(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022103437
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
H04N 21/4367 20110101AFI20220630BHJP
H04N 21/44 20110101ALI20220630BHJP
【FI】
H04N21/4367
H04N21/44
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083784
(22)【出願日】2022-05-23
(62)【分割の表示】P 2021202422の分割
【原出願日】2005-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】甲 展明
(72)【発明者】
【氏名】柴田 晃
(72)【発明者】
【氏名】水橋 嘉章
(57)【要約】
【課題】
圧縮映像信号と非圧縮映像信号を一つのインターフェースで同時伝送により、TVでの
非圧縮映像信号のリアルタイム表示と、圧縮映像信号のタイムシフト表示を可能とする。
【解決手段】
STB11は、非圧縮映像信号の帰線期間に圧縮映像信号をパケット化して多重伝送す
ることにより、両映像信号の同時伝送を行う。非圧縮映像信号はTV12側でリアルタイ
ム表示され、圧縮映像信号はTV内に持つ蓄積装置128に記録し、ユーザの所望する時
間にそれを読み出して復号化することにより、タイムシフト視聴できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置であって、
外部映像信号源からのデジタル映像信号を受信可能な受信部と、
デジタル放送信号を受信するチューナ部と、
外部機器に対し圧縮されたデジタル映像信号を出力するインターフェース部と、
表示部と、を備え、
前記表示装置は、少なくとも第1の表示モード、第2の表示モード及び第3の表示モードを有し、
前記第1の表示モードにおいて、前記受信部は、外部映像信号源からの第1の暗号化方式によって暗号化された第1のデジタル映像信号を受信し、該受信した前記第1のデジタル映像信号の前記第1の暗号化方式による暗号を解読処理し、前記表示部は、該解読処理された前記第1のデジタル映像信号に基づく映像を表示し、
前記第2の表示モードにおいて、前記受信部は、外部映像信号源からの第2の暗号化方式によって暗号化された第2のデジタル映像信号を受信し、該受信した前記第2のデジタル映像信号の前記第2の暗号化方式による暗号を解読処理し、前記表示部は、該解読処理された前記第2のデジタル映像信号に基づく映像を表示し、
前記第3の表示モードにおいて、前記表示部は、前記チューナ部で受信されたデジタル放送信号に基づく映像を表示する、
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記第1のデジタル映像信号は非圧縮のデジタル映像信号であり、前記第2のデジタル映像信号は圧縮されたデジタル映像信号であることを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記第1の表示モード、あるいは、前記第2の表示モードを有することを示す情報を、外部映像信号源に送信することを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の表示装置であって、
前記受信部は、双方向通信路を介して外部映像信号源と通信する通信回路を含み、該通信回路で前記情報を外部映像信号源に送信することを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記第1の暗号化方式と前記第2の暗号化方式は、ユーザによって選択することができることを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記受信部は、前記第1のデジタル映像信号と前記第2のデジタル映像信号を、外部映像信号源からHDMIケーブルを介して受信することを特徴とする表示装置。
【請求項7】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記第1の暗号化方式と前記第2の暗号化方式はグレードが異なることを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に係り、特に、デジタル映像信号の伝送方法と、例えばデジタル放送信号を受信するためのSTB(Set top box)や、テレビジョン表示装置などの映像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地上波デジタル放送によるHD(High Definition)放送の普及とHD放送を録画できる
