層170の端部196周りに第2の流体経路の曲がり角を備えてもよい。
図3および
図4に図示されるように、第2のグレージング層146は長さL
2を有し、第2の間隙層170は、第2のグレージング層146の長さL
2よりも短い長さを有する。第2の間隙層170の短い長さは、第2の間隙層170の端部196と断熱層130の側壁134との間の第2のギャップ198を形成する。第2の移行部162の曲がり角は、約90°~約180°などの最大約180°の角度であってよい角度で熱吸収流体116の向きを変えることができる。第2の間隙層170は、第2のグレージング層146の幅Wに等しい幅を有してもよい。このような実施形態では、第2の流体経路の第1の部分160は、入口120から、第2のグレージング層146の内側表面150と第2の間隙層170の上部表面172との間の、第2のグレージング層146の内側表面150に沿って延び、第2の流体経路の第2の部分164は、第2の間隙層170の底部表面174と第2の多孔質光吸収材料層152の上部表面154との間に延びている。
【0032】
太陽熱ユニット100が第2の間隙層170を備える実施形態では、熱吸収流体116はさらに、第2の流体流路に沿って流れるときに第2の間隙層170から熱を抽出してもよい。例えば、第2の流体流路の第1の部分160に沿って移動するときに、熱吸収流体116は、第2のグレージング層146の内側表面150に沿って、また第2の間隙層170の上部表面172から熱を収集してもよい。さらに、第2の流体流路の第2の部分164に沿って移動するときに、熱吸収流体116は、第2の間隙層170の底部表面174に沿って、また多孔質光吸収材料層152の上部表面154に沿って熱を収集してもよい。上述したように、熱吸収流体116の温度勾配は、熱吸収流体が第2の流体流路に沿って入口120から出口122に流れるにつれて増大し得るため、出口122における熱吸収流体の温度は、入口120における熱吸収流体116の温度より高い可能性がある。
【0033】
図3および
図4に示すように、第1の流体流路および第2の流体流路は、それぞれ底部および側部が断熱層130によって、それぞれ上部が第1のグレージング層102または第2のグレージング層146によって取り囲まれてもよい。太陽熱ユニット100の取り囲まれたセクションは、密閉された流れチャンバを提供できるため、熱吸収流体は、入口120から出口122に流れるときに太陽熱ユニット100から漏れない。例えば、第1のグレージング層102と、断熱材130からなる底部132と、断熱材130からなる側壁134と、プレナム184からなる壁とによって囲まれた第1の密閉された流れチャンバ178を設けてもよい。第1の密閉されたチャンバは第1の流体経路を取り囲む。同様に、第2のグレージング層146と、断熱材130からなる底部132と、断熱材130からなる側壁134と、プレナム184からなる壁とによって囲まれた第2の密閉された流れチャンバ180を設けてもよい。第2の密閉されたチャンバは第2の流体経路を取り囲む。
【0034】
太陽熱ユニット100はさらに、流体流路の少なくとも一部と、断熱層130をはじめとする流体流路を形成する構成部品とを包囲し、取り囲む保護ハウジング182を有してもよい。
【0035】
図3および
図4から見てとれるように、分流太陽熱ユニット100は、第1のグレージング層102および第1の多孔質光吸収材料層108を第2のグレージング層146および第2の多孔質光吸収材料層152から分離するプレナム184を有してもよい。プレナム184は、プレナムカバー186と、プレナムカバー186の下の上部プレナムチャンバ188とを有してもよい。入口120は、プレナム184内に配置してもよい。入口120は、流入する熱吸収流体を均等に分割し、第1の流体経路と第2の流体経路との間に向けるように構成されてもよい。入口は、熱吸収流体を上部プレナムチャンバ188に流入させるようにさらに構成されてもよい。
【0036】
熱エネルギーを生成することに加えて、本技術の太陽熱ユニットのいくつかの実施形態はまた、電気エネルギーを生成してもよい。そのような実施形態では、電気エネルギーは、プレナムカバー186の少なくとも一部を含むことができる1つまたは複数の光電池を備える光起電力パネル(PV)190によって生成してもよい。入口120から上部プレナムチャンバ188に流入する熱吸収流体116は、第1の流路または第2の流路に沿って進む前に、光起電力パネル190から熱を収集してもよい。光電池は、冷却されるとより効率的に動作するため、光起電力パネル190から熱を収集する熱吸収流体は、熱吸収流体によって吸収される熱量を増加させるだけでなく、光起電力パネル190の効率を維持または向上させることができる。PVパネルの後面は、パネルとの流れの相互作用を促進してパネルの冷却を促進するように改造されてもよい。さらに、パネルの電池のレイアウトおよび配線は、パネル全体の温度勾配を考慮してパネル性能を最大にするように最適化することができる。
【0037】
単一の流体流路を有する、本技術の太陽熱ユニット500の1つの他の実施形態を
