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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022103554
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1335 20060101AFI20220701BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20220701BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
G02F1/1335
G02F1/1335 510
G02F1/13 505
G09F9/00 313
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020218260
(22)【出願日】2020-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】秦 誠
(72)【発明者】
【氏名】竹部 実
(72)【発明者】
【氏名】関谷 俊
【テーマコード(参考)】
2H088
2H291
5G435
【Fターム(参考)】
2H088EA23
2H088FA18
2H088HA05
2H088HA18
2H088HA21
2H088HA26
2H088HA28
2H291FA22X
2H291FA22Z
2H291FA36X
2H291FA56X
2H291FA56Z
2H291FA58Z
2H291FA60X
2H291FA85Z
2H291FA95X
2H291FB02
2H291FD07
2H291FD35
2H291GA23
2H291LA04
2H291MA03
5G435AA01
5G435AA12
5G435BB12
5G435FF05
5G435FF07
5G435GG06
5G435GG43
5G435HH02
5G435HH18
5G435LL17
(57)【要約】
【課題】熱衝撃環境下で使用される場合であっても、レンチキュラレンズと画素との間のズレの発生を防止する。
【解決手段】液晶層101を封入する前側・後側一対のガラス基板102F,102Rを備えた液晶表示パネル25と、前記液晶表示パネル25よりも後側に設けられ、当該液晶表示パネル25を透過照明する照明光4を発する光源21と、を有し、前記液晶表示パネル25において、前記前側のガラス基板102F,102Rの前面に、接着材ADを介し、前記照明光4を広げるレンチキュラレンズ150を貼り付け、前記レンチキュラレンズ150の前側に、前側偏光板104Fを設け、前記後側のガラス基板102Rの後側に、後側偏光板104Rを設ける。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶層を封入する前側・後側一対のガラス基板を備えた液晶表示パネルと、
前記液晶表示パネルよりも後側に設けられ、当該液晶表示パネルを透過照明する照明光を発する光源と、を有し、
前記液晶表示パネルにおいて、前記前側のガラス基板の前面に、接着材を介し、前記照明光を広げるレンチキュラレンズを貼り付け、前記レンチキュラレンズの前側に、前側偏光板を設け、前記後側のガラス基板の後側に、後側偏光板を設けたことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記液晶表示パネルは、外縁側に位置し、表示に使用されない略四角枠形状の第1領域と、
前記第1領域の内側に位置し、表示に使用される略四角形形状の第2領域と、を有し、
前記レンチキュラレンズは、ベースフィルムと、前記ベースフィルムの前側に設けられ、所定の凹凸形状を備えたUVレジン層と、
を有し、
前記前側偏光板は、前記UVレジン層のうち前記第1領域に対応する第1部位に貼り付けられていることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記前側偏光板は、前記UVレジン層のうち前記第2領域に対応する第2部位には貼り付けられていないことを特徴とする請求項2記載の表示装置。
【請求項4】
前記UVレジン層の前記第1部位の前後方向寸法は、前記第2部位と前記前側偏光板とが接するように、設定されていることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の表示装置。
【請求項5】
前記UVレジン層の前記第1部位の前後方向寸法は、前記第2部位と前記前側偏光板とが空気層を介して離間するように、設定されていることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の表示装置。
【請求項6】
