(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022103561
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】D-アラビノースを含む飲料
(51)【国際特許分類】
A23L 2/52 20060101AFI20220701BHJP
A23L 2/60 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
A23L2/52
A23L2/00 C
A23L2/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020218273
(22)【出願日】2020-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100176094
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 満
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】内海 唯
(72)【発明者】
【氏名】長田 知也
(72)【発明者】
【氏名】長尾 浩二
(72)【発明者】
【氏名】横尾 芳明
【テーマコード(参考)】
4B117
【Fターム(参考)】
4B117LC03
4B117LK01
4B117LK06
4B117LK08
4B117LK11
4B117LK12
4B117LL02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】砂糖の代替甘味料を用いた新規な飲料を提供する。
【解決手段】D-アラビノースを0.1~25w/v%含む飲料が提供される。D-アラビノースを0.5~20w/v%含むことが好ましい。高甘味度甘味料をさらに含むことが、より好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
D-アラビノースを0.1~25w/v%含む飲料。
【請求項2】
D-アラビノースの含有量が0.5~20w/v%である、請求項1に記載の飲料。
【請求項3】
高甘味度甘味料をさらに含む、請求項1または2に記載の飲料。
【請求項4】
前記高甘味度甘味料が、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドC、レバウジオシドD、レバウジオシドE、レバウジオシドF、レバウジオシドI、レバウジオシドJ、レバウジオシドK、レバウジオシドM、レバウジオシドN、レバウジオシドO、レバウジオシドQ、レバウジオシドR、ズルコシドA、ズルコシドC、ルブソシド、ステビオールモノシド、ステビオールビオシド、ステビオシド、羅漢果抽出物、モグロシドV、ソーマチン、ブラゼイン、カンゾウ抽出物、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムK、スクラロース、およびその組合せからなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項3に記載の飲料。
【請求項5】
前記高甘味度甘味料の含有量が1~1,000ppmである、請求項3または4に記載の飲料。
【請求項6】
ナトリウムをさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の飲料。
【請求項7】
ナトリウムの含有量が50mg/100ml未満である、請求項6に記載の飲料。
【請求項8】
前記ナトリウムが、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、二硫化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、アルギニン酸ナトリウム、グルコヘプタン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、アスパラギン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、カゼインナトリウム、アスコルビン酸ナトリウムおよびその混合物からなる群より選択される少なくとも1つの形態で含まれている、請求項6または7に記載の飲料。
【請求項9】
低甘味度甘味料をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の飲料。
【請求項10】
前記低甘味度甘味料が、グルコース、スクロース、フルクトース、マルトース、オリゴ糖、異性化糖、乳糖、プシコース、アロース、タガトースおよびその組合せからなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項9に記載の飲料。
【請求項11】
前記低甘味度甘味料の含有量がショ糖換算の甘味強度で0.1~5.9に相当する量である、請求項9または10に記載の飲料。
【請求項12】
エネルギーが50Kcal/100ml以下である、請求項1~11のいずれか一項に記載の飲料。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の飲料の2~10倍濃縮物。
【請求項14】
D-アラビノースおよび一種以上の高甘味度甘味料を含む、甘味料組成物。
【請求項15】
飲料にD-アラビノースと高甘味度甘味料とナトリウムを含有させることを特徴とする、飲料の味質を改善する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、D-アラビノースを含む飲料またはその製造方法に関する。また、本発明は、当該飲料の濃縮物、D-アラビノースを含む甘味料組成物および飲料の味質を改善する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
近年、飲食品に対して良好な味覚に加え低カロリーが求められるようになってきた。これは肥満や糖尿病などの成人病が問題視されることと関りがある。古来より甘味料の中心として主要な地位を占めてきた砂糖(ショ糖、スクロースとも称する)に対し、その代替品としてこれまで様々な甘味料が開発されている。甘味料は、大別すると、糖質系甘味料と非糖質系甘味料の2種類に分けられる。糖質系甘味料は、ショ糖、でん粉由来の糖、その他の糖、糖アルコールなどに分けられ、非糖質系甘味料は、天然甘味料と合成甘味料など、或は、低甘味度甘味料と高甘味度甘味料に分けられる。近年、非糖質系甘味料の一種である希少糖を光触媒を用いて製造する方法も試みられている(特許文献1)。
【0003】
これまで様々なショ糖代替甘味料を含む飲料が提案されてきており、最近ではD-アルロース(D-プシコースとも称される)を含む飲料も種々提案されている。例えば、特許文献2には、アルロース、オリゴ糖およびコーヒー抽出物を含むコーヒー飲料組成物が開示されている。また、特許文献3には、所定量のD-プシコースおよびデキストリンを含む炭酸飲料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-90555号公報
【特許文献2】特表2020-500507号公報
【特許文献3】特開2020-54280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような状況の下、砂糖の代替甘味料を用いた新規な飲料の開発が待たれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らはD-アラビノースを飲料に用いることで、味質の良好な飲料が得られることを知得した。本発明はこのような知見に基づくものである。
【0007】
したがって、本発明には以下の態様が含まれる。
[1]
D-アラビノースを0.1~25w/v%含む飲料。
[2]
D-アラビノースの含有量が0.5~20w/v%である、[1]に記載の飲料。
[3]
高甘味度甘味料をさらに含む、[1]または[2]に記載の飲料。
[4]
前記高甘味度甘味料が、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドC、レバウジオシドD、レバウジオシドE、レバウジオシドF、レバウジオシドI、レバウジオシドJ、レバウジオシドK、レバウジオシドM、レバウジオシドN、レバウジオシドO、レバウジオシドQ、レバウジオシドR、ズルコシドA、ズルコシドC、ルブソシド、ステビオールモノシド、ステビオールビオシド、ステビオシド、羅漢果抽出物、モグロシドV、ソーマチン、ブラゼイン、カンゾウ抽出物、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムK、スクラロース、およびその組合せからなる群より選択される少なくとも1つを含む、[3]に記載の飲料。
[5]
前記高甘味度甘味料の含有量が1~1,000ppmである、[3]または[4]に記載の飲料。
[6]
ナトリウムをさらに含む、[1]~[5]のいずれかに記載の飲料。
[7]
ナトリウムの含有量が50mg/100ml未満である、[6]に記載の飲料。
[8]
前記ナトリウムが、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、二硫化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、アルギニン酸ナトリウム、グルコヘプタン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、アスパラギン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、カゼインナトリウム、アスコルビン酸ナトリウムおよびその混合物からなる群より選択される少なくとも1つの形態で含まれている、[6]または[7]に記載の飲料。
