(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022103489
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】プリンタ、制御方法、および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20220701BHJP
B41J 11/06 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
B41J2/01 305
B41J2/01 401
B41J2/01 451
B41J11/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020218155
(22)【出願日】2020-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100213687
【弁理士】
【氏名又は名称】平松 大輝
(72)【発明者】
【氏名】小林 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】玉置 修一
【テーマコード(参考)】
2C056
2C058
【Fターム(参考)】
2C056EB12
2C056EB29
2C056EC12
2C056EC31
2C056FA10
2C056FB03
2C058AB23
2C058AC07
2C058AC11
2C058AE07
2C058AF31
2C058DA11
2C058DA40
(57)【要約】
【課題】着脱位置と印刷位置との間におけるプラテンの搬送時間をプラテンサイズに応じて異ならせることができるプリンタ、制御方法、および制御プログラムを提供する。
【解決手段】プリンタはヘッドとプラテンとプラテン搬送機構とCPUを備える。ヘッドは印刷媒体に印刷を行う。プラテンは印刷媒体を支持する。プラテン搬送機構はプラテンを前後方向に搬送する。CPUはプラテンサイズを取得する(S12)。プラテンサイズはプラテンにおける前後方向のサイズである。CPUはプラテンサイズ「L」が取得された場合、着脱位置と印刷位置との間におけるプラテンの搬送時間が第一時間となるプラテンの搬送動作を制御する(S31)。CPUはプラテンサイズ「S」が取得された場合、着脱位置と印刷位置との間におけるプラテンの搬送時間が第二時間となるプラテンの搬送動作を制御する(S31)。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体に印刷を行うヘッドと、
前記印刷媒体を支持するプラテンと、
前記プラテンを前記ヘッドに対して搬送方向に搬送する搬送手段と、
前記プラテンにおける前記搬送方向のサイズであるプラテンサイズを取得する取得手段と、
前記搬送手段による前記プラテンの搬送動作を制御する手段であって、
前記取得手段によって第一プラテンサイズが取得された場合、前記印刷媒体の着脱位置と、前記ヘッドが設けられる前記搬送方向の位置である印刷位置との間における前記搬送手段による前記プラテンの搬送時間が第一時間となる前記搬送動作を制御し、
前記取得手段によって前記第一プラテンサイズよりも小さな第二プラテンサイズが取得された場合、前記着脱位置と前記印刷位置との間における前記搬送手段による前記プラテンの搬送時間が前記第一時間とは異なる第二時間となる前記搬送動作を制御する搬送制御手段と
を備えたことを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記搬送制御手段は、前記取得手段によって前記第二プラテンサイズが取得された場合、前記着脱位置と前記印刷位置との間における前記搬送手段による前記プラテンの搬送時間が前記第一時間よりも短い前記第二時間となる前記搬送動作を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記搬送制御手段は、
前記取得手段によって前記第一プラテンサイズが取得された場合、前記印刷位置からの前記搬送方向の距離が第一距離となる位置に、前記着脱位置を設定し、
前記取得手段によって前記第二プラテンサイズが取得された場合、前記印刷位置からの前記搬送方向の距離が前記第一距離とは異なる第二距離となる位置に、前記着脱位置を設定する
ことを特徴とする請求項1または2に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記搬送制御手段は、前記取得手段によって前記第二プラテンサイズが取得された場合、前記印刷位置からの前記搬送方向の距離が前記第一距離よりも小さな前記第二距離となる位置に、前記着脱位置を設定する
ことを特徴とする請求項3に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記搬送制御手段は、
前記取得手段によって前記第一プラテンサイズが取得された場合、前記着脱位置と前記印刷位置との間における前記搬送手段による前記プラテンの搬送速さの平均が第一速さとなる前記搬送動作を制御し、
前記取得手段によって前記第二プラテンサイズが取得された場合、前記着脱位置と前記印刷位置との間における前記搬送手段による前記プラテンの搬送速さの平均が前記第一速さとは異なる第二速さとなる前記搬送動作を制御する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のプリンタ。
【請求項6】
前記着脱位置と前記印刷位置との間を前記搬送手段によって前記プラテンが搬送される場合に前記プラテンが通る開口が設けられた壁を備え、
前記搬送制御手段は、
前記プラテンを、前記着脱位置と前記印刷位置との間において、前記印刷位置から前記着脱位置に向かう方向における前記プラテンの端が前記開口に位置する切替位置を経由して、前記搬送手段に搬送させ、
前記取得手段によって前記第一プラテンサイズが取得された場合、前記着脱位置と、前記第一プラテンサイズに応じた前記切替位置との間における前記搬送手段による前記プラテンの搬送速さの平均が前記第一速さよりも小さな第三速さとなる前記搬送動作を制御し、且つ前記第一プラテンサイズに応じた前記切替位置と、前記印刷位置との間における前記搬送手段による前記プラテンの搬送速さの平均が前記第一速さよりも大きな第四速さとなる前記搬送動作を制御し、
前記取得手段によって前記第二プラテンサイズが取得された場合、前記着脱位置と、前記第二プラテンサイズに応じた前記切替位置との間における前記搬送手段による前記プラテンの搬送速さの平均が前記第二速さよりも小さな第五速さとなる前記搬送動作を制御し、且つ前記第二プラテンサイズに応じた前記切替位置と、前記印刷位置との間における前記搬送手段による前記プラテンの搬送速さの平均が前記第二速さよりも大きな第六速さとなる前記搬送動作を制御する
ことを特徴とする請求項5に記載のプリンタ。
【請求項7】
前記搬送制御手段は、前記着脱位置から前記印刷位置に向かう方向における前記プラテンの端が前記開口よりも、前記印刷位置から前記着脱位置に向かう方向に配置される位置に、前記着脱位置を設定する
ことを特徴とする請求項6に記載のプリンタ。
【請求項8】
前記取得手段は、カメラによる撮像結果から前記プラテンサイズを取得する
ことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のプリンタ。
【請求項9】
前記搬送制御手段は、
前記プラテンを、前記着脱位置から所定の折返位置まで搬送した後、前記折返位置から前記着脱位置まで前記搬送手段に搬送させ、
前記印刷媒体のうち前記ヘッドによって画像が印刷される領域における前記印刷位置から前記着脱位置に向かう方向の端が前記印刷位置に配置されるときの前記プラテンの位置を、前記折返位置に設定する
ことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のプリンタ。
【請求項10】
前記搬送制御手段は、
前記プラテンを、前記着脱位置から前記印刷位置を経由して、前記搬送方向において前記印刷位置に対して前記着脱位置とは反対側の折返位置まで搬送した後、前記折返位置から前記印刷位置を経由して前記着脱位置まで前記搬送手段に搬送させ、
前記取得手段によって前記第一プラテンサイズが取得された場合、前記印刷位置からの前記搬送方向の距離が第三距離となる位置に、前記折返位置を設定し、
前記取得手段によって前記第二プラテンサイズが取得された場合、前記印刷位置からの前記搬送方向の距離が前記第三距離よりも小さな第四距離となる位置に、前記折返位置を設定する
ことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のプリンタ。
【請求項11】
前記搬送制御手段は、前記搬送手段に対して前記プラテンを前記着脱位置から搬送させることで、前記搬送動作を開始する
ことを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載のプリンタ。
【請求項12】
前記搬送制御手段は、前記搬送手段に対して前記プラテンを前記着脱位置で停止させることで、前記搬送動作を終了する
