(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022103577
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】コアシェル型粒子の製造方法
(51)【国際特許分類】
B22F 1/14 20220101AFI20220701BHJP
B22F 1/00 20220101ALI20220701BHJP
B22F 1/16 20220101ALI20220701BHJP
C23C 26/00 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
B22F1/02 F
B22F1/00 M
B22F1/02 D
C23C26/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020218302
(22)【出願日】2020-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000166443
【氏名又は名称】戸田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100173406
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 真貴子
(74)【代理人】
【識別番号】100067301
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 順一
(72)【発明者】
【氏名】柿原 康男
【テーマコード(参考)】
4K018
4K044
【Fターム(参考)】
4K018BA01
4K018BA02
4K018BA04
4K018BA20
4K018BB04
4K018BB05
4K018BC28
4K018BC32
4K018BD01
4K018BD10
4K018KA33
4K018KA42
4K018KA70
4K044AA06
4K044AB01
4K044BA11
4K044BA12
4K044BB01
4K044BC14
4K044CA53
4K044CA62
(57)【要約】
【課題】
コア粒子表面に微細な粒子からなるシェルを備えるコアシェル型粒子を簡便に製造でき、また、製造時の廃棄物や、製造に要するエネルギーを非常に低減することができるコアシェル型粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】
コアシェル型粒子の製造方法であって、コア粒子の表面に1種以上の原料微粒子Aを付着させた後、前記原料微粒子Aと固相反応する1種以上の原料微粒子Bとをコア粒子表面で固相反応させて製造するコアシェル型粒子の製造方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアシェル型粒子の製造方法であって、コア粒子の表面に1種以上の原料微粒子Aを付着させた後、前記原料微粒子Aと固相反応する1種以上の原料微粒子Bとをコア粒子表面で固相反応させて製造するコアシェル型粒子の製造方法。
【請求項2】
前記コアシェル型粒子のシェルが2種類以上の金属元素を含有するセラミックスである請求項1記載のコアシェル型粒子の製造方法。
【請求項3】
前記固相反応の反応温度が250℃以下である請求項1又は2記載のコアシェル型粒子の製造方法。
【請求項4】
前記コア粒子がニッケル粒子である請求項1~3いずれか記載のコアシェル型粒子の製造方法。
【請求項5】
前記コアシェル型粒子のシェルがチタン酸バリウムである請求項1~4いずれか記載のコアシェル型粒子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコアシェル型粒子の製造方法に関する。詳しくは、コア粒子表面に微細な粒子からなるシェルを備えるコアシェル型粒子を簡便に製造する方法であり、また、製造時の廃棄物や製造に要するエネルギーを非常に低減することができるコアシェル型粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コアシェル型粒子は、顔料、導電体材料、磁性体材料、誘電体材料、光学材料、触媒材料、固体電解質材料等多方面に使用されている。
【0003】
コアシェル型粒子は、コアとなる粒子の表面に、シェルとなるセラミックス微粒子を被覆または付着させたコアシェル型の粒子が種々検討されている。
【0004】
コアシェル型粒子とすることによりコア粒子が持つ本来の特徴に、シェルが様々な特性を付与することが可能になる。
【0005】
例えば、マイカの粒子表面を酸化チタンの微粒子で被覆したコアシェル型粒子であるチタン被覆マイカは良好なパール顔料として広く用いられている。
【0006】
また、導電性のニッケル粒子の表面に誘電体粒子であるチタン酸バリウム微粒子が付着したコアシェル型粒子は、積層セラミックスコンデンサの導電層に用いられ、導電層と誘電層の熱膨張の差から生じるクラック抑制に効果があるとされる。
【0007】
コアシェル型粒子の製造には、コア粒子の表面にいかに効率的にシェルを形成する微粒子を付着させるかが問題となる。
【0008】