図5に示す。少なくともいくつかの実施形態では、太陽熱ユニット500は、入口520から出口522への流体流路に沿って、温度勾配がユニットを通して増加するように構成されてもよい。
【0038】
図示されているように、太陽熱ユニット500は、外側表面504および内側表面506を有するグレージング層502を有する。グレージング層502の外側表面504は、周囲空気に曝露されていてもよい。太陽熱ユニット500はまた、グレージング層502の下にあり、グレージング層502から離れている多孔質光吸収材料層508を有する。多孔質光吸収材料層508は、上部表面510、厚さ512および底部表面514を有する。熱吸収流体516は、入口520から出口522へと流体流路に沿って太陽熱ユニット500を通って流れてもよい。
【0039】
入口520を通って太陽熱ユニット500に入るとき、熱吸収流体516は、用途に応じて、太陽熱ユニット500外部の周囲空気の温度と同じであっても、同じでなくてもよい初期温度を有してもよい。入口520を通って太陽熱ユニット500に入った後、熱吸収流体516の少なくとも一部は、入口520からグレージング層502の内側表面506に沿って延びる流体流路の第1の部分518に沿って流れてもよい。熱吸収流体516は、流体流路の第1の部分518に沿って流れるときに、グレージング層502の内側表面506の全長に沿って流れてもよい。さらに、流体流路の第1の部分518内で、熱吸収流体516は、第1のグレージング層502の内側表面506の全幅にわたって均一に分布してもよい。流体流路の第1の部分518に沿って移動するときに、熱吸収流体516は、第1のグレージング層502の内側表面506に沿って熱を収集してもよい。したがって、流体流路の第1の部分518端部における熱吸収流体516の温度は、入口520における熱吸収流体516の初期温度よりも高い可能性がある。
【0040】
流体流路の第1の部分518を通って流れた後、熱吸収流体516は、流体流路の第2の移行部520を通り、次に第2の部分522に沿って流れてもよい。流体流路の第2の部分522は、多孔質光吸収材料層508の上部表面510に沿って延びている。熱吸収流体516の少なくとも一部は、流体流路の第2の部分522に沿って流れるときに、多孔質光吸収材料層508の上部表面510の全長に沿って流れてもよい。さらに、流体流路の第2の部分522内で、熱吸収流体516は、多孔質光吸収材料層508の上部表面510の全幅にわたって均一に分布してもよい。流体流路の第2の部分522に沿って移動するときに、熱吸収流体516は、多孔質光吸収材料層508の上部表面510に沿って熱を収集してもよい。したがって、流体流路の第2の部分522端部における熱吸収流体516の温度は、入口520における熱吸収流体516の初期温度よりも高いだけでなく、流体流路の第1の部分518の端部における熱吸収流体516の温度よりも高い可能性がある。
【0041】
流体流路の第2の部分522を通って流れた後、熱吸収流体516は、多孔質光吸収材料層508の厚さ512を通って、第1の流体経路の第3の部分524に沿って流れてもよい。流体経路の第3の部分524に沿って流れるときに、熱吸収流体516は、多孔質光吸収材料層508内から熱を収集してもよい。したがって、流体流路の第3の部分524端部における熱吸収流体516の温度は、入口520における熱吸収流体516の初期温度よりも高いだけでなく、流体流路の第2の部分522の端部における熱吸収流体516の温度よりも高い可能性がある。
【0042】
流体流路の第3の部分524を通って流れた後、熱吸収流体516は、多孔質光吸収材料層508の底部表面514に沿って、熱吸収流体が太陽熱ユニット500を出ることができる出口522まで、流体経路の第4の部分526に沿って流れてもよい。熱吸収流体516は、多孔質光吸収材料層508の底部表面514から、また流体経路の第4の部分526に沿って流れるときに接触する断熱層534などの任意の他の構成部品から熱を収集してもよい。したがって、流体流路の第4の部分526端部における熱吸収流体516の温度は、入口520における熱吸収流体516の初期温度よりも高いだけでなく、流体流路の第3の部分524の端部における熱吸収流体516の温度よりも高い可能性がある。
【0043】
太陽熱ユニット500はまた、少なくとも底部536および側壁538を有することができる断熱層534を有してもよい。断熱層534は、多孔質光吸収材料層508の下にあり、多孔質光吸収材料層508から離れていてもよい。断熱層534は、流体経路の第4の部分526の一部を形成する第1の流れチャネル540を提供するように構成されてもよい。流体経路の第4の部分526は、多孔質光吸収材料層508の下の第1の流れチャネル540に沿って、出口522へと流れてもよい。
【0044】
