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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022103624
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】自己保持型ソレノイド
(51)【国際特許分類】
   H01F 7/122 20060101AFI20220701BHJP
   H01F 7/16 20060101ALI20220701BHJP
   H01F 7/121 20060101ALI20220701BHJP
   D04B 15/56 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
H01F7/122 C
H01F7/16 D
H01F7/16 E
H01F7/16 F
D04B15/56 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020218370
(22)【出願日】2020-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000151221
【氏名又は名称】株式会社島精機製作所
(72)【発明者】
【氏名】田嶋 大介
【テーマコード(参考)】
4L054
5E048
【Fターム(参考)】
4L054AA01
4L054AB02
4L054FA07
4L054NA02
5E048AA08
5E048AC05
5E048AD04
(57)【要約】
【課題】 吸引位置での保持力を安定化し、復帰位置への確実な復帰も可能とする自己保持型ソレノイドを提供する。
【解決手段】 吸引位置の固定鉄心8と可動鉄心7とは直接接触しないで、非磁性板9を挟むので、復帰位置への復帰の際に固着し難くなり、確実に復帰させることができる。可動側テーパー面7bと固定側テーパー面8bとは、狭い間隔を空けて、非接触で対向し、吸着面積を増やすことができる。可動鉄心7は、吸引位置で永久磁石6の吸引力が作用する部分にエッジを形成する溝7cを有するので、可動鉄心7で永久磁石6からの保持力を受ける部分は、溝7cによるエッジの効果で保持力を高めることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性体のブラケットで外囲される筒状のボビンの軸方向に沿って吸引側コイルと永久磁石と復帰側コイルとが配設され、吸引側コイルまたは復帰側コイルへの通電で、ボビン内を可動鉄心が固定鉄心に吸着される吸引位置または固定鉄心から離れる復帰位置にそれぞれ移動し、通電を停止すれば、いずれの位置でも可動鉄心が安定に保持される自己保持型ソレノイドにおいて、
吸引位置で可動鉄心が吸着される固定鉄心の吸着面は、ボビン内の最外周側で軸方向に垂直な固定側端面と、固定側端面の内周側から軸方向を復帰位置に向かって径が縮小しながら凸状に延びる固定側テーパー面とを有し、
吸引位置で固定鉄心に吸着される可動鉄心の吸着面は、ボビン内の最外周側で固定鉄心の固定側端面に対向し、軸方向に垂直な可動側端面と、可動側端面の内周側から軸方向を復帰位置に向かって径が縮小しながら凹状に延びて、固定鉄心の固定側テーパー面に非接触で対向する可動側テーパー面とを有し、
可動鉄心は、吸引位置で永久磁石の吸引力が作用する部分にエッジを形成する溝を有し、
固定鉄心に可動鉄心が吸着される際に、固定側端面と可動側端面との間に挟まれる非磁性板を含む、
ことを特徴とする自己保持型ソレノイド。
【請求項2】
前記可動鉄心と前記固定鉄心との間、および可動鉄心と前記ボビンの前記復帰位置側との間に、可動鉄心の摺動に関する案内を行う案内部材をそれぞれ含む、
ことを特徴とする請求項1記載の自己保持型ソレノイド。
【請求項3】
前記可動鉄心の前記復帰位置側の端部に付加される、非磁性の延長部材を含み、
復帰位置側で可動鉄心の前記摺動に関する案内を行う前記案内部材は、前記ボビンの前記軸方向の外方に設けられて、延長部材の摺動を案内する、
ことを特徴とする請求項2記載の自己保持型ソレノイド。
【請求項4】
前記ブラケットは、展開状態で十字型となる軟鋼板を折り曲げて形成される有底角筒体形状であり、
該角筒の一側面が、制御台への取付け面となり、
前記吸引側コイルおよび前記復帰側コイルへの前記通電のため、該側面から突出するピンが設けられる、