[9]
低甘味度甘味料をさらに含む、[1]~[8]のいずれかに記載の飲料。
[10]
前記低甘味度甘味料が、グルコース、スクロース、フルクトース、マルトース、オリゴ糖、異性化糖、乳糖、プシコース、アロース、タガトースおよびその組合せからなる群より選択される少なくとも1つを含む、[9]に記載の飲料。
[11]
前記低甘味度甘味料の含有量がショ糖換算の甘味強度で0.1~5.9に相当する量である、[9]または[10]に記載の飲料。
[12]
エネルギーが50Kcal/100ml以下である、[1]~[11]のいずれかに記載の飲料。
[13]
[1]~[12]のいずれかに記載の飲料の2~10倍濃縮物。
[14]
D-アラビノースおよび一種以上の高甘味度甘味料を含む、甘味料組成物。
[15]
飲料にD-アラビノースと高甘味度甘味料とナトリウムを含有させることを特徴とする、飲料の味質を改善する方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、砂糖の代替甘味料としてD-アラビノースを含む新規な飲料が提供される。また、本発明の好ましい態様によれば、D-アラビノースを含む味質の良好な飲料が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1における官能評価結果を示すグラフである。
【
図2】実施例2における甘味強度が低いサンプル(コントロール1と同様にショ糖換算の甘味強度が1のサンプル)の官能評価結果を示すグラフである。
【
図3】実施例2における甘味強度が高いサンプル(コントロール2と同様にショ糖換算の甘味強度が5のサンプル)の官能評価結果を示すグラフである。
【
図4】実施例3における甘味強度が低いサンプル(コントロール1と同様にショ糖換算の甘味強度が1のサンプル)の官能評価結果を示すグラフである。
【
図5】実施例3における甘味強度が高いサンプル(コントロール2と同様にショ糖換算の甘味強度が5のサンプル)の官能評価結果を示すグラフである。
【
図6】実施例4における甘味強度が低いサンプル(コントロール1と同様にショ糖換算の甘味強度が1のサンプル)の官能評価結果を示すグラフである。
【
図7】実施例4における甘味強度が高いサンプル(コントロール2と同様にショ糖換算の甘味強度が5のサンプル)の官能評価結果を示すグラフである。
【
図8】実施例5における官能評価結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの実施の形態のみに限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施をすることができる。
なお、本明細書において引用した全ての文献、および公開公報、特許公報その他の特許文献は、参照として本明細書に組み込むものとする。
【0011】
1.D-アラビノースを含む飲料
本発明の1つの側面によれば、D-アラビノースを0.1~25w/v%含む飲料(以下、「本発明の飲料」ともいう)が提供される。本明細書において、「飲料」は半固体および液体、ならびにそれらの混合物であって、経口摂食可能なものの総称である。
【0012】
[D-アラビノース]
D-アラビノースは天然には非常に少量しか存在しない希少糖の一種として知られており、その特性についてはこれまであまり研究が進んでいない。そのような状況において、本発明者らはD-アラビノースを飲料に用いることで、味質の良好な飲料が得られることを見出した。
【0013】
D-アラビノースは、以下の構造または対応する環状構造を有する五炭糖およびアルドースに分類される糖の一種である。環状構造には、5員環と6員環のα型とβ型が含まれる。本発明者らが確認したところ、D-アラビノースはショ糖のおよそ0.6倍の甘味度を有する。
【化1】
【0014】
本発明者らは、後述の実施例6で示す通り、D-アラビノースが甘味受容体T1R2/T1R3以外の味覚関連分子を介した応答を起こす甘味料であることを見出した。特定の理論に捉われることを望むものではないが、スクラロースのような人工甘味料とは異なり、D-アラビノースはショ糖と同様に、甘味受容体T1R2/T1R3を阻害しても甘味応答をもたらすことから、本質的にショ糖に近い甘味を呈すると考えられる。
【0015】
「甘味受容体T1R2/T1R3以外の味覚関連分子を介した応答を起こす」とは、甘味受容体T1R2/T1R3を介した応答(例えば甘味応答)を阻害しても応答(例えば甘味応答)を惹起することができることを意味する。ある甘味物質が甘味受容体T1R2/T1R3を介した甘味応答を阻害しても甘味応答を惹起することができるかどうかは、例えば、当該甘味物質のみを溶解した溶液(コントロール溶液)の甘味強度と、当該コントロール溶液に甘味受容体T1R2/T1R3を介した甘味応答を阻害する甘味受容体T1R2/T1R3の阻害剤(例えば、ラクチゾール、ギムネマ酸など)を加えた溶液(試験溶液)の甘味強度(残存甘味強度)を官能評価や細胞アッセイなどにより測定し、コントロール溶液の甘味強度と、試験溶液の甘味強度とを比較することなどにより決定することができる。例えば、後述の実施例6にて、ショ糖溶液8w/v%に甘味受容体阻害剤ラクチゾール100ppmを添加した際には、阻害剤非添加時の甘味強度を100%とした場合に、阻害剤添加により29.05%の甘味強度が残存しているため、このショ糖溶液の甘味強度の残存率と比較することで甘味受容体T1R2/T1R3以外の味覚関連分子を介した応答を起こしているかを判断することができる。
【0016】
一例として、甘味強度がショ糖溶液8w/v%の甘味強度に相当し、甘味受容体阻害剤としてラクチゾール100ppmを含む試験溶液を用いた特定の態様において、ショ糖の残存甘味強度に対する、試験溶液の残存甘味強度の割合(例えば、ショ糖の残存甘味強度を100%とした場合のパーセンテージ)が、例えば、15%以上、20%以上または25%以上である場合、その甘味物質が「甘味受容体T1R2/T1R3以外の味覚関連分子を介した応答を起こす」と決定することができる。
【0017】
「甘味受容体T1R2/T1R3以外の味覚関連分子」(「非T1R2/T1R3味覚関連分子」と略すこともある)は、味覚応答、特に甘味応答を惹起し得る、甘味受容体T1R2/T1R3以外の分子を指す。一部の態様において、非T1R2/T1R3味覚関連分子は、甘味受容体T1R2/T1R3を発現する細胞(例えば、味細胞)、特にその細胞表面に発現している。一部の態様において、非T1R2/T1R3味覚関連分子は、ナトリウム、ブドウ糖などにより、その活性が促進される。特定の態様において、非T1R2/T1R3味覚関連分子は、GLUT(GLUT1~12、14、HMITなど、特にGLUT2、4、8、9)、SGLT(SGLT1~6、特にSGLT1)などの糖輸送体、Kir6.1/SUR1複合体から選択される1以上の分子である。より特定の態様において、非T1R2/T1R3味覚関連分子は、GLUT(特にGLUT2、4、8、9)、SGLT(特にSGLT1)、Kir6.1/SUR1複合体から選択される1以上の分子である。
【0018】
非T1R2/T1R3味覚関連分子の阻害剤は、同分子の機能を阻害し得るものであれば特に限定されず、例えば、フロレチン、ファセンチン(Fasentin)、STF31、WZB117、BAY-876、サイトカラシンBなどのGLUT阻害剤、フロリジン、ソタグリフロジン、イプラグリフロジン、エンパグリフロジン、カナグリフロジン、ダパグリフロジン、トホグリフロジン、セルグリフロジン、ルセオグリフロジンなどのSGLT阻害剤などを包含する。
【0019】
本発明に用いるD-アラビノースは、どのような由来のものであるかは特に問わず、天然の原料から抽出したものであってもよく、化学的または生物学的に合成されたものであってもよい。例えば、D-アラビノースは特許文献1に記載の光触媒を用いた方法で製造したものを用いてもよく、試薬メーカーから購入してもよい。
【0020】
本発明の一態様による飲料は、D-アラビノースを飲料の総容量に対して、0.1~25w/v%含む。本明細書において、「D-アラビノースを飲料の総容量に対して、0.1~25w/v%含む」とは、D-アラビノースを飲料100ml当たり0.1~25g含むことを意味する。本発明の他の一態様において、飲料に含まれるD-アラビノースの量(すなわち、含有量)は、0.1~20w/v%、0.1~18w/v%、0.1~16w/v%、0.1~14w/v%、0.1~12w/v%、0.1~10w/v%、0.1~9w/v%、0.1~8w/v%、0.1~7w/v%、0.1~6w/v%、0.1~5w/v%、0.1~4w/v%、0.1~3w/v%、0.1~2w/v%、0.1~1w/v%、0.5~20w/v%、0.5~18w/v%、0.5~16w/v%、0.5~14w/v%、0.5~12w/v%、0.5~10w/v%、0.5~9w/v%、0.5~8w/v%、0.5~7w/v%、0.5~6w/v%、0.5~5w/v%、0.5~4w/v%、0.5~3w/v%、0.5~2w/v%、0.5~1w/v%、0.8~20w/v%、0.8~18w/v%、0.8~16w/v%、0.8~14w/v%、0.8~12w/v%、0.8~10w/v%、0.8~9w/v%、0.8~8w/v%、0.8~7w/v%、0.8~6w/v%、0.8~5w/v%、0.8~4w/v%、0.8~3w/v%、0.8~2w/v%、0.8~1w/v%、1~20w/v%、1~18w/v%、1~16w/v%、1~14w/v%、1~12w/v%、1~10w/v%、1~9w/v%、1~8w/v%、1~7w/v%、1~6w/v%、1~5w/v%、1~4w/v%、1~3w/v%、1~2w/v%、2~20w/v%、2~18w/v%、2~16w/v%、2~14w/v%、2~