さらに、太陽熱ユニット500は、グレージング層502と多孔質光吸収材料層508との間に、間隙層528のような少なくとも1つの間隙層を有してもよい。間隙層528は、グレージングであってもまたは異なる適切な材料であってもよく、グレージング層202と同じ材料または異なる材料で製造されていてもよい。間隙層528は、上部表面530および底部表面532を有してもよい。間隙層528の上部表面530は、グレージング層502の内側表面506の下にあり、内側表面506から離れており、間隙層528の底部表面532は、多孔質光吸収材料層508の上部表面510の上にあり、上部表面510から離れている。
【0045】
太陽熱ユニット500が間隙層528を備える実施形態では、移行部520は、間隙層528の端部542周りに第1の流体経路の曲がり角を備えてもよい。
図5に図示されるように、グレージング層502は長さを有し、間隙層528は、グレージング層502の長さよりも短い長さを有する。間隙層528の短い長さは、間隙層528の端部542と断熱層534の側壁538との間の第1のギャップ544を形成する。移行部520の曲がり角は、約90°~約180°などの最大約180°の角度であってよい角度で熱吸収流体516の向きを変えることができる。間隙層528は、グレージング層502の幅に等しい幅を有してもよい。このような実施形態では、流体経路の第1の部分518は、入口520から、グレージング層502の内側表面506と間隙層528の上部表面530との間の、グレージング層502の内側表面504に沿って延び、流体経路の第2の部分522は、間隙層528の底部表面532と多孔質光吸収材料層508の上部表面510との間に延びている。流体経路の第2の部分522は、間隙層528の底部表面532と接触し、それによって第1の間隙層528から熱を収集してもよい。
【0046】
太陽熱ユニット500が第1の間隙層528を備える実施形態では、熱吸収流体はさらに、流体流路に沿って流れるときに間隙層528から熱を抽出してもよい。例えば、熱吸収流体516が流体流路の第1の部分518に沿って移動するときに、熱吸収流体516は、第1のグレージング層502の内側表面506に沿って、また第1の間隙層528の上部表面530から熱を収集してもよい。さらに、流体流路の第2の部分522に沿って移動するときに、熱吸収流体516は、第1の間隙層528の底部表面532に沿って、また多孔質光吸収材料層508の上部表面510に沿って熱を収集してもよい。上述したように、熱吸収流体516の温度勾配は、熱吸収流体が第1の流体流路に沿って入口520から出口522に流れるにつれて増大し得るため、出口522における熱吸収流体の温度は、入口520における熱吸収流体516の温度より高い可能性がある。
【0047】
本技術の太陽熱ユニット600および700のさらなる他の実施形態をそれぞれ
図6および
図7に示す。
【0048】
図6に示すように、太陽熱ユニット600は、
図1~
図4に関して上記において図示され説明されたものと同様の2つの流体流路を有する。しかしながら、第2のグレージング層を有する代わりに、太陽熱ユニット600は、長さLを有し、両方の流体流路の上部全体に延びる第1のグレージング層602のみを有する。図示されているように、太陽熱ユニット600は、外側表面604および内側表面606を有する第1のグレージング層を有する。第1のグレージング層602の外側表面604は、周囲空気に曝露されていてもよい。太陽熱ユニット600はまた、太陽熱ユニット600の第1の側に、第1のグレージング層602の下にあり、第1のグレージング層602から離れている第1の多孔質光吸収材料層608を有する。第1の多孔質光吸収材料層608は、上部表面610、厚さ612および底部表面614を有する。太陽熱ユニット600はまた、太陽熱ユニット600の第1の側とは反対側の太陽熱ユニット600の第2の側に、第1のグレージング層602の下にあり、第1のグレージング層602から離れている第2の多孔質光吸収材料層616を有する。第2の多孔質光吸収材料層616は、上部表面618、厚さ620および底部表面622を有する。太陽熱ユニット600は、第1の間隙層638および第2の間隙層640をさらに有する。
【0049】
熱吸収流体624は、第1の多孔質光吸収材料層608を第2の多孔質光吸収材料層616から分離するプレナム628における入口626を通って、太陽熱ユニット600に流入する。熱吸収流体624の半分であってもよい第1の部分は、第1のグレージング層の内側表面606に沿って、入口626から第1の流体流路630に沿って流れ、次に、第1の多孔質光吸収材料層608の厚さを通って出口634へと流れる。熱吸収流体624の同じく半分であってもよい第2の部分は、第1のグレージング層の内側表面606に沿って、入口626から第2の流体流路632に沿って流れ、次に、第2の多孔質光吸収材料層616の厚さを通って出口634へと流れる。
【0050】