ことを特徴とする請求項1から3までのいずれか一つに記載の自己保持型ソレノイド。
【請求項5】
前記制御台への取付けは、前記吸引位置が上、前記復帰位置が下となるように行われ、
前記ブラケットを外囲するガイド部材であって、
上部が前記可動鉄心で上向きに駆動され、
側部が該制御台に設ける案内溝で案内され、
下部が前記延長部材との間に設ける圧縮ばねを介して下向きに付勢される、
そのようなガイド部材を含む、
ことを特徴とする請求項4記載の自己保持型ソレノイド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルへの通電で可動鉄心が固定鉄心と接触する吸引位置または固定鉄心から離れる復帰位置に切替わり、通電停止でもその位置に保持される自己保持型ソレノイドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自己保持型ソレノイドは、横編機のキャリッジで糸道レール上方を跨ぐゲートアームに搭載され、ヤーンフィーダーを連行する連行ピンを出没させるために使用されている(たとえば、特許文献1参照)。このような横編機は、少なくとも二つの針床を備え、針床が対向する歯口の上方に架設される複数の糸道レールも備える。キャリッジは、各針床にそれぞれ設けられ、針床に並設される編針を駆動するカムを搭載し、キャリッジ間をゲートアームで連結して、針床の長手方向に往復走行する。自己保持型ソレノイドは、可動鉄心(プランジャー)と固定鉄心とを有し、コイルへの通電で可動鉄心を、固定鉄心に接触する吸引位置と固定鉄心から離れる復帰位置とのいずれかに移動させる。通電で移動した吸引位置または復帰位置は、通電停止後も、永久磁石の磁力を利用して保持される(たとえば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭62-29539号公報
【特許文献2】特開平3-038805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来からの自己保持型ソレノイドは、吸引位置で可動鉄心と固定鉄心とが接触するので、磁気ショート状態となり、保持力が強い。しかしながら、連行ピンを出没させる自己保持型ソレノイドの使用環境は、横編機のキャリッジの走行や、カムによる編針の駆動を円滑に行うために油も使用される。吸引位置での可動鉄心と固定鉄心との接触面は、油が付着すると固着力が加わり、離れて復帰状態に切替わることが難しくなるおそれがある。このように復帰特性が悪くなることは、接触面に樹脂などの非磁性体を挟み、磁気ショートしないようにすることで改善されると期待される。しかしながら、可動鉄心と固定鉄心との間に非磁性体を挟むことは、保持力が激減して吸引状態で必要な安定した保持力が得られなくなるおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、吸引位置での保持力を安定化し、復帰位置への確実な復帰も可能とする自己保持型ソレノイドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、磁性体のブラケットで外囲される筒状のボビンの軸方向に沿って吸引側コイルと永久磁石と復帰側コイルとが配設され、吸引側コイルまたは復帰側コイルへの通電で、ボビン内を可動鉄心が固定鉄心に吸着される吸引位置または固定鉄心から離れる復帰位置にそれぞれ移動し、通電を停止すれば、いずれの位置でも可動鉄心が安定に保持される自己保持型ソレノイドにおいて、
吸引位置で可動鉄心が吸着される固定鉄心の吸着面は、ボビン内の最外周側で軸方向に垂直な固定側端面と、固定側端面の内周側から軸方向を復帰位置に向かって径が縮小しながら凸状に延びる固定側テーパー面とを有し、
吸引位置で固定鉄心に吸着される可動鉄心の吸着面は、ボビン内の最外周側で固定鉄心の固定側端面に対向し、軸方向に垂直な可動側端面と、可動側端面の内周側から軸方向を復帰位置に向かって径が縮小しながら凹状に延びて、固定鉄心の固定側テーパー面に非接触で対向する可動側テーパー面とを有し、
可動鉄心は、吸引位置で永久磁石の吸引力が作用する部分にエッジを形成する溝を有し、
固定鉄心に可動鉄心が吸着される際に、固定側端面と可動側端面との間に挟まれる非磁性板を含む、
ことを特徴とする自己保持型ソレノイドである。
【0007】
また本発明で、前記可動鉄心と前記固定鉄心との間、および可動鉄心と前記ボビンの前記復帰位置側との間に、可動鉄心の摺動に関する案内を行う案内部材をそれぞれ含む、