前記前側偏光板の前側に貼り付けられる透過性の強度補強部材をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項7】
前記UVレジン層の前記第1部位は、前記ベースフィルムに接する後面と、前記前側偏光板が貼り付けられる前面とが、互いに略平行な面により構成されていることを特徴とする請求項4乃至請求項6のいずれか1項記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視認者に対して所望の表示を行う表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載の表示装置が知られている。この表示装置では、左・右の画素からなる画素対を備えた液晶表示パネルの一方側の面に異方性散乱シートが取り付けられ、さらにその異方性散乱シートの一方側の面に、左・右画素からの光を分離するレンチキュラレンズが取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-134617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術の表示装置の構成において、異方性散乱シートに代えて樹脂材料からなる偏光板が一般的に用いられる場合がある。その場合、液晶表示パネルの上記一方側の面に偏光板が取り付けられ、さらにその偏光板の一方側の面にレンチキュラレンズが取り付けられることとなる。
しかしながらこの場合、表示装置が熱衝撃の存在する環境下に配置される条件では、樹脂材料からなる偏光板が恒久的に収縮し、その収縮量は液晶表示パネルのガラス基板よりも大きい。そのため、大きく熱収縮する偏光板の影響によりレンチキュラレンズと画素との間の位置関係にズレが生じるという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、熱衝撃環境下で使用される場合であっても、レンチキュラレンズと画素との間のズレの発生を防止できる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、液晶層101を封入する前側・後側一対のガラス基板102F,102Rを備えた液晶表示パネル25と、前記液晶表示パネル25よりも後側に設けられ、当該液晶表示パネル25を透過照明する照明光4を発する光源21と、を有し、前記液晶表示パネル25において、前記前側のガラス基板102Fの前面に、接着材ADを介し、前記照明光4を広げるレンチキュラレンズ150を貼り付け、前記レンチキュラレンズ150の前側に、前側偏光板104Fを設け、前記後側のガラス基板102Rの後側に、後側偏光板104Rを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、熱衝撃環境下で使用される場合であっても、レンチキュラレンズと画素との間のズレの発生を防止する表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態による表示装置を備えたヘッドアップディスプレイを搭載した自動車の前部の説明図。
図2図1に示した表示装置を備えたヘッドアップディスプレイの全体概略構造を表す断面図。
図3図2に示した液晶表示パネルの詳細構造を模式的に表す前面図。
図4図2に示した液晶表示パネルの詳細構造を模式的に表す上面図。
図5】レンチキュラレンズの詳細形状を表す斜視図。
図6】レンチキュラレンズと偏光板との間に空気層を設ける変形例における液晶表示パネルの詳細構造を模式的に表す前面図。
図7】液晶表示パネルの詳細構造を模式的に表す上面図。
図8】矩形のシリンドリカルレンズ部を用いる変形例における液晶表示パネルの詳細構造を模式的に表す前面図。
図9】液晶表示パネルの詳細構造を模式的に表す上面図。
図10】前側偏光板の前側に補強部材を設ける変形例における液晶表示パネルの詳細構造を模式的に表す上面図。
図11】前側偏光板の前側に補強部材を設ける別の変形例における液晶表示パネルの詳細構造を模式的に表す上面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、例えば自動車に搭載され得るヘッドアップディスプレイに本発明の表示装置を適用した場合の実施形態である。
【0010】
本実施形態の表示装置を備えたヘッドアップディスプレイを搭載した自動車の前部の説明図を図1に示し、本実施形態の表示装置を備えたヘッドアップディスプレイの全体概略構造を表す断面図を図2に示す。なお、以下では、表示装置の構成の理解を容易にするために、自動車の前方側を「前(Fr.)」、その反対側を「後(Re.)」、自動車の左側を「左(L)」、右側を「右(R)」、自動車の上側を「上(U)」)、自動車の下側を「下(D)」として各部材を適宜説明する(各図中の矢印表記参照)。