ことを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載のプリンタ。
【請求項13】
プリンタの制御方法であって、
印刷媒体を支持するプラテンにおける搬送方向のサイズであるプラテンサイズを取得する取得処理と、
搬送手段による前記プラテンの前記搬送方向への搬送動作を制御する処理であって、
前記取得処理で第一プラテンサイズが取得された場合、前記印刷媒体の着脱位置と、前記印刷媒体への印刷を行うヘッドが設けられる前記搬送方向の位置である印刷位置との間における前記搬送手段による前記プラテンの搬送時間が第一時間となる前記搬送動作を制御し、
前記取得処理で前記第一プラテンサイズよりも小さな第二プラテンサイズが取得された場合、前記着脱位置と前記印刷位置との間における前記搬送手段による前記プラテンの搬送時間が前記第一時間とは異なる第二時間となる前記搬送動作を制御する搬送制御処理と
を行うことを特徴とする制御方法。
【請求項14】
プリンタのコンピュータに、
印刷媒体を支持するプラテンにおける搬送方向のサイズであるプラテンサイズを取得する取得処理と、
搬送手段による前記プラテンの前記搬送方向への搬送動作を制御する処理であって、
前記取得処理で第一プラテンサイズが取得された場合、前記印刷媒体の着脱位置と、前記印刷媒体への印刷を行うヘッドが設けられる前記搬送方向の位置である印刷位置との間における前記搬送手段による前記プラテンの搬送時間が第一時間となる前記搬送動作を制御し、
前記取得処理で前記第一プラテンサイズよりも小さな第二プラテンサイズが取得された場合、前記着脱位置と前記印刷位置との間における前記搬送手段による前記プラテンの搬送時間が前記第一時間とは異なる第二時間となる前記搬送動作を制御する搬送制御処理と
を実行させることを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、制御方法、および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のプリンタは、プラテン(セットトレイ)をY方向に搬送しながらプラテン上の印刷媒体に印刷を行う。この場合、プラテンは、印刷媒体の着脱位置(セット位置)から待機位置まで搬送される。プラテンは、待機位置から折り返して基準位置まで搬送され、さらに印刷位置に向かって搬送される。印刷位置において印刷が行われ、プラテンは着脱位置に戻される。プリンタは、プラテンにおけるY方向のサイズ(以下、「プラテンサイズ」という。)に応じて基準位置をY方向に異ならせている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記プリンタでは、基準位置がプラテンサイズに応じてY方向に変位しても、着脱位置と印刷位置との間のY方向の距離は、プラテンサイズにかかわらず一定である。このため、着脱位置と印刷位置との間におけるプラテンの搬送時間は、プラテンサイズにかかわらず、一定である。
【0005】
本発明の目的は、着脱位置と印刷位置との間におけるプラテンの搬送時間をプラテンサイズに応じて異ならせることができるプリンタ、制御方法、および制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一態様に係るプリンタは、印刷媒体に印刷を行うヘッドと、前記印刷媒体を支持するプラテンと、前記プラテンを前記ヘッドに対して搬送方向に搬送する搬送手段と、前記プラテンにおける前記搬送方向のサイズであるプラテンサイズを取得する取得手段と、前記搬送手段による前記プラテンの搬送動作を制御する手段であって、前記取得手段によって第一プラテンサイズが取得された場合、前記印刷媒体の着脱位置と、前記ヘッドが設けられる前記搬送方向の位置である印刷位置との間における前記搬送手段による前記プラテンの搬送時間が第一時間となる前記搬送動作を制御し、前記取得手段によって前記第一プラテンサイズよりも小さな第二プラテンサイズが取得された場合、前記着脱位置と前記印刷位置との間における前記搬送手段による前記プラテンの搬送時間が前記第一時間とは異なる第二時間となる前記搬送動作を制御する搬送制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
第一態様によれば、第二時間が第一時間と異なる。よって、プリンタは、第一プラテンサイズが取得された場合と第二プラテンサイズが取得された場合とで、着脱位置と印刷位置との間におけるプラテンの搬送時間を異ならせることができる。
【0008】
前記搬送制御手段は、前記取得手段によって前記第二プラテンサイズが取得された場合、前記着脱位置と前記印刷位置との間における前記搬送手段による前記プラテンの搬送時間が前記第一時間よりも短い前記第二時間となる前記搬送動作を制御してもよい。
【0009】
プリンタは、第二プラテンサイズが取得された場合には、第一プラテンサイズが取得された場合よりも、着脱位置と印刷位置との間のプラテンの搬送時間を短くできる。
【0010】
前記搬送制御手段は、前記取得手段によって前記第一プラテンサイズが取得された場合、前記印刷位置からの前記搬送方向の距離が第一距離となる位置に、前記着脱位置を設定し、前記取得手段によって前記第二プラテンサイズが取得された場合、前記印刷位置からの前記搬送方向の距離が前記第一距離とは異なる第二距離となる位置に、前記着脱位置を設定してもよい。
【0011】
第二距離が第一距離と異なる。よって、プリンタは、第一プラテンサイズが取得された場合と第二プラテンサイズが取得された場合とで、着脱位置と印刷位置との間におけるプラテンの搬送時間を異ならせることができる。
【0012】
前記搬送制御手段は、前記取得手段によって前記第二プラテンサイズが取得された場合、前記印刷位置からの前記搬送方向の距離が前記第一距離よりも小さな前記第二距離となる位置に、前記着脱位置を設定してもよい。
【0013】
第二距離が第一距離よりも小さい。よって、プリンタは、第二プラテンサイズが取得された場合には、第一プラテンサイズが取得された場合よりも、着脱位置と印刷位置との間におけるプラテンの搬送時間を短くできる。
【0014】
前記搬送制御手段は、前記取得手段によって前記第一プラテンサイズが取得された場合、前記着脱位置と前記印刷位置との間における前記搬送手段による前記プラテンの搬送速さの平均が第一速さとなる前記搬送動作を制御し、前記取得手段によって前記第二プラテンサイズが取得された場合、前記着脱位置と前記印刷位置との間における前記搬送手段による前記プラテンの搬送速さの平均が前記第一速さとは異なる第二速さとなる前記搬送動作を制御してもよい。
【0015】
第二速さが第一速さと異なる。よって、プリンタは、第一プラテンサイズが取得された場合と第二プラテンサイズが取得された場合とで、着脱位置と印刷位置との間におけるプラテンの搬送時間を異ならせることができる。
【0016】
前記プリンタは、前記着脱位置と前記印刷位置との間を前記搬送手段によって前記プラテンが搬送される場合に前記プラテンが通る開口が設けられた壁を備え、前記搬送制御手段は、前記プラテンを、前記着脱位置と前記印刷位置との間において、前記印刷位置から前記着脱位置に向かう方向における前記プラテンの端が前記開口に位置する切替位置を経由して、前記搬送手段に搬送させ、前記取得手段によって前記第一プラテンサイズが取得された場合、前記着脱位置と、前記第一プラテンサイズに応じた前記切替位置との間における前記搬送手段による前記プラテンの搬送速さの平均が前記第一速さよりも小さな第三速さとなる前記搬送動作を制御し、且つ前記第一プラテンサイズに応じた前記切替位置と、前記印刷位置との間における前記搬送手段による前記プラテンの搬送速さの平均が前記第一速さよりも大きな第四速さとなる前記搬送動作を制御し、前記取得手段によって前記第二プラテンサイズが取得された場合、前記着脱位置と、前記第二プラテンサイズに応じた前記切替位置との間における前記搬送手段による前記プラテンの搬送速さの平均が前記第二速さよりも小さな第五速さとなる前記搬送動作を制御し、且つ前記第二プラテンサイズに応じた前記切替位置と、前記印刷位置との間における前記搬送手段による前記プラテンの搬送速さの平均が前記第二速さよりも大きな第六速さとなる前記搬送動作を制御してもよい。
【0017】
第二プラテンサイズが取得された場合には、第一プラテンサイズが取得された場合よりも、切替位置と印刷位置との間における搬送方向の距離が大きくなる。このため、第二プラテンサイズが取得された場合には、第一プラテンサイズが取得された場合よりも、切替位置と印刷位置との間におけるプラテンの搬送時間に対する切替位置と印刷位置との間におけるプラテンの搬送速さの影響が大きくなる。プリンタでは、第四速さが第三速さよりも大きく、第六速さが第五速さよりも大きい。よって、プリンタは、第二プラテンサイズが取得された場合には、第一プラテンサイズが取得された場合よりも、切替位置と印刷位置との間におけるプラテンの搬送時間を短くできる。
【0018】
前記搬送制御手段は、前記着脱位置から前記印刷位置に向かう方向における前記プラテンの端が前記開口よりも、前記印刷位置から前記着脱位置に向かう方向に配置される位置に、前記着脱位置を設定してもよい。