Blu-ray(登録商標)レコーダの発売により、高画質なHD映像を画質劣化無くT
Vへ伝送できるデジタル映像インターフェースへのニーズが高まってきている。非圧縮映
像信号伝送のインターフェースとしては、DDWGが策定したDVI(Digital Visual I
nterface)やHDMI,LLCがライセンスするHDMI(High Definition Multimedia
Interface、登録商標)がある。また、MPEG等で圧縮された映像信号伝送のインター
フェースとしては、IEEE1394やLAN等がある。非圧縮映像信号伝送のインター
フェースをテレビジョン機器に適用する従来技術として、例えば非特許文献1に記載され
ている。これは、パケット化されていない非圧縮映像信号に映像のフォーマット情報をパ
ケット化して多重伝送することを開示する。またHDMIでは音声データもパケット化し
て伝送している。圧縮映像信号伝送のインターフェースをテレビジョン機器に適用する従
来技術としては、例えば非特許文献2に記載されている。また、これらに使用される著作
権保護技術の例として、非圧縮映像についてはHDCP(High-bandwidth Digital Conte
nt Protection System)が、圧縮映像についてはDTCP(Digital Transmission Conte
nt Protection)がある。
【0003】
また、非圧縮映像信号と圧縮映像信号をそれぞれパケット化して同時にシリアル伝送す
るSDDI(Serial Digital Data Interface)方式が、例えば特許文献1に記載されて
いる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】規格書「CEA-861-B」米国CEA 2002年
【非特許文献2】規格書「CEA-775-B」米国CEA 2004年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
今後、信号ソースの種類が増加することが予想され、TVは非圧縮映像信号と圧縮映像
信号の入力インターフェースが要求される場合が増えてくる。しかしながら、コネクタの
異なる2種のインターフェースをテレビジョン機器(テレビジョン受信機等)に設ける場
合は、コネクタスペースの確保や2種類のケーブルの用意が必要である。特許文献1は、
非圧縮映像信号と圧縮映像信号とを同時に伝送する方式を開示するが、これは放送局に適
した伝送方式である。すなわち特許文献1に記載の伝送方式は、非圧縮映像信号がパケッ
ト化されているため、これを一般家庭向けのテレビジョン機器に適用することは困難であ
る。
【0007】
また取り扱うインターフェースの種類に応じて、使用される著作権保護技術の種類も増
加する。このような場合でも、適切に著作権保護技術に対応することが必要となる。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みて為されたものであり、その目的は、非圧縮映像信号と圧
縮映像信号の両方を伝送可能なインターフェースに関する技術を提供することにある。ま
た本発明は、好適に著作権の保護が可能な技術を提供すること別の目的とするものである
。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、表示装置であって、外部映像信号源からのデジタル映像信号を受信可能な受信部と、デジタル放送信号を受信するチューナ部と、外部機器に対し圧縮されたデジタル映像信号を出力するインターフェース部と、表示部と、を備え、前記表示装置は、少なくとも第1の表示モード、第2の表示モード及び第3の表示モードを有し、前記第1の表示モードにおいて、前記受信部は、外部映像信号源からの第1の暗号化方式によって暗号化された第1のデジタル映像信号を受信し、該受信した前記第1のデジタル映像信号の前記第1の暗号化方式による暗号を解読処理し、前記表示部は、該解読処理された前記第1のデジタル映像信号に基づく映像を表示し、前記第2の表示モードにおいて、前記受信部は、外部映像信号源からの第2の暗号化方式によって暗号化された第2のデジタル映像信号を受信し、該受信した前記第2のデジタル映像信号の前記第2の暗号化方式による暗号を解読処理し、前記表示部は、該解読処理された前記第2のデジタル映像信号に基づく映像を表示し、前記第3の表示モードにおいて、前記表示部は、前記チューナ部で受信されたデジタル放送信号に基づく映像を表示する、ことを特徴とする。このような構成によれば、例えばDVIやHDMI等の規格で伝送方式が定められた非圧縮映像信号、及び例えばIEEE1394等の規格で伝送方式が定められた圧縮映像信号の両方を、1種類のインターフェースで伝送することが可能となる。よって、2つのコネクタスペースの確保や2種類のケーブルの用意が必要なくなり、コストダウンが可能となる。