特に、シェルとなる粒子が微細化すると、粒子同士の凝集が激しくなり、コア粒子表面へ付着させることが困難になる。
【0009】
さらに近年では、製造時の廃棄物の低減や、製造に要するエネルギーのさらなる低減が望まれている。
【0010】
そこで、シェルを形成する粒子が微細な粒子であっても、凝集することなくコア粒子表面に付着させることができ、また、製造時の廃棄物やエネルギーを低減できるコアシェル型粒子の製造方法の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2005-216634
【特許文献2】特開2016-14194
【特許文献3】特開2001-131602
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1には、コア粒子となるニッケル粒子の表面に表面改質剤を被覆した後、誘電体粒子であるチタン酸バリウム微粒子とを混合することによりニッケル粒子表面にチタン酸バリウム微粒子を付着させコアシェル型粒子を製造する方法が開示されている。
【0013】
しかしながら特許文献1に開示される方法は、Ni粒子表面に被覆された表面改質剤にチタン酸バリウム微粒子を付着させるため、微細で分散性の良好なチタン酸バリウム微粒子を予め調製する必要がある。
【0014】
また、チタン酸バリウム微粒子の凝集を解砕しつつ、コア粒子表面に付着させるための特別な装置も必要になる。
【0015】
特許文献2には、コア粒子となる金属粒子(ニッケル粒子)とシェル粒子となる金属酸化物粒子(チタン酸バリウム粒子)とが分散したスラリー状の噴霧液を噴霧し、噴霧した液滴を加熱して噴霧乾燥を行うことにより金属粒子がコアであり、金属酸化物がシェルとなるコアシェル型粒子を製造する方法が開示されている。
【0016】
しかし、特許文献2に開示される方法は、各噴霧液のpHを予め調整し、コアとなる金属粒子表面とシェルとなる金属酸化物粒子表面の表面電荷を異符号とすることで、金属粒子表面に均質に金属酸化物を被覆し、続いて乾燥・加熱することを特徴としているから、予め分散性が良好なチタン酸バリウム微粒子を含む分散液を調製する必要がある。
【0017】
また、噴霧乾燥において液滴を噴霧するために噴霧液の固形分濃度を低くする必要があり、生産性が低く、また、大量の廃液が出るなど環境負荷が大きいという問題がある。
【0018】
特許文献3は、熱処理によりペロブスカイト型構造のチタン酸バリウムを生成する組み合わせの可溶性のチタン化合物と可溶性のバリウム化合物を含む溶液とニッケル微粒子とを接触させ、可溶性チタン化合物と可溶性バリウム化合物との反応生成物からなる前駆体を個々のニッケル微粒子の表面に付着させ乾燥させた後、400℃以上で熱処理して、ニッケル微粒子表面において前駆体からペロブスカイト型構造のチタン酸バリウムを生成させ、ニッケル微粒子表面を被覆する方法が開示されている。
【0019】
しかし、特許文献3に開示される方法ではチタン酸バリウムを生成するために400℃以上に加熱する必要がある。
【0020】
本発明者らは、前記諸問題を解決することを技術的課題とし、試行錯誤的な数多くの試作・実験を重ねた結果、コア粒子の表面に1種以上の原料微粒子Aを付着させた後、原料微粒子Aと固相反応する1種以上の原料微粒子Bと混合して、コア粒子表面で原料微粒子AとBとを固相反応させてコアシェル型粒子を製造すれば、微細なセラミックス粒子が凝集することなくコア粒子表面に付着したコアシェル型粒子を製造することができ、また、コア粒子の表面上で原料微粒子を固相反応させてシェルを形成するので、製造時に出る廃棄物や製造に要するエネルギーを低減させることができるという刮目すべき知見を得て前記技術的課題を達成したものである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前記技術的課題は次のとおりの本発明によって解決できる。
【0022】
本発明は、コアシェル型粒子の製造方法であって、コア粒子の表面に1種以上の原料微粒子Aを付着させた後、前記原料微粒子Aと固相反応する1種以上の原料微粒子Bとをコア粒子表面で固相反応させて製造するコアシェル型粒子の製造方法である。
【0023】
また本発明は、前記コアシェル型粒子のシェルが2種類以上の金属元素を含有するセラミックスである前記コアシェル型粒子の製造方法である。
【0024】
また本発明は、前記固相反応の反応温度が250℃以下である前記コアシェル型粒子の製造方法である。
【0025】
また本発明は、前記コア粒子がニッケル粒子である前記コアシェル型粒子の製造方法である。
【0026】
また本発明は、前記コアシェル型粒子のシェルがチタン酸バリウムである前記コアシェル型粒子の製造方法である。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、コア粒子の表面に1種以上の原料微粒子Aを付着させた後、原料微粒子Aと固相反応する原料微粒子Bとを混合し、加熱してコア粒子表面で固相反応させてシェルを形成するから、微細なセラミックス粒子が凝集することなくコア粒子表面に付着したコアシェル型粒子を製造することができる。
【0028】