【0011】
<自動車におけるHUDの配置>
図1において、ヘッドアップディスプレイ1(HUD1)は、自動車2のインストルメントパネル3内部に配置される。HUD1は、表示光(照明光)4を、投影部材である自動車2のウインドシールド5によって自動車2の運転者6(視認者)方向に反射させ、虚像7を表示する。これにより、運転者6は、風景と重畳された虚像7を観察することができる。
【0012】
<HUDの全体構成>
図2において、HUD1は、本実施形態による表示装置20と、反射鏡ユニット30と、ケース40と、を主に有する。
【0013】
表示装置20は、LED21(光源)と、コンデンサレンズ(集光レンズ)22と、集光レンズ24と、液晶表示パネル25と、反射板27と、表示装置用ケース28と、ヒートシンク29と、を有する。
【0014】
LED21は、液晶表示パネル25よりも後側において光源基板21aに搭載されており、ヒートシンク29と熱的に接触して配置される。LED21は、液晶表示パネル25を透過照明するための表示光4(照明光4a)を発する。
【0015】
反射板27は、LED21から液晶表示パネル25までの間の表示光4の光路上に配置され、表示光4のS偏光(入射面に対して垂直な面を振動するS波)を液晶表示パネル25に向けて反射し、P偏光(入射面に対して平行な面を振動するP波)を透過する。反射板27は、透過性を有する樹脂材料(例えばポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA))である。
【0016】
コンデンサレンズ22は、LED21から発せられ反射板27で反射した表示光4(反射光4b、反射板27におけるS偏光)を光線密度が略均一である平行光となるように集光する。
集光レンズ24は、例えば縦方向の曲率と横方向の曲率とが異なるトロイダル面を有する凸レンズである。集光レンズ24は、反射光4bを液晶表示パネル25に向けて集光する。
【0017】
表示装置用ケース28は、コンデンサレンズ22、集光レンズ24、及び液晶表示パネル25を、曲げ部28aよりも前側で固定して支持し、収容する。表示装置用ケース28は、LED21を、曲げ部28aよりも後側で固定して支持し、収容する。
【0018】
ヒートシンク29は、表示装置用ケース28の後端部28bに固定される。ヒートシンク29は、平板形状の多数の放熱フィン29aを有する。放熱フィン29aは、LED21が発した熱をヘッドアップディスプレイ1の外に放出する。
【0019】
反射鏡ユニット30は、凹面鏡31と、保持部材32と、ステッピングモータ33と、を有する。
【0020】
凹面鏡31は、樹脂(例えばポリカーボネート)からなる基板と、この基板に蒸着され反射面31aとなる金属(例えばアルミニウム)と、からなる。反射面31aは、凹面であり、液晶表示パネル25が発した表示光4(この例では反射光4b)を拡大し、反射する。保持部材32は、樹脂(例えばABS)からなり、凹面鏡31と両面粘着テープで接着される。
【0021】
保持部材32は、歯車34と、軸部35と、を有する。軸部35は、ケース40に軸支される。ステッピングモータ33は、保持部材32の歯車34と噛み合う歯車37を有する。ステッピングモータ33は、保持部材32を介して回動可能な状態で凹面鏡31を支持することにより、表示光4の投射方向を調整する。ステッピングモータ33は、運転者6の操作等に基づいて、表示光4(反射光4b)が目の位置に反射されるように(虚像7を視認できるように)凹面鏡31の角度を調整する。
【0022】
ケース40は、表示装置20の前側部分及び反射鏡ユニット30を収容する。ケース40は、カバー41と、遮光壁42と、を有する。カバー41は、湾曲形状の透光性樹脂(例えばアクリル)からなり、表示光4を出射させる。遮光壁42は、太陽光等の外光を遮光し、外光が液晶表示パネル25に入射し虚像7が見えにくくなる現象(ウォッシュアウト)を防止する。
【0023】
<液晶表示パネルの詳細構造>
本実施形態の要部である、液晶表示パネル25の詳細構造を図3及び図4に示す。
【0024】
図3及び図4において、液晶表示パネル25は、例えば、HUD1に適したTFT(Thin Film Transistor)方式のノーマリーブラック方式(電圧非印加時、黒表示)の液晶表示パネルである。液晶表示パネル25は、液晶層101を封入する、前側・後側一対のガラス基板102F,102Rを備えている。一対のガラス基板102F,102Rには、ITO(Indium Tin Oxide)等により図示しない透明電極が形成されている。
【0025】