12w/v%、2~10w/v%、2~9w/v%、2~8w/v%、2~7w/v%、2~6w/v%、2~5w/v%、2~4w/v%、2~3w/v%、3~20w/v%、3~18w/v%、3~16w/v%、3~14w/v%、3~12w/v%、3~10w/v%、3~9w/v%、3~8w/v%、3~7w/v%、3~6w/v%、3~5w/v%、3~4w/v%、4~20w/v%、4~18w/v%、4~16w/v%、4~14w/v%、4~12w/v%、4~10w/v%、4~9w/v%、4~8w/v%、4~7w/v%、4~6w/v%、4~5w/v%、5~20w/v%、5~18w/v%、5~16w/v%、5~14w/v%、5~12w/v%、5~10w/v%、5~9w/v%、5~8w/v%、5~7w/v%、5~6w/v%、6~20w/v%、6~18w/v%、6~16w/v%、6~14w/v%、6~12w/v%、6~10w/v%、6~9w/v%、6~8w/v%、6~7w/v%、7~20w/v%、7~18w/v%、7~16w/v%、7~14w/v%、7~12w/v%、7~10w/v%、7~9w/v%、7~8w/v%、8~20w/v%、8~18w/v%、8~16w/v%、8~14w/v%、8~12w/v%、8~10w/v%、8~9w/v%、9~20w/v%、9~18w/v%、9~16w/v%、9~14w/v%、9~12w/v%、9~10w/v%、10~20w/v%、10~18w/v%、10~16w/v%、10~14w/v%、10~12w/v%、12~20w/v%、12~18w/v%、12~16w/v%、12~14w/v%、14~20w/v%、14~18w/v%、14~16w/v%、16~20w/v%または16~18w/v%であってもよい。本発明の好ましい態様において、飲料に含まれるD-アラビノースの量は、0.5~14w/v%、0.8~12w/v%または1~10w/v%であってもよい。
【0021】
本発明の他の一態様において、飲料に含まれるD-アラビノースの量は、0.1~3.0w/v%、0.2~3.0w/v%、0.4~3.0w/v%、0.6~3.0w/v%、0.8~3.0w/v%、1.0~3.0w/v%、1.2~3.0w/v%、1.4~3.0w/v%、1.6~3.0w/v%、1.8~3.0w/v%、2.0~3.0w/v%、2.2~3.0w/v%、2.4~3.0w/v%、2.6~3.0w/v%、2.8~3.0w/v%、0.1~2.5w/v%、0.2~2.5w/v%、0.4~2.5w/v%、0.6~2.5w/v%、0.8~2.5w/v%、1.0~2.5w/v%、1.2~2.5w/v%、1.4~2.5w/v%、1.6~2.5w/v%、1.8~2.5w/v%、2.0~2.5w/v%、2.2~2.5w/v%、2.4~2.5w/v%、0.1~2.0w/v%、0.2~2.0w/v%、0.4~2.0w/v%、0.6~2.0w/v%、0.8~2.0w/v%、1.0~2.0w/v%、1.2~2.0w/v%、1.4~2.0w/v%、1.6~2.0w/v%、1.8~2.0w/v%、0.1~1.8w/v%、0.2~1.8w/v%、0.4~1.8w/v%、0.6~1.8w/v%、0.8~1.8w/v%、1.0~1.8w/v%、1.2~1.8w/v%、1.4~1.8w/v%または1.6~1.8w/v%であってもよい。本発明の好ましい態様において、飲料に含まれるD-アラビノースの量は、0.2~2.5w/v%、0.6~2.0w/v%または0.8~1.8w/v%であってもよい。
【0022】
本発明の飲料に含まれるD-アラビノースの量は、高速液体クロマトグラフィーにより測定することができる。なお、飲料に配合されたD-アラビノースの配合量が判明している場合には、その配合量から算出された値を用いてもよい。
【0023】
[高甘味度甘味料]
本発明の一態様による飲料は、高甘味度甘味料をさらに含んでいてもよい。高甘味度甘味料は、ショ糖に比べて強い甘味を有する化合物を意味し、天然由来化合物、合成化合物または天然由来化合物および合成化合物の組み合わせを包含する。高甘味度甘味料はショ糖と同量において、ショ糖より5倍以上、10倍以上、50倍以上、100倍以上、500倍以上、1,000倍以上、5,000倍以上、10,000倍以上、50,000倍以上または100,000倍以上の甘味を呈する。
【0024】
高甘味度甘味料の具体例としては、アスパルテーム、ネオテーム、アドバンテームなどのペプチド系甘味料等、例えばスクラロースなどのショ糖誘導体、例えばアセスルファムK、サッカリン、サッカリンナトリウム、サイクラミン酸ナトリウム、ズルチン、グリチルリチン酸二ナトリウム、グリチルリチン酸三ナトリウム、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン等の合成甘味料(ネオヘスペリジンジヒドロカルコンのように、天然にも存在するが、主に合成物が流通しているものも含む)、例えばソーマチン、モネリン、クルクリン、マビンリン、ブラゼイン、ペンタジン、ヘルナンズルチン、4β-ヒドロキシヘルナンズルチン、ミラクリン、グリチルリチン、ルブソシド、フィロズルチンなどの植物から抽出された甘味料、または高甘味度甘味料成分を含む植物抽出物、例えばStevia rebaudiana(ステビア)抽出物、Siraitia grosvenorii(羅漢果)抽出物、Glycyrrhiza glabra(ヨウカンゾウ)抽出物、Rubus suavissimus S. Lee(甜茶)抽出物、Hydrangea macrophylla var. thunbergii(甘茶)抽出物、Sclerochiton ilicifolius抽出物、Thaumataococcus daniellii Benth(シビレクズウコン)抽出物、Dioscoreophyllum volkensii(セレンディピティベリー)抽出物、Curculigo latifolia(クルクリゴ)抽出物、Richadella dulcifica(ミラクルフルーツ)抽出物、Pentadiplandra brazzeana(ニシアフリカイチゴ)抽出物、Capparis masaikai(マビンロウ)抽出物、Lippia dulcis(スイートハーブメキシカン)抽出物等や当該抽出物中の甘味成分、例えばステビア抽出物およびステビアを酵素処理してブドウ糖を付加した酵素処理ステビア等のステビア誘導体などのステビオール配糖体、羅漢果および羅漢果抽出物を処理することで得られるモグロシド、フィロズルチン配糖体などの植物抽出物から得られる配糖体、Glycyrrhiza glabra植物含有甘味成分(例えば、グリチルリチンなどのトリテルペン配糖体)、Rubus suavissimus S. Lee植物含有甘味成分(例えば、ルブソシドなどのジテルペン配糖体)、Hydrangea macrophylla var. thunbergii植物含有甘味成分(例えば、フィロズルチンなどのジヒドロイソクマリン)、Sclerochiton ilicifolius植物含有甘味成分(例えば、モナチンなどのアミノ酸)、Thaumataococcus daniellii Benth植物含有甘味成分(例えば、ソーマチンなどのタンパク質)、Dioscoreophyllum volkensii植物含有甘味成分(例えば、モネリンなどのタンパク質)、Curculigo latifolia植物含有甘味成分(例えば、クルクリンなどのタンパク質)、Richadella dulcifica植物含有甘味成分(例えば、ミラクリンなどのタンパク質)、Pentadiplandra brazzeana植物含有甘味成分(例えば、ブラゼイン、ペンタジンなどのタンパク質)、Capparis masaikai植物含有甘味成分(例えば、マビンリンなどのタンパク質)、Lippia dulcis植物含有甘味成分(例えば、ヘルナンズルチン、4β-ヒドロキシヘルナンズルチンなどのセスキテルペン)などが挙げられる。
【0025】
ステビオール配糖体としては、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドC、レバウジオシドD、レバウジオシドE、レバウジオシドF、レバウジオシドI、レバウジオシドJ、レバウジオシドK、レバウジオシドM、レバウジオシドN、レバウジオシドO、レバウジオシドQ、レバウジオシドR、ズルコシドA、ズルコシドC、ルブソシド、ステビオール、ステビオールモノシド、ステビオールビオシドおよびステビオシドなどが挙げられる。モグロシドとしては、モグロシドIV、モグロシドVなどが挙げられる。
カンゾウ(甘草)抽出物とは、ウラルカンゾウ、チョウカカンゾウまたはヨウカンゾウの根または根茎から得られた、グリチルリチン酸を主成分とするものをいう。カンゾウ抽出物の例としてはカンゾウエキス、グリチルリチン、リコリス抽出物が挙げられる。
ショ糖誘導体は、例えば、ショ糖のOH基またはH基を別の置換基で置換して得られるものを含み、その例としては、ショ糖のハロゲン誘導体(スクラロース)、オキサチアジノンジオキシド誘導体等が挙げられる。
【0026】
本発明の好ましい態様において、高甘味度甘味料はレバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドC、レバウジオシドD、レバウジオシドE、レバウジオシドF、レバウジオシドI、レバウジオシドJ、レバウジオシドK、レバウジオシドM、レバウジオシドN、レバウジオシドO、レバウジオシドQ、レバウジオシドR、ズルコシドA、ズルコシドC、ルブソシド、ステビオールモノシド、ステビオールビオシド、ステビオシド、羅漢果抽出物、モグロシドV、ソーマチン、ブラゼイン、カンゾウ抽出物、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムK、スクラロース、およびその組合せからなる群より選択される少なくとも1つを含む。
