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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022103516
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】太陽電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/048 20140101AFI20220701BHJP
   H01L 31/0445 20140101ALI20220701BHJP
【FI】
H01L31/04 560
H01L31/04 530
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020218204
(22)【出願日】2020-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】593118128
【氏名又は名称】コアテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003085
【氏名又は名称】特許業務法人森特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】光畑 共久
(72)【発明者】
【氏名】岡 裕史
(72)【発明者】
【氏名】原 芳治
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀和
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 友紀
【テーマコード(参考)】
5F151
【Fターム(参考)】
5F151AA05
5F151BA18
5F151JA03
5F151JA04
5F151JA05
(57)【要約】
【課題】
太陽電池モジュールが撓んだ状態や太陽電池モジュールに曲面が形成されるような状態でも発電することが可能であり、封止材が燃えにくい太陽電池モジュールを提供する。
【解決手段】
表面保護層と裏面保護層との間に配される柔軟な封止材と、封止材に包摂されたシート状の太陽電池セルとを有する太陽電池モジュールであり、封止材は、シリコーン樹脂を主成分とするものであり、表面保護層、及び封止材は、透光性の素材であり、封止材、及び太陽電池セルは、可撓性を備えるものである太陽電池モジュールである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面保護層と裏面保護層との間に配される柔軟な封止材と、
封止材に包摂されたシート状の太陽電池セルとを有する太陽電池モジュールであり、
封止材は、シリコーン樹脂を主成分とするものであり、
表面保護層、及び封止材は、透光性の素材であり、
封止材、及び太陽電池セルは、可撓性を備えるものである太陽電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、受光面に配される保護材と、受光面の反対側に配されるバックシートと、封止材と、封止材の間に配された太陽電池とを有する太陽電池モジュールが記載されている。
【0003】
封止材として、EVA(エチレンビニルアセテート)、又はポリオレフィン等の合成樹脂が使用されることが記載されている。太陽電池は、単結晶シリコン基板を備えるものを使用するとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2017/002887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の太陽電池モジュールでは、太陽電池セルが単結晶シリコンで形成される。単結晶シリコンは、金属シリコンを溶融、固化させて得たウェハーで構成される。単結晶シリコンを利用した太陽電池モジュールでは、太陽電池モジュールを曲げると、太陽電池セルが破損し、発電する機能が喪失してしまう。したがって、太陽電池モジュールが撓んだ状態や太陽電池モジュールに曲面が形成されるような状態では使用することができなかった。
【0006】
特許文献1の太陽電池モジュールでは、太陽電池セルと封止材であるEVAとが接する構成である。万が一、太陽電池セルが短絡した場合には、発火により火災が生じる原因となる可能性がある。
【0007】
本発明は、太陽電池モジュールが撓んだ状態や太陽電池モジュールに曲面が形成されるような状態でも発電することが可能であり、封止材が燃えにくい太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