したがって、本発明によれば、原料微粒子を粉砕しながら分散させて粒子表面に付着させるための特別な装置を必要とせず、簡便な方法でコアシェル型粒子を製造することができる。
【0029】
また、本発明は、原料微粒子Aが付着したコア粒子と原料微粒子Bとを混合し、加熱して固相反応させるから、製造時の廃棄物や製造に要するエネルギーを非常に低減させることができる。
【0030】
また、原料微粒子の組み合わせを変えることで、コア粒子に様々な機能を付加したコアシェル型粒子を製造することができる。
【0031】
また、固相反応の温度を250℃以下にすることで、さらに、製造に要するエネルギーを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】チタン酸バリウム微粒子が付着したニッケル粒子のSEM写真(150,000倍)である。
【
図2】チタン酸バリウム微粒子が付着したニッケル粒子のSEM写真(50,000倍)である。
【
図3】ニッケル粒子表面にバリウムとチタンが同じ位置に付着していることを示すSTEM-EDS写真である。
【
図4】チタン酸バリウムが表面に付着したニッケル粒子のX線回折パターンである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は、コア粒子の表面に所望のセラミックス微粒子が付着したコアシェル型粒子の製造方法である。
【0034】
本願における「付着」とはコア粒子に原料微粒子又はセラミックス微粒子が付着している状態を表し、コア粒子全体を被覆している場合も含む語として使用する。
【0035】
本発明は、1種以上の原料微粒子Aが表面に付着したコア粒子と原料微粒子Aと固相反応する1種以上の原料微粒子Bとをコア粒子表面で固相反応させてセラミックス微粒子のシェルを形成させることを特徴とする。
【0036】
本発明におけるコア粒子は特に限定されるものではなく、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、銀(Ag)、パラジウム-銀合金(Pd-Ag)、銅(Cu)などを例示することができる。
【0037】
コア粒子表面に付着させる原料微粒子は、原料微粒子Aの結晶骨格内に原料微粒子Bの金属原子が拡散し、新たな結晶構造を形成する反応経路をとる原料微粒子AとBの組み合わせにすることが好ましい。
【0038】
固相反応後にコア粒子表面に目的のセラミックス微粒子が付着した状態を形成し易いからである。
【0039】
原料微粒子AとBはそれぞれ1種であってもよいし、2種以上の混合微粒子であってもよい。
【0040】
原料微粒子AとBは同一の金属元素を含有していてもよいし、異なる金属元素を含有していてもよい。
【0041】
原料微粒子の組み合わせとしては、固相反応するものどうしであれば特に限定されるものではなく、酸化チタン(TiO2)と水酸化バリウム八水和物(Ba(OH)2・8H2O)とをコア粒子表面で固相反応させてチタン酸バリウム(BaTiO3)とする組み合わせや酸化チタン(TiO2)と水酸化ストロンチウム八水和物(Sr(OH)2・8H2O)とをコア粒子表面で固相反応させてチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)とする組み合わせや、酸化チタン(TiO2)と水酸化カルシウム(Ca(OH)2)とをコア粒子表面で固相反応させてチタン酸カルシウム(CaTiO3)とする組み合わせ等を例示することができる。
【0042】
本発明においては、原料微粒子Aが付着したコア粒子と原料微粒子Bとを混合し、加熱することでコア粒子の表面で固相反応させてコアシェル型粒子を製造する。
【0043】
本願における固相反応とは反応時に固体粒子であって、固体粒子と固体粒子の接触した界面が反応の起点となり、金属イオンが拡散、結晶構造を形成していく固相反応をいう。
【0044】
固相反応は250℃以下で行うことが好ましい。製造に要するエネルギーを低減することができるからである。
【0045】
本発明を詳細に説明するために、積層セラミックスコンデンサの導電層に用いられる、コア粒子がニッケル粒子でありシェル微粒子がチタン酸バリウムであるコアシェル型粒子を例に挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0046】
コア粒子としては金属ニッケル粒子を用いる。
【0047】
ニッケル粒子の平均粒子径は10nm~500nmが好ましく、より好ましくは50nm~300nm、さらに好ましくは50nm~200nmである。
【0048】
平均粒子径が10nm未満の場合には積層セラミックスコンデンサの導電層に用いた場合ハンドリングが難しくなり、また、500nmより大きいと導電層の厚みが厚くなるためである。
【0049】
ニッケル粒子の表面に酸化チタンを付着させる。
【0050】
酸化チタン微粒子の平均粒子径は50nm以下が好ましく、より好ましくは10nm~30nmである。
【0051】
50nmより大きいと固相反応が進み難いからである。
【0052】
酸化チタンを付着させる方法は限定されず、既知の方法で行えばよい。
【0053】