【0027】
本発明の一態様の飲料に含まれる高甘味度甘味料の含有量は、飲料の総重量に対して重量割合で1~1,000ppmであってもよい。本発明の他の態様において、高甘味度甘味料の含有量は、飲料の総重量に対して重量割合で約20~約800ppm、約25~約800ppm、約30~約800ppm、約35~約800ppm、約40~約800ppm、約45~約800ppm、約50~約800ppm、約55~約800ppm、約20~約750ppm、約25~約750ppm、約30~約750ppm、約35~約750ppm、約40~約750ppm、約45~約750ppm、約50~約750ppm、約55~約750ppm、約20~約700ppm、約25~約700ppm、約30~約700ppm、約35~約700ppm、約40~約700ppm、約45~約700ppm、約50~約700ppm、約55~約700ppm、約20~約650ppm、約25~約650ppm、約30~約650ppm、約35~約650ppm、約40~約650ppm、約45~約650ppm、約50~約650ppm、約55~約650ppm、約20~約600ppm、約25~約600ppm、約30~約600ppm、約35~約600ppm、約40~約600ppm、約45~約600ppm、約50~約600ppm、約55~約600ppm、 約20~約550ppm、約25~約550ppm、約30~約550ppm、約35~約550ppm、約40~約550ppm、約45~約550ppm、約50~約550ppm、約55~約550ppm、約20~約540ppm、約25~約540ppm、約30~約540ppm、約35~約540ppm、約40~約540ppm、約45~約540ppm、約50~約540ppm、約55~約540ppm、約20~約530ppm、約25~約530ppm、約30~約530ppm、約35~約530ppm、約40~約530ppm、約45~約530ppm、約50~約530ppm、約55~約530ppm、約20~約520ppm、約25~約520ppm、約30~約520ppm、約35~約520ppm、約40~約520ppm、約45~約520ppm、約50~約520ppm、約55~約520ppm、約20~約510ppm、約25~約510ppm、約30~約510ppm、約35~約510ppm、約40~約510ppm、約45~約510ppm、約50~約510ppm、約55~約510ppm、約20~約505、約25~約505、約30~約505、約35~約505、約40~約505、約45~約505、約50~約505、約55~約505、約20~約500ppm、約25~約500ppm、約30~約500ppm、約35~約500ppm、約40~約500ppm、約45~約500ppm、約50~約500ppm、約55~約500ppm、約20~約495、約25~約495、約30~約495、約35~約495、約40~約495、約45~約495、約50~約495、約55~約495、約20~約490ppm、約25~約490ppm、約30~約490ppm、約35~約490ppm、約40~約490ppm、約45~約490ppm、約50~約490ppm、約55~約490ppm、約100~約500ppm、約100~約450ppm、約100~約400ppm、約100~約350ppm、約100~約300ppm、約100~約250ppm、約100~約200ppm、約150~約500ppm、約150~約450ppm、約150~約400ppm、約150~約350ppm、約150~約300ppm、約150~約250ppm、約150~約200ppm、約20~約200ppm、約200~約500ppm、約200~約450ppm、約200~約400ppm、約200~約350ppm、約200~約300または約200~約250であってもよい。本発明の他の態様において、高甘味度甘味料の量は、約20~約600ppm、約30~約550ppm、約55~約490ppm、約20~約200ppm、約100~約500ppmまたは約150~約350ppmであってもよい。本発明の飲料に含まれる高甘味度甘味料の量は、高速液体クロマトグラフィーにより測定することができる。なお、飲料に配合された高甘味度甘味料の配合量が判明している場合には、その配合量から算出された値を用いてもよい。
【0028】
[ナトリウム]
本発明の一態様による飲料はナトリウムをさらに含んでいてもよい。本発明の好ましい態様において、ナトリウムの含有量は50mg/100ml未満である。これはナトリウム原子の含有量が50mg/100ml未満であることを意味する。実施態様に応じて、0.1mg/100ml以上50mg/100ml未満、0.1~45mg/100ml、0.1~40mg/100ml、0.1~35mg/100ml、0.1~30mg/100ml、0.1~25mg/100ml、0.1~20mg/100ml、0.1~19mg/100ml、0.1~18mg/100ml、0.1~17mg/100ml、0.1~16mg/100ml、0.1~15mg/100ml、0.1~14mg/100ml、0.1~13mg/100ml、0.1~12mg/100ml、0.1~11mg/100ml、0.1~10mg/100ml、1mg/100ml以上50mg/100ml未満、1~45mg/100ml、1~40mg/100ml、1~35mg/100ml、1~30mg/100ml、1~25mg/100ml、1~20mg/100ml、1~19mg/100ml、1~18mg/100ml、1~17mg/100ml、1~16mg/100ml、1~15mg/100ml、1~14mg/100ml、1~13mg/100ml、1~12mg/100ml、1~11mg/100ml、1~10mg/100ml、5mg/100ml以上50mg/100ml未満、5~45mg/100ml、5~40mg/100ml、5~35mg/100ml、5~30mg/100ml、5~25mg/100ml、5~20mg/100ml、5~19mg/100ml、5~18mg/100ml、5~17mg/100ml、5~16mg/100ml、5~15mg/100ml、5~14mg/100ml、5~13mg/100ml、5~12mg/100ml、5~11mg/100ml、5~10mg/100ml、7mg/100ml以上50mg/100ml未満、7~45mg/100ml、7~40mg/100ml、7~35mg/100ml、7~30mg/100ml、7~25mg/100ml、7~20mg/100ml、7~19mg/100ml、7~18mg/100ml、7~17mg/100ml、7~16mg/100ml、7~15mg/100ml、10mg/100ml以上50mg/100ml未満、10~45mg/100ml、10~40mg/100ml、10~35mg/100ml、10~30mg/100ml、10~25mg/100ml、10~20mg/100ml、10~19mg/100ml、10~18mg/100ml、10~17mg/100ml、10~16mg/100ml、10~15mg/100ml、15mg/100ml以上50mg/100ml未満、15~45mg/100ml、15~40mg/100ml、15~35mg/100ml、15~30mg/100ml、15~25mg/100ml、15~20mg/100ml、20mg/100ml以上50mg/100ml未満、20~45mg/100ml、20~40mg/100ml、20~35mg/100ml、20~30mg/100ml、20~25mg/100ml、25mg/100ml以上50mg/100ml未満、25~45mg/100ml、25~40mg/100ml、25~35mg/100mlまたは25~30mg/100mlの含有量にあってもよい。
【0029】
また、ナトリウムの含有量は、実施態様に応じて、0.1~22mg/100ml、0.1~21mg/100ml、1~22mg/100ml、1~21mg/100ml、4~40mg/100ml、4~35mg/100ml、4~34mg/100ml、4~33mg/100ml、4~32mg/100ml、4~31mg/100ml、4~30mg/100ml、4~29mg/100ml、4~26mg/100ml、4~25mg/100ml、4~22mg/100ml、4~21mg/100ml、4~20mg/100ml、4~19mg/100ml、4~18mg/100ml、4~17mg/100ml、4~16mg/100ml、4~15mg/100ml、4~14mg/100ml、4~13mg/100ml、4~12mg/100ml、4~11mg/100ml、4~10mg/100ml、5~34mg/100ml、5~33mg/100ml、5~32mg/100ml、5~31mg/100ml、5~29mg/100ml、5~22mg/100ml、5~21mg/100ml、10~34mg/100ml、10~33mg/100ml、10~32mg/100ml、10~31mg/100ml、10~29mg/100ml、10~22mg/100ml、10~21mg/100ml、11.5~34mg/100ml、11.5~33mg/100ml、11.5~32mg/100ml、11.5~31mg/100ml、11.5~30mg/100ml、11.5~29mg/100ml、11.5~22mg/100ml、11.5~21mg/100ml、11.5~20mg/100ml、11.5~19mg/100ml、11.5~18mg/100ml、11.5~17mg/100ml、11.5~16mg/100ml、11.5~15mg/100ml、11.5~14mg/100ml、11.5~13mg/100ml、11.5~12mg/100ml、5.75~34.5mg/100ml、5.75~28.75mg/100ml、5.75~23mg/100ml、5.75~17.25mg/100ml、5.75~11.5mg/100ml、11.5~34.5mg/100ml、11.5~28.75mg/100ml、11.5~23mg/100ml、11.5~17.25mg/100ml、17.25~34.5mg/100ml、17.25~28.75mg/100ml、17.25~23mg/100ml、23~34.5mg/100ml、23~28.75mg/100mlまたは28.75~34.5mg/100mlの含有量にあってもよい。