表面保護層と裏面保護層との間に配される柔軟な封止材と、封止材に包摂されたシート状の太陽電池セルとを有する太陽電池モジュールであり、封止材は、シリコーン樹脂を主成分とするものであり、表面保護層、及び封止材は、透光性の素材であり、封止材、及び太陽電池セルは、可撓性を備えるものである太陽電池モジュールにより上記の課題を解決する。この太陽電池モジュールにおいては、封止材は柔軟な素材から構成されており、太陽電子セルは可撓性を備えている。このため、太陽電池モジュールは曲げた状態でも使用することが可能である。また、太陽電池セルは、シリコーン樹脂を主成分とする封止材で封止されている。このため、万が一、電気回路に短絡が生じて太陽電セルが発火しにくい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、太陽電池モジュールが撓んだ状態や太陽電池モジュールに曲面が形成されるような状態でも発電することが可能であり、封止材が燃えにくい太陽電池モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る太陽電池モジュールの構成を示す断面図である。
図2】第2実施形態に係る太陽電池モジュールの構成を示す断面図である。
図3】第3実施形態に係る太陽電池モジュールの構成を示す断面図である。
図4】第4実施形態に係る太陽電池モジュールの構成を示す断面図である。
図5】第5実施形態に係る太陽電池モジュールの構成を示す断面図である。
図6】第6実施形態に係る太陽電池モジュールの構成を示す断面図である。
図7】第7実施形態に係る太陽電池モジュールの構成を示す断面図である。
図8】第8実施形態に係る太陽電池モジュールの構成を示す断面図である。
図9】第9実施形態に係る太陽電池モジュールの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の太陽電池モジュールの実施形態について説明する。以下に示す各実施形態と使用例は、本発明の限られた例に過ぎず、本発明の技術的範囲は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0012】
[第1実施形態]
図1に第1実施形態に係る太陽電池モジュール1を示す。本実施形態の太陽電池モジュール1は、フィルム状の表面保護層11と、フィルム状の裏面保護層12と、それらの間に介在する封止材13と、封止材13に包摂される太陽電池セル14とを有する。
【0013】
封止材13は、シリコーン樹脂を主成分とする。シリコーン樹脂は、硬化した状態では、炎に近づけても簡単には燃焼しない。このため、封止材として使用することで、着火、引火、又は延焼を防ぐ効果が得られる。シリコーン樹脂に対して、プラチナ、窒素、塩素、臭素などを含有する物質を配合してもよい。難燃性を有する物質を含有させることによって、封止材に自己消火性能を付与し、難燃性をさらに向上させることができる。
【0014】
太陽電池セル14は、アモルファスシリコン層を含むものであり、太陽電池モジュールを曲げた状態でも破損しない。表面保護層及び裏面保護層は、フィルム状の合成樹脂材料で構成されている。また、封止材は、柔軟な素材で構成される。このため、太陽電池モジュール1は、全体として可撓性を備えている。このため、例えば、曲面部分や凹凸のある部分に太陽電池モジュールを固定して、発電を行うことができる。
【0015】
表面保護層11、及び封止材13は、透光性の素材で構成されている。太陽電池モジュール1に光が照射されると、当該光は、表面保護層11及び封止材13により遮られることなく、表面保護層11及び封止材13を透過して、太陽電池セル14に達する。太陽電池セル14によって、前記光のエネルギーは電気に変換される。
【0016】
表面保護層は、透光性と可撓性を備えているものであればよい。本実施形態の太陽電池モジュールでは、四フッ化エチレン-エチレン共重合体(ETFE)を主成分として含有するフィルムを使用している。表面保護層としては、その他、四フッ化エチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、若しくは三フッ化塩化エチレン(ECTFE)などのフッ素系合成樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET);又はポリエチレン(PE)などの合成樹脂を主たる成分として使用することができる。
