(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022103629
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】照射装置
(51)【国際特許分類】
B66B 31/02 20060101AFI20220701BHJP
B66B 23/24 20060101ALI20220701BHJP
B66B 23/22 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
B66B31/02 A
B66B23/24 A
B66B23/22 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020218379
(22)【出願日】2020-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】594071804
【氏名又は名称】森ビル株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】501145631
【氏名又は名称】イーヒルズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000128496
【氏名又は名称】株式会社オーク製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100090251
【氏名又は名称】森田 憲一
(72)【発明者】
【氏名】矢部 俊男
(72)【発明者】
【氏名】渡部 宗一
(72)【発明者】
【氏名】五味 工
(72)【発明者】
【氏名】▲浜▼ 友樹
(72)【発明者】
【氏名】上條 享
(72)【発明者】
【氏名】福田 剛士
(72)【発明者】
【氏名】芹澤 和泉
【テーマコード(参考)】
3F321
【Fターム(参考)】
3F321AA04
3F321CF01
3F321HA23
3F321HA31
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、エスカレータ等のハンドレールを安心して握れる殺菌装置を提供することである。
【解決手段】前記課題は、本発明のマンコンベアのハンドレールに紫外線を照射する照射装置であって、前記装置は、紫外線を照射する紫外線照射手段と、光を透過する窓とを備え、前記窓は、前記紫外線照射手段から放射された紫外線のうち、前記窓を介して装置外部に向かう紫外線を減少させることを特徴とする照射装置によって解決することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンコンベアのハンドレールに紫外線を照射する照射装置であって、
前記装置は、紫外線を照射する紫外線照射手段と、光を透過する窓とを備え、
前記窓は、前記紫外線照射手段から放射された紫外線のうち、前記窓を介して装置外部に向かう紫外線を減少させることを特徴とする照射装置。
【請求項2】
前記窓は、前記紫外線照射手段からの光を透過する、請求項1に記載の照射装置。
【請求項3】
前記窓の面積が5cm2以上である、請求項1又は2に記載の照射装置。
【請求項4】
前記装置は、前記ハンドレールの折り返し部分に設置され、
前記窓の全部または一部は、前記ハンドレールの折り返し部分の最大曲率位置を含む最大曲率領域から最大高さまでの間の範囲に設けられる、請求項1~3のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項5】
前記窓は、縦方向に長軸を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項6】
前記窓は、垂直方向に対して、前記ハンドレールの折り返し部分に沿うように傾斜している、請求項1~5のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項7】
前記窓の横方向の長さは、前記ハンドレールの幅よりも長い、請求項1~6のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項8】
前記装置は、紫外線を反射する反射部材をさらに備え、
前記ハンドレールの周囲の一部に、前記反射部材を設けない非反射領域を形成し、
前記非反射領域の少なくとも一部に対応するように、前記窓が形成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項9】
前記窓及び前記非反射領域の対向領域上に、前記紫外線照射手段が配置され、