太陽熱ユニット600を通る熱吸収流体624の流れは、上述の太陽熱ユニット100の流体経路に沿った流れと同じであるか、または実質的に同じである。しかし、太陽熱ユニット600において、第1の間隙層638および第2の間隙層640と面一であってよいプレナムカバー636は、第1のグレージング層602の下にあり、第1のグレージング層602から離れている。図示されるように、プレナムカバー636は1つまたは複数の光電池を備えてもよい。入口626は、流入する熱吸収流体624を均等に分割し、第1の流体経路と第2の流体経路との間に向けるように構成されてもよい。入口626は、熱吸収流体をプレナムカバー636の下にあるプレナムに流入させ、次いで各流路に沿って分割されるときにプレナムカバー636の上を流れさせるようにさらに構成されてもよい。このような構成により、熱吸収流体624は、プレナムカバー636の下および上から、ならびにプレナムカバー636の一部である1つまたは複数のPVパネルのいずれかから熱を収集することができる。
【0051】
図7に示すように、太陽熱ユニット700は、太陽熱ユニット600と構造および流れが類似している。太陽熱ユニット700は、長さLを有し、両方の流体流路の上部全体に延びる第1のグレージング層702を有する。本実施形態では、第1の間隙層704および第2の間隙層706それぞれの第1の端部は、プレナムカバーとして機能してもよい。さらに、第1の間隙層704および第2の間隙層706はそれぞれ、1つまたは複数のPVパネルを備えてもよい。本実施形態では、備えることができるPVパネルの面積は、他の図示された実施形態のPVパネルの面積よりも大きい。熱吸収流体708は、プレナムカバーとして機能する第1の間隙層704および第2の間隙層706それぞれの一部の下にある入口710を通って、太陽熱ユニット700に流入することができる。次いで、熱吸収流体は分かれて、流体流路それぞれに沿って流れ、第1の間隙層704および第2の間隙層706のPVパネルの上部から、次いで第1の間隙層704および第2の間隙層706のPVパネルの底部から熱を収集した後、第1の多孔質光吸収材料層712および第2の多孔質光吸収材料層714を通って出口716へと流れてもよい。太陽熱ユニット700では、プレナムカバーとして機能する第1の間隙層704および第2の間隙層706の厚さができるだけ実用的であるように低減され、第1の多孔質光吸収材料層712および第2の多孔質光吸収材料層714の厚さは増大されることが有利であり得る。
【0052】
図12~
図13は、本技術の太陽熱ユニット1000の第5の実施形態を示す。太陽熱ユニット1000は、2つの流体流路、すなわち、右側に第1の流体流路、左側に第2の流体流路を有する分流設計を有する。第2の流体流路は、第1の流体流路と同じ構成部品のセットを有していてもよく、第1の流体流路と左右対称であってもよいと理解すべきである。この設計の流路は、太陽熱ユニット100の流路と比較すると変更されており、まず熱吸収流体がユニットの外縁部、次いで第1のグレージング層の底部表面に沿ってユニットの中心へと流れる。
【0053】
図示される太陽熱ユニット1000は、第1の流体流路2000および第2の流体流路2002の両方の全体に延びる第1のグレージング層1002を備える。第1のグレージング層1002は外側表面1004および内側表面1006を有する。第1のグレージング層1002の外側表面1004は、周囲空気に曝露されていてもよい。
【0054】
太陽熱ユニット1000の第1の流体流路2000は、第1のグレージング層1002の下にあり、第1のグレージング層1002から離れている第1の多孔質光吸収材料層1008を有する。第1の多孔質光吸収材料層1008は、上部表面1010、厚さ1012および底部表面1014を有する。
【0055】
太陽熱ユニット1000の第1の流体流路2000はまた、第1のグレージング層1002と第1の多孔質光吸収材料層1008との間に第1の間隙層1016を有し、第1の間隙層1016は上部表面1018および底部表面1020を有する。第1の間隙層1016の上部表面1018は、第1のグレージング層1002の内側表面1006の下にあり、内側表面1006から離れており、第1の間隙層1016の底部表面1020は、第1の多孔質光吸収材料層1008の上部表面1010の上にあり、上部表面1010から離れている。第1の間隙層は、PVパネル1022および第2のグレージング層1024を備えてもよい。
【0056】
太陽熱ユニット1000の第2の流体流路2002は、第1のグレージング層1002の下にあり、第1のグレージング層1002から離れている第2の多孔質光吸収材料層1044を有する。第2の多孔質光吸収材料層1044は、上部表面1046、厚さ1048および底部表面1050を有する。
【0057】
太陽熱ユニット1000の第2の流体流路2002はさらに、第1のグレージング層1002と第2の多孔質光吸収材料層1044との間に第2の間隙層1052を有し、第2の間隙層1052は上部表面1054および底部表面1056を有する。第2の間隙層1052の上部表面1054は、第1のグレージング層1002の内側表面1006の下にあり、内側表面1006から離れており、第2の間隙層1052の底部表面1056は、第2の多孔質光吸収材料層1044の上部表面1046の上にあり、上部表面1046から離れている。第2の間隙層1052は、PVパネル1058および第3のグレージング層1060を備えてもよい。加えて、第1の間隙層1016および第2の間隙層1052は、第1および第2の流路の熱吸収流体が通過できる第1の移行部1062を設けるように離間されていてもよい。