【0019】
例えば、プラテンが着脱位置に位置する状態で、プラテンに印刷媒体が取り付けられ、またはプラテンから印刷媒体が取り外される。この場合において、いずれのプラテンサイズでも、印刷位置から着脱位置に向かう方向におけるプラテンの端が開口よりも、印刷位置から着脱位置に向かう方向に配置されているので、印刷媒体が壁に干渉することが抑制される。よって、プリンタは、第一プラテンサイズが取得された場合と第二プラテンサイズが取得された場合とで、着脱位置と印刷位置との間におけるプラテンの搬送時間を異ならせつつ、いずれのプラテンサイズに変更されても、印刷媒体をプラテンに取り付けやすく、印刷媒体をプラテンから取り外しやすい。
【0020】
前記取得手段は、カメラによる撮像結果から前記プラテンサイズを取得してもよい。
【0021】
プリンタでは、プラテンサイズの種類の増減に伴ってプラテンサイズを検出するためのセンサを増減したり、プラテンサイズを入力するための入力画面を変更したりする必要がない。よって、プリンタはプラテンサイズの増減にも容易に対応できる。
【0022】
前記搬送制御手段は、前記プラテンを、前記着脱位置から所定の折返位置まで搬送した後、前記折返位置から前記着脱位置まで前記搬送手段に搬送させ、前記印刷媒体のうち前記ヘッドによって画像が印刷される領域における前記印刷位置から前記着脱位置に向かう方向の端が前記印刷位置に配置されるときの前記プラテンの位置を、前記折返位置に設定してもよい。
【0023】
プリンタは、プラテンを折返位置で折り返した後、印刷媒体のうちヘッドによって画像が印刷される領域における印刷位置から着脱位置に向かう方向の端が印刷位置に配置されるまでのプラテンの搬送を省略できる。よって、プリンタは、プラテンの搬送時間を短くできる。
【0024】
前記搬送制御手段は、前記プラテンを、前記着脱位置から前記印刷位置を経由して、前記搬送方向において前記印刷位置に対して前記着脱位置とは反対側の折返位置まで搬送した後、前記折返位置から前記印刷位置を経由して前記着脱位置まで前記搬送手段に搬送させ、前記取得手段によって前記第一プラテンサイズが取得された場合、前記印刷位置からの前記搬送方向の距離が第三距離となる位置に、前記折返位置を設定し、前記取得手段によって前記第二プラテンサイズが取得された場合、前記印刷位置からの前記搬送方向の距離が前記第三距離よりも小さな第四距離となる位置に、前記折返位置を設定してもよい。
【0025】
第四距離が第三距離よりも小さい。よって、プリンタは、第二プラテンサイズが取得された場合には、第一プラテンサイズが取得された場合よりも、印刷位置と折返位置との間におけるプラテンの搬送時間を短くできる。
【0026】
前記搬送制御手段は、前記搬送手段に対して前記プラテンを前記着脱位置から搬送させることで、前記搬送動作を開始してもよい。
【0027】
プリンタは、第一プラテンサイズが取得された場合と第二プラテンサイズが取得された場合とで、着脱位置と印刷位置との間におけるプラテンの搬送時間を異ならせることができる。
【0028】
前記搬送制御手段は、前記搬送手段に対して前記プラテンを前記着脱位置で停止させることで、前記搬送動作を終了してもよい。
【0029】
プリンタは、第一プラテンサイズが取得された場合と第二プラテンサイズが取得された場合とで、着脱位置と印刷位置との間におけるプラテンの搬送時間を異ならせることができる。
【0030】
本発明の第二態様に係る制御方法は、プリンタの制御方法であって、印刷媒体を支持するプラテンにおける搬送方向のサイズであるプラテンサイズを取得する取得処理と、搬送手段による前記プラテンの前記搬送方向への搬送動作を制御する処理であって、前記取得処理で第一プラテンサイズが取得された場合、前記印刷媒体の着脱位置と、前記印刷媒体への印刷を行うヘッドが設けられる前記搬送方向の位置である印刷位置との間における前記搬送手段による前記プラテンの搬送時間が第一時間となる前記搬送動作を制御し、前記取得処理で前記第一プラテンサイズよりも小さな第二プラテンサイズが取得された場合、前記着脱位置と前記印刷位置との間における前記搬送手段による前記プラテンの搬送時間が前記第一時間とは異なる第二時間となる前記搬送動作を制御する搬送制御処理とを行うことを特徴とする。
【0031】
第二態様は第一態様と同様の効果を奏することができる。
【0032】
本発明の第三態様に係る制御プログラムは、プリンタのコンピュータに、印刷媒体を支持するプラテンにおける搬送方向のサイズであるプラテンサイズを取得する取得処理と、搬送手段による前記プラテンの前記搬送方向への搬送動作を制御する処理であって、前記取得処理で第一プラテンサイズが取得された場合、前記印刷媒体の着脱位置と、前記印刷媒体への印刷を行うヘッドが設けられる前記搬送方向の位置である印刷位置との間における前記搬送手段による前記プラテンの搬送時間が第一時間となる前記搬送動作を制御し、前記取得処理で前記第一プラテンサイズよりも小さな第二プラテンサイズが取得された場合、前記着脱位置と前記印刷位置との間における前記搬送手段による前記プラテンの搬送時間が前記第一時間とは異なる第二時間となる前記搬送動作を制御する搬送制御処理とを実行させることを特徴とする。
【0033】
第三態様は第一態様と同様の効果を奏することができる。
【0034】
本発明の第四態様に係る制御方法は、プリンタの制御方法であって、印刷媒体を支持するプラテンにおける搬送方向のサイズであるプラテンサイズを取得する取得処理と、搬送手段による前記プラテンの前記搬送方向への搬送動作を、前記取得処理で取得された前記プラテンサイズに応じて決定する処理であって、前記取得処理で第一プラテンサイズが取得された場合、前記印刷媒体の着脱位置と、前記印刷媒体への印刷を行うヘッドが設けられる前記搬送方向の位置である印刷位置との間における前記搬送手段による前記プラテンの搬送時間が第一時間となるように前記搬送動作を決定し、前記取得処理で前記第一プラテンサイズよりも小さな第二プラテンサイズが取得された場合、前記着脱位置と前記印刷位置との間における前記搬送手段による前記プラテンの搬送時間が前記第一時間とは異なる第二時間となるように前記搬送動作を決定する決定処理と、前記決定処理で決定された前記搬送動作を実行する搬送制御処理とを行うことを特徴とする。
【0035】
第四態様は第一態様と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】プリンタ1を前左上方から見た斜視図である。
【
図2】筐体2の上部を取り除いたプリンタ1を前左上方から見た斜視図である。
【
図3】プラテン5が着脱位置Pに位置するときのA-A線矢視方向の断面図である。
【
図4】プラテン5が折返位置Rに位置するときのA-A線矢視方向の断面図である。
【
図5】プラテン5が切替位置Qに位置するときのA-A線矢視方向の断面図である。
【
図6】プリンタ1の電気的構成を示すブロック図である。
【
図8】
図7の続きのメイン処理のフローチャートである。
【
図9】(変形例)プラテン5が折返位置Rに位置するときのA-A線矢視方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図面を参照して、本発明の一実施形態に係るプリンタ1を説明する。
図1の上方、下方、左下方、右上方、右下方、および左上方が、それぞれ、プリンタ1の上方、下方、左方、右方、前方、および後方である。本実施形態において図面中の機械的要素は、実際のスケールを示す。
【0038】
図1~
図3を参照し、プリンタ1の概略構成を説明する。
図1、
図2に示すように、プリンタ1は筐体2、プラテン搬送機構6、およびプラテン5を備える。筐体2は直方体状であり、前壁21を含む。筐体2には穴22が形成される。穴22は前壁21の中央部から後方に延びる。以下では、穴22のうち前壁21によって囲まれる領域を「開口221」という。つまり、開口221は穴22の前端である。
【0039】
前壁21において開口221の右斜め上側には、入力部46が設けられる。ユーザは入力部46を操作することで各種情報をプリンタ1に入力する。前壁21において開口221の上方には、カメラ47が設けられる。カメラ47はプラテン5を上方から撮像する。
【0040】
図3に示すように、プラテン搬送機構6は軸61と搬送ベルト62とプラテン支持部材3と
図6に示す副走査モータ18を備え、プラテン5を前後方向に搬送する。軸61と搬送ベルト62は穴22の下部に設けられ、それぞれ、前後方向に延びる。軸61の前端は開口221よりも前側まで延びる。
【0041】
プラテン支持部材3は第一部分32と第二部分33とを含む。第一部分32は水平方向に延びる板状である。第二部分33は第一部分32の後端部から下方に延びる。第二部分33の下端部は、軸61によって支持され、且つ搬送ベルト62の前端に連結される。
図6に示す副走査モータ18は搬送ベルト62と連結する。副走査モータ18が駆動すると、搬送ベルト62がプラテン支持部材3を軸61に沿って前後方向に移動させる(例えば
図3(A)および
図4(A)参照)。
【0042】