【0030】
また、ナトリウムを飲料に添加する際の添加量は、飲料100mlに対して0.1~50mg、0.1~45mg、0.1~40mg、0.1~35mg、0.1~30mg、0.1~25mg、0.1~20mg、0.1~19mg、0.1~18mg、0.1~17mg、0.1~16mg、0.1~15mg、0.1~14mg、0.1~13mg、0.1~12mg、0.1~11mg、0.1~10mg、1~50mg、1~45mg、1~40mg、1~35mg、1~30mg、1~25mg、1~20mg、1~19mg、1~18mg、1~17mg、1~16mg、1~15mg、1~14mg、1~13mg、1~12mg、1~11mg、1~10mg、5~50mg、5~45mg、5~40mg、5~35mg、5~30mg、5~25mg、5~20mg、5~19mg、5~18mg、5~17mg、5~16mg、5~15mg、5~14mg、5~13mg、5~12mg、5~11mg、5~10mg、7~50mg、7~45mg、7~40mg、7~35mg、7~30mg、7~25mg、7~20mg、7~19mg、7~18mg、7~17mg、7~16mg、7~15mg、10~50mg、10~45mg、10~40mg、10~35mg、10~30mg、10~25mg、10~20mg、10~19mg、10~18mg、10~17mg、10~16mg、10~15mg、15~50mg、15~45mg、15~40mg、15~35mg、15~30mg、15~25mg、15~20mg、20~50mg、20~45mg、20~40mg、20~35mg、20~30mg、20~25mg、25~50mg、25~45mg、25~40mg、25~35mgまたは25~30mgであってもよい。
【0031】
ナトリウムは摂取可能な状態で本発明の飲料に含まれている限り特にその形態は限定されるものではないが、例えば、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、二硫化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、アルギニン酸ナトリウム、グルコヘプタン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、アスパラギン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、カゼインナトリウム、アスコルビン酸ナトリウムおよびその混合物からなる群より選択される少なくとも1つの形態で含まれていてもよい。
また、ベース飲料にナトリウムが含まれる場合、そのベース飲料由来のナトリウムも、本発明の飲料に含まれるナトリウムに包含される。
本発明の一態様において、保存料として用いるナトリウム成分(例えば、安息香酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム等)由来のナトリウムは、本発明の飲料に含まれるナトリウムに含めない。
【0032】
本明細書において、飲料中のナトリウムの含有量は、原子吸光法により測定することができる。なお、飲料に配合されたナトリウム含有化合物の配合量が判明している場合には、その配合量から算出された値を用いてもよい。
【0033】
[低甘味度甘味料]
本発明の一態様による飲料は、低甘味度甘味料をさらに含んでいてもよい。低甘味度甘味料は、ショ糖と同程度(例えば、ショ糖の5倍未満、0.1~2倍程度、0.5~1.5倍程度等)の甘味を有する化合物を意味する。低甘味度甘味料の非限定例としては、ショ糖、異性化糖、ブドウ糖、果糖、乳糖、麦芽糖、キシロース、ラクチュロース、フラクトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、カップリングシュガー(R)、パラチノース等の糖類低甘味度甘味料、マルチトール、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、ラクチトール、パラチニット、還元デンプン糖化物等の糖アルコール低甘味度甘味料等が挙げられる。また、低甘味度甘味料は甘味度が上記の範囲内であれば、希少糖、カロリー性甘味料、非カロリー性甘味料、糖質系甘味料、非糖質系甘味料、天然甘味料および人工甘味料を含む。
【0034】
本発明の一態様において、低甘味度甘味料が、ヘキソース、ペントース、テトロース、末端糖がアルドースまたはケトースである多糖、糖アルコールおよびその組合せから選択される甘味料を含む。本発明の他の態様において、低甘味度甘味料が、グルコース、スクロース、フルクトース、マルトース、オリゴ糖、異性化糖、乳糖、プシコース、アロース、タガトースおよびその組合せからなる群より選択される少なくとも1つを含む。本発明のさらに他の態様において、低甘味度甘味料は、グルコース、スクロース、フルクトースおよびその組合せから選択される甘味料を含む。
【0035】
本発明の一態様の飲料に含まれる低甘味度甘味料の含有量は、飲料の総容量に対して、0.1~20w/v%、0.1~15w/v%、0.1~10w/v%、0.1~5w/v%、0.1~1w/v%、0.5~20w/v%、0.5~15w/v%、0.5~10w/v%、0.5~5w/v%、0.5~1w/v%、0.8~20w/v%、0.8~15w/v%、0.8~10w/v%、0.8~5w/v%、0.8~1w/v%、1~20w/v%、1~15w/v%、1~10w/v%、1~5w/v%、2~20w/v%、2~15w/v%、2~10w/v%、2~5w/v%、3~20w/v%、3~15w/v%、3~10w/v%、3~5w/v%、4~20w/v%、4~15w/v%、4~10w/v%、4~5w/v%、5~20w/v%、5~15w/v%、5~10w/v%、6~20w/v%、6~15w/v%、6~10w/v%、7~20w/v%、7~15w/v%、7~10w/v%、8~20w/v%、8~15w/v%、8~10w/v%、9~20w/v%、9~15w/v%、10~20w/v%、10~15w/v%、12~20w/v%、12~15w/v%、14~20w/v%または14~15w/v%であってもよい。飲料に含まれる低甘味度甘味料の含有量は、高速液体クロマトグラフィーにより測定することができる。なお、飲料に配合された低甘味度甘味料の配合量が判明している場合には、その配合量から算出された値を用いてもよい。
【0036】
本発明の他の一態様の飲料に含まれる低甘味度甘味料の含有量は、ショ糖換算の甘味強度で0.1~5.9に相当する量であってもよい。本発明の好ましい他の態様において、飲料に含まれる低甘味度甘味料の含有量は、ショ糖換算の甘味強度で0.1~1.0、0.1~1.5、0.1~2.0、0.1~2.5、0.1~3.0、0.1~3.5、0.1~4.0、0.1~4.5、0.1~5.0、0.1~5.5、0.5~0.5、0.5~1.0、0.5~1.5、0.5~2.0、0.5~2.5、0.5~3.0、0.5~3.5、0.5~4.0、0.5~4.5、0.5~5.0、0.5~5.5、1.0~0.5、1.0~1.0、1.0~1.5、1.0~2.0、1.0~2.5、1.0~3.0、1.0~3.5、1.0~4.0、1.0~4.5、1.0~5.0、1.5~0.5、1.5~1.0、1.5~1.5、1.5~2.0、1.5~2.5、1.5~3.0、1.5~3.5、1.5~4.0、1.5~4.5、1.5~5.0、1.5~5.5、2.0~0.5、2.0~1.0、2.0~1.5、2.0~2.0、2.0~2.5、2.0~3.0、2.0~3.5、2.0~4.0、2.0~4.5、2.0~5.0、2.0~5.5、2.5~0.5、2.5~1.0、2.5~1.5、2.5~2.0、2.5~2.5、2.5~3.0、2.5~3.5、2.5~4.0、2.5~4.5、2.5~5.0、2.5~5.5、3.0~3.5、3.0~4.0、3.0~4.5、3.0~5.0または3.0~5.5であってもよい。
【0037】
甘味強度は、物質の呈する甘味の強さを意味する。例えば、単位濃度Brix1当たりのショ糖が呈する甘味強度を甘味度1と定めた場合、表1に記載のとおりブドウ糖の甘味度は0.6~0.7(中心値0.65)となる。この甘味度にブドウ糖の濃度Brix値を乗じて得られる数値がブドウ糖のショ糖換算の甘味強度となる。したがって、ブドウ糖の濃度がBrix1.5の場合、ブドウ糖のショ糖換算の甘味強度は0.65×1.5=0.975となる。甘味料のショ糖換算の甘味強度は、下表に記載の甘味度や公知の甘味度の値から算出することができる。
【表1】
【0038】