【0058】
太陽熱ユニット1000はまた、内側表面1028を有する入口プレナム1026を備える。入口プレナムは、熱吸収流体1034が通って太陽熱ユニット1000に流入する入口1030と、熱吸収流体1034が太陽熱ユニット1000から出る出口1032とを有する。入口1030を含む太陽熱ユニットは、熱吸収流体の最初の半分が第1の流体流路2000に沿って流れ、熱吸収流体の残りの半分は第2の流体流路2002に沿って流れるように、熱吸収流体を均等に分割するように構成されてもよい。流路間で均等に分配して流れのバランスをとることにより、第1のグレージング層で起こり得るホットスポットを低減または排除することができ、これは第1のグレージング層による熱損失を低減させ、効率を改善できる。
【0059】
太陽熱ユニット1000は、入口プレナム1026と第1の多孔質光吸収材料層1008との間に断熱層1036をさらに備える。断熱層は、上部表面1038および底部表面1040を有する。
【0060】
太陽熱ユニット1000は、流体流路の少なくとも一部と、入口プレナム1026をはじめとする流体流路を形成する構成部品とを包囲し、取り囲むことができる保護ハウジング1042を備えてもよい。
【0061】
熱吸収流体1034は、入口1030を通って太陽熱ユニット1000に流入し、第1の流体流路および第2の流体流路に沿って流れるように分かれる。
【0062】
図13に示すように、第1の流体流路2000は、入口1030から入口プレナム1026の内側表面1028と断熱層1036の底部表面1040との間を、右へ流れる。次に、第1の流体流路2000は、第1のグレージング層1002の内側表面1006に沿って流れる。熱吸収流体は、第1のグレージング層1002の内側表面1006に沿って、またその構成部品であるPVパネルを含む、第1の間隙層1016の上部表面1018に沿って熱を吸収する。したがって、第1のグレージング層1002の内側表面1006に沿って流れた後の熱吸収流体の温度は、入口1030における熱吸収流体の温度よりも高い。
【0063】
次に、第1の流体流路2000は、離間されている第1の間隙層1016と第2の間隙層1052との間の空間として示される第1の移行部1062を通って流れる。第1の移行部1062において、またその中で、流れが分かれて2つの流体流路に沿って進む前に、第1の流路の熱吸収流体は第2の流路の熱吸収流体と混ざり合う場合がある。第1の移行部1062は、第1の流路と第2の流路とを接合し、次いで、熱吸収流体を2つの流体流路間で均等に分割するように、第1の流路と第2の流路とに分かれさせるように構成されてもよい。
【0064】
次に、第1の流体流路2000は、第1の間隙層の底部表面および第1の多孔質光吸収材料層1008の上部表面に沿って流れ、次に、第1の多孔質光吸収材料層1008の厚さ1012を通って出口1032へと流れる。第1の流体流路2000に沿って流れる熱吸収流体1034は、その構成部品であるPVパネルを含む、第1の間隙層の底部表面と、第1の多孔質光吸収材料層1008の上部表面に沿って熱を吸収する。第1の流体流路2000に沿って流れる熱吸収流体は、第1の多孔質光吸収材料層1008の厚さ内からも熱を吸収する。したがって、第1の多孔質光吸収材料層1008を通って流れた後の熱吸収流体の温度は、入口1030における熱吸収流体1034の温度よりも高い可能性がある。
【0065】
第2の流体流路2002は、入口1030から入口プレナム1026の内側表面1028と断熱層1036の底部表面1040との間を、左へ流れる。次に、第2の流体流路2002は、第1のグレージング層1002の内側表面1006に沿って流れる。熱吸収流体は、第1のグレージング層1002の内側表面1006に沿って、また第2の間隙層1052の上部表面1054に沿って熱を吸収する。したがって、第1のグレージング層1002の内側表面1006に沿って流れた後の熱吸収流体の温度は、入口1030における熱吸収流体の温度よりも高い。
【0066】
次に、第2の流体流路2002は、離間されている第1の間隙層1016と第2の間隙層1052との間の第1の移行部1062を通って流れる。第1の移行部1062において、またその中で、流れが分かれて2つの流体流路に沿って進む前に、第2の流路の熱吸収流体は第1の流路の熱吸収流体と混ざり合う場合がある。
【0067】
次に、第2の流体流路2002は、第2の間隙層1052の底部表面1056および第2の多孔質光吸収材料層1044の上部表面1046に沿って流れ、次に、第1の多孔質光吸収材料層1044の厚さ1048を通って出口1032へと流れる。第2の流体流路2002に沿って流れる熱吸収流体1034は、第2の間隙層1052の底部表面1056と、第2の多孔質光吸収材料層1044の上部表面1046とに沿って熱を吸収する。第2の流体流路2002に沿って流れる熱吸収流体は、第2の多孔質光吸収材料層1044の厚さ1048内からも熱を吸収する。したがって、第2の多孔質光吸収材料層1044を通って流れた後の熱吸収流体の温度は、入口1030における熱吸収流体1034の温度よりも高い可能性がある。