プラテン5は水平方向に延びる板状である。プラテン5はプラテン支持部材3の上面によって支持され、プラテン支持部材3とともに前後方向に移動する。すなわち、プリンタ1の前後方向は副走査方向である。プラテン5の上面には
図4に示す印刷媒体Mが載置される。印刷媒体Mは布帛、紙等であり、例えばTシャツである。
【0043】
プラテン5はプラテン支持部材3に対して着脱可能である。プラテン支持部材3にプラテン5が装着された状態で、プラテン5は位置決め機構4によって規定位置Wに位置決めされる。規定位置Wはプラテン支持部材3に対する所定の位置である。位置決め機構4は、凸部51と凹部31と含む。凸部51はプラテン5の下面から下方に延びる。凹部31はプラテン支持部材3の上面から下方に凹む。凸部51が凹部31に嵌まることで、位置決め機構4はプラテン5を規定位置Wに位置決めする。本実施形態では、規定位置Wは凹部31の前後方向の位置である。以下、プラテン5の前後方向の位置は規定位置Wを基準とする。
【0044】
図2に示すように、プリンタ1はガイドレール11、12、キャリッジ20、およびヘッド91~96を筐体2内に備える。ガイドレール11は前壁21の後側において穴22の上部に設けられ、左右方向に延びる。ガイドレール12はガイドレール11の後側に設けられ、左右方向に延びる。キャリッジ20はガイドレール11とガイドレール12の前後方向の間に位置し、ガイドレール11とガイドレール12によって支持される。キャリッジ20は
図6に示す主走査モータ19の駆動によってガイドレール11とガイドレール12に沿って左右方向に移動できる。
【0045】
ヘッド91~96はキャリッジ20に搭載され、キャリッジ20とともに左右方向に移動する。すなわち、プリンタ1の左右方向は主走査方向である。ヘッド91、92、93はキャリッジ20の右部に配置され、ヘッド91、92、93の順で後側から前側に向かって一列に並ぶ。ヘッド94、95、96はヘッド91、92、93の列の左側に配置され、ヘッド94、95、96の順で後側から前側に向かって一列に並ぶ。前後方向において、ヘッド94はヘッド91、92の間に配置され、ヘッド95はヘッド92、93の間に配置され、ヘッド96はヘッド93に対して前側にずれた位置に配置される。
【0046】
ヘッド91~96はそれぞれノズル(図示略)を備える。複数のノズルはヘッド91~96のそれぞれの下面において、前後方向および左右方向に並ぶ。ヘッド91、94はノズルから下方に白インクを吐出する。ヘッド92、94はノズルから下方に前処理剤、特殊インク等を吐出する。ヘッド93、96はノズルから下方にカラーインクを吐出する。
【0047】
上記構成によれば、プリンタ1は、プラテン5を前後方向(副走査方向)に移動させ、ヘッド91~96を左右方向(主走査方向)に移動させることで、プラテン5上の印刷媒体M(
図4参照)をヘッド91~96に対して前後方向および左右方向に搬送する。プリンタ1は、プラテン5上の印刷媒体Mをヘッド91~96に対して搬送しながらヘッド91~96の各ノズルからプラテン5上の印刷媒体Mにインクを吐出する。
【0048】
例えば、プリンタ1は、プラテン5をヘッド91~96に対して後方から前方に搬送しながら、ヘッド91、94の各ノズルから印刷媒体M上に白インクを吐出させる。これにより、プリンタ1は印刷媒体Mに下地画像を印刷する。さらに、プリンタ1は、印刷媒体Mに下地画像を印刷しながら、ヘッド93、96の各ノズルから印刷中の下地画像上にカラーインクを吐出させる。これにより、プリンタ1は下地画像に重ねてカラー画像を印刷する。以上により、プリンタ1はプラテン5上の印刷媒体Mに印刷を行う。以下の説明では、便宜的に、下地画像の上にカラー画像が印刷されることを前提とする。下地画像およびカラー画像を総称する場合、「印刷画像」という。
【0049】
図3~
図5を参照し、プラテンサイズとプラテン搬送機構6によるプラテン5の搬送動作を説明する。プラテンサイズはプラテン5における前後方向のサイズである。本実施形態のプラテンサイズは複数あり、以下では「L」と「S」の2種類を挙げて説明する。プラテンサイズ「S」はプラテンサイズ「L」よりも小さい。以下では、プラテンサイズ「L」のプラテン5を「プラテン5L」といい(
図3(A)、
図4(A)、および
図5(A)参照)、プラテンサイズ「S」のプラテン5を「プラテン5S」という(
図3(B)、
図4(B)、および
図5(B)参照)。
【0050】
本実施形態では、プラテン5Lおよびプラテン5Sのいずれがプラテン支持部材3に装着されても、プラテン支持部材3はプラテンサイズによらず同じである。つまり、規定位置Wは、プラテン支持部材3に装着されるプラテン5のプラテンサイズによらず、一定である。プリンタ1は、プラテン支持部材3の前後方向の位置を後述のCPU41(
図6参照)によって認識し、認識した位置を基準に印刷を行う。したがって、プラテン5Lおよびプラテン5Sのいずれがプラテン支持部材3に装着されても、プラテン5が規定位置Wに位置決めされることが重要である。以下では、後述の各位置にプラテン5が配置されたときの凹部31の前後方向の位置、すなわち規定位置Wを基準として、後述の印刷位置Hからプラテン5の各位置までの距離を示す。
【0051】
プラテン搬送機構6によるプラテン5の搬送動作が開始されると、プラテン5は
図3に示す着脱位置Pから後方に、
図4に示す折返位置Rまで搬送される。プラテン5は
図4に示す折返位置Rで折り返して前方に、
図3に示す着脱位置Pまで搬送される。これにより、プラテン搬送機構6によるプラテン5の搬送動作が終了する。したがって、
図3に示す着脱位置Pはプラテン5の移動範囲の前端であり、且つプラテン5の搬送経路の始点および終点である。
図4に示す折返位置Rはプラテン5の移動範囲の後端であり、且つプラテン5の搬送経路の途中位置である。
【0052】
以下では、
図2に示すヘッド91~96が設けられる前後方向の位置を「印刷位置H」という。例えば、印刷位置Hは、印刷画像の印刷時において
図2に示すヘッド91~96のうち最初にインクを吐出するヘッドの最前列のノズルにおける前後方向の位置である。本実施形態では、最初に下地画像が印刷され、下地画像は
図2に示すヘッド91、94によって印刷され、ヘッド91よりもヘッド94の方が前方に配置される。したがって、本実施形態の印刷位置Hは、ヘッド94の複数のノズルのうち最前列のノズルにおける前後方向の位置を示す。
【0053】
図3に示すように、着脱位置Pはプラテン5に対して
図4に示す印刷媒体Mが取り外され、または取り付けられるときのプラテン5の位置である。着脱位置Pはプリンタ1による印刷開始前または印刷終了後におけるプラテン5の待機位置である。規定位置Wが着脱位置Pに位置するとき、プラテン5は着脱位置Pに位置する。本実施形態では、印刷位置Hから着脱位置Pまでの前後方向の距離がプラテンサイズに応じて異なる位置に、着脱位置Pが設定される。
【0054】
図3(A)では、プラテン5Lの着脱位置Pを着脱位置PLとして示す(
図4(A)および
図5(A)も同様)。
図3(B)では、プラテン5Sの着脱位置Pを着脱位置PSとして示す(
図4(B)および
図5(B)も同様)。印刷位置Hから着脱位置PSまでの前後方向の距離DS1は、印刷位置Hから着脱位置PLまでの前後方向の距離DL1よりも小さい。
【0055】
プラテン5Lが着脱位置PLに位置する場合とプラテン5Sが着脱位置PSに位置する場合のいずれの場合でも、プラテン5L、5Sのそれぞれの後端53は開口221よりも前側に配置される。本実施形態では、いずれの場合でも、プラテン5L、5Sは前壁21よりも前側において平面視で筐体2と重ならない位置に配置される。
【0056】
さらに、プラテンサイズが「L」の場合、着脱位置PLと印刷位置Hとの間におけるプラテン5の搬送速さの平均は第一速さに設定される。プラテンサイズが「S」の場合、着脱位置PSと印刷位置Hとの間におけるプラテン5の搬送速さの平均は第二速さに設定される。第二速さは第一速さよりも大きい。
【0057】
上述したように、印刷位置Hから着脱位置Pまでの前後方向の距離および着脱位置Pと印刷位置Hとの間におけるプラテン5の搬送速さの平均が、プラテンサイズに応じて異なるように設定される。これにより、プラテンサイズが「L」の場合には、着脱位置PLと印刷位置Hとの間におけるプラテン5Lの搬送時間が第一時間となるようにプラテン5Lの搬送動作が制御される。プラテンサイズが「S」の場合には、着脱位置PSと印刷位置Hとの間におけるプラテン5Sの搬送時間が第二時間となるようにプラテン5Sの搬送動作が制御される。第二時間は第一時間とは異なる。本実施形態では、距離DS1が距離DL1よりも小さく、且つ第二速さは第一速さよりも大きい。このため、第二時間は第一時間よりも短くなる。
【0058】
以下では、印刷媒体Mのうちヘッド91~96によって印刷画像が印刷される領域を「印刷領域G」という。すなわち、印刷領域Gの形状は印刷画像の形状に応じた形状である。例えば印刷画像の形状が矩形状の場合には、印刷領域Gも矩形状の領域である。
図4(A)では、一例として、印刷媒体Mにおいて下地画像が印刷領域Gに印刷されるときのプラテン5Lの折返位置Rを示す。
図4(B)では、一例として、印刷媒体Mにおいて下地画像が印刷領域Gに印刷されるときのプラテン5Sの折返位置Rを示す。