前側のガラス基板102Fの前面には、接着材ADを介し、表示光4(反射光4b)を広げるレンチキュラレンズ150が貼り付けられている。レンチキュラレンズ150の前側には、前側偏光板104Fが設けられている。後側のガラス基板102Rの後側には、後側偏光板104Rが設けられている。偏光板104F,104Rは、反射板27で反射した表示光4(反射光4b、反射板27におけるS偏光)の振動軸と平行な偏光軸を有する。
【0026】
レンチキュラレンズ150は、ベースフィルム151と、ベースフィルム151の前側に設けられ、所定の凹凸形状を備えたUVレジン層152と、を有している。前側偏光板104Fは、UVレジン層152の前側に、接着材ADを介し貼り付けられている。なお、接着材ADとしては、例えば、透明光学粘着材すなわちOCA(Optical Clear Adhesive)を用いることができる。
【0027】
レンチキュラレンズ150のUVレジン層152は、複数の(図4に示す例では16個)のシリンドリカルレンズ部162によって構成されており、集光レンズ24によって集光された表示光4を縦方向及び横方向に広げる。レンチキュラレンズ150の詳細形状を表す斜視図を図5に示す。なお、図5では、図示の煩雑を防止するために、レンチキュラレンズ150のUVレジン層152が11個のシリンドリカルレンズ部162によって構成される場合を例示している。図5に示すように、各シリンドリカルレンズ部162は、凸状の断面形状、詳細には左右方向において略半円状に突出する断面形状を備えている。またこのときの上記半円形状の軸線方向は、上下方向となっている。なお、実際は、1個のシリンドリカルレンズ部162の左右方向(図のL-R方向)の幅は、約50μmから150μmであり、1個のシリンドリカルレンズ部162の高さ(シリンドリカルレンズ部162の前後方向寸法x)は、約3μmから20μmである。
【0028】
図3及び図4に戻り、液晶表示パネル25は、外縁側に位置し、表示に使用されない略四角枠形状の第1領域25aと、第1領域25aの内側に位置し、表示に使用される(図3中「Used Area」で表記)略四角形形状の第2領域25bと、を有する。この例では、前側偏光板104Fは、UVレジン層152のうち第2領域25bに対応する第2部位152bには貼り付けられず、UVレジン層152のうち第1領域25aに対応する第1部位152aに貼り付けられている。
【0029】
なお、前側偏光板104Fは、UVレジン層152のうち第1領域25aに対応する第1部位152aの全周ではなく一部(例えば、対向する2辺箇所のみ)に貼り付けられていればよい。また、第1部位152aは、第1領域25aの第2領域25b側には形成されず外周側のみに形成されてもよい。UVレジン層152の第1部位152aにおけるシリンドリカルレンズ部162の前後方向寸法xは、第2部位152bにおけるシリンドリカルレンズ部162と前側偏光板104Fとが接するように、設定されている。なお、前側偏光板104Fが、第2部位152bと第1部位152aとの両方に貼り付けられていてもよい。
【0030】
<実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態の表示装置20においては、LED21から出射された表示光4により液晶表示パネル25が照明される。液晶表示パネル25では、前・後一対のガラス基板102F,102Rに液晶層101が封入されている。後側のガラス基板102Rの後側には後側偏光板104Rが設けられている。
【0031】
ここで、表示装置20においては、環境温度変化及び、液晶表示パネル25における発熱やLED21からの輻射熱等により高温を起因とした熱衝撃が発生する場合がある。
このとき、仮に、前側のガラス基板102Fより前側に位置する前側偏光板104Fの前面にレンチキュラレンズ150を取り付ける構造とすると、熱衝撃環境下においては、樹脂材料からなる前側偏光板104Fが恒久的に収縮する。そのときの前側偏光板104Fの収縮量は前側のガラス基板102Fよりも大きくなるため、その影響によりレンチキュラレンズ150と画素との間の位置関係にズレが生じ得る。またその結果、X-talk(3次元画像のクロストーク現象)が悪化する恐れもある。
【0032】
これに対応して、本実施形態においては、前側のガラス基板102Fの前面に接着材ADを介してレンチキュラレンズ150(詳細にはベースフィルム151)が貼り付けられ、そのレンチキュラレンズ150(詳細にはUVレジン層152)の前側に前側偏光板104Fが、この例では接着材ADでの貼り付けにより設けられている。これにより、前述のように前側のガラス基板102Fよりも大きく熱収縮する樹脂材料の前側偏光板104Fの影響を抑制することができる。したがって、レンチキュラレンズ150と前側のガラス基板102Fの画素との位置関係を維持し、それらの間にズレが生じるのを防止できる。この結果、X-talkの発生を防止できる。
【0033】