【0068】
上述したように、熱吸収流体1034の温度勾配は、熱吸収流体が第1の流体流路2000または第2の流体流路のいずれかに沿って入口1030から出口1032に流れるにつれて増大し得るため、出口1032における熱吸収流体の温度は、入口1030における熱吸収流体1034の温度より高い可能性がある。
材料
上記の
図1~
図5に関連して説明した太陽熱ユニットの特定の実施形態は、熱吸収流体として空気、具体的には周囲空気を使用する。周囲空気は、通常、酸素および窒素を含む気体成分の混合物を含有する。他の実施形態では、気体状または液体状のいずれかであってよい他の熱吸収流体を使用することができる。他の熱吸収流体のいくつかの非限定的な例としては、水、ヘリウム、アルゴン、水、蒸気、およびこれらの成分の互いのまたは他の成分との混合物が挙げられる。
【0069】
本技術の太陽熱ユニットで使用するためのグレージング層は、太陽光が、グレージング層を通って太陽熱ユニット内へ、それから多孔質光吸収層へと透過するように構成された透明層である。グレージング層は、例えば、ガラス、アクリル、FEP、ポリマー、多結晶性材料、前述のもののいずれかの誘導体、または前述のもののいずれかの組み合わせを含む、任意の適切な材料から製造することができる。ガラスを使用する場合、ガラスはソーダライム、無鉄または低鉄ガラスであってもよい。グレージング層の赤外線(IR)不透過度は、空気が流れていない典型的な太陽熱ユニットと比較して、空気または他の熱吸収流体が太陽熱ユニットを流れる本技術の太陽熱ユニットでは重要ではない。グレージング層はまた、グレージングを通して透過を促進し、および/または放射損失を低減するように、表面処理またはコーティングされてもよい。
【0070】
本技術の太陽熱ユニットに使用するための多孔質熱吸収層は、熱を吸収し、例えば金属、ミネラルウール、および熱的に安定なポリマーが挙げられる、熱吸収流体が通って流れるように構成された任意の適切な材料で製造することができる。いくつかの実施形態では、多孔質熱吸収層は黒色材料で製造されていてもよく、またはその上部表面に黒色コーティングもしくは選択的フィルムが適用されてもよい。本技術の多孔質熱吸収層は、複数の下層を備えてもよく、この場合、各下層は、多孔質熱吸収層全体によって吸収される熱のある割合を捕捉する。多孔質熱吸収層の各下層の形態係数は、上部表面から底部表面までの厚さを通して各層によって捕捉された熱の割合に直接影響を及ぼす。多孔質熱吸収層が所望の温度に達するのに必要な時間を短縮するために、実現可能な限り小さくてもよい最適化された熱質量を有するように多孔質熱吸収層を構成することが望ましい場合がある。多孔質熱吸収層は、
図8に示すような非線形温度プロファイルを有するように構成することも望ましい場合があり、太陽熱ユニットの動作中の任意の所定の時間における温度は、上部表面および最初の層においては低く、下層において底部表面の近くまたは底部表面では最大に増加する。
【0071】
本技術の太陽熱ユニットに使用するための断熱層は、太陽熱ユニットからの放射熱の損失を低減するように機能する任意の適切な材料で製造することができる。
【0072】
本技術の太陽熱ユニットに使用するためのハウジングは、例えば亜鉛メッキ鋼を含む任意の適切な材料で製造することができる。
熱伝達および吸収
計算シミュレーションツールは、太陽熱ユニットの熱伝達を説明する完全な連立方程式を解くために開発された。方程式は、解が収束するまで反復的にシステム内の各構成部品について同時に解かれる。構成部品は、ソーラーユニット内の材料のあるセクション、またはキャリア流体のあるセクションであり得る。
【0073】
一般に、日射に対する熱伝達は、任意の所与の構成部品の吸収率に入射日射を掛けたものに等しい。構成部品との熱伝達は、別の構成部品、キャリア流体、または周囲の表面および/もしくは空との熱伝達であってもよい。太陽熱ユニット100のような本技術の太陽熱ユニットの動作中、熱は、4段階で熱吸収流体に伝達してもよい。(1)流体経路の第1の部分118、160、518におけるグレージング層および任意の間隙層からの強制内部対流、(2)流体経路の第2の部分140、164、522における間隙層および多孔質熱吸収層の上部表面からの強制内部対流、(3)流体経路の第3の部分142、166、524における多孔質吸収層からの多孔質流れ対流、ならびに(4)流体経路の第4の部分144、168、526における多孔質熱吸収層の底部表面および断熱部からの強制内部対流。
【0074】
流体経路の第1、第2および第4の部分において、強制対流下の熱吸収流体への熱伝達は、2枚の平板間の強制対流のための方程式によって調節してもよい。
【0075】
【0076】