例えば、単位濃度Brix1当たりにスクロースの呈する甘味強度を甘味度1と定めた場合、レバウジオシドDの甘味度は約200~250(中心値225)、レバウジオシドMの甘味度は約200~260(中心値230)、レバウジオシドBの甘味度は約325、レバウジオシドAの甘味度は約200~300(中心値250)、レバウジオシドNの甘味度は約200~250(中心値225)、レバウジオシドOの甘味度は約200~250(中心値225)、レバウジオシドEの甘味度は約70~80(中心値75)、羅漢果抽出物(MogV40%含有)の甘味度は約110~150(中心値130)、モグロシドVの甘味度は約240~300(中心値270)、ソーマチンの甘味度は約2,000、ブラゼインの甘味度は約500~2000(中心値1250)となる。これらの甘味度に果汁飲料中の高甘味度甘味料の濃度(w/v%(飲料の場合はw/w%と同視し得る))を乗じて得られる数値が高甘味度甘味料の甘味強度となる。なお、スクロースの甘味度1に対する各種甘味料の甘味度の相対比は、公知の砂糖甘味換算表等から求めることができる。本明細書において、甘味度が数値範囲で示されているものについては中心値を用いてもよい。ただし、甘味度の値が文献によって異なる甘味料については、スクロースの甘味度1に対する甘味度の相対比を官能試験によって定めることができる。そのような官能試験としては、例えば、Brix3.0から5.0まで0.5刻となるようスクロースを純水に添加したサンプルを調製し、その中から所定濃度の甘味料の水溶液と同等の甘味強度を持つスクロース添加サンプルを選択する方法が挙げられる。また、甘味強度の増加に伴って甘味度が変化しうる甘味料については、種々の濃度での甘味度を実測してプロットし、得られた近似曲線から所定の濃度における甘味度を算出してもよい。
【0039】
[その他の成分]
本発明の飲料は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、酸化防止剤(エリソルビン酸ナトリウムなど)、乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルなど)、酸味料(リン酸、クエン酸、リンゴ酸など)、香料等を適宜配合することができる。
【0040】
本発明の一態様における飲料のエネルギー(総エネルギー量)は、50Kcal/100ml以下であってもよい。本発明の他の態様における飲料のエネルギーは、実施態様によって0~50Kcal/100ml、0~45Kcal/100ml、0~40Kcal/100ml、0~35Kcal/100ml、0~30Kcal/100ml、0~24Kcal/100ml、0~22Kcal/100ml、0~20Kcal/100ml、0~15Kcal/100ml、0~10Kcal/100ml、0~5Kcal/100ml、0.1~50Kcal/100ml、0.1~45Kcal/100ml、0.1~40Kcal/100ml、0.1~35Kcal/100ml、0.1~30Kcal/100ml、0.1~24Kcal/100ml、0.1~22Kcal/100ml、0.1~20Kcal/100ml、0.1~15Kcal/100ml、0.1~10Kcal/100ml、0.1~5Kcal/100ml、1~50Kcal/100ml、1~45Kcal/100ml、1~40Kcal/100ml、1~35Kcal/100ml、1~30Kcal/100ml、1~24Kcal/100ml、1~22Kcal/100ml、1~20Kcal/100ml、1~15Kcal/100ml、1~10Kcal/100ml、1~5Kcal/100ml、5~50Kcal/100ml、5~45Kcal/100ml、5~40Kcal/100ml、5~35Kcal/100ml、5~30Kcal/100ml、5~24Kcal/100ml、5~20Kcal/100ml、5~15Kcal/100ml、5~10Kcal/100ml、10~50Kcal/100ml、10~45Kcal/100ml、10~40Kcal/100ml、10~35Kcal/100ml、10~30Kcal/100ml、10~24Kcal/100ml、10~20Kcal/100ml、10~15Kcal/100ml、15~50Kcal/100ml、15~45Kcal/100ml、15~40Kcal/100ml、15~35Kcal/100ml、15~30Kcal/100ml、15~24Kcal/100ml、15~20Kcal/100ml、20~50Kcal/100ml、20~45Kcal/100ml、20~40Kcal/100ml、20~35Kcal/100ml、20~30Kcal/100ml、20~24Kcal/100ml、24~50Kcal/100ml、24~45Kcal/100ml、24~40Kcal/100ml、24~35Kcal/100mlまたは24~30Kcal/100mlとなり得る。甘味物質やアルコールのエネルギーは既知であるか、含有量をHPLC等にて測定し、エネルギー換算係数を乗じて算出することや、カロリーメーター(例えばボンブカロリーメーター等)により物理的燃焼熱を測定し、これを消化吸収率や排泄熱量などで補正すること等により決定することができる。
【0041】
本発明の一態様による飲料のショ糖換算の甘味強度は、0.5~20であってもよく、0.5~15、0.5~12.5、0.5~10、0.5~6.0、0.5~4.0、1.0~20、1.0~15、1.0~12.5、1.0~10、1.0~6.0、1.0~4.0、4.0~20、4.0~15、4.0~12.5、4.0~10、4.0~6.0、4.5~20、4.5~15、4.5~12.5、4.5~10、5.0~20、5.0~15、5.0~12.5、5.0~10、5.5~20、5.5~15、5.5~12.5、5.5~10、6.0~20、6.0~15、6.0~12.5、6.0~10、6.5~20、6.5~15、6.5~12.5、6.5~10、7.0~20、7.0~15、7.0~12.5、7.0~10、7.5~20、7.5~15、7.5~12.5、7.5~10、7.5~9、7.5~8、8.0~20、8.0~20、8.0~15、8.0~12.5、8.0~10、8.5~20、8.5~15、8.5~12.5、8.5~10、9.0~20、9.0~15、9.0~12.5、9.0~10、9.5~20、9.5~15、9.5~12.5、9.5~10、10.0~20、10.0~15、10.0~12.5、10.5~20、10.5~15または10.5~12.5であってもよい。
【0042】
本発明の飲料の種類は特に限定されず、アルコール飲料またはノンアルコール飲料のいずれであってもよい。ノンアルコール飲料として、例えば、ノンアルコールビール、麦芽飲料、乳酸菌飲料、ココア、スポーツドリンク、栄養ドリンク、茶系飲料、コーヒー飲料、炭酸飲料、機能性飲料、果実・野菜系飲料、乳性飲料、豆乳飲料、フレーバーウォーターおよびゼリー状飲料等が挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0043】
本発明の飲料は、加熱殺菌をされ、容器に詰められた状態の容器詰飲料として調製してもよい。容器としては、特に限定されず、例えば、PETボトル、アルミ缶、スチール缶、紙パック、チルドカップ、瓶などを挙げることができる。加熱殺菌を行う場合、その種類は特に限定されず、例えばUHT殺菌及びレトルト殺菌等の通常の手法を用いて行うことができる。加熱殺菌工程の温度は特に限定されないが、例えば65~130℃、好ましくは85~120℃で、10~40分である。ただし、上記の条件と同等の殺菌価が得られれば適当な温度で数秒、例えば5~30秒での殺菌でも問題はない。
【0044】
さらに本発明の好ましい態様による飲料では、飲料の味質改善効果が奏される。例えば、本発明の一態様による飲料では、「甘味の立ちの速さ」、「甘味強度」、「甘味の後引き」、「苦味強度」および「苦味の後引き」の少なくとも1つが改善されることが好ましい。本発明の好ましい態様において、D-アラビノースと、高甘味度甘味甘味料とナトリウムの組合せによって「甘味の立ちの速さ」、「甘味強度」および「苦味の後引き」の少なくとも1つが改善される。
【0045】
本発明の例示的な態様
以下に本発明の例示的な態様を示すが、本発明は下記の態様に制限されるものではない。
本発明の一態様によれば、
D-アラビノースを0.1~25w/v%含み、
高甘味度甘味料をさらに含み、
前記高甘味度甘味料がレバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドC、レバウジオシドD、レバウジオシドE、レバウジオシドF、レバウジオシドI、レバウジオシドJ、レバウジオシドK、レバウジオシドM、レバウジオシドN、レバウジオシドO、レバウジオシドQ、レバウジオシドR、ズルコシドA、ズルコシドC、ルブソシド、ステビオールモノシド、ステビオールビオシド、ステビオシドおよびその組合せからなる群より選択される少なくとも1つを含む、飲料が提供される。
【0046】
本発明の一態様によれば、
D-アラビノースを0.1~25w/v%、0.5~20w/v%、0.8~18w/v%または1~16w/v%含み、
高甘味度甘味料をさらに含み、
ナトリウムを、0.1mg/100ml以上50mg/100ml未満、1~40mg/100ml、5~20mg/100mlまたは7~15mg/100ml含む、飲料が提供される。
【0047】
本発明の他の一態様によれば、
D-アラビノースを0.1~25w/v%、0.5~20w/v%、0.8~18w/v%または1~16w/v%含み、
レバウジオシドA、レバウジオシドD、レバウジオシドMおよびその組合せからなる群より選択される少なくとも1つを含む高甘味度甘味料をさらに含み、
ナトリウムを、0.1mg/100ml以上50mg/100ml未満、1~40mg/100ml、5~20mg/100mlまたは7~15mg/100ml含む、飲料が提供される。
【0048】
本発明の他の一態様によれば、
D-アラビノースを0.1~25w/v%、0.5~20w/v%、0.8~18w/v%または1~16w/v%含み、
レバウジオシドA、レバウジオシドD、レバウジオシドMおよびその組合せからなる群より選択される少なくとも1つを含む高甘味度甘味料をさらに含み、
ナトリウムを、0.1mg/100ml以上50mg/100ml未満、1~40mg/100ml、5~20mg/100mlまたは7~15mg/100ml含み、
低甘味度甘味料をさらに含む、飲料が提供される。
【0049】
2.飲料の製造方法