【0017】
裏面保護層は、可撓性を備えているものであればよい。本実施形態の太陽電池モジュール1では、表面保護層11と同様の素材で、裏面保護層12を構成している。裏面保護層として、ETFE、PFA、若しくはECTFEなどのフッ素系合成樹脂、PET、又はPEなどの合成樹脂を主たる成分として使用することができる。裏面保護層は、透光性を有するものであってもよいし、透光性を有しないものであってもよい。
【0018】
封止材は、透光性を備えており、シリコーン樹脂を主成分とする。シリコーン樹脂としては、硬化した状態でゴムのような弾性を有するシリコーンゴムを好適に使用することができる。シリコーン樹脂は、紫外線で硬化するもの、加熱により硬化するもの、湿気により硬化するものなど、任意の硬化方法により硬化するものを使用することができる。これらのシリコーン樹脂は、何れも公知のものを使用することができる。
【0019】
太陽電池モジュールの製造方法は、特に限定されないが、例えば次のようにして製造することができる。シリコーン樹脂は、未硬化の状態で表面保護層11と裏面保護層12との間に適用し、シリコーン樹脂の中に太陽電池セルが包摂された状態で硬化させる。これによって、図1に示したように、表面保護層11と裏面保護層12との間に充填された封止材13の中に太陽電池セル14が包摂された太陽電池モジュール1を製造できる。
【0020】
[第2実施形態]
本実施形態の太陽電池モジュール1bは、図2に示したように、上記の太陽電池モジュール1の受光面側に接着剤層15を介して硬質樹脂からなる表面保護層11bを固定した構成である。接着剤層15は、硬化した状態で柔軟性を有するものを使用している。表面保護層11bの厚みは、特に限定されないが、例えば、5~50mmである。表面保護層11b、及び接着剤層15は、透光性を有するものを使用している。日光などの光は、表面保護層11b、接着剤層15、上記の第1実施形態に係る表面保護層11と同様の構成を有する保護層16、及び封止材13を経て、太陽電池セル14に入射する。本実施形態の太陽電池モジュール1bは、硬質樹脂からなる表面保護層11bを備えるので、受光面側が損傷しにくい。太陽電池モジュール1bの上を人や車両が通過する用途に使用することができる。なお、図2においては、図1の太陽電池モジュール1と同様の構成については、同じ符号を使用した(図3ないし図9において同じ。)。
【0021】
[第3実施形態]
本実施形態の太陽電池モジュール1cは、図3に示したように、上記の太陽電池モジュール1bから保護層16を省略した構成を有する。すなわち、接着剤層15と封止材13とが直接に接する。その他の点は、上記の太陽電池モジュール1bと同様である。
【0022】
[第4実施形態]
本実施形態の太陽電池モジュール1dは、図4に示したように、上記の太陽電池モジュール1の受光面と反対側の面に接着剤層15dを介して、裏面保護層12dを固定した構成である。接着剤層15dは、上記の太陽電池モジュール1の裏面保護層12と同様の構成を有する保護層16dに対して積層される。接着剤層15dは、上記の接着剤層15と同様の構成を有する。接着剤層15dは、硬化した状態において透光性を有するものであってもよいし、透光性を有しないものであってもよい。裏面保護層12dは、硬質樹脂又は鋼板などの素材で構成される。裏面保護層の厚みは、特に限定されないが、例えば、5~50mmである。本実施形態の太陽電池モジュール1dは、受光面の反対側に硬質な裏面保護層12dを有するので、受光面の反対側が損傷しにくい。
【0023】
[第5実施形態]
本実施形態の太陽電池モジュール1eは、図5に示したように、上記の太陽電池モジュール1dから保護層16dを省略した構成を有する。すなわち、接着剤層15dと封止材13とが直接に接する。その他の点は、上記の太陽電池モジュール1dと同様である。
【0024】
[第6実施形態]
本実施形態の太陽電池モジュール1fは、図6に示したように、フィルム状の第1保護層161fと、フィルム状の第2保護層162fと、それらの間に介在する封止材13と、封止材13に包摂される太陽電池セル14と、第1保護層161fに第1接着剤層151fを介して積層される表面保護層11fと、第2保護層162fに第2接着剤層152fを介して積層される裏面保護層12fとを有する。
【0025】