ことを特徴とする。
【0008】
また本発明は、前記可動鉄心の前記復帰位置側の端部に付加される、非磁性の延長部材を含み、
復帰位置側で可動鉄心の前記摺動に関する案内を行う前記案内部材は、前記ボビンの前記軸方向の外方に設けられて、延長部材の摺動を案内する、
ことを特徴とする。
【0009】
また本発明で、前記ブラケットは、展開状態で十字型となる軟鋼板を折り曲げて形成される有底角筒体形状であり、
該角筒の一側面が、制御台への取付け面となり、
前記吸引側コイルおよび前記復帰側コイルへの前記通電のため、該側面から突出するピンが設けられる、
ことを特徴とする。
【0010】
また本発明で、前記制御台への取付けは、前記吸引位置が上、前記復帰位置が下となるように行われ、
前記ブラケットを外囲するガイド部材であって、
上部が前記可動鉄心で上向きに駆動され、
側部が該制御台に設ける案内溝で案内され、
下部が前記延長部材との間に設ける圧縮ばねを介して下向きに付勢される、
そのようなガイド部材を含む、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、吸引位置で固定鉄心と可動鉄心とは、固定側テーパー面と可動側テーパー面とを対向させて吸着力が働く面積を増やし、固体側端面と可動側端面との間に非磁性板を挟んでも保持力が減少し難くなるようにしている。可動鉄心で永久磁石からの保持力を受ける部分は、溝を有し、溝で径が縮小する部分に生じる段差によるエッジの効果で保持力を高めることができる。固定鉄心と可動鉄心とは直接接触しないで、固定側面と可動側端面との間に非磁性板を挟むので、復帰位置への復帰の際に固着し難くなり、確実に復帰させることができる。
【0012】
また本発明によれば、可動鉄心は、摺動する際に外周が固定鉄心およびボビンの内周に接触しないように案内部材で案内される。可動鉄心が固定鉄心やボビンに接触しないので、鉄粉やボビンの材料からの摩耗粉は生じ難くなり、可動鉄心は研磨されて寿命が短縮されるおそれが低減される。
【0013】
また本発明によれば、可動鉄心の復帰位置側での摺動は、ボビンの軸方向の外方に設ける案内部材で可動鉄心に付加される非磁性の延長部材を案内するように行うので、安定化させることができる。
【0014】
また本発明によれば、自己保持型ソレノイドを使用する装置の組立てが容易となり、組立ての自動化も可能となる。
【0015】
また本発明によれば、可動鉄心は、ガイド部材を、吸引位置で上向きに駆動し、復帰位置で駆動を解除する。可動鉄心が吸引位置から復帰位置に移動して上向きの駆動が解除されると、ガイド部材は下向きに付勢するばねを介して下方を押圧する。押圧の際に抵抗を受けてガイド部材が下方への移動を停止しても、抵抗が無くなれば下方に移動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の一実施例である自己保持型ソレノイド1で、可動鉄心7が吸引位置にある状態を示す正面断面図である。
図2図2は、自己保持型ソレノイド1で、可動鉄心7が復帰位置にある状態を示す正面断面図である。
図3図3は、自己保持型ソレノイド1の平面図および底面図である。
図4図4は、自己保持型ソレノイド1に装着するガイド部材20の正面図、左側面図、平面図および底面図である。
図5図5は、自己保持型ソレノイド1をガイド部材20に装着した状態を示す正面図、左側面図、平面図および底面図である。
図6図6は、自己保持型ソレノイド1を、並べて取付けるための取付用制御台30と、カバー用制御台31との簡略化した正面図である。
図7図7は、自己保持型ソレノイド1を取付用制御台30に取付け、カバー用制御台31で挟んだ状態を示す正面図である。
図8図8は、自己保持型ソレノイド1を含む転換ユニット40の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図1から図3は、本発明の一実施例である自己保持型ソレノイド1の構成を示す。図4から図8は、自己保持型ソレノイド1の使用例に関する。各図で対応する部分は,同一の参照符を付して示し、重複する説明を省略する場合がある。また説明の便宜上、説明対象の図には記載されていない部分について、他の図に記載される参照符を付して言及する場合がある。
【実施例0018】