【0010】
また本発明は、第1の暗号化方式と前記第2の暗号化方式は、ユーザによって選択することができることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、非圧縮映像信号と圧縮映像信号に共通なインターフェースを提供でき
る。また、好適な著作権の保護が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る映像処理装置の第1実施例を示すブロック図
【
図2】映像処理装置の送信部と受信部の一構成例を示すブロック図
【
図4】本発明に係る映像処理装置の第2実施例を示すブロック図
【
図5】本発明に係る映像処理装置の第3実施例を示すブロック図
【
図6】第3実施例における映像処理装置の映像信号の流れを示すブロック図
【
図7】第3実施例における出力回路と入力回路の一構成例を示す図
【
図8】映像処理装置の出力回路と入力回路の基本的な構成例を示す図
【
図9】本発明に係る映像処理装置の第4実施例を示すブロック図
【
図10】第4実施例における出力回路と入力回路の一構成例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の最良の実施形態について、図面を参照しつつ以下に説明する。本発明は、非圧縮映像信号と圧縮映像信号とを共通の(同一の)インターフェースで同時に伝送するものである。そしてこのような伝送を、普及し始めたDVIやHDMIなどの非圧縮デジタルインターフェースとの相互接続性を維持しつつ実現したものである。尚、いかに説明される実施例において、映像処理装置は、例えばデジタルチューナを内蔵するSTBや、テレビジョン表示装置等(以下、「TV」と称す)を含むものである。勿論、以下の実施例は、これらの機器以外にも適用できる。
【実施例0014】
図1は、本発明に係る第1実施例のブロック図であり、映像処理装置の一例であるST
B(Set Top Box)11と、映像処理装置の他の例であるTV12、及び外出先で映像を
視聴可能なモバイルビューワ13を含んで構成される。以下、それらの動作例を説明する
。
【0015】
STB11は、デジタル放送やケーブルなどから供給されるRF信号101を受け、デ
ジタルチューナ111で圧縮映像のトランスポート・ストリーム(以下TSと略す)を復
調する。復調されたTSはTS/PS変換部112でプログラム・ストリーム(以下PS
と略す)を抽出し、復号部113で非圧縮映像信号を得る。この非圧縮映像信号とOSD
部115で生成されたOSD画面とを映像合成部114で合成する。この非圧縮映像信号
は、パケット化されずに送信部117から映像信号インターフェース103を経由してT
V11の受信部127に伝送される。受信部127で受信された非圧縮映像信号は、映像
合成部124を介して表示部129へ送られる。表示部129は、この非圧縮映像信号に
基づいてリアルタイムな映像画面を表示し、ユーザへ提供する。制御部116と126は
、それぞれ送信部117と受信部127の多重化や通信状況を制御するだけでなく、TV
12の表示能力(映像の表示に関する特性や仕様)をSTB11へ伝え、STB11から
送出する映像信号をTV12の表示特性に合わせる動作を行う。また、相互にリモコン制
御コードなどをやりとりしてSTB11とTV12との連携動作が可能になるように、双
方向通信制御もできる。
【0016】
一方、デジタルチューナ111のTS出力とOSD部115のOSD出力は送信部11
7へも送られる。送信部117は、TSとOSDのパケット・データを非圧縮映像信号に
多重化して多重化映像信号を生成し、インターフェース103を経由して受信部127に
伝送する。受信部127は、受信した多重化映像信号から非圧縮映像信号とTS及びOS
Dとを分離する。受信部127で分離もしくは抽出されたTS及びOSDは、蓄積部12
8に蓄積される。この蓄積部128は、例えばハードディスクで構成される。フラッシュ
メモリなどの半導体メモリで構成してもよい。これによりTSに基づく映像の録画が行わ
れる。録画されたTSは、ユーザの指示により蓄積部128より読み出され、TS/PS
変換部122でPSを抽出し、復号部123で非圧縮映像信号を得る。同時に、必要に応
じてOSDデータも蓄積部128から読み出され、OSD部125で非圧縮のOSD映像
信号を形成する。このOSD映像信号は、映像合成部124において復号部123から出
力された非圧縮映像信号と映像合成される。録画映像とOSDが合成された非圧縮映像信