前記窓から見て前記紫外線照射手段の奥側に前記ハンドレールが位置する、請求項8に記載の照射装置。
【請求項10】
前記紫外線照射手段は、UV-Cの波長域の紫外線を放射する、請求項1~9のいずれか一項に記載の照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンコンベアのハンドレール用照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エスカレータ又は動く歩道などのマンコンベアに乗る場合に、ウイルスなどの感染を恐れて、ハンドレールを握らない乗客が増加している。しかし、エスカレータ等の乗降時、歩く乗客との衝突、又は緊急停止したときなどに、ハンドレールを握らないために、転倒して怪我をすることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2007-520402号公報
【特許文献2】国際公開2016-148389号明細書
【特許文献3】特開2006-193319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エスカレータ等のハンドレールを安心して握れるように、ハンドレールを殺菌する必要がある。ハンドレールを殺菌する装置について報告されているが、いずれも十分なものではなかった(特許文献1~3)。
従って、本発明の目的は、エスカレータ等のハンドレールを安心して握れる殺菌装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、エスカレータ等のハンドレールを安心して握れる殺菌装置について、鋭意研究した結果、驚くべきことに、殺菌装置に窓を設置し、乗客がハンドレールを殺菌していることを視認できるようにすることによって、エスカレータ等のハンドレールを安心して握ることができることを見出した。
本発明は、こうした知見に基づくものである。
従って、本発明は、
[1]マンコンベアのハンドレールに紫外線を照射する照射装置であって、前記装置は、紫外線を照射する紫外線照射手段と、光を透過する窓とを備え、前記窓は、前記紫外線照射手段から放射された紫外線のうち、前記窓を介して装置外部に向かう紫外線を減少させることを特徴とする照射装置、
[2]前記窓は、前記紫外線照射手段からの光を透過する、[1]に記載の照射装置、
[3]前記窓の面積が5cm2以上である、[1]又は[2]に記載の照射装置、
[4]前記装置は、前記ハンドレールの折り返し部分に設置され、前記窓の全部または一部は、前記ハンドレールの折り返し部分の最大曲率位置を含む最大曲率領域から最大高さまでの間の範囲に設けられる、[1]~[3]のいずれかに記載の照射装置、
[5]前記窓は、縦方向に長軸を有する、[1]~[4]のいずれかに記載の照射装置、
[6]前記窓は、垂直方向に対して、前記ハンドレールの折り返し部分に沿うように傾斜している、[1]~[5]のいずれかに記載の照射装置、
[7]前記窓の横方向の長さは、前記ハンドレールの幅よりも長い、[1]~[6]のいずれかに記載の照射装置、
[8]前記装置は、紫外線を反射する反射部材をさらに備え、前記ハンドレールの周囲の一部に、前記反射部材を設けない非反射領域を形成し、前記非反射領域の少なくとも一部に対応するように、前記窓が形成されている、[1]~[7]のいずれかに記載の照射装置、
[9]前記窓及び前記非反射領域の対向領域上に、前記紫外線照射手段が配置され、前記窓から見て前記紫外線照射手段の奥側に前記ハンドレールが位置する、[8]に記載の照射装置、及び
[10]前記紫外線照射手段は、UV-Cの波長域の紫外線を放射する、[1]~[9]のいずれかに記載の照射装置、
に関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の殺菌装置によれば、乗客がエスカレータ等のハンドレールを安心して握ることができる。また、本発明の殺菌装置によれば、乗客が殺菌されているハンドレールであることを、視覚的に認識することができる。更に、エスカレータ等の乗り口に設置できるコンパクトな照射装置でありながら、十分な殺菌効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明のマンコンベアのハンドレールの1つの実施態様を示した模式図である。
【
図2】ハンドレールの折り返し部分を示した模式図である。
【
図3】ハンドレールの折り返し部分の最大曲率位置、最大曲率領域、及び最大高さを示した図である。
【
図4】マンコンベアの種類により異なる最大曲率位置を有する折り返し部分を示した図である。
【