【0059】
図4に示すように、前端位置Fは、印刷領域Gにおける前端の位置である。例えば前端位置Fは、印刷画像の印刷時に、インクが印刷媒体Mに最初に着弾する点の前後方向の位置である。
【0060】
前端位置Fは、印刷領域Gの前後方向のサイズ(つまり、印刷画像の前後方向のサイズ)、および印刷媒体Mにおける印刷領域Gの前後方向の位置(つまり、印刷画像の前後方向の位置)に応じて変わる。一方、印刷位置Hは、印刷領域Gの前後方向のサイズ、および印刷媒体Mにおける印刷領域Gの前後方向の位置によって変わらない。例えば、印刷位置Hは、下地画像の印刷の有無、つまり印刷画像の印刷時に最初にインクを吐出するヘッドの前後方向の位置に応じて変わる。
【0061】
折返位置Rは、前端位置Fが印刷位置Hに位置するときのプラテン5の前後方向の位置である。つまり、折返位置Rは、前端位置Fが印刷位置Hに位置するときの規定位置Wの前後方向の位置である。したがって、印刷位置Hから折返位置Rまでの前後方向の距離DRは、前端位置Fに応じて異なる。
【0062】
図4(A)および
図4(B)に示すように、規定位置Wに対する前端位置Fの前後方向の位置が同じであれば、プラテンサイズによらず、印刷位置Hから折返位置Rまでの前後方向の距離DRは同じになる。
【0063】
図5に示すように、プラテン5が着脱位置Pから折返位置Rまで搬送される場合、およびプラテン5が折返位置Rから着脱位置Pまで搬送される場合のいずれの場合にも、プラテン5は切替位置Qを経由する。
【0064】
切替位置Qは、プラテン5の前端52が開口221に位置するときのプラテン5の前後方向の位置である。つまり、切替位置Qは、プラテン5の前端52が開口221に位置するときの規定位置Wの前後方向の位置である。
【0065】
図5(A)では、プラテン5Lの切替位置Qを切替位置QLとして示す(
図3(A)および
図4(A)も同様)。
図5(B)は、プラテン5Sの切替位置Qを切替位置QSとして示す(
図3(B)および
図4(B)も同様)。印刷位置Hから切替位置Qまでの前後方向の距離は、プラテンサイズに応じて異なる。例えば、印刷位置Hから切替位置QSまでの前後方向の距離DS2は、印刷位置Hから切替位置QLまでの前後方向の距離DL2よりも大きい。
【0066】
本実施形態では、プラテン5が着脱位置Pから切替位置Qに到達すると、プラテン5の搬送速さが加速され、プラテン5が印刷位置Hから切替位置Qに到達すると、プラテン5の搬送速さが減速される。詳細には、着脱位置Pと印刷位置Hとの間におけるプラテン5の搬送速さの平均がプラテンサイズに応じた速さ(第一速さまたは第二速さ)になるように、着脱位置Pと切替位置Qとの間におけるプラテン5の搬送速さの平均および切替位置Qと印刷位置Hとの間におけるプラテン5の搬送速さの平均が、プラテンサイズに応じて設定される。
【0067】
本実施形態では、プラテンサイズが「L」の場合、着脱位置PLと切替位置QLとの間におけるプラテン5の搬送速さの平均は第三速さに設定され、切替位置QLと印刷位置Hとの間におけるプラテン5の搬送速さの平均は第四速さに設定される。第三速さは第一速さよりも小さい。第四速さは第一速さよりも大きい。
【0068】
プラテンサイズが「S」の場合、着脱位置PSと切替位置QSとの間におけるプラテン5の搬送速さの平均は第五速さに設定され、切替位置QSと印刷位置Hとの間におけるプラテン5の搬送速さの平均は第六速さに設定される。第五速さは第二速さよりも小さい。第六速さは第二速さよりも大きい。
【0069】
図6を参照し、プリンタ1の電気的構成を説明する。プリンタ1は制御基板10を備える。制御基板10にはCPU41、ROM42、RAM43、およびフラッシュメモリ44が設けられる。CPU41はプリンタ1の制御を司り、ROM42、RAM43、およびフラッシュメモリ44と電気的に接続する。ROM42は、CPU41がプリンタ1の動作を制御するための制御プログラム、各種プログラムの実行時にCPU41が必要な情報等を記憶する。ROM42は、副走査モータ18の回転角度に基づいて、プラテン5の前後方向の位置(着脱位置PL、PS、切替位置QL、QS等)を、プラテンサイズに対応付けて記憶する。ROM42は、プラテン5の各区間の搬送速さ(第三速さ、第四速さ、第五速さ、第六速さ等)を、プラテンサイズに対応付けて記憶する。RAM43は、制御プログラムで用いられる各種データ等を一時的に記憶する。フラッシュメモリ44は、不揮発性であり、プラテンサイズ、印刷を行うための印刷データ等を記憶する。
【0070】
CPU41には主走査モータ19、副走査モータ18、ヘッド駆動部17、入力部46、カメラ47が電気的に接続される。主走査モータ19、副走査モータ18、ヘッド駆動部17はCPU41による制御によって駆動する。副走査モータ18にはエンコーダ181が設けられる。エンコーダ181は副走査モータ18の回転角度を検出し、検出結果をCPU41に出力する。ヘッド駆動部17は圧力素子等であり、駆動することでヘッド91~96にノズルからインクを吐出させる。
【0071】
入力部46は操作に応じた情報をCPU41に出力する。ユーザは入力部46を操作することで、プラテンサイズ、プリンタ1による印刷を開始するための印刷指示等をプリンタ1に入力できる。カメラ47は、CPU41からの指示またはユーザからの指示に応じて撮像し、撮像結果をCPU41に出力する。
【0072】
図7、
図8を参照し、メイン処理を説明する。プリンタ1の電源が投入されると、CPU41は、ROM42から制御プログラムを読み出して動作することで、メイン処理を実行する。メイン処理では、プラテンサイズの取得、プラテン5の搬送動作、印刷制御等が行われる。
【0073】
プリンタ1の電源が投入された場合、プラテン5は、例えば、前回のメイン処理において、後述のS13でフラッシュメモリ44に設定された着脱位置Pに位置する。例えば、プラテン5Lがプラテン支持部材3に取り付けられて前回の印刷が行われ、プリンタ1の電源が切られる場合がある。この場合、フラッシュメモリ44には着脱位置PLが設定されているので、プリンタ1の電源が投入されたときには、プラテン5Lは着脱位置PLに位置する。
【0074】
例えばプラテン5Lからプラテン5Sに取り換えられる場合には、プラテン5Lが着脱位置PLに位置する状態で、ユーザは、プラテン支持部材3からプラテン5Lを取り外し、プラテン5Sをプラテン支持部材3に取り付ける。なお、ユーザがプラテン支持部材3に対してプラテン5を取り換えるタイミングは、プリンタ1の電源の投入前でもよいし、プラテンサイズの入力後でもよい。
【0075】
メイン処理が開始されると、CPU41はプラテンサイズの入力操作があったか否かを判断する(S11)。入力部46においてプラテンサイズの入力操作が行われなかった場合(S11:NO)、CPU41は処理をS21へ移行する。
【0076】
ユーザは入力部46を操作して、プラテンサイズをプリンタ1に入力する。入力部46においてプラテンサイズの入力操作があった場合(S11:YES)、CPU41は入力操作に応じてプラテンサイズを取得し、フラッシュメモリ44に記憶する(S12)。CPU41は、S12で取得されたプラテンサイズに応じて、
図3~
図5に示す着脱位置Pと切替位置Qとの間におけるプラテン5の搬送速さ、切替位置Qと印刷位置Hとの間におけるプラテン5の搬送速さ、着脱位置P、および切替位置Qを、ぞれぞれ、フラッシュメモリ44に設定する(S13)。これにより、CPU41はS12で取得されたプラテンサイズに応じてプラテン5の搬送動作を決定する。
【0077】
S13では、CPU41は、フラッシュメモリ44を参照し、S12で取得されたプラテンサイズが「L」および「S」のいずれであるかを判断する。上述したように、ROM42には、プラテン5の前後方向の位置およびプラテン5の各区間の搬送速さが、それぞれ、プラテンサイズに対応付けられて記憶されている。CPU41は、ROM42を参照し、プラテンサイズに応じた着脱位置Pおよび切替位置Qを特定し、且つプラテンサイズに応じたプラテン5の各区間の搬送速さを特定する。
【0078】
S12でプラテンサイズ「L」が取得された場合、着脱位置Pと印刷位置Hとの間におけるプラテン搬送機構6によるプラテン5の搬送時間が第一時間となるプラテン5の搬送動作を決定する。本実施形態では、CPU41は、特定された第三速さを、着脱位置Pと切替位置Qとの間におけるプラテン5の搬送速さに設定する。CPU41は、特定された第四速さを、切替位置Qと印刷位置Hとの間におけるプラテン5の搬送速さに設定する。CPU41は、特定された着脱位置PLを、着脱位置Pに設定する。CPU41は、特定された切替位置QLを、切替位置Qに設定する。
【0079】
S12でプラテンサイズ「S」が取得された場合、着脱位置Pと印刷位置Hとの間におけるプラテン搬送機構6によるプラテン5の搬送時間が第二時間となるプラテン5の搬送動作を決定する。本実施形態では、CPU41は、特定された第五速さを、着脱位置Pと切替位置Qとの間におけるプラテン5の搬送速さに設定する。CPU41は、特定された第六速さを、切替位置Qと印刷位置Hとの間におけるプラテン5の搬送速さに設定する。CPU41は、特定された着脱位置PSを、着脱位置Pに設定する。CPU41は、特定された切替位置QSを、切替位置Qに設定する。