図1および図2は、本発明の一実施例である自己保持型ソレノイド1の吸引状態および復帰状態を、それぞれ示す。自己保持型ソレノイド1は、ブラケット2、ボビン3、吸引側コイル4、復帰側コイル5、永久磁石6、可動鉄心7、固定鉄心8、非磁性板9、フロントヨーク10、案内部材11,12、プッシュロッド13および延長部材14を含む。ブラケット2は、特許文献2の第3図に示されるように、展開状態で十字型となる軟鋼板を折り曲げて形成される有底角筒体形状である。ボビン3は、概略的に円筒状であり、たとえばガラス繊維で強化した樹脂製である。吸引側コイル4と復帰側コイル5とは、ボビン3の外周に被覆銅線が巻付けられて形成される。吸引側コイル4および復帰側コイル5は、ボビン3の軸線方向に間隔を空けて、吸引位置側と復帰位置側との端部側に配置される。この間隔には、4つの永久磁石6が配置される。永久磁石6は、角形で、一方の磁極がブラケット2の内壁に接し、他方の磁極がボビン3の外周に臨む。
【0019】
このようにして、自己保持型ソレノイド1は、磁性体のブラケット2で外囲される筒状のボビン3の軸方向に沿って、たとえば上方から下方に、吸引側コイル4と永久磁石6と復帰側コイル5とが配設され、吸引側コイル4または復帰側コイル5への通電で、ボビン3内を可動鉄心7が固定鉄心8に吸着される上方の吸引位置、または固定鉄心8から離れる下方の復帰位置にそれぞれ移動し、通電を停止すれば、いずれの位置でも可動鉄心7が安定に保持される。
【0020】
図1に示すように、可動鉄心7は、吸引状態でボビン3内の吸引位置にあり、固定鉄心8に最接近する。吸引位置で可動鉄心7が吸着される固定鉄心8の吸着面は、ボビン3内の最外周側で軸方向に垂直な固定側端面8aと、固定側端面8aの内周側から軸方向を復帰位置に向かって径が縮小しながら凸状に延びる固定側テーパー面8bとを有する。吸引位置で固定鉄心8に吸着される可動鉄心7の吸着面は、ボビン3内の最外周側で固定鉄心8の固定側端面8aに対向し、軸方向に垂直な可動側端面7aと、可動側端面7aの内周側から軸方向を復帰位置に向かって径が縮小しながら凹状に延びて、固定鉄心8の固定側テーパー面8bに間隔を空けて対向する可動側テーパー面7bとを有する。非磁性板9は、樹脂製であり、可動側端面7aと固定側端面8aとの間に挟まれる。ブラケット2の復帰側には、ブラケット2と同様な強磁性体のフロントヨーク10が設けられる。
【0021】
図2に示すように、可動鉄心7は、復帰状態でボビン3内の復帰位置にあり、固定鉄心8から離れる。可動鉄心7の吸引位置と復帰位置との間の移動に関する案内は、上下の案内部材11,12で行われる。可動鉄心7は、吸引側の中央部分が非磁性のプッシュロッド13で延長される。プッシュロッド13は、固定鉄心8の中央を貫通する。案内部材11は、固定鉄心8の端部に設けられ、可動鉄心7の吸引位置側での摺動に関する案内として、プッシュロッド13の摺動を円滑に案内する。可動鉄心7の復帰位置側の端部には、延長部材14が付加される。延長部材14は、非磁性で可動鉄心7と同等の外径を有するので、図の下方から挿抜可能にして組立の自動化に対応する。なお、復帰位置では、通電無しで図示のように釣り合って可動鉄心7が保持されるけれども、可動鉄心7は通電によって吸引位置から復帰位置に駆動される際に、下方に飛び出すおそれがある。この飛び出しは、図示は省略しているけれども、図の下方に、延長部材14の下端が当接するストッパーを設けて防止する。可動鉄心7の復帰位置側での摺動に関する案内は、ボビン3の軸方向の外方に設ける案内部材12が延長部材14の摺動を案内して行う。ボビン3の端部に案内部材12を設けて可動鉄心7を案内してもよいけれども、案内部材12をボビン3の軸方向の外部に設けることで、案内部材11,12間の距離を大きくして、摺動を安定化させることができる。案内部材11,12によって、可動鉄心7は、摺動する際に外周がボビン3の内周に接触しないように案内されるので、鉄粉やボビン3の材料からの摩耗粉が生じ難くなり、可動鉄心7が研磨されて寿命が短縮されるおそれが低減される。
【0022】
以上のように、吸引位置の固定鉄心8と可動鉄心7とは非接触で、非磁性板9を挟むので、復帰位置への復帰の際に固着し難くなり、確実に復帰させることができる。可動側テーパー面7bと固定側テーパー面8bとは、狭い間隔を空けて、非接触で対向し、吸着力が働く面積を増やすことができる。可動鉄心7は、図1に示すように、吸引位置で永久磁石6の吸引力が作用する部分に溝7cを有し、溝7cで径が縮小する部分に生じる段差に磁束が集まるエッジの効果で保持力を高めることができる。また図2に示すように、復帰位置でも、永久磁石6の保持力は溝7cで高められる。