図5】本発明の1つの実施態様における「窓」、「反射部材」、「非反射領域」、「紫外線照射手段」、及び「ハンドレール」の位置を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のマンコンベアのハンドレール1に紫外線を照射する照射装置3は、紫外線を照射する紫外線照射手段4と、光を透過する窓2とを備え、前記窓は、前記紫外線照射手段から放射された紫外線のうち、前記窓を介して装置外部に向かう紫外線を減少させる。
【0009】
前記マンコンベアとしては、限定されるものではないが、エスカレータ又は動く歩道(移動歩道)などが挙げられる。
【0010】
《光を透過する窓》
本発明の照射装置は、光を透過する窓を有する。光を透過する窓を有することによって、マンコンベアの乗客は、ハンドレールに紫外線が照射されていることを視覚的に感知することが可能である。従って、ハンドレールが殺菌されていることを認識し、安心してハンドレールを握ることができる。
【0011】
前記窓は、装置の外部への紫外線を減少させることができる。減少する紫外線量は、限定されるものではないが、例えば20%以上であり、好ましくは40%以上であり、より好ましくは60%以上であり、更に好ましくは80%以上であり、更に好ましくは90%以上であるが、検出限界以下にまで減少させることが最も好ましい。紫外線を減少させることにより、乗客を紫外線から守ることができる。
紫外線を減少させる窓材としては、UVカットガラス若しくはUVカット樹脂、ガラス若しくは樹脂、又は樹脂やガラスに貼るUVカットフィルムが挙げられる。UVカットガラス、UVカット樹脂、及びUVカットフィルムは限定されるものではないが、UVカット剤が塗布されたもの、又はUVカット剤を含有するものが挙げられる。UVカット剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、サリチル酸(SA)系化合物、若しくはシアノ酢酸(CA)系化合物等の紫外線吸収剤、又は酸化チタン、若しくは酸化亜鉛等の紫外線散乱剤が挙げられる。
【0012】
また、前記光を透過する窓から視覚的に感知される光は、紫外線を含んだ光に限定されるものではなく、紫外線を含まないアピール用の光源(例えば、青色LED又はインジケータの光等)から照射された光でもよい。乗客は、ハンドレールを殺菌している紫外線を含んだ光を感知して、ハンドレールが殺菌されたと認識するが、アピール用の光を認識して、ハンドレールを握ってもよい。
【0013】
前記窓は、紫外線照射手段からの光を透過するが、この光は紫外線照射手段からの直接光又は間接光を含む。限定されるものではないが、前記窓から光源である紫外線照射手段は視認されなくてもよい。
【0014】
前記光を透過する窓の面積は、乗客が光を感知できる限りにおいて特に限定されるものではないが、5cm2以上である。窓の面積の下限は、好ましくは8cm2以上であり、より好ましくは16cm2以上であり、更に好ましくは32cm2以上であり、更に好ましくは48cm2以上であり、更に好ましくは64cm2以上であり、最も好ましくは80cm2以上である。窓の面積の上限は、限定されるものではないが、1860cm2以下であり、好ましくは1500cm2以下であり、より好ましくは1000cm2以下であり、より好ましくは600cm2以下であり、更に好ましくは400cm2以下である。前記範囲であることにより、乗客が効率的に光を感知し、ハンドレールが殺菌されていると認識することができる。なお、窓を2個以上設置した場合、その窓の合計の面積を前記範囲としてもよい。
【0015】
ある態様においては、前記窓からハンドレールの表面が視認できる。また、ある態様においては、前記窓から紫外線照射手段が視認できる。またある態様においては、前記窓から、前記紫外線照射手段の紫外線放射部と前記ハンドレールとが同時に視認できる。更にある態様においては、前記窓から、前記紫外線照射手段の紫外線放射部と移動する前記ハンドレールとを同時に視認できる。
【0016】
本発明の照射装置は、前記ハンドレールの折り返し部分に設置される。本明細書において、
図2に示すように、ハンドレールの折り返し部分7とは、マンコンベアの下部のハンドレールが外部に出てくる部分からマンコンベアの上部のハンドレール水平移動部までの略半円形の部分を意味する。
ハンドレールは、エスカレータの階段部分又は動く歩道の歩行部分と同じ速さで移動する。従って、ハンドレールを掴むことにより、階段部分又は歩行部分における転倒などの事故を防止することができる。ハンドレールは、1本の繋がった構造であり、露出した上面部分において、エスカレータの階段部分又は動く歩道の歩行部分と同じ速さで移動し、隠れた下面部分では、露出した階段部分の移動方向と逆方向に回動している。そして上面部分と下面部分とは、折り返し部分7で方向を変えている。
