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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022103473
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】歯科インプラント収納容器
(51)【国際特許分類】
   A61C 8/00 20060101AFI20220701BHJP
【FI】
A61C8/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020218113
(22)【出願日】2020-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】390011143
【氏名又は名称】株式会社松風
(72)【発明者】
【氏名】江▲高▼ 恵一
(72)【発明者】
【氏名】堀 弘二
【テーマコード(参考)】
4C159
【Fターム(参考)】
4C159AA58
(57)【要約】
【課題】歯科用インプラント治療に用いられるインプラント体を収納する収納容器であって、埋入用インスツルメントをインプラント体に係合させる際にインプラント体が収納容器内で回転することを防止して容易に係合させることができ、インプラント体を傷付けることなくインプラント体の取り出しが簡便にできる収納容器を提供する。
【解決手段】歯科用インプラント体を収納する収納部を有する収納容器であって、少なくとも収納容器がインプラント体と接触する箇所は生体親和性材料で覆われていることを特徴とし、少なくとも収納容器の一部が弾性変形する弾性変形機構部を有し、弾性変形機構部が弾性変形するに伴って収納容器の一部がインプラント体と接触しない非接触位置または軽微接触位置からインプラント体の一部に押圧接触する押圧接触位置に移動自在であることを特徴とする収納容器。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科用インプラント体を収納する収納容器であって、
インプラント体を収納する収納部を備え、
インプラント体と接触する部分は生体親和性材料からなり、
少なくとも収納容器の一部が弾性変形する弾性変形機構部を有し、
前記弾性変形機構部が弾性変形するに伴い、外部から弾性変形機構部を介して、収納容器の一部がインプラント体の一部に押圧接触することのできることを特徴とするインプラント収納容器。
【請求項2】
インプラント埋入用インスツルメントを挿入するための開口部を有することを特徴とする請求項1に記載の収納容器。
【請求項3】
前記収納容器がカバーケース及び本体ケースを含み、カバーケースまたは本体ケースの少なくともいずれか一方に弾性変形機構部を有することを特徴とする請求項1に記載の収納容器。
【請求項4】
前記カバーケースと前記本体ケースはスライド機構部を介して接触し、前記カバーケースが閉位置から前記収納部が開口する開位置へ移動自在であることを特徴とする請求項3に記載の収納容器。
【請求項5】
前記カバーケースに少なくとも1つの突起と、前記本体ケースに少なくとも1つの窪み部を有し、
開位置においては前記突起が前記本体ケースに干渉し、
前記弾性変形機構部が弾性変形するに伴って、収納容器の一部がインプラント体と接触しない非接触位置に移動し、
閉位置においては前記突起が前記窪み部に係合することを特徴とする請求項3に記載の収納容器。
【請求項6】
前記生体親和性材料が純チタンまたはチタン合金またはジルコニアであることを特徴とする請求項1に記載の収納容器。
【請求項7】
前記本体ケースに第2の収納部を有し、前記カバーケースが前記開位置から第2の収納部が開口する第2の開位置へ移動自在であることを特徴とする請求項3に記載の収納容器。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科用インプラント治療で用いられるインプラント体の収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
歯科用インプラント治療を行うに際しインプラント体を収納容器から取り出す際、収納容器内に収納されていたインプラント体は滅菌状態を保ったままで取り出さなければならない。従って、術者はインプラント体に直接触れて取り出すことができないので、インプラント体の収納容器には様々な工夫が必要となり、これまでにも多くの収納容器が提案されている。
【0003】
