(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022103537
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】衛生マスク
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20220701BHJP
A62B 18/02 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
A41D13/11 A
A62B18/02 C
A41D13/11 Z
A41D13/11 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020218232
(22)【出願日】2020-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】513084517
【氏名又は名称】有限会社川越システム
(74)【代理人】
【識別番号】240000039
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人 衞藤法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川越 聡
(72)【発明者】
【氏名】川越 大輔
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185CC32
(57)【要約】
【課題】衛生マスクを着用したままでも、多人数の会食など一定時間継続する通常の食事に対応可能な使い捨てタイプの紙製の衛生マスクを提供する。
【解決手段】マスク本体1は、略中央部分に設けられる上端が開放された略U字型の開口8と、この開口8を開閉自在に閉蓋する紙製フラップ2とを備える。そして、フラップ2の下端に回転軸式のフラップ開閉機構3を設け、フラップ開閉機構3のハンドル3cを左右いずれか又は両手で回動させて、フラップ2を開閉動作する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被装着者の口と鼻および顔面を覆う紙製のマスク本体と、当該マスク本体の両端に設けられマスク本体と被装着者の顔面に固定するストラップとを有する衛生マスクにおいて、前記マスク本体は、略中央部分に設けられる開口と、表面に設けられて前記開口を開閉自在に閉蓋する紙製フラップとを備え、当該フラップの下端に回転軸式のフラップ開閉機構を設けたことを特徴とする衛生マスク。
【請求項2】
フラップ開閉機構が、円筒状の紙管からなる回転軸と、この回転軸を回動自在に重合保持するホルダーと、前記回転軸の両端に設けられたハンドルからなることを特徴とする請求項1記載の衛生マスク。
【請求項3】
マスク本体及びフラップは抗菌板紙製または抗菌加工を施した板紙であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の衛生マスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生マスクに関し、とくに会食等の多人数で食事する際に用いて好適な使い捨てタイプの紙製の衛生マスクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、マスクは、利用者の口および口周辺を覆うマスク本体と、このマスク本体の左右に設けられ、利用者の耳に掛けられる耳掛け部とを備えている。このようなマスクは、通常は花粉などを防ぐためや風邪をひいた際などに利用される。
【0003】
従来から、繊維や抗菌材等様々な素材が衛生マスクに使用され、人体へのウイルスや細菌の侵入を防止又は捕集することが図られてきた。
【0004】
近年十数年の間、様々な伝染病が世界各地で流行しており、2002年~2003年にはSARSコロナウイルス(SARS-CoV)による呼吸器系感染症、2012~2013年には「中東呼吸器症候群(MERS)、その中でもとくに、最近全世界的に流行している新型コロナウイスル(COVID-19)による肺炎等の呼吸器疾患に罹患することが深刻で、世界レベルでの社会や経済に深刻な打撃を与えている。このため、これに対応し得る有効な衛生マスクの開発は喫緊の課題となっている。
【0005】
これらの呼吸器疾患は主にウイルスや細菌を含んだ飛沫を感染経路とするものであり、人々が近距離で接触するだけで、患者の咳やくしゃみの時に噴出した呼吸飛沫によってウイルスや細菌(以下、まとめて病原体と記す)が至るところで発散されるため、感染度が極めて高く、広域な集団感染を起こす可能性が高い。しかし、人同士の接触、交流は避けられない。