ハンドレールが外部に出てくる部分を「ハンドレールの出口部分」と称する。前記ハンドレールの出口部分の高さ8は、限定されるものではないが、100mm~200mmである。前記ハンドレールの水平移動部の高さ5は、限定されるものではないが、900mm~1000mmであり、例えば920mm又は950mmである。
【0017】
前記窓の全部または一部は、前記ハンドレールの折り返し部分の最大曲率位置14を含む最大曲率領域11から最大高さ9までの間の範囲、すなわち窓形成範囲10に設けられる。最大曲率位置14とは、
図3に示すように、前記折り返し部分の最も曲がりの程度のきつい位置である。最大曲率領域11は、前記最大曲率位置14の下5cm~上5cmを含む領域である。
図4A、B、及びCに示すように、前記折り返し部分は、マンコンベアの種類によって、曲がり方が異なるため、最大曲率位置14が異なる。しかしながら、最大曲率領域11と最大高さ9との間の範囲15に窓を設けることによって、折り返し部分の上部に対応する照射装置(筐体)の上部に窓を設置することができる。
本明細書において、ハンドレールの「最大高さ」は、実質的にハンドレール水平移動部の高さ5(
図2)と同じであり、限定されるものではないが、900mm~1000mmであり、例えば920mm又は950mmである。
【0018】
前記照射装置の筺体の上端は、限定されるものではないが、好ましくはハンドレールの最大高さ(ハンドレール水平移動部の高さ)である。しかしながら、本発明の効果が得られる限りにおいて、照射装置の筺体の上端は、ハンドレールの最大高さより高くてもよく、又は低くてもよい。例えば、ハンドレールの最大高さから100mm以内で高くてもよく、200mm以内で低くてもよい。
また、前記照射装置の筺体の下端は、限定されるものではないが、前記窓がハンドレールの折り返し部分の最大曲率位置を含む最大曲率領域から最大高さまでの間の範囲に設けられる限りにおいて、特に限定されるものではない。従って、
図1に示すように、マンコンベアの設置面と同じ高さでもよい。また、マンコンベアの設置面から離れていてもよく、この場合は照射装置をマンコンベアに結合して設置するのが好ましい。この場合、筐体の下端の高さは限定されるものではないが、例えば500mm以下であり、好ましくは400mm以下であり、より好ましくは300mm以下であり、更に好ましくは200mm以下である。
【0019】
(窓の形状)
前記窓の形状は、特に限定されるものではないが、例えば長方形、正方形、円形、楕円形、ひし形、又はオーバル形などが挙げられる。また、窓の数も限定されるものではなく、複数の窓を備えてもよい。例えば、前記の形状の窓を縦方向、又は横方向に2個以上設置してもよい。
本発明の1つの実施態様においては、前記窓は縦方向に長軸を有する。例えば、長方形の窓の場合、長方形の長辺を縦方向となるように窓を設置する。また、楕円形又はオーバル形の窓の場合、長軸が縦方向になるように窓を設置する。更に、円形又は正方形の窓を縦方向に2個以上設置した場合、円形、又は正方形の窓の縦方向の合計の長さを長軸とみなしてもよい。
前記長軸の長さは、特に限定されるものではないが、例えば10mm以上であり、好ましくは50mm以上であり、より好ましくは80mm以上であり、更に好ましくは100mm以上である。前記長軸の長さの上限は、特に限定されるものではないが、930mm以下であり、好ましくは800mm以下であり、よい好ましくは600mm以下であり、更に好ましくは400mm以下である。
【0020】
前記窓は、限定されるものではないが、好ましくは垂直方向に対して、前記ハンドレールの折り返し部分に沿うように傾斜している。具体的には、
図1に示すように、ハンドレール1の折り返し部分7の上部のハンドレールに平行に近い角度で窓2を設置すればよい。このように窓2を設置することによって、マンコンベアの乗客は前記光を透過する窓から容易に視覚的に光を感知することができる。
【0021】
前記窓の横方向の長さは、限定されるものではないが、好ましくは前記ハンドレールの幅よりも長い。ハンドレールの幅は、例えば80mmである。従って、前記窓の横方向の長さは、好ましくは80mm以上であり、好ましくは90mm以上であり、より好ましくは100mm以上である。前記窓の横方向の長さの上限は、特に限定されるものではないが、200mm以下である。
また、円形又は正方形の窓を横方向に2個以上設置した場合、円形、又は正方形の窓の横方向の合計の長さを、窓の横方向の長さとみなしてもよい。