号は表示部129により表示され、ユーザが希望する時間帯で視聴(タイムシフト視聴)
することができる。
【0017】
尚、TV12がデジタルチューナ121を搭載していれば、STB11と同様にデジタ
ル放送などを受信して、そのTSを蓄積部128で録画してタイムシフト視聴できる。さ
らに、TS/PS変換部122と復号部123を通して得られた非圧縮映像信号と、ST
B11より送られてきた非圧縮映像信号とを映像合成部124で合成して表示部129で
2画面同時表示することもできる。デジタルチューナ111と121が異なるチャネルを
受信して2画面合成してもよい。また、地上波デジタルチューナで受信したチャネルの映
像と、ケーブルテレビチューナが受信したチャネルの映像とを2画面合成してもよい。S
TB11が、デジタルチューナ付TV12に内蔵されるデジタルチューナとは異なるデジ
タルチューナ111(すなわちTV12のデジタルチューナで受信できないチャネルを受
信可能なデジタルチューナ)を備えていれば、TV12が受信できないチャネルのリアル
タイム視聴やタイムシフト視聴が実現できる効果もある。また、STB11をTV12か
ら取り外した後も、STBで受信して蓄積部128に残っている映像を視聴できる効果も
ある。
【0018】
デジタルチューナ111が、複数のチャネルの同時受信ができるものであれば、送信部
117で多重化される圧縮映像信号と非圧縮映像信号とは、異なる番組であってもよいの
は明らかである。また、送信部117が多重する圧縮映像データはTSではなく、TS/
PS変換後のPSであってもよい。TSに比べてPSはデータ伝送量が少なくなる利点が
ある。
【0019】
蓄積部128に録画された圧縮映像信号は、符号変換部130でさらなる高圧縮化や伝
送形式などの符号変換が為された後、USBやIEEE1394などのインターフェース
部131、インターフェース104、及びインターフェース部132を通して、蓄積部1
38へ転送され得る。映像信号の転送後、モバイルビューワ14はインターフェース10
4から切り離され、任意の場所に持ち運びが可能となる。そしてモバイルビューワ14は
、ユーザの指示に応じて、蓄積部138に記憶された映像を復号部133で復号化して表
示部139で表示する。これにより、ユーザは、モバイルビューワ14を使用して任意の
場所で所望の映像を視聴することができる。
【0020】
図2は、送信部117と受信部127の一構成例を示すブロック図である。以下その動
作例を説明する。映像合成部114(
図1)からの非圧縮映像に対応する音声データ20
2、デジタルチューナ111(
図1)からのTS出力203、及びOSD部115(
図1
)のOSDデータ204は、それぞれ送信部117のパケット生成部211、212及び
213に入力される。パケット生成部211~213は、それぞれ入力された信号に基づ
いて、非圧縮映像信号に多重するために適したパケットを形成する。バッファ部214は
、パケット生成部211~213からのパケットを受け取って、パケット送出の優先順位
に従って並べかえ、非圧縮映像信号の帰線期間に合わせて順番に送出する。バッファ部2
14で並べかえたパケットは、ECC符号部215でエラー訂正用のコードが挿入される
。そして、インタリーブ部216でビット単位のインタリーブ処理が施されてバーストエ
ラーへの耐性が高められ、多重符号部217へ送られる。多重符号部217は、映像合成
部114(
図1)からの非圧縮映像信号出力201に、上記インタリーブ化されたパケッ
トを多重化する多重化部401と、非圧縮映像信号のためのコピー制御フラグを付与する
コピーフラグ付与部402と、映像信号を暗号化する暗号化処理部403と、そして伝送
用の符号化を行う伝送用符号化部404とを含む。多重符号部217の出力は、出力回路
218を経由して、多重化映像信号207として受信部127の入力回路228に送信さ
れる。
【0021】
入力回路228が受信した多重化映像信号は、多重復号部227へ送られる。多重復号
部227は、伝送用符号化を復号する伝送用復号部411と、映像信号の暗号化を解く暗
号解読部412と、コピーフラグを抽出するコピーフラグ抽出部413と、非圧縮映像信
号291と他のパケット・データを分離する分離部414とを含む。パケット・データは
、デ・インタリーブ回路226でインタリーブ処理されて元の信号に復元され、ECC復
号部225でエラー訂正が為された後に、バッファ部224に送信される。バッファ部2
24は、パケット・データを一旦保持してパケット復号部221~223にそれぞれ出力
する。パケット復号部221~223は、バッファ部224からのパケット・データを復
号し、非圧縮映像信号の音声データ292と、TS293、及びOSDデータ294を得