【0080】
CPU41は印刷指示が入力されたか否かを判断する(S21)。印刷指示がない場合(S21:NO)、CPU41は処理をS11へ戻す。ユーザは、
図3に示すプラテン5が着脱位置Pに位置する状態で、
図4に示す印刷媒体Mをプラテン5に取り付ける。その後、ユーザは入力部46を操作して、印刷指示をプリンタ1に入力する。印刷指示があった場合(S21:YES)、CPU41は印刷データをフラッシュメモリ44から取得する(S22)。
【0081】
CPU41は
図4に示す前端位置Fに応じて、
図4に示す折返位置Rをフラッシュメモリ44に設定する(S23)。S23では、CPU41はS22で取得された印刷データに基づいて、RAM43に印刷画像を展開する。CPU41は印刷画像に基づいて
図4に示す前端位置Fを特定する。CPU41は
図4に示す前端位置Fが印刷位置Hに配置されるときのプラテン5の前後方向の位置、つまり規定位置Wの前後方向の位置を、折返位置Rに設定する。
【0082】
CPU41は、決定されたプラテン5の搬送動作を実行する。例えば、CPU41は副走査モータ18を制御し、着脱位置Pと切替位置Qとの間におけるS13で設定されたプラテン5の搬送速さでプラテン5を後方に搬送開始する(S31)。S31によって、プラテン5Lは、前回の印刷における着脱位置Pから第三速さで切替位置QLに向かって搬送され、プラテン5Sは、前回の印刷における着脱位置Pから第五速さで切替位置QSに向かって搬送される。
【0083】
CPU41はエンコーダ181からの検出結果に基づいて、S13で設定された切替位置Qにプラテン5が到達したか否かを判断する(S32)。S13で設定された切替位置Qよも前方にプラテン5が位置する場合(S32:NO)、CPU41は処理をS32に戻し、S13で設定された切替位置Qにプラテン5が到達するまでS32を繰り返す。
【0084】
S13で設定された切替位置Qにプラテン5が到達した場合(S32:YES)、CPU41は副走査モータ18を制御し、プラテン5の搬送速さを、切替位置Qと印刷位置Hとの間におけるS13で設定されたプラテン5の搬送速さに変更する(S33)。S33によって、プラテン5Lは、切替位置QLから第四速さで折返位置Rに向かって搬送され、プラテン5Sは、切替位置QSから第六速さで折返位置Rに向かって搬送される。
【0085】
CPU41はエンコーダ181からの検出結果に基づいて、S23で設定された折返位置Rにプラテン5が到達したか否かを判断する(S34)。S23で設定された折返位置Rよりも前方にプラテン5が位置する場合(S34:NO)、CPU41は処理をS34に戻し、S23で設定された折返位置Rにプラテン5が到達するまでS34を繰り返す。
【0086】
S23で設定された折返位置Rにプラテン5が到達した場合(S34:YES)、CPU41は副走査モータ18の駆動を停止し、プラテン5の搬送を停止する(S35)。S35によって、プラテン5はS23で設定された折返位置Rで一旦停止する。
【0087】
図8に示すように、CPU41は印刷データに基づいて印刷制御を行う(S41)。印刷制御では、CPU41はプラテン5の搬送動作と同期して、主走査モータ19とヘッド駆動部17とを制御する。例えば、ヘッド91~96の一部または全部がノズルからインクを吐出しながらキャリッジ20が左右方向に一往復し、その後、プラテン5が所定距離だけ前方に搬送される。この動作が、S23で設定された折返位置Rにプラテン5が位置する状態から印刷データに基づいて繰り返し実行される。
【0088】
詳細には、ヘッド91~96の左右方向の往復動作において、まず、ヘッド91、94から白インクが吐出され、下地画像が印刷される。その後、プラテン5が前方に搬送されて下地画像がヘッド93、96の下方に配置されると、ヘッド91~96の左右方向の往復動作において、ヘッド93、96からカラーインクが吐出される。これにより、白インクによって下地画像が印刷されながら、下地画像の上にカラーインクによってカラー画像が重ねて印刷される。プラテン5上の印刷媒体Mへの印刷画像の全部の印刷が終了した場合、副走査モータ18と主走査モータ19とヘッド駆動部17の駆動が停止されて、印刷制御が終了する。
【0089】
CPU41は副走査モータ18を制御し、切替位置Qと印刷位置Hとの間におけるS13で設定されたプラテン5の搬送速さで、プラテン5を前方に搬送開始する(S42)。S42によって、プラテン5は、印刷制御が終了したときの位置から、第四速さまたは第六速さで、S13で設定された切替位置Qに向かって搬送される。
【0090】
CPU41はエンコーダ181からの検出結果に基づいて、S13で設定された切替位置Qにプラテン5が到達したか否かを判断する(S43)。S13で設定された切替位置Qよりも後方にプラテン5が位置する場合(S43:NO)、CPU41は処理をS43に戻し、S13で設定された切替位置Qにプラテン5が到達するまでS43の処理を繰り返す。
【0091】
S13で設定された切替位置Qにプラテン5が到達した場合(S43:YES)、CPU41は副走査モータ18を制御し、プラテン5の搬送速さを、着脱位置Pと切替位置Qとの間におけるS13で設定されたプラテン5の搬送速さに変更する(S44)。S44によって、プラテン5Lは、切替位置QLから第三速さで着脱位置PLに向かって搬送され、プラテン5Sは、切替位置QSから第五速さで着脱位置PSに向かって搬送される。
【0092】
CPU41はエンコーダ181からの検出結果に基づいて、S13で設定された着脱位置Pにプラテン5が到達したか否かを判断する(S45)。S13で設定された着脱位置Pよりもプラテン5が後方にある場合(S45:NO)、CPU41は処理をS45に戻し、S13で設定された着脱位置Pにプラテン5が到達するまでS45を繰り返す。
【0093】
S13で設定された着脱位置Pにプラテン5が到達した場合(S45:YES)、CPU41は副走査モータ18の駆動を停止し、プラテン5の搬送を停止する(S46)。S46によって、プラテン5Lは着脱位置PLで停止し、プラテン5Sは着脱位置PSで停止する。CPU41は処理を
図7に示すS11へ戻す。
【0094】
ユーザは、S13で設定された着脱位置Pでプラテン5が停止した状態で前壁21の前側に立って、印刷済みの印刷媒体Mをプラテン5から取り外し、印刷前の印刷媒体Mをプラテン5に取り付ける。この場合には、プラテン5の後端53が開口221よりも前方に配置されているので、前壁21に印刷媒体Mが干渉することが抑制される。よって、本実施形態では、ユーザはプラテン5から印刷媒体Mを取り外しやすく、プラテン5に印刷媒体Mを取り付けやすい。
【0095】
以上説明したように、本実施形態では、プリンタ1は、ヘッド91~96とプラテン5とプラテン搬送機構6とCPU41とを備える。ヘッド91~96は印刷媒体Mに印刷を行う。プラテン5は印刷媒体Mを支持する。プラテン搬送機構6はプラテン5をヘッド91~96に対して前後方向に搬送する。CPU41はプラテンサイズを取得する。プラテンサイズはプラテン5における前後方向のサイズである。CPU41はプラテン搬送機構6によるプラテン5の搬送動作を制御する。CPU41はプラテンサイズ「L」が取得された場合、印刷媒体Mの着脱位置Pと印刷位置Hとの間におけるプラテン搬送機構6によるプラテン5の搬送時間が第一時間となるプラテン5の搬送動作を制御する。印刷位置Hはヘッド91~96が設けられる前後方向の位置である。CPU41はプラテンサイズ「S」が取得された場合、着脱位置Pと印刷位置Hとの間におけるプラテン搬送機構6によるプラテン5の搬送時間が第二時間となるプラテン5の搬送動作を制御する。プラテンサイズ「S」はプラテンサイズ「L」よりも小さい。第二時間は第一時間とは異なる。よって、プリンタ1は、プラテンサイズ「L」が取得された場合とプラテンサイズ「S」が取得された場合とで、着脱位置Pと印刷位置Hとの間におけるプラテン5の搬送時間を異ならせることができる。
【0096】
本実施形態では、CPU41は、プラテンサイズ「S」が取得された場合、着脱位置Pと印刷位置Hとの間におけるプラテン搬送機構6によるプラテン5の搬送時間が第二時間となるプラテン5の搬送動作を制御する。第二時間は第一時間よりも短い。よって、プリンタ1は、プラテンサイズ「S」が取得された場合には、プラテンサイズ「L」が取得された場合よりも、着脱位置Pと印刷位置Hとの間のプラテン5の搬送時間を短くできる。このため、プリンタ1は印刷の生産性を向上できる。
【0097】
本実施形態では、CPU41は、プラテンサイズ「L」が取得された場合、印刷位置Hからの前後方向の距離DL1が第一距離となる位置に、着脱位置Pを設定する。CPU41は、プラテンサイズ「S」が取得された場合、印刷位置Hからの前後方向の距離DS1が第二距離となる位置に、着脱位置Pを設定する。第二距離(距離DS1)は第一距離(距離DL1)とは異なる。よって、プリンタ1は、プラテンサイズ「L」が取得された場合とプラテンサイズ「S」が取得された場合とで、着脱位置Pと印刷位置Hとの間におけるプラテン5の搬送時間を異ならせることができる。