また、本実施形態では特に、ベースフィルム151とUVレジン層152とを有する液晶表示パネル25が、表示に使用しない外縁側の第1領域25aと表示に使用する内側の第2領域25bとを備えている。そして、前側偏光板104Fは、UVレジン層152のうち第2領域25bに対応する第2部位152bには貼り付けられることはなく、第1領域25aに対応する第1部位152aにのみ貼り付けられる。
【0034】
これにより、液晶表示パネル125での表示に寄与する第2領域25bに対応するUVレジン層152の第2部位152bおいては、前側偏光板104Fとの固定を考慮しない表示機能に特化した構造とすることができ、液晶表示パネル25での表示に寄与しない第1領域25aに対応するUVレジン層152の第1部位152aにおいては、前側偏光板104Fとの固定機能に特化した構造とすることができる。
【0035】
また、本実施形態では特に、UVレジン層152の第2部位152bのシリンドリカルレンズ部162と前側偏光板104Fとが接するように、UVレジン層152の第1部位152aのシリンドリカルレンズ部162の前後方向寸法xが設定されている。これにより、レンチキュラレンズ150のUVレジン層152と前側偏光板104Fとが接触する構成において、レンチキュラレンズ150と画素との間にズレが生じるのを防止できる。
【0036】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。上記実施形態と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略又は簡略化する。
【0037】
(1)レンチキュラレンズと偏光板との間に空気層を設ける場合
本変形例の表示装置20の要部である液晶表示パネル25の全体概略構造を、上記図3及び図4にそれぞれ対応する図6及び図7に示す。
【0038】
図6及び図7において、本変形例における液晶表示パネル25では、上記図4においてUVレジン層152に16個備えられていた各シリンドリカルレンズ部162のうち、左端側の2つのシリンドリカルレンズ部162(前後方向の寸法x)と、右端側の2つのシリンドリカルレンズ部162(前後方向寸法x)と、がそれぞれ省略されている。そしてそれら4つのシリンドリカルレンズ部162に代えて、左端側及び右端側に、前後方向の寸法y(>x)である大型の1つのシリンドリカルレンズ部162′がそれぞれ設けられている。この結果、UVレジン層152の第1部位152aの前後方向寸法(=y)は上記実施形態における同方向寸法(=x)よりも大きくなり、UVレジン層152の第2部位152bのシリンドリカルレンズ部162と前側偏光板104Fとが空気層ARを介して離間している。前側偏光板104Fは、第1部位152aのシリンドリカルレンズ部162′に対し接着材ADを介し貼り付けられている。
【0039】
本変形例においては、UVレジン層152の第2部位152bと前側偏光板104Fとの間が離間するように、UVレジン層152の第1部位152aの前後方向寸法yが設定されている。これにより、UVレジン層152の第2部位152bと前側偏光板104Fとの間に空気層ARを介在させることができ、表示品位の劣化を抑制することができる。
【0040】
(2)矩形のシリンドリカルレンズ部を用いる場合
本変形例の表示装置20の要部である液晶表示パネル25の全体概略構造を、上記図6及び図7にそれぞれ対応する図8及び図9に示す。
【0041】
図8及び図9において、本変形例における液晶表示パネル25では、上記図7においてUVレジン層152の第1部位152aに左・右1個ずつ備えられていた各シリンドリカルレンズ部162′(前後方向寸法y)に代えて、矩形断面を備えたシリンドリカルレンズ部162″がそれぞれ設けられている。この結果、UVレジン層152の第1部位152aは、ベースフィルム151に接する後面と、前側偏光板104Fが貼り付けられる前面とが、互いに略平行な面により構成されている。
【0042】
なお、図示の例では、シリンドリカルレンズ部162″の前後方向寸法zは前述の寸法xよりも大きくなっており、その結果、上記図6及び図7の液晶表示パネル25と同様、UVレジン層152の第2部位152bのシリンドリカルレンズ部162と前側偏光板104Fとが空気層ARを介して離間している。前側偏光板104Fは、第1部位152aのシリンドリカルレンズ部162″に対し接着材ADを介し貼り付けられている。なお、上記寸法zを上記寸法xと同一として、空気層ARが介在しないようにしてもよい。
【0043】