本実施形態の太陽電池モジュール1fにおける第1保護層161fは、上記の第1実施形態に係る太陽電池モジュール1の表面保護層11と同様の構成であり、第2保護層162fは、上記の第1実施形態に係る太陽電池モジュール1の裏面保護層12と同様の構成である。本実施形態の太陽電池モジュール1fにおける表面保護層11fは、上記の第2実施形態に係る太陽電池モジュール1bの表面保護層11bと同様の構成であり、裏面保護層12fは、第4実施形態に係る太陽電池モジュール1dの裏面保護層12dと同様の構成である。本実施形態の太陽電池モジュール1fにおける第1接着剤層151fは、上記の第2実施形態に係る太陽電池モジュール1bの接着剤層15と同様の構成を有する。本実施形態の太陽電池モジュール1fにおける第2接着剤層152fは、上記の第4実施形態に係る太陽電池モジュール1dの接着剤層15dと同様の構成を有する。本実施形態の太陽電池モジュール1fでは、受光面に硬質な表面保護層を備えており、受光面の反対側に硬質な裏面保護層を有するので、受光面及び受光面の反対側が、損傷しにくい。
【0026】
[第7実施形態]
本実施形態の太陽電池モジュール1gは、図7に示したように、上記の太陽電池モジュール1fから第1保護層161fと第2保護層162fを省略した構成を有する。すなわち、第1接着剤層151fと封止材13とが直接に接し、第2接着剤層152fと封止材13とが直接に接する。その他の点は、上記の太陽電池モジュール1fと同様である。
【0027】
[第8実施形態]
本実施形態の太陽電池モジュール1hは、図8に示したように、第1保護層161h及び第2保護層162hとの間に介在する第1封止材131hと、第1封止材131hに包摂される第1太陽電池セル141hと;第2保護層162h及び第3保護層163hとの間に介在する第2封止材132hと、第2封止材132hに包摂される第2太陽電池セル142hと;第1保護層161hに第1接着剤層151fを介して積層される表面保護層11fと;第3保護層163hに第2接着剤層152fを介して積層される裏面保護層12fとを有する。
【0028】
第1保護層161h、第2保護層162h、及び第3保護層163hは、上記の第1実施形態に係る太陽電池モジュール1の表面保護層11と同様の構成を有する。第2保護層162hについては、透光性を有しない合成樹脂層又は鋼板などの金属板で構成してもよい。第1封止材131h、第2封止材132h、第1太陽電池セル141h、及び第2太陽電池セル142hは、上記の第1実施形態に係る太陽電池モジュール1の封止材13、及び太陽電池セル14と同様の構成を有する。第1接着剤層151h、及び第2接着剤層152hは、上記の第2実施形態に係る太陽電池モジュール1bの接着剤層15と同様の構成を有する。
【0029】
本実施形態の太陽電池モジュール1hでは、一方の面に硬質な表面保護層を備えており、他方の面に硬質な裏面保護層を有するので、太陽電池モジュールの両表面が損傷しにくい。第1太陽電池セル141hは一方の面に受光面を向けて配置されており、第2太陽電池セル142hは他方の面に受光面を向けて配置されており、各構成部材は透光性を有するので、第1太陽電池セル141hと第2太陽電池セル142hとの両方で太陽光発電を行うことができる。
【0030】
[第9実施形態]
本実施形態の太陽電池モジュール1iは、図9に示したように、上記の太陽電池モジュール1hから第1保護層161h及び第3保護層162hを省略した構成を有する。すなわち、第1接着剤層151fと第1封止材131hとが直接に接し、第2接着剤層152fと第2封止材132hとが直接に接する。その他の点は、上記の太陽電池モジュール1hと同様である。
【0031】
上記の実施形態に係る太陽電池モジュールは、何れも、封止材が燃えにくく、火災が発生するリスクを低減することができる。また、上記の実施形態に係る太陽電池モジュールは、曲げられた後でも発電する能力を喪失しない。例えば、硬質樹脂から構成される表面保護層又は裏面保護層を曲面を有する形状としても、発電する能力を喪失しない。
【符号の説明】
【0032】
1 太陽電池モジュール(第1実施形態)
11 表面保護層
12 裏面保護層
13 封止材
14 太陽電池セル
1b 太陽電池モジュール(第2実施形態)
11b 表面保護層
1c 太陽電池モジュール(第3実施形態)
1d 太陽電池モジュール(第4実施形態)
12d 裏面保護層
1e 太陽電池モジュール(第5実施形態)
1f 太陽電池モジュール(第6実施形態)
11f 表面保護層
12f 裏面保護層
1g 太陽電池モジュール(第7実施形態)
1h 太陽電池モジュール(第8実施形態)
1i 太陽電池モジュール(第9実施形態)


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9