式(1)中、Qは、伝達された電力(W)である。Nuは無次元ヌッセルト数(平行板の場合約8)である。kの値は熱吸収流体の熱伝導率(W/(mK))である。Aは、第1のグレージング層102および第1の間隙層124、第2のグレージング層146および第2の間隙層170、グレージング層502および間隙層528または多孔質熱吸収層の底部表面および断熱層の底部のような、流れが移動する各板の面積(m2)である。TFは熱吸収流体(C)の温度である。TMは材料の温度である。分母thは、2枚の板間の厚さである。
【0077】
流体経路の第3の部分142、166、524において、熱吸収流体への熱伝達は、以下によって調節してもよい。
【0078】
【0079】
式(2)中、ここでNuPorousは多孔質材料では約~100であり、AEffは材料の有効表面積(典型的には材料の体積の数百倍)であり、thは吸収体の厚さである。
【0080】
個々の太陽熱構成部品間の熱伝達は、対流または放射のいずれかによって生じ得る。放射は以下によって調節してもよい。
【0081】
【0082】
式中、Qradは放射電力であり、T1およびT2は2つの連通している表面の温度であり、σはシュテファン-ボルツマン定数であり、ε1およびε2は2つの表面の透過率(emissitivity)である。この方程式は、孔を通っていくらかの放射線を透過する多孔質材料を説明するための形態係数乗数を含むことができ、したがって、ある構成部品が、その構成部品を「透視し」て、別の構成部品からのさらなる放射を拾うことができる。
【0083】
各構成部品における太陽束からの熱は、以下によって調節してもよい。
【0084】
【0085】
ここで、αは材料の吸収率であり、Fはその材料に入射する太陽束(W/m2、内部構成部品が全太陽束に上記の構成部品の透過率を乗じたものに等しい太陽束を受けることを考慮する)である。
【0086】
システムがどのように機能するかを決定する際に、本技術の太陽熱ユニットの放射熱および対流熱の損失も考慮に入れてもよい。周囲への放射熱伝達は、構成部品間の放射伝達と同じ方程式を使用してもよい。対流熱伝達は、以下によって調節してもよい。
【0087】
【0088】
式(5)中、QAmb.conv.は対流熱損失であり、Windvelocityは、太陽熱ユニットの直近の風速であり、Tsurfaceは、太陽熱ユニットの関連する表面の温度であり、Tambientは、太陽熱ユニットの直近の周囲温度である。
【0089】
反復解は、各構成部品が周囲温度に等しい温度で開始すると仮定することによって開始する。次に、温度は次のように進む。
【0090】
【0091】
式(6)中、Tは構成部品の温度であり、tは時間であり、mは構成部品の質量であり、Cpは構成部品の比熱であり、Qcomponentは各構成部品の熱伝達である。時間ステップは、Tの変化がTの大きさと比較して小さくなるように選択される。次に、ToldがTnewに置き換えられ、温度は次のステップへと時間的に進められる。このプロセスは、各ステップの温度変化が指定された「停止」基準を下回るまで繰り返され、その時点で連立方程式は収束していると考えられ、最終温度セットが解になる。
【0092】
システムの効率は、以下のように、キャリア流体に伝達される熱エネルギーを、システムの全日射で除したものとして定義してもよい。
【0093】
【0094】
式(7)中、
はキャリア流体の質量流量である。太陽束から吸収されるがキャリア流体に伝達されない残りのエネルギーは、外部表面(典型的にはガラスの上部ペインおよび断熱材の外部)から周囲への放射熱および対流熱の伝達によって環境に伝達される。
【0095】
上記の連立方程式は、ほぼすべての太陽熱ユニットの設計における熱伝達を説明する。本明細書に記載された実施形態は、2つの理由で従来の太陽熱ユニット(平板ユニットなど)より高い効率を生み出すことができる。理由の1つは、多孔質材料とキャリア流体との間の対流熱伝達が、平板収集における対流熱伝達よりも著しく速くなり得ることである。2つ目の理由は、多孔質設計における流路が、(周囲への大部分の損失が生じる)ガラスの上部ペインから熱を運搬し、太陽熱中のより高温の成分が、熱がよりゆっくりと周囲に逃げるより内部の場所にあることを確実にするように通ることができるというものである。
流体流れおよび圧力低下
本技術の太陽熱ユニットの効率および電力使用は、各流体経路を通る熱吸収流体の流れと、ユニット内の任意の流体経路全体の圧力低下とによって影響を受ける可能性がある。
【0096】
圧力低下を最小限にすることにより、熱吸収流体が所望の流量でシステムを通るように圧送するのに必要な電力量を低減することができる。
図1~
図4に示す実施形態のような分流設計を使用することによって、ユニット全体の圧力低下のバランスをとり、単一の流体経路のみを有する太陽熱ユニットと比較して、圧力低下を半減させることができる。
【0097】
空気流の均一性は、圧力低下を制御するために太陽熱ユニットの構成部品間の空間の慎重な許容誤差によって制御してもよい。本明細書に記載された流体経路に沿った流れを調節することができる3つの方程式がある。システムの設計は、下記方程式によって調節してもよい。