る。これらは
図1において、受信部127から蓄積部128へ送られるデータである。
【0022】
能力伝達部229は、TVの持つ表示能力(表示仕様及び/または表示特性)に関する
情報を、能力識別部219へ通信線208を介して伝える。能力識別部219は、上記表
示能力に関する情報に基づいて、TV12の表示能力を識別して識別結果205を出力す
る。識別結果205は、制御部116(
図1)へ送信される。そして制御部116は、接
続されたTV12に適した映像フォーマットを送出するようにSTB11内の映像処理ま
たは映像出力に関する要素を制御するとともに、TV12側の表示能力を確認した上で、
本実施例に係る多重化映像信号を送出する。このような構成によって、多重化映像信号を
入力可能な構成を備えていない(すなわち従来のインターフェースを持つTV)へは多重
映像信号を伝送せず、非圧縮映像信号のみを送出する。このため、従来のインターフェー
スを持つTVとの相互接続性が確保される。このようなTV12側の能力を伝達する構成
としては、例えば、VESAが規定するEDIDシステムを用いることが好ましい。本実
施例において、上記TVの表示能力に関する情報は、例えば表示部129の水平及び垂直
解像度、色再現範囲、ガンマ特性等を含む。更に、本実施例を有効に利用するためには、
上記TVの表示能力に関する情報として、上記以外に、例えば多重化映像信号の表示タイ
ミングを示す映像フォーマット、圧縮映像のビットレート、復号可能な符号化方式の一覧
、蓄積部128の蓄積容量、空き容量、最大録画速度などの能力を追加して送ると良い。
【0023】
能力伝達部229と能力識別部219は、上記の他、機器認証や暗号処理の能力確認に
も使われる。例えばDVIやHDMIでは、この暗号処理として、Digital Content Prot
ection, LLCがライセンスするHDCPがある。今後、コンテンツの多様化と共に、コン
テンツ又は国別に複数の暗号処理を管理することが必要になる可能性がある。このような
場合、本実施例において、映像信号の受信側に、複数種類の機器認証や暗号処理のための
要素を設け、送信側からの機器認証開始のプロトコルを参照してどの処理が適当かを判別
して選択するための自働判別・選択回路を設けてもよい。一方、送信側は、コンテンツの
種類や使用される国などを判別し、それに適した暗号処理を選択して切換える自働判別・
選択回路を設けてもよい。例えば、DVDのディスクに記録されているリージョンコード
を読み出し、そのリージョンコードで暗号処理を選択すればよい。また、テレビジョン放
送においては、その放送局を判別して暗号処理を選択しても良い。
【0024】
国や事業者の規制により、暗号処理の固定化が必要になる場合もある。このような場合
、専用の映像処理装置を新たに準備すると、開発コストが高くなり得る。よって、映像処
理装置に複数種類の暗号処理を実行可能な暗号処理部を複数設け、暗号の種類を判別し、
その判別結果に対応した暗号処理部を選択する判別・選択回路を設けてもよい。このとき
、判別・選択回路は、暗号の種類を自動的に判別し選択動作するようにしてもよい。また
、暗号処理の種類をユーザにより設定可能とするための設定回路を設けてもよい。また、
この設定回路によって、複数の暗号処理のうち一つを、出荷時において予め設定して固定
しておくようにしてもよい。この場合、この設定回路によって暗号処理の種類をユーザが
勝手に設定変更できないように、暗号処理の設定変更に係る手続(例えばSTB11やT
V12に対するコマンドまたはパスワードの入力等)をユーザに対し秘匿するようにして
おくとよい。出荷後において暗号化処理の設定を変更する場合は、特定の条件下(例えば
ユーザからの料金の課金)において、例えば放送及び/またはインターネット等から上記
設定変更に係る手続をダウンロード可能とするようにしてもよい。このようにして、秘匿
された上記設定変更に手続が特定の条件下においてユーザに開示され、ユーザによる暗号
処理の変更が有効となる。本例を実施するに際して、そのようなサービスを提供するよう
にしてもよい。更にまた、上記設定変更に係る手続をDVDなどの記憶メディアに記憶し
ておき、これを設定変更用DVDとしてユーザに配布するようにしてもよい。
【0025】
更にまた、各種の暗号処理が使用される場合に、暗号処理のグレードによって、解像度
や圧縮映像信号のビットレートなどに制限を設けて画質を変えることもできる。
【0026】
通信回路220と230は、通信路209を介して双方向通信を行い、
図1の制御部1
16と126との間で制御情報を送受信するものである。例えば、本実施例における双方
向通信として、例えばHDMIが規定するCECなどの双方向通信の構成を適用できる。