本発明の1つの側面によれば、上記本発明の飲料を製造する方法(以下、「本発明の製造方法」という)が提供される。本発明の製造方法は、D-アラビノースを含む本発明の飲料が得られれば特に限定されない。原料を別々に飲料に添加してもよく、予め原料を混合したうえで飲料に添加してもよい。
【0050】
本発明の一側面の製造方法において、「D-アラビノース」、「高甘味度甘味料」、「ナトリウム」および「低甘味度甘味料」は、上記「1.D-アラビノースを含む飲料」の項目で述べた定義と同様である。
【0051】
3.飲料の濃縮物
本発明の1つの側面によれば、上記本発明の飲料を提供するための濃縮物(以下、「本発明の濃縮物」ともいう)を提供する。本発明の一態様によれば、本発明の濃縮物は、本発明の飲料を提供するための2~10倍濃縮物であり、例えば、2~9倍、2~8倍、2~7倍、2~6倍、2~5倍、2~4倍、2~3倍、3~10倍、3~9倍、3~8倍、3~7倍、3~6倍、3~5倍、3~4倍、4~10倍、4~9倍、4~8倍、4~7倍、4~6倍、4~5倍、5~10倍、5~9倍、5~8倍、5~7倍または5~6倍濃縮物であってもよい。本発明の濃縮物は、予め少量の液体に原料を溶解させることや、凍結濃縮などの公知の方法で得ることができる。
【0052】
本発明の濃縮物は、所定の倍率に希釈された際に本発明の飲料となるものである。例えば、本発明の濃縮物は、シロップや原液として飲料に用いることができる。その際、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍または10倍に希釈して使用することができる。希釈する際には水や炭酸水を用いることができる。本発明の濃縮物は、濃縮されているため保存性や輸送性の面で好ましい。本発明の濃縮物は、固体であっても液体であってもよい。
【0053】
本発明の一態様による濃縮物は、さらにナトリウムを含んでいてもよい。本発明の一態様による濃縮物に含まれるナトリウムの量は、濃縮物の濃縮倍率によって調整することができる。例えば、濃縮物が本発明のアルコール飲料を提供するための2~10倍濃縮物であれば、濃縮物に含まれるナトリウムの量は、本発明の飲料に含まれる量の2~10倍とすることができる。
【0054】
本発明の一側面の濃縮物において、「D-アラビノース」、「高甘味度甘味料」、「ナトリウム」および「低甘味度甘味料」は、上記「1.D-アラビノースを含む飲料」の項目で述べた定義と同様である。
【0055】
4.甘味料組成物
本発明の1つの側面によれば、D-アラビノースおよび一種以上の高甘味度甘味料を含む甘味料組成物(以下、「本発明の甘味料組成物」ともいう)が提供される。本発明の甘味料組成物は飲食品にそのまま添加することができる。本発明の組成物は、液体状、半固体状または固体状であってもよい。
【0056】
本発明の甘味料組成物に含まれるD-アラビノースの量は特に限定されないが、例えば、甘味料組成物の総量に対して、1重量%~99重量%、5重量%~95重量%、10重量%~90重量%、15重量%~85重量%、20重量%~80重量%、25重量%~75重量%、30重量%~70重量%、35重量%~65重量%、40重量%~60重量%、45重量%~55重量%、1重量%~5重量%、1重量%~10重量%、1重量%~15重量%、1重量%~20重量%、1重量%~25重量%、1重量%~30重量%、1重量%~35重量%、1重量%~40重量%、1重量%~45重量%または1重量%~50重量%であってもよい。
【0057】
本発明の一態様による甘味料組成物は、高甘味度甘味料として、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドC、レバウジオシドD、レバウジオシドE、レバウジオシドF、レバウジオシドI、レバウジオシドJ、レバウジオシドK、レバウジオシドM、レバウジオシドN、レバウジオシドO、レバウジオシドQ、レバウジオシドR、ズルコシドA、ズルコシドC、ルブソシド、ステビオールモノシド、ステビオールビオシド、ステビオシド、羅漢果抽出物、モグロシドV、ソーマチン、ブラゼイン、カンゾウ抽出物、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムK、スクラロース、およびその組合せからなる群より選択される少なくとも1つを含んでいてもよい。好ましくは、レバウジオシドA、レバウジオシドD、レバウジオシドMおよびその組合せからなる群より選択される少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0058】
本発明の一態様による甘味料組成物において、D-アラビノースと高甘味度甘味料との組成比は、特に限定されないが、例えば重量比(D-アラビノース:高甘味度甘味料)で1000:1~10:1、900:1~20:1、800:1~30:1、700:1~40:1、600:1~50:1、500:1~60:1、400:1~70:1、300:1~80:1、200:1~90:1または150:1~100:1であってよい。また、本発明の配糖体は、一種類のみ用いてもよく、また複数種類を用いてもよい。
【0059】
本発明の一態様による甘味料組成物は、さらにナトリウムを含んでいてもよい。ナトリウムは摂取可能な状態で本発明の飲料に含まれている限り特にその形態は限定されるものではないが、例えば、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、二硫化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、アルギニン酸ナトリウム、グルコヘプタン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、アスパラギン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、カゼインナトリウム、アスコルビン酸ナトリウムおよびその混合物からなる群より選択される少なくとも1つの形態で含まれていてもよい。
【0060】
本発明の一態様による甘味料組成物は、さらに低甘味度甘味料を含んでいてもよい。その低甘味度甘味料としては、グルコース、スクロース、フルクトース、マルトース、オリゴ糖、異性化糖、乳糖、プシコース、アロース、タガトースおよびその組合せからなる群より選択される少なくとも1つであってもよい。これら甘味成分は一種類のみ用いてもよく、また複数種類を用いてもよい。
【0061】
本発明の一側面の甘味料組成物において、「D-アラビノース」、「高甘味度甘味料」、「ナトリウム」および「低甘味度甘味料」は、上記「1.D-アラビノースを含む飲料」の項目で述べた定義と同様である。
【0062】
5.飲料の味質を改善する方法
本発明の1つの側面によれば、飲料の味質を改善する方法(以下、「本発明の味質改善方法」ともいう)が提供される。本発明の味質改善方法によれば、「甘味の立ちの速さ」、「甘味強度」、「甘味の後引き」、「苦味強度」および「苦味の後引き」の少なくとも1つが改善されることが好ましい。本発明の好ましい態様において、D-アラビノースと、高甘味度甘味甘味料とナトリウムの組合せによって「甘味の立ちの速さ」、「甘味強度」および「苦味の後引き」の少なくとも1つが改善される。
【0063】
本発明の味質改善方法は、飲料にD-アラビノースと高甘味度甘味料とナトリウムを含有させることを特徴とする。飲料に含有させるD-アラビノースの量は上記「1.D-アラビノースを含む飲料」の項目で述べたとおりである。また、飲料に含有させる高甘味度甘味料およびナトリウムの量および種類も「1.D-アラビノースを含む飲料」の項目で述べたとおりである。本発明の味質改善方法において、D-アラビノースと高甘味度甘味料とナトリウムは別々に含有させてもよく、予めこれらの原料を混合したうえで飲料に含有させてもよい。
【0064】
本発明の一側面の味質改善方法において、「D-アラビノース」、「高甘味度甘味料」、「ナトリウム」および「低甘味度甘味料」は、上記「1.D-アラビノースを含む飲料」の項目で述べた定義と同様である。
【0065】
本明細書において、「少なくとも」との文言は、特定の項目の数が、挙げられた数以上であってよいことを意味する。また、本願内において、「約」との文言は、主体が「約」に続く数値の±25%、±10%、±5%、±3%、±2%または±1%の範囲に存在することを意味する。例えば「約10」は、7.5~12.5の範囲を意味する。
【実施例0066】
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
【0067】
[実施例1]D-アルロースとD-アラビノースの基本的味質評価
実験方法
下記の表2に示した比率でD-アルロース(D-プシコース、純度99%以上)、D-アラビノース(純度98.0%以上)を純水に溶解して、サンプル溶液A、Bを調製した。6%ショ糖溶液をコントロール溶液として、これらサンプル溶液の甘味質を、「甘味の立ちの速さ」、「甘味強度」、「甘味の後引き」、「苦味強度」、「苦味の後引き」の評価項目により評価した。各評価項目において、コントロール溶液と差がない場合を0点とし、-3点から3点まで点数付けを行った。コントロールよりも甘味の立ちが速い、甘味強度が高い、甘味の後引きが短い、苦味強度が低い、苦味の後引きが短い場合は3点に近い点数をつけ、コントロールよりも甘味の立ちが遅い、甘味強度が低い、甘味の後引きが長い、苦味強度が高い、苦味の後引きが長い場合には-3点に近い点数をつけた。すなわち、0点に近いほど、コントロールに近いことを指す。評価は、官能に関して訓練を受けた者(4名)がパネラーとなって実施し、吐きだし試験にて行った。なお、各サンプル溶液に含まれる甘味物質の量は、計算上コントロール溶液と同等になるよう設定した。具体的には、D-アルロースの甘味度をショ糖の0.7倍およびD-アラビノースの甘味度をショ糖の0.6倍として、各サンプル溶液の甘味強度が同程度となるように設計した。エネルギー(kcal/100ml)は、添加した甘味料の量から算出した。