グレージング間の距離を設定するためのクエットの流れ(平行平板間の定常流):
【0098】
【0099】
多孔質熱吸収層の上下の距離、多孔質熱吸収層からグレージングまたは間隙層までの距離、および多孔質熱吸収層から断熱層の底部までの距離それぞれについての改良されたクエットの流れ(多孔質熱吸収層から出入りする流れを考慮する)。
【0100】
【0101】
多孔質熱吸収層の所望の厚さを決定するための、多孔質熱吸収層を通るダルシー流れ。
【0102】
【0103】
流体運動量に対するニュートンの第二法則を使用して、所定の流体経路に沿った、入口、出口、および移行部(流れが180度回転するため倍にしなければならない)で流れを90度回転させるのに必要な圧力低下を決定してもよい。
【0104】
【0105】
これらの方程式において、ΔPは圧力低下(Pa)であり、μは流体の粘度(Pa*s)であり、Lは断面の長さ(m)であり、Qは流量(m3/s)であり、hはギャップの
厚さ(m、変動する場合、最初および最後)であり、wは断面の幅(m)であり、tは多孔質領域の厚さ(m)であり、kは多孔質熱吸収層の拡散係数(m2/s)であり、ρは流体の密度(kg/m3)であり、υは流体の速度(m/s)であり、Aは流体が通過する面積である。
【0106】
移行部の面積は、移行部における大きな圧力低下を防ぐために、グレージングと間隙層との間の断面積と少なくとも同じ大きさの面積でなければならない。
【実施例0107】
太陽熱ユニット100および断熱されたプレナムカバーに関して上述の流れを有する本技術の太陽熱ユニットは、以下の材料およびパラメータを使用して製造された。
【0108】
このシステムは、グレージング層および間隙層のそれぞれが無鉄ガラスで作られた分流設計で構成された。断熱材はポリイソシアヌレート断熱材(R値6)から構成された。ハウジングは0.6mm厚の亜鉛メッキ鋼であった。多孔質熱吸収層はそれぞれ、反射損失を最小限にするために黒色に塗られた1インチ厚の鉱滓綿で作製された。プレナムカバーはポリイソシアヌレート断熱材であった。総吸収面積は、約2平方メートルであった。各流路に対するグレージング層と間隙層との間隔は1/8インチに設定した。各間隙層は36.5インチ長および47.5インチ幅の寸法を有していたのに対し、各グレージング層は38.5インチ長および47.5インチ幅であった。グレージング層はそれぞれ、各辺において約0.5インチだけ支持され、各移行部のギャップは約1.0インチであった。各間隙層と各多孔質熱吸収層との間の距離、また各多孔質熱吸収層と断熱材の底部との間の距離は、約1.25インチであった。太陽熱ユニットは、公知の体積流量で計器を通して送風器に強制空気を供給することによって較正された。得られたガラスのペイン全体の圧力を測定した。すると、この圧力はDCファンから供給される流れと一致した。
【0109】
晴れて始まり、最後の1時間曇った日に約5時間にわたって太陽熱ユニットを試験した。毎分立方フィート(CFM)で測定された流量は、時間単位で変化した。具体的には、最初の1時間の流量を40CFMに設定し、2時間目の流量を50CFMに設定した。入口の温度でもある周囲温度を毎時測定した。結果を
図9に示す。システムの効率は、経時的な日射に基づいて決定し、以下の表1に示す。
【0110】
このシステムは、グレージング層および間隙層のそれぞれが無鉄ガラスで作られた分流設計で構成された。断熱材はポリイソシアヌレート断熱材(R値6)から構成された。ハウジングは0.6mm厚の亜鉛メッキ鋼であった。多孔質熱吸収層はそれぞれ、反射損失を最小限にするために黒色に塗られた1インチ厚の鉱滓綿で作製された。プレナムカバーはPVパネルを備えていた。PVパネルの寸法は46.5インチ幅および17.4インチ長であった。各グレージング層と各間隙層との間隔は約1/8インチに設定した。各間隙層は36.5インチ長および47.5インチ幅の寸法を有していたのに対し、各グレージング層は38.5インチ長および47.5インチ幅であった。グレージング層はそれぞれ、各辺において約0.5インチだけ支持され、各移行部のギャップは約1.0インチであった。総吸収面積(PVパネルの面積は含まない)は、約2平方メートルであった。各間隙層と各多孔質熱吸収層との間の距離、また各多孔質熱吸収層と断熱材の底部との間の距離は、約1.25インチであった。太陽熱ユニットは、公知の体積流量で計器を通して送風器に強制空気を供給することによって較正された。得られたガラスのペイン全体の圧力を測定した。すると、この圧力はDCファンから供給される流れと一致した。
太陽熱ユニットをシザージャッキシステムに設置し、太陽熱ユニットの向きを0°から45°までの範囲の角度で回転させて変えた。例えば、太陽熱ユニットを年間の異なる時間帯または異なる緯度の地理的地域で使用するときなどに、太陽熱ユニットが有利になる角度を調整する機能は、太陽熱ユニットを可能な限り太陽に直接向けることを可能にする。