【0098】
仮に、プラテン5Sが着脱位置PLまで搬送されるとする。この場合、プラテン5Sが着脱位置PSまで搬送される場合よりも、印刷位置Hから着脱位置Pまでの前後方向の距離が大きくなる。このため、印刷位置Hと着脱位置Pとの間におけるプラテン5Sの搬送時間が長くなる。よって、プリンタ1による印刷の生産性が悪化する可能性がある。本実施形態では、CPU41は、プラテンサイズ「S」が取得された場合、印刷位置Hからの前後方向の距離DS1が第二距離となる位置に、着脱位置Pを設定する。第二距離(距離DS1)は第一距離(距離DL1)よりも小さい。よって、プリンタ1は、プラテンサイズ「S」が取得された場合には、プラテンサイズ「L」が取得された場合よりも、着脱位置Pと印刷位置Hとの間におけるプラテン5の搬送時間を短くできる。このため、プリンタ1は印刷の生産性を向上できる。
【0099】
本実施形態では、CPU41は、プラテンサイズ「L」が取得された場合、着脱位置Pと印刷位置Hとの間におけるプラテン搬送機構6によるプラテン5の搬送速さの平均が第一速さとなるプラテン5の搬送動作を制御する。CPU41は、プラテンサイズ「S」が取得された場合、着脱位置Pと印刷位置Hとの間におけるプラテン搬送機構6によるプラテン5の搬送速さの平均が第二速さとなるプラテン5の搬送動作を制御する。第二速さが第一速さと異なる。よって、プリンタ1は、プラテンサイズ「L」が取得された場合とプラテンサイズ「S」が取得された場合とで、着脱位置Pと印刷位置Hとの間におけるプラテン5の搬送時間を異ならせることができる。
【0100】
本実施形態では、プリンタ1は、前壁21を備える。前壁21には開口221が設けられる。プラテン5は、着脱位置Pと印刷位置Hとの間をプラテン搬送機構6によってプラテン5が搬送される場合に開口221を通る。CPU41は、プラテン5を、着脱位置Pと印刷位置Hとの間において、切替位置Qを経由して、プラテン搬送機構6に搬送させる。切替位置Qは、プラテン5の前端52が開口221に位置するときのプラテン5の位置である。CPU41は、プラテンサイズ「L」が取得された場合、着脱位置Pと、プラテンサイズ「L」に応じた切替位置QLとの間におけるプラテン搬送機構6によるプラテン5の搬送速さの平均が第三速さとなるプラテン5の搬送動作を制御し、且つプラテンサイズ「L」に応じた切替位置と、印刷位置Hとの間におけるプラテン搬送機構6によるプラテン5の搬送速さの平均が第四速さとなるプラテン5の搬送動作を制御する。第三速さは第一速さよりも小さい。第四速さは第一速さよりも大きい。一方、CPU41は、プラテンサイズ「S」が取得された場合、着脱位置Pと、プラテンサイズ「S」に応じた切替位置QSとの間におけるプラテン搬送機構6によるプラテン5の搬送速さの平均が第五速さとなるプラテン5の搬送動作を制御し、且つプラテンサイズ「S」に応じた切替位置と、印刷位置Hとの間におけるプラテン搬送機構6によるプラテン5の搬送速さの平均が第六速さとなるプラテン5の搬送動作を制御する。第五速さは第二速さよりも小さい。第六速さは第二速さよりも大きい。プラテンサイズ「S」が取得された場合には、プラテンサイズ「L」が取得された場合よりも、切替位置Qと印刷位置Hとの間における前後方向の距離が大きくなる。このため、プラテンサイズ「S」が取得された場合には、プラテンサイズ「L」が取得された場合よりも、切替位置Qと印刷位置Hとの間におけるプラテン5の搬送時間に対する切替位置Qと印刷位置Hとの間におけるプラテン5の搬送速さの影響が大きくなる。プリンタ1では、第四速さが第三速さよりも大きく、第六速さが第五速さよりも大きい。よって、プリンタ1は、プラテンサイズ「S」が取得された場合には、プラテンサイズ「L」が取得された場合よりも、切替位置Qと印刷位置Hとの間におけるプラテン5の搬送時間を短くできる。このため、プリンタ1は印刷の生産性を向上できる。
【0101】
本実施形態では、CPU41は、プラテン5の後端53が開口221よりも前側に配置される位置に、着脱位置Pを設定する。例えば、プラテン5が着脱位置Pに位置する状態で、プラテン5に印刷媒体Mが取り付けられ、またはプラテン5から印刷媒体Mが取り外される。この場合において、いずれのプラテンサイズでも、プラテン5の後端53が開口221よりも前側に配置されているので、印刷媒体Mが前壁21に干渉することが抑制される。よって、プリンタ1は、プラテンサイズ「L」が取得された場合とプラテンサイズ「S」が取得された場合とで、着脱位置Pと印刷位置Hとの間におけるプラテン5の搬送時間を異ならせつつ、いずれのプラテンサイズに変更されても、印刷媒体Mをプラテン5に取り付けやすく、印刷媒体Mをプラテン5から取り外しやすい。
【0102】
本実施形態では、CPU41は、プラテン5を、着脱位置Pから所定の折返位置Rまで搬送した後、折返位置Rから着脱位置Pまでプラテン搬送機構6に搬送させる。CPU41は、前端位置Fが印刷位置Hに配置されるときのプラテン5の位置を、折返位置Rに設定する。前端位置Fは、印刷領域Gにおける前端の位置である。印刷領域Gは、印刷媒体Mのうちヘッド91~96によって画像が印刷される領域である。プリンタ1は、プラテン5を折返位置Rで折り返した後、前端位置Fが印刷位置Hに配置されるまでのプラテン5の搬送を省略できる。よって、プリンタ1は、プラテン5の搬送時間を短くできる。このため、プリンタ1は印刷の生産性を向上できる。
【0103】
本実施形態では、CPU41は、プラテン搬送機構6に対して、プラテン5を着脱位置Pから搬送させることで、プラテン5の搬送動作を開始する。プリンタ1は、プラテンサイズ「L」が取得された場合とプラテンサイズ「S」が取得された場合とで、着脱位置Pと印刷位置Hとの間におけるプラテン5の搬送時間を異ならせることができる。
【0104】
本実施形態では、CPU41は、プラテン搬送機構6に対して、プラテン5を着脱位置Pで停止させることで、プラテン5の搬送動作を終了する。プリンタ1は、プラテンサイズ「L」が取得された場合とプラテンサイズ「S」が取得された場合とで、着脱位置Pと印刷位置Hとの間におけるプラテン5の搬送時間を異ならせることができる。
【0105】
上記実施形態において、印刷媒体Mが本発明の「印刷媒体」に相当する。ヘッド91~96が本発明の「ヘッド」に相当する。プラテン5が本発明の「プラテン」に相当する。プリンタ1の前後方向(副走査方向)が本発明の「搬送方向」に相当する。プラテン搬送機構6が本発明の「搬送手段」に相当する。
図7のS12を実行するCPU41が本発明の「取得手段」に相当する。プラテンサイズ「L」が本発明の「第一プラテンサイズ」に相当する。プラテンサイズ「S」が本発明の「第二プラテンサイズ」に相当する。着脱位置Pが本発明の「着脱位置」に相当する。印刷位置Hが本発明の「印刷位置」に相当する。
図7のS31~
図8のS46を実行するCPU41が本発明の「搬送制御手段」に相当する。
【0106】
開口221が本発明の「開口」に相当する。前壁21が本発明の「壁」に相当する。切替位置Qが本発明の「切替位置」に相当する。印刷領域Gが本発明の「領域」に相当する。折返位置Rが本発明の「折返位置」に相当する。
図7のS12の処理が本発明の「取得処理」に相当する。
図7のS31~
図8のS46の処理が本発明の「搬送制御処理」に相当する。
【0107】
本発明は上記実施形態から種々変更できる。以下説明する各種変形例は、矛盾が生じない限りそれぞれ組み合わせ可能である。例えば本発明は上記実施形態のようなインクジェットタイプとは異なるタイプのプリンタにも適用できる。
【0108】
着脱位置Pにおいて、プラテン5の後端53が開口221よりも後側に配置されていてもよいが、上記実施形態においては、着脱位置Pでは、プラテン5が、開口221が設けられた前壁21よりも前側において平面視で筐体2と重ならない位置に配置される。これに対し、着脱位置Pにおいて、プラテン5の後端53が開口221よりも前側に配置されていれば、例えばプラテン5の下方に筐体2の一部が配置されていてもよい。
【0109】
上記実施形態において、ヘッド91~96の個数、ヘッド91~96の配置位置、ヘッド91~96から吐出される液体の種類は、上記実施形態に限定されない。プラテンサイズは「L」、「S」の2種類に限定されず、3種類以上でもよい。位置決め機構4は上記実施形態に限定されず、付勢部材等でプラテン5を規定位置Wに位置決めしてもよい。プリンタ1は筐体2を省略し、骨組みで構成されてもよい。プラテン搬送機構6は上記実施形態に限定されず、ボールねじ等でプラテン5を前後方向に搬送してもよい。
【0110】
上記実施形態において、第二時間が第一時間よりも長くなるようにプラテン5の搬送動作が制御されてもよい。例えば、印刷位置Hから着脱位置PSまでの前後方向の距離DS1は、印刷位置Hから着脱位置PLまでの前後方向の距離DL1よりも大きくてもよい。第二速さは第一速さよりも小さくてもよい。
【0111】