輸送中及び保管中のインプラント体のコンタミを防止する為、インプラント体を収納する収納容器において少なくともインプラント体と接触する箇所は生体親和性材料で覆われていることが好ましい。一般的にはインプラント体と同じ材料である純チタンまたはチタン合金またはジルコニアで構成された内容器にインプラント体を収納し、任意の材料である外容器に内容器を収納した収納容器等が知られている。
【0004】
インプラント体を収納容器から取り出す際は、一般的にはインプラント体を顎骨内に埋入する為の埋入用インスツルメントを用いる。予めインプラント体に埋入用インスツルメントが固定された状態で収納する収納容器が知られており、この場合は輸送中の振動や衝撃等によってインプラント体がインプラントドライバーから外れてしまうリスクを避ける為にインプラント体と埋入用インスツルメントはねじで螺合されているのが一般的である。
【0005】
この場合はインプラント体を顎骨に埋入した施術後にインプラント体が共廻りしないように専用の器具でインプラント体の一部を把持しながらねじの螺合を解除し、埋入用インスツルメントを取り外す必要があるが、患者の口腔内という非常に限られた視野において行う作業であり困難が伴う。
【0006】
他方で収納容器に収納されたインプラント体に埋入用インスツルメントを挿入装着してインプラント体を取り出す収納容器が知られている。この場合はインプラント体が埋入用インスツルメントに強固に固定される必要が無いのでOリング等を用いた暫時的な係合でよく、施術後に埋入用インスツルメントを容易に取り外すことができる。
【0007】
しかしながら、インプラント体に埋入用インスツルメントを挿入装着する際には、埋入用インスツルメントからインプラント体に回転トルクを伝達する為の回転防止用機構部を係合させる必要があり、埋入用インスツルメントの先端とインプラント体の回転防止機構が噛み合うまで埋入用インスツルメントを回転させて係合させなければならない。その際に、埋入用インスツルメントと一緒にインプラント体が回転することがあり、埋入用インスツルメントをインプラント体に係合させる際に手間取ることがしばしばある。
【0008】
一方でインプラント体には顎骨と骨結合しやすくするための表面処理がなされており、インプラント体の表面は傷付けないことが望ましいが、収納容器によってインプラント体が回転しないように強く把持された状態であれば、埋入用インスツルメントを係合させることは容易になる一方で、インプラント体を収納容器から取り出す際にインプラント体の表面を傷付けてしまう問題がある。
【0009】
特許文献1では、収納容器内に係合用凹条溝を設け、インプラント体のおねじ部の先端のセルフタップ用溝と係合することによりインプラント体の回転を防止する収納容器が開示されている。
【0010】
特許文献2では、スライド機構により蓋が開閉する、ロック機構付きの収納容器が開示されている。
【0011】
特許文献3では、インプラント体との接触部を生体親和性材料で構成した、回転機構により蓋を開閉可能な収納容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特登05004644号公報
【特許文献2】特開2011-025032号公報
【特許文献3】特登06347965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は前記の問題に鑑み、埋入用インスツルメントをインプラント体に係合させる際にインプラント体が収納容器内で回転することを防止して容易に係合させることができ、インプラント体を傷付けることなくインプラント体の取り出しが簡便にできる収納容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、歯科用インプラント体を収納する収納容器であって、インプラント体を収納する収納部を備え、インプラント体と接触する部分は生体親和性材料からなり、少なくとも収納容器の一部が弾性変形する弾性変形機構部を有し、前記弾性変形機構部が弾性変形するに伴い、外部から弾性変形機構部を介してインプラント体の一部に押圧接触することのできることを特徴とするインプラント収納容器である。より詳しくは、弾性変形機構部が弾性変形するに伴って収納容器の一部がインプラント体と接触しない非接触位置または軽微に接触する軽微接触位置からインプラント体の一部に押圧接触する押圧接触位置に移動自在であることを特徴とする。また、本発明のインプラント収容容器は、埋入用インスツルメントを挿入するための開口部を有することが好ましい。
【0015】
本発明の収納容器は少なくともカバーケース及び本体ケースを含むことが好ましい。カバーケースまたは本体ケースの少なくともいずれか一方に弾性変形機構部を有し、弾性変形機構部が弾性変形するに伴って収納容器の一部がインプラント体と接触しない非接触位置または軽微に接触する軽微接触位置からインプラント体の一部に押圧接触する押圧接触位置に移動自在であることが好ましい。