また、ECC復号部225で訂正できないエラーが発生した場合、TV12が本通信路2
09を通してSTBへ再送要求を送信し、STB11はその再送要求に応答してエラーを
生じた圧縮映像信号を再送するようにしてもよい。これにより、誤りの無い録画が可能と
なる。圧縮/非圧縮映像信号多重化信号207に含まれる圧縮映像信号パケットには、タ
イムスタンプ等の識別番号や記号を付与しておくことにより、エラーパケットの番号や記
号を再送要求とともにTV12がSTB11へ送信するようにしてもよい。これにより、
再送要求が発生した場合、STB11はエラーパケットの番号や記号を参照してエラーパ
ケットのみを再送できる。このため、STB11はエラーの無いパケットを再送する必要
が無いので、転送効率が高まる。
【0027】
前述したバッファ部214におけるパケット送出の処理、すなわち優先順位に従ったパ
ケット並べかえ処理について以下に説明する。非圧縮映像信号に多重化して送信されるパ
ケットの伝送容量には限界がある。最優先して送るべきパケットは、映像と同期してリア
ルタイムに再生が必要な、非圧縮映像信号の音声である。従って、この非圧縮映像信号の
音声パケットの優先順位を最も高くして、その配置を最優先して決定する。残った領域に
は、圧縮映像パケットとOSDパケットを配置する。圧縮映像パケットとOSDパケット
の優先順位は、任意に定められるが、OSDが非圧縮映像信号に関連する(またはその関
連性が高い)場合は、OSDパケットの優先順位を圧縮映像パケットよりも高くしてもよ
い。TV12における圧縮映像の利用の必要性が高い場合は、圧縮映像パケットの優先順
位をOSDパケットよりも高くしてもよい。
【0028】
圧縮映像を蓄積部128に送る場合は、該蓄積部128の最大録画速度を超えないよう
にパケットを配置することが必要である。又は、通信路209によってフロー制御を行い
、パケット送出量を制御してもよい。圧縮映像をTV12でほぼリアルタイムに再生する
場合は、圧縮映像の符号化速度に合わせたパケット送出量制御が必要となる。
【0029】
尚、非圧縮映像信号のフォーマットによっては、圧縮映像信号を多重化するためのパケ
ット伝送能力が不足する場合がある。この場合は非圧縮映像信号の画素クロックをn倍化
(nは2以上)、または非圧縮映像信号の帰線期間を広げたフォーマットを用いればよい
。このようにすれば、圧縮映像信号のパケット伝送能力を向上させることができる。
【0030】
図3は、圧縮映像のパケット構造の一例を示す図である。
図3に示されるように、TS
のパケットは、4バイトのヘッダと184バイトのアダプテーション(又はペイロード)
の合計188バイトで構成される。一方、非圧縮映像信号の隙間(例えば帰線期間)にT
Sを多重化するためには、パケットサイズが小さい方が良い。
図3では3バイトのヘッダ
と28バイトのペイロードでパケットを構成した場合を示している。TSパケット188
バイトを7個の圧縮映像パケットのペイロードに分割して伝送すると良い。
【0031】
ヘッダの構成の一例を以下に説明する。1バイト目は、圧縮映像や音声などのパケット
種別を表す。2バイト目と3バイト目の合計16ビットは、7分割されたTSパケットの
順番(3ビット)、TSパケット番号(11ビット)、及びコピー制御フラグ(2ビット
)に配分すると良い。TS自体にもタイムスタンプが入っており、これを流用することに
よってヘッダ内の上記TSパケット番号の11ビットを省略しても良いが、ヘッダ部に記
載しておいた方が使いやすい。このTSパケット番号を、パケットを識別するための識別
番号として用いて、前述した伝送エラー発生時の再送要求パケット指定を行う。
【0032】
例えば20MbpsでHD映像を伝送する場合、188バイトのTSパケットを1秒間
に10.6万個伝送することになる。伝送エラー発生時に送信側に再生要求を行う場合に
おいて、通信路209の速度が遅く(すなわち転送レートが低く)、エラー情報の伝送に
100mS必要とすると、少なくとも1万個のTSパケットを判別するTSパケット番号
が必要である。すなわち、TSパケット番号のために14ビットが必要であり、ヘッダ部
の11ビットでは不十分である。一方、図示したように、7番目の圧縮映像パケットのペ
イロードには8バイトの空きがある。従って、この空き領域のうち1バイトを、不足した
TSパケット番号の記載に用いてもよい。もちろん、必要に応じて2~3バイトを用いて
もよい。また、コピーフラグもヘッダでなくこの空き領域に記載してもよい。領域に余裕
がある場合は、コピー回数、伝送後タイムシフト視聴を許可する蓄積制限時間、及び/ま
たはCGMS-Dなども記載できる。さらに多くの情報記載が必要であれば,7個ではな
く8個の圧縮映像パケットをTSパケット1個に当ててもよい。