上記実施形態において、印刷位置Hから着脱位置PSまでの前後方向の距離DS1は、印刷位置Hから着脱位置PLまでの前後方向の距離DL1と同じでもよい。つまり、第二時間が第一時間と異なっていれば、印刷位置Hから着脱位置Pまでの前後方向の距離はプラテンサイズによらず一定であってもよい。上記実施形態において、第二速さは第一速さと同じでもよい。つまり、第二時間が第一時間と異なっていれば、着脱位置Pと印刷位置Hとの間におけるプラテン5の搬送速さの平均はプラテンサイズによらず一定であってもよい。
【0112】
第三速さおよび第四速さは第一速さと同じでもよいし、第五速さおよび第六速さは第二速さと同じであってもよい。つまり、着脱位置Pと印刷位置Hとの間において、プラテン5は一定の速さで搬送されてもよい。第三速さは第一速さよりも大きくてもよい。第四速さは第一速さよりも小さくてもよい。第五速さは第二速さよりも大きくてもよい。第六速さは第二速さよりも小さくてもよい。
【0113】
上記実施形態では、規定位置Wが着脱位置Pに位置するときに、プラテン5が着脱位置Pに位置するとして説明した。これに対し、プラテン5の前端52が着脱位置Pに位置するときに、プラテン5が着脱位置Pに位置するとしてもよい。プラテン5の後端53が着脱位置Pに位置するときに、プラテン5が着脱位置Pに位置するとしてもよい。プラテン5の前後方向の中心が着脱位置Pに位置するときに、プラテン5が着脱位置Pに位置するとしてもよい。プラテン5が折返位置Rに位置するときについても同様である。
【0114】
例えば、プラテン5Lの後端53と開口221との間の距離が所定距離となるときのプラテン5Lの位置が着脱位置PLとされ、且つプラテン5Sの後端53と開口221との間の距離が所定距離となるときのプラテン5Sの位置が着脱位置PSとされてもよい。つまり、プラテン5Lが着脱位置PLに位置するときのプラテン5Lの後端53と開口221との間の前後方向の距離とプラテン5Sが着脱位置PSに位置するときのプラテン5Sの後端53と開口221との間の前後方向の距離とは所定距離で同じであってもよい。
【0115】
上記実施形態では、ヘッド94の複数のノズルのうち最前列のノズルにおける前後方向の位置を印刷位置Hとして説明した。これに対し、例えば白インクよりも先にカラーインクが吐出される場合には、ヘッド96の複数のノズルのうち最前列のノズルにおける前後方向の位置が印刷位置Hとなる。この場合、印刷媒体Mのうちカラー画像が印刷される領域が印刷領域Gとなる。さらに、印刷位置Hは、ヘッド91~96のいずれかの前後方向の中心とされてもよいし、ヘッド91~96の全体の前後方向の中心位置とされてもよいし、ヘッド91~96の前端または後端の位置とされてもよい。
【0116】
上記実施形態では、CPU41は入力部46の操作に応じてプラテンサイズを取得する。これに対し、外部のコンピュータからプラテンサイズを受信することで、プラテンサイズを取得してもよい。
【0117】
上記実施形態において、CPU41はカメラ47から撮像結果を取得し、取得した撮像結果に基づいてプラテンサイズを特定してもよい。例えば、カメラ47はプラテン5の全体を撮像する。CPU41はカメラ47による撮像結果に基づいてエッジ抽出を行う公知のフィルタ処理を行い、プラテン5の輪郭を特定する。これにより、CPU41はカメラ47によって撮像されたプラテン5の全体像を認識し、プラテンサイズを特定する。プリンタ1はカメラ47を用いたプラテンサイズの特定方法として他の方法を採用してもよい。例えば、識別情報がプラテン5に付加される。識別情報は、バーコード、QRコード(登録商標)等であり、一つのプラテン5を他のプラテン5と識別可能な情報である。識別情報は、単に一つのプラテンサイズを他のプラテンサイズと識別可能な情報であってもよい。カメラ47は識別情報を撮像し、CPU41はカメラ47によって撮像された識別情報を認識することで、プラテンサイズを特定してもよい。
【0118】
上記変形例では、CPU41は、カメラ47による撮像結果からプラテンサイズを取得する。このため、プリンタ1では、プラテンサイズの種類の増減に伴ってプラテンサイズを検出するためのセンサを増減したり、プラテンサイズを入力するための入力画面を変更したりする必要がない。よって、プリンタ1はプラテンサイズの増減にも容易に対応できる。
【0119】
上記実施形態では、ユーザは入力部46を操作して、プラテンサイズをプリンタ1に入力する。これに対し、ユーザは、プラテンサイズを特定可能な情報をプリンタ1に入力してもよい。プラテンサイズを特定可能な情報は、プラテン5の型番、通し番号等である。ユーザは、プラテン5の前後方向の実際の長さをプリンタ1に入力してもよい。
【0120】
上記実施形態では、CPU41は、エンコーダ181からの検出結果に基づいてプラテン5の前後方向の位置を特定した。このため、プリンタ1は、プラテンサイズの種類数によらず、一つのエンコーダ181によってプラテン5の前後方向の各位置を特定できる。これに対し、プリンタ1は各位置にあるプラテン5を検出するためのセンサを、プラテンサイズ毎に各位置に備えてもよい。この場合、CPU41は、センサからの検出結果に基づいて、プラテン5が各位置に位置することを特定してもよい。センサは、カメラ、スイッチセンサ、光センサ等である。
【0121】
例えば、S13で設定された着脱位置Pとは異なる位置にプラテン5が位置する状態で、プリンタ1の電源が切られる場合がある。この場合、プリンタ1の電源が投入されたときには、プラテン5は上記異なる位置に位置する。例えば、CPU41は、プリンタ1の電源が投入された場合に、エンコーダ181からの検出結果に基づいて、S13で設定された着脱位置Pにプラテン5が位置するか否かを判断してもよい。S13で設定された着脱位置Pとは異なる位置にプラテン5が位置する場合、印刷前の初期動作として、CPU41は、副走査モータ18を制御して、S13で設定された着脱位置Pにプラテン5を搬送してもよい。プラテンサイズの変更があった場合にも、同様に、印刷前の初期動作として、CPU41は、副走査モータ18を制御して、S13で設定された着脱位置Pにプラテン5を搬送してもよい。
【0122】
上記実施形態では、印刷位置Hから折返位置Rまでの前後方向の距離DRが規定位置Wに対する前端位置Fに応じて異なる。これに対し、印刷位置Hから折返位置Rまでの前後方向の距離DRはプラテンサイズに応じて異なっていてもよい。
図9(A)では、プラテン5Lの折返位置Rを折返位置RLとして示す。
図9(B)では、プラテン5Sの折返位置Rを折返位置RSとして示す。折返位置Rは印刷位置Hに対して着脱位置Pとは反対側に位置する。印刷位置Hから折返位置RSまでの前後方向の距離DS3は、印刷位置Hから折返位置RLまでの前後方向の距離DL3よりも小さい。この場合、
図7に示すS23が省略され、S13において、S12で取得されたプラテンサイズに応じて折返位置Rが設定されてもよい。
【0123】
上記変形例では、CPU41は、プラテン5を、着脱位置Pから印刷位置Hを経由して、折返位置Rまで搬送した後、折返位置Rから印刷位置Hを経由して着脱位置Pまでプラテン搬送機構6に搬送させる。折返位置Rは、前後方向において印刷位置Hに対して着脱位置Pとは反対側である。CPU41は、プラテンサイズ「L」が取得された場合、印刷位置Hからの前後方向の距離DL3が第三距離となる位置に、折返位置Rを設定する。CPU41は、プラテンサイズ「S」が取得された場合、印刷位置Hからの前後方向の距離DS3が第四距離となる位置に、折返位置Rを設定する。第四距離(距離DS3)が第三距離(距離DL3)よりも小さい。よって、プリンタ1は、プラテンサイズ「S」が取得された場合には、プラテンサイズ「L」が取得された場合よりも、印刷位置Hと折返位置Rとの間におけるプラテン5の搬送時間を短くできる。このため、プリンタ1は印刷の生産性を向上できる。
【0124】
印刷制御では下地重ね印刷が制御されてもよい。下地重ね印刷では、下地画像の上にさらに下地画像が重ねて印刷され、その上にカラー画像が重ねて印刷される。詳細には、ヘッド91、94から白インクが吐出されて、1回目の下地画像が印刷される。1回目の下地画像の全部の印刷が終了した場合、副走査モータ18が制御されて、プラテン5が折返位置Rに戻される。その後、ヘッド91、94から白インクが吐出され、ヘッド93、96からカラーインクが吐出される。これにより、1回目の下地画像の上に白インクによって2回目の下地画像が重ねて印刷されながら、2回目の下地画像の上にカラーインクによってカラー画像が重ねて印刷される。
【0125】
上記実施形態では、プラテン5の上面は平らである。これに対し、プラテン5の上面は例えば湾曲していてもよい。プラテン5は平面視で矩形状である。これに対し、プラテン5の輪郭、例えば前端および後端には、湾曲した部分が形成されていてもよい。プラテン5はTシャツに印刷するためのプラテンに限定されず、Tシャツの首の位置に設けられたタグに印刷するためのプラテンでもよい。いずれのプラテンであっても、プラテンサイズはプラテンの前後方向の長さ、つまりプラテンの前端から後端までの長さによって定められればよい。
【符号の説明】
【0126】
1 プリンタ
2 筐体
5 プラテン
6 プラテン搬送機構
21 前壁
41 CPU
42 ROM
43 RAM
44 フラッシュメモリ
91~96 ヘッド
221 開口