【0016】
カバーケースは本体ケースに対して閉位置から収納部が開口する開位置へ移動自在であることが好ましい。
カバーケース及び本体ケースがスライド機構部を備え、スライド機構部に沿って閉位置から開位置へ移動自在であってもよいし、カバーケース及び本体ケースが回転軸部を備え、回転軸部を軸に回転して閉位置から開位置へ移動自在であってもよい。
【0017】
本発明の収納容器は、埋入用インスツルメントが挿入できる開口部を有し、開口部はインプラント体の直径より小さく埋入用インスツルメントの先端部直径より大きいことが好ましい。
【0018】
本発明の収納容器は、前記弾性変形機構部または弾性変形機構部の近位部に少なくとも一つの突起と、前記本体ケースに少なくとも一つの窪み部を有し、前記第1の開位置においては突起が前記本体ケースに干渉して前記弾性変形機構部が弾性変形するに伴って、収納容器の一部がインプラント体と接触しない非接触位置に移動し、前記閉位置においては突起が窪み部に係合することが好ましい。
【0019】
本発明の収納容器は、少なくともインプラント体と接触する箇所がインプラント体と同一材料で覆われていることが好ましく、前記材料は純チタンまたはチタン合金またはジルコニアであることが好ましい。
【0020】
本発明の収納容器は、前記本体ケースに、インプラント体の収納部とは別に第2の収納部(部品収納部)を有することが好ましい。前記カバーケースが前記開位置から第2の収納部(部品収納部)が開口する位置へ移動自在であることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
埋入用インスツルメントをインプラント体に係合させる際にインプラント体が収納容器内で回転することを防止して容易に係合させることができ、インプラント体を傷付けることなくインプラント体の取り出しが簡便にできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の収納容器にインプラント体を収納した好適な実施形態の斜視図である。
図2図1に示す収納容器が開位置である状態を示す斜視図である。
図3図2に示す収納容器の斜視図である。
図4図1に示す収納容器の中心軸を含む面の断面図である。
図5】本発明の収納容器の好適な実施形態の一つの斜視図である。
図6】本発明の収納容器の好適な実施形態の一つの斜視図である。
図7図6に示す収納容器の内部構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、好ましい実施形態について説明する。但し、以下の実施形態は単なる例示であり、本発明は以下の実施形態に何ら限定されるものではない。また、その他の任意の構成要素を備え得るものである。
【0024】
本発明は歯科用インプラント治療で用いられる様々な歯科用インプラントを収納する収納容器に用いることができる。歯科用インプラントの第1の仕様としては、インプラント体とアバットメントとが一体とされた1ピースタイプに用いることができる。歯科用インプラントの第2の仕様としては、歯根の代替部位となるインプラント体と、歯冠支台の代替部位となるアバットメントとの2部品からなり、インプラント体にアバットメントを結合して使用される2ピースタイプがある。歯科用インプラントの第3の仕様としては、インプラント体、アバットメント、及びスクリュの3部品からなり、スクリュを用いてインプラント体にアバットメントを固定する3ピースタイプがある。
歯科用インプラントの第1から第3の仕様の1から3ピースタイプのいずれにも用いることができる。
【0025】
本発明の収納容器に収納するインプラント体の用途は、特に制限はない。例えば欠損歯牙の代替として用いられる前記の歯科用インプラントであってもよく、あるいは歯列矯正用ワイヤの固定元等として用いられる暫間インプラントであってもよく、更に、これら以外の任意の用途に用いられる歯科用インプラントであってもよい。
【0026】
本発明の収納容器は、歯科用インプラント治療で用いられるインプラント体(1)を収納し、インプラント体(1)を収納した状態で滅菌処理することができ、滅菌状態を保ったままインプラント体(1)を施術に供することができる。本発明の収納容器は無菌バリア性を有していてもよいが、必ずしも無菌バリア性を有する必要は無く、収納容器を収納する外容器が無菌バリア性を有すればよい。
【0027】