【0006】
病原体の蔓延を効果的に防止するためには、病原体の主要な感染媒体である飛沫を効果的に遮断しなければならない。そのため、衛生マスクは最適な選択となり、防疫に欠かせない役割を担っている。
【0007】
また、人々は上述した病原体に起因する伝染病の脅威に加えて、深刻な大気汚染問題にも直面している。工業社会の発展によってもたらされた大量の有害な汚染物質が大気中に浮遊し、深刻な大気汚染問題を引き起こしている。これらの大気中の汚染物質の防塵対策としても、現在、衛生マスクは日常的防護用品となっている。
【0008】
以上の問題に対して、衛生マスクの防護効能を強化するとともに衛生問題を解決して、伝染病と外部の汚染物に対する抵抗力を高めるために、効果的な濾過機能を有しつつ、抗菌機能あるいは殺菌機能を有するマスクを設計する必要がある。咳やくしゃみなどによって飛び散る飛沫(直径約5μm)に含まれる病原体の遮断性、すなわちフィルター捕集効率が極めて高い医療用サージカルマスクが提供されている。
【0009】
現在、上述した新型コロナ禍を受け、「新しい生活様式」の実践例が推奨されている。例えば、一人ひとりの基本的感染対策として、「身体的距離の確保(いわゆる、ソーシャルディスタンス)、マスクの着用、手洗い」を励行し、日常生活を営む上での基本的生活様式としては、「密集、密接、密閉の3密の回避」や咳エチケットなどの徹底が求められている。この中で、マスクの着用は、重要な位置を占めており、特に人が集まるような場所においては、マスクを着用することが求められている。
【0010】
ここで、マスクを着用している場合の問題点の一つとして、会食などの多人の飲食時における取り扱いがある。通常、飲食時には、例えば、マスクを外す、マスク全体を顎の下に下げる、一方のストラップ(耳掛け部)を外して他方のストラップで耳にマスクを掛けたままとする、などの取り扱いがされる。しかし、外した場合には外したマスクの飲食中の保管をどうするか、マスク全体を顎の下に無造作に下げた場合にはマスクの表裏の区別が付かなくなる状態をどうするか、片方の耳に掛けた場合には飲食の邪魔になったり見かけが悪くなったりする状態をどうするか、といったそれぞれの課題を抱えている。
【0011】
このような点に着目し、マスクに開口部を設けて、マスクを着用したまま飲食を可能にするマスクが開示されている(特許文献1参照)。特許文献1のマスクでは、開放状態の開口をマスク本体の表側から開閉可能に覆う蓋片を備えておき、飲食したくなったときには、蓋片を開いて開口の覆いを外し、開口を通じて飲食を行うこととされている。
しかしながら、特許文献1では、小さな食べ物(例えば、あめ玉、ガム、ビスケット、クラッカー等)を通すための)開口とすれば足り、大きな開口とする必要はないとされており、また、一旦開いた蓋片がフリーな状態であるので、一定時間継続する通常の食事には対応が困難である。
【0012】
他にも、マスク本体の中央部に穴を設け、面ファスナーを使用して開閉式の蓋を設けたもの(特許文献2及び特許文献3参照。)、同様にファスナー式の開口を設けたもの(特許文献4参照。)、フック部材とアイ部材によるホック式のものなど種々提案されている(特許文献5参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2017-2430号公報
【特許文献2】実開昭64-959号公報
【特許文献3】特開2012-192154号公報
【特許文献4】実用新案登録第3228247号公報
【特許文献5】実用新案登録第3228351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、衛生マスクを着用したままでも、多人数の会食など一定時間継続する通常の食事に対応可能な使い捨てタイプの紙製の衛生マスクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
このため本発明の衛生マスクは、被装着者の口と鼻および顔面を覆う紙製のマスク本体と、当該マスク本体の両端に設けられマスク本体と被装着者の顔面に固定するストラップとを有する衛生マスクにおいて、前記マスク本体は、略中央部分に設けられる開口と、表面に設けられて前記開口を開閉自在に閉蓋する紙製フラップとを備え、当該フラップの下端に回転軸式のフラップ開閉機構を設けたことを第1の特徴とする。また、フラップ開閉機構が、円筒状の紙管からなる回転軸と、この回転軸を回動自在に重合保持するホルダーと、前記回転軸の両端に設けられたハンドルからなることを第2の特徴とする。さらに、マスク本体及びフラップは抗菌板紙製または抗菌加工を施した板紙としたものであることを第3の特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、以下の優れた効果がある。