本変形例においては、UVレジン層152の第1部位152aに配置されるシリンドリカルレンズ部162″において、ベースフィルム151に接する後面と前側偏光板104Fが貼り付けられる前面とが互いに略平行な面となっており、言い換えればUVレジン層152の第1部位152aが略矩形の断面形状となっている。UVレジン層152の第1部位152aがこのような形状を有することにより、前側偏光板104Fを安定的に固定できるとともに、第2部位152bと前側偏光板104Fとの間の距離(空気層ARの前後方向寸法に相当)を高精度に所望の値に設定することができる。
【0044】
なお、上記変形例(1)(2)においては、液晶表示パネル25の第1領域25aに対応するUVレジン層152の第1部位152aにはシリンドリカルレンズ部162′,162″を配置し、第2領域25bに対応する第2部位152bにはシリンドリカルレンズ部162を配置した。すなわち、第1部位152aと第2部位152bとでシリンドリカルレンズ部の形状を明確に異ならせたが、これに限られない。すなわち、第2部位152bから、第1部位152aと第2部位152bとの境界位置(図6図8に破線で示す四角枠の位置を参照)までは、シリンドリカルレンズ部162を配置するようにし、当該境界に位置するシリンドリカルレンズ部162よりも左端側又は右端側にのみシリンドリカルレンズ部162′,162″を配置するようにしてもよい。
【0045】
また、上記のように左端側及び右端側において各2つのシリンドリカルレンズ部162を1つの大型のシリンドリカルレンズ部162′,162″にそれぞれ置き換えたが、これに限られない。すなわち、左端側及び右端側において各3つ以上のシリンドリカルレンズ部162を置き換えることで、前側偏光板104Fを固定する部位を拡大してもよい。またシリンドリカルレンズ部162′,162″及びシリンドリカルレンズ部162をベースフィルム161と一体成型するようにしてもよい。
【0046】
(3)前側偏光板の前側に補強部材を設ける場合
本変形例の表示装置20の要部である液晶表示パネル25の全体概略構造を、上記図7に対応する図10に示す。
【0047】
図10において、本変形例における液晶表示パネル25では、上記図7に示した構造において、前側偏光板104Fの前側に貼り付けられる、透過性の強度補強部材171が設けられている。強度補強部材171としては、ガラス基板102F,102Rと同様のガラス板でもよいし、所望の堅さ及び光学特性を確保できることを条件にアクリル樹脂等の適宜の他の部材を用いてもよい。
【0048】
本変形例においては、前側偏光板104Fのさらに前側に、透過性の強度補強部材171が貼り付けられる。これにより、前述したようにUVレジン層152の第2部位152bとの間に隙間(空気層AR)が介在して第2部位152bに支持されていない状態の前側偏光板104Fの剛性を向上させ、表示品位の劣化を抑制することができる。
【0049】
なお、図10は上記図7に示した構造に強度補強部材171を追加で設けた例を示したが、図11に示すように、上記図9に示した構造において、前側偏光板104Fの前側に強度補強部材171を設けるようにしてもよい。この場合も、上記同様の効果を得る。
【0050】
なお、上記においては、本発明の表示装置を、自動車に搭載され得るヘッドアップディスプレイに適用した場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、メータ等を含む他の自動車用表示装置や、さらには自動車用にも限られず、二輪車、船舶、農業機械、建設機械等の表示装置に適用することもでき、この場合も同様の効果を得る。
【符号の説明】
【0051】
1 ヘッドアップディスプレイ(HUD)
2 自動車
4 表示光(照明光)
4a 照明光
4b 反射光
5 ウインドシールド
6 運転者
7 虚像
20 表示装置
21 LED(光源)
21a 光源基板
22 コンデンサレンズ
24 集光レンズ
25 液晶表示パネル
25a 第1領域
25b 第2領域
27 反射板
28 表示装置用ケース
28a 曲げ部
28b 後端部
29 ヒートシンク
29a 放熱フィン
30 反射鏡ユニット
31 凹面鏡
31a 反射面
32 保持部材
33 ステッピングモータ
34 歯車
35 軸部
37 歯車
40 ケース
41 カバー
42 遮光壁
101 液晶層
102F 前側のガラス基板
102R 後側のガラス基板
104F 前側偏光板
104R 後側偏光板
150 レンチキュラレンズ
151 ベースフィルム
152 UVレジン層
152a 第1部位
152b 第2部位
162 シリンドリカルレンズ部
162′ シリンドリカルレンズ部
162″ シリンドリカルレンズ部
171 強度補強部材
AD 接着材
AR 空気層
x 第1部位のシリンドリカルレンズの前後方向寸法
y 第1部位のシリンドリカルレンズの前後方向寸法
z 第1部位のシリンドリカルレンズの前後方向寸法
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11