本発明の収納容器は、歯科用インプラント体(1)を収納する収納部(2)を有する。少なくとも収納容器のインプラント体(1)と接触する箇所は生体親和性材料で覆われていることが好ましい。本発明における生体親和性材料としては、生体適合性がある材料を示し、例えばTi-Ni 合金、ニオブ,タンタル、コバルトクロム合金、アルミナ、バイオガラス,ハイドロキシアパタイト、リン酸三カルシウム,リン酸カルシウムガラス、カーボン、天然ゴム,ウレタンゴム,シリコーンゴム、ポリウレタン、ポリアミド等があげられる。特に好ましくは、純チタンまたはチタン合金またはジルコニアである。収納容器を生体親和性材料で構成してもよいし、収納容器を熱可塑性樹脂等の材料で構成し、前記接触する箇所のみを生体親和性材料で覆ってもよい。
【0028】
生体親和性材料で覆う方法としてはCVDやスパッタリング等で知られる蒸着法が採用し得る。また生体親和性材料で形成した別部品を収納容器内に係合させて覆ってもよい。別部品は生体親和性材料の薄板を抜き加工及び曲げ加工したフレーム部品(3)であってもよいし、生体親和性材料のブロックから好ましい形状に削り出した切削加工品(4)であってもよい。
【0029】
インプラント体(1)の直径は様々であり一般的にはφ3.0mm~φ5.0mmのものが知られている。インプラント体(1)の長さは様々であり一般的には5.0mm~17.0mmのものが知られている。
収納部(2)はインプラント体(1)の長さの4分の1以上の長さ及びインプラント体(1)の直径と同じかそれ以上の幅を有する溝またはインプラント体(1)の周囲を囲う構造物であることが好ましい。溝の深さはインプラント体(1)の直径の4分の1以上であることが好ましい。
【0030】
少なくとも収納容器の一部が弾性変形する弾性変形機構部(5)を有し、必要に応じて収納容器の一部を手指で押さえることで弾性変形機構部(5)が弾性変形するに伴って収納容器の一部がインプラント体(1)と接触しない非接触位置からインプラント体(1)の一部に押圧接触する押圧接触位置に移動自在であることが好ましい。
【0031】
さらには少なくとも収納容器の一部が弾性変形する弾性変形機構部(5)を有し、弾性変形機構部(5)が弾性変形するに伴って収納容器の一部がインプラント体(1)と接触しない非接触位置からインプラント体(1)と軽微に接触する軽微接触位置に移動自在であって、必要に応じて収納容器の一部を手指で押さえることで弾性変形機構部(5)が弾性変形するに伴って収納容器の一部が軽微接触位置からインプラント体(1)の一部に押圧接触する押圧接触位置に移動自在であることが好ましい。
【0032】
軽微接触位置とは収納容器内でインプラント体が自在に移動しないように収納容器の一部が軽微にインプラント体に接触する状態であって、輸送中の振動衝撃によって収納容器内でインプラント体が自在に移動することが無いのでインプラント体の表面が輸送中の振動衝撃によって傷付くことがない。
押圧接触位置とは手指で弾性変形機構部(5)を弾性変形させることによって収納容器の一部でインプラント体の一部を押圧する状態であって、収納容器内でインプラント体が回転することを防止できる。
更に手指を離すことで押圧接触位置から再び非接触位置または軽微接触位置に弾性的に戻ることができる。
【0033】
弾性変形機構部(5)は生体親和性材料であってもよいし、熱可塑性樹脂等の材料であってもよい。弾性変形機構部(5)を構成する材料が弾性を有していてもよいし、弾性変形機構部が肉薄材料で形成されていても良く、弾性変形の機構は任意である。特に、弾性変形機構部(5)の周囲にスリット溝(15)を設け弾性変形可能であることが好ましい。
【0034】
本発明の収納容器の形態は任意であり、一体型であって一部に弾性変形機構部を有していても構わないし、複数のパーツから構成されていずれかのパーツに弾性変形機構部を有していても構わない。特に好ましい態様としては、少なくともカバーケース(6)及び本体ケース(7)を含むものが挙げられる。カバーケース(6)の一部及びまたは本体ケース(7)の一部が弾性変形機構部(5)を有し、必要に応じて収納容器の一部を手指で押さえることで弾性変形機構部(5)が弾性変形するに伴って収納容器の一部がインプラント体(1)と接触しない非接触位置または軽微接触位置からインプラント体(1)の一部に押圧接触する押圧接触位置に移動し、収納容器内でインプラント体が回転することを防止できる。更に手指を離すことで再び非接触位置または軽微接触位置に弾性的に戻ることができる。
少なくともカバーケース(6)及び本体ケース(7)のインプラント体(1)と接触する箇所は生体親和性材料で覆われていることが好ましい。カバーケース(6)及びまたは本体ケース(7)を生体親和性材料で構成してもよいし、カバーケース(6)及びまたは本体ケース(7)を熱可塑性樹脂等の材料で構成し、前記接触する箇所のみを生体親和性材料で覆ってもよい。
【0035】