【0022】
《紫外線照射手段》
前記紫外線照射手段4は、ハンドレール1に紫外線を照射し、細菌又はウイルス等の病原体を死滅させる手段である(
図1)。具体的には、紫外線ランプなどの放電ランプを含む。
前記放電ランプは、紫外線を放出できる限りにおいて、特に限定されるものではないが、例えば希ガスまたは希ガスとハロゲンガスとの混合ガスを封入したエキシマランプ、水銀を封入した水銀ランプ、又は蛍光体膜を形成した蛍光UVランプが挙げられる。
エキシマランプに封入される希ガスとしては、例えばXe(172nm)、Kr(146nm)、又はAr(126nm)が挙げられる。エキシマランプに封入される希ガスとハロゲンガスとの混合ガスとしては、XeCl(308nm)又はKrCl(222nm)が挙げられる。
水銀を封入した水銀ランプとしては、限定されるものではないが低圧水銀ランプ(185nm及び245nm)が挙げられる。
蛍光体膜を形成した蛍光UVランプは、蛍光体の種類によって、異なる波長の紫外線を放射することができる。
また、前記紫外線照射手段はLED素子でもよい。LED素子は、発光ダイオード素子であり、電圧を加えることにより発光する半導体素子である。例えば、
図2に示すように、LED照射ユニット6を、ハンドレールの折り返し部分7に沿って、設置してもよい。
【0023】
前記紫外線照射手段からの紫外線は、限定されるものではないが、好ましくはUV-Cの波長域の紫外線を放射する。UV-Cは、280nm未満の紫外線であり、強い殺菌作用を有する。UV-Cの波長の下限は100nm程度である。
【0024】
《反射部材》
本発明の照射装置は、好ましくは紫外線を反射する反射部材をさらに備える。反射部材を有する場合、前記ハンドレールの外周面を含む両側面外周側の間の表面は、前記紫外線照射手段から放射された紫外線が直接照射される。一方、前記ハンドレールの側面内周側から内周面の間の表面は、前記紫外線照射手段から放射された紫外線が反射部材に反射して照射される。紫外線を反射するための反射部材は、例えば照射装置の筐体の内側に設置することができる。反射部材としては、反射率の高い金属コーティング、ステンレススチール、又は鏡などを用いることができる。
【0025】
前記反射部材の設置の1つの態様としては、限定されるものではないが、前記ハンドレールの周囲の一部に、前記反射部材を設けない非反射領域を形成し、前記非反射領域の少なくとも一部に対応するように、前記窓が形成されている。
図5に示すように、例えば筐体3の内側に反射部材13を設置するが、前記光を透過する窓2に対応する部分に、反射部材を設けない非反射領域12を形成することができる。非反射領域12は、前記窓2と完全に一致するように形成してもよく、一部が重複するように形成してもよい。すなわち、前記非反射領域12の少なくとも一部に対応するように窓2が形成されていることによって、マンコンベアの乗客は、ハンドレール1に紫外線照射手段4から紫外線が照射されていることを視覚的に感知することができる。
【0026】
前記窓及びそれに少なくとも一部対応する非反射領域を有する場合において、限定されるものではないが、好ましくは前記窓及び前記非反射領域の対向領域上に、前記紫外線照射手段が配置され、そして前記窓から見て前記紫外線照射手段の奥側に前記ハンドレールが位置する。すなわち、照射装置の窓側から装置の内部にかけて、順番に「窓及び前記非反射領域」、「紫外線照射手段」及び「ハンドレール」が配置される。この順番に配置されることによって、ハンドレールが効率的に殺菌され、そしてマンコンベアの乗客は、ハンドレールに紫外線が照射されていることを視覚的に感知することができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の照射装置は、エスカレータ又は動く歩道などのマンコンベアのハンドレールを十分に殺菌し、そして殺菌されていることを乗客が容易に感知できる。従って乗客がハンドレールを握ることを躊躇することなく、転倒事故などを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0028】
1・・・ハンドレール;
2・・・窓;
3・・・照射装置(筐体);
4・・・紫外線照射手段;
5・・・ハンドレール水平移動部の高さ;
6・・・LED照射ユニット;
7・・・ハンドレール折り返し部分;
8・・・ハンドレール出口部分の高さ;
9・・・最大高さ;
10・・・窓形成範囲;
11・・・最大曲率領域;
12・・・非反射領域(穴);
13・・・反射部材(ミラー);
14・・・最大曲率位置;
15・・・最大曲率領域と最大高さとの間の範囲;