(1)板紙や紙管などの紙製なので、印刷やシール貼付による装飾や広告を容易かつ自在にできるばかりでなく、廃棄物処理上の問題解決の一助となる。
(2)回転軸式のフラップ開閉機構を設けたので、フラップの開閉を瞬時に行うことができる。
(3)左右どちらの手でも開閉操作ができる。
(4)フラップが開いた状態で料理や手元が看取でき、両手も使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る衛生マスクを示す(a)は正面図、(b)はフラップを開いた状態を示す正面図である。
【
図2】本発明に係る衛生マスクを示す(a)は背面図、(b)は縦断面図である。
【
図3】本発明に係るの衛生マスク使用状態を示す(a)は斜視図、(b)はフラップ端をマスク本体に掛止した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0018】
以下、図面に示す実施例に基づいて本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1に示すように、本発明の衛生マスクは、被装着者の口と鼻および顔面を覆う紙製のマスク本体1と、マスク本体1の両端に設けられマスク本体1と被装着者の顔面に固定する一対のストラップ1aとを有する。
【0019】
図1乃至
図3に示すように、マスク本体1は、略中央部分に設けられる上端が開放された略U字型の開口8と、この開口8を開閉自在に閉蓋する紙製フラップ2とを備える。そして、フラップ2の下端に回転軸式のフラップ開閉機構3を設け、フラップ開閉機構3のハンドル3cを左右いずれか又は両手で回動させて、フラップ2を開閉動作できるようにされている。
【0020】
フラップ開閉機構3は、フラップ2に下辺縁に巻き付けるように接着された円筒状の紙管からなる回転軸3aと、この回転軸3aを回動自在に重合保持する円筒状のホルダー3bと、回転軸3aの両端に設けられたハンドル3cから構成されている。
【0021】
マスク本体1及びフラップ2は抗菌板紙製または、
図2(a)に示すように、少なくとも抗菌加工部分6の範囲で抗菌印刷を施したしたものである。他にも、抗菌板紙FSC(商品名:三菱製紙株式会社製)等の板紙を使用してもよい。マスク本体用紙の斤量や構成は特に限定されるものではなく、例えば、不織紙などを単層または、複層にして貼り合わせて用いることもできる。複層にする場合には、異なる紙材を組み合わせてもよい。
【0022】
マスク本体1の形状や大きさは、口と鼻およびその周囲を覆うことができれば、特に限定されるものではないが、
図2に示すように、フラップ2が閉じた状態を保持するためのフラップ端掛止片1bを設けることがよい。
【0023】
上述のようにしたように形成されるマスク本体1には略U字型の開口8が設けられ、開口は、衛生マスクを装着した状態で装着者の鼻と口が露出するように、マスク本体1の略中央部分に形成されものであれば、開口の大きさは、特に限定されるものではなく、例えば、円形、楕円形、三角形や四角形といった矩形状にも形成することもできる。
【0024】
また、マスク本体1には左右の折り目1c、裏面の端部には三角柱状の顎当て4が設けられ、その表面に不織紙5といった柔軟な素材を貼付して作製すれば、装着感が良好になる。
【0025】
耳掛け用のストラップ1aは、マスク本体1の両端に設けられて装着者の耳に掛けられる部材であり、これによりマスク本体が顔面に装着される。耳掛け部には、例えば、ナイロンやポリエステル等からなる紐状またはベルト状のゴム部材など、既知のものを用いることができる。マスク本体への取り付け方法も特に限定されるものではなく、縫着、接着、融着等の他に、マスク本体の両端に形成した挿通部に挿通させて取り付けることができる。
【0026】
なお、本発明は上記実施例の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲、実施形態の範囲で種々の変形例、組み合わせが可能であり、これらの変形例、組み合わせも権利範囲に含むものである。
本発明に係る衛生マスクは、会食の際の防塵、飛沫飛散防止の目的で使用することができる。また、フラップ2表面に、印刷や装飾シール7を貼付することで、飲食店舗等や提供者の広告媒体としても有効に機能する。