カバーケース(6)は本体ケース(7)に対して閉位置から収納部(2)が開口する開位置へ移動自在であることが好ましい。閉位置とはインプラント体(1)が収納容器から取り出せないように本体ケース(7)の少なくとも一部をカバーケース(6)の一部で覆った状態である。収納部(2)が開口する開位置とは本体ケース(7)の一部が開口状態にありインプラント体(1)が開口部(11)から取り出せる状態である。
カバーケース(6)が本体ケース(7)に対して移動する移動軸に沿って溝または突起と、本体ケース(7)が前記移動軸に沿って突起または溝を有し、カバーケース(6)を手指で操作することで溝と突起が係合しながらカバーケース(6)が本体ケース(7)に対しスライドするスライド機構部(8)を備えていることが好ましい。
またはカバーケース(6)が本体ケース(7)に対して回転する回転軸部(9)を有し、カバーケース(6)の回転軸部(9)に突起または窪みと、本体ケース(7)の回転軸部(9)に窪みまたは突起を有し、カバーケース(6)を手指で操作することで突起と窪みが係合しながらカバーケース(6)が回転することが好ましい。
【0036】
本発明の収納容器は、インプラント体(1)の直径より小さく埋入用インスツルメント(10)の先端部直径より大きい開口部(11)を有することが好ましい。一般的には埋入用インスツルメント(10)の先端部直径はインプラント体(1)の直径よりも0.5mmから2.0mm細く構成されており、カバーケース(6)が閉位置にあるときにインプラント体(1)が収納容器から落下しないように、開口部(11)の大きさはインプラント体(1)の直径及び埋入用インスツルメント(10)の先端部直径を考慮して適宜選択されるのがよい。
【0037】
カバーケース(6)が閉位置にある場合は非接触位置または軽微接触位置であることが好ましい一方で、カバーケース(6)が閉位置から開位置に移動する際は、インプラント体(1)の表面を傷付けないように、弾性変形機構(5)によってインプラント体(1)に接触する収納容器の一部はインプラント体(1)と非接触であることが望ましい。
弾性変形機構部(5)または弾性変形機構部(5)の近位部に少なくとも一つの突起部(12)を有し、カバーケース(6)が閉位置から開位置に向かって移動する際には突起部(12)が本体ケース(7)の一部に干渉して弾性変形機構部(5)が弾性変形するに伴って、収納容器の一部がインプラント体(1)と接触しない非接触位置に移動する。突起部(12)は一つ以上あれば良いが、二つ以上であればなおよい。
【0038】
更に意図せずカバーケース(6)が開位置に移動しないように閉位置においてカバーケース(6)が本体ケース(7)にロックされる機構を有することが望ましい。本体ケース(7)に前記突起部(12)に対応する窪み部(13)を有し、閉位置においては突起部(12)が窪み部(13)に係合することが好ましい。
閉位置においては突起部(12)が窪み部(13)に係合することで、カバーケース(6)が本体ケース(7)にロックされる一方で、弾性変形機構部(5)が弾性変形するに伴って収納容器の一部が軽微接触位置に弾性変形する。窪み部(13)は突起部(12)に対して十分な深さを有しているので、手指で弾性変形機構部(5)を押さえることで押圧接触位置に弾性的に変形することができる。
【0039】
突起部(12)の先端は球面状になっているので、一方の手指で埋入用インスツルメント(10)を把持しながら他方の手指でカバーケース(6)及びまたは本体ケース(7)を操作することによって突起部(12)と窪み部(13)の係合は容易に解除され、カバーケース(6)は閉位置から開位置に向かって自在に移動することができる。
【0040】
本発明の収納容器は、本体ケースに、インプラント収納部とは別に部品収納部(14)を有することが好ましい。インプラント体(5)を埋植した後に使用するインプラント体(5)と併用する部品を収容容器に収容することができる。併用する部品とは、例えば埋植後の治癒期間中にインプラント体の開口部を封鎖するカバースクリュ―や、インプラント体とアバットメントを締結するスクリュである。
前記開位置の状態から更に閉位置とは反対の方向にカバーケース(5)を移動させることで、併用する部品を収納する部品収納部(14)が開口し、併用する部品を取り出すことができる。
【0041】
1 インプラント体
2 収納部
3 フレーム部品
4 切削加工品
5 弾性変形機構部
6 カバーケース
7 本体ケース
8 スライド機構部
9 回転軸部
10 埋入用インスツルメント
11 開口部
12 突起部
13 窪み部
14 部品収納部
15 スリット部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7