ニッケル粒子に酸化チタンを付着させる方法として、テトラブトキシチタニウムやテトライソプロポキシチタニウムなどのチタンアルコキシドの加水分解反応による方法や、チタンフッ化アンモニウムとホウ酸の水溶液を用いる方法(J. Soc. Powder Technol, Japan, 51, 337-342(2014))を例示する。
【0054】
酸化チタンが付着したニッケル粒子に、ニッケル粒子に付着している酸化チタンに対して当量になるように水酸化バリウム八水和物を加え混合する。
【0055】
ニッケル粒子に付着している酸化チタンと当量の水酸化バリウムの量は、設計上ニッケル粒子に付着させる酸化チタン量を計算し、計算した酸化チタンの全量がニッケル粒子に付着していると仮定して、酸化チタン全量と当量の水酸化バリウムの量を算出することで求めることができる。
【0056】
混合物を60℃~250℃で加熱することにより、酸化チタン微粒子がチタン酸バリウム微粒子へ変換されるため、ニッケル粒子をコア粒子、チタン酸バリウムをシェル微粒子とするコアシェル型粒子を作製することができる。
【実施例0057】
本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0058】
(実施例1)
ニッケル粉末(平均粒子径200nm)10gと95%チタン酸テトラ-n-ブチル2.2g、エタノール50mLとを100ccのナスフラスコに投入し、ロータリーエバポレーターに取り付け1時間混合した。
湯浴は40℃に設定した。
【0059】
その後、エタノールを減圧除去した。
混合物を取り出し120℃の乾燥器内で24時間加熱し、ニッケル粉の表面に酸化チタンを付着させ、酸化チタン付着ニッケル粒子を作製した。
【0060】
作製した酸化チタン付着ニッケル粒子3g(酸化チタン量は0.143g)と水酸化バリウム八水和物0.56gとを乳鉢を用いて混合し、混合物を80℃の乾燥器内に24時間静置することで、チタン酸バリウムが表面に付着したニッケル粒子を得た。
【0061】
今般の実施例においては、1つのニッケル粉末粒子に対して5重量%の酸化チタンが表面に付着するように設計し、酸化チタンの全量が表面に付着しているとして水酸化バリウム量を計算した。
【0062】
走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製)にて、ニッケル粒子の表面全体が被覆された粒子を確認できた(
図1及び
図2)。
【0063】
STEM-EDS(日本電子株式会社製)で観察したところ、Ni粒子表面の同じ位置にBaとTiが存在していたため、Ni粒子表面がBaTiO
3で被覆されていることが確認できた。(
図3)。
【0064】
X線回折(BRUKER社製)からチタン酸バリウムが生成していることが確認できた。(
図4)。
【0065】
(実施例2)
実施例1の方法で調製した酸化チタンが付着したニッケル粒子3g(酸化チタン量は0.143g)と水酸化バリウム八水和物0.56gとを乳鉢を用いて混合し、混合物を100℃の乾燥器内に24時間静置することで、チタン酸バリウムが表面に付着したニッケル粒子が得られた。
【0066】
(実施例3)
実施例1の方法で調製した酸化チタンを被覆したニッケル粉3g(酸化チタン換算で0.143g)と水酸化バリウム八水和物0.56gとを乳鉢を用いて混合し、混合物を220℃の過熱水蒸気中で1時間静置することで、チタン酸バリウムが表面に付着したニッケル粒子が得られた。
【0067】
(実施例4)
実施例1の方法で調製した酸化チタンが付着したニッケル粒子3g(酸化チタン量は0.143g)と水酸化バリウム八水和物0.56gとを乳鉢を用いて混合し、混合物を240℃の過熱水蒸気中で1時間静置することで、チタン酸バリウムが表面に付着したニッケル粒子が得られた。
【0068】
(実施例5)
実施例1の方法で調製した酸化チタンが表面に付着したニッケル粒子3g(酸化チタン量は0.143g)と水酸化ストロンチウム八水和物0.47gとを乳鉢を用いて混合し、混合物を80℃の乾燥器内に24時間静置することで、チタン酸ストロンチウムが表面に付着したニッケル粒子が得られた。
【0069】
(比較例1)
ニッケル粒子(平均粒子径200nm)3g、酸化チタン0.143g、水酸化バリウム八水和物0.56gとを乳鉢を用いて混合し、混合物を80℃の乾燥器内に24時間静置した。得られた混合物はニッケル粉とチタン酸バリウムが単に混合された粉末のみが得られた。
【0070】
(比較例2)
ニッケル粒子(平均粒子径200nm)3g、チタン酸バリウム(平均粒子径30nm)0.15gとを乳鉢を用いて混合した。得られた混合物はニッケル粉とチタン酸バリウムが単に混合された粉末のみが得られた。
本発明によれば、微細な原料微粒子をコア粒子表面に付着させたのち、固相反応させてセラミックス微粒子のシェルを形成するので、微細な粒子であっても凝集することなくコア粒子表面に付着したコアシェル型粒子を製造することができるから、原料微粒子を粉砕しながら分散させて粒子表面に付着させるための特別な装置を必要とせず、簡便な方法でコアシェル型粒子を製造することができる。
また、コア粒子の表面上で固相反応させてシェルを形成するので、製造時に出る廃棄物や製造に要するエネルギーを非常に低減させることができる。
したがって、本発明は産業上の利用可能性の高い発明である。