【0023】
図3は、自己保持型ソレノイド1の平面図と底面図とを示す。平面図にはドーナツ状の非磁性板9を、底面図には角板状の永久磁石6を、それぞれ参考として二点鎖線で示す。上方の吸引側では、固定鉄心8の中央からプッシュロッド13が出没する。下方の復帰側では、フロントヨーク10の中央から延長部材14が出没する。自己保持型ソレノイド1は、プッシュロッド13および延長部材14の出没で外部に対する駆動を行うことができる。
【0024】
図4および図5は、自己保持型ソレノイド1に装着するガイド部材20、およびガイド部材20への自己保持型ソレノイド1の装着状態をそれぞれ示す。図4に示すようなガイド部材20は、たとえば樹脂製であり、駆動部20a、基部20b、支柱部20c,20dで囲まれる空間を有する。図5で示すように、空間は、装着した自己保持型ソレノイド1を外囲する。ガイド部材20の駆動部20aは、自己保持型ソレノイド1のプッシュロッド13で駆動される。ガイド部材20の基部20bは、下方に突出する連行ピン21を有する。基部20bの上部と、自己保持型ソレノイド1の延長部材14の下端との間に、圧縮ばね22が設けられる。圧縮ばね22は、基部20bを介して連行ピン21を下方に付勢する。可動鉄心7は、ガイド部材20を、吸引位置で上向きに駆動し、復帰位置で駆動を解除する。可動鉄心7が吸引位置から復帰位置に移動して上向きの駆動が解除されると、ガイド部材20は下向きに付勢する圧縮ばね22を介して下方を押圧する。連行ピン21で連行するヤーンキャリアは連行ピン21と係合する溝を有している。連行ピン21の押圧で溝に係合させることはタイミングが厳格になるので、溝への係合に先行して押圧が開始される。溝への係合前は、抵抗を受けてガイド部材20が下方への移動を停止する状態になる。この移動の停止時にも、可動鉄心7は途中で停止するのではなく、復帰位置まで達して保持されている。キャリッジの移動で、連行ピン21がヤーンキャリアの溝の位置に達して抵抗が無くなれば、連行ピン21は下方に移動して溝と係合することができる。
【0025】
図6は、自己保持型ソレノイド1を、図5に示すようなガイド部材20の装着状態で並べて取付けるための取付用制御台30と、カバー用制御台31とを示す。取付用制御台30およびカバー用制御台31は、アルミや黄銅などの非磁性の金属製であり、ガイド部材20の支柱部20c,20dが挿入されて、上下動を案内する案内溝30a,31aをそれぞれ有する。ガイド部材20を装着した自己保持型ソレノイド1は、取付用制御台30に取付ける。カバー用制御台31は、取付用制御台30に取り付けた自己保持型ソレノイド1を、挟んで覆う。
【0026】
図7および図8は、8個の自己保持型ソレノイド1を取付用制御台30およびカバー用制御台31で挟んで形成する転換ユニット40を示す。このような転換ユニット40は、特許文献1と同様に、キャリッジのゲートアームに搭載することができる。ゲートアームに転換ユニット40を固定するために使用する板枠部材35は、取付用制御台30にカバー用制御台31を組付けた後で、図の下方から上方に差込む。自己保持型ソレノイド1は、取付用制御台30に、取付ねじ32で取付ける。ブラケット2の角筒の一側面が、取付用制御台30への取付け面となるので、ブラケット2を折り曲げで形成する際の加工に,高精度は必要なくなる。自己保持型ソレノイド1の吸引側コイル4および復帰側コイル5は、通電ピン15を介するピン結線にしておく。通電ピン15を、取付用制御台30側に突出させることで、転換ユニット40の組立自動化も図ることができる。通電ピン15は、結線基板33に接続される。結線基板33には、コネクタ34も設けることができ、たとえば結線基板33に設ける動作検出用センサーを接続し、ガイド部材20に設ける磁石等の検出片を検出することによる動作検出も可能となる。
【符号の説明】
【0027】
1 自己保持型ソレノイド
2 ブラケット
3 ボビン
4 吸引側コイル
5 復帰側コイル
6 永久磁石
7 可動鉄心
7a 可動側端面
7b 可動側テーパー面
7c 溝
8 固定鉄心
8a 固定側端面
8b 固定側テーパー面
9 非磁性板
11,12 案内部材
14 延長部材
15 通電ピン
20 ガイド部材
21 連行ピン
22 圧縮ばね
30 取付用制御台
30a,31a 案内溝
31 カバー用制御台
40 転換ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8