【表2】
【0068】
結果
結果を
図1および表3にまとめる。D-アラビノースを含む水溶液はD-アルロースを含む水溶液よりも苦味強度が低く、かつ、苦味の後引きが少なく、よりショ糖に近い味質を有していた。
【表3】
【0069】
[実施例2]RebAとの組合せにおけるD-アルロースとD-アラビノースの評価
実験方法
下記の表4に示した比率でD-アルロース(D-プシコース、純度99%以上)、D-アラビノース(純度98.0%以上)、レバウジオシドA(RebA)(純度95%以上)を純水に溶解して、サンプル溶液A~Dを調製した。サンプル溶液A、Bは1%ショ糖溶液を、サンプル溶液C、Dは5%ショ糖溶液をコントロール溶液として(それぞれコントロール溶液1および2)、これらサンプル溶液の甘味質を、「甘味の立ちの速さ」、「甘味強度」、「甘味の後引き」、「苦味強度」、「苦味の後引き」の評価項目により評価した。各評価項目において、コントロール溶液と差がない場合を0点とし、-3点から3点まで点数付けを行った。コントロールよりも甘味の立ちが速い、甘味強度が高い、甘味の後引きが短い、苦味強度が低い、苦味の後引きが短い場合は3点に近い点数をつけ、コントロールよりも甘味の立ちが遅い、甘味強度が低い、甘味の後引きが長い、苦味強度が高い、苦味の後引きが長い場合には-3点に近い点数をつけた。すなわち、0点に近いほど、コントロールに近いことを指す。評価は、官能に関して訓練を受けた者(3名)がパネラーとなって実施し、吐きだし試験にて行った。なお、各サンプル溶液に含まれる甘味物質の量は、各サンプル溶液の甘味強度が計算上コントロール溶液と同等になるよう設定した。具体的には、D-アルロースの甘味度をショ糖の0.7倍、D-アラビノースの甘味度をショ糖の0.6倍とし、甘味強度0.3および4.3におけるRebAの甘味度をそれぞれショ糖の100倍および190.5倍として、各サンプル溶液の甘味強度が同程度となるように設計した。エネルギー(kcal/100ml)は、RebAのエネルギーを0として、添加した原料の量から算出した。
【表4】
【0070】
結果
結果を
図2および3ならびに表5および6にまとめる。甘味強度が低いサンプル(コントロール1と同様にショ糖換算の甘味強度が1のサンプル)および甘味強度が高いサンプル(コントロール2と同様にショ糖換算の甘味強度が5のサンプル)のいずれにおいても、D-アラビノースを用いた方がD-アルロースを用いたものよりも苦味強度において優位性が確認された。
【表5】
【表6】
【0071】
[実施例3]RebDおよびナトリウムとの組合せにおけるD-アルロースとD-アラビノースの評価
実験方法
下記の表7に示した比率でD-アルロース(D-プシコース、純度99%以上)、D-アラビノース(純度98.0%以上)、レバウジオシドD(RebD)(純度95%以上)、グルコン酸ナトリウム(扶桑化学工業株式会社製)を純水に溶解して、サンプル溶液A~Hを調製した。サンプル溶液A~Dは1%ショ糖溶液を、サンプル溶液E~Hは5%ショ糖溶液をコントロール溶液として(それぞれコントロール溶液1および2)、これらサンプル溶液の甘味質を、「甘味の立ちの速さ」、「甘味強度」、「甘味の後引き」、「苦味強度」、「苦味の後引き」の評価項目により評価した。各評価項目において、コントロール溶液と差がない場合を0点とし、-3点から3点まで点数付けを行った。コントロールよりも甘味の立ちが速い、甘味強度が高い、甘味の後引きが短い、苦味強度が低い、苦味の後引きが短い場合は3点に近い点数をつけ、コントロールよりも甘味の立ちが遅い、甘味強度が低い、甘味の後引きが長い、苦味強度が高い、苦味の後引きが長い場合には-3点に近い点数をつけた。すなわち、0点に近いほど、コントロールに近いことを指す。評価は、官能に関して訓練を受けた者(3名)がパネラーとなって実施し、吐きだし試験にて行った。なお、各サンプル溶液に含まれる甘味物質の量は、各サンプル溶液の甘味強度が計算上コントロール溶液と同等になるよう設定した。具体的には、D-アルロースの甘味度をショ糖の0.7倍、D-アラビノースの甘味度をショ糖の0.6倍とし、甘味強度0.3および4.3におけるRebDの甘味度をそれぞれショ糖の100倍および190.5倍として、各サンプル溶液の甘味強度が同程度となるように設計した。下記表において「Cont.」は「コントロール」を意味する。飲料中のナトリウム含有量は、添加したグルコン酸ナトリウム量から算出した。エネルギー(kcal/100ml)は、RebAおよびグルコン酸ナトリウムのエネルギーを0として、添加した原料の量から算出した。
【表7】
【0072】
結果
結果を
図4および5ならびに表8および9にまとめる。下記表において「Cont.」は「コントロール」を意味する。甘味強度が低いサンプル(コントロール1と同様にショ糖換算の甘味強度が1のサンプル)および甘味強度が高いサンプル(コントロール2と同様にショ糖換算の甘味強度が5のサンプル)のいずれにおいても、D-アラビノースを用いた方がD-アルロースを用いたものよりも苦味強度において優位性が確認された。また、甘味強度が低いサンプルにおいて、D-アラビノースとRebDとNaの組み合わせにより「甘味の立ちの速さ」、「甘味強度」および「苦味の後引き」において改善が確認された。
【表8】
【表9】
【0073】
[実施例4]RebMとの組合せにおけるD-アルロースとD-アラビノースの評価
実験方法
下記の表10に示した比率でD-アルロース(D-プシコース、純度99%以上)、D-アラビノース(純度98.0%以上)、レバウジオシドM(RebM)(純度95%以上)を純水に溶解して、サンプル溶液A~Dを調製した。サンプル溶液A、Bは1%ショ糖溶液を、サンプル溶液C、Dは5%ショ糖溶液をコントロール溶液として(それぞれコントロール溶液1、2とする)、これらサンプル溶液の甘味質を、「甘味の立ちの速さ」、「甘味強度」、「甘味の後引き」、「苦味強度」および「苦味の後引き」の評価項目により評価した。各評価項目において、コントロール溶液と差がない場合を0点とし、-3点から3点まで点数付けを行った。コントロールよりも甘味の立ちが速い、甘味強度が高い、甘味の後引きが短い、苦味強度が低い、苦味の後引きが短い場合は3点に近い点数をつけ、コントロールよりも甘味の立ちが遅い、甘味強度が低い、甘味の後引きが長い、苦味強度が高い、苦味の後引きが長い場合には-3点に近い点数をつけた。すなわち、0点に近いほど、コントロールに近いことを指す。評価は、官能に関して訓練を受けた者(3名)がパネラーとなって実施し、吐きだし試験にて行った。なお、各サンプル溶液に含まれる甘味物質の量は、各サンプル溶液の甘味強度が計算上コントロール溶液と同等になるよう設定した。具体的には、D-アルロースの甘味度をショ糖の0.7倍、D-アラビノースの甘味度をショ糖の0.6倍とし、甘味強度0.3および4.3におけるRebMの甘味度をそれぞれショ糖の100倍および190.5倍として、各サンプル溶液の甘味強度が同程度となるように設計した。エネルギー(kcal/100ml)は、RebMのエネルギーを0として、添加した原料の量から算出した。
【0074】
【0075】
結果
結果を
図6および7ならびに表11および12にまとめる。甘味強度が低いサンプル(コントロール1と同様にショ糖換算の甘味強度が1のサンプル)および甘味強度が高いサンプル(コントロール2と同様にショ糖換算の甘味強度が5のサンプル)のいずれにおいても、D-アラビノースを用いた方がD-アルロースを用いたものよりも苦味強度において優位性が確認された。
【表11】
【表12】
【0076】
[実施例5]甘味受容体(T1R2/T1R3)阻害剤共存下におけるショ糖、スクラロース、D-アラビノースおよびL-アラビノースの評価
実験方法
官能に関して訓練を受けた者(3名)がパネラーとなって評価を実施した。下記の表13に示した比率でショ糖(太平洋製糖株式会社製)、スクラロース、D-アラビノース(純度98.0%以上)、L-アラビノース(100%純正粉末、販売元:株式会社アイカ)、ラクチゾールを純水に溶解して、飲料サンプル(サンプル溶液1~4)を調製した。なお、各サンプル溶液は、スクラロースの甘味強度をショ糖の538.54倍、D-アラビノースおよびL-アラビノースの甘味強度をショ糖の0.6倍として、甘味強度が同程度となるように設計した。また、ラクチゾールを添加していない以外はサンプル溶液1、2、3および4と同じ組成の溶液をそれぞれコントロール溶液1、2、3および4とした。官能評価は吐きだし試験にて行った。甘味強度はVASスケールで評点し、ラクチゾールを添加していない溶液の強度を100%とし、ラクチゾールを添加した溶液の甘味強度を相対値(%)として算出した。これらによりラクチゾールによる甘味抑制効果を検証した。
【表13】
【0077】
結果
結果を表14および
図8に示す(n=3の平均値)。
図8に示すとおり、スクラロースは、ラクチゾール未添加(0ppm)の場合の甘味強度を100%とした場合、ラクチゾールを100ppm添加時には、甘味強度がほぼ消失した(8.99%)。しかしながら、ショ糖溶液は、ラクチゾール未添加の場合の甘味強度を100%とした場合、ラクチゾールを100ppm添加時においても29.05%もの甘味強度が残存した。これにより、甘味受容体(T1R2/T1R3)の阻害剤であるラクチゾールの共存下でも、ヒトの官能で甘味料の甘味を知覚できることが示された。同様にL-アラビノースとD-アラビノースについても、ラクチゾールを100ppm添加時においてショ糖と同等以上の甘味強度が残存しており、特にD-アラビノースを用いた場合の甘味強度の残存